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IPEの風 2/1/10
宇宙人の子供たちが修学旅行で地球観光に来て(京都の旅館?)、来訪者ノートを開き、こんな風に書き残しました。・・・◆〒〜☆¶☆◆??%■§*●&!★〜▼§±☆◆$?・・・「日本の制度は間違っている。地球の制度も間違っている。」
女性が働けない。・・・被扶養者の社会保険が免除されており、年収130万円を超えると別に社会保険料の支払いが強制されます。夫の収入からも扶養者手当が減ります。これは、130万円を超えるパート収入があると、実質、所得が減ることを意味し、働く意味がありません。あるいは、虚偽の申告や非公式雇用・闇取引が起きます。また、低賃金の非正規労働力をプールして、正規雇用との賃金格差を固定し拡大します。
日本経済は、優れた女性労働者の多くを失い、労働市場を分割し、非正規雇用を増やして正規雇用を減らし、家計の購買力を奪って、子供を減らし、国内市場を縮小させています。
受験しにくい。・・・受験生は多くの受験機会を、大学は多くの受験生を望みます。また受験生は偏差値の高い大学を、大学は優秀な学生を望みます。受験生は制度の受け手ですが、制度を作るべき文科省は、受験生間や大学間の競争を促すことで、これらの目的を達成できると考えています。これもネオリベラリズムとして批判されるべきでしょう。
いずれの大学も入試の種類や回数を増やしました。一つの大学の類似学部に何度も受験するのが当たり前になります。そして、各大学は受験日を重ねて併願を減らしたり、合格発表をずらして入学金を集めたり、互いにゲーム論的な混乱を繰り広げています。また大学は受験生間の競争を避け、偏差値を上げるため、入試による募集人員を減らし、推薦入試を増やします。
しかし、本当に、これが良い制度でしょうか? これで公平な受験機会を増やし、明確な入学基準を示せるでしょうか? ますます多くの入学者を推薦で取ること、受験料や入学金を重要な財源とみなすことは、高等教育の質を劣化させる、と宇宙人なら思うでしょう。
政治献金が要る。・・・選挙に金がかかるのも同様です。もちろん、殴り合ったり、殺し合ったりするより、選挙制度を認め合うほうがよいでしょう。しかし選挙に金がかかれば、ますます制度が悪用されます。公共事業の談合、建設会社の献金、官僚の天下り、郵便貯金による財政投融資、地方の空港建設、GMやJALの倒産、など。
中国の成長にともない摩擦が起きる。・・・The EconomistやBill Emmottが論じたように、人民元レートの調整過程と外貨準備の累積を、長期的な中国の成長と世界とを連動させる制度の一部にするべきです。中国はバブルとその破裂を繰り返しながらも、公共投資や銀行の不良債権を処理する成長の源泉、すなわち、生産性の低い内陸部や農村、都市底辺の労働者を、優れた技術と組み合わせる投資により、豊かになることができるのです。それは、中国国境を越え、新しい貿易や投資の波によって、アジアや日本、世界を変えて行きます。
バブルと世界金融危機を繰り返す。・・・貨幣の印刷を権力者が悪用すれば、どこでも庶民は苦しみます。金本位制は貨幣の価値を政治介入から隔離しましたが、市場の混乱を増幅するメカニズムにもなりました。 “Buttonwood: Floating all boats”が見事に整理したように、世界不況で金本位制は政治的な支持を失い,破棄されました.その後は,金融緩和とバブル、そして金融救済と政府債務の大波で、世界各地の投機的な資産取引や銀行・企業・個人の破産、緊縮と停滞の長期化がグローバルに再生しています。
10年後の国際通貨制度がどうなっているか、私たちはもっと議論して良いはずです。
人類が火星に入植するときには、女性がもっと働けるように、才能ある若者が望む高等教育を受けられるように、金のない優れた政治家が選挙で当選するように、また、新しい地域への投資や融資、成長と貿易のパターンが円滑な調整をともなうように、火星の秩序を築くべきでしょう。
ハイチであれ、アフガニスタンであれ、日本各地の過疎・貧困地区であれ、新しい制度を構築して、火星人の入植地に立候補してはどうでしょうか?
10万年後(宇宙人の暦で来年)の修学旅行生が訪問するのは、まだ、人類の町(京都の旅館?)でしょうか? あるいは、・・・アリ、クモ、イワシ、チョウ、トラ、インフルエンザ・ウィルス・・・
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