第60回中日理論言語学研究会のご案内

2023年12月20日
中日理論言語学研究会 事務局 星 英仁




歳晩の候、皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。 
中日理論言語学研究会では、第60回を記念して、下記の通り、研究会を開催いたします。
ご多忙の時期とは存じますが、多くの方々のご参加をお待ち申し上げます。



2024年1月21日 (日) 午後13:30から17:30まで


会場:同志社大学大阪サテライト・キャンパス
   〒530-0001 大阪市北区梅田1-12-17 JRE梅田スクエアビル17階 
   TEL:06-4799-3255
アクセス:https://www.doshisha.ac.jp/information/campus/access/osaka_o.html

参加方法:参加を希望される方は、下記のURLまたは添付したQRコードにアクセスし、
2024年1月14日 (日)までにFormsにて参加申込書をお送りください。

Forms URL:https://forms.office.com/r/SwYxyrmwPF


※対面のみの開催となります。申し込み人数が教室定員(54名)に達した場合、参加をお断りさせていただく場合がございます。あらかじめ、ご了承いただけたらと存じます。 ご理解・ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。



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第1部 記念講演 13:40-14:40

 

講演者: 郭鋭(北京大学)

「制約格配置的語義、語用因素」
概要:
句子中名詞短語標記為[口+那]一種格,主要由名詞短語相対于謂詞的語義角色決定。核心格的常規格配置為:施事ー主格,受事ー賓格,与事ー与格。多数語言主要采取這種常規的格配置系統,但有的語言采取偏離這種常規的格配置,如把不及物動詞的唯一論元与及物動詞的受事用相同格標記編[石+馬];日語、韓語、コ語等語言則存在施事与格化和受事主格化等特殊格配置。格配置受到動詞的自主性、持続性、動作性強弱,事件的意願性、時体、慣常性、肯定/否定,論元的生命度、自控度、新旧信息等因素影響。這些因素可帰結為論元的施事性、受事性的強弱。可以用論元施事性/受事性強弱差異対格的昇級和降級把作通格現象、施事与格化、受事主格化、受事旁格化等各種格配置現象作統一的解釋。


第2部 記念シンポジウム「中日対照研究から何が見えたのか」14:50-17:30
(発表時間20分、質疑応答10分)

 


発表者(敬称略)及び題目・要旨:

講演1:  彭 広陸(北京理工大学)

「中国語教科書における「視点」のあり方―日本語との対照を通して―」
概要:
認知言語学の発展にしたがって「視点」に関する研究がますます脚光を浴びるようになっている昨今であるが、更なる多角的アプローチが必要になることは言うまでもない。発表者は、2008年に「中国語は視点移動型の言語であり、日本語は視点固定型の言語である」という仮説を立ててから一連の論文を発表してきたが、本発表も、その一環として、外国人向けの中国語教科書を対象に、会話文における「視点」のあり方に焦点を絞ったうえで、日本語との対照を通して、中日両語における「視点」の相違を究明することを目的とするものである。具体的には、指示詞の用法、主語の使用・不使用、移動動詞の使い方などを中心に考察を進めていく。


講演2: 鄭 雅雲(京都大学)

「日本語との対照から見えてくるものー台湾華語のモーダル助動詞[有(you)]の「過去性」ー」
概要:
テンス・アスペクト・モダリティは互いに異なる概念であるが、同一の言語形式がこれらにまたがる複数の意味や用法をもつ(ように見える)ことは珍しくない。日本語の主節末尾の「た」は、過去や完了などの時間的意味だけでなく、発見に代表される何らかの話し手の態度を表わす場合もあると言われている。台湾華語の助動詞「有」も、或るときは過去や結果状態などの時間的意味を、或るときは強調・肯定などの話し手の態度を示すように見える。この発表の第一目的は、日本語の「た」の分析を参考にしつつ、台湾華語の助動詞「有」の時間的意味とモーダル的意味のつながりを考察することである。そして、日本語の「た」と台湾華語の「有」にみられる諸意味・用法のつながりについて、その類似点と相違点を探ることがこの発表の第二の目的である。


講演3:  雷 桂林(桜美林大学)

「中国語と日本語における不定語使用のメカニズム」
概要:
本発表では中国語と日本語における不定語使用のメカニズムについて考察する。日本語の不定語は「何かご用ですか。」のように問いかけに用いやすいのに対して、同じく不定語を用いた中国語の“#Ni有什麼事ma?”は相手を突き放すなどのニュアンスを伴う。これは、事態を空間に位置付ける中国語と、時間に位置付ける日本語の違いによるものと発表者は考える。テンスのない中国語では、“這、我、ni”に代表される〈眼前の空間・視界内〉と“那、他”に代表される〈眼前でない空間・視界外〉という区分が存在する。不定語は後者となる。そのため、目の前の文脈に用いる場合、知っていながらわざわざ訊ねる、突き放すなどのニュアンスを生じるのである。一方、テンスを有する日本語は、空間上の制約から解放されやすいことから、話し手の視点が優先されることがある。日本語の不定語は、話し手領域でもなく、聞き手領域でもなく、それ以外に該当される。そのため、「あのう」という発語同様、聞き手領域に立ち入らないことを表し、一種の前置きのような機能を持つことが可能である。


講演4:  町田 茂(山梨大学)

「日本語から見た中国語の「中国語らしさ」」
概要:
中国語の特徴として、従来、形態変化が無い、テンスを持たない、文の定義が難しい、などの点が指摘されてきた。本発表は、こうした負の側面ではなく、中国語は何を持っているのか、という正の側面に着目する。現実の発話において、中国語の名詞には数量表現が、性質形容詞には程度副詞が、動詞には様々な状語がしばしば付加される。また、短い文の使用範囲は限定的で、疑似現在からの現場報告では連動構造や「長句」が多く用いられる。この背景には、広義のmoodに応じてrealityのある表現を選択するという動機付けが存在し、この統語論を越えたもう一つの緩やかな文法規則の存在が「中国語らしさ」の根源になっていると考える。
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