噴霧・燃焼工学研究室では

 当研究室は,同志社大学工学部一期生,故竹内貴一郎先生が1964年に創設された.その後,藤本元先生が1984年に引継ぎ,1990年に千田二郎が着任した.2011年に藤本元先生が退官された後,千田二郎が運営に当たっていた.2013年には松村恵理子が加わり,従来の教員2人体制となり,現在に至る.
研究のカテゴリーとしては,「エンジンシステムの高効率化=CO2低減」分野として,光応用計測,噴霧・燃焼研究,数値解析・モデリング研究がある.またCO2フリー分野として広範囲の燃料研究がある.さらに近年注力している「カーボン・ニュートラルに向けたLCA解析」分野として,再生可能エネルギーシステム研究,次世代トランスポーテーション最適化研究,サステイナブル・エネルギー・デザイン研究がある.
これまでの研究テーマの主たる対象は,ディーゼル機関およびガソリン機関における燃焼過程,すなわち,燃料の微粒化,蒸発,混合気形成,燃焼,微粒子生成である.実験は高圧容器,高温高圧容器,急速圧縮膨張装置,単気筒機関を用いて,大気圧下から高温高圧下までの幅広い条件において行ない,超高解像度撮影および高速度撮影,レーザ光減衰法,レーザ誘起蛍光法,レーザ誘起エキサイプレックス蛍光法などにより諸情報を得る.得られた情報に種々の画像処理を施して真情報に近い形に変換し,これからモデルを作成してシミュレーションプログラムに付加することにより,諸現象の数値予測を行なっている.具体的な研究項目分野は,噴霧特性関連,壁面衝突噴霧のモデリング,キャビテーション関連,減圧沸騰噴霧過程のモデリング,噴霧・燃焼過程のレーザ計測関連,燃料設計手法に基づく噴霧燃焼最適化関連,エンジンスプレー微粒化と多成分燃料蒸発モデル関連,すす生成過程の反応動力学解析関連,水素ディーゼル/水素エンジン関連,バイオディーゼル・バイオガス燃料関連,エンジン制御・システム評価関連,減圧沸騰CVD関連などである.
近年では,持続可能な社会システム構築のための,種々の街づくり実証プロジェクトへの参画,再生可能エネルギーの最適化や廃棄物循環型エネルギー再生低炭素社会システムデザインの提案研究,さらにこれからの低炭素交通体系のグローバルな調査と体系的LCA解析研究などにも注力している.
(2022.3  千田二郎 ・ 松村恵理子)

What's New

・第33回微粒化シンポジウム(2024年12月17日-18日 広島国際会議場)

M2の赤石亘平さんが「直接噴射式火花点火機関用ノズル内部の流動を考慮した新規モデルによる噴霧形成過程のシミュレーション」
M2の佐藤翔さんが「レイリー散乱法を用いたヘリウム噴流の濃度分布計測」
M2の中田悠希さんが「ディーゼル機関における潤滑油膜壁面を想定した噴霧壁面衝突モデルの検討」
というタイトルで発表します。

・第35回内燃機関シンポジウム(2024年12月10日-12日 九州大学医学部百年講堂)

M2の高須賀蓮さんが「日本におけるカーボンニュートラル燃料を使用した自動車のライフサイクルGHG排出量予測」というタイトルで発表します。

・第62回燃焼シンポジウム(2024年11月25日-27日 大阪国際会議場)

M2の山本瑞樹さんが「高負荷運転時におけるバイオディーゼル燃料の燃焼・排気特性に関する研究」というタイトルで発表します。

・2024年 自動車技術会秋季大会(2024年10月23日-25日 仙台国際センター)

M2の石黒智大さんが「筒内直接噴射式火花点火機関における筒内流動を想定した条件下での壁面衝突噴霧特性」というタイトルで発表しました。

・2023年度 機械学会エンジンシステム部門賞の「功績賞」を千田二郎先生が、
「研究業績賞」を松村恵理子先生が受賞されました(2024年9月9日)。

「功績賞」は部門に関連する学術、技術、国際交流などの分野における業績ならびに部門活動への顕著な貢献に対して、また「研究業績賞」は部門に関連する学術分野での顕著な業績に対して贈られる賞であり、愛媛大学で開催された機械学会2024年度年次大会で授賞式が行われました。

功績賞授与式の様子 研究業績賞授与式の様子

・千田二郎先生が「Lefebvre Award」を受賞されました(2024年6月25日)。

Lefebvre Awardは、噴霧および微粒化の分野に対する顕著かつ継続的かつ奨励的な貢献に対してILASS (Institute For Liquid Atomization And Spray Systems)より授与される大変名誉ある賞であり、上海で開催されたICLASS-2024で受賞式が行われました。

ICLASS-2024受賞式