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 ゼミ紹介・・・・・新入生へのメッセージ
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2011年度3回生へ
浅野ゼミ18期生の案内
新入生・2年生・3年生ゼミのみなさんへ(2006年度バージョン)
以下は、新聞学研究会が06年度社会学部メディア学科の新入生向けに発行するオリエンテーション号に寄せた私の
メッセージです。講義要綱、シラバスとともに、ゼミ選びの参考にしてください。11年度3回生への浅野ゼミ案内はこちら

略歴


浅野健一(あさの・けんいち)    

1948年、香川県高松市生まれ。66〜67年AFS国際奨学生として米ミズーリ州スプリングフィールド市立高校へ留学、卒業。72年、慶應義塾大学経済学部卒業、社団法人共同通信社入社。編集局社会部、千葉支局、ラジオ・テレビ局企画部、編集局外信部を経て、89年から92年までジャカルタ支局長。帰国後、外信部デスク。94年3月末、共同通信退社。 94年4月から同志社大学教授。

2002年4月から03年6月まで、英ウエストミンスター大学客員研究員。
人権と報道・連絡会(連絡先:〒168-8691 東京杉並南郵便局私書箱23号、ファクス03−3341−9515)世話人。日刊ベリタ(www.nikkanberita.com)記者。

主な著書は『新版 犯罪報道の犯罪』(新風舎文庫)『出国命令 インドネシア取材1200日』(日本評論社、『日本大使館の犯罪』と改題し講談社文庫)、『天皇の記者たち 大新聞のアジア侵略』(スリーエーネットワーク)、『メディア・リンチ』(潮出版)『「報道加害」の現場を歩く』(社会評論社)『抗う勇気 ノーム・チョムスキー+浅野健一 対談』(現代人文社)、『対論 日本のマスメディアと私たち』(野田正彰氏との共著、晃洋書房)。
監修ビデオに『ドキュメント 人権と報道の旅』(製作・オーパス、発行・現代人文社)がある。資格;1968年、運輸相より通訳案内業(英語)免許取得 (了)

新入生に向けて


 4年間、自由な時間を使って、自分を高め、信頼できる友人をつくり、自治・自律・自立の同志社人になってほしい。
私は共同通信で22年間、記者として働いた後、12年前に同志社に来た。皆さんと一緒にマスメディアの取材や報道のあり方を調査研究していきたい。

 ライブドアの堀江貴文氏が東京地検に逮捕されると、それまで時代の寵児のように持ち上げてきたメディアは手のひらを返したように彼を非難している。逮捕されたからと行って、全人格を否定するような報道は許されない。有罪が確定するまで無罪を推定されているのだから。

 テレビに出て無責任なことを言っている自称「ジャーナリスト」は国際的な基準ではジャーナリストとは言えない。ジャーナリストは権力や大企業を監視し、声を上げたくても発言の場のない社会的弱者や少数者の立場に立って取材・報道する職業である。

 メディア学科の前身である新聞学専攻は1948年に、大日本帝国が15年戦争でアジア太平洋諸国を侵略した反省から、人権と民主主義の確立のためにはジャーナリズムが正当に機能しなければならないという考えからスタートした。

 新聞・雑誌・テレビなどのメディアを社会科学的に分析して、改善策を探るのがメディア学である。
また、大学の研究教育費の一部(学生1人当たり、年間で10数万円)は、人民の支払う税金によって賄われている。学生にも社会的責任があることを自覚してほしい。
 多くの新入生が将来、メディア界に入って活躍したいと思っているであろう。その夢が実現できるよう私はサポートしたい。

 アジアプレス代表の野中章弘氏や藤岡幸男ABC報道部長は「映像を目指す人こそ活字を読むべきだ」と強調する。本多勝一、本田靖春のノンフィクション、野田正彰『戦争と罪責』(岩波書店)、鎌田慧『自動車絶望工場』(講談社文庫)。辺見庸『もの食う人びと』(角川文庫)、『いま攻暴のとき』など講談社文庫の3冊。岩瀬達哉『新聞が面白くない理由』(講談社文庫)などがお薦め。
 テレビ・ラジオのニュース番組も見聞しよう。
 英語を完全にマスターすること。ネットでBBCのHPや『ニューヨーク・タイムズ』を読むこともできる。朝鮮語、中国語も重要になるだろう。
 新聞を出す、ネットで発信するとか、実践的なことに取り組んでほしい。メディア関係のサークルに参加するのもいい。これをやったと自己アピールできるような大学生活を送ってほしい。

専門研究内容
 


 ジャーナリズム論、人権と報道、国際関係論、平和学などの分野で調査研究している。「表現(報道)の自由」と「個人や団体の名誉・プライバシー」を両立させること、メディア責任制度論、国際報道・国際コミュニケーション論、東南アジア社会経済論などが関心のあるテーマ。

日本マス・コミュニケーション学会、国際コミュニケーション学会に所属。共同通信社社友会準会員。
研究業績については大学のHPの以下のサイトに出ている。
https://kenkyudb.doshisha.ac.jp/rd/search/researcher/194016/index-j.html

1985年7月に発足した「人権と報道・連絡会」世話人。人権と報道・連絡会のホームページはhttp://www.jca.ax.apc.org/~jimporen/welcome.html

 共同通信の現役記者だった1984年に『犯罪報道の犯罪』を出版。メディアによって人生を破壊された人たちの実態を調査し、彼や彼女たちを支援して、報道被害が繰り返されないような防止策を提言してきた。
 1984年前後に死刑囚から無罪で社会に戻った免田栄さん、斉藤幸夫さんらの報道被害を調査した。松本サリン事件で犯人扱いされた河野義行さんを訪ねて、河野さんが無実と分かるまで支援した。
 1999年にメディアが200日にわたって徹底的に断罪した野村克也氏(現在、楽天監督)の妻、野村沙知代さんに野村さんに手紙を書いて、メディアの不当な攻撃に負けないようにと伝えた。当時沈黙を守っていた野村氏と「週刊金曜日」「創」などで対談。野村氏は33件のメディア訴訟を起し、ほとんど勝訴した。浅野ゼミは今年1月19日、野村氏を招いて、「“サッチー・バッシング”報道の真実」と題した講演会を開いた。
 そのほかイラクで活躍した綿井健陽さんを招いた。共同通信の原田浩司カメラパーソン、芥川賞作家の辺見庸さん(共同の2年先輩)、写真家の長倉洋海さん(同志社OB)らがゼミに来てくれた。
 脳死移植報道をめぐって、厚生省公衆衛生審議会疾病部会臓器移植専門委員会委員 (1999 )を務めた。
私のもう一つの専門は、侵略戦争とメディアである。日本支配下のアジア諸国におけるマスメディアを調査して『天皇の記者たち 大新聞のアジア侵略』(スリーエーネットワーク)を出版した。
 1994年に教員になってからも、インディペンデント・ジャ−ナリストとしてインターネット新聞「日刊ベリタ」(www.nikkanberita.com)、「現代」、「週刊プレイボーイ」、「創」、「論座」、「週刊金曜日」、「救援」、単行本などで取材、表現活動を続けている。
 昨年6月には、サッカーW杯アジア最終予選の日本対朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)戦の第1戦をさいたまで、第2戦をバンコクで取材して、ネットなどで報道した。
 2年前からはインターネット新聞などオルタナティブ・メディアの研究にも力を入れている。オーマイニュースのオ・ヨンホ代表の本の日本語版が昨年3月末、『オーマイニュースの挑戦』というタイトルで、太田出版から出版された。私は日本語版の解説を書いた。月刊「論座」(朝日新聞社)05年9月号の「ブログの実力」特集で、日本でのネット新聞の可能性について書いた。真のジャーナリズムとは何かを考える上で重要だ。
 「オーマイニュース」のコンセプトでネット新聞の立ち上げを構想している。
 放送番組の「やらせ」、権力からの圧力についても調査研究している。NHK−安倍晋三問題を書いた「評論社会科学」(社会学部の紀要)76、77、78号を参照。
 海外の研究者との交流も多い。02年から03年まで、英国のウェストミンスター大学のメディア研究所客員研究員を務めた。英国や北欧を中心とした国々の報道評議会、プレス・オンブズマン制度などメディア責任制度の国際比較研究をしている。
 02年11月、米MITのノーム・チョムスキー教授と対談。03年3月、米ポートランド大で、日本支配下の朝鮮をテーマにした学会で報告した。
 昨年3月、英国の二つの大学で「東アジア民主化とメディア」で発表した。
 University of SheffieldとLondon University。
 今年2月にはニューヨーク市立大学で開催される「イラク、朝鮮とメディア」のシンポジウムで基調講演。
 放送番組にも度々出ている。1985年NHK教育テレビ「テレビシンポジウムいま事件報道はいき過ぎか」、94年テレビ朝日「朝まで生テレビ」、95年TBSテレビ「スペースJ松本サリン報道」、98年TBSテレビ「報道特集スハルト政権危機・強制退去させられた日本人記者」、CNN「This Week in Japan」(しばしばインタビューを受ける)などに出演した。 昨年は朝日ニュースターでJR事故報道について出演した。

 日本の国際社会、とりわけ東アジアにおける役割や憲法問題について、国民的な合意をどう形成するかが今問われており、報道機関の役割は重要だ。日本だけでなく各国のマスメディア企業の“権力広報化”が進み、ジャーナリズム性が弱まっている。こういう時代だからこそ、メディア学に携わるものの責任は重い。

各回生ゼミで何をしているか

★1回生のゼミ

 1回生のゼミは、春期はFYS。履修要項、シラバスを読んでほしい。
 大学教育一年次のはじめにあたり、大学において勉学する態度を涵養し、方法を習得することを目的にする。社会科学の基礎知識を獲得し、自らすすんで課題を立てながら知識を習得する方法を体得し、あわせてメディア学に向かう態度を習得してもらう。
 レジュメの書き方、レポート作成、発表やディベートの基本技法。また取材、調査の依頼書の書き方や送付の方法などを学ぶ。図書館における情報アクセスの方法。データベースの使い方。新聞記事検索など。レポートの作成方法と書き方。新聞記事の読み方。テレビ、ラジオの視聴の仕方。新聞記事を実際に書いてみる。報道番組をつくってみる。ネットで海外の新聞を読む。
 秋期は、ゼミでテーマを決めて、取材して記事を書いて、冊子か新聞にまとめる。05年度は、JR尼崎脱線事故と報道で冊子をつくり、「戦争と平和とメディア」で8ページの新聞(朝日新聞の協力を得た)をつくった。沖縄合宿も行い、普天間基地問題、沖縄戦などを調査した。
 朝日放送と朝日新聞大阪本社への見学。日経新聞整理部記者をゲストに招いた。
 私のゼミは、課題が多くて厳しいということを言う先輩が多いと思うが、ゼミが厳しいのは当り前。講義やゼミが厳しくない名門大学は、日本以外の国にはない。
 報道機関の就職試験は難しいと言われるが、1年生の時からしっかり準備すれば、合格できる。「浅野ゼミはメディア関係の就職には不利」というのも全くの嘘。浅野ゼミからメディアに就職している先輩は、たくさんいる。

★2回生ゼミ

 2年生のゼミでは、メディア学研究の基礎を身に付けてもらう。個人のテーマを決めてもらう。ゼミ全体で共同調査研究を行う。フィールド・ワークを重視する。さまざまな場所に出かけ、人々に会う「取材」をしてもらいたい。
 04年度の基礎ゼミでは、グループに分かれて取材し、前期は「SHOUT 308 〜田辺の中心で○○を叫ぶ〜」を発行。後期は「日本」をテーマにして冊子をつくった。そのほか、NHKアナウンサー、朝日放送報道部長らを招いて話を聞き、新聞の「ひと」欄記事、インタビュー記事を書いた。
 05年度は「ナショナリズム・愛国心とメディア」を共同テーマにして、各個人で研究した結果をパワーポイントで発表し、冊子にまとめた。

★3・4回生ゼミ

 3・4回生のゼミが本ゼミ。卒論を書くための個人研究とともに、ゼミで一つのテーマを決めて2年間いっぱいを使って共同研究を行う。
 これまでに12期ゼミがあるが、その時々の国際関係、ジャーナリズムのあり方を考える共同研究が多い。先輩たちのテーマには、「大震災と報道」「日米犯罪報道比較」「在日朝鮮人とメディア」「少年犯罪とメディア」「雪印事件と報道」などがある。現場で多様な人々に会って話を聞き、自分の目で観察することを重視している。
 「イラク戦争とメディア」を研究した10期生は03年9月NY合宿を行ったほか、豊田直巳、野中章弘両氏らの講演会を開いた。また04年6月にはイラクで拘束された今井紀明さん講演会を主催した。
 「海外から見た日本のメディア」を調べている11期生は韓国合宿を行い、ネット新聞などを調査した。北海道警察本部の裏金問題を追及した北海道新聞デスクの高田昌幸さんと同志社OBGのメディア記者を招いたシンポを開いた。05年 12月、東京の同志社オフィスで、海外メディアの東京特派員を集めてシンポジウムを開催。また新聞学研究会取材で映画「バッシング」の小林政広監督を招いて上映会と講演を行った。
 12期生は「JR尼崎事故の被害者報道」をテーマにしている。犠牲者の出た大学、新聞記者のインタビュー、被害者遺族への取材を控えているサンテレビを調査し、兵庫県警察本部の報道官に聞き取り調査した。05年夏には、高知で合宿して、高知新聞、高知放送の幹部、一線記者から話を聞いた。
 共同研究の成果は、浅野ゼミが毎年発行するゼミ誌『DECENCY』(既に11号発行)に掲載するほか、一般書籍として、『激論・新聞に未来はあるのか』『英雄から爆弾犯にされて』『ナヌムの家を訪ねて』『イラク日本人拘束事件と「自己責任」報道』を出版した。
 韓国での調査をもとにビデオを作成した学年もあった。内外のジャーナリスト、法律家、NGO活動家などをゲストに招くほか、ゼミでさまざまな話題で自由討論も行う。
 浅野ゼミから大学院に進む学生も多い。同志社だけでなく他大学の院に進み、博士号を取得する学生もいる。
同志社で、school of journalismの新しい伝統をつくりたい。

<04・05年度卒業論文の主な題名>

 04年度は「訃報を読み解く」「報道が変えたヒロシマ・サガサキ像」「変化の中にある中国メディア〜SARS報道を通じて〜」「ネタの賞味期限」「五輪報道」など。
 05年度は「事件事故での実名は必要か」「デジタル化と準キー局」「音楽に見る日韓文化交流」「報道写真の改造」「新聞に見る外国人嫌い」「ホームドラマの変遷」「読売に支配されるプロ野球」「日本における市民の放送参加」などである。

 なお、11期生(2006年3月卒業)らは、「朝日新聞」「NHK」「読売新聞」「大広窓」などのメディア界に就職した。

 私に関するさまざまな誹謗中傷があるが、そのほとんどが全くのデマである。メディア学を学ぶ学生は、自分で事実かどうかを確認してほしい。「自分の眼で確かめて判断する」のがジャーナリストの基本。またあるゼミに入れば特定の新聞社や放送局に入れると思う学生は、絶対にジャーナリストになってはならない。入口で不正をする人間が権力の監視者になり、市民の知る権利に応えられるはずがない。
 浅野ゼミを出た学生たちのほとんどは、自分たちの力で、メディア関係をはじめ、さまざまな分野で生き生きとして活躍している。「自治、自律、自立」の精神を持って将来を考えてほしい。

ゼミ全体についてはネットで浅野ゼミのホームページにアクセスしてほしい。http://www1.doshisha.ac.jp/~kasano/index.html
浅野ゼミに関する問い合わせはメール(asanokenichi@nifty.com)、ファクスで。何でも自由に聞いてほしい。


浅野教授インタビュー

■まずはじめに、先生の専門分野を新入生にわかりやすいように教えていただきたいのですが。

 表現の自由と個人や団体の名誉、あるいはプライバシーをどう両立させるかということです。とりわけ、犯罪報道に関わる表現の自由・報道の自由と報道される側の基本的人権の保証をどのように両立させるか、調整させるかの国際比較が研究テーマです。 その他に、ジャーナリズム全般についての取材・報道のあり方、報道倫理の確立。また、国際報道、国際関係とメディアですね。つまり、海外で起きていることをどのように報道するか。特に、東南アジアについての報道を研究しています。国際関係論といってもいいと思います。その三つですね。

■九六年の一大事件といいますか、昨年で一番印象に残った出来事を挙げていただきたいのですが。

 東ティモールの独立運動の活動家であるホルタさんとベロ司教にノーベル平和賞が出たということです。東ティモールはもともとポルトガルの植民地だったのですが、ポルトガルが植民地を放棄した後にインドネシアが一九七五年末に武力介入して、七六年に武力併合したのです。インドネシアの不法な軍事占領が現在も続いているのですが、そこで、独立を求めている東ティモールの人々の運動の中心的な人物であるホルタさんと地元のカトリックのナンバー1のベロ司教にノーベル平和賞が出た。 私は同志社の教授になる前に二二年間にわたり共同通信で記者をしていました。八九年から九二年までジャカルタ支局長を務めていたので、その時に東ティモール問題をずっと取材していました。そういう意味で、最近忘れられていた東ティモール問題が再び国際的に脚光を浴びて、特に日本の東ティモールとの関わりというか、新聞の一面トップを何日も飾ったということで、ある意味で信じられないといいますか、驚いたということで非常に印象に残っています。

■共同ジャカルタ支局長時代にホルタさんとはお会いしておられるのですか。

 いいえ。あの人はオーストラリアに亡命していましたので会っていませんね。ベロ司教とは二回会っています。一回目は八九年にかなり長時間ね、『ニューズウィーク』の記者といっしょにインタビューしました。 それではかなり先見の明があったのですね。 まあ当時日本人記者で他に取材した人はいたのかな。多分私が最初ではないでしょうか。 

■次は、先生の研究で九七年度にどのようなことをされる予定なのかということをお聞きしたいのですが。

 今年は、内外の報道被害者の人たちにじっくり聞き取りをしたいと思っています。特に去年のアトランタ五輪の時にオリンピック記念公園で爆弾事件があって、その第一通報者の警備員の方がアメリカで犯人扱いされたことがありました。それに対してNBCが五〇万ドル、最近慰謝料を支払うというアメリカでも大きな問題になったことがあったので、その警備員の方にインタビューに行きます。 五月下旬には新聞労連のヨーロッパのメディア責任制度視察の旅に同行して、イギリス、ドイツ、スウェーデンの報道評議会・プレスオンブズマン制度の最新事情を調べてきます。それから、新聞労連が二月に報道倫理綱領である「新聞人の良心宣言」を出し、報道評議会を作るということを決め、その一方放送界ではNHKと民放が共同で自主的な苦情対応機関を四月に発足させることが合意された。いよいよ私が一九八四年から提唱してきた、日本で統一された報道倫理綱領を作ってそのうえでその倫理綱領が守られているかどうかをモニターする報道評議会・プレスオンブズマン制度を作るという具体的な第一歩が踏み出されるわけですから、研究者として提言などを積極的にしていきたいと思っています。

■この報道評議会には先生は何らかの形で参加されるとか、そのような話はありますか。

 いいえ、まだ(報道評議会の)メンバーも決まっていないし、それは経営者側の新聞協会と新聞労連が主体的に決めるものですからね。誰が入るか分からないし、僕が入る入らないは関係ありません。日本で最初にやってきた、日弁連といっしょに今まで継続的にやってきた私の責任からいっても、まあ、できてもいろいろな問題が出てくると思いますので、研究者としてアドバイスというかな、特に私の役割は諸外国の実例を示すことと報道された人の立場が十分通るように、理解されるように側面から援助していくことです。というのは、経営者、新聞協会とか強い側を応援する学者はたくさんいますから。私は一般市民の立場に立つ数少ない学者、というより同志社大学以外に他にはいないと思われるわけですから、として制度の健全な発展に何らかの形で協力します。

■今年の一回生のゼミではどのようなことをされる予定ですか。

 一回生ではですね、去年までは一回生のゼミは「文章論」という名前だったのが九七年度から「新聞学実習」という科目に変わりました。これは文章を書くだけではなくて、いろいろなメディアの現場に出かけたり、裁判を見たり、そういうフィールドワークというかな、そういうことをやる予算もついた。あるいは、ゲストスピーカーを呼ぶようなこともできるようになりました。お金が少ないので十分ではありませんけれど、そういうことをやります。 ただ、基本はやはりよく本を読んで、自分で歩いて、取材をして文章化する。あるいは映像化する。そういうことを一年生のうちにやってもらう。それで新聞学のおもしろさというかな、高校までにはなかった新聞学という学問に初めて接するものですから、みんなが新聞学を嫌いにならないように全力を挙げます。

■新聞学を専攻する学生に求めるものといいますか、新聞学専攻の新入生はどういったことをすればいいと浅野先生は考えておられますか。

 新聞学という学問は発展途上で、日本では新聞学という学問がある大学も少ないので、みなさん最初は戸惑うかもしれませんが、外国では一番重要な学問の一つに挙げられていますし、特に民主的な国ではそのように言われています。これは欧米だけではなくて、台湾、韓国、中国では「新聞学」「新聞放送学」と同じ漢字で新聞学という学問が確立されているわけですからね。そういう意味でいえば、発展途上ですが、それだけに一年生の時から世界の最先端をいくような研究ができるんだということで、とにかく、新聞学関係、ジャーナリズム、マス・コミュニケーション関係の本をどんどん読んでもらいたい。そしてそういうことに関わる集会やセミナーがあれば出かけていってほしい。それが基本ですね。 それにプラスして、新聞学以外の本もよく読んで、よく書いて、積極的にやってもらいたい。それで四年間同志社大学の新聞学専攻で学んだということを誇りに思えるように。やはり入学した頃の「入り口」が大事ですから。それで何か疑問に思ったり、新聞学って何だろうとかね、こんなことやって何になるんだろうと思ったときにはいつでも私に連絡してもらいたいですね。いくらでもお話しますよ。 新入生はどのような本を読めばいいのでしょうか。本を推薦していただきたいのですが。 小林道雄さんの「冤罪の作り方」、伊佐千尋・渡辺保夫さんの「日本の刑事裁判」、田勢康弘さんの「政治ジャーナリズムの罪と罰」、書名はいいませんが、本多勝一、鎌田慧、立花隆、佐高信、カレル・ウォルフレン、そして忘れてはならないのは浅野健一の本です(笑)。 とにかく、一年生は僕のゼミに振りあてられるわけですから、僕を選ぶわけでもないですが、教えられている先生の本を読むというのは基本だと思います。別に買う必要はないですから、図書館で借りて読む。いい本だと思ったら買ってほしい。教授の本は最低読んでおいてほしいですね。僕も大学時代は、先生の本はできるだけ読むようにしました。特に専門科目の先生のは。僕の場合は買って読みましたが(笑)。 その先生の言ってることや書いていることが自分の思っていることと違っていてもね、それを読まないと批判できません。読まないで批判する人があまりにも多いですよね。読まないで論評する人、前書きだけちょって読んで論評する人が多い。そういう人が新聞学へ来てもね・・・。あと加えるならば玉木明さんの「ニュース報道の言語論」を読んでほしい。まあ、本屋さんに行って、ジャーナリズム、マスメディア関係の本を選んで読んでほしいですね。酒を飲む金があるんだったら本を読んでほしいと思います(笑)。

■次はプライベートな質問なのですが、先生の趣味は何でしょうか。

 趣味はテニスですね。テニスをして、旨いビールを飲んで、旨いものを食べる。お酒はたくさんは飲めませんけども、おいしいものを食べて、いいお酒をいい仲間と飲む。その仲間の中に学生ももちろん入ります。 それと後は、クラシックなどの音楽を聴くことと、旅行ですね。

■音楽はどのようなものがお好きですか。

 僕は何でも好きですね。特に好みはありませんが、生のコンサートが好きです。あまり行く時間がないのですけど。

■お忙しいですか。

 でもヨーロッパなどへ行くと必ずコンサートには行くんですけどね。ですからクラシックだけとは限りませんね。

■ライブで見るというのが好きなのですか。

 人間がそこにいる、がんばっているというのが好きです。だからスポーツも好きですね。スポーツ観戦もそうですね。

■最後の質問となるのですが、「新聞学」とは何ですか。

 新聞学とは、英語でいえばジャーナリズム&マス・コミュニケーションですね。私は、ジャーナリズムやメディア、コミュニケーションのあり方を社会科学することだと思います。メディア、ジャーナリズムにどのような問題があって、どのような歴史があって、現在の問題点をいかに解決していくかということを調査・研究する学問だと思います。市民はどうメディアを読み、見るべきかを研究します。マルチメディア時代に入って特に、取材報道の方法、メディアのあり方をどうしていくかということで今後ますます新聞学が重要な学問になっていくと思います。まあ、メディアの病気をどのようにして治すか、この病気はどこから来ているかを学問することと言ってもいいでしょう。

■質問は以上です。どうもありがとうございました。 (インタビュアー:3期生 出来 祥寿)
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