シグナルフローグラフの応用

誤差回路とDUT

 次の図は誤差モデルを考慮したシグナルフローグラフを示したもので,測定ポートをノード\(a_0\),\(b_0\)と\(a_3\),\(b_3\)とし, DUTの入出力部に2つの誤差回路を加えている.
誤差回路とDUTからなるシグナルフローグラフ

順方向伝送・反射

 ポート0からの入射波を考えた場合を順方向という.順方向伝送・反射においては,ポート3からの入射波は考えないので(\(a_3 =0\)),上のシグナルフローグラフにおいて伝送波のないブランチを削除すると次のようになる.
順方向伝送・反射のシグナルフローグラフ
次に,入出力のノード以外について,\(1/e_{10}\)を乗じて新たなノードを定義する.まず,上側のブランチについて, \begin{align} &b_1 = e_{10} a_0 \ \ \ \ \ \therefore \frac{b_1}{e_{10}} \equiv \bar{b}_1 = 1 \cdot a_0 \\ &a_1' = 1 \cdot b_1 \ \ \ \ \ \therefore \frac{a_1'}{e_{10}} \equiv \bar{a}_1' = \frac{b_1}{e_{10}} = 1 \cdot \bar{b}_1 \\ &b_2' = S_{21} a_1' \ \ \ \ \ \therefore \frac{b_2'}{e_{10}} \equiv \bar{b}_2' = S_{21} \frac{a_1'}{e_{10}} = S_{21} \bar{a}_1' \\ &a_2 = 1 \cdot b_2' \ \ \ \ \ \therefore \frac{a_2}{e_{10}} \equiv \bar{a}_2 = \frac{b_2'}{e_{10}} = 1 \cdot \bar{b}_2' \\ &b_3 = e_{32} a_2 = e_{32} e_{10} \cdot \bar{a}_2 \end{align} ポート2における上から下へのブランチについては, \begin{gather} b_2 = e_{22} a_2 \ \ \ \ \ \therefore \frac{b_2}{e_{10}} \equiv \bar{b}_2 = e_{22} \frac{a_2}{e_{10}} = e_{22} \cdot \bar{a}_2 \end{gather} 同様にして,下側のブランチについて, \begin{align} &a_2' = 1 \cdot b_2 \ \ \ \ \ \therefore \frac{a_2'}{e_{10}} \equiv \bar{a}_2' = \frac{b_2}{e_{10}} = 1 \cdot \bar{b}_2 \\ &b_1' = S_{12} a_2' \ \ \ \ \ \therefore \frac{b_1'}{e_{10}} \equiv \bar{b}_1' = S_{12} \frac{a_2'}{e_{10}} = S_{12} \bar{a}_2' \\ &a_1 = 1 \cdot b_1' \ \ \ \ \ \therefore \frac{a_1}{e_{10}} \equiv \bar{a}_1 = \frac{b_1'}{e_{10}} = 1 \cdot \bar{b}_1' \\ &b_0 = e_{01} a_1 = e_{01} e_{10} \cdot \bar{a}_1 \end{align} その他,上下のブランチの値は変わらない.これより,順方向シグナルフローグラフが次のように変形される.
ノードの定義を変更した順方向シグナルフローグラフ

逆方向伝送・反射

 逆方向伝送・反射においては,ポート0からの入射波は考えないので(\(a_0 =0\)),順方向シグナルフローグラフと同様にして, これより,逆方向シグナルフローグラフもまた,次のようになる.
逆方向伝送・反射のシグナルフローグラフ
ノードの定義を変更した逆方向シグナルフローグラフ