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IPEの種 6/26/2006

アシモフの「ロボット3原則」: 1.ロボットは人を傷つけてはならない.しかし,人はロボットを破壊できる.2.ロボットは人の命令に従う.ただし,原則1を守る.3.ロボットは自己を防衛する.ただし,原則1・2を守る.

The Economist, June 10th 2006に技術特集が載っていました.

「スペース・エレベーター」 すなわち,静止軌道にある人工衛星から地上まで,エレベーターで結ぶことはできないか? もしエレベーターがあれば,安全,確実に,宇宙と地上を往復できるわけです.それほど軽量で強度のあるケーブルを開発しなければなりません.また浮遊物を回避・排除しなければなりません.それはリング・ワールドに向かうでしょう.開発のためのプロジェクトが立ち上げられています.

次の連休は,片道35800キロを上昇して,スペース・ラウンジで宇宙遊泳でもしようか?

ロボットが普及するには,その安全性が重要です.ロボットに殺された最初の人間は,この記事によれば,37歳の日本人労働者です.すでに60万台のロボット掃除機とロボット芝刈り機が普及しています.日本企業は人間型のロボットを開発しており,韓国政府は2020年までにすべての家事をロボットが行うという目標を掲げました.

ロボットの安全性を確保することが難しいのは,その行為が複雑になるからだけでなく,学習するタイプの行動を取るからです.すなわち,ロボットの将来の行動を予測できないのです.もし未来の掃除機が赤ん坊をゴミとして片付けてしまったら,誰を責めるべきなのか? いまはまだ,ロボットに保険契約を販売する会社はありませんが,将来は必要になるでしょう.

ロボットを殺人罪で裁く法廷も,必要になるはずです.

多くの小説や記事に登場し,最も注目されているのは,ロボットによる翻訳,戦争,セックス,です.内蔵型の翻訳機や百科事典,代理戦争やセックスのシミュレーション,サイボーグとの恋愛,擬似家族,失った子供や愛犬の代理,模擬殺人,本物の人間にはできないようなさまざまな快楽を追求できる,愛玩(あるいは復讐)サイボーグ.

SF小説には「バベル・フィッシュ」として描かれていた翻訳機,「バビロン」が,イラクでは既にアメリカ兵によって使用されている,と言います.自動翻訳機を飛躍させたのは,文法を無視して,統計的な変換を行う原理です.それはどのような言語間でも,データを集め,翻訳し始めます.いつか,ドリトル先生のように,すべての人類が野蛮人ではなく,また,民主主義がヨーロッパの特産でないこと,・・・をイルカやチンパンジーにも教えられるでしょうか?

今,兵士たちを悩ませるのは,過重なハイテク機器をかついで,戦場で動けるのか? という不安です.サイボーグたちが戦争する時代がいつ来るのか,まだ分かりません.しかし,無人偵察機や遠隔操作の輸送機などは実戦で使用されています.ハイテク機器によって強化された情報力,コンピューターと兵士間の連携能力,兵士たちの肉体や精神がどのような状態にあるかをコントロールする制御機能が充実しつつあります.現実の殺害や死を経験する前に,戦争は終わっているかもしれません.

インターネットやゲームがそうであったように,初期のサイボーグが爆発的に利用される理由はセックスへの刺激でしょう.サイボーグとのセックスや快楽殺人も,私的な選択として社会が許容すべきでしょうか? 未来の小説や映画には,労働や戦争を行うサイボーグがしばしば登場します.すでに,ある労働がロボットによって行えるなら,それは労働ではなくなりました.なぜサイボーグを殺してはならないのか? サイボーグとの恋愛やセックスはなぜいけないのか? それは,社会の性格を変えてしまうからです.

もし戦争がロボットやサイボーグによって行えるなら,戦争は容易に終わらないでしょう.人が大量に死ぬから,政治は打開策を求めて交渉します.サイボーグが破壊されても貧しくなるだけです.もし景気が悪く,遊休資源があるなら,サイボーグの増産は政治的に支持されます.

「サイボーグ3原則」: サイボーグはヒトでないこと.すなわち,殺人や戦争をしてはならない.恋愛をしてはならない.セックスをしてはならない.その対象(もしくは主体)として,人間そのものを代用するサイボーグを創ってはならない. ・・・宗教や信仰,スポーツ,政治の対象としても.

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