IPEの果樹園2020

今週のReview

2/24-29

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簡易版

[長いReview

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主要な出典 FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Foreign Policy, The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate, VOX: VoxEU.org, Yale Globalそして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


 

NYT Feb. 15, 2020

Bloomberg Is Right About the 2008 Financial Crash

By Christopher Caldwell

PS Feb 17, 2020

Social Democracy Beats Democratic Socialism

DARON ACEMOGLU

NYT Feb. 17, 2020

Democrats of the Living Dead

By Paul Krugman

FT February 17, 2020

Democratic calls to break up Big Tech raise fears in Silicon Valley

Kiran Stacey and Kadhim Shubber in Washington

NYT Feb. 18, 2020

The Trumpian Liberalism of Michael Bloomberg

By Jamelle Bouie

ドナルド・トランプは、残念ながら、人種的な偏見を持ってアメリカ国民を考える政治家である。トランプのアメリカとは、白人のものであり、彼は白人のアメリカを、黒人や混血人種(brown people 白くない、濁った、ヒスパニック、アジア)がやってきて、もっと大きな地位を求めることから守ることが、自分の仕事だと考えている。それが「アメリカを再び偉大にする」というスローガンの意味である。彼は大統領権限、国家機関を使って、抜きん出たセレブから普通の移民たちに至るまで、黒人や混血人種を攻撃し、差別するための烙印を押してきた。

トランプを、その運動とイデオロギーの核心に人種支配があると理解するなら、民主党にもこれに等しい者が、いよいよ現れようとしている。トランプほど頻繁にではないが、同じシグナルを発している。それはブルームバーグだ。アメリカ政治に入り込んだ、もう1人のニューヨークの億万長者。今や、民主党の大統領候補指名争いに参加する。

確かに、ブルームバーグはトランプを相手に選挙で勝てる候補者だ。しかし、彼はアメリカのリベラリズムにトランプと同じ変化をもたらすだろう。

FT February 19, 2020

How a Democrat might worsen the US-China feud

Janan Ganesh

FT February 20, 2020

The slow-motion Democratic train wreck

Edward Luce

しばらく観てきたが、列車事故のスローモーションのようだ。残念ながら、早送りのボタンはない。水曜日の夜、ラスヴェガスでのテレビ討論は、民主党にとって最悪だった。明らかな敗者はブルームバーグだ。しかし、サンダースとブルームバーグ。いつまで2人の対決を続けるのか。自分の金で闘う年老いた大富豪と、頑固な、年老いた社会主義者とが、仲良く停戦に合意することはないだろう。粉砕するまで多くの衝突が続くが、何1つ、民主党にとって良いことはない。

NYT Feb. 20, 2020

Warren, Bloomberg and What Really Matters

By Paul Krugman

これまで以上に、討論から学ぶことが多かった。特に、ブルームバーグは偉大なビジネスマンであり、エリザベス・ウォレンはまだ候補として生き残るべきか?

2人の対決は、論争の焦点を、国民皆保険制度から、民主党にとって、もっと重要な論点に移すかもしれない。国民皆保険は、だれが大統領になっても、実現しないだろう。

アメリカ経済のフィナンシャリゼーション(金融化)を止めるために、われわれは何かするだろうか?

2次世界大戦後の、急速な経済成長を、広く国民が分かち合った、アメリカの黄金時代に、ウォール街は全く周辺的な役割しか果たさなかった。当時、人びとがビジネス・リーダーといえば、何かを生産する企業の経営者たちであり、資金を動かし、取引することで裕福になる人々のことではなかった。

しかし、主に金融の規制緩和のせいで、1980年代にすべてが変わったのだ。企業を経営するより、企業を売買することで、莫大な金を儲けた。

多くの場合、こうした金融取引は、企業を債務に依存させ、しばしば倒産や職場の破壊に終わった。それは今も続いている。ドナルド・トランプが恩赦を与えたばかりの、ジャンク・ボンドの帝王、マイケル・ミルケンが示すように、金融的な詐欺と暴力が広まった。

金融部門が経済に占める比率は倍増したが、それは多くの資本と才能ある人々が生産活動から奪われたことを意味した。ウォール街の特大の利潤が、経済をより効率的にした成果だ、と示す証拠は全くない。逆に、少数の人々が途方もない富を得たのに、アメリカの家計所得の増大は減速した。

そして、金融の際限ない成長は、大恐慌以来最悪の経済危機を準備したのだ。それはまた、ブルームバーグを億万長者にした。金融詐欺師たちに、超高額の情報処理システム、Bloomberg Terminalが売れたからだ。

エリザベス・ウォレンについては、何を学ぶべきか?

ウォレンは、サンダースの支持者たちをなだめようと、国民皆保険に支持を表明したが、そのせいで支持率がひどく下がった。国民皆保険は成立する見込みがないのに、ウォレンは財源を示す増税案を並べたからだ。

その前にウォレンを有名にしたことがあった。金融産業の詐欺と異常な利益を攻撃する十字軍であったことだ。2008年の金融危機の後、制度化された改革の中でも、金融消費者保護庁は、まさにウォレンの成果である。すべての点で、この機関は庶民の資産を守る上で大成功であった。ただし、この機関を憎むトランプが登場するまでだ。

医療保険制度ではなく、金融改革こそ、民主党の大統領が大きな違いを主張できる分野である。そして、ブルームバーグではなく、ウォレンが重要な候補者として残るべき理由だ。

FT February 21, 2020

The Bloomberg dilemma for the Democrats

NYT Feb. 21, 2020

The Billionaire Election

By Anand Giridharadas

 

 

NYT Feb. 21, 2020

Why Democrats Are Bound for Disaster

By Frank Bruni


 

NYT Feb. 15, 2020

I Cannot Remain Silent’

By Nicholas Kristof

NYT Feb. 15, 2020

Will the Coronavirus Cause a Recession?

By Eswar S. Prasad

回復は、政府がどれくらい封じ込めに成功するか、にかかっている。

FP FEBRUARY 15, 2020

How China’s Incompetence Endangered the World

BY LAURIE GARRETT

中国政府の対応が、非常に重要だ。中国は情報を隠していると、国際的な不信と国内の反発を招くだろう。

FT February 16, 2020

A crossover of fiscal and monetary policy

Gavyn Davies

FT February 19, 2020

What the coronavirus crisis tells us about Chinese governance

Charles Parton

FT February 20, 2020

People’s Bank of China will help the country recover quickly from coronavirus

Chen Yulu

FT February 21, 2020

Share prices look sky high amid coronavirus fears

Gillian Tett


 

The Guardian, Sun 16 Feb 2020

Politicians should stop bashing the rich… most of us just don’t agree

Sonia Sodha

The Guardian, Fri 21 Feb 2020

We can’t leave it to billionaires like Bezos and Bloomberg to solve the world’s problems

Simon Jenkins

あなたは誰に大統領になってほしいか? この「傲慢な大富豪」? あるいは、別の大金持ち?

アメリカで選挙に勝つのには、大富豪である必要はないが、それは役に立つ。

ブルームバーグは選挙に出ている。ほかにも、100億ドルの個人資産を持つジェフ・ベゾス。その次は、世界の疫病治療に資産を投入するビル・ゲイツ。「人類の可能性を前進させ、不平等を減らす」ために富の99%を使うと約束するマーク・ザッカーバーグ。

かつて強欲は良いことだった。スティーブ・ジョブズのころのアップルはチャリティーを全くしなかった。株主たちの配当が減るからだ。彼らは自分たちを、この分裂した世界で「どこにもいる」者とみなした。タックス・ヘイブンの人工島に住所を置き、オフショアのオフィスと、快適さという旗。大統領たちは彼らの意志で踊った。すべての法域で独占を守り、悪名高いニューヨークの富豪Leona Helmsleyが言ったように、「ちっぽけな人びとだけが税を支払う。」

マラリアの治療は良いことだ。ホームレスがいなくなる。ワシントン・ポストのオーナーになる。地球を救う? しかし、そこには取引がある。彼らのために金の卵を産むガチョウを殺すな。規制の話は聞きたくない。税金のことは忘れろ。どうせ政府は無駄遣いするだけだ。

これは中世の政治経済モデルだ。当時はローマ・カトリック教会の司祭たちが権力者だった。諸国や指導者を超える主権を示した。教会には、地代、10分の1税、賄賂、手数料が入った。教会は恩顧と福祉を与え、職場も病院も、学校、ホスピス、施し、免罪符も与えた。王侯貴族も支配した。気前よく配る教会があれば、国家など要らない。

ある社会集団が秩序を代表する時代は、分裂した社会に代わり、最終的に、宗教対立の30年戦争に終わった。

私は莫大な資金に不快な感情を持つ。課税、規制、独占禁止法を回避した、非常に裕福な小集団が、自分の気まぐれで、財源を与えるからだ。

すべての者から集めた税金を、すべての者のために、民主的な合意を経て配分する。まともな社会が機能するとは、そういうことだ。カリフォルニアのビーチや、モナコのヨットで楽しく暮らす者が、何が良いか考えるのではない。


 

The Guardian, Sun 16 Feb 2020

Ireland’s shock poll result was a vote against the success of globalisation

Fintan O’Toole

イギリスとアイルランド歴史において狂った亡霊たちが鎮まったように見えた、2011年、女王がダブリンで歓迎された。あれから10年もたたないが、港は今や砕けた歯が並ぶような景観だ。そのほとんどすべての穴を多国籍企業や法律事務所、銀行家が埋めてきた。

アイルランド経済は再浮上しつつある。今度は海外からの投資の波だ。2018年だけで、アイルランドへの海外直接投資は52%も増えた。そして、UKでは13%減少した。2つの数字はおそらく相互に関係し、ブレグジットにも関係している。

法人税が12.5%であることはどれくらい関係しているのか。しかし、ダブリンの成功は現実だ。雇用は2013年以来、29四半期連続で増大している。今や。金融崩壊前の水準を超えた。アイルランドは再びグローバリゼーションの勝者になったようだ。では、なぜ有権者は憤慨したのか? 最大の得票が、かつてパーリアとみなされたシンフェイン党に与えられた。問題はグローバリゼーションそれ自体にある。

アメリカ、イギリス、ブラジル、インド、各地にナショナリズムやポピュリズムが台頭している。グローバリゼーションに取り残された者の怒りがつねに問題になる。アイルランドも同じウイルスに弱い。シンフェインは、その過激な、暴力的ナショナリズムに起源をもつ。

しかし、そう思うのは間違いだ。シンフェインの勝利の理由はナショナリズムではなく、グローバリゼーションの失敗でもない。むしろ、その成功だ。選挙結果は、グローバリゼーションの勝者にさえ、既存の「自由市場」型グローバリゼーションは深刻な欠陥があることを意味している。それは豊かな社会においても、市民たちが望む公共財を供給できない。

人びとは良い給与で仕事をしている。しかし家賃を支払えない。2013年に景気が回復してから、ダブリン市民の可処分所得は13%増えた。しかし、住宅価格は62%増え、家賃も同様に上昇した。若者たちは住む場所を心配し、老人たちは民営化される医療保険制度を心配する。

アイルランドの新政権は興味深い実験に挑む。グローバルな投資を維持しながら、社会を維持する上で欠かせない公共財を供給できるか?

FT February 17, 2020

Understanding Ireland’s election upset requires a bit of perspective

Myles McCormick

FT February 17, 2020

Ireland’s political mess rooted in QE house price fallout

Patrick Jenkins

住宅バブルを止めるには、貸し出し規制や家賃の上限ではなく、QEを止めるべきだ。


 

The Guardian, Sun 16 Feb 2020

The Guardian view on a comeback for Keynes: revolutionary road

Editorial

83年前の今月に、ジョン・メイナード・ケインズはその主著を出版した。それは経済学の考え方に革命を起こした。

ケインズは第2次世界大戦後の政策や制度構築にも深くかかわった。国家の投資計画、社会福祉、累進課税、低金利、国有化したイングランド銀行による金融政策、厳格な資本規制、管理貿易、カジノではない金融市場。しかし、1960年代後半から70年代に、ケインズ主義は否定され、マネタリズムに代わった。

1950-1973年の平均成長率は2.44%。2008年以来、UK1人当たり所得はほとんど増えていない。権威主義者たちは、今や、国家を強化して、富裕層のために利用する。マネタリズムを再建するためには、少しくらいケインズ主義を使ってもいい、と保守党政権は考える。それは労働党の主張する富の再分配や投資の社会科ではない。

ケインズ抜きのケインズ主義だ。


 

FT February 16, 2020

‘It looks like judgment day’: inside Syria’s final battle

Chloe Cornish in Beirut and Asmaa al-Omar in Istanbul

FT February 21, 2020

A shameful response to the tragedy in Idlib


 

FT February 16, 2020

Digital tools can be a useful bolster to democracy

Rana Foroohar

FT February 17, 2020

Mark Zuckerberg: Big Tech needs more regulation

Mark Zuckerberg

FT February 19, 2020

Facebook’s content proposals are too weak

FT February 21, 2020

Big Tech companies want to act like governments

Marietje Schaake

何年も前から、巨大ハイテク企業は法を超える存在であるかのように行動してきた。ほとんどの国の人口よりも、Microsoft, Facebook or Amazonの利用者の方が多い。彼らの利潤は多くの国の予算を超えている。

ハイテクやソーシャル・メディアの企業は強力なグローバル・アクターになった。そのコーポレート・ガバナンスにおける決定が、すでに何十億の人口の権利や自由に影響する。しかし、ハイテク企業はさらに1歩を踏み出しつつある。彼ら自身が政府になる。

Microsoftは国連代表部を置く。ヨーロッパの広報室に外交官を雇用する。Alibabaは、超国家的な自由貿易のオンライン・プラットフォームを設ける。Facebookは、コンテンツの論争を裁く「最高裁」を設ける。批判を受けて、「監督局」という名前に変えた。

ミュンヘン安全保障会議に、大統領や首相、政治家だけでなく、Alphabet, Facebook and Microsoftの幹部がスピーカーとして参加する。

彼らは、都合のよい国際規制を求めるより、すでに、利用者に対して改善するべきことがある。人権、民主主義、法の支配を、彼らの利用者に対して、自分たちで保障することだ。外部の研究者や規制監督者を招き、民主主義の代表者も同様に、彼らの行動を精査してもらことだ。

彼らの利用者は、彼らの選挙区であり、消費者ではなく有権者として扱うべきだ。それは、国際規制を自分たちの都合に合わせて利用することではない。

FT February 20, 2020

The uncomfortable truth about fake news

Gillian Tett


 

FT February 17, 2020

Donald Trump’s erratic style of diplomacy has a price

Gideon Rachman

PS Feb 18, 2020

Trump’s “Currency Manipulation” Con

ANNE O. KRUEGER

米中貿易戦争が「第1局面」を終えた、とはいえ、このまま平和的に終結するとは思えない。トランプ政権は新しい通商手段を考えている。

アメリカ以前から通貨価値を人為的に安くしている国を指定し、制裁を実施してきた。特に、中国の人民元についてだ。しかも、トランプ政権は、その場合、追加の課徴金を科すことができるルールを決めた。ドイツやブラジルにも、制裁を考えている。

NYT Feb. 18, 2020

The Epic Battle Between Trump and Bezos Is On

By Kara Swisher


 

FT February 17, 2020

India: is Modi’s BJP introducing Big Brother? 

Benjamin Parkin in Mumbai and Stephanie Findlay in New Delhi

PS Feb 17, 2020

Pariah India

SHASHI THAROOR


 

FT February 17, 2020

Central banks’ influence on economies is diminishing

Dario Perkins

PS Feb 17, 2020

The Monetarist Fantasy Is Over

ROBERT SKIDELSKY

UK財務省Sajid Javidが辞任した。これはマクロ経済政策の転換を示す最新の例である。

ボリス・ジョンソン首相は大規模な政府支出を阻む大蔵省の抵抗を抑え込むと決意した。これほど大きな支出を決めるのは、1964年、労働党ハロルド・ウィルソン政権が大蔵省の反対に対抗して経済省DEAを設けたとき以来である。しかしその後、1966年のポンド危機で、大蔵省のタカ派が支配権を取り戻し、DEAは廃止された。政治を冷笑する、最古の官僚制度である大蔵省は、今度もそうするつもりだろう。

この事件は、金融政策から財政政策への、世界的なシフトの表れである。第2次世界大戦後、ジョン・メイナード・ケインズは、財政安定化を考えた。すなわち、政府予算は、不安定な経済を完全雇用水準で均衡させるために、使用されるべきだ。

しかし1970年代に、ミルトン・フリードマンが指導するマネタリストの反革命が起きた。資本主義的な市場経済が必要とする安定化とは、物価の安定化だけである。独立した中央銀行と「均衡」予算によってインフレが管理されれば、経済は「自然失業率」において正常に安定する。1980年代から2008年の世界金融危機まで、フリードマンが支配した。

今や、振り子が戻った。金融政策は破綻したからだ。2008-09年のオバマによる財政刺激策が称賛され、不振な経済に対する緊縮財政を強いたヨーロッパは非難されている。顕著な転換は、2013年にIMFの主任エコノミストOlivier BlanchardDaniel Leighが、財政刺激策の乗数効果を復活させたことだ。景気対策としての財政政策を強調した。

金融政策による安定化に対する理論的な反対はケインズにさかのぼる。貨幣を供給しても、経済がそれを飲むまでに、こぼれてしまう。金融システムに大量に貨幣を供給しても、実体経済は回復しない。

要するに、中央銀行は経済の総支出水準を管理できないのだ。したがって、中央銀行は物価水準も、生産と雇用の水準も管理できない。

財政政策による生産と雇用の安定化について、従来の疑念より、公的部門の能力に期待する者は、アメリカの1978the Humphrey-Hawkins Actに注目する。それは連邦政府に「公的雇用の貯水池」を使って民間支出の変動を均衡する権限を認めている。Kenneth Rogoffのように、金融政策ではなく財政政策に頼るなら、激しい景気変動に苦しむぞ、と警戒するより、もっと優れた知性を見出すべきだろう。

FT February 20, 2020

Why Sweden ditched its negative rate experiment 

Richard Milne in Stockholm and Martin Arnold in Frankfurt


 

PS Feb 17, 2020

The White Swans of 2020

NOURIEL ROUBINI

2010年の本で、私は、金融危機を「ブラック・スワン」ではなく、むしろハリケーンだ、と書いた。金融危機は、経済的・金融的な脆弱性の蓄積、政策ミスの、予測可能な結果である。

経済が転換点に達した、と思うときがある。それを「ミンスキー・モーメント」とよぶ。今年は、多くの予測可能な地殻の潜在的亀裂が地平線上に見えている。

まず、アメリカは戦略的な敵対者との紛争を加熱させている。中国、ロシア、イラン、北朝鮮だ。リビジョニストの4か国は、アメリカのハード・パワーとソフト・パワーに挑んでいる。トランプの失脚に共通の利益を観ている。ソレイマニを殺害したことで静かになったイランは、嵐の前でしかないだろう。

米中の貿易戦争は一時的な停戦に合意したが、技術、データ、投資、通貨、金融に関して冷戦が急激にエスカレートしつつある。コロナウイルスは米中の「デカップリング」を加速するだろう。

中国の指導部はこれらが偶然起きたとは考えない。豚コレラ、鳥インフルエンザ、コロナウイルス、香港の政治混乱、台湾の独立は大統領再選、東シナ海におけるアメリカの艦隊。

中国は、西側の金融ネットワークであるSWIFTを解体し、東シナ海・南シナ海における軍事衝突に向かい、そうなれば、アメリカ財務省証券の大規模な売却におよぶだろう。分散化と金の保有で、アメリカの金融市場崩壊や人民元の増価による損失を中国は回避するだろう。

アメリカはこうした敵対する諸国に対してサイバー攻撃を強め、大規模なサイバー・ウォーが起きる。それは経済、金融、政治の秩序崩壊を狙うだろう。

気候変動など、環境危機の激化は続く。

金融市場がこうした危機の存在を無視していられる至福のときはわずかである。


 

NYT Feb. 17, 2020

France’s Challenge in Africa

By Sylvie Kauffmann


 

YaleGlobal, Tuesday, February 18, 2020

Xi’s Party-State at 70: Feeling the Itch

Börje Ljunggren


 

FT February 18, 2020

IMF chief: we are rethinking our advice to emerging markets

Kristalina Georgieva

FT February 20, 2020

Four ideas for IMF head Kristalina Georgieva

Jan Dehn


 

FT February 18, 2020

Why the Japanese stock market is like a toxic blowfish

Leo Lewis

FT February 18, 2020

Japan’s problem is not enough Abenomics

FT February 19, 2020

First sushi, now manga — will AI ruin great Japanese inventions?

Leo Lewis


 

PS Feb 18, 2020

The Paradigm Shift on Palestine

SHLOMO BEN-AMI


 

FT February 19, 2020

Last chance for the climate transition

Martin Wolf

PS Feb 20, 2020

The Rich World Must Take Responsibility for Its Carbon Footprint

ADAIR TURNER


 

PS Feb 19, 2020

Is a Strong Economy Enough to Re-Elect Trump?

MICHAEL J. BOSKIN

PS Feb 19, 2020

Shelton the Charlatan

J. BRADFORD DELONG

NYT Feb. 19, 2020

The Audacity of Hate

By Thomas B. Edsall


 

NYT Feb. 19, 2020

When Donald Trump Is the Law

By The Editorial Board

「私が法の執行者である」とトランプは述べた。問題は、トランプが法律を何だと思っているのか、である。

彼はその考え方を示した。敵に対して適用されるが、自分や友人には適用しない、と。

トランプはかつて主張した。憲法は自分が望むことをやる権利を与える、と。

アメリカの司法システムが彼の武器になり、その生涯を法の侮辱に費やした男のものになった。

NYT Feb. 20, 2020

What Barr Did for Roger Stone Is Like Nothing I’ve Seen Before

By Noah Bookbinder

FT February 22, 2020

Donald Trump shows the world who is the real ‘Parasite’

Henry Mance


 

The Guardian, Thu 20 Feb 2020

The Guardian view on Germany’s far right: a clear and present danger

Editorial

FT February 20, 2020

Angela Merkel and Emmanuel Macron: Europe’s missed chance

Philip Stephens


 

PS Feb 20, 2020

All Eyes on South Korea

JIM O'NEILL


 

PS Feb 20, 2020

Reform or Revolution

DANIEL CHIROT

FP FEBRUARY 20, 2020

Iraq Needs Regime Change Again

BY JOHN HANNAH


 

PS Feb 21, 2020

Brexit’s Stealthy Rationality

YANIS VAROUFAKIS

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The Economist February 8th 2020

Meet the new boss

The presidential election: State of the Democrats

The economic fallout in Hong Kong: Three strikes

The Wuhan virus: Under observation

Lexington: Trump unbound

Buttonwood: Two tribes

(コメント) 経営者の採用には専門のヘッドハンティング企業があるようです。しかし、だれがふさわしいのか、正しい基準はあるのか? アメリカ大統領候補についても、民主党の選考レースはうまく行かないようです。

そして、新型ウイルスの記事があります。中国政府や地方行政、医療システム、そして国民の闘いが憂慮されます。

面白いのは、トランプの一般教書演説について、ペロッシ下院議長とは握手せず、またペロッシは演説の文書を破り捨てたことです。実際、トランプの演説内容なまるで事実を無視して、自分の自慢話を並べたようですから。共和党はそれでもトランプに従順です。

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IPEの想像力 2/24/20

朝日新聞のGlobeMarch 2020)が載せた特集「冷たいバブル」を読みました。

カナダ西部、バンクーバーの住宅バブル。中国人の団体がバブで押し寄せ、住宅のベルを鳴らして、家を売らないか、と尋ねて歩いた。

各地に、中国マネーが流入し、価格の高騰につれて、他の資金も大量に流れ込む。

オーストラリアのシドニーでも。カンボジアでも。高層マンションが建つ。

20億円、30億円の不動産を、ローンではなく、現金で買ってしまう。インフレ、政治不安からの、資本逃避でもある。

住民たちは住宅価格や家賃の高騰に窮し、抗議の声を上げた。普通の労働者が住宅を変えない。政府は不動産を購入する外国人に課税し、銀行の住宅ローンも審査を厳しくした。

カンボジアでも、プノンペンのホテルの156棟のうち150棟、カジノの62店のうち48店、436軒の飲食店の95%が中国資本になった。

フン・セン首相がオンライン・ギャンブルを禁止すると、バブルは終息し、中国資本は消えた。多くのカジノは閉業し、2019年末までに20万人の中国人が帰国した、という。

しかし、建設工事現場で働いた中国人労働者たちは、賃金を支払われず、帰国もできない。

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令和・未来会議、開国論2020を、半分だけ観ました。

日本の受け入れ制度(技能実習制度)が悪用されている。直ちに改正して、労働者がスキルを高めて家族とともに永住する道筋を示すべきだ。

外国人が日本で暮らす権利を保障する。日本人が外国人の異文化に対して排除する姿勢を改める。

浜松市や北海道の東川町が、多文化共生社会を積極的に試みている。日本語学校の学費を補助。公営住宅を提供し、生活費も補助する。介護の現場でアルバイトもできる。

このままでは日本に外国人は来なくなる。日本は外国人にとって魅力的な国ではない。

日本語を学んだら、日本で家族と住み、働けるようにする。

日本は、高度な技術や専門家だけを求めるのか。労働者として使い捨てにするのか。

生活するうえで摩擦は必ず起きる。日本の住民との摩擦をオープンに話し合えるような仕組みを作る。ドイツやアメリカ、北欧の例から、失敗の理由を考える。

何よりも今すぐにすべきことは、2つある。外国人の人権を守る。高額な債務を負わせるようなブローカーの介入を禁止する。

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住宅ではなく、株価も為替レートも国債市場も、おかしくなった。異常な低金利、マイナス金利が続く。量的緩和がもたらした経済とは何なのか?

日本の住宅価格は、まだ、バブルの熱狂を示していない。「冷たいバブル」という記事になった。

3/4/2020追記

ニューヨークの株価が1週間で2000ドル以上も下げた。アメリカ、日本、ヨーロッパの中央銀行が資金を供給する。日銀の黒田総裁や財務省の麻生大臣が、心配するな、対策を打つ、という。

そうだろうか? これほど大量に国債や株を購入した日銀が、これほど国債で予算を建てるしかない政府が、問題を解決できるとは思わない。彼らは問題の責任者だ。

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