第59回中日理論言語学研究会

日 時:2023年09月24日(日)
開催方式:zoom(オンライン)


ご報告:

関係者の皆様へ: 先にご案内させていただいた第59回中日理論言語学研究会は9月24日(日)、同志社大学大阪サテライト・キャンパスおよびZoom オンラインにおきまして45名の方々にご参加いただき、成功裏に終わりましたことをご報告申し上げます。


丸尾誠氏は、「中国語の動補フレーズ“V壊了”の用法」を中心に、行為や結果に関わる成分との関係を念頭に、“V壊了”の形を用いて表される悪影響という概念について様々な用例を示しながら考察を行いました。李佳梁氏は、中国語における運搬動詞+方向補語+目的語+完了標識の組み合わせについて、 A「運搬動詞-(完了標識)-目的語-方向補語」、B「運搬動詞-方向補語-完了標識-目的語」、C「運搬動詞-方向補語-目的語」の3つのパターンを設定し、これらが常に交替可能ではないことと、それぞれの使用傾向を明らかにし、そのような使用傾向が形成する原因について議論しました。蔡維天氏は、中国語の コピュラ文における「念力転移」(force shift)の現象を中心に考察しました。念力転移とは、元々は「君はだれ?」という質問文が「君は大した人物ではなく、普通だよ」という軽蔑な意味に転じることを指します。この現象は本来語用論的な現象ですが、蔡氏は統語構造において話者の心的態度を表す演算子 (Operator)を仮定することによって説明できると提案しました。
フロアからも多くの質疑がなされ、大いに盛り上がった会となりました。次回の第60回中日理論言語学研究会は、来年1月21日(日)に開催予定です。開催の形式も含め、詳細は追ってご連絡させていただきます。皆様のご参加を心よりお待ちしております。

それでは、今後ともご指導・ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。




<発表者及び発表題目(敬称略、順不同)>
(発表概要(PDF)を一部公開いたします)




丸尾 誠(名古屋大学):
「中国語の動補フレーズ“V壊了”の用法について―「何」が「どう」悪くなるのか―」(PDF)


李 佳梁 (東京大学):
「既実現の運搬事象の言語化について―語順と“了1”を中心に―」(PDF)


蔡 維天 (台湾国立清華大学):
「談“是”字句中疑問念力的移轉現象」(PDF)






※著作権は発表者にあり、引用される場合「中日理論言語学研究会第59回研究会発表論文集」を明記すること