-感覚統合とは...?-
私たちは視覚、聴覚、触覚などのさまざまな感覚を通じて日々生活をしていますが、その感覚情報処理の過程には異なる感覚間の情報の相互作用が存在します。
この現象は感覚統合と呼ばれています。
この働きにより、私たちは周りの世界を効率よく学習し適応するために役立つと考えられていますが、一方で現実の物理世界には存在しない錯覚を引き起こすことがあります。
(視聴覚統合現象によるダブルフラッシュ錯覚が有名です)
このような現象を引き起こす感覚統合現象に関して、私たちは自由にテーマを定めて研究を行っています。
-風を模した音刺激が触知覚に与える影響-
蚊が耳元を飛んでいるときの音を聴いて、耳元や首筋がぞわそわする経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか?。
また、ヒトの頭部を模倣した特殊なマイクの耳を撫でた際の音を聴くと、与えられているものは音刺激だけにも関わらず、あたかも耳を触られたようなぞくぞく感が感じられると言われています。
(YouTubeなどのプラットフォームにおいて “ASMR” という名前のジャンルが知られています)
私たちはこの現象を、音刺激が触知覚に影響を与える「聴触覚統合現象」であると仮説を立て、そのメカニズムの解明を目指しています。
一般的に、感覚統合現象には、与えられた各感覚刺激の「時間一致性」と「空間一致性」が重要であると考えられています。
私たちは、日常的に耳で聴くと同時に、耳で感じている「風」を対象に研究を行っています。
ヒトを対象に心理実験を行い、
・ 耳に対して吹きかかる風を模倣した音は、風が吹かれた際の触知覚を誘発するのか、
・ また、各刺激モダリティ間にどのような量的な関係があるのか
を、検証しています。また、
・触知覚の誘発に関連のある音刺激の音響特徴は何であるのか
も、音響解析を行い調べています。
