スミス図表とは

複素平面上の電圧反射係数

 複素平面上に,電圧反射係数Γ=|Γ|ejθ(極形式)の|Γ|一定の円(等反射係数円), θ一定の直線(等位相角線)を描くと,次の図のようになる.

  • 中心の点:Γ=0 ゆえ,無反射
  • 単位円上:|Γ|=1 ゆえ,完全反射
  • Γ=1 の点:開放(オープン)
  • Γ=1 の点:短絡(ショート)
  • 等反射係数円と等位相角線
     負荷から距離l離れた点での反射係数Γ(l)は,負荷点での反射係数ΓLを用いて, (1)Γ(l)=ΓLej2βl=|ΓL|ej(θ2βl) ここで,Γ(l)の偏角は,θ2βlである.またΓ(l)は,ΓLの点から時計回りに2βl [rad]回転した点になる.伝送線路の管内波長をλgとすると, (2)2βl=22πλgl=4πlλg

    定在波の最大・最小について

     負荷点から距離 l 離れた点での電圧定在波V(l)は, V(l)=V+(1+Γ(l))(3)=V+(1+|ΓL|ej(θ2βl)) 電圧の最大は,ej(θ2βl)=1のときで,このときの電圧反射係数および最大値|V|maxは, (4)Γ|Vmax=|ΓL|ej(θ2βl)|Vmax=|ΓL|(5)|V|max=|V+|(1+|ΓL|) 電圧が最大となる位置での電圧反射係数は正の実数ゆえ,複素平面の正の実軸上にあることがわかる. 逆に,電圧の最小は,ej(θ2βl)=1のときで,このときの電圧反射係数および最小値|V|minは, (6)Γ|Vmin=|ΓL|ej(θ2βl)|Vmin=|ΓL|(7)|V|min=|V+|(1|ΓL|) 電圧が最小となる位置での電圧反射係数は負の実数ゆえ,複素平面の負の実軸上にあることがわかる.

    規格化入力インピーダンス,規格化入力アドミタンスの図表

     スミス図表(Smith chart)は,電圧反射係数Γ=|Γ|ejθ(大きさ,位相)を表す複素平面上に,規格化入力インピーダンスzin の目盛を書き込んだものである.同様にして,アドミタンス図表(admittance chart)は,電圧反射係数を表す複素平面であるが,目盛は次の規格化入力アドミタンスyinからなる.

    定抵抗円と定リアクタンス円

     伝送線路終端に負荷ZLが接続された場合,規格化負荷インピーダンスzLは,負荷点での電圧反射係数ΓLを用いて, (8)ZLZ0=zL=1+ΓL1ΓL 同様にして,特性インピーダンスZ0の伝送線路上のある点における規格化入力インピーダンスzin(l)は,その点での電圧反射係数Γ(l)を用いて, (9)Zin(l)Z0=zin(l)=1+Γ(l)1Γ(l) 実部,虚部を (10)zinr+jx(11)Γ(=|Γ|ejθ)u+jv とおき(rは規格化抵抗,xは規格化リアクタンス),式(9)に代入すると, r+jx=1+(u+jv)1(u+jv)(12)=1+21(u+jv) 上式を実部,虚部で整理して, (r+1)+jx=2(1u)jv(13)=2{(1u)+jv}(1u)2+v2(13)の実部をuvについて整理すると, (14)r+1=2(1u)(1u)2+v2(15)(urr+1)2+v2=(1r+1)2 これは,中心がu=rr+1v=0,半径が1r+1の円を表している.
    定抵抗円
    また,式(13)の虚部を同様にして整理すると, (16)x=2v(1u)2+v2(17)(1u)2+(v1x)2=(1x)2 これは,中心がu=1v=1x,半径が1|x|の円を表している.
    定リアクタンス円

    スミス図表

     これより,uv面上に,次の2つの円群を描くと次の図のようになる.
    定抵抗円:r一定の円群
    定リアクタンス円:x一定の円群
    両者を重ね合わせて,スミス図表を簡略化して描くと次のようになる.
    簡略化したスミス図表