4.9 第1種および第2種ダイアディック・グリーン関数

第1種電界型ダイアディック・グリーン関数(完全導体)

 積分領域Vを,面Sdと面Sに囲まれた領域にとり,面Sを無限遠とすると,面積分の項は,面S上の積分が放射条件によりゼロとなり, 面Sdのみとなる.さらに,面Sdで次のような境界条件を満たすグリーン関数を第1種電界型グリーン関数(electric dyadic Green function of the first kind)といい,G~~e1とおくと, (1)n×G~~e1(r,r)=0     (on  Sd) これより, E(r)=jωμVJ(r)G~~e1(r,r)dV(2)Sd(n×E(r))(×G~~e1(r,r))dS いま,面Sdが完全導体の場合,電界の境界条件 n×E(r)=0 (on Sd) より,面Sd上の面積分は完全にゼロとなり,電界Eは次のようになる. (3)E(r)=jωμVJ(r)G~~e1(r,r)dV グリーン関数の対称性などを用いれば,次式が得られる(導出省略). (4)E(r)=jωμVG~~e1(r,r)J(r)dV
完全導体による散乱問題 (case A)

第1種電界型ダイアディック・グリーン関数(開口面)

 また,別の問題として,領域Vには電流源がなく,Sd内部に電流源があり,面Sdの一部に開口SAがある場合,体積積分の項がゼロとなり, (5)E(r)=SA(n×E(r))(×G~~e1(r,r))dS 波源は円筒内部にあり,開口SA上の電界 E(r)より, 磁気的な等価電流E(r)×nを考えればよい.
完全導体表面の開口面からの放射 (case B)

第2種電界型ダイアディック・グリーン関数

 面Sdで次のような境界条件を満たすグリーン関数は第2種グリーン関数(electric dyadic Green function of the second kind)といい,G~~e2とおくと, (6)n××G~~e2(r,r)=0     (on  Sd) これより, H(r)=VJ(r)×G~~e2(r,r)dV(7)jωϵSd(n×E(r))G~~e2(r,r)dS いま,面Sdが完全導体の場合,電界の境界条件 n×E(r)=0 (on Sd) より,面Sd上の面積分は完全にゼロとなり,磁界Hは次のようになる. (8)H(r)=VJ(r)×G~~e2(r,r)dV また,別の問題として,領域Vには電流源がなく,Sd内部に電流源があり,面Sdの一部に開口SAがある場合,体積積分の項がゼロとなり, (9)H(r)=jωϵSA(n×E(r))G~~e2(r,r)dS

第1種および第2種磁界型ダイアディック・グリーン関数

 第1種グリーン関数の境界条件を,磁界に対するダイアディック・グリーン関数に適用したものをG~~m1とすると, (10)n×G~~m1(r,r)=0     (on  Sd) 電界および磁界に対するダイアディック・グリーン関数G~~eG~~mとの関係式 ×G~~e=G~~m より,上式に対応するのは, n×(×G~~e2(r,r))=0     (on  Sd) これを,ダイアディック Neumann 境界条件という. よって, (11)×G~~e2=G~~m1 また,第2種グリーン関数の境界条件を,磁界に対するダイアディック・グリーン関数に適用したものをG~~m2とすると, (12)n××G~~m2(r,r)=0     (on  Sd) 電界および磁界に対するダイアディック・グリーン関数G~~eG~~mとの関係式 ×G~~m=I~~δ(rr)+k2G~~e より, (13)×G~~m2=I~~δ(rr)+k2G~~e1 ただし, (14)G~~m2=0