第61回中日理論言語学研究会

日 時:2024年05月19日(日)
開催方式:zoom(オンライン)


ご報告:

関係者の皆様へ: 先にご案内させていただいた第61回中日理論言語学研究会は5月19日(日)、同志社大学大阪サテライト・オフィス及びZoomオンラインにおきまして35名の方々にご参加いただき、成功裏に終わりましたことをご報告申し上げます。

「从語言接触的角度観察混合語的形成模式(Observing the Formation Patterns of Mixed Languages from the Perspective of Language Contact)」というテーマをめぐり、シンポジウム形式で研究発表を行いました。冒頭で、沈力氏の挨拶から始まり、テーマの重要性と本研究のいきさつについて三人の講演者と参加にお話をしていただきました。
 徐丹氏は「西北漢語里的第三人称代詞的領属后綴」を中心に、西北地域(一部)の漢語には「名詞+三人称属格(=彼・彼女の名詞)」の用法が観察されることを報告しました。その用法はツングース語族とモンゴル語族と突厥語族が異なる時期に漢語への影響によって引き起こされた結果だと指摘した上で、現在陝西・山西北部で見られた「名詞+三人称属格」の用法は甘粛省で見られた上記の用法よりもっと古い時期に形成された用法であることを力説しました。
 陳保亜氏は「語言接触不同方向引發的不同演変」を中心に、A言語とB言語が類似している場合、両言語は同源関係なのか接触関係なのかという問題について、両言語には共通の基礎語彙(核心詞)の比率が高いほど、両言語は同源関係の可能性が高く、接触関係の可能性が低いというモデルを提案し、漢語とTB諸語、またはTai-Kadai諸語とAustronesian諸語はそれぞれ同源関係であるが、漢語とTai-Kadai諸語は類似度が高いが、接触関係であることを報告しました。
 竹越孝氏は「従文献看漢語与阿爾泰語的語言接触ー“漢児言語”及其后裔」を中心に、系動詞「是」、副詞「便」と「就」などの例を挙げて考察し、その結果、東北地域で使用されていた漢児言語(変体漢語)は深くアルタイ諸語の影響を受け、且つどの時代にも観察されうることを指摘しました。

第61回は国際シンポジウムにふさわしく、会場からもzoomからも質問やコメントで大いに盛り上がった会となりました。次回の第62回中日理論言語学研究会は、9月21日(土)に開催予定です(日曜日ではなく、土曜日に開催いたします)。詳細は追ってご連絡させていただきます。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

それでは、今後ともご指導・ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。




<発表者及び発表題目(敬称略、順不同)>
(発表概要(PDF)を公開いたします)



徐 丹(Johannes Gutenberg-Universitat Mainz):
「西北漢語里的第三人称代詞的領属后綴」(PDF)


陳 保亜 (北京大学):
「語言接触不同方向引發的不同演変」(PDF)


竹越 孝(神戸市外国語大学):
「従文献看漢語与阿爾泰語的語言接触ー“漢児言語”及其后裔」(PDF)





※著作権は発表者にあり、引用される場合「中日理論言語学研究会第61回研究会発表論文集」を明記すること