******************************

IPEの風 7/28/08

じりじりと焼けるような日差しが照りつける中、宅配便の運転手や新聞の集金人、コンビニを回る配送トラックの運転手が、同じようにタオルを首に巻いて、夕立にあった後のように、あふれる汗を拭きながら仕事に励みます。

暑いね。大変ですね。と声をかけると、皆、ちょっと嬉しそうに、誇らしげに、そして、当然、少し恨めしげに、苦笑というだけでなく、負けてなるものか、という強い笑顔で応えてくれました。子供たちは知っているでしょうか? この暑さにも負けず、全身全霊を傾けて、多くの大人たちは仕事をしています。

ついに、これは日本が亜熱帯になったことを示すのか、と思いました。季節の渡鳥が日本を迂回し、海には熱帯魚が回遊する? 厳しい日射により起きた夕立が、京都でも奈良でも減ったように思いました。 ・・・もしかすると、中国大陸があまりにも乾燥し、内陸部でも開発によって砂漠化が進んだ結果、黄砂や熱波がある限界を超えて、大気や水の循環を変えてしまったのではないか? 日本には集中豪雨と、厳しい気温上昇をもたらします。

・・・ますます多くの子供たちが塾に通います。彼らは、公立学校だけで塾に行けない中学生が3年かけて学ぶようなことを、有名私立中学を受験する小学6年生のときに、もう学んでしまいます。こんな教育格差は、公立学校を破壊し、学歴偏重と所得格差の正当化を強め、全体的な学習意欲を低下させるだけではないか。

・・・ますます多くの子供たちが目標を失って、学ばなくなります。多くの生徒は、勉強をしようにも朝食を食べていない。睡眠不足で集中できない。ますます多くの大学が定員を満たせず、入試に苦しむことなどない、と思うのでしょうか? 他方、トップクラスの受験校には、よし勉強するぞ、という文化がある、と聞きました。

都会の、クーラーを入れた自習室で勉強し、あるいは、ゲームや漫画に時間を潰す子供よりも、貧しい国の田舎で、電気代を節約するために夜明けと同時に外へ出て、貴重なテキストを、終日、必死に暗唱するような子供たちの方が、学びたい、という情熱は強いはずです。

・・・近頃、眠れなくなって、夏休みの朝のラジオ体操が聞こえてきます。あれはバス停に集まった子供たちが、当番のお母さんかお父さんと一緒に体操するざわめきです。

朝読書なら、自分が担当してみたいな、と思いました。子供のころに良い本を読んで、人間が生きるということ、人間が考え、人間がなしうることについて、深く考えるのは重要だからです。

小学生でも、中学生でも、あるいは下宿する大学生でも、朝の6時に集まって、一緒に読書したいです。自分はこんな本を、君たちのような年齢で読んでおきたかった。きっと、そんな風に思う本が何冊もあるでしょう。そして、彼らを口実に、自分もそんな本を読み返すのは楽しいでしょう。

私の勉強部屋はクーラーが故障して、パソコンから立ち上る熱気は、雷雲を呼ぶこともなく、集中力だけを失わせます。これはもはや、自分が熱帯魚だ、と思うしかないなと悟りました。

何日も猛暑が続いた後で、猛烈な雨が降りました。それは一気に河川を増水させ、河川敷にいた大人や子供たちを飲み込んで、多くの犠牲者を出しました。

メイド・イン・チャイナの扇風機を買いました。3000円余でも、リモコンが付いて、タイマーやリズムが選択できます。他方、複雑な機能によって差別化と高度化、高価格を押し付ける日本の携帯電話が、世界市場では通用しない、と聞きます。トースターや扇風機だけでなく、洗濯機も、クーラーも、携帯電話やデジカメも、日本で作ることはなくなるでしょう。

熱心に勉強する子供も、街の熱気を消してくれる夕立も、当然、ここに備わった景色のように思っていました。この季節や自然、社会や時代の変化にも負けず、働くことの誇らしさや喜びを見出すことのできる、まっすぐな心を持った子供たちを見たいです。

******************************