IPEの果樹園2020

今週のReview

6/15-20

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人種差別に抗議する ・・・トランプの個人的利益 ・・・ボリス・ジョンソン政権 ・・・コロナウイルスと経済政策 ・・・危機の株価と大企業 ・・・アメリカ社会の選択肢 ・・・キッシンジャーの世界 ・・・ハミルトン・モーメント

[長いReview

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主要な出典 FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Foreign Policy, The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate, VOX: VoxEU.org, Yale Globalそして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


 人種差別に抗議する

NYT June 4, 2020

How to Do Reparations Right

By David Brooks

人びとは、白人と黒人の富の格差を知り過ぎて、疲れはてた。多くの黒人がCOVID-19にさらされている医療格差に、疲れはてた。多年にわたる暴力と、暴力による脅し、アフリカ系アメリカ人の日々の憤慨、この国が何十年も黒人を汚してきたことに、疲れはてた。

フロイドGeorge Floyd殺害はそんな人種的格差において起きた。YouTubeのビデオが示したのは、1つの事件ではなく、毎日続いている黒人の生活である。それが大規模な抗議デモにつながった。

裕福なマンハッタンの人々が暮らす宇宙と、数マイルしか離れていないブロンクスで暮らす人々の宇宙は、人種的な格差を示す。警察改革だけでは足りない。もっと大きな格差をなくす努力が必要だ。

そのために取るべき方法は、賠償と統合化である。賠償とは、数世紀にわたる奴隷制と差別に対する謝罪、それを減らすためにお金をかけることだ。奴隷の子孫を探して、金を支払う、というのは間違った方法だ。誰に支払うべきか、という破滅的な論争と、最後に、持続的な変化をもたらさない1000ドルを支払うだけだ。

近隣地区に賠償金を支払うのが正しい。

フロイドが殺害されたミネアポリスでは、20世紀初めに白人だけが住む合意によって、黒人はますます小さな地区に押し込まれた。ハイウェーが黒人居住区を引き裂いて、その経済的活力を失わせた。

すべてのコミュニティーを統合するべきだ。子供を育て、大人を支援し、ローカルな経済に活気を与え、市民生活を豊かにするのはコミュニティーである。

何をするべきか、は住民たちが知っている。政府は、コミュニティーの若者たちが組織を通じて活動するのを支援すればよい。改革の時代には、政府が国中に図書館を立てた。それらは今も近隣地区の重要なセンターだ。からっぽの商業地区がある。子供たちが、幼児から大人まで、すべての集団にとって、働き、協働するためのOpportunity Centersを建てるべきだ。

確かに、それは以前試みたことだ。「偉大な社会」の「コミュニティー・アクション」計画がそうだ。しかし、それは最悪の失敗に終わった。活動家たちと政府職員との間で対立を刺激するアジテーターが入り込んだ。

混乱の中に、われわれの歴史を開くチャンスがあり、賠償はそのための1つの条件だ。活気ある近隣地区では、多様な人びとがともに暮らし、舗道では子供たちが遊ぶ。首の後ろに膝を乗せて押しつぶすことはない。

The Guardian, Fri 5 Jun 2020

The Guardian view on race and America: learning from a King

Editorial

196844日、マーチン・ルーサー・キングJrは、地元の牧師に電話し、日曜日の礼拝で説教のタイトルを伝えた(“Why America May Go to Hell.”)。この公民権運動の指導者は、アトランタのEbenezerバプティスト教会で、教区民に話す前に、銃撃されて死亡した。それから数週間、アメリカは破滅に向かう道を観た。キング殺害はアメリカ中に、南北戦争以来、最大の社会的騒乱をもたらした。暴動は130の都市におよんだ。その年の11月、リチャード・ニクソンが法と秩序を約束して勝利した。街頭の暴力が暗黙の偏見を強めたからだ。ドナルド・トランプは同じことができると考えている。

しかし、歴史は繰り返さない。

「暴動は、その声を聴いてもらえない者たちの言葉である。」 とキングは言った。「われわれの国の暴動の夏は、改革の遅い冬の時代によって起きている。アメリカが正義を延期する限り、暴力と暴動は何度も、何度も起きるだろう。社会進歩と正義だけが、暴動を抑える絶対的な保証なのだ。」 アメリカは彼らの声を聴くだけでなく、行動しなければならない。

FT June 5, 2020

Four generations of black Detroiters on the legacy of George Floyd

Patti Waldmeir in Chicago

FT June 6, 2020

Policing in the US: ‘If coronavirus doesn’t kill us, the cops will’

Joshua Chaffin in New York

ドナルド・トランプは、3年前に、ロングアイランドで、そのほとんどが白人の警察官たちの前に立った。そして、少しプロの助言をした。法と秩序を自認する大統領は、“Please don’t be too nice!” と言って、警察官たちの喝さいを浴びた。

警察官がジョージ・フロイドを殺害し、この半世紀で最悪の、社会騒乱が起きても、トランプはその姿勢を変えるつもりはないようだ。

しかし、多くのアメリカ人はそうではない。人種的に分断され、政治的に苦悩する国民の治安をもたらす方法が改革されることを望んでいる。それには部分の改革を積み重ね、あるいは、全体を根本的な変えることも議論されている。

「たとえコロナウイルスを生き延びても、警察官に殺される」と、木曜日、ニューヨーク州議会のDiana Richardsonは抗議する人々に語った。「ニューヨーク警察は制御不能である。」

肌の色に基づいたヒエラルキーが社会によってできている。警察署も、一般の警察官を代表する組合も、大きな政治力を持っている。

アメリカの警察官と市民たちとの関係は複雑だ。高齢者を倒したまま、出血していても、通り過ぎる。あるいは、棍棒を下して跪き、連帯の意志を示す。平和的に一緒に行進することもあれば、夜間の略奪や、倒れた警察官を板で殴る者もいる。

6年前にはEric GarnerStaten Island, New Yorkで殺害された。それから1カ月もたたずに、黒人の若者 Michael BrownFerguson, Missouriで殺害された。Campaign Zeroによれば、警察官による殺害は、毎月100件ほどで安定している。公民権運動の最も重要なテーマはこれだった。この50年間で大きく減少したが、SNSの発達で、より注目されるようになっている。

William Brattonは、ジュリアーニ市長の下で警察長官だった。ニューヨークをブロックごとに調査して、「割れた窓」と犯罪を結び付ける統計を駆使して、より少ない警察官で、犯罪を大幅に減らした。Brattonは、ロサンゼルスに移動し、またUKのキャメロン首相にも助言した。

しかし、「割れた窓」式のアプローチは、コストを抑えて逮捕を増やすために有効であるとしても、そのような警察を市民は好むだろうか? それは社会の分断や人種差別を助長するかもしれない。犯罪はどこでも起きるが、警察は、貧しい、有色人種の地区ばかり取り締まる。

警察がペンタゴンの余剰となった軍備を使用することもコミュニティーで論争になった。2014年、ファーガソンで重装備の警察が群衆をコントロールするため展開したとき、それはまるでイラクのファルージャに展開する海兵隊のようであった。オバマはこれを重視し、制限したが、トランプは、望むものは何でも使え、とロングアイランドで指示した。

警察官に責任を問うことが必要だ。カメラによる記録の義務付けは、それほど効果を発揮していない。ルールを逸脱した行動には解雇や逮捕がふさわしい。しかし、検察も裁判所も警察官を告発し、有罪にすることに消極的である。警察官の組合は強く抗議する。過去8根間で、ミネアポリスの市民から3000件の申し立てがあったけれど、解雇された警察官はわずか5人だ。

The Guardian, Sun 7 Jun 2020

Racism in America is not the exception – it's the norm

Nesrine Malik

FP JUNE 8, 2020

Explaining America to the World

BY AMY MACKINNON, DARCY PALDER

PS Jun 8, 2020

Rage Against the Pandemic

BARRY EICHENGREEN

PS Jun 8, 2020

Explaining the Pandemic Performance Differential

JIM O'NEILL

各国のパンデミックに対する制御能力は、巨大な公共インフラを整備することを通じて示された、過去の経済成長を支持する政府の能力と比例している。

FT June 9, 2020

Coronavirus fuels black America’s sense of injustice

David Crow in New York

NYT June 9, 2020

Let’s Change Our Motto to ‘Out of Many, We’

By Thomas L. Friedman

PS Jun 10, 2020

Less Globalization, More Multilateralism

KEMAL DERVIŞ

COVID-19は、グローバリゼーションの棺桶に打つ最後の釘である、と世界銀行の新しいチーフ・エコノミストになったCarmen Reinhartは述べた。しかし、ある種の脱グローバリゼーションは経済的な破滅ではない。効果的な、グローバルな協力を強めれば、利益を、そして、頑健さ、安全、持続可能性を高める利益を最大化する。

FP JUNE 10, 2020

Forget the G-7, Build the D-10

BY ERIK BRATTBERG, BEN JUDAH

NYT June 10, 2020

How Much Is America Changing?

By Thomas B. Edsall

アメリカは政治的な分岐点で、根本的な転換を遂げるのか?

ジョージ・フロイドのあまりにも野蛮な殺害事件、COVID-19のパンデミック、全国規模のロックダウン、経済不況の拡大、大統領選挙。そして、民主党はマイノリティーと白人のリベラル派とをつなぐ政治同盟を形成できるのか?

人種に関連した問題で、世論は左派にシフトしている。しかし、民主党内には差異が存在する。Black Lives Matterの創設者の1Opal Tometiが、多くの黒人たちの日常生活から生まれる抗議と、ロックダウンを強いられ、仕事もなく、時間があるからデモに参加するという人たちの違いを指摘する。また、共和党のTed Cruzは、フロイド殺害には一切の合法性がない、と断りながら、暴徒やラディカルに乗っ取られる、略奪や犯罪、アメリカ人への脅威と恐怖を語る。

Lilliana Masonは、事件と抗議デモをつなぐ背景を考える。主要政党が、多くのアメリカ人の正義を否定するような、歴史的な人種的(そしてジェンダーにも差別的)ヒエラルキーを維持してきた、と指摘する。

白人至上主義は共和党内でもっぱらパワーを拡大している。それは民主党内に、それに対抗する政治同盟を促す。われわれは北人至上主義を終わらせる全国民的な再考を始めているのかもしれない。

Celinda Lakeは、最近のトレンドを整理する。@警察と人種差別への強い反省。Aビデオをきっかけに転換が始まる。Bトランプ大統領の対応のまずさ。国民感情や和解の必要性を理解しない。C若者は多様であり、女性たちは怒っている。D軍や警察からも反対される。

人種差別に関するリベラルな転換に対して楽観的な意見がある。Julie Wronskiは、白人と黒人の民主党員に、「平等主義のイデオロギー」に関する連携が強くなっている、という。抗議デモは、そのレトリックに慎重な判断を重視するべきだ、という。「警察署の解体」をスローガンにしないことはその意味で重要だ。

政治的コミュニケーションには、もっと穏健な主張が中心になる。Vesla Weaverは最も楽観的な意見だ。黒人差別からの解放、それを無効にするこれまでの主張は支持されていない。「法と秩序」に焦点をあてることも失敗した。粘り強く変化を求め、改革を正規の手続きで進める、抗議活動と犯罪者とを峻別する。2008年の大統領選挙に示されたように、人種を超えた連携が生まれる。

しかし、Candis Smithは警戒している。歴史は、平等主義の原則を支持することと、平等化のための政策転換を有権者、特に白人のアメリカ有権者が支持することは、違うものだ、と示している。警察の暴力に反対する。さらに、教育や医療に関する平等性を支持するだろうか? 資産保有の格差を平等化する、というのは支持するだろうか?

Antoine Banksは、世論調査で短期的に左派に傾いたとしても、長期的に白人の人種に関する態度はかなり安定している、という。2大政党と活動家たちが、人種を政治に利用する点で、変化が求められる。

アメリカ人は人種的な不正義を認めた後、歴史上、急速にその関心を失った。人種差別を認めて、変化は起こらず、それで問題は終わってしまう。1960年代もそうだった。人びとは、多くの白人も、黒人の子どもに警察が犬を使って攻撃することに憤慨した。しかし、黒人に経済的な平等を実現する要求には忍耐を失った。自分たちのコミュニティーを変えることは拒んだ。

トランプとその戦略家たちは、再選キャンペーンに何が利用できるか、考えている。「民主党は警察を解体するぞ!」という見出しがe-mailの見出しに必ず入る。「アンティファの殺し屋ども」がコミュニティーを破壊する。

トランプは、それらを大都市の民主党市長たちの削減案を結び付ける。ある調査では、「全国規模の抗議活動で暴力事件を起こしている責任は誰にあるか? デモ参加者か、警察か?」と尋ねたところ、45%はデモ参加者、35%は警察、と回答した。

Todd Gitlinは、1960年代の運動を、反戦、ニュー・レフト、ユートピア的な社会批判であった、と考える。それはカウンターカルチャーに向かい、政治運動ではなかった。今は違う。人種差別に抗議する人たちは、有権者登録をして投票することを推進している。法律を変え、政治を変える。

Ronald Inglehartは、白人労働者階級が、システムは操作されている、だまされた、という感覚を強く持っている、と指摘する。それが左派的なシフトになるが、人種差別については、コロナウイルス危機や経済不況で、むしろ政治的に操作されるリスクが高い。

Stephen Vaiseyによれば、これは長期的な、旧世代の死滅と世代交代による変化である。

Tim Scottは、アメリカ人はこうした人種的な偏見と暴力が日常的に起きていることを知っていた。アフリカ系アメリカ人に対する暴行を黙認してきた。その状況が、初めて変化したのかもしれない、という。抗議デモを観ればわかる。「7割が白人、3割が黒人」に見える。この違いは重要だ。

The Guardian, Thu 11 Jun 2020

Fighting over statues obscures the real problem: Britain's delusion about its past

Martin Kettle

FT June 11, 2020

Fiction gets real: brave stories for troubled times

Nilanjana Roy

FT June 11, 2020

Why the US risks a new epidemic of violence

Simon Kuper

FT June 11, 2020

US cities need more than ‘Kumbaya’

Patti Waldmeir


 トランプの個人的利益

NYT June 4, 2020

Donald Trump Is No Richard Nixon

By Paul Krugman

突然、あらゆるところでニクソンの時代がこだまするようになった。ドナルド・トランプは巧妙に、ツイッターでニクソンの遺産である“LAW & ORDER!” を広め、明らかに、その政治的資産が奇跡的に回復するのを願っている。

トランプが、アメリカの諸都市に軍を展開すれば、いつか罪のない市民たちが銃撃される恐れは強い。

しかし、ドナルド・トランプはリチャード・ニクソンではない。もっと、ずっと悪い。そして、2020年のアメリカは1970年と違う。われわれは国民としてよくなっているが、民主主義ははるかに壊れやすくなった。それは共和党がひどく腐敗しているからだ。

ニクソン同様、トランプも白人の反発を自分の政治利益にしてきた。そしてトランプも、法律を守るのは「ちっぽけな人びと」だけと考えている。

しかし、ニクソンは臆病者ではなかった。抗議デモの間も地下壕に避難せず、リンカーン記念堂ではデモ隊と話すために出ていった。ニクソンの戦略はシニカルで無慈悲なものだったが、彼は頭脳明晰な、仕事に熱心に取り組む人間だった。大統領の任務を真剣にとらえていた。

ニクソンが残した政策は、驚くほど積極的なものだ。特に、他のすべて大統領よりも環境保護に貢献した。また、ウォーターゲートの直前まで、医療保険の範囲を拡大することに努めていたが、それは多くの点でオバマケアに共通する改革だった。

対称的に、トランプは、ツイッターへの書き込みとFox Newsを観ることに日々を費やしているようだ。彼の政権は、2017年の減税がその成果だが、目的とした投資の増大は起きなかった。COVID-19に対する無視、無知、無策はパンデミックを抑制できないものにした。

しかし、アメリカは人種差別主義を大きく抜け出し、1970年より、ずっと寛容な国になっている。システムが帯びた人種差別はなくなっていない。それどころではない。しかし、多数派は人種差別を認め、それを問題と考える。ニクソンが「サイレント・マジョリティー」とよんだ人々は、今では、人種を騒ぎ立てる少数派である。

この国の民主主義は危機にある。法の支配や民主主義の価値が敵に包囲されている。アメリカはまだ、事実上、一党独裁のハンガリーのようになっていない。しかし、それは遠い将来ではない。もしトランプが再選されれば、それは今年始まるだろう。あるいは、敗北しても、その結果を受け入れることを拒否するだろう。

トランプの権威主義的な本性は明らかだ。外国の強権的指導者を称賛し、法律の執行を軍事化する欲望を従来から示してきた。もし共和党が、1970年代のような、多様な見解を包摂する、原則に従う人々として上院を動かしているなら、大統領の地位を奪うこともしただろう。しかし、今の共和党は、トランプと同じくらい権威主義的で、反民主的である。

たとえトランプが軍事クーデタで権力を握っても、共和党は反対しないだろう。むしろ、それを称賛する。

PS Jun 5, 2020

American Exceptionalism in the Age of Trump

JOSEPH S. NYE, JR.

アメリカの外交において、モラルが重要である。アメリカはしばしば、自分たちの国を例外と見る。それは、自分たちのアイデンティティーを、エスニシティ―によってではなく、リベラルな社会観、政治・経済・文化的な自由に依拠する生活についての考えによって定義するからだ。しかし、ドナルド・トランプ大統領の政権はこの伝統から逸脱した。

両側を2つの海に守られ、弱い隣国しかなかったため、ヨーロッパの勢力均衡に加わらなかった。しかし世界最大の経済になり、第1次世界大戦に参戦して、これに加わった。

2次世界大戦後は、アメリカ経済の規模が例外主義の第2の源泉であった。大統領たちは、安全保障の同盟関係、国際機関、相対的に開放された経済政策を、1つのシステムとして築き上げた。今、この「リベラルな国際秩序」が疑われている。中国など、新興諸国が現れ、また民主主義の中から新しいポピュリズムの波が起きている。

トランプはこのムードを満たして、2016年の大統領選挙で、主要政党の大統領候補になった。しかし、アメリカ国民は1930年代の孤立主義に戻りたいと考えていない。

アメリカが直面している真の問題は、例外主義の2つの側面にうまく応えることだ。すなわち、軍事力に寄ることなく世界に民主主義を広め、同時に、国際機関を尊重する。

この問題は、COVID-19対策や、地球温暖化に関する、中国との関係に支援されている。

FP JUNE 5, 2020

Hundreds of Former National Security Officials Condemn Trump’s Response to Protests

BY JACK DETSCH, ROBBIE GRAMER

NYT June 6, 2020

Bonfire of Trump’s Vanity

By Maureen Dowd

FP JUNE 6, 2020

The World’s Weakest Strongman

BY STEPHEN M. WALT

大規模な抗議デモが政府の強制機関に逆らって行進するとき、何が起きるかを予測することは難しく、ほとんど予測不可能である。

ドナルド・トランプ大統領(そして他の暴力を好む共和党上院議員Tom Cottonなど)は、デモ行進を終わらせるのは無慈悲な武力行使だけである、と考えているようだ。それは考え直す方がよいだろう。圧倒的な武力が効果的な場合もある。特に、体制の安定性が脅かされ、大衆がそれをおおむね支持し、命令に従って治安部隊が乱暴な排除を行うときだ。しかし、イランの国王や他の独裁者が知ったように、強硬策は平和的な抗議を暴動に変え、より多くの人が反対する行動に参加し、治安部隊も立場を変え、あるいは、解体するかもしれない。たとえ独裁者が最終的に「勝利」しても、シリアが示すように、その国は廃墟になる。

抗議デモの圧倒的に多くは平和的に行われる。暴動や略奪は例外的な事件である。警察が過剰な反応で暴力を拡大することもあった。

デモ隊は憲法を守るように求めている。逆に、憲法の秩序を脅かすのは、ホワイトハウスそのものだ。だから米軍の指導者たちから反対する声が公然と上がるのだ。アメリカ国民は「征服する」ような戦場ではない。軍の本来の目的は、憲法を維持し、この国を外国の敵から守ることであって、大統領の個人的な政治的資産の増やすことではない。

1つ、はっきりしたことがある。それは、無能で、ますます絶望状態にあるトランプ大統領にとって、ほかに手持ちのカードがないことだ。経済は落ち込み、回復策もない。パンデミックを放置し、外交でも敵を助け、同盟諸国を怒らせ、何1つとして成果はない。

それゆえ彼にできることは、分断を悪化させることだけである。アメリカ史上初の、公然と自国の暴力や無秩序を奨励し、それが自分の政治的な利益になる、と本気で確信している大統領なのだ。リチャード・ニクソンでも、ここまで悪人ではなかった。

私はここで不安を覚える。人種的な不正義に対する抗議デモが、明らかに、理解できることだが、アメリカが直面している諸問題に拡大するだろう。不平等について、経済・政治エリートたちについて、警察官の暴行、ウォール街のインサイダー、外交専門家たちにも、怒りが向かっていく。エリートの裏切りと特権に関する広範な認識が、トランプやサンダースのような、似たところのない、政治的な主流になるはずのなかった男たちを政治の煽動者にした。

2016年に、トランプが選挙で叫んだことは、今では詐欺師の約束だったと分かっている。しかし、今から11月まで、怒りのレベルはますます高まっていくだろう。人種差別の問題を超えて拡大する。それを操るのはトランプだ。炎上する家にガソリンをかけ、それが失敗した政治の復活になることを望んでいる。彼の政治教本は1つである。アメリカで起きている問題で、中国を責め、WHOを責め、ペロッシ、オバマ、ヒラリーを責める。その他、何でも責めるだろう。自分以外ならだれでもよい。ジョー・バイデンを侮辱し、彼の家族についてスキャンダルをねつ造する。

抗議デモを軍によって弾圧し、選挙を延期する口実もバー司法長官に考えさせるだろう。治安部隊を使って、特定の投票を妨害するかもしれない。この大統領には限界がない。今や彼には他のカードがない、というのは、そういうことだ。

The Guardian, Sun 7 Jun 2020

Trump uses force as a first resort. And now the firepower is aimed at his own people

Simon Tisdall

重武装した乗り物や兵士が町を制圧し、威嚇する光景は、バグダッドやカブールの住民にとってなじみのものである。先週、ワシントンなど、アメリカの他の都市でも、市民たちが同じ扱いを受けた。

ドナルド・トランプの過剰な反応は、アメリカが国内でも国外でも、武力の攻撃的な利用を最初に選択することを明確に示した。アメリカの警察や、社会全体の軍事化は、911のテロ攻撃に対する反応から始まった。そのときジョージ・W・ブッシュは自国を永久の戦争状態に投げ込んだのだ。矛盾した形で、「テロとのグローバルな戦争」は内外の治安を悪化させた。

ペンタゴン(国防総省)の支出は、今年、7380億ドルにも達した。約1800の法執行機関が80万人の警察官を雇用し、武装させている。

トランプなどが、アメリカの武装警察官をしきりに英雄のように描く。しかし警察官が制服を身につけ、兵士のように武装するとき、当然だが、兵士のように罪に問われないものとして、市民たちを「戦場」で見つけた敵のように扱う。

トランプの恐慌をきたした行動は、軍事力と治安との区別をあいまいにし、愛国心と軍国主義とを結びつける。それは彼が最初ではないが、トランプは国家や憲法に対する忠誠の意味をほとんど考えていない。

トランプは、アメリカの軍事力を自慢し、自分が保有するより大きな、優れた核兵器を自慢する。北朝鮮のような国を、「炎と怒り」で、無節操に威嚇する。軍事パレードで自分を称える。こうした軍事力優先の発想は、アメリカの指導力を失わせ、民主主義的なガバナンスについてのグローバルな大義を失わせる。

国旗に敬礼し、軍隊を支持することは、もし彼らが正しい任務を果たすのであれば、それ自体、何も間違っているわけではない。しかし、そうした行為を象徴的に信じ、自然な感情がトランプのようなデマゴーグによって利用され、軍事力優先、超国家主義・国粋主義、憎悪に満ちた好戦的主張、人種差別や外国人排斥に向かうなら、破局が膨れ上がるだろう。

トランプの市民に対する弾圧は、独裁者や抑圧体制、民衆を殺害する者たちを助けるものだ。

NYT June 7, 2020

Is This the Trump Tipping Point?

By Jennifer Senior

PS Jun 9, 2020

America’s Calamity

ELIZABETH DREW

FP JUNE 9, 2020

The United States Needs German Bases More Than Germany Does

BY MICHAEL JOHN WILLIAMS

FP JUNE 10, 2020

Is America’s Future South Africa’s Past?

BY MARK Y. ROSENBERG

FP JUNE 10, 2020

America the Unexceptional

BY DAVID KAYE

FT June 11, 2020

Cold war with China is the wrong way to define US policy in Africa

David Pilling


 気候変動対策

The Guardian, Fri 5 Jun 2020

The world must seize this opportunity to meet the climate challenge

Andrew Bailey, Mark Carney, François Villeroy de Galhau, Frank Elderson

この危機は、次に来るショックに対して経済を作り変える、人生に1度しかないような機会である。それは、気候変動のショックだ。われわれが、今、行動しないと、次の重大なシナリオは気候ショックになるだろう。COVID-19とは違い、だれもこのショックからは自己隔離できない。

今後、政府が行う刺激策はさらに野心的な計画を含むだろう。金融支援の条件と気候変動対策を結び付けるTask Force on Climate-related Financial Disclosures (TCFD)を創設した。早期の行動が有利であり、集団的な行動が効果的だ。

FT June 7, 2020

This recovery will be greener than the last one

Pilita Clark

PS Jun 8, 2020

Envisioning a Blue Recovery

ERNA SOLBERG, TOMMY REMENGESAU JR.

PS Jun 10, 2020

A Sustainable Recovery Must Be More Than Green

MARK CLIFFE


 ボリス・ジョンソン政権

FP JUNE 5, 2020

No-Deal Brexit Looks Likelier Than Ever After the Pandemic

BY KEITH JOHNSON

FP JUNE 5, 2020

Could the Pandemic Kill the United Kingdom?

BY DAN HAVERTY, AMY MACKINNON

ボリス・ジョンソン首相とUK政府のコロナウイルス対策は、政治的に異なるあらゆる集団から批判されている。それはスコットランド独立とアイルランド統一を促す要因になるだろう。

人びとは、UK政府とアイルランド政府のパンデミックに対する姿勢、あるいは、ボリス・ジョンソンとニコラ・スタージョンの政治指導の違いを実感したからだ。

FT June 6, 2020

The Brexit drama returns, but a suitable ending has yet to be scripted

Camilla Cavendish

FT June 8, 2020

The UK and EU are facing the most extreme version of Brexit

Wolfgang Münchau

EUUKが通商合意できると思うのは愚か者だけである。UKは年末までに合意できない。それゆえ、WTOの合意がUKの通商体制の基本になる。

ボリス・ジョンソン首相には3つの選択肢がある。合意期限を1年か2年延長する。10月までに合意する。合意なしで離脱する。

合意なしの離脱に向けた準備がすでに始まっている。その場合、EUから輸入する場合に関税なしとなるのは、今の100%ではなく、輸入額の44%になる。

最小限の合意にも利益はある。それは将来の「連携」を合意する途に進むという、政治的なものだ。EUが交渉を認めたのは、UKの方が合意を強く望むから、条件で折れるはずだ、と考えたのだ。しかし、UKに規制を押し付けることはできなかった。

EUは政府援助のルールに一定の弾力性を示している。UKは、それと交換に、EUとの競争条件の統一に真剣に取り組む、という宣言を受け入れる。しかし、EUは何が競争条件として同じかを、一方的に決めることはできない。

The Guardian, Tue 9 Jun 2020

Boris Johnson's US trade deal will make Britain a paradise for disaster capitalists

George Monbiot

ドナルド・トランプがバラク・オバマの遺産を一掃するように、ボリス・ジョンソンとカミングスはクレメンス・アトリーのさらに深い遺産を消し去ろうとしている。それは主権ではないし、コントロールを取り戻すことでもない。イギリスの価値やイギリスの自律でもない。それは規制緩和と公共サービスの破壊である。国民にも議会にも反論できないものにする。合意なしのEU離脱と強制的なUS通商合意とを組み合わせることで、政府は広範なルールと規制を取り払ってしまう。そして保守党の財源になるような破滅型資本主義、その他の国民にとっては地獄が待っている。

The Guardian, Wed 10 Jun 2020

The Guardian view on foreign policy after Brexit: a dangerous void

Editorial


 コロナウイルスと経済政策

FT June 5, 2020

The economy won’t snap back after Covid-19

Tim Harford

コロナウイルスのパンデミックが、会社の事務所をなくすのか? 都市は消えるのか? 飛行機旅行も、商業も、劇場もなくなるのか? あるいは、それは春だけの問題なのか?

どんな経済危機でもその判断は難しい。自動的に現状が回復することはない。しかし、驚くべき頻度で、良くも悪くも、物事は旧に復する。911の後もそうだった。

他方、1995年、神戸の震災では、経済が復興したけれど、ゴム靴の産業集積は衰退した。震災前から中国製の靴と競争を強いられていたが、衰退を加速したからだ。

ライブ音楽はなくならないだろう。しかし、飛行機による海外旅行はどうか? 遠隔の技術革新が加速し、世界中どこでも旅行を楽しむ環境を創り出すかもしれない。もし事務所が郊外でできるなら、その仕事は、もっと低コストの国に移転するだろう。

ロボットによる自動化も加速する。他方で、新卒の若者たちは生涯にわたってキャリアに不利益を強いられる。学校に通えない子供たちもそうだ。

FT June 7, 2020

Iceland chief: practical steps to ensure a green recovery

Richard Walker

PS Jun 8, 2020

Which Economic Stimulus Works?

JOSEPH E. STIGLITZ, HAMID RASHID

世界中の政府がCOVID-19対策にグローバルGDP10%を支出する。しかし、最新予測では、これが、政策担当者たちの望むほど、消費や投資を増やさないようだ。

問題は、資金が緩衝材として保蔵されて、支出されないことだ。「流動性の罠」と似た問題である。この刺激策は、正確さを無視して、その時点で急いて実行されたものだ。緊急に流動性を供給しなければ、倒産が急増し、資本が破壊され、回復を妨げる、と考えたからだ。

しかし、今や、パンデミックは数週間ではなく、もっとずっと長期に及ぶことが分かった。これらの緊急支援策は有効ではない。より注意深く、長期的な視点で、審査するべきだ。

今、重視するべきは、リスクを減らし、消費を促すことだ。大量の資金を供給しても、それが支出されない。回復が遅れて、ますます支出に慎重になる。この悪循環を破れるのは国家だけだ。政府が現在のリスクに対して保証を提供する。

また、中国政府がすでに行っているように、期限付きの電子クーポンを提供する。

正しくデザインされない刺激策は、効果がないだけでなく、危険である。それは不平等や不安定を強めて、政府が不況回避のために行動しなければならなくなったときに、必要な支持を得られないだろう。

FT June 9, 2020

Germany’s ‘ka-boom’ stimulus marks a surprising change

Martin Sandbu

PS Jun 9, 2020

The Illusion of a Rapid US Recovery

JAMES K. GALBRAITH

アメリカに抗議デモが広がる中、左派から中道のエコノミストたちは急速な景気回復を予想している。株式相場もそうだ。

その前提になるモデルは、パンデミックを、911のような経済ショックとみなすものだ。確かな構造は変わらず、正常な成長から逸脱した。アメリカ経済の軌道に戻すには、信頼を回復することであり、そのための刺激策が必要だ。つまり「ショック刺激策」である。

この考え方は1960年代以来のすべての不況と回復に共通している。しかし、それではアメリカ経済に生じている3つの重要な変化を無視することになる。すなわち、グローバリゼーション、消費と雇用におけるサービス化、個人や企業の債務依存、である。

主流の経済学は構造的問題を取り上げない。しかし、アメリカの経済的苦境は構造的である。トランプン無能さや、ペロッシ下院議長の政治戦略が失敗したせいではない。成長の急回復を宣伝するエコノミストの言葉を信じて、左右の政治家が支持する巨額の刺激策は、抗議デモに、もう1つの大きな幻滅と不満を加えるだけだろう。

FT June 10, 2020

Economists are hunting for alternative indicators of recovery

Megan Greene

FT June 10, 2020

An open letter of advice to CEOs

Aneeta Rattan

FT June 11, 2020

America is losing the stomach to fight Covid-19

Edward Luce

FT June 11, 2020

Bad things happen when finance front-runs the economy

Mohamed El-Erian

民間部門が債務に頼って拡大した後、コロナウイルス対策でアメリカ連銀がその債務を含めてなんでも融資するようになった。それは金融市場で歓迎されているが、問題がある。

企業は証券化によってレバレッジを増やし、株式の買戻しやM&Aをやって株主に配当を増やしただけで、長期的な成長を損なっていた。もしコロナウイルスの影響が短期で済むなら、景気が速やかに回復して、大胆な金融緩和が正しかった、とわかる。しかし、そうでなければ、民間部門は債務を減らすために苦しい時期が続くだろう。

PS Jun 11, 2020

The Economic Consequences of Disrupted Global Supply Chains

DALIA MARIN

FT June 12, 2020

Tie Covid-19 debt relief to transparency

Jon Temin


 危機の株価と大企業

FT June 5, 2020

Wealthy investors ride the storm

Stefan Wagstyl

FT June 8, 2020

Bezonomics, by Brian Dumaine

Review by Andrew Edgecliffe-Johnson

ベゾスJeff Bezosはわれわれの時代の模範的企業家なのか? 顧客を最優先する揺るぎない信念が世界中のロックダウンされた中産階級に支持され、パンデミックの中でも繁栄し続けている。あるいは、彼はあくどい悪どい大富豪なのか? 税金を渋り、労働者から搾り取ることで、典型的な資本主義を推進し、コロナウイルス危機はアマゾンの便利さが支払っているコストに注目させた。

アマゾンが良いのか、悪いのか、その答えは複雑である。しかし、アマゾンの顧客満足最優先モデルもまた、もはや支配的でなくなった株主利益優先の資本主義をやたらに実現したモデルと同じ、流行ではなくなっている。

FT June 9, 2020

Rising markets and inequality grow from the same root

Robert Armstrong

経済危機にも反応せずに上昇する金融市場は、長期的に、政治的変動を迫るものである。

NYT April 9, 2020

Why Isn’t the Stock Market Reading the Room?

By Spencer Bokat-Lindell

FT June 10, 2020

A market rally built on shaky foundations

FT June 10, 2020

The gap between the haves and the have-nots is widening sharply

Peter Atwater

グローバルな大企業にとって、COVID-19のパンデミックも、より大きな支配に至るでこぼこでしかない。エコノミストたちは文字の型で回復の経路を議論しているが、それに従えば、回復はK字型である。2つの大きく異なる経路が示されているからだ。

中央銀行による史上空前の流動性供給と、投資熱により、株価は急回復するだけでなく、特にハイテク株では、かつてない好調さを示している。他方、債務超過の、建物で小売りを支配していた商店は、パンデミックで死滅した。Neiman Marcus, JC Penney, Pier 1 and J Crewが倒産し、毎日、商店やレストランが閉店している。たとえロックダウンが終わっても、支援金を得ても、顧客は容易に帰ってこないと知っているからだ。

裕福な、自宅で仕事ができる者には、パンデミックは不便であるだけだ。それ以外の労働者は、まったく異なる。エッセンシャル・ワーカーズは、雇用主がパンデミックにふさわしい環境を用意できなくても、働くしかない。

持てる者は旧態に復帰し、持たざる者はますます失っている。世界最大の企業たちは、バンジー・ジャンプのように売り上げを回復した。

過去10年間は、2008年の金融危機から緩やかなK字型回復を経験してきた。回復に向かう信頼のギャップは注意されなかった。しかし今、信頼を低下させた多数の人々の中で、過剰に信頼を高める少数派がいる。

投資家や大企業は、パンデミックを、これまでのように秩序ある形で再配置するだろう。しかし、諸個人にとって、秩序があるとは思えない。ホームレスやパワーを持たない人々の声は聴いてもらえない。市場の回復を信頼できないなら、K字回復の中で、抗議デモや社会争乱が続く。

NYT April 10, 2020

Everything Is Awful. So Why Is the Stock Market Booming?

By Neil Irwin

死者と失業者が急増しているにもかかわらず、株価は上昇し続けた。投資家たちは、政府の強力な支援策と連銀の大規模な追加融資が株価を上昇させ続ける、ということに賭けたのだ。

投資家たちの予想では、パンデミックは過ぎ去り、雇用は回復し、企業が次々に倒産することは起きない。


 アフリカのロジスティクス

PS Jun 5, 2020

Investing in African Logistics

AUBREY HRUBY, AUBREY RUGO


 アメリカ社会の選択肢

PS Jun 5, 2020

The Post-COVID State

DARON ACEMOGLU

世界は過去75年間で最大の転換期を経験しつつある。COVID-19の危機がもたらす社会・経済・政治的結末がどれほど大きいかは、まだわれわれが一部を感じ始めたばかりだ。アメリカでは4000万人以上が失業した。世界中で、数百万人、数千万人が絶対的貧困以下に落ち込むだろう。

特にUSUKで受け入れがたいほど多くの死者が出たことは、両国におけるあまりにも醜い不平等が密接に関係している。

James A. Robinsonと私は、このような状態を「決定的な分岐点」とよんだ。同様の歴史的シナリオがあることを示したのだ。そこでは、社会に深く根付いた不安定性が制度的な変化をもたらす可能性を指摘している。しかし、変化がどのような方向で起きるか、は明確ではない。なぜなら、社会制度、権力構造、政治指導者、その他の要因によっては、分岐点にある社会が根本的に異なる軌跡を描くからだ。

歴史と現状から、4つの可能な道があるだろう。

1は、「悲劇的な旧態復帰」である。機能しない現状が単純に繰り返される。破綻した制度の改革や、経済・社会的不平等は改善されることなく慢性化する。

これが悲劇的であるのは、何らかの仕方で、民主的な政治がその継ぎ目から解体し始めるからだ。ポピュリストのナショナリズムや、もっと悪いものが、旧体制の空白を埋めるだろう。

2は、「軽い中国型の絶対国家」である。われわれは「ホッブズ・モーメント」を生きるようになる。内戦を経験したホッブズThomas Hobbesは、個人が安全であるのは、絶対的な国家があるときだけだ、と主張した。社会が繁栄するには、その意志をリバイアサンに従わせねばならない。それは、COVID-19の大規模な非常事態を管理する国家の教訓でもある。

現代の中国はその顕著な成功例だ。西側の民主主義も次第にプライヴヴァシーや監視に関する懸念を捨てて、中国を模倣しつつある。20世紀の2度の世界大戦は、いったん拡大した政府が容易に縮小しないことを示した。

また、USFBICIAが行き過ぎた監視や強制能力を得たこと、911テロ攻撃の後、USの安全保障国家が、懸念される。

3の経路は、ハイテク企業による支配、「デジタル農奴制」である。もしアメリカ社会が政府や公的機関の能力を信用できなくなれば、特に、トランプ政権の無能さは顕著であるが、アップルやグーグルのような民間企業を信頼するようになるだろう。

しかしパンデミックでも時間が経つほどハイテク企業は巨大化し、格差が拡大している。シリコンバレーは、ベーシックインカムやチャーター・スクール、e−ガバメントのような独自の解決策を実行するかもしれない。しかし、それは問題を示しているだけで、その解決策ではない。

幸い、第4の解決モデルがある。それは「福祉国家3.0」だ。大不況と第2次世界大戦が条件になった戦後の福祉国家に対して、1980年代には、レーガンとサッチャーが登場し、ソ連崩壊もあって、福祉国家2.0ができた。

COVID-19のパンデミックを経験して、人びとはより大きな責任と効率性を示す政府を求めている。政府による支出、規制、流動性供給、市場介入は一気に拡大した。これが中国版絶対国家と違うのは、監視強化にともない、民主的な諸制度や政治参加のメカニズムも強化されることだ。

NYT June 8, 2020

America, This Is Your Chance

By Michelle Alexander

FP JUNE 8, 2020

America’s Social Contract Is Still Built on Racial Hostility

BY EDUARDO PORTER

FT June 11, 2020

Protests are a pivotal moment for America

PS Jun 11, 2020

The Post-Pandemic Social Contract

DANI RODRIK, STEFANIE STANTCHEVA

企業の意思決定は、市場の外部性に影響を受ける。その結果、「良い仕事」は、安定した、十分な賃金、貯蓄や昇進もできる、そして、コミュニティーを活性化する。

技術変化とグローバリゼーションの中で、そのような仕事を集めるためには、政府・自治体が積極的な労働市場政策を、企業とのパートナーシップを組んで、実行することが重要だ。成長促進と社会政策とは一体化する。


 債務危機

PS Jun 5, 2020

Give Argentina a Break

PATRICK BOLTON

FT June 7, 2020

Managing Covid debt mountains is a key task for the next decade

Gavyn Davies

PS Jun 9, 2020

Preventing an Emerging-Market Meltdown

ANDRÉS VELASCO


 警察改革

NYT June 5, 2020

The Police Are Rioting. We Need to Talk About It.

By Jamelle Bouie

FP JUNE 5, 2020

Indians Are Supporting George Floyd—and Ignoring Police Brutality in Their Own Country

BY RAKSHA KUMAR

FT June 9, 2020

Where the US protesters and police chiefs agree

Phillip Atiba Goff

FP JUNE 11, 2020

I Abolished and Rebuilt the Police. The United States Can Do the Same.

BY MIKHEIL SAAKASHVILI

2004年、ジョージア(グルジア)のバラ革命の後、私は破綻国家の大統領になった。法執行機関は犯罪組織のように機能していた。警察官は賄賂を要求し、麻薬や銃を取引し、傭兵のように、政治やビジネスのエリートのために警備をした。それは教科書に出てくるような「収奪する警察」であった。

改革にとって、第1の条件は、透明性である。明確な、統一したガイドラインに従って、警察は行動する。第2に、法執行機関は法の上に立つことができない。罪を問われない特権はない。最後に、優秀な人材を警察組織に集める。

市民社会が警察を常に監視していなければならない。


 高等教育

NYT June 5, 2020

The Only Way to Save Higher Education Is to Make It Free

By Claire Bond Potter

危機は、ますます高額になる授業料で成り立つ高等教育が、不正義で、持続可能でないことを明らかにした。

税金で授業料を賄うことは他国で成功している。2014年、ドイツはEUからのすべての学生の授業料を廃止した。アイルランド、フランス、ノルウェー、スウェーデン、デンマークはEUの学生に授業料を請求せず、他の支出に関して低利融資を行っている。スウェーデンの利率は0.13%でしかない。オーストラリア、イギリスは、授業料がアメリカの半額、イスラエルは10分の1である。オーストラリアでは、学生が生活可能な所得を超えた場合、その所得の1%でローンの返済をする。

アメリカの大学授業料は1980年から2014年に260%も増加し、それは他の消費支出の上昇率の2倍であった。

コロナウイルス危機は、要するに、こうした高額授業料による高等教育の崩壊を加速したのだ。

2020年、民主党の大統領候補になったジョー・バイデンの公約は、高等教育にも関係している。


 中国外交の問題点

FP JUNE 5, 2020

China Is Weaponizing Globalization

BY MATT SCHRADER

中国共産党は、外国の民主的な政治過程に介入し、秘密の交渉、強制、贈賄を行う。この問題に関するドイツのマーシャル財団の報告書Alliance for Securing Democracyは、共産党の介入の特徴を5つ挙げた。@中国経済を武器として使用する。A中国に関するグローバルな会話を支配する。Bエリートの仲介に頼る。C中国系の外国居住者を標的にする。D権威主義的な規範を護らせる。

FP JUNE 5, 2020

As U.S. Injustices Rage, China’s Condemnation Reeks of Cynicism

BY HO-FUNG HUNG

FT June 8, 2020

The twisted logic of backing both George Floyd and Xi Jinping

Patrick Jenkins

PS Jun 8, 2020

China’s “Peaceful Rise” Vanishes in Thin Air

SHASHI THAROOR

PS Jun 9, 2020

Chinese Diplomats Behaving Badly

MINXIN PEI

従来、その厳しく修練を積んだ、沈着で、プロフェッショナルな評価を得ていた中国外交官に、COVID-19の宣伝では異質な、若い世代が現れた。「飢狼」外交とよばれる。それは、むしろ中国への反発を強めている。

中国への国際的評価と米中関係が急激に悪化している時期に、中国外交がすべきは、自分たちがドナルド・トランプとは違う、という差別化を示すことだろう。


 日本のコロナウイルス対策

The Guardian, Sat 6 Jun 2020

Contact-tracing and peer pressure: how Japan has controlled coronavirus

Tomoya Saito

ロックダウンも外出禁止令もないまま、日本がコロナウイルスを抑えることができたのはなぜか、とよく質問される。@公衆衛生の水準が高かった。Aピンポイントにクラスターを抑えた。B明瞭で効果的なコミュニケーション。C強力な世間の監視・強制。Dお辞儀とマスクの習慣。

FT June 9, 2020

Japanese pride in end of lockdown can swell too much

Leo Lewis

麻生副総理兼財務大臣は、COVID-19対策の成果を「日本モデル」によるものとみなし、日本は「民度」が高い、と自慢した。民度とは、経済・社会・文化「水準」と生活水準を合わせたような言葉だ。それはある種の文明の水準によって諸国を並べる表現である。

彼の好戦的な勝利宣言に比べて、ジェンダー間の不平等や労働市場改革、など、日本の根本的な改革は氷河のようにしか進まない。


 ピグー税

FT June 7, 2020

We need to revisit the idea of Pigou wealth tax

Ian Kumekawa


 キッシンジャーの世界

FP JUNE 7, 2020

Welcome Back to Kissinger’s World

BY MICHAEL HIRSH

コロナウイルス危機は、トランプの「アメリカ・ファースト」孤立主義を新しい流れにした。トランプ政権は、中国包囲網を検討しているようだ。

将来の米中関係がどうなるのか、それは世界の平和と安定性を大きく決めるものだが、その答えは過去にある。キッシンジャーとその哲学が観ていた世界は、ベトナム戦争、都市暴動、ウォーターゲート、1970年代のスタグフレーション、など、アメリカの衰退を示していた。その状況では、外交官たちが共通の基礎を探し、大国間のバランス・オブ・パワーを模索する必要があったのだ。

衰退し、混乱したアメリカ政府が、今日の米中関係に苦しみ、キッシンジャーが得意としたテーマ、彼の外交の最大の勝利に焦点をあてる。元オーストラリア首相のケビン・ラッドが書いた。「この危機を脱け出たとき、アメリカも中国も、そのパワーは大きく縮小しているだろう。中国による平和も、アメリカによる平和もなく、ゆっくりと、着実に、国際的なアナーキーに落ちていく。」

キッシンジャーはウィルソン主義者の過剰な理想を嫌ったが、それがアメリカ外交に基礎にあることは認めた。そして、ウィルソン主義者たちが、アメリカの主権と軍事力の重要性を理解し、アメリカが最初に、アメリカ自身が創ったリベラルな国際秩序を受け入れることを求めた。アメリカは多数によって支持され、アメリカの軍事力は北京やモスクワが対抗する軍事同盟を組織できないように使われる。そのときだけ、コンセンサスとその秩序は可能になる。

アメリカ外交政策における支配的思想とは、パワーをコンセンサスに転換することに違いない。その時国際秩序は、不本意な黙認ではなく、合意に基づくものになる。「われわれの目標は、多元的な世界が破壊的でなく、創造的であるという、道徳的コンセンサスを築くことだ。」

FT June 8, 2020

A new global crisis is looming in east Asia

Gideon Rachman

北京の高まる攻撃性は、自尊心とパラノイアを反映している。

中国の映画史上最大のヒットになった『Wolf Warrior 2 戦狼』は、英雄的な中国人兵士たちが人種差別主義者のアメリカ人が率いる傭兵軍団と戦う話だ。その鑑賞推進スローガンは、「中国を侮辱する者は誰でも、どれほど遠くにいても、抹殺せねばならない」である。

北京の政府幹部にはパラノイアがある。社会の安定を維持するには8%の成長が必要だ、と主張してきた体制が、大幅な経済の縮小を経験している。米中貿易戦争、香港の民主化デモ、また昨年11月、台湾総統選挙では、北京の介入にもかかわらず、祭英文が再選された。

敵に包囲されているような感覚が、ナショナリズムを強調する政治姿勢に向かわせた。北京は自分たちの外交を「防衛的」とみなすが、1党支配に関する内外の批判を抑え込み、理由のない国際的な要求を押し通す姿勢は、露骨で攻撃的なものである。

北京は自分たちの主張を、法的、外交的、歴史的な根拠がある、と考える。しかし、アジアの民主主義諸国や西側で、香港や台湾の自由を脅かす中国の姿勢がもたらすのは恐怖である。

その行動パターンを変えるには、世界の民主主義諸国が統一した、原則に基づく対応を示すことだ。中国に対する恒常的な政策グループを設けるべきだろう。中国は反発するかもしれないが、バラバラな対応は最も危険である。

PS Jun 10, 2020

The Shape of Asia’s New Cold War

YOON YOUNG-KWAN

PS Jun 10, 2020

The Moment When America Fell Behind

JULES KORTENHORST

中国とEUは協力してクリーン・エネルギーのためのインフラ整備に投資するべきだ。雇用を増やし、大気汚染を減らし、競争的地位を高める。


 Facebookとトランプ

FT June 8, 2020

Facebook and the creation of a US oligarch

Rana Foroohar

オリガルヒとは、ロシアでウラジミール・プーチンが決めるような、「権力のそばにいることで超過利潤を受け取る者たち」のことである。この定義は、Facebookの最高経営責任者であるザッカーバーグMark Zuckerbergによくあてはまる。アメリカのドナルド・トランプ大統領に奉仕して、その間違った、扇情的な投稿を、Facebookから取り除くことを拒んでいる。ザッカーバーグはアメリカのオリガルヒなのか?

ザッカーバーグは、言論の自由を理由に、トランプのファクト・チェックを拒んでいる。しかし、ツイッターのCEOであるJack Dorseyが指摘したように、自由な言論とは拡散の権利と同じではない。社会はつねに、どの言論を護るべきか、判断しなければならない。


 ハミルトン・モーメント

PS Jun 8, 2020

Europe’s “Hamiltonian Moment” or “Fort Sumter Fusillade”?

JACEK ROSTOWSKI, ARNAB DAS

「ハミルトン・モーメント」で財政を共有し、EUの連邦制を確立する前に、EUは南北戦争を避けねばならない。ドイツのショイブレ前蔵相はユーロ危機に対して厳しい緊縮条件を付けることにこだわった。それはコロナウイルス危機に対して、EUに南北戦争をもたらす危険がある。

FT June 10, 2020

We must resurrect EU Capital Markets Union

Thomas Wieser

PS Jun 10, 2020

Europe’s New Deal Moment

DANIEL GROS

仏独の欧州復興基金案は「ハミルトン・モーメント」になる、と願う人たちがいる。1790年、アメリカの初代財務長官ハミルトンは、独立戦争で生じた13州の債務を、連邦政府の債務とみなした。

それは一見、今すぐ、ユーロ債を発行するべきだ、という話の根拠になる。しかし、よく見れば、「ハミルトン=ユーロ債発行」は3つの理由で間違っている。

1に、US諸州の債務は、イギリスとの戦争、という共通の大義によって生じた。EU加盟諸国の債務はそうではない。COVID-19が共通の敵だ、というのは正しくない。パンデミックによる債務の追加は、全債務のほんの一部でしかない。

2に、US諸州の債務は、すべてが連邦政府によって支払われなかった。その一部は、民間債権者が債務の組み換えで負担したからだ。EU加盟国がその債務を組み替える話は、まったく出ていない。

3に、US諸州の債務を連邦政府に付け替えることは、ある意味で、避けられないことだった。なぜなら、歳入の主要な源泉は関税であり、それが連邦政府に移されたからだ。もし大規模にユーロ債を発行するなら、それは各国政府の財源をEUレベルに移す必要がある。それは各国の財政政策を厳しく制限するだろう。ほとんどの加盟国政府が、ユーロ債を提唱する政府も含めて、こうした変更を支持していない。

現在のヨーロッパに類似した状況をアメリカの歴史に求めるなら、それは1930年代のF.D. ルーズベルト(FDR)大統領によるニュー・ディールであろう。アメリカは、州ごとに分断された銀行システムを持ったまま、大不況になった。失業保険や貧困対策も州政府に責任があった。

ニュー・ディールはこれをすべて変えた。しかし、FDRの改革は激しい抵抗にあった。政府はすぐに連邦預金保険公社を1933年に創設し、銀行同盟を構築した。しかし最高裁はニュー・ディールの中核部分を繰り返し違憲とみなし、阻止した。裁判所が姿勢を変えたのは、FDR1936年に再選され、最高裁判事を増やすと脅したからだ。

当時も今も、重要なことは失業問題と貧困の解消である。ニュー・ディールは、これらについて、単に州を超えて命令したのではない。州と自治体に連邦からの巨額の資金を与えて、公共事業や失業補償を行ったのだ。同様の姿勢が、仏独の提案を受けて欧州委員会が示した7500億ユーロの「新世代EU」基金に観られる。

FDRの改革は歴史の試練に耐えて、今やアメリカ「経済憲法」の不可欠の部分として受け入れられている。EUの挑戦は、COVID-19対策を実現することで、それを正常な時期にも経済安定化の政策手段として確立することだ。


 貧困国のコロナウイルス対策

FP JUNE 8, 2020

For the Rural Poor, the Coronavirus Crash Isn’t Here Yet

BY AHMED MUSHFIQ MOBARAK

FT June 10, 2020

Thailand, Vietnam and the ‘Covid dividend’

John Reed in Bangkok


 銅像の破壊

FT June 9, 2020

Colston’s statue shows society’s values are not set in stone

Robert Shrimsley


 インドの苦しみ

YaleGlobal, Tuesday, June 9, 2020

India’s Migrant Labor Pains

Neeta Lal

FT June 9, 2020

India is ill-equipped to live with the virus

FP JUNE 9, 2020

China Is Pushing India Closer to the United States

BY ANIK JOSHI

FT June 10, 2020

Credit crisis is at the heart of India’s weakness

Benjamin Parkin in New Delhi

FT June 11, 2020

India’s societal violence has no fixed face to protest against

Shruti Kapila


 イギリスの歴史と差別

The Guardian, Tue 9 Jun 2020

These anti-racism protests show it's time for Britain to grapple with its difficult history

Olivette Otele


 財政赤字の神話

NYT June 9, 2020

Why I’m Not Worried About America’s Trillion-Dollar Deficits

By Stephanie Kelton

「財政赤字の神話」を否定することによって、中小・零細企業や多数のアメリカ人失業者の生活が維持できる。財政赤字を理由に支援を拒むのは間違いだ。その理由は、現代貨幣理論が示している。


 トランプ後のアメリカ

NYT June 9, 2020

Washington, D.C., Deserves Statehood

By Susan E. Rice

FT June 10, 2020

US protests will change Biden’s safety-first campaign

Janan Ganesh

FT June 11, 2020

America’s allies should prepare for a Biden presidency

Philip Stephens

FP JUNE 11, 2020

Biden Camp Tries to Walk Fine Line on China

BY COLUM LYNCH


 デジタル貨幣

FT June 11, 2020

Myths can make ‘smart money’ act dumb

Miles Johnson


 エルドアン

FT June 11, 2020

Seven reasons why President Erdogan looks vulnerable

David Gardner


 サイバー・パンデミック

PS Jun 11, 2020

Facing the Cyber Pandemic

MICHAEL CHERTOFF, LATHA REDDY, ALEXANDER KLIMBURG

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The Economist May 30th 2020

Dragon strike

Coviv-19: The American way

Global tourism: Summer break

Coviv-19 in America: 100,000 and counting

Hong Kong’s freedom: Rule by fear

Brazil: Losing the battle

Charlemagne: The benefits of Brexit

Chinese diaspora Inc.: High-wire act

Free exchange: A political economist

(コメント) なぜアメリカはこれほど感染者が増加するのか? トランプだから? なぜブラジルはこれほど感染者が増加するのか? ボルソナーロだから?

パンデミックを利用してポピュリストが登場する。しかし、すでに権力を得たポピュリストは、パンデミックに対処できない。行政機関や国民を分断するのだから。しかも、これほど死者が出ても、権力を失わない。そして彼らは再選を目指す。どうやって? 死者を減らす方法が、ロックダウンや距離を取ることなら、それはポピュリストにふさわしい選挙にならない。

イギリスが離脱したから、その拒否権を行使できず、EUは復興基金を承認した。

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IPEの想像力 6/15/20

『未来少年コナン』の再放送を観ました。

私の子どもたちがまだ小さかった頃、一緒に観て、本当に楽しかった名作です。

20087月に始まった超磁力兵器を使った人類の大戦争と混乱を経て、すべての大陸が海中に没した世界を描いた。

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ドナルド・トランプがアメリカ大統領のポストを得たこと、そして、11月の投票まで、彼が再選キャンペーンを続けることは、世界中に地獄の苦しみを与えるでしょう。どのような事件であれ、トランプは自分の政治的利益のために利用し、どのような形であれ、選挙で1票でも多いと示すことを最優先するからです。まだ100日以上あるトランプの任期中に、何が起きても、驚くことではないのです。

コロナウイルス危機で世界中が強権政治的な対策を進めていることが、グローバルな社会にポピュリズムへ向かう度合を高めていることも影響すると思います。

たとえば、北朝鮮が南北融和の象徴であった連絡事務所の建物を爆破しました。

私は、トランプの再選キャンペーンを利用することが目的ではないか、と疑いました。韓国はアメリカや国連安保理の制裁を無視することはできません。北朝鮮は、トランプから譲歩を得たいのです。実際、2度のサミットは、核武装したことを認め、わざわざアメリカ大統領が会いに来たわけです。

独裁国家とトランプなら、朝鮮半島に核戦争の危機を煽って、オバマやバイデンを非難し、大統領選挙直前に、歴史的な打開策を北朝鮮が受け入れる、さらに、朝鮮戦争の終結宣言や和平交渉への約束も、この2人なら考えるのではないか。

国際政治は、まさに、不穏な情勢です。

l  インド軍と中国軍が衝突し、インド兵20人が死亡した、と伝えられています。

l  トランプ大統領は、ドイツから米軍を大幅に撤退させると発表しました。G7開催に、メルケル首相が欠席すると表明し、実現しなかったことへの報復と思われる。

l  アメリカはロシアとの核軍縮や、そのための検証に必要な飛行許可を破棄し、大気中核実験も行う方針に転換する、というわけです。

l  中国を、米ロの核兵器協定に加えたい、とアメリカは考えます。中国は応じない。

l  なぜこのタイミングなのか、日本の河野防衛大臣はイージス・アショアの日本導入を断念する、と発表しました。

l  韓国は日本との通商対立と徴用工問題に逆戻りです。

l  北京でコロナウイルス感染者が増加しています。北京をロックダウンするとなれば、その影響は中国と世界におよぶ。

l  黒人差別に抗議する大規模なデモが続いていることは、今後、アメリカでのコロナウイルス感染が再拡大する、と予測される。

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The Economistには、インドのロックダウンで仕事と収入を失い、交通手段も断たれて、徒歩で帰郷する貧しい出稼ぎ労働者たちのことが書いてあります。

しかし、インドがとても貧しい国だからではありません。朝日新聞の記事で、日本からベトナムへの帰国用特別便で帰郷する留学生、出稼ぎ労働者たち、さらに、大きなおなかで出産を控えた妊婦や、遺骨を抱えた人がいると知りました。

日本で学び、日本で働く夢を持ってきた人たちが、食べるものも、住むところも失い、生活に困っている、というニュースも観ました。国民1人に10万円を配り、マスクを配る話よりも、最も困っている人たち、不当に苦しんでいる人たちに、真っ先に支援が届けられるべきだと思います。

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大統領制や独裁的体制は、たとえ民主的に選挙が行われても、ポピュリズムに支配されやすいものです。東京都知事選はどうでしょうか? コロナウイルス対策や東京オリンピックを問うのは、むしろポピュリストの政治批判や大げさな約束を広めるだけで、政治家の力量や知識と関係ない話になるのでは、と心配です。

大地が消えて、わずかな島に生き残った人類が、ごみの山からプラスチックを集めてエネルギーや食糧を得ている、というコナンとラナが暮らす未来は、コロナウイルス後の世界に似ているかもしれません。

それは、香港の民主化デモと、アメリカの黒人殺害に対する抗議デモを、トランプと世界中の独裁者やポピュリストたちが悪用して、協力体制や信頼関係を破壊しつくしたあと、とてつもなく元気で、しかも思慮深い、子供たちが育つ小さなユートピアなのです。

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