5.3 成形ビーム(レメッツのアルゴリズム)

  1. 主ビームのリプルの範囲$(1\pm\hat{\epsilon})$とリプルの数 $N_i$,抑圧するサイドローブレベルの最大値 $\epsilon$,第1サイドローブから順に抑圧するサイドローブ数 $N_s$を与える.
  2. 電界指向性の初期値を設定する.
  3. 主ビームのリプルの最大,最小の方向 $\hat{u}_i (n=1,2, \cdots ,N_i)$,サイドローブレベルのピーク方向 $u_n (n=1,2, \cdots ,N_s)$ を求める.
  4. 主ビーム領域の電界指向性を$1-\hat{\epsilon} \le g(u) \le 1+\hat{\epsilon}$ とするため, \begin{gather} g(\hat{u}_i) =1+(-1)^{N_i-i} \hat{\epsilon} \ \ \ (i=1,2, \cdots ,N_i) \end{gather} サイドローブ領域の電界指向性を$-\epsilon \le g(u) \le \epsilon$ とするため, \begin{gather} g(u_m) =(-1)^m \epsilon \ \ \ (m=1,2, \cdots ,N_s) \end{gather} 上式を連立して $a_n \ (n=1,2, \cdots ,N(=N_i+N_s))$ を決定する.
よって,$a_n \ (n=1,2, \cdots ,N(=N_i+N_s))$は,次式を解けばよい. \begin{align} &\begin{pmatrix} \phi_1(\hat{u}_1) & \phi_2(\hat{u}_1) & \cdots & \phi_N(\hat{u}_1) \\ \phi_1(\hat{u}_2) & \phi_2(\hat{u}_2) & \cdots & \phi_N(\hat{u}_2) \\ \vdots & \vdots & & \vdots \\ \phi_1(\hat{u}_{N_i}) & \phi_2(\hat{u}_{N_i}) & \cdots & \phi_N(\hat{u}_{N_i}) \\ \phi_1(u_1) & \phi_2(u_1) & \cdots & \phi_N(u_1) \\ \phi_1(u_2) & \phi_2(u_2) & \cdots & \phi_N(u_2) \\ \vdots & \vdots & & \vdots \\ \phi_1(u_{N_s}) & \phi_2(u_{N_s}) & \cdots & \phi_N(u_{N_s}) \\ \end{pmatrix} \begin{pmatrix} a_1 \\ a_2 \\ \vdots \\ a_{N_i} \\ a_{N_i+1} \\ a_{N_i+2} \\ \vdots \\ a_N \end{pmatrix} \nonumber \\ &= \begin{pmatrix} -\hat{\phi}_0(\hat{u}_1)+1+(-1)^{N_i-1} \hat{\epsilon} \\ -\hat{\phi}_0(\hat{u}_2)+1+(-1)^{N_i-2} \hat{\epsilon} \\ \vdots \\ -\hat{\phi}_0(\hat{u}_{N_i})+1+(-1)^0 \hat{\epsilon} \\ -\hat{\phi}_0(u_1)+(-1)^1 \epsilon \\ -\hat{\phi}_0(u_2)+(-1)^2 \epsilon \\ \vdots \\ -\hat{\phi}_0(u_{N_s})+(-1)^{N_s} \epsilon \end{pmatrix} \end{align} ただし, \begin{align} &g(0) =a_0 = 1+(-1)^{N_i} \hat{\epsilon} \\ &\hat{\phi}_0(u) = a_0 \phi_0(u) = \big\{ 1+(-1)^{N_i} \hat{\epsilon} \big\} \phi_0(u) \end{align} これより,指向性を求め,3,4の計算を繰り返し $a_n$ を更新していく.主ビームのリプル,サイドローブレベルのピーク値が所定の値となれば反復を終了する. 電界指向性の初期値は,例えば,後述するような
  1. 有限範囲で一様な電界指向性をフーリエ級数展開したもの
  2. ウッドワード・ローソン法による指向性合成
などが考えられる.

初期値:一様な電界指向性のフーリエ級数展開

展開係数 $b_0=\alpha=0.3420, b_1=0.2799, b_2=0.1333, \cdots, b_8=0.0293$

低サイドローブ化($-35$ dB)した成形ビーム($\pm 0.2$dB)

展開係数 $a_1=0.9903, a_2=1.0050, a_3=0.8778, a_4=0.1901, a_5=-0.0084$