第5章 波の運動 その2




さて、次は弦のたわみについて、もっと微小な視点から見ていこう。
左の図を見てほしい。赤はφの直線を、青はsinφの曲線をあらわしている。
φの値が大きくなればなるほど、両者の差は大きくなっていくが、もしφがとても小さい値であったとき、両者に差はほとんど見られない。
つまり、角度φがとても小さな値であったとき、

という式があてはまる。



同じことを、今度はcos についても考えてみる。cosφと1の値は、φの値が小さくなればなるほどほとんど差がなくなってくる。
cos0 = 1という式を覚えている人も多いと思うけど、0に近くなればなるほど1に近くなるのは当たり前のことだね。
cos に関しても、角度φがとても小さな値であったとき

という式が当てはまる。


ところで、式に出ているだけれども、これは「ほぼ等しい」という意味で、この3つは同じ意味を持つ。
3番目のやつは、高校の数式でもおなじみだね。物理化学の時間ではを用いるので混乱のないよう。

さて。上記の2つを踏まえて、式を変形していこう。



 これは、上の式と同じ、この式は
こう書き直すことができる。分母に1をつけただけだよ。
上の二つの条件を使うと、こう書き直すことができる。
これは高校の数学でもおなじみだね。

つまり、 と書き表すことができる。



さて。ここから 4章 で考えた下向きの力について解いていこう。
今、波の関数をf(x)とする。f(x)とは、y=0の位置からどれだけ弦が動いたのかをxを用いてあらわしたもの。つまり、y軸での変化だね。

高校の時に出てきた式として、
という式があるけれども、それを応用しよう。


4章の図を、もう一度載せておく。


4章 で出題した、下向きの力は
と表すことができる。 sinはtanに変換することが可能になったので
とかける。

ここで、φはx = x+dx, θはx = xの時の弦の角度であったので(2つの変数が1つで表示できるところがPOINT)
となる。1階積分をf'(x)と表すことにすると
となる。

本来、dxは微小な領域で(上の図ではえらいデカクなっているが)、本来、dx→0の極限の状態を考えないといけない。
この式のTにdxをかけ、極限の部分をdxで割ってみよう

さて、微分の定義から、
ということができる。
と書くことができるから、結局
と書くことができるわけだ。


問題 : 高校のときに習ったNewtonの第2法則を覚えているだろうか。
     今回の問題は、それがヒント。
     u(x,t) が,ある瞬間 t = t で, x = x における y 方向への変位であるとする。
     (つまり上の式で、f が u に置き換わったと思ってほしい)

     弦にかかる力は次のどの式で表せるだろうか。    但し、m は弦の質量を表す。
  @2u(x,-t)-m    @t2      @u(x,t)m  --------     @t  mu(x,  t)      integral      tm     u(x,t)dt    0