IPEの果樹園2020

今週のReview

8/10-15

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11月の大統領選挙に向けて ・・・コロナウイルス対策 ・・・ハイテク大企業と議会 ・・・パンデミックと中低所得国の債務問題 ・・・広島の75周年 ・・・EU復興基金 ・・・台湾の防衛力強化

長いReview

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[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


 11月の大統領選挙に向けて

The Guardian, Fri 31 Jul 2020

Who will choose the next US president – the American people, or Facebook?

Jonathan Freedland

今週、アメリカ議会で、11月の大統領選挙とアメリカの未来を決める4人の男たちが証言した。彼らは政治家ではなく、Facebook, Google, Amazon and Appleのトップに立つ経営者だ。

そう言っても、彼らの力を誇張することはありえない。利用者は数十億人に達し、Facebook, Googleは人類が何を観て、何を読み、何を知るかを決める。ザッカーバーグは地球上のいかなる政府にも制約されることがない、世界全体に君臨する知識の皇帝、情報相である。

オンラインは嘘をばら撒く。ミャンマーでロヒンギャが虐殺されたように、それは生死を分ける問題だ。もちろん、変人や夢想家はいつの時代にもいたが、ソーシャル・メディアは利用できなかった。Facebookで武装した情報操作の常習者たちは、メッセージを全地球に向けて、瞬時に伝えることができる。同時に、その対象を細かく正確に絞り込み、広告を載せて代金を稼ぐこともできる。

誤解してはならない。FacebookTwitterのプラットホームに嘘やヘイトが載るのは、残念な間違いなのではない。その特性なのだ。ソーシャル・メディアのビジネス・モデルは、関心を集める必要があり、深く関与させることが最善の策である。怒りや激情、まさに、ヘイトこそ、オンラインに人々を結び付ける上で最も効果的である。単に興味あることや楽しいことでは勝てない。嘘のニュースは、真実のニュースよりも急速に広まる。

彼らは、出版社のように、その情報が真実であることに責任を持つべきか。あるいは、自動車会社のように、その製品がもたらす被害に対して、製品の回収と買収に責任を持つべきかもしれない。その莫大な収入を考えれば、できないことではない。

しかし、アメリカ議会の政治家だけでは力が不足している。世界中の政府が協力し、企業が広告を出引き上げる必要がある。われわれは情報に流された毒素から抜け出す必要がある。


 コロナウイルス対策

The Guardian, Fri 31 Jul 2020

The northern lockdown represents government failure. There is a better way

Devi Sridhar

イングランド北部のLeicesterで、400万人以上が再びロックダウンに入る。感染が再拡大しているからだ。

感染拡大に適切な対策を採るべきだった。政府のモグラたたき型アプローチが経済を迷走させ、中不確実さによる小企業の閉鎖と大企業の解雇をもたらしている。社会の結束が損なわれ、ますます多くの人々が政府の指示に従わなくなっている。

感染拡大地域からの移動を制限するロックダウンは、最後の手段でなければならない。

PS Aug 3, 2020

Should Governments Spend Away?

RAGHURAM G. RAJAN

先進経済諸国は、すでに、家計や中小企業をパンデミックから救出するために莫大な支出を行っている。IMFはその規模をGDP20%と推定している。

エコノミストたちは、現在の低金利状態では、過去に比べて、はるかに高水準の政府債務でも持続可能である、と主張する。しかし、政府支出が効果的でなければならない。債務の規模は、インフレの懸念がないことや財政緊縮策への反省から、急いで返済されることはないだろう。高成長が望めないなら、すなわち、将来世代の負担となる。

われわれの世代は、気候変動に対する対策にほとんど投資を行わなかった。さらに悪いことに、教育や健康に対する投資を削減してきた。それらは将来世代の生産的な条件を低下させた。

人びとが洪水や地震の被災地域に、保険がない住宅や生活にも保障するのは、同じことが自分たちに起きたときは保障されると知っているからだ。しかし、将来世代には、そのロジックは適用されない。それゆえ、われわれは死仏に十分な慎重さを示すべきである。支援する企業には、その基準がなければならない。たとえば、航空機やホテルの現在の規模を維持するのは間違いだろう。

政府による支援策はフリーランチではない。


 ハイテク大企業と議会

PS Jul 31, 2020

Tech Titans at Bay?

DIANE COYLE

729日、Amazon, Apple, Google, and FacebookCEOがアメリカ下院の超党派から成る反トラスト審議会で、5時間以上も厳しい質問に答えた。

パンデミックはハイ的企業にブームをもたらした。Amazon’s Jeff Bezos, Apple’s Tim Cook, Google’s Sundar Pichai, and Facebook’s Mark Zuckerbergは、証言の最初に、全員、発言の冒頭で、人びとが彼らの企業が提供するサービスを高く評価してくれている、と主張した。

2020年の前半、世界経済は史上空前の不況にあったが、Amazonの株価は40%も上昇した。Zoomの市場価値はCOVID-19危機が始まってから3倍以上になった。

Google and Facebookは、広告収入の減少から、一時的に苦しんだ。しかし、デジタル広告市場における彼らのシェアは圧倒的で、たとえばUKでは8割である。利用者は無料だと思っているが、the UK Competition and Markets Authority (CMA)の報告書によれば、広告収入のような間接的な形で、そのサービス利用に支払っており、年間、家計当たり500ポンド(656ドル)と推定している。

デジタル・デバイドを解消することが、より緊急の課題になっている。パンデミックはさまざまな形で不平等を強めているが、インターネットやデジタル技術へのアクセスはその中でも最も重大な要因だ。アメリカ国民のなお20%が高速インターネットを利用できない。地方では3分の1の家族が接続されていない。

ギャップの解消には膨大な投資が必要である。収益の見込みがない地方への投資は、民間投資を望めず、政府が主導的な役割を求められる。さらに、5G通信で指導的なファーウェイを政府が利用禁止していることで、困難が増すだろう。

しかしファーウェイ問題は氷山の一角でしかない。論争はハイテク企業の政治と規制を精査する方向に進むだろう。ライセンスの条件や価格設定について、過去の論争が再現される。最も激しく議論されているのは、デジタル企業の市場支配力だ。EUはこの点でUS議会の先を行っている。欧州委員会がハイテク大企業の独占をさまざまな点から是正し、Digital Services Actのような法制化を進めている。

パンデミックで得た短期的な利益より、長期的な政治の介入と規制を彼らは恐れている。


 パンデミックと中低所得国の債務問題

PS Jul 31, 2020

How to Prevent the Looming Sovereign-Debt Crisis

JOSEPH E. STIGLITZ, HAMID RASHID

COVID-19のパンデミックが猛威を振るっている。100以上の低・中所得国が、今年、債務のために1300億ドルを支払うように求められており、その半分は民間債権者に対する支払いだ。経済活動が停止し、税収が大幅に減少している諸国が、デフォルトに迫られる。あるいは何とか債権者に支払うために、必要な公衆衛生や社会支出を削減する。あるいは追加の融資を頼って、世界中で中央銀行が流動性を供給している今、将来の返済をさらに増やすような道へ進む。

1980年代のラテンアメリカが味わった「失われた10年」や最近のギリシャ債務危機が示すように、債務支払いが困難になれば各国は非常に苦しむことになる。今、グローバルな債務危機が多数の人々を失業させ、世界中で社会不安と暴力を噴出させつつある。海外に仕事を求める人が増え、欧米の国境警備や移民管理体制を緊張状態に置く。そして、気候変動から逃れる移民の問題について関心を失ってしまう。

この悪夢のシナリオは、われわれが行動することで回避できる。債務増の期限は、2008年の世界金融危機にある。主要国の金融が量的緩和したことで、低・中所得国の政府債務が3倍にも増えたのだ。それは国際機関や援助機関による「公的」債務に比べて、より危険な市場型の債券発行であった。

20136月に、われわれはこれを警告し、この3月にも、国連は世界の主要開発諸国に債務免除を要請した。G20のいくつかの国やIMFは債務支払いを停止することを認めたが、驚くことではないが、ほとんどの債権者がそれを無視した。結果的に、公的債権者による債務免除から(すべてではないが)最も大きな利益を受けたのは、債務免除を拒んだ民間債権者であった。

債務支払いの一時停止は、過重債務国のシステム的な問題を解決しない。歴史上、多くの国の債務組み換えは遅すぎたし、少なすぎたため、次の危機につながった。アルゼンチンもそうだ。

幸い、私用されることが少ない、他の解決策がある。政府債券の買戻しである。債券買戻しは、企業の財務戦略として普通に行われており、1990年代のラテンアメリカでも、最近のギリシャでも有効であった。債券買戻しは、(新債券や株式への)債券スワップのような厳しい条件を回避できる。

最近、IMFは多国間債券買戻ファシリティ―を提案した。既存の融資枠New Arrangements to Borrowに、他の国際機関やコンソーシアムを加え、さらに、IMFSDRを追加発行することも考えている。IMFは融資枠の利用をオークションにかけるだろう。

長期的には、予測可能な、ルールに依拠した債務組換メカニズムが、アメリカのアの破産法をモデルとして、導入されるべきだろう。それは2008年の国連による改革案UN Commission of Experts on Reforms of the International Monetary and Financial Systemに含まれていた。国際資本市場を破壊する、というよくある反対論は間違いだ。石を絞っても水を得ることはできない。秩序ある債務組換だけが解決策である。われわれの提案はこの目的を達成することで、資本市場の強化にもなる。

パンデミックにおいて、低・中所得国の人びとが負担を強いられている。民間債権者も含めた、包括的な救済が必要だ。われわれにはその手段がある。必要なのは、それを行使する政治的意志だ。

PS Jul 31, 2020

The Pandemic Pain of Emerging Markets

JEFFREY FRANKEL

COVID-19のパンデミックは国によって異なる結果をもたらしている。新興市場と発展途上経済(EMDEs)の中でも違いがある。

ラテンアメリカのEMDEsが最悪だ。東南アジアは最小の影響に抑えている。

ラテンアメリカがコロナウイルスに弱い理由は、人口の都市集中、インフォーマル・セクター、公衆衛生の劣悪さ、国内移住民、など。また、東アジアやアフリカのように、最近、感染症と闘った記憶がない。

地域内の差も大きい。ブラジルとメキシコは、指導者に深刻な問題があった。トランプ大統領が率先したようなパンデミック対策の酷さが共通している。すなわち、深刻な状況を認めない。公衆衛生の専門家を無視する。マスクを付けない、など。

パンデミックの経済効果は、豊かな国より、EMDEsの方が深刻だ。発症やロックダウンの直接的影響に加えて、産油諸国など、EMDEsは輸出、炭鉱業、移民労働者からの送金に大きく頼っているからだ。3月には、投資家がリスク回避を強めたため、資本流出が起きた。その後、アメリカ連銀の金融緩和、刺激策で資金が戻った。しかし、その政策が永久に続くことはない。

アメリカなど、先進諸国に比べて、EMDEsは医療サービスを拡充する財政力もない。広範なマクロ経済的刺激策は取ることができない。一部のEMDEsは、パンデミック以前から深刻な債務問題を抱えていた。

G20は貧困73か国に2020年末までの2国間公的債務の返済猶予を認めた。しかし、それは4つの意味で限界がある。

1.猶予ではなく免除にするべきだ。2.世界最大の公的債権国となった中国の参加が不明確だ。3.猶予には民間債権者が含まれない。債務組換が必要だが、それには民間債権者を含めるべきだ。4.中所得国のいくつかも含める必要がある。

EMDEsは、貿易によって成長し、債務返済をする必要がある。しかし、世界貿易は崩壊し、1930年代のような関税戦争と世界不況になるかもしれない。

COVID-19の世界的な感染拡大は続くが、その大きな代償を人々が払うのは、無能な政治指導者、多角的な国際協力体制が崩壊した結果である。EMDEsの市民はその典型だ。


 広島の75周年

The Guardian, Sun 2 Aug 2020

A nuclear arms race in space? It seems we've learned nothing from Hiroshima

Simon Tisdall

715日、ロシアは宇宙空間における人工衛星を破壊する実験を行った。ハイテク、ハイリスクの、すべての核武装諸国を含む軍拡競争が進んでいる。

今週は、広島、長崎に原子爆弾が投下され、20万人以上が亡くなった日の75周年である。しかし、高度な核兵器を開発する陰鬱な試みをやめるよう警告する声はない。例年と異なり、不気味な沈黙が支配する。

FP AUGUST 6, 2020

The Hiroshima Effect

BY MICHAEL HIRSH

現代の指導者たちは、広島を超える恐怖が起きないように何もしていない、とわれわれは誤解している。何かしているとしたら、歴史をごみのように無視するドナルド・トランプ大統領のように、核が使用するほうに向けて動いている、と。

広島から75周年を迎えて、われわれは幸運だった。キューバ危機を含む、いくつかの核戦争に向かう危機はあったが、3日後に長崎に使用された2つ目の核爆弾を除いて、2度と使用されなかったからだ。旧核保有国間の緊張が高まり、国際秩序を荒らす国家rogue nationsやテロ集団が核兵器を使用することはなかった。

75年間も戦争で核兵器が使用されなかったのは、まさに奇跡としか言いようがない。」 オバマ政権の幹部Alexandra Bellはそう語った。普通の人たちが思う以上に、われわれは核戦争の深淵をしばしばのぞいた。不幸にして、歴史と法の力はわれわれに味方してくれない。世界には、今も、14000発の核爆弾がある。

トランプは、歴史の教訓を否定し、真珠湾攻撃以前の「アメリカ・ファースト」孤立主義を掲げる政権を作った。核の脅威を減らすことにまったく何の貢献もしなかった、60年間で唯一人の大統領だ。

すでに、新しい軍備拡大競争が始まっている。ロシアは、原子力で飛ぶ巡航ミサイル、超音速の兵器、核弾頭を搭載した魚雷など、新戦略システムを開発し、アメリカのミサイル防衛システムを回避する核兵器を増産しようとしている。トランプ政権も、これに対する防衛力ではなく、同様の武器を開発している。

トランプは、アメリカの同盟国である韓国や日本に対して自国で核武装しろと促し、アメリカが防衛しないと脅した。それは核の拡散、核兵器の使用に向けてリスクを高める姿勢だ。イランとの国際合意を破棄し、核武装した北朝鮮に危険な挑発を行い、中距離核戦力全廃INF条約も破棄した。

「サイバー戦争、人工衛星への攻撃など、防衛システムが存在しないことに対して、各国はAIで対処するだろう。」 それは意図しない形で核戦争を始めてしまう。精密誘導・標的兵器の発達は、都市攻撃による市民の大量殺戮を、好ましくない、不必要な選択肢にした。都市に対する核攻撃は、現在、さまざまな国際法や条約で禁じられている。

しかし、この傾向に従うのは少数の先進諸国だけだ。長距離ミサイルが弱い国家にもわたっている。核兵器もそうなるだろう。韓国、トルコ、サウジアラビアに、核武装の懸念が高まっている。日本でさえ、、中国の脅威に直面する中で、抑止力となる技術を求めている。

広島と長崎に対する日本人の反応は、核攻撃より多くの犠牲者をもたらした、第2次世界大戦における67都市が受けた爆撃とともに、矛盾を含んだものだった。今もなお、広島平和記念ミュージアムは、原爆が無から現れたかのように示している。それに先立つ日本帝国の侵略と蛮行があったこと、トルーマン大統領の決断を無視している。

安倍晋三など、最近の首相たちがナショナリストの主張を示すこともあるが、日本では極右の影響が限定的だ。東京は今も、アメリカの核の傘によって守られていることに満足している。広島、長崎の人びとは、核攻撃を行ったアメリカ人の犠牲者であるというだけでなく、頑なに降伏を拒んだ自分たちの政府の無責任さにも憤慨した。

日本人は、平和教育を広め、武力の行使と核配備を放棄し、国民の精神、そして憲法にそれを組み入れた。核攻撃はアメリカも苦しめ、その姿勢を変えた。アメリカは2度と核を使用しない、特に、アジアでは使用しなかった。

いかなる国も、75年を経て、なお核攻撃の衝撃から完全には回復できなかったのだ。おそらくそのことが、75周年の最良の希望である。


 EU復興基金

PS Aug 5, 2020

Avoiding the Japanification of Europe

LUCREZIA REICHLIN

政府債務と中央銀行のバランスシートが急速に膨張している。この事態は先進経済にとって新しい世界である。1つを例外として。それは、日本だ。

もはや1990年代の「すてきな」世界ではない。安定したインフレ、生産の着実な拡大、財政の健全さ、インフレ目標に対して短期金利を調整するという中央銀行の限定された仕事、そういう世界であった。

新しい世界は、1970年代の混乱期とも異なる。そのころは、高インフレ、生産の浮動性、放漫財政、過度に緩和された金融政策であった。

現在、インフレ率は低く、このまま低い状態が続くだろう。金融政策は高い信頼を得ている。しかし、先進経済は金融政策と財政政策の区別がつかない状態に向かっている。各国の債務水準を安定化することは現実的でない。

日本は長くこういう状態であった。非常に低いインフレ率、マイナス金利、政府債務のGDP比が200%を超え、国債の70%を日銀が保有する。デフレ・スパイラルを避けるために、金融と財政とを創造的に統合する必要がある。

そのカギは、財政・金融の新しい機関を設けて、名目GDPを目標に採用することである。こうすることで、中央銀行が財政的な赤字拡大に協力しても、それはデフレ脱却のためであることが明白になる。多くのサプライ・ショックが予想される時代に、財政・金融当局は、協力して名目GDPの目標を達成する。

EU指導者たちにはルールの根本的な改訂の機会がある。COVID-19のショックを経て、未来志向のルールを示し、EUをブロックとして改善するべきだ。さもなければ、それは日本が示すような、非常に厳しい状態になるだろう。


 台湾の防衛力強化

FP AUGUST 4, 2020

Arm Taiwan—but Skip the Nukes

BY BRADLEY BOWMAN, ANDREA STRICKER

台湾外相Joseph Wu7月後半に、中国本土からの対話に対する軍事的脅威が高まっている、と警告した。アメリカ国防総省長官Mark Esperも「新しいレベルに達した」と述べた。

アメリカでは様々な軍事援助の議論が起きている。なかには台湾の核武装を示唆する者もいる。

1979年の台湾関係法the Taiwan Relations Actは明確に述べている。「台湾の将来を平和的な手段のほかの形で変える試み」は、「西太平洋の平和と安全保障への脅威」であり「アメリカの深刻な懸念事項」である、と。

しかし、中国共産党が考えているのは平和的な手段ではない。中華人民共和国市場で最も野心的な軍事的近代化だけでなく、その軍事力を使って台湾を威圧し、強制してきた。昨年は初めて、中国の戦闘機が台湾海峡の中間線を超えて侵犯した。その傾向は強まり続けている。

アメリカは何をなすべきか? Michael Rubinthe American Enterprise Institute)は抑止力としての中距離核兵器を配備するよう示唆した。しかし、それはむしろ攻撃を誘発するだろう。北京政府に、リスクが低いうちに台湾攻撃するデッド・ラインを示すことになるからだ。北京が知る前に秘密裏に持ち込む、と言うが、危険な賭けである。

台湾に核兵器を配備することは、核拡散防止体制に打撃を与え、国際的な非難を呼び、台湾を孤立させる北京の外交的勝利につながる。アメリカは、1977年、1988年に、台湾が核兵器を得る試みを阻止したが、その根拠は今も正しいものだ。しかし、それはワシントンが現状維持を望むという意味ではない。北京は香港に関する条約に従わず、権威主義的な権力を強化し、軍事演習と挑発を続けてきたことは、次の標的が台湾であることを示唆する。

台湾関係法に従い、ワシントンは台湾が十分な防衛能力を保持するよう助けるべきである。

中国の外交・安全保障政策は、2012年に、習近平が共産党委員長になったときに敵対的になった。もし北京の攻撃的な姿勢が、アメリカから台湾への武器売却という対応をもたらすだけなら、南シナ海、香港、インドとの国境で、北京はエスカレーションをどう考えるだろうか? アメリカがこの数年に台湾へ提供した武器には、Stinger missiles, F-16C/D fighters, MK 48 torpedoes, upgraded PAC-3 missiles, and M1A2T tanksが含まれる。

しかも、北京が軍事的な再統一を受け入れ可能なコストでは実行できないと示すには、台湾が非対称的な防衛力を持つべきだ。例えば、海岸線に巡航ミサイルを含む、大量の対艦ミサイルを配備する。海軍による防衛用の機雷、短距離防空システムもそうだ。

ワシントンは国際法が許す飛行と航行を、台湾海峡でも続ける。台湾の防衛に関するアメリカの関与と支援は、北京との抗争を刺激しないように行う。武器売却だけでなく、アメリカは台湾の兵士に訓練プログラムを定期的に実施する。北京の挑発が続くなら、小ユニットでの国防訓練に拡充する。日本やオーストラリアのような友好国を、この訓練の監視、そして参加に招待するだろう。また、海軍ではなく、アメリカ沿岸警備隊の船艇を派遣する。

北京は台湾を恐れている。台湾が繁栄し、活気ある民主主義を実現しているからだ。中国共産党の支配に代わるものを示している。軍事的なバランスが台湾から北京に有利になれば、台湾への威嚇は強まるだろうが、それを抑えるのは核配備ではな。アメリカが台湾の国家安全保障を優先課題として示すことだ。

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The Economist July 18th 2020

Oil and the Arab world: There will be pain

The Arab world: Twilight of the petrostates

(コメント) 他の記事は、ざっと見た感じでは、ポイントがわからない。

冒頭の特集記事は、世界貿易が中国に対する不信によって解体しつつある問題です。知的財産の窃盗やスパイ活動について、産業補助金について、そして、民主化運動の弾圧について、貿易をめぐる不信が固まっています。

学校の再開。ポーランドの大統領選挙。アメリカの銀行。

アラブ世界の革新圧力は、個々の国家を超えて、石油の富とイスラム教による権力の根本を失わせると思います。そして、問題は次の体制がどうなるか、です。アラブ世界の再編が、イスラエルやイラン、トルコの影響によって、それらの地域国家の革新も含めて加速するのか、崩壊と新しい独裁や小国の分裂や内戦に向かうのか。

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IPEの想像力 8/10/20

先日、炎暑の中ですが、信貴・生駒縦走を実行しました。

始発のJRで三郷駅に着いたのが5:44でした。早朝、人通りはなく、信貴山寺に向けて登りました。6:43に、赤い開運橋?を渡って、本堂へ。でも誰もいません。

日曜日でした。しかし、お寺の勤行に、日曜日とはいえ、暁闇から掃除や修行の若い僧侶がいるのか、と思いましたが、・・・無人です。そういうものなのでしょうか?

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感染予防に炎暑が加わって、ますますお店に来るお客さんは減るように思います。コロナウイルスによる企業の倒産が増えている、とニュースが伝えています。

コロナウイルス対策は迷走しています。ロックダウンはしたくない。「Go To キャンペーン」はやめない。矛盾した姿勢を正す気持ちはない。

10万円給付や、アベノマスク配布は、その効果を十分に事後評価するべきです。下請けの仕組みも、きわめてずさんで、無用な出費や時間を浪費したのではないか? 書類や記録を示して説明するか、そうでなければ、大臣や首相は辞任するべきだと思います。

コロナウイルス対策が焦点を失いつつあるのは、感染症の専門家と、景気悪化や財政赤字を恐れる政治家・経済学者とが、あいまいな不満を述べ合うからです。本当に困っている中小企業や職を失った人には、何の助けにもなりません。

武漢と、北イタリアとニューヨーク、あるいは、東南アジアや日本とは、同じウイルスなのか? 死亡者数の違いは、医療崩壊だけでは説明できないように思います。

感染拡大のスピードと死者数が少なければ、問題は、倒産防止や債務処理、生活費の支給、失業対策になってきます。莫大な財政赤字が、その後の、どのような社会や経済を実現しようとしているのか、政府や専門家は何も示しません。

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信貴山からハイキングロードがどこにあるのかわからず、高安山の標識を観て、坂道を下り、とうとうふもとの畑まで降りてきました。そのうち別の道があるか、と思ったのですが、失敗です。

縦走路は、峰をつなぐ信貴生駒スカイラインに沿ってアップダウンしており、やむなく再合流のために峰をめざしました。

天理教の教祖の娘が大阪への布教のために越えた、という十三峠 8:38。展望台では、隣のベンチにとまった蝶の写真を記念に。なるかわ峠のやたらに多い標識は、そこまで峰から下ってくることが嫌になったころ、やっとありました。

10:12 暗峠は、お伊勢参りの旅人でにぎわったそうで、関西の文学作品にも出てくるようですが、いまはジュース・軽食の茶店だけ。標識が不親切で、ようやく建物の間の路地を進む。

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「危機を無駄にするな。」 政治がそう求めている、と読みます。

たとえばJ. スティグリッツの提案(Asahi Shinbun GlobeBS/NHK)を、日本はどう受け止めるのか? 「小さな改革ではなく」、教育システム、税制、市場独占に対する大きな改革を実行せよ。ベーシック・インカムより、雇用の促進策。グローバル化を否定するより、再定義するべきだ。

スティグリッツは、マイナス金利になった世界を、市場がうまく機能していない、という。なぜもっとグリーン社会に向けた長期投資が起きないのか。金融市場と資本主義の本質が間違っているからだ。それを放棄するのではなく、改革せよ、と。

2008年の金融危機後に、あるいは、日本なら2011年の東日本大震災と福島原発事故後に、どういう経済・社会を求めているのか、われわれは問われた。もし危機から回復したとき、化石燃料に依存した、格差の大きな、大企業が支配する硬直した経済なら、これほど莫大な財政支出は何のためであったのか、と思うだろう。

そして、財政危機と負担をめぐる政治危機が噴出する。

記事によれば、確かに何かが起きている。屋久島のエコツーリズムやテレワークの誘致。農村の貧困脱出に、ビジネスを起こす。難民キャンプにも仕事が生まれる。コロナ危機まで、北海道のスキー場では英語が広く使用されるほど外国からのツーリストでにぎわったが、ホテルで職を失った外国人は、「外国人技能実習生」が失われた農場の穴を埋めた。

こんなに暑いと、移住しかない。季節的な住み替えはどうか。放牧や、渡り鳥のように。都市が感染の震源地として避けられるようになれば、また、高齢者、感染弱者の隔離が進めば、日本の社会地理も変わるのだろう。民主主義が弱ければ、涼しい高所に富裕層が住み、病気の多い低湿地帯には貧困層や労働者、移民が住む。

世界貿易やグローバリゼーションは、もっと抑制され、自給・自律を重視した形に選択が進むかもしれない。AI、ロボットに代替される分野では変化が加速し、コロナの新興産業のために、労働者が雇用される条件を公的に規制する必要があるだろう。

市場のダイナミズムを回復する基本政策と社会制度にむけて、激しいアップダウンが続くと思った。

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10:49生駒山上。電波塔が並ぶ。小さな子供を含む家族連れが、ちょっとレトロな山上遊園地に集まっていた。梅のエキスが入った冷たいジュースを買って、休憩です。感染予防のための検温、アルコール消毒、マスクの着用。

たぶん、高額のホテルや旅館を予約して、観光地に行かなくても、子供たちは楽しかったと思います。暑いのは誤算でしょうが、親にも余裕ができたかもしれない。

これが終点ではつまらないので、宝山寺をめざす。しかし、急な階段状の坂道は、ケーブル線の横をまっすぐに落ちる道で、膝や腰に負担のかかるひどいところだった。

11:29宝山寺・生駒聖天。何度か来ました。本当はここが涼しくて気持ちいいです。多くの参詣者がいたために境内には入らず、ケーブルで生駒駅に降りました。

木陰を歩くので、猛暑は恐れたほどではなく、むしろ、道迷いも含めて、コースのアップダウンがこたえました。良いコースですが、誰でも簡単に歩けるかのように紹介するのは間違いです。北岳や、大杉峡谷も、これと同じくらいの疲労度ではないか、な?

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