円形開口面分布による放射特性

円形開口面分布

 直径Dの円形開口面分布 Ea(ρ,ϕ) によるフレネル領域の指向性関数 gr(R,Θ,Φ) は, (1)gr(R,Θ,Φ)=02π0D/2Ea(ρ,ϕ)ejkρ22RejkaRρρdρdϕ ここで,観測方向に沿う単位ベクトルaR,および開口面の座標を示す位置ベクトルρは, (2)aR=sinΘ(cosΦax+sinΦay)+cosΘaz(3)ρ=ρaρ=ρ(cosϕax+sinϕay) で表され, aRρ={sinΘ(cosΦax+sinΦay)+cosΘaz}ρ(cosϕax+sinϕay)=ρsinΘ(cosΦcosϕ+sinΦsinϕ)(4)=ρsinΘcos(Φϕ) また,位相項は次のようになる. (5)k(aRρ)=2πλρsinΘcos(Φϕ) いま, (6)ρ2ρD(7)uπDλsinΘ とおくと, (8)k(aRρ)=uρcos(Φϕ)(9)dρ=2Ddρ また, (10)tD28λR とおくと, kρ22R=2πλ12R(D2ρ)2=2π(D28λR)ρ2(11)=2πtρ2 これより,フレネル領域の指向性関数gr(R,Θ,Φ)は次のようになる. (12)gr(R,Θ,Φ)=(D2)202π01Ea(ρ,ϕ)ej2πtρ2ejuρcos(Φϕ)ρdρdϕ

回転対称な円形開口面分布

 開口面分布Eaが回転対称な場合,ϕに関する定積分が可能で, (13)ejuρcos(Φϕ)=n=(j)nJn(uρ)ejn(Φϕ) を用いると,指向性関数gr(R,Θ,Φ)は次のようになる. gr=(D2)202π01Ea(ρ)ej2πtρ2{n=(j)nJn(uρ)ejn(Φϕ)}ρdρdϕ=(D2)201Ea(ρ)ej2πtρ2{n=(j)nJn(uρ)02πejn(Φϕ)dϕ}ρdρ ただし,Jnn次の第1種ベッセル関数を示す.上式のϕに関する積分は, (14)02πejn(Φϕ)dϕ={2π(n=0)0(n0) よって,gr(R,Θ,Φ)は次のようになる. gr(R,Θ,Φ)=(D2)201Ea(ρ)ej2πtρ2{j0J0(uρ)2π}ρdρ(15)=2π(D2)201Ea(ρ)ej2πtρ2J0(uρ)ρdρ

円形一様開口面分布

 開口面分布の振幅,位相が一様の場合,つまりEaを一定と考えると,ベッセルの不定積分公式 (16)J0(uρ)ρdρ=ρuJ1(uρ) より,フラウンホーファ領域(t=0)の指向性関数g(u)は (Ea(x,y)=E0は一定,Sは円形開口面の面積), g(u)=2π(D2)2E001J0(uρ)ρdρ=2π(D2)2E0[ρuJ1(uρ)]01(17)=2SE0J1(u)u また, (18)g(0)=E0AdS=E0S 相対電界指向性(ユニバーサル電界パターン)g¯(u)は, g¯(u)=g(u)g(0)=2SEaJ1(u)uEaS(19)=2J1(u)u ユニバーサル電界パターンのサイロドーブレベルは,ピーク値に対して第1サイドローブから順に, 17.623.828.031.233.635.7 dBとなる.また,規格化した相対的な放射(電力)パターンG¯(θ,ϕ)は, (20)G¯(θ,ϕ)=(1+cosθ2)2|2J1(u)u|2
直線開口および円形開口(D=6λ)の一様分布による放射パターン

放物線テーパ分布

 回転対称の円形開口面分布において,半径ρ方向に放物線テーパ(Parabolic taper)のとき, ρ=D2ρとおいて, E(ρ)=1(2ρD)2(21)=1ρ2=E(ρ) これより, g(0)=AE(ρ)dS=02π0D2{1(2ρD)2}ρdϕdρ=(02πdϕ)(D2)201(ρρ3)dρ=2π(D2)2[ρ22ρ44]01(22)=S2 また, A|E(ρ)|2dS=02π0a{1(2ρD)2}2ρdϕdρ=2π(D2)201(ρ2ρ3+ρ5)dρ=2π(D2)2[ρ22ρ42+ρ66]01(23)=S3 開口能率ηaは, ηa=|AEadS|2SA|Ea|2dS(24)=(S2)2SS3=34=0.75 フラウンホーファ領域(t=0)の指向性関数g(u)は,ベッセル関数に関わる積分公式を用いて, g(u)=2π(D2)201Ea(ρ)J0(uρ)ρdρ=2S01(1ρ2)J0(uρ)ρdρ(25)=2S2J2(u)u2=S4J2(u)u2 相対電界指向性(ユニバーサル電界パターン)g¯(u)は, g¯(u)=g(u)g(0)=S4J2(u)u2S2(26)=8J2(u)u2 ユニバーサル電界パターンのサイロドーブレベルは,ピーク値に対して第1サイドローブから順に, 24.633.639.744.548.451.6 dBとなる. また,規格化した相対的な放射(電力)パターンG¯(θ,ϕ)は, (27)G¯(θ,ϕ)=(1+cosθ2)2|8J2(u)u2|2
放物線テーパ分布(D=6λ)による放射パターン

【問題】次の極限を求めよ.

(28)(a) limu0J1(u)u,     (b) limu0J2(u)u2 略解 (a) u=0 のとき,ロピタルの定理より, limu0J1(u)u=limu0ddu J1(u)limu0ddu u=limu012{J0(u)J2(u)}1(29)=12J0(0)=12 ここで, (30)ddxJn(x)=12(Jn1(x)Jn+1(x)) また, (31)J0(0)=1,    J1(0)=0,    J2(0)=0 略解 (b) (32)limu0J2(u)u2=18