A-10 Legendre 多項式

A-10.1 Legendre 方程式

次のような方程式を Legendre 方程式という。

 A10-1

A-10.2 m = 0 の場合

初めに m = 0 の場合を考える(Legendre の微分方程式)

 A10-2
次のように,解が級数で与えられると仮定する。
A10-3
P0(z) の微分を級数で書いてみる
 A10-4
 A10-5
これを実際に方程式に代入する
2a2 +6a3z +12a4z2 +... +(n + 2)(n + 1)an+2zn +...  
    -2a2z2 -... -n(n - 1)anzn -...  
  -2a1z -4a2z2 -... -2nanzn -...  
+ca0 +ca1z +ca2z2 +... +canzn -... = 0
書き直せば
 A10-6
z が変化してもこの等式が常に成り立つためには, z の各次数 n について係数が常にゼロでなければならない。
A10-7
従って,次の漸化式が導ける
A10-8
ところで,この漸化式に従う無限級数は発散する。(z のとりうる範囲は-1 < z < 1 である。)
これは,波動関数の性質としては適当でない。そこで,次のように c を選ぶ
A10-9
l を方位量子数という
さらに, l が偶数ならば a0 = 1, a1 = 0 として
A10-10
l が奇数ならば a0 = 0, a1 = 1 として
A10-11
このようにすれば, Pl0(z) は無限級数ではなく有限次数 l の多項式になり,発散は生じない。

この多項式 Pl0(z) は次の Rodrigues の公式から作ることもできる

A10-12

A-10.3 m≠0 の場合

次に m /= 0 の場合を考える
m = 0 の Legendre 方程式を|m|回微分する

A10-13
 A10-14
整理すると
 A10-15
 A10-16
両辺に (1 - z2)|m|/2 をかけてさらに整理する
A10-17
A10-18
この方程式は目的の方程式に他ならない
つまり, m /= 0 の場合,次の多項式が目的の方程式を満たす
 A10-19
Pl0(z) は l 次の多項式なので, l 階微分までが値を持つ
A10-20

演習問題

  1. Rodorigez の公式で与えられる Pl が, m = 0 の場合の Legendre 方程式を満たすことを示せ。