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第32回 : 新大学会館(仮)展示スペシャル ~その1「石敷き展示」~

同志社大学 歴史資料館 調査研究員
同志社大学 大学院 博士課程後期

最終更新日 2004年1月30日

 同志社大学今出川キャンパスから徒歩1分、4月のオープンに備えて、今、新しい大学会館の建設が急ピッチで進められています。

 同志社大学歴史資料館は、この新大学会館(仮)の建設に伴い、発掘調査を行いました。その時に発見された様々な成果はホームページ上でも紹介してきましたが(発掘物語12)、この貴重な遺跡を後世に伝えていこうと、新大学会館(仮)には展示スペースが設けられることとなりました。これから毎週、全6回にわけて、この展示にかける歴史資料館の情熱と、展示内容をちょっぴり先取りして、お伝えしていこうと思います。

 今回は、新大学会館の東北隅にあたる場所に設置される、石敷き展示についてです。ここでは、室町幕府将軍邸であった花の御所の一部と推定される石敷き遺構を、実物とレプリカをならべて展示することにしました。また、それと同時に、同じく花の御所の一部と思われる石組の水路遺構もあわせて展示しています。

 展示場所に設置される説明版は、以下の通りです。

「新大学会館(仮)の建設に伴う発掘調査(2002年)で、上立売通り沿いの調査区から、室町時代後半の石敷きが発見されました。

 石敷きは、大きくふたつのグループにわかれます。第1のグループは、上立売通のすぐ南をほぼ平行して、幅1.6m~1.8mの溝状に続きます(A)。第2のグループは、烏丸通上立売の交差点に近い部分で、南北に6m以上、東西に9.5m以上の長方形に広がります(B)。また(B)の石敷きの内で、その南から1.6~1.8mの部分は、独立して(A)と同様な構造になっています。なお石敷きの中からは、16世紀中ごろの土器が出土しました。

 この頃の京都の様子を描いたといわれる代表的な史料が、「上杉本・洛中洛外図屏風」です。同図によれば、新大学会館(仮)の周辺は、第12代室町幕府将軍・足利義晴が再築した室町殿のあった場所と推定され、同図に描かれた館の北面には、上立売通りとの間を画する形で築地塀が設けられ、また烏丸通りに面したその東端には吉田神社からの勧請とされる社が描かれています。

 このため、これらの状況から、この石敷きは、足利義晴が再築した室町殿の北東隅の社と、その南の築地塀の可能性があります。」

 同志社大学歴史資料館は、この室町殿にかかわる遺構の重要性を考慮し、学生と一般市民がこの新大学会館(仮)の立つ本地域の歴史を考える学術財として、この石敷きの保存と活用をおこない、また様々な京都の歴史遺産のひとつとしても広く活用されることを願っています。

 実物の迫力を、ぜひ実感しに来てください!


ただ今建設中!

まだまだヒミツ



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