A-9 極 座 標

A-9.1 球 座 標

極座標は,ベクトルを大きさと基準軸からの角度で表現する座標系である。


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まず,速度ベクトル r の大きさは r である。そして, z 軸と r とのなす角を h とする。

A9-1
ベクトル r の xy 面への投影を rxy とすれば,その大きさ rxy
A9-2
次に x 軸と rxy のなす角を f とする。
A9-3
A9-4

変数の範囲は

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A9-6
A9-7

次に, r, h, f を x, y, z で表しておく。

A9-8
A9-9
A9-10

これを用いて前節の計算を行う。すなわち

A9-11
A9-12
A9-13
よって
A9-14

この dt については,次のような考え方もできる。
dt は,位置を (dr, dh ,df) 変化させてできる直方体の体積である。
dr の変化に対しては,辺の長さはそのまま dr である。
しかし, dh の変化に対しては,辺の長さは rdh となるはずである。ここで h はラジアンを単位にしている。
また, df の変化に対しては,辺の長さは sinhdf である。このような三辺を持つ直方体が dt = dxdydz に対応しているはずである。
直方体の体積から式 (A-9.14) がでる。


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さて,ベクトルの微分演算子は次のようになる。

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 A9-16
 A9-17
 A9-18

演習問題

  1. 三次元で球座標を用いて e-r を全空間で積分せよ。
  2. 三次元で球座標を用いたとき,デカルト座標における偏微分は次のようにかける。
    A9-19
    A9-20
    A9-21
    これを用いて式 (A-9.17) を証明せよ。

  3. 三次元で円柱座標は次のように与えられる。
     A9-22
    1. 変数 r, h, f はどのような範囲の値をとるか。
    2. dt はなにに等しいか。
    3. ベクトル微分演算子 \~/ はどのようにかけるか。
    4. Laplacian  \~/ 2 はどのようにかけるか。