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第37回 : 新大学会館展示スペシャル ~その5「洛中洛外図」~

堀井 佳代子
文学部文化学科文化史学専攻4回生

最終更新日 2004年3月3日

 今回と次回、あわせて2回に特集するのは、「上杉本洛中洛外図屏風」を、タッチパネルを操作して自由に拡大・スクロールし、探索するという体験型の展示です。1階ホールの突き当たりの壁、先にご紹介した「壁の穴展示」の向かって左手に、上杉本洛中洛外図屏風のレプリカを左右にはめ込んだ巨大テレビスクリーンがそれです。

 洛中洛外図屏風とは、室町時代後半から江戸時代初期に数多く描かれた屏風絵で、京都の市中と郊外の様子を描いた、左右二隻で一対となっているものです。右隻は天皇の御所を中心として下京と郊外が描かれ、左隻は室町幕府・足利将軍邸を中心とした、上京とその郊外の様子が描かれます。
 なかでも国宝・上杉本洛中洛外図屏風(山形県米沢市上杉博物館蔵)は、現存する洛中洛外図屏風の中でもきわめて著名な作品で、日本美術史を代表する画家・狩野永徳(1543~1590)の作品とされ、織田信長から上杉謙信に贈られて以後、上杉家に伝来したといわれます。金箔を大量に使用し、京都の名所や風俗が四季とともに描かれ、庶民から公家・武家まで、約2500人にのぼるあらゆる階層の人々が、生き生きとした姿で描きこまれています。

 私たちが、数多い洛中洛外図屏風の中でも上杉本を選んだのは、平成14年(2002年)の寒梅館建設に伴う発掘調査で、この屏風の左隻に描かれる、足利将軍邸とその東北隅の鎮守社との間にあったと考えられる、築地塀の基礎が見つかったからです(発掘物語2参照)。そのことは、同志社大学の所在する上京がどんな歴史的空間にあるかを考える大きなきっかけとなりました。
 そこで、上杉本洛中洛外図を手がかりに、室町時代の上京を知るための手引きとしようと考えました。そのため、この展示では左隻部分のみを扱っています。コンセプトは

  1. 上京の歴史を知る
  2. 室町時代と現在の歴史空間をつなぐ
の二つで、単なる描かれた景観の説明にとどまらず、その景観が現在どのように変化しているかという視点を取り入れています。この屏風を通じて、洛中洛外図の楽しさと、私たちが住む上京の歴史を感じていただければと願っています。

 次回は、具体的にどんな中身を準備しているかをご紹介しましょう!お楽しみに!


中央に巨大スクリーンが入ります



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