Asano Seminar:Doshisha University
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2012年のご挨拶



2012年2月9日

 大変遅くなりましたが、浅野健一から2012年のご挨拶です。
 共同通信から同志社大学へ移って、間もなく18年になります。日本においてジャーナリズム再生を目指し、輝かしい伝統を持つ「同志社・新聞学」の新時代を作り上げようと、大学院と学部のメディア学の学徒たちと楽しく過ごしています。

☆原発全廃・反ファシズムの統一戦線を
 昨年は3・11東日本大震災・東電福島第一原発「事件」で日本の政治経済社会構造が根底から問われ、マスゴミの「大本営発表報道」(朝日は10月15日社説などで自認)体質がすべての市民の前にさらされた年でした。
 今年いただいた賀状には「反原発貫徹新年!」「今年こそ脱原発を」「春は必ず来ます。今年も脱原発社会の実現を祈り続けます」などと書いてきた友人が多数いました。メディア現場のジャーナリストたちも「まさに、ジャーナリズム、テレビが問われた1年でした」「原発が爆発する映像が流れている最中。『安全です』と繰り返したテレビ局の姿勢を、いまだに忘れることはできません」「新聞業界の厳しさ、先行きの不安は年々増しています」と書いています。一般市民の友人は「今のマスコミ(今に始まったわけではないと思いますが)はひどいものです」「最近のジャーナリストは政治家同様、大分質が落ちた」「マスコミの旧態依然には言葉もありません」と指摘しています。
 人類史上最悪の原発事故を経験しながら、原発全廃を決めることもできず、原発を海外に輸出する政府と財界。あろうことか、「冷温停止状態」なる非科学的用語で「収束」を宣言した野田政権。日本の一次産業をつぶすTPP、消費税値上げ(菅政権の時に、新聞を除外するとの密約あり)、辺野古新基地建設を強行しようとする野田政権。東西にファシスト知事が跋扈し、在日朝鮮人への差別、排外主義が横行しています。民・自・公・ハシズムの翼賛体制に抗い、非戦・人権・民主主義を目指す勢力の大団結、統一戦線の構築が不可欠です。既成の共産党・社民党・新社会党がそれぞれ解散して新党を結成するぐらいの大同団結が必要な時代ではないでしょうか。
 学生たちと一緒に東北へ5回出かけ、原発「事件」と報道などについて考えました。その成果が「DAYS JAPAN」2月号に掲載されています。私は「DAYS JAPAN」2月号に英BBC WORLDのフクシマ報道について書きました。3月11日前に、ムック本『検証 原発事故報道 あの時 伝えられたこと』が刊行されます。サブタイトルは《3月11日~17日 TV・新聞・ツイッターそして検証報告(監修/広河隆一(DAYS JAPAN編集長) 文/浅野健一(同志社大学教授) 伊田浩之(週刊金曜日) 上杉隆(自由報道協会代表) 太田尚志(種まきジャーナル・毎日放送)おしどりマコ(芸人) 亀松太郎(ニコニコ・ニュース編集長) 沢田昭二(名古屋大学名誉教授) 白石 草(アワプラネットTV)新免貢(宮城女子学院大学教授) 矢内真理子(同志社大学大学院) 綿井健陽(アジアプレスインターナショナル)》です。
 みなさん、ぜひDAYS JAPANを定期購読してください。
注文は下記まで;
[ 月刊誌DAYS JAPAN ホームページ
http://www.daysjapan.net
〒156-0043
東京都世田谷区松原1-37-19-402
㈱デイズジャパン
TEL:03-3322-0233 FAX:03-3322-0353 ]

 ゼミの二度にわたる東北合宿の記録は同志社大学のホームページ内の社会学部のページに掲載されています。
http://ssgp.doshisha.ac.jp/

 社民党の機関紙、社会新報に「原発とメディア」の連載をしています。また、「マスコミ市民」と「進歩と改革」の1月号に原発報道について書きました。

☆同志社で3つの「原発と報道」イベント
 浅野ゼミは2011年7月5日夜、新町キャンパス・臨光館207番教室で、環境問題専門家のきくちゆみさんの公開講演会を開催しました。「原発のない未来は可能だ―3・11以降、問われる生き方―」をテーマに講演してもらいました。講演会の記録は、このHPに掲載されています。

 同志社大学社会学部メディア学科の学生たちでつくるメディア学研究会(熊崎慎之介会長)主催の公開シンポジウム「原発と報道―南海日日新聞の31年」は昨年10月27日、新町キャンパスで、約70人の参加で大成功に終わりました。
 学生の参加が予想以上に少なく残念でしたが、和田喜彦・経済学部教授と和田ゼミ3年生、飯島滋明・名古屋学院大学准教授(憲法学)夫妻、元同大職員の鹿野健一さん、立命館大学コリア研究センター研究員の森類臣さんらも参加してくれました。
 大学広報課が24日、各報道機関へプレスリリースを送ってくれ、大学HPにも案内がアップされましたが、報道関係の取材は全くありませんでした。日本の最も深刻な問題は大学とマスコミが退廃していることだというのは、カレン・ウォルフレンの言説ですが、まさにそのとおりです。
 シンポは坂井亜衣さんが総合司会を務め、第一部では、「新聞学原論Ⅱ」で同日午後ゲスト講義をしてくれたルポライターの明石昇二郎さん、南海日日新聞(愛媛県八幡浜市、08年休刊)の元発行人斉間淳子さん、元記者の近藤誠さんが講演。第二部ではパネリストになって、会場の参加者も交えて討論しました。
 斉間さんは「匿名報道主義と反原発を二本の柱で新聞をつくってきた。匿名報道を始めるに当たって浅野教授に何度も来てもらい指導を受けた」と話しました。「原発は差別構造の中から生まれる」などと強調。
 夫の故・斉間満さんが02年に出した『原発の来た町 原発はこうして建てられた 伊方原発の30年』(南海日日新聞刊)を紹介し、四電が札束攻勢で土地を買収、漁業権を奪った経緯を説明。家族に身の危険があるような脅しや嫌がらせを受けたことを生々しく証言しました。

 同志社大学今出川校地・新町キャンパスで昨年12月6日夜、公開シンポジウム「東日本大震災・原発事故~報道・大学・ボランティアができること~」が開催されました。社会学部メディア学科・社会福祉学科と社会学会(山田礼子会長)の共催で、一般市民も含め約100人が参加しました。
 シンポでは、4人のパネリストが震災時の状況、大学、報道機関、ボランティア、今後の復興について講演しました。新免貢(しんめんみつぐ)宮崎学院女子大学教授は「今の学生が自分の就職のことしか考えていない一方で、被災地では、地域、命、暮らしが喪失している。今、学問に何ができるのか。嘘の報道ばかりのマスコミ。専門家にものを言わせてはいけない。考えなければならないのは市民だ」と訴えました。
 次に祖父母と母親を亡くした宮城学院女子大学4年生は次のように語りました。「私が卒業した被害のひどかった大川小学校では、多くの周辺住民による避難でごったがえして対応しきれなくなったうえに、震災の影響によって校内放送ができなくなった。大きな地震に慣れてしまい、今回のような想像を絶する大きな津波は予想できなくて、行動に移せなかった。それなのに、被災地から離れている人は『危機管理がなっていない』と批判する。何もわかっていないのに、そんなこと言うなと思う」
 武内宏之・石巻日日新聞報道部長が「地域によって起こったことは異なる。被災した人でさえもその体験は限定された地域での部分的な体験で、私たちが全体をつかめないのはなおさらのことであるのに、マスコミはほんの一部しか報道していない」と強調した。武内氏は事実の積み重ねによって真実に迫ることを「ラッキョウの皮むき」に例えた。「マスコミの使命は事実の皮をむき、真実に近づくことなのだ」と話しました。
 野田正彰・関西学院大学教授は「問題を具体的に検証せず、矮小化させる社会になってしまった。大学生に直接の責任はないが、この社会の一員であるという責任を感じるべきだ」と強調しました。
 新免先生はDAYS JAPAN(広河隆一編集長)3月号で米国の新聞のフクシマ報道について書かれています。

☆琉球新報「オフレコ」報道から学べ
「創」2月号に、「オフレコ破り批判の大問題 田中防衛局長暴言報道検証」を書きました。
 沖縄防衛局の田中聡局長(現防衛大臣官房付)が非公式の懇談会で、「これから犯す前に犯しますよと言いますか」と発言したことを記事にしたのは、私が親しい新報の記者たちです。
 米国追随・新自由主義メディアとメディア用心棒学者は、「オフレコ」破りを問題にしていますが、今回の報道はジャーナリズムの良き実践のお手本であり、何の問題もないと私は断言しました。

☆「記者クラブ」即時廃止を
昨年6月に『記者クラブ解体新書』(現代人文社)を出版しました。本の推薦文をいくつか紹介します。
★小出裕章さん(京都大学原子炉実験所助教)
[ マスコミは九電やらせメールを批判するが、記者クラブに安住するメディアこそ、国、 財界(巨大企業、経団連)、警察と共謀して「原発神話」という「やらせ」を展開してきた。過去40数年の原発報道全体が「やらせ」ではないか。
 原子力問題に関するかぎりは、もう悲惨な状況だ。原子力は国策ということで、国がそれを進めるということになって、その周りに電力会社という巨大な企業があるが、その次に日立、東芝という日本の産業の屋台骨を背負う巨大産業がある。そしてその周りにゼネコンなどがあり、その下に中小下請けがあつまって、労働組合がそれにまたくっついて全部で支えるということになってきた。それに反旗を翻すというようなことは、ほとんどどこもできないという状況で、それをマスメディアが担いだ。
 マスコミは、国策に関わるようなことに関しては、もうどうにもならないほどになっている。
 本書が具体的事例をとおして明らかにしているように、記者クラブの記者たちには、市民にとってもっとも必要な情報を提供するという姿勢がない。ジャーナリズムは何が問題かを考え、自分で調べて、自分の見方を持って報道するべきなのに、日本のメディアは政府や東電の言う「安全神話」を何のチェックもせずに垂れ流してきた。マスメディアは本当に罪が深い。浅野さんはずっとそれと闘い続けてきている。
 記者クラブに入っていないインターネット・メディアの言論は今までにはなかった動きだと思う。マスコミが情報を隠しても、情報をつぶしても、つぶしても出てくるのが面白い。 ]

★上杉隆さん(ジャーナリスト)
 [ 私は、記者クラブなんてどうでもいい、勝手にやれ、自分は入らないという姿勢だったが、3・11以後、その考えが変わって、浅野さんの言ってきた記者クラブ壊滅は急務の課題だと今は確信している。
 いまだに「記者クラブがあるからジャーナリズムが疲弊しているわけではない」などと言い張って、記者クラブ廃止論を妨害する学者・メディア幹部が少なくないが、その人たちに問いたい。「記者クラブは日本のトップリーダーにじっくり話を聞く場さえ奪っていることをどう考えるか」と。 ]
 上杉氏は元朝日新聞記者の烏賀谷陽弘氏との対談本『報道災害 原発編』(幻灯社新書)の冒頭で、記者クラブ問題に関して、私に不徳を詫びたい、と書いている。

★山本武利さん(元一橋大学・早稲田大学教授)
 [ 記者クラブ問題はその弊害が長く叫ばれ、ある程度、新聞側もそれを認識していながら、抜本的な解決策が講じられないのはなぜか、本書を読めば改良策でなく解体しかないことになります。ご自身のクラブ体験記から出る主張も犯罪報道論同様に説得力を持っています。私もかつてその歴史経緯を調べたことがありますが、その後の調査も加えて新論を展開したいと思います。その上でもご高著は刺激的です。アンケート調査結果など資料編も有益です。 ]

★山田悦子さん(冤罪・甲山事件)
 [『記者クラブ解体新書』のタイトルは新鮮な趣があり、チャーミングだと思いました。表紙の絵も、解体のかけらが放散していく様子で面白いと思いました。
 浅野さんが今まで主張、行動して来たものが、記者クラブのあり方を通じ、コンパクトにまとめられている内容だと章建てを一読して感じました。
 「今になって、杉山さん、杉山さんって、来るのはやめてもらいたい」。杉山さんのこのセリフ、グッドです。日本のメディアの小心ぶりのいやらしさが透け見えるセリフです。
 浅野ゼミ生の考えるジャーナリズムの原理・原則「民主主義の発展に寄与しなければならない」「基本的人権を尊重しなければならない」「ジャーナリズムは非戦社会の実証に貢献しなければならない」は答責の思想だと思います。これからもよき本を出してください。 ]

★寺澤有さん(フリージャーナリスト)
 [ 『記者クラブ解体新書』をお送りいただき、どうもありがとうございます。さっそく、私のニュースサイト『インシデンツ』で紹介しておきました。
http://www.incidents.jp/news/index.php?limitstart=125
 そろそろ本当に記者クラブを解体しないと、戦前の二の舞です。
■THE INCIDENTS インシデンツ
2011年 6月 29日(水曜日) 06:30
記者クラブは解体するしかないと再認識させられる単行本
筆者 - 寺澤有
 元共同通信社ジャカルタ支局長で同志社大学社会学部教授の浅野健一さんが現代人文社から単行本『記者クラブ解体新書』を上梓した。
 「はじめに」のたとえ話がわかりやすい。
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 仮に東京都内の公立図書館に「東京六大学」学生だけが使える「六大学学生クラブ」という看板を掲げた図書室があるとしよう。六大学に入っていない上智大学、青山学院大学や国際基督教大学などの学生が「税金で賄われている公立図書館が特定の大学の学生だけに便宜供与するのはおかしい」と図書館長に抗議する。ところが、図書館長は「長い歴史があってこうなっている。その部屋の運営はすべて六大学クラブに任せているから、クレームがあるならクラブ側に文句を言ってほしい」と回答する。上智大生らはクラブへ出向くが、「今月のクラブ幹事」と称する早大生が現れ、「伝統ある公立図書館との合意で使っている。文句があるなら役所に言ってくれ」と言って姿を消す。 ] 
    
☆日朝サッカーを取材、東アジアの平和と繁栄を
 昨年11月15日に平壌の金日成スタジアムで行われた2014年W杯ブラジル大会3次予選の朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)と日本の試合を取材しました。大学の個人研究費を一部使っての14日から16日まで訪朝取材でした。日本からの観戦者は150人。私は日本サッカー協会(JFA)公式サポーターツアー(64人)の一員として参加しました。
 テレビ中継や、情報番組に私の顔やインタビューが放送され、多くの人たちから声をかけられました。改めてテレビの影響力の大きさを感じました。
 日本のテレビや新聞では、「北朝鮮の日本の報道機関、サポーターへの冷たい仕打ち」が強調されていますが、朝鮮側から今回の日本人の入国がどう見えるかを考える想像力が必要ではないでしょうか。
 スポーツ交流で対話の好機をつぶした日本政府とマスゴミです。また、日本の強制占領から解放されて金日成主席が平壌に帰り、最初に演説したのが凱旋門隣にある金日成スタジアムで、解放後の朝鮮で「君が代」が演奏されたのは初めてのことでした。
 「週刊金曜日」十二月二日号に2ページで記事を書きました。また、朝鮮新報にも記事を書きましたが、朝鮮の金正日総書記・国防委員長の急逝で、紙面が変更になり、ネット版だけの掲載になりました。2011年12月19日午後3時すぎに《サッカー日朝戦 対話の好機つぶした日本政府 応援団の制限は日本政府に原因》という見出しでアップされました。
http://jp.korea-np.co.jp/article.php?action=detail&pid=52706

☆朝鮮報道の犯罪
 金正日総書記の逝去に際して、哀悼の意を表しなかった日本政府とマスゴミの対応はひどすぎます。総書記の弔問のため朝鮮へ向かおうとした在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の議長らの再入国を認めなかった日本政府。記者クラブメディアは、国連加盟の主権国家の元首の死去について、ありとあらゆる形容詞を使っての中傷、侮辱の連続でした。悪意に満ちた報道に言葉もありません。
 昨年12月19日以降の新聞、テレビの報道を記録し、検証した論稿を「進歩と改革」3月号に書きました。
 進歩と改革研究会のアドレスは  s-kaikaku@cnr.ne.jp

 朝日新聞が総書記死去の記事の本記で、約10年ぶりに「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)」と正式名称(略語は誤まっている)を書いたのは評価できます。
 今年4月27日から5月3日まで「日朝友好京都ネット特別訪朝団」に参加します。09年3月に結成された「文化・学術・市民交流を促進する日朝友好京都ネット」(略称:日朝友好京都ネット/会長― 水谷幸正)は、計3回の代表訪朝団を主催・実施してきました。
 今回の訪朝団の学術グループの「新聞放送学」部門の責任者を私が務めます。募集要項を添付します。参加希望の方は今月末までに私まで連絡ください。

☆対渡辺教授裁判で3月と5月に証人調べへ
 週刊文春と毎日新聞京都支局に捏造情報を持ち込んだ渡辺武達教授を訴えた東京地裁民事七部の裁判(渡辺氏も反訴)の証人調べが3月5日(月)午後と3月26日(月)午後と5月11日(金)午前に決定しました。
【3月5日(月)】13時半から、渡辺教授グループの元院生2人と大庭絵里。神奈川大学准教授(犯罪社会学)
【3月26日(月)】13時10分から、鈴木直人氏(2003,4年当時の同志社大学ハラスメント委員会委員長、現心理学部長)、浅野ら4人。
【5月11日(金)】10時から 渡辺教授
 いずれも東京地裁606号法廷(裁判所6階)です。みなさんに傍聴をお願いします。

 東京地裁(代表電話;03-3581-5411)は、東京都千代田区霞が関1-1-4(地下鉄東京メトロ丸の内線・日比谷線・千代田線「霞ヶ関駅」A1出口から徒歩1分、地下鉄東京メトロ有楽町線「桜田門駅」5番出口から徒歩3分)です。

 文春などの週刊誌メディアを人権侵害媒体だとして厳しく批判してきたメディア学・報道倫理・情報法制論を専攻する大学教授が、知りあいの石井謙二郎・週刊文春デスクに虚偽情報を大量の文書類(ほとんどは当事者の了解なし)を提供して記事化させた構造が法廷で明らかになります。4頁のひどい文春記事は、私を嫌う右から左までの人物が共謀して世に出た背景も明らかになります。
 3月5日には渡辺武達教授の強い影響下にある神奈川大学准教授、元同志社大学院生2人が証言します。3月26日は私、5月11日に渡辺教授が証人となります。
 この裁判では、渡辺氏も反訴してきましたので、何と私も「被告」にされています。詳しくは浅野裁判支援会HPを見てください。
http://www.support-asano.net/

☆「実名報道」「記者クラブ」ムラの御用学者の責任
 私は新聞学の学者の社会的責任を問います。原発問題でも「御用学者」が悪徳メディアと組んで暗躍しました。御用記者と御用学者は共謀共同正犯です。実名報道ムラ、記者クラブムラを構成している“メディア企業用心棒学者”(山口正紀さんの造語)の責任は重大です。
 NPJ(News for the People in Japan)http://www.news-pj.net)の城北法律事務所弁護士の田場曉生さん(℡:03-3988-4866)から昨年末届いたメールでは、《市民が知るべき情報を引き出すために奮闘した日隅一雄(弁護士)は、それらの問題をまとめたブックレットを岩波書店から2月に出版する。NPJは、そのブックレットで取り上げるテーマについて、各分野の専門家らと日隅が対談をして議論を深める連続対談を行う》とありました。
[ ●日時
<第1回>
「伝えないメディアを変革する方法」
2011年 12月19日(月)午後6時30分~(開場午後6時)
ゲスト:藤森研氏(元朝日新聞編集委員)
※eメールでゲスト及び日隅編集長への質問を受け付けます。
各前日までに、pr@news-pj.netへ
●会場
岩波書店アネックスビル3階「セミナーホ-ル」
東京都千代田区神田神保町2-3-1 ]

 私は田場氏に次のようなメールを送りました。
 [ 日隅一雄弁護士のこの間の闘いに心より敬意を表しています。そのうえで、以下、意見です。(私の本『記者クラブ解体新書』に、日隅弁護士との間での記者クラブ(kisha club、海外にあるプレスクラブとは全く違う日本独自の職業差別制度)についての白熱した議論が載っています。)
 記者クラブ廃止論にずっと反対し、被疑者・被告人の逮捕時の実名が不可欠と、朝日新聞社内で河原理子記者と共に、浜田純一氏(被疑者についても「人の名前は尊厳の証」だそうです)、田島泰彦氏らメディア御用学者と1980年代後半からキャンペーンを張ってきた、「伝えないメディア」で順調に昇進した元朝日新聞(柴田鉄治氏・大熊由紀子氏ら原発推進新聞)編集委員の大学教授から、本当に「変革」の道を聞くことができるのでしょうか。大学に移るとメディア企業の批判をする、河内孝さん、丸山重威さんらに、うんざりします。メディア現場にいるときは警察べったり、天皇の死を「崩御」と主張していた人たちを信用するのが間違いです。
 「実名主義村」には原子力村と酷似した構造があります。
 外でリベラルなことを言っても、メディア内部で変革の闘いに敵対するいんちき記者・学者を追及すべき時だと私は思っています。
 日本新聞協会発行の「新聞研究」の記事をボツにされた明石昇二郎氏の週刊金曜日の記事(7月29日・8月5日号)を読んでください。明石さんは「大学の新聞研究者」に対して、この言論弾圧について「研究」を求めています。
 「新聞研究」の木村編集長は新聞社の幹部に明石氏の原稿を見せていると明石氏は言っています。また、朝日ジャーナルでは、明石氏の元の記事にあった大熊由紀子記者の実名を削除しています。
 そういうお話も元編集委員には、ぜひ事前に調査して説明してほしいと思います。
 朝日などの記者クラブメディアは「伝えない」だけでなく、安全神話を垂れ流し、虚報を続け、3・11の原発「事件」の後も、ウソをそのまま報道しました。朝日は、新聞週間には「大本営発表」報道だったと認めています。記者クラブを解体し、押し紙を廃止し、記者教育を変革し、人民のためのメディアを創出するときです。
 以上、私の意見です。 ]

 田場氏から返信はなかった。

☆元オウム信者の逮捕報道
 NHK紅白歌合戦が終わった後に大きなニュースがありました。1995年2月に起きた目黒公証役場事務長の死亡事件で、警察庁から逮捕監禁致死容疑などで特別手配を受けていた元オウム真理教信者の平田信氏が元日未明に逮捕されました。平田氏は教団幹部とまで言えないが、平田氏が弁護士を通して姓名を明らかにして「声明」を公表していることなどから顕名とします。
 オウム裁判がすべて終結し、法務省は元教祖麻原彰晃氏らの死刑執行の手続きに入ったと言われている中での突然の出頭・逮捕が大ニュースになるのは当然です。しかし、元日以降のテレビと新聞の報道は「担当弁護士」と「捜査関係者」への「取材でわかった」というパターンの犯人視報道がほとんどでフェアとは言えません。
 平田氏逮捕報道について「週刊金曜日」1月13日号と「救援」2月号に書きました。
 平田氏の依頼で2日以降連日接見して、メディアに出てしゃべっているのが、教団によるサリン襲撃事件の被害者であり、「オウム真理教被害対策弁護団」メンバーの滝本太郎弁護士です。滝本氏は弁護人としてのまっとうな仕事をしていないのではないでしょうか。
 滝本氏が、平田氏が言っているとして発表している内容は、かなり脚色され、バイアスがかかっていると思われます。リストラ対象の公安調査庁が喜ぶような内容ばかりです。
 松本サリン事件の被害者で、昨年末「ひかりの輪」の外部監査人に就いた河野義行氏は次のように言っています。
 「平田氏が何をしゃべっているかは誰にもわからない。弁護士が、平田氏が言っているとしてメディアに伝えていることも、すべて本当かどうかは誰にも確認できない。証拠に基づいて、立証できなければ何もならない。何も分からない段階で、勝手な推測で報道してはいけない。どういう罪で起訴するかさえ不明だ。もし起訴されれば裁判で刑が確定し、刑務所で服役して出所した後でなければ本当のことは話さないのではないか」
 警視庁は6日と9日に、平田氏の逮捕直後に丸の署内で撮った被疑者写真三枚と丸の内署に出頭した際に防犯カメラに写った静止画2枚を公開しました。警視庁は、逃亡中の情報提供を呼びかけることが社会的利益になると説明しています。記者クラブメディアの中で、警視庁提供のこれらの写真の掲載を拒んだ社は一つもなく、法的問題を取り上げた報道機関もゼロです。
 約15年前、故・三浦和義氏らの裁判闘争で勝ち取った被疑者の「晒し刑」禁止原則が破られました。「オウム」なら適正手続きを無視してもいいという90年代の再来です。その後、多くの市民が警察に目撃情報を垂れ込んでいます。あんなにたくさん防犯カメラがあって市民を監視しているのだと、みんな思わないのでしょうか。 
 現場記者たちは、警察提供の被疑者写真の不掲載を決定した経緯や、裁判員裁判開始を前に各社が公約した犯罪報道改革の公約などを完全に忘却しています。
   
☆人権と報道・連絡会に入会を
 「人権と報道・連絡会」(山際永三事務局長、〒168-8691 東京都杉並南郵便局私書箱23)が昨年12月17日に開いた「第27回人権と報道を考えるシンポジウム」のテーマは《匿名報道原則の実現へ――今、改めて問う「実名報道主義」の犯罪》でした。
 1984年の拙著『犯罪報道の犯罪』出版から27年半、大手メディアは「呼び捨て廃止」など小改革を行なったものの、人権侵害の根源である「実名・犯人視報道」は改めず、裁判員裁判では報道による予断が裁判に影響を及ぼす新たな報道被害も起きています。シンポでは、実名報道で深刻な被害を受けた被害者や家族が被害体験を報告し、それをもとに改めて「実名犯人視報道の犯罪」を確認しました。会場参加者も交えた質疑・討論では、犯罪報道の意味、犯罪とどう向き合うか、処罰感情の問題などにも突っ込んだ議論が展開され、「実名報道」を擁護する御用学者の主張、役割に強い批判が向けられました。 シンポジウムの冒頭、山際永三事務局長があいさつ。「今年は原発震災が大きな問題になり、人報連でも例会で2回議論してきました。私たちの会が発足以来問題にしてきた犯罪報道には、原発報道と同じような傲慢さがある。安全神話を作った学者・それを流してきたメディアと、警察情報で実名犯人視する報道は、傲慢さという点で共通しています」と問題提起しました。
 パネリストは、「山陽道バス横転事故」で実名報道された鹿児島大生の父親Kさん、痴漢冤罪・報道被害者・飯島滋明さん(名古屋学院大学)、飯島さんを支援した弁護士・足立修一さん(広島弁護士会)、浅野(人報連世話人)、司会は山口正紀さんが担当しました。詳しくは「人報連ニュース」12月号をお読みください。
 シンポには、現場記者、弁護士、研究者(新聞学者)がほとんど来ていませんでした。実名報道ムラを何とか解体したいと思います。憲法学者の飯島さんは「実名報道の犯罪性について再度問題提起をし、世論に訴える必要がある」と言っています。
 飯島さんは「冤罪被害者の声、たとえば菅家さん柳原さん、杉山さん、河野さん、山田さん、その他の人たちに報道被害の現状などを報告していただくとともに、私が憲法論から憲法学者の見解の批判、志布志事件の報道被害などを踏まえ、原則匿名報道にすべきと主張する木村朗鹿児島大学教授などの論文などを掲載した本などを出版できればと考えました」と提案しています。
 報道加害に関する本をみんなで出版したいと思います。
 日本ジャーナリスト会議、青年法律家協会、自由人権協会、メディア労働団体などの幹部がほとんど人報連に敵対あるいは無視し、記者クラブメディアの幹部(社会部出身者が多い)と癒着、結託していますので、なかなか厄介です。「左翼・リベラル」がこの分野では反動的な役割を果たしています。
 「実名報道による報道被害をなくすため、新たな行動が必要」と言う声にこたえ、人報連のリセットというか新規まき直しが絶対に必要だと思っています。
 私も世話人の一人を務める「人権と報道・連絡会」(山際永三事務局長、〒168-8691 東京都杉並南郵便局私書箱23号)は1985年以降、犯罪報道の改革を訴え、日本に報道評議会を作ろうという活動を続けてきました。
http://www.jca.apc.org/~jimporen/
 みなさん、ぜひ入会してください。会費を振り込んでくれれば会員になれます。
 2012年もどうぞよろしくお願いします。

同志社大学社会学部メディア学科 浅野健一 
ファクス04-7134-8555 
E-mail:asanokenichi@nifty.com 

(了)

掲載日:2012年2月9日
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