研究紹介Research

Last updated May 29, 2019

コウモリ班 Bat Team

    野外班 Field Group
    混信班 Jamming Group
    行動モデリング班 Behavior Modeling Group
    ヒトエコーロケーション班 Human Echo-location Group
    ロボット班 Robot Group

ヒト・ネズミ班 Human / Gerbil Team

    情報統合班 
    ヒト・ネズミコミュニケーション班 
    赤外光レーザー班 
    高次聴覚・視覚認知班 
    楽器演奏・音楽効用班 
    オノマトペ・赤ちゃん班 


コウモリ班 Bat Team

野外班 -野外におけるコウモリの音響ナビゲーション戦略を解明しよう!-



自然環境下である野外では,実験室内では決して見ることができないコウモリのダイナミックな飛行と超音波利用を垣間見ることができます. 野生のコウモリが生きるために行う賢い戦略に学び,その際の音響ナビゲーションのアルゴリズムを解明するために,野外では主に三つの実験を行っています. 最適採餌に関する研究では,獲物捕食効率を最適にしようと振舞うという理論(最適採餌理論)の視点から,餌場における効率的な飛行ルート選択と音響センシングについて,またコウモリ同士の協調的な振る舞いについても研究を行っています. 群行動に関する研究では,大群となって飛行するコウモリが限られた空間をどのようにシェアしながらぶつからずに採餌を行っているのか,そのための超音波利用と飛行制御のメカニズムに迫ります. 大規模ナビゲーションに関する研究では,コウモリが大規模空間にて何を手がかりにして移動し,そしてどのように餌場を探すのか,バイオロギングと呼ばれる手法を用いて調べています. これらの野外実験で得られた仮説を,数理モデルを用いて検証し,その合理性の評価も行うことで,効果的なコウモリ・アルゴリズムとして工学分野へ応用することを目指しています.


混信班 -コウモリの混信回避の秘密を解明しよう-


コウモリは超音波を発し、その反響音(エコー)を聞くことにより、周囲環境を把握して飛行しています。 コウモリが発する超音波は種ごとに似通っているにもかかわらず、洞窟などの狭くて暗い空間においても衝突することなく飛行を実現させています。 たくさんのコウモリが飛行する環境(=音響的な混信環境)から、どのようにして自身に必要な音のみを聞き分けているのか… 私たちのグループはコウモリが持つ優れた超音波信号の分離・聴取能力に着目し、時間長や周波数などの音響面から検討をしています。 コウモリの混信回避能力を検討するための行動実験として、2種類の観点から研究を進めています。 (1)観測室内で複数のコウモリを同時に飛行させ、個々のコウモリが発する超音波の音響面の検討を行う。 (2)観測室内にスピーカを設置し、コウモリの超音波に似た音の再生環境下で飛行させ、コウモリが発する超音波の音響面の検討を行う。 コウモリの頭部には自作の小型ワイヤレスマイクロフォンを搭載し、コウモリが実際に聞いている音をリアルタイムで録音できるような実験系を構築し、検討を進めています。 これらの実験を並行して行うことで、混信に強い信号・ 受信技術等、コウモリの持つ優れた混信回避能力を解明し、通信やロボットの群制御の面等、工学分野での新たな知見を得ることを目指しています。


行動モデリング班 -障害物環境下で飛行するコウモリの"音による視線"計測-


ソナーによるセンシングでは,時間的に離散な空間把握を強いられ,さらに,超音波パルスの指向性(“音による視野”)により一度のパルス放射で把握できる領域が制限されます. 特に,簡便なデバイス構成のため,単送波器(口,又は,鼻)でセンシングを実現させるコウモリにとって,飛行状況に応じた適切な方向へ“音による視線”(超音波パルスの放射方向)を選択することは,最も重要なソナー戦略の一つであると考えられます. そこで,障害物環境下で飛行するコウモリのパルスの放射方向や,センシングのタイミングから,コウモリの効率の良い周囲空間のスキャニングプロセスを解明し,アルゴリズム化を図る研究が行われています. これに加えて,先行研究で報告されている,我々ヒト等の視覚優位動物を用いた視線計測と,コウモリのパルス放射方向の計測について比較・追究することで,音によるセンシングの優位点,本質を理解する検討も進められています.


ヒトエコーロケーション班 -コウモリが聴いている音を実際に聴いてみよう-


コウモリのエコーロケーションに関する研究は着実に進んでおり, コウモリの超音波パルスは,目的地への移動や獲物の捕獲など様々な行動目的に合わせてより効果的な構造へと柔軟に変化させていることが行動実験から明らかになっています. しかし,現状の研究課題として, 音響情報のみで周囲の状況をイメージングする機構に関する研究がほとんど未解明であることが挙げられます. 一方, 視覚障害者の中には周囲の障害物を視覚的手掛かりに頼ることなく知覚できることが報告されています. このことから,ヒトにもコウモリのエコーロケーションに似た能力が備わっているのではないかという仮説が立てられています. そこで物体の形状や材質の弁別を行う際に必要な立体音響空間情報を獲得する装置として作成されたものとしてDummy headがあります. これを使いコウモリの生物ソナー機構の研究に携わっている研究者がエコーロケーションを体験し,音響イメージの言語化や検知能力の計測を通じて,コウモリの生物ソナー機構解明の新たな知見獲得を最終的な目的としています. 本研究は産業技術総合研究所(AIST)および神戸市立工業高等専門学校と共同で行っています.
AISTの研究内容はこちらのリンクをご参照ください
(http://staff.aist.go.jp/ashihara-k/pan_top.html)
Dummy headについて詳しくはこちらをご参照ください
(http://www.geocities.jp/miniature_dummyhead/index.html)
Dummy headによる収録音はこちらからヘッドフォンまたはイヤフォンでご視聴ください
(https://www.youtube.com/watch?v=xNsNcInNEzA)
神戸市立工業高等専門学校の研究内容はこちらのリンクをご参照ください
(http://www.kobe-kosen.ac.jp/~nagatani/)



ロボット班 -コウモリの音の使い方を学び,ロボットのセンシングシステムへ応用しよう-


私たちの研究室ではこれまでに,エコーロケーション飛行中のコウモリの音声計測を行うことで,現在の工学ソナー技術の発想にはなかった,コウモリ独自のユニークな超音波センシングの使い方を明らかにしてきました. コウモリは,周囲環境に応じて超音波を照射する方向(音による“視線”)や,音の大きさ・周波数構造などを合理的にアクティブコントロールすることで効率良い空間把握を実現させ,タスク(獲物の追尾や,障害物回避)や地形環境に左右されることなく柔軟で優雅な飛行を実現させていると考えられます. さらに,コウモリはこれらのセンシングを“鼻または口”(スピーカー)と“両耳”(2つのマイクロホン),および,豆粒ほどの大きさの“脳”(CPU)と非常に簡潔なセンシング機構で実現させています. そこで,現在私たちの研究チームでは,これまでのコウモリの計測に加え,あらたに『コウモリのセンシング機構・システムを真似た自律走行ロボット』の開発に取り組んでいます. 既存の人工ソナー技術に“コウモリの生きものらしいセンシングのテクニック・アイデア”を実装することでどのような効果が得られるのか? 今まで全く行われてこなかった評価・検証実験を行うと共に,コウモリのセンシングのアイデアの真髄に迫るコウモリとの比較・検証実験も行っています. 最終的には,自律行動型ロボット用の空間知覚センシングシステムとして汎用性のあるアイデアとして提供するために,コウモリのセンシング戦略の数式化,アルゴリズム化を図っていきたいと考えています.
コウモリにみられる,“リアルタイムな周囲状況の判断”に優れた“チープデザイン設計”による“スマートなアクティブセンシングシステム”の実現を目指し,日夜研究が推し進められています.


ヒト・ネズミ班 Human / Gerbil Team

情報統合班 -視覚, 聴覚統合現象からのアプローチ-


錯覚現象には視覚と聴覚が統合されておこる現象があります. その一つに光が1回点滅し,同時に音が2回提示された場合,光が2回に知覚されるダブルフラッシュ現象が報告されています. これは聴覚情報による視覚情報の誘発現象であり,脳で視聴覚統合が起きる時に聴覚情報が視覚情報より時間分解能が優れているため,狭い時間幅を知覚することができると考えられています. 実験では明確に1回,曖昧,明確に2回と判断された3種類の聴覚刺激(トーンバースト)と明確に1回,曖昧,明確に2回と判断された3種類の視覚刺激(白色LED)の組み合わせ刺激を用いました。 その際、時間分解能の優劣に関わらず、聴覚情報による視覚情報の誘発現象が生じるかどうかを確認することを目的とします. 今後の展望として,今回は時間分解能の優劣のため生じる錯覚現象と空間分解能の優劣のため生じる錯覚現象を比較し,共に錯覚が生じやすいヒト,一方の現象でのみ錯覚が生じやすいヒト,共に錯覚が生じにくいヒトの間で特徴が見られないかをMRIを用いて実験していこうと考えています.

ヒト・ネズミコミュニケーション班 -スナネズミを用いた聴覚増幅機構に関する探究-


スナネズミ(Meriones unguiculatis)はコミュニケーション音声を用いることが分かっています. スナネズミは主に他個体とのコミュニケーションでは超音波領域に属する音声を使いますが, 超音波領域の閾値はそれよりも低周波領域の閾値より高いことが分かっています. つまりスナネズミの耳はコミュニケーション音声が聞こえにくいのです. しかしコミュニケーション音声はスナネズミにとって意味を持つ音声なので, よく聴く必要があります. 例えば他個体の音声に対して集中して聴いているのではないかということが考えられます. そこでスナネズミが集中して音を聴くと, 音を脳に伝える器官である蝸牛の増幅機構が働くのではないかと考えました. 音に対して集中した際の蝸牛における増幅機構を検討することを目的とし, 実験を行いました. まずスナネズミに音に集中させるためには音に意味を持たせ, 音に罰を関連付ける訓練を行うことにより, スナネズミが音に対して何らかの行動をするようになると考えました. その時スナネズミは音に対して意味を持ったとみなすことができ, 音に対して集中したと定義しました. 蝸牛の働きに対して, 蝸牛マイクロフォン電位(Cochlear microphonics: CM)を指標として増幅機構を調べました. 蝸牛マイクロフォン電位とは内耳の聴覚器官である蝸牛に到達した音や音声の周波数,強さ,時間の3つの情報を忠実に再現している電気的な信号です.

赤外光レーザー班 -光刺激を用いた蝸牛神経を直接刺激する補聴器の開発-


私たちの研究室では, 赤外光を蝸牛神経に照射することで活動電位を誘発する研究を行っています. 先行研究で, 赤外光を神経に照射することで活動電位が誘発されることが報告され, 電気刺激に代わる新たな刺激法として注目されています. 電気刺激で神経を刺激する際には刺激源である電極を組織に直接接触させる必要がありますが, 赤外光を用いた光刺激は刺激源である光ファイバーを組織に直接接触させること無く神経を刺激することができます. 私たちは赤外光の非接触的に神経を刺激することのできる性質を活かして, 蝸牛神経を直接刺激する補聴器を開発することを目標としています. 従来用いられている蝸牛神経を電気刺激によって刺激する人工内耳は, 体外だけでなく体内にも機器を埋め込む必要があり, 侵襲性の高い手術を行う必要ですが, 赤外光を用いて蝸牛神経を刺激する補聴器は光ファイバーを組織に接触させる必要がないので, 手術すること無く蝸牛神経を刺激することができます. 私たちのスナネズミを用いた研究で, 赤外光を用いる刺激法は伝音性難聴に対して有効であること, 蝸牛神経を経鼓膜的に刺激することが可能であることが分かり, 蝸牛神経を直接刺激する補聴器の実用化に向けて研究を行っています.

高次聴覚・視覚認知班 -注意を制御する意識の解明-


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楽器演奏・音楽効用班 -感覚運動制御と音楽の医学応用-


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オノマトペ・赤ちゃん班 -音が喚起させるイメージ,音象徴の認知心理学-


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