IPEの果樹園2020

今週のReview

2/10-15

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簡易版

[長いReview

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主要な出典 FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Foreign Policy, The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, Yale Globalそして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


 イラン封じ込め

FP JANUARY 29, 2020

The Only Sensible Iran Strategy Is Containment

BY STEVEN A. COOK


 アメリカ民主主義はどうなるのか

NYT Jan. 30, 2020

The Future of American Politics

By David Brooks

人はもっぱら利己的に動く。この間違った考えによって政治は動いている。

私たちは政治や社会を利己的な個人を基礎にして考える。それが社会の基本単位である、と。したがって、人びとは、個人主義的な文化によって距離が開き、人間関係やコミュニティーを分断してしまう。

資本主義とは、特別に優秀な人びとが特別に繁栄した大都市に集まり、それ以外の人びとは取り残されてしまうシステムだ。共通のコミュニティーや平等な尊厳という感覚を、絶滅する。

これが、「制約のないリベラリズム」の欠陥であり、ラディカルたちが「ネオリベラリズム」や「後期資本主義」とよぶものだ。

左派でも、右派でも、ポピュリストたちはよく似た結論に至る。いかさまのゲームだ! リベラリズムは詐欺だ! 社会は、私的な利益を追求する個人から成るのではない。これは集団間の競争だ。社会は、集団間の権力をめぐる闘争でできている。

トランプ的な右派にとって、沿岸部のエリートたちが、アメリカ大陸中心部の白人・キリスト教・愛国者たちを粉砕しようとしている。文化的な左派にとって、M.フーコーの遺産であるが、言語によって、抑圧者たちが被抑圧階級を押しつぶす。経済的な左派は、サンダースのように、それを階級戦争と観る。強欲な資本家階級が、システムを操縦し、労働者階級を窮乏化させる。

ポピュリストの物語では、われわれは生死の闘いに閉じ込められる。抑圧者と被抑圧者の集団だ。われわれと奴ら。社会問題は単に起きたのではない。邪悪なよそ者によって意識的に作り出された。われわれの生存が危機にある。

自立した個人が選択する「制約のないリベラリズム」の人類学も、無慈悲な部族間戦争における働きアリというポピュリズムの人類学も、われわれを惨めな存在にする。

しかし人類が支配的な種族になったのは、他の種族より自律しているとか、牙や爪が優れているからではない。われわれが協力することに優れた種族であるからだ。

アメリカ政治の未来は、競争する個人や部族間戦争にあるのではない。協力する多元主義的な社会を、そのセンターにおいて紡ぐことに未来がある。それが政治指導者に求められることだ。

FT January 31, 2020

Bernie Sanders, a socialist surges in Iowa

Courtney Weaver

FT February 2, 2020

US election: Democrats deeply divided on how to take on Trump

Demetri Sevastopulo in Des Moines, Iowa

FT February 2, 2020

Democrats must not draw the wrong lessons from Labour’s defeat

Stanley Greenberg

イギリス労働党は総選挙で惨めに敗北した。アメリカの民主党はその教訓を、極端な左派の、ラディカルな公約をしたからだ、と考えるかもしれない。

トランプが2016年の大統領選挙で勝利したのは、確かに、同じように、労働者階級の支持を得たからだ。彼らはエリート主義や移民政策に反対し、EU離脱に支持投票した。しかし、歴史的な経過は異なっている。

民主党は白人労働者階級の反発を抑えることに成功してきた。彼らはオバマ政権が行ったグローバル資本主義の救済、ウォール街の大銀行救済、連邦政府の赤字を増やした強制加入の医療保険制度に、反対した。そのせいで、2010年、2014年の中間選挙で民主党は敗北し、2016年、ヒラリーはトランプに敗北した。

しかし、トランプ政権への幻滅は始まっている。トランプは富裕層や企業向けに減税した。民主党候補たちは改革、汚職追放、薬価引き下げ、雇用を増やすインフラ投資を求めて、選挙に勝利している。

FT February 4, 2020

Democrats’ public relations disaster in Iowa

Edward Luce

FT February 5, 2020

The Democrats’ Iowa app fiasco was an accident waiting to happen

Anne Shreiner

NYT Feb. 5, 2020

If Bernie Wins, Where Will He Take the Democratic Party?

By Thomas B. Edsall

ブティジェッジは黒人の支持を得ていない。

サンダースは民主党の支持層を分断してしまう。それはトランプにとって最高の条件だ。

サンダースの主張はあまりにも左派に偏り、民主党への支持を拡大できない。一般投票では、しばしば、より極端な主張が支持されて、穏健派を倒す傾向がある。・・・エネルギー産業の国有化、銀行・通信・電力・製薬企業の国有化、生産手段の国有化、アメリカにおける最富裕層への100%最高税率。

FT February 6, 2020

Too many US moderates make a muddle for Democrats

Janan Ganesh


 

The Guardian, Thu 30 Jan 2020

Why Brexit won’t mark the end of Britain’s zero-sum politics

Lea Ypi

The Guardian, Fri 31 Jan 2020

We remainers must now aim for Britain to do well – and the EU even better

Timothy Garton Ash

イギリスはヨーロッパを去ったわけではない。別の部屋に移っただけだ。ヨーロッパの役割はつねに複雑でアンビヴァレントであった。

われわれは残留派であったが、一貫して、離脱がUKを弱くする、貧しくする、分断する、影響力を失う、世界に対する魅力を失う、と主張してきた。その証拠がある。Bloomberg Economicsによれば、今年の末までに、イギリスの経済成長を損なうコストは約2000億ポンドである。それは、インフレを考慮して、1973年に加盟して以来、イギリスがEU予算に支払った額とほぼ等しい。

われわれ元残留派は、疫病と同じようにBrexitと闘わねばならなかった。しかし、われわれは離脱派と同じくらい強い愛国心を持っている。その意味では、悲観的な予測を実現しない形で、少なくとも離脱が成功することを願う。

EU27か国が、イギリスを気味の悪い国だと思うなら、それは大きな間違いだ。確かにBrexitの原因はイギリスの例外主義にあるが、その多くは反リベラルのポピュリスト的ナショナリズムであり、ヨーロッパ大陸に広まっているものだ。

イギリスがEUに再加盟する、というのはどうだろうか? これは、今は考えられない。Brexitの本当の意味を廃棄するのに5年かかる。そして、さらに5年かけて、Brexitが現実にどのように機能するのか、われわれは観るだろう。その頃には、EUも変わっている。2030年に、私が強く望むように、イギリス人たちがEUに再加盟することを話し合っているだろう。それは決して失敗や敗北を意味するものではない。われわれが何者であり、どこに位置するのか、明確になった、快適な感覚である。そして、再加盟するという見通しは、EUが今よりもっと魅力的で、ダイナミックになっていることにもかかっている。

もしそうなれば、そうなるときだけ、EU離脱をめぐる論争はEU再加盟に変わる。

FT January 31, 2020

The ‘damn fools’ got it right on Brexit

Robert Tombs

FT January 31, 2020

Always detached, Britain has now forced a complete break from Brussels

Philip Stephens

SPIEGEL International 31.01.2020

Post-Brexit Negotiations

Europe Can’t Afford to Alienate the UK

An Essay by Romain Leick

PS Jan 31, 2020

The United Kingdom’s Paradise Lost

HAROLD JAMES

ボリス・ジョンソン首相は、選挙において大きな勝利をおさめ、意気軒昂である。

これは意外なことだ。2016年の国民投票から後、Brexitは政治や国民を分断してきた。離脱案は失敗し続けたのだから。

ジョンソンの保守党は単純なスローガンだけで、細部には何も答えることなく、有権者の不満を吸収することに成功したと言える。「やっちまえ!」である。もちろん、国民がEUについて感じていた不満は本物だった。

そもそもイギリスは、1970年代からずっと、統合に関して相反する議論を続けてきた。すなわち、統合することの経済的な利益を支持し、遠くの超国家機関に支配され、主権を失うことを嫌ったのだ。それは、マーガレット・サッチャーが意識して取り扱った問題だった。

2008年の世界金融危機以後、特にユーロ圏の危機で、選択の問題は深刻だった。財政赤字、対外赤字を融資することと、投資家の信頼を回復することが、政府に緊縮策を強いることが、ぶつかったのだ。

それは量的緩和という金融政策によって解決される、という話になった。しかし、EU規模に、金融緩和を利用できる政府は存在せず、危機は深まった。だからジョンソンはEUを離脱し、緊縮策もやめると約束したのだ。イングランド北部の支持を集めて保守党は勝利した。

「われわれはケーキを持っており、ケーキを食べることもできるぞ。」というわけだ。しかし、選択の問題は避けられない。必ず戻ってくるだろう。

NYT Jan. 31, 2020

Britain Is Leaving. Europe Has to Change.

By Jochen Bittner

FP JANUARY 31, 2020

So Long, Farewell

A transcript of Ursula von der Leyen’s remarks on Brexit

BY FP EDITORS

NYT Jan. 31, 2020

Requiem for a Dream

By Roger Cohen

NYT Jan. 31, 2020

Brexit Is Here! Sort Of

By The Editorial Board

NYT Jan. 31, 2020

Brexit Has Arrived. But Boris Johnson’s Reign Is Just Beginning.

By Richard Seymour

The Guardian, Sat 1 Feb 2020

It was all a dream: there was no way to stop Brexit

David Runciman

代表制による民主主義において、直接の国民投票が決めたEU離脱を実現するのは議会である。それは、あたかもイラク戦争のように、議会の内部の多くの反対派を抱えていたが、多数を制するのは推進派であり、ようやく、ボリス・ジョンソン首相がそれを実現する。かつて、離脱できないように見えたが、それをもたらしたのは、2016年ではなく、最近の選挙で決まった議会である。

議会で保守党の勝利を実現したのは、選挙のための戦術だった。それは結果を無視して、保守党が勝利することだけが重要であり、そのために必要なことを実行したドミニク・カミングズの功績だ。国民投票で勝利するために、政治システムを破壊し、Brexitを実現するために政治システムを再建した。そのため穏健派を粉砕し、妥協の道をふさぐことが、労働党の敗北を意味したのだ。

NYT Feb. 1, 2020

I Went to a Brexit Celebration Party

By Tanya Gold

The Guardian, Sun 2 Feb 2020

The threat to Johnson’s ‘national revival’ will come from within his own party

Will Hutton

The Observer, Sun 2 Feb 2020

The Observer view on leaving the European Union

Observer editorial

FT February 3, 2020

How to secure the EU’s post-Brexit future

Wolfgang Münchau

PS Feb 3, 2020

Building an EU-UK Special Relationship

DANIEL GROS

FP FEBRUARY 3, 2020

Brexit Is Fake News

BY CHRIS MILLER

FT February 5, 2020

The UK is about to shoot itself in both feet

Martin Wolf

The Guardian, Wed 5 Feb 2020

Europe’s British question: how will the EU’s big powers play the next phase?

Stefan Kornelius, Xavier Mas de Xaxàs, Sylvie Kauffmann, Philippe Ricard, Francesca Sforza, Alberto Simoni and Patrick Wintour

FT February 6, 2020

Brexit writes a new chapter in Anglo-German relations

Frederick Studemann

FT February 6, 2020

How the Brexit deal can be done

Chris Giles

FP FEBRUARY 6, 2020

Europe’s Post-Brexit Future Is Looking Scary

BY STEPHEN M. WALT

BrexitEUがこの20年間に経験した最新の後退である。最初は、バルカン危機、次は、ユーロ危機であった。それに続いて、Brexitとトランプが起きた。ともにEUに対する敵意を示し、EUを脅かした。

しかし、EUの問題はもっと長期に及ぶだろう。問題は構造的なものであるからだ。EUは、全体を代表する声を示せないことに加えて、1つのブロックとして政策や能力を形成していない。イランでも、リビア内戦でも、ロシアに対する外交でも。

さらにEUは人口が減少しつつある。その解決策は、外からの移民であるが、2015年の難民危機はそれを制限した。EU内の政治が諸国間で駆け引きに支配されることは、かつてのような、冷戦とNATOにおけるアメリカの指導的役割に頼れない現代に、致命的な欠陥となる。

メルケルは、ヨーロッパ統合の深化を支持した。しかし、ヨーロッパを指導する大国は存在しない。諸大国の人口は減少しつつある。

もしEUが弱ければ、アメリカはこれを支援することに利益を見出せず、支援を辞めると脅すだろう。もしEUが人口や経済において強化されるなら、アメリカの支援を必要としない。どちらにしても長期的にNATOは消滅するだろう。

もし大西洋間の同盟が再生するとしたら、それは中国の台頭に協力して取り組むことだ。米中間で、EUが中立な立場を取ることは間違いである。その場合、アメリカはNATOを離脱する。


 

FT January 31, 2020

How the Democrats can beat Trump

Simon Kuper

NYT Feb. 1, 2020

Trump, Unrepentant and Unleashed

By Maureen Dowd

FT February 6, 2020

The best week in Donald Trump’s presidency

Edward Luce

PS Feb 6, 2020

US Democracy in Peril

ELIZABETH DREW


 

PS Jan 31, 2020

The Approaching Debt Wave

KAUSHIK BASU


 

PS Jan 31, 2020

In Defense of Cosmopolitanism

ANDRÉS VELASCO


 

FT February 3, 2020

Coronavirus will hit global growth

Rana Foroohar

FT February 3, 2020

Coronavirus has put globalisation into reverse

FP FEBRUARY 3, 2020

Knock-On Effects of China’s Coronavirus May Be Worse Than Thought

BY KEITH JOHNSON, JAMES PALMER

SPIEGEL International 04.02.2020

Will Sniffle Become a Flu for World Economy?

By Georg Fahrion, Kristina Gnirke, Veronika Hackenbroch, Martin Hesse, Martin U. Müller, Katharina Graça Peters, Michael Sauga and Bernhard Zand

FT February 7, 2020

Coronavirus: the cost of China’s public health cover-up

James Kynge in Hong Kong, Sun Yu in Beijing and Tom Hancock in Wuhan


 

FT February 3, 2020

How Japan Inc became a target for activist investors

Leo Lewis and Kana Inagaki in Tokyo

NYT Feb. 5, 2020

Carlos Ghosn Was Too Big Not to Fail in Japan

By Ian Buruma


 

FT February 3, 2020

Markets, State, and People: Economics for Public Policy, by Diane Coyle

Review by Giles Wilkes

さまざまな失敗の理由と完全な政策の欠如は、必ずしも経済学の答えが満たすことはできない。それは政治と技術がぶつかり合って、諸分野の助言により、積極的に模索するしかない。


 

PS Feb 3, 2020

Fantasy Fiscal Policy

KENNETH ROGOFF

超低金利の時代になったからといって、財政政策に多くを期待することは間違いだ。


 

VOX 03 February 2020

Digital money and central bank digital currency: An executive summary for policymakers

Dirk Niepelt


 

NYT Feb. 3, 2020

Privatizing the United States Army Was a Mistake

By Max Brooks

アメリカの軍隊民営化がもたらす未来。

アメリカ社会を守ることで、アメリカ自身を守る軍隊を持てる。


 

NYT Feb. 3, 2020

China and America Can Compete and Coexist

By Zhou Bo

21世紀最大の課題は、米中間の貿易戦争ではない。それは、米中が競争的に共存するために、予想外の事件から、双方が望まない、管理できないような、軍事衝突が始まってしまうことだ。その潜在的な発火点になる可能性が最も高いのは、南シナ海である。

FT February 4, 2020

For the US and China, interdependence is a double-edged sword

Joseph Nye

FT February 5, 2020

Investors need to position for a US-China clash of civilisations

Diana Choyleva

PS Feb 6, 2020

Trump’s Talk Could Mean War

IAN BURUMA

習近平は軍事力を使ってでも台湾統一を進めると宣言した。アメリカ議会は香港の抗議デモを支持する法案を可決した。しかし、トランプは台湾への支援を認めていない。しかし、中国がその姿勢を知っており、台湾が中国との武力衝突になったら、何が起きるのか。


 

FT February 4, 2020

Malawi court decision is a victory for African democracy

David Pilling


 

PS Feb 4, 2020

Africa Is the Last Frontier for Global Growth

COLIN COLEMAN

YaleGlobal, Tuesday, February 4, 2020

West Africa Plans Common Currency

Simon M. Mutungi

 

FT February 6, 2020

West Africa needs to be prudent after CFA franc


 

PS Feb 4, 2020

The Battle for French Pension Reform

RAPHAËL HADAS-LEBEL

FT February 6, 2020

The skies darken for France’s Sun King, Emmanuel Macron

Philip Stephens


 

PS Feb 4, 2020

Trump’s Transactional Myopia

JOSEPH S. NYE, JR.

NYT Feb. 4, 2020

Mother Nature Scoffs at Trump’s Mideast Peace Plan

By Thomas L. Friedman

PS Feb 5, 2020

What Does Europe Have to Offer?

DAMBISA MOYO

FP FEBRUARY 3, 2020

Berned Beyond Recognition: How Sanders’s Rise Changes U.S. Foreign Policy

BY MICHAEL HIRSH


 

NYT Feb. 4, 2020

We’re Still Living in Stalin’s World

By Diana Preston

ウクライナ、クリミア、朝鮮半島、Brexit後のヨーロッパ。これらはすべて75年前の短い会談で決まったことに由来する。

それは、クリミア半島のリゾート地、ヤルタで開催された。連合軍の3人の指導者たち、フランクリン・ルーズベルト、ウィンストン・チャーチル、ヨシフ・スターリンが、戦争の終結とその後について話し合った。

最も切迫した問題はポーランドの国境線と民主的な自由であった。ルーズベルトとチャーチルはこれを守ろうとしたが、とうおうの大部分を支配するのはソビエトの赤軍であった。スターリンが好んで言ったように、「だれであれ、その領土を支配する者が、その社会システムを決める。」 そして、強固な軍事力を持つソ連に反対することはできなかった。自治を約束した紙は無視された。

ヤルタから戻ったチャーチルは軍の司令官たちに、スターリンが公平な取り決めをポーランドとするように強制する軍事行動のコストを計算するよう命じた。回答は、英米軍の45個師団、ポーランド軍の諸部隊と再武装した10万人のドイツ軍、というものだった。その作戦にも命名されていた。「考えられない作戦“Operation Unthinkable”」。

ヤルタ会談はほかにも問題を残した。

ルーズベルトの主要な問題は、ソ連軍が早期に日本を攻撃するよう保証させることだった。ルーズベルトは、米軍が日本の本土に侵攻すれば、多数の死者が出ることを確信し、それを回避したかった。そのために、同盟国である中国を犠牲にし、敗戦後の日本についても譲歩するような、領土、その他のスターリンの要求を受け入れた。

その5か月後に、アメリカは原子爆弾の実験に成功した。そして数週間内に、2発の原爆を日本に投下した。それは、ルーズベルトとチャーチルに、ソ連が太平洋戦線に参加する必要はない、と思わせた。

このことを即座に理解したスターリンは、日本侵攻を一気に開始した。原爆が広島に投下された3日後、長崎に投下されたその日に、ソ連軍は日本が占領する満州と朝鮮半島北部に進み、急速に38度線まで南下した。それにわずかに遅れて、アメリカ軍も南部を占領した。その後、赤軍の軍服姿で金日成が登場し、北朝鮮の権力を握った。

ヤルタ会談のもう1つの遺産は、英仏関係の遺恨である。シャルル・ド・ゴール将軍は、自分がヤルタ会談に招待されるよう求めたが、ルーズベルト、チャーチル、スターリンに拒まれた。ド・ゴールは戦後の英米によるヘゲモニーを信用しなかった。イギリスのEC加盟を拒み、NATOの司令部からフランスを離脱させた。

西側には多くの目標があった。ルーズベルトは国連を実現し、国連安保理を制度化するために拒否権を認めた。チャーチルは、大英帝国の維持という、短期的で、道義的にも支持されない目標を、たとえば、香港の支配権として守った。

ルーズベルトはヤルタ会談の2か月後に死亡し、チャーチルは次の連合軍によるポツダム会談の数日前に政権を失い、アトリーに代わった。スターリンだけが残った。地政学的な交渉で他の2人を圧倒し、その枠組みは今なお世界を形作っている。


 

NYT Feb. 4, 2020

How the Far Right Became Europe’s New Normal

K. Biswas


 

FT February 5, 2020

Restructuring Argentina’s debt will require IMF support

Hector Torres

FT February 5, 2020

Dollarisation would not save Argentina

Luis Jácome

アルゼンチンのマクロ経済は不安定なままだ。インフレ率は50%に達する。ドル化することはその解決策になるのか? エクアドルの20年間の経験が教えてくれる。

ドル化は、1。インフレを鎮静化することも、2。財政規律をもたらすことも、3。経済成長を高めることも、保証しない。

4。ドル化は経済の脆弱さを解消することもない。エクアドルは輸出する石油価格の変動と、ドルの変動に対して脆弱であった。5。労働市場の弾力化が進まなかった。マクロ経済の安定化し、法の支配を確立することが、投資のために重要である。それはドル化によって変わるものではない。


 

FT February 5, 2020

Russia and Turkey have fallen out in Syria

David Gardner


 

PS Feb 5, 2020

China’s Global Human-Rights Whitewash

ARYEH NEIER


 

YaleGlobal, Thursday, February 6, 2020

How the Wealthy Sell Treasures Tax-Free

John Zarobell


 

FT February 6, 2020

Free Democrats are playing with fire in Thuringia

Constanze Stelzenmüller


 

FP FEBRUARY 6, 2020

Is India Betting Big on Huawei?

BY HARSH V. PANT, AARSHI TIRKEY

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The Economist January 25th 2020

Intolerant India

Impeachment: Anything goes

Agriculture: Business has gone sour in America’s dairy capital

American public finance: The great Treasuries binge

(コメント) インドとアメリカという世界最大の民主主義国家が、その憲法のレベルにおよぶ深刻な危機を、熱病のように、発症している。

アメリカ、ウィスコンシン州の酪農家に関する記事が面白いです。さまざまな理由で、酪農家の数は大幅に減少し、多くのコミュニティーそのものが消滅してしまった。人びとの牛乳やチーズの消費量が減り、農家が高齢化し、悪天候の影響もある。教育を受けた若者たちは都市に流出し、メキシコへの輸出も、労働者を雇用することもむつかしくなり、移民政策は頼りにならない。酪農家の暮らしはドナルド・トランプの貿易戦争に影響されている。しかし酪農家たちの要求は、トランプの再選に影響する可能性がある。

彼らの所得を支えるのは、オーガニックへの転換や、都市居住者による酪農体験やツーリズムだ。しかし、それだけではコミュニティーは復活しない。

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IPEの想像力 2/10/20

ジェットコースターにメリーゴーランドを載せて、木馬にまたがり万華鏡をのぞいているとしたら、私たちが正しい社会的選択を行うことは絶望的である。

確かに現実は理想的な状態ではないが、それを変えるのも政治であると思う。まずジェットコースターを止めよう。これは経済状態が中長期的に大きく変動し、人びとの地位や生活が不安定なことを意味する。貧富の格差があまりにも急速に拡大し、ダイナミックに成長する社会においても、金融危機、衰退地域、貧困層、社会的差別が再生され続けている。

安定した市場による社会構造の変化はそれらを解決する力にもなる。すでに、世界中で、市場の拡大やさまざまな資本主義システムの欠陥を克服する規制や制度化が試みられてきた。世界金融危機以後の制度改革や規制強化、各地の革新的政策を学び、体系化するときである。

そして、メリーゴーランドを降りよう。これは、民主主義の政治的意思決定メカニズムが、主要政党の権力掌握、政権交代に限定され、自己目的化し、政治エリートの既得権となった状態だ。その結果、私たちの社会改革の能力が根本的に低下した。支配的な思想や権力集団の政策綱領にはゆがみが生じている。

コミュニティーが政治的な能力を高めなければ、民主主義はその生命力を失う。もし本当に民主主義を実行するのであれば、その成員が政治活動の時間を確保し、情報を理解しなければならない。複雑な政策の意思決定についても、市民・有権者に対して情報が開かれ、異なる選択肢について反対派を説得し、多くの支持を得られる必要がある。

それは、万華鏡をはずす、ということだ。フェイクニュースや仲間内の会話だけでなく、社会にとって何が重要か、さまざまな反対意見も含めて、よく考え、その活動に参加する。

私たちの世界は、他の集団、生物種とも共有している。人間である以上、社会的な条件を理想に向けて変える可能性を、常に、アイデアの中に持っている。社会をより深く理解すること、新しいアイデアを求め、話し合うことが、小さな規模で実現していると思う。そして、それが次第に複雑な、大きな規模にも及ぶ過程こそ、歴史的な潮流となってぶつかり合う、素朴で、まじめな民主主義の模索である。

それは、労働組合や生協のような、夏祭りや雪下ろしのボランティアのような、地球環境のためにプラスチックのごみを減らし、排気ガスを減らして歩くような、民主主義的な社会参加である。グローバリゼーションも、米中貿易戦争や新冷戦、核武装も、たちどまって、じっくり考えてみることだ。どのように理解するか。どのような社会を築きたいのか。

ヤルタ会談のもたらした力学が変化し、現代の地政学的構造が溶解する瞬間を、私たちは目撃している、という評論に、私は絶望しません。社会改革の情熱を持った人たちが常にいる、と思うからです。

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