IPEの果樹園2020
今週のReview
2/3-8
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簡易版
[長いReview]
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主要な出典 FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Foreign Policy,
The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate,
SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, Yale Globalそして、The Economist (London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
● BBCへの攻撃
The Guardian, Fri 24 Jan 2020
Without the BBC we could be facing a
post-truth dystopia
Jonathan
Freedland
BBCを破壊する突然の要求に苦しんでいるなら、良い治療法がある。しばらくアメリカで暮らすことだ。
フェイクニュースの世界で、われわれはコマーシャルのないニュースを必要としている。BBCがなければ、真実はさらに少なくなる。
FT January 24, 2020
The BBC must go back to doing what it does
best
Camilla
Cavendish
● 東アジア経済の日本化
PS Jan 24, 2020
How to Prevent the Japanification of East
Asia’s Economies
LEE JONG-WHA
多くの著名なエコノミストや中央銀行総裁が、西側諸国の経済が「日本化」する可能性を警告した。低成長、低インフレ、永久に近い低金利。
しかし、この病気は東アジアの、これまで高成長を続けてきた香港、シンガポール、台湾、韓国にも、成長減速とディスインフレとして起きつつある。経済的にも、人口学的にも、東アジア諸国は日本の後を追っている。
急速な高齢化、労働力人口の減少、生産性の伸びの鈍化。日本のようなバブル崩壊と金融緩和の遅れは起きていないが、楽観はできない。
● 中国の新型コロナウイルス
FP JANUARY 24, 2020
Welcome to the Belt and Road Pandemic
BY
LAURIE GARRETT
PS Jan 27, 2020
Will the
Coronavirus Cause a Major Growth Slowdown in China?
SHANG-JIN
WEI
FT January 28, 2020
Containing
the spread of the coronavirus is a forlorn hope
Anjana
Ahuja
PS Jan 28, 2020
The
Coronavirus Is a Disease of Chinese Autocracy
MINXIN
PEI
FP JANUARY 28, 2020
Market
Players Wonder: Is China’s Coronavirus the Next Black Swan?
BY KEITH
JOHNSON, JAMES PALMER
● ヨーロッパの人口問題
FP JANUARY 24, 2020
Europe Is Destined to Age—but Not to Suffer
the Consequences
BY
NICHOLAS GAILEY
FT January 27, 2020
Depopulation
is eastern Europe’s biggest problem
Ivan
Krastev
ヨーロッパの政治指導者たちは、東中欧の指導者たちに会うと、民主主義や「法の支配」が危機にある、という話をする。しかし、東中欧の最優先する問題はそれではない。彼らが最も苦悩しているのは、人口の危機、国から大量の若者や女性が流出してしまう、自分たちの文化、エスニック集団としての危機だ。
● ドルのデジタル化
FP JANUARY 24, 2020
The Greenback Needs a Digital Makeover
BY TIM
MORRISON
● 異常な金融緩和は続かない
FT January
25, 2020
The next
bust may not come soon, but it will hurt
Michael
Mackenzie
重要な問題は、株価や債券市場の強気が経済の現実を超えてしまっている、ということだ。金融政策が相場の主要な支持要因だ。中央銀行には逆らうな、というわけだ。
中央銀行のリスク管理によって、第2次世界大戦後のブーム・アンド・バスト・サイクルは大きく変化した。同時に、この数十年で、技術革新と人口変動の結果、債券利回りとインフレが容赦なく下落してきたのだ。
1987年以来、アメリカ連銀など、主要な中央銀行は金融市場の混乱を鎮める消防士であった。中央銀行が莫大な債券を購入し保有した。しかし、経済全体としては、多くの者が利益を受けておらず、各地にポピュリズムの台頭を招いている。金融資産の価格が上昇し続ければマクロ経済のショックに弱くなる。次の大規模な変動には中央銀行も抵抗できないだろう。
中央銀行の資産価格目標政策は、低金利やマイナス金利によって、金融システムに長期的な結果をもたらす。民間部門は債務を増やすことで問題を先送りし続ける。米・英・ユーロ圏・日本と主要新興市場で、再融資される債務額は19兆ドルと推定される。
どのような結末に至るのか? それは、デフォルトと債券の劣化である。金融市場が混乱しても、いまや、逃げ込める安全な資産は存在しない。
PS Jan 27, 2020
A Global
Economy Without a Cushion
STEPHEN
S. ROACH
FT January 29, 2020
Central
banks are swimming against the tide on inflation
Megan
Greene
FT January 31, 2020
Reasons
to worry about our addiction to loose money
Gillian
Tett
日銀の新しい金融政策の審議委員は「アダチ」・・・誰だ? 金融専門家たちは知らなかった。しかし、リフレ派であると分かった。
日本、アメリカ、ユーロ圏で、中央銀行は金融政策の緩和をさらに続けている。それを市場は歓迎しているが、いったい、いつまで続けられるのか? 経済成長は、これほど極端な金融緩和に比べて、改善していない。
むしろ利回りの低下をカバーするために、金融機関はリスクの高い資産を、新しい市場にまで拡大し、購入している。そのようすは、世界金融危機の前に似ている。音楽が続く限り、ダンスするだけだ。
● EU離脱が実現する?
The Guardian, Sun 26 Jan 2020
Independence
Day will expose Brexit as a ruse to free an imaginary nation
Fintan
O'Toole
栄光の日がやってくる。2019年3月29日は、最初に約束した離脱日だった。その数日前、ボリス・ジョンソンは、元雇用主のTelegraph, Charles Mooreムーアと対談していた。ジョンソンは閣外にあり、比較的自由に発言できた。
「国中の教会の鐘が鳴り、記念切手が発行され、自由のかがり火は丘から谷までを埋め尽くすだろう。」 それに対するムーアの返答は正しかった。・・・しかし、どの「人民」が解放されるのか?
ブレグジットの最大の問題は、それが人民のいないポピュリズムであり、国民のいないナショナリストの革命だ、という点である。
2016年の国民投票においても、ジョンソンは多くの離脱推進派を困らせた。彼はブレグジットが「偉大なヨーロッパ的リベラリズム」であると言ったからだ。これではまるで、ピューリタニズムは偉大な性の解放である、と言うに等しい。表面的には、まさにそうなのだ。ブレグジットは18世紀、19世紀のヨーロッパ的な文化の一部だ。政治的な忠誠、そして、統一された「人民」の集合的な宣言であった。
そこに大きな逆説がある。ブリテンが国民国家であったことなどないからだ。その国家の歴史において、大部分は、民族的な政体を持たず、多民族、多言語の帝国であった。そもそもUKそれ自体が、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4民族から合成した国家である。EU加盟前のUKという「国民」に戻ることはできない。
2019年の総選挙でも、2016年の国民投票以上に、はっきり示された。スコットランドと北アイルランドはブレグジットを拒否したのだ。ブレグジットの物語は、北アイルランドでも、スコットランドでも、ロンドンでさえ支持されない。それは「ロンドン抜きのイングランド」が好む神話である。
ブレグジットを求めるイングランドの有権者たちは、自分たちの声を持つ「人民」とは認められない。彼らは政治的なネイションを持たないナショナリスト革命家である。その矛盾の核心には、壊れやすい、マルチナショナルな国家において、ナショナリズムの火をもてあそんだことにある。その情念はまだ鎮まらない。
もしナショナリズムを政治のコアに据えるなら、この革命はどこで終わるのか? すべての「人民」が純粋な古代のネイションを回復するまで続く。UKの既存の国境を維持する新しいイングランドは、宿命的な自己矛盾を観ようとしない。
The Guardian, Sun 26 Jan 2020
There is
triumph as well as tragedy in the story of Britain and Europe
Andrew
Rawnsley
FT January 28, 2020
Brexit
is a moment to end Britain’s zero-sum politics
Robert
Shrimsley
FT January 28, 2020
Brexit:
why fishing threatens to derail EU-UK trade talks
Jim
Brunsden in Brussels, Mure Dickie in Peterhead, Victor Mallet in
Boulogne-sur-Mer and Laura Hughes in London
FT January 29, 2020
Britain
after Brexit will not be alone, but it will be lonelier
Martin Wolf
私の生きている間で、イギリス政府が、これほど激しく、自国民を苦しめる選択に向かったことはなかった。離脱推進派は、EU規制を逃れることでイギリスは成長できる、という。それは幻想である、と簡単に証明できる。
イギリスは、特に労働市場で、すでに規制が少ない国だ。では、環境、製造物、金融健全さ、などで規制を緩和するのか? それはないだろう。イギリス経済の弱さは、低い投資率、弱い生産性上昇、インフラの遅れ、地域間不平等の増大、教育の問題、すべてがEUとは関係ないからだ。
FT January 29, 2020
Britain
needs a balanced policy on immigration
FT January 30, 2020
Brexit:
will Boris Johnson reverse Thatcherism?
George
Parker in London and Andy Bounds in Manchester
FT January 30, 2020
Post-Brexit
Britain cannot rely on a special relationship
Philip
Stephens
PS Jan 30, 2020
The Real
Brexit Negotiations Start Now
WILLEM
H. BUITER
すべての通商交渉が終わるには、数か月ではなく、数年かかるだろう。EUとカナダは、10年以上を費やしてThe Comprehensive Economic and Trade Agreement
(CETA)に2016年10月30日に署名した。しかも、2009年5月の最初の公式協議から7年だが、CETAはまだ発効していない。すべての加盟諸国が署名しなければならない。
関税や割り当ては協議すべき問題の氷山の一角にすぎない。
PS Jan 30, 2020
Britain
Enters the Unknown
CHRIS
PATTEN
● アメリカ経済の好調さ
FT January
26, 2020
Signs of
a global recovery in manufacturing are starting to show
Gavyn
Davies
FT January
27, 2020
A plot
twist in Donald Trump’s US growth story
Rana Foroohar
経済の異常なほどの好調さは、いつまでも続かない。すでに投資は減少しつつあった。しかし、トランプの大幅減税策と連銀の債券市場維持が好調をさらに引き延ばした。
トランプには不幸なことだが、経済のピークを越えた時期は続かないだろう。まだ選挙には遠い。
PS Jan 28, 2020
Explaining
the Triumph of Trump’s Economic Recklessness
JEAN
PISANI-FERRY
ドナルド・トランプは大統領になってから、経済学を全く否定した政策を次々に取った。貿易障壁、将来の不確実さ、民間企業への脅迫、銀行のプルーデンシャル基準の緩和、連銀の金融政策に対する攻撃、完全雇用状態の経済にもかかわらず、財政赤字を増やした。戦後の大統領の中で、最も多くの「してはならない」リストを実行した人物だ。
しかし、経済は好調さを維持している。その理由を説明するのは、さまざまなポピュリスト政策、減税と規制緩和による投資の増大ではなく、ケインズ主義的な意味の需要拡大策である。
これほどの「高圧経済」に対して需要を追加する政策が何を意味するのか? また、連銀のリスク管理が何に終わるのか?
● 世界税制
The Guardian, Mon 27 Jan 2020
How to
make multinationals pay their share, and cut tax havens out of the picture
Nicholas
Shaxson
国際的な税制に、ようやく、大規模な地殻変動が始まった。2つの激震が走った。1つは、OECD事務総長が、イギリスによるハイテク大企業(Google, Facebook and Apple)への課税を支持する発言だ。もう1つは、フランスのマクロン大統領が、同様の課税を、アメリカによるフランス製品への増税を回避するため、(放棄しないが)延期する、と発表したことだ。
これまで、多国籍企業に対する課税は、その本社が所在する国が行った。しかし、タックスヘイブンなど、税を回避する行動が広まっている。トランプ大統領は、アメリカ企業に課税することを非難するが、そもそも多国籍企業は支払っていない。そして、現在の税制は、豊かな諸国に有利で、発展途上国に取って不利なものだ。
最も望ましい可決策は、世界で単一の税制を採用することだ。しかし、多国籍企業は強く反対してきた。最近、IMFのラガルド専務理事は、世界課税を支持する発言をした。もはや、多国籍企業も提案を否定できない。
● 中国の重要性
FT January 27, 2020
China,
not America, will decide the fate of the planet
Gideon
Rachman
PS Jan 27, 2020
Re-Engineering
China’s Economy
ANDREW
SHENG, XIAO GENG
● プーチンの演劇
NYT Jan. 27, 2020
Vladimir
Putin’s New Orchestra
By Ivan
Krastev
● ベゾスとサルマン
FP JANUARY 27, 2020
Who’s
More Powerful, Jeff Bezos or Mohammed bin Salman? Neither.
BY
STEPHEN M. WALT
ベゾスの携帯電話がサウジアラビアによってハッキングされていたかもしれない。ワシントン・ポストがその疑いを表明した。ハイテク時代になっても国際政治の本質は変わらない、ということが、世界で最も裕福な男、Amazonの創業者・経営者の個人情報を盗むことに示された。
● トランプ弾劾
FT January 28, 2020
John
Bolton must be allowed to testify in trial of Donald Trump
FT January 29, 2020
How US
Republicans came to deify the presidency
Janan
Ganesh
弾劾の告発に対して、大統領の弁護士は、ウクライナ・スキャンダルの事実に関してほとんど争わない。多くの時間を費やして、それが大統領の政敵に関する行動をキエフ(ウクライナ政府)に取らせたか、援助の停止ということがその理由か、という点を争う。そして、トランプの行動は大統領の権限の範囲内であった、という。
トランプが無罪になるとしたら、それは共和党の上院議員たちが党のために彼を護るからだ。それを否定する意見は、子供じみた議論として抑えられる。
フランクリン・ルーズベルトが王朝にたとえられて以来、保守派は大統領の権力増大を容認する姿勢になった。彼らは、ベトナム戦争でも、中米における秘密の軍事介入でも、イラク戦争でも、権力集中を支持し、ホワイトハウスを神格化した。「小さな政府」を主張する共和党が、このような矛盾した姿勢を取っている。
今は、中国の挑戦に対抗しなければならない。ここでも「帝王型」大統領が求められる。保守派の中には、習近平、エルドアン、プーチンなど、世界に増える強権型指導者に対して、大統領の自由を制限することは不利である、と考える者がいる。
バーニー・サンダースや他の民主党員が頂点に立って、ローマ皇帝型の大統領になるとき、共和党は何を感じるのだろうか?
FP JANUARY 29, 2020
Trump’s
Narcissism Is What’s Really on Trial in the Senate
BY
MICHAEL HIRSH
● パリの抗議デモ
FT January 28, 2020
Paris
protests follow the old pattern of left-right clashes
Victor
Mallet
● リビア内戦の国際会議
FT January 28, 2020
Foreign
states must end their hypocrisy in Libya
リビアの内戦は外国の介入で激しくなった。先週、関係諸国がベルリンに集まり、紛争を抑制に向けて合意した。しかし、楽観はすぐに消えた。会議の後、わずか10日で、アラブ首長国連邦やエジプトは反政府派に武器を送っていたからだ。
会議では、トルコの介入に不満が示された。アメリカとヨーロッパはロシアの介入を懸念している。数日前、モスクワはアンカラと合意を結んだ。
2011年、NATOの軍事介入で、独裁者カダフィを倒してから、リビアにカオスが広がって、アルカイダやイスラム国が育つ肥沃な土壌にしてしまった。野蛮な密貿易業者たちが絶望する人々をヨーロッパに運んでやると約束して暴利を得て搾取している。ますます危険な地域紛争が地中海の南に、リビア国境をはるかに超えて、広がりつつある。
● キリスト教民主主義とオルバン
PS Jan 28, 2020
The
Twilight of EU Foreign Policy
SŁAWOMIR
SIERAKOWSKI
PS Jan 29, 2020
Christian
Democracy or Illiberal Democracy?
JAN-WERNER
MUELLER
EUの国家を超える右派のキリスト教民主主義組織EPPが、ハンガリーのオルバン首相とその政党Fideszを追放しようとしている。これに対して、オルバンは反撃し、自分だけがキリスト教民主主義の真の擁護者である、EPPはリベラリズムに身売りした、と批判した。
オルバンとFideszは、ハンガリーの民主主義と「法の支配」を破壊した。しかも、EUを、ヨーロッパ市民の自由を奪う独裁機関として非難した。
● トランプの中東和平とポピュリズム
FP JANUARY 28, 2020
Trump’s
Curious Multilateralism
BY BILAL
Y. SAAB
The Guardian, Wed 29 Jan 2020
The
Guardian view on Trump’s ‘peace plan’: a con, not a deal
Editorial
ドナルド・トランプのアラブ・イスラエル和平案は、パレスチナ人が名前だけの国家を受け入れる、という考えに基づくものだ。1993年のオスロ合意で、「パレスチナ」という国家が西岸地区とゴラン高原に、東エルサレムを首都として創られる、という希望を与えた。トランプ政権は、これにリップ・サービスを与えるが、その規模を削り、その権限を操作して、存在しないようなものにする。パレスチナ人の町をイスラエルの外に移す。イスラエルを戦争犯罪で訴えられないようにする。
それでもトランプは取引の天才だと自慢する。パレスチナ人が市民権や国家の権利を放棄するなら、5000億ドルを投資する、というわけだ。パレスチナ人は、この男を詐欺師と考える。
半世紀の占領によって、パレスチナ人に対する差別は制度化された。イスラエルは、ワシントンがもはや国際法違反とは考えていない、という事実を利用して、その野蛮で、非合法な政策を正当化する。2国家案は、アメリカがグローバルな情勢に対するルールに依拠した秩序を求める結果であった。EUを離れたイギリス政府も、トランプの圧力の犠牲になる。ロンドンは提案を歓迎するだろうが、過去の過ちを認めないような平和は持続しない。
ワシントンはかつてグローバルな関係を国際法によって解決することを指導した。しかし、今は違う。すべての国は自らを守るしかない、ジャングルの法則を拡大する。ここで創り出される、中東と同じ危険な世界に、私たちも生きている。
FT January 29, 2020
Donald
Trump’s Israel-Palestine real estate deal is intolerable
David
Gardner
NYT Jan. 29, 2020
Trump’s
Middle East Peace Plan Exposes the Ugly Truth
By
Nathan Thrall
NYT Jan. 29, 2020
Don’t
Reject Trump’s Peace Plan. Change It.
By Micah
Goodman
FP JANUARY 29, 2020
Trump’s
Peace Plan Is a Trojan Horse That Aims to Make Israeli Occupation Permanent
BY
KHALED ELGINDY
FT January 30, 2020
Trump
plan is not a path to Middle East peace
FT January 30, 2020
Trump
and Netanyahu’s global league of populists
Edward
Luce
トランプの2国家案の要点は、1国家だけを重視し、平和をもたらさないことだ。その真の目的は、トランプ大統領とネタニヤフ首相の再選を確保することだ。
2人の言葉づかいはよく似ている。「ディープ・ステート」、「フェイクニュース」、「魔女狩り」。その「犯人」もよく似ている。陰謀をはかった裏切者だ。
トランプとネタニヤフの同盟関係は選挙を超えている。世界政治の転換を求める。第1に、ポピュリズムの常態化である。ネタニヤフはその先駆者だ。イスラエルの政治を、さまざまなポピュリストの道具によって改造してきた。人民に対して、エリートを攻撃し、外国勢力の介入、特に、ジョージ・ソロスだが、アラブ人の詐偽投票を問題にした。
ネタニヤフは世界の政治から排除されて犯罪者になると期待された。しかし、現実はリベラルな政治家の思う世界とは違う。プーチンはネタニヤフを第2次世界大戦の戦勝パレードに招待した。モディ。オルバン、サルヴィーニがネタニヤフを尊敬する。世界のポピュリスト連合に属する若い政治家たちにとって、ネタニヤフは聖者である。
第2に、トランプとネタニヤフの同盟関係は以前の外交原則を破壊した。ネタニヤフは早くから他国への政治的介入を支持した。
2人はポピュリストにとっての理想、輝く丘である。
PS Jan 30, 2020
Trump’s
Bogus Middle East Peace Plan
DAOUD
KUTTAB
● ドイツ産業
FT January 29, 2020
The
Apple effect: Germany fears being left behind by Big Tech
Patrick
McGee in San Francisco and Guy Chazan in Berlin
FT January 29, 2020
German
car sector’s electric awakening to jump start economy
Martin
Arnold in Frankfurt
● ダヴォス
PS Jan 29, 2020
Greta
Thunberg, Donald Trump, and the Future of Capitalism
YANIS
VAROUFAKIS
PS Jan 30, 2020
Has Davos
Man Changed?
JOSEPH
E. STIGLITZ
今年のダヴォスは、環境にとって持続可能な資本主義を支持した。しかし、われわれにはもっと多くの条件が必要だ。大企業は税金を支払い、労働者たちが生活できる賃金を支払う必要がある。そして、政府が健康や安全、労働者の権利、環境を守る政府を重視し、むしろ政府に新しい政策の採用を促すべきだ。
● ボリスの保守党
The Guardian, Thu 30 Jan 2020
Boris
Johnson has shifted the Tories left on the economy. Labour should watch out
Larry
Elliott
● ヨーロッパのグリーン・ディール
FT January 30, 2020
Europe’s
Green Deal must reach beyond its borders
Simone
Tagliapietra and Georg Zachmann
● 不平等対策
PS Jan 30, 2020
Inequality
and Economic Growth
SIMON
JOHNSON
産業革命後、人びとは所得とよりよい職場を求め、それを達成するには高い成長が必要だと考えた。不平等は重視されなかった。豊かな者は、累進的な税制の下でより多くの税金を支払い、財政を賄った。
これら3つの関係は変わった。第1に、税制は累進的でなくなった。第2に、市場の参入障壁が増えた。第3に、不平等が重要な政治問題となる。そして、成長を制約するようにもなった。
そうであれば、1.富・資産に課税する。2.市場の参入障壁を取り除く。3.富裕層による政治的アクセス、特に、政治資金・ロビー活動を規制する。
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The Economist January 18th 2020
The horrible housing blunder
American economic power: Spooked by sanctions
Immigration policy: Temporary toil
Bello: Argentina and the reality principle
A journey up the Congo river: Follow the bottle
Housing: No place like home
European industrial policy: L’industrie, c’est moi
Bagehot: Harry, Meghan and Marx
American financial hegemony: Dethroning the dollar
US-China trade: Between the lines
(コメント) 面白い3つのテーマで記事が読めます。1つは、住宅市場の歪みとバブルについて。住宅を持つことが庶民(有権者)の願いであるために、政治がこの市場に介入します。そして、金融システムがゆがみ、バブルが生じ、深刻な不平等と金融危機を生む。この記事に従えば、住宅への優遇策や規制、介入をやめれば、資本主義は健全さを回復しそうです。
2つ目は、ドル体制の急速な崩壊です。その原因は、トランプがドルやアメリカの金融システムを外交的武器として、むしろ、彼の個人的な思い付きで利用することです。
3つ目は、ヨーロッパが、特にドイツが産業政策に積極的になったことです。その反面、中国はアメリカとの貿易交渉で、国内の産業補助金や為替政策まで縛られます。
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IPEの想像力 2/3/20
本を出すために、材料を集め、文章を書いて、また消して、呻吟しています。
この果樹園から作る本です。だれもがそうであるように、私も、自分が生きる時代を、自分が学んだことで、何かを見出したい、意味を理解したいと願います。
世界を理解する? というのは、相対主義や宿命論と並ぶ願望であり、これも観念論であると思います。書物や論説を介して触れる世界は、あいまいな、怪しい観念の塊です。
それは、万華鏡をのぞくような感覚です。私たちは、ジェットコースターにメリーゴーランドを載せて、その木馬にまたがり、周りの景色が走馬灯のように変化してゆくのを観ているのです。
ブレグジットとトランプを生んだ時代は、金融市場のバブルで社会に不当な貧富の格差が広がったことに始まります。しかも、それが正当な、賞賛すべきことのように主張するイデオロギー、政治家、経済学者、成功した新富裕層、消費を誇示する文化に、私たちが支配されたことを基礎にしている、と思います。
その後、バブルは破裂し、資本市場の意味は根本的に否定されたのに、多くの政治家や経済学者はそのまま延命し、富裕層は地位を失わず、もっぱら苦しい思いをする貧困層や、低賃金、不安定な雇用が増えることを気にすることもない。厳しい経験をした人は、貿易自由化も、「働き方改革」も、グローバリゼーションも、新型肺炎よりもっと前から、支持を失っていたのではないか。
私は「新自由主義(ネオリベラリズム)」を批判することで十分だとは思いません。私は「社会民主主義」や「福祉国家」を回復することが答えだ、とは確信できないのです。
民主党の大統領候補指名争いは、混乱するにふさわしい内容を示すなら、すばらしいことです。ブティジェッジが勝つとは思えません。トランプとその支持者たちのネット選挙において最悪の文化戦争となるからです。しかし、だからこそ、彼がそれを跳ね返す雄弁さとネット戦略を示すなら、アメリカの民主主義は変わるでしょう。
中産階級の復活、貧困層に対する福祉を願うサンダースや、そのために富裕層やIT大企業に増税すると主張するウォレンにも、中傷や攻撃、対立は避けられません。それに勝利する政治家であってほしいです。平和を維持し、各地で社会を再生するために、同じことを思います。
私の本は、出版する必要などないのかもしれません。しかし、自分が多くの時間や、学生たちと話し合う機会を許されたことに、応えなければならないと思うのです。社会が私に与えた使命を果たしたい。この本が、時代の圧力に屈しないよう、未来を切り拓こうとする人たちへの小さな声援となってほしい、と思うのです。
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