IPEの果樹園2019
今週のReview
8/12-17
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簡易版
[長いReview]
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主要な出典 FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Foreign Policy,
The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate,
SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, Yale Globalそして、The Economist (London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
● トランプの貿易戦争
NYT Aug. 1, 2019
Why Was Trumponomics a Flop?
By Paul
Krugman
パウエル連銀議長が、いろいろな理由で利下げを決めたが、それはトランプが脅したから、というのも同じことだ。
何十億ドルも追加の赤字を増やしただけで、トランプが何も約束を果たしていないのはなぜか?
税金について、トランプは共和党の迷信を共有している。増税は経済をダメにする、というのだ。それは政策論では死んだ話である。増税や減税は景気を説明しない。企業に減税しても、それは投資を増やさず、株価を上げるための株買戻しに使われた。
貿易戦争はどうか? 関税引き上げは貿易赤字を減らさない。トランプの関税はアメリカ製造業に有害だ。特に、その気ままな引き上げは不確実さを増し、投資を抑制した。
これらの政策が経済的破滅をもたらすわけではない。経済危機のまん中にあるとき以外、アメリカ大統領は経済に重要な影響を与えないからだ。しかし、逆に、トランプによって失われたものを考えるなら、それが途方もない損失だとわかるはずだ。もし巨額の減税をせずに、インフラ整備を行っていたら、また、昔の製造業を再生する無駄な試みをやめていたら、再生可能なエネルギーを普及できただろう。
FP AUGUST 2, 2019
Trump Hired Robert Lighthizer to Win a
Trade War. He Lost.
BY EDWARD
ALDEN
FP AUGUST 2, 2019
What’s Trump’s Plan With the Latest Tariffs
on China?
BY KEITH
JOHNSON
NYT Aug. 3, 2019
Trump’s Trade Quagmire (Wonkish)
By Paul
Krugman
NYT Aug. 5, 2019
Trump’s China Shock
By Paul
Krugman
PS Aug 6, 2019
The Real Cost of Trump’s Trade Wars
DANIEL
GROS
経済学は貿易戦争が双方に損失となることを教えている。しかし、今、トランプが砲撃を続ける中国に対して差別的な関税引き上げは、さらに破壊的である。最終的に、アメリカが最大の敗者となるだろう。
平均関税率によって貿易戦争のダメージを測ることは過小なイメージを与える。なぜなら、アメリカは中国からの輸入品の約半分に25%の関税を課すが、アメリカの輸入に中国が占める割合は4分の1である。トランプによって、アメリカの平均関税率は、およそ2%から5%に上がっただけだ。
しかし、消費者や生産者はもっと大きな影響を受ける。中国だけに差別的な関税引き上げを行うことは、他国に生産補助金を与えるに等しい。その補助金はアメリカの消費者によって支払われる。
中国はアメリカからの輸入品にそれほど依存していない。報復してアメリカの農産物に対する関税を引き上げたが、容易に、ブラジルから輸入できる。
また、フアウェイに対する取引禁止は、今後、アメリカ企業が中国企業との長期契約を結ぶときの不安となる。
中国政府と企業は、アメリカから独立した技術やサプライチェーンを確立することに、一層の努力を向けるだろう。
最大の損失は、アメリカが最恵国待遇に基づく自由な貿易システムを破壊したことだ。
NYT Aug. 6, 2019
How Trump and Xi Can Make America and China
Poor Again
By
Thomas L. Friedman
NYT Aug. 8, 2019
China Tries to Teach Trump Economics
By Paul
Krugman
SPIEGEL ONLINE 08/09/2019
Trade War
Trump Weaponizes Currency in Fight Against
China
By Tim
Bartz, Martin Hesse and Christian Reiermann
PS Aug 9, 2019
Trump’s Deficit Economy
JOSEPH
E. STIGLITZ
PS Aug 9, 2019
Trade Disruption Is a Symptom of a Deeper
Malaise
MOHAMED
A. EL-ERIAN
世界金融危機において避けた世界不況を、トランプが米中貿易戦争によって呼び戻す危険がある、と警告されている。しかし貿易戦争は、金融システム改革を通じた、新しい包括的な投資・成長モデルへの関心を奪ってしまうかもしれない。
● 金融政策とトランプ
FT August 2, 2019
Central banks should consider giving people
money
Eric
Lonergan
FT August 3, 2019
Donald Trump’s gamble weaves monetary
policy into trade war
Michael
Mackenzie
● 中国の転換点
PS Aug 2, 2019
What’s Next for China’s Political Economy?
KEVIN
RUDD
中国は2つの経済目標を達成しようとした。1つは、生活水準の向上と雇用を確保する十分な成長。もう1つは、経済力を高めることで、革新的な利益を守り、グローバルな影響力を強めること。
今、習近平は、これまでの政治経済モデルを転換する決断に向かっている。共産党の絶対的な支配権を維持するのか、市場の基本的な経済的影響力を受け入れるのか。
PS Aug 7, 2019
The Real Reason for China’s Rise
ZHANG
JUN
● アメリカは核開発を加速せよ
FP AUGUST 2, 2019
What Does the Demise of the INF Treaty Mean
for Nuclear Arms Control?
BY LARA
SELIGMAN, ROBBIE GRAMER
NYT Aug. 9, 2019
The U.S. Needs More Nukes
By Bret
Stephens
世界各地で新しく核武装している。隔壁を制限する条約は、それを欺く国にとっての有利な条件となる。
ロシアとの核軍備・ミサイル技術開発競争を制限するルールは破られた。核抑止を確立するため、アメリカは強力に反撃するべきだ。
● ボリス・ジョンソンのBrexit
The Guardian, Sat 3 Aug 2019
Jeremy Corbyn’s stance on Brexit could yet
pay off, even for remainers. Here’s why
Joseph
Harker
The Guardian, Sun 4 Aug 2019
Whatever they say about Brexit, sterling’s
nosedive tells us the truth
Nesrine
Malik
FT August 4, 2019
Germany is replaying Britain’s Brexit
debate
Wolfgang
Münchau
FT August 6, 2019
Boris Johnson’s Brexit bellowing may not
make the EU blink
Robert
Shrimsley
The Guardian, Fri 9 Aug 2019
Independence for Scotland is inevitable –
we need a plan for it
Simon
Jenkins
FT August 9, 2019
Boris Johnson is not Churchill but de
Gaulle
John
McTernan
● 富の分配の時代へ
FT August 4, 2019
The age of wealth accumulation is over
Rana
Foroohar
およそ40年前に、アメリカは発展した世界の支配的な経済パラダイムを蹴り落とす運動を開始した。サプライサイド革命だ。
キャピタルゲイン税は削除された。アメリカのレーガン大統領とイギリスのサッチャー首相は、空港管制官と炭鉱労働者たちの組合を制圧した。一部の人びとが非常に裕福になった。しかし不平等が増大し、全般的な成長は減速したのだ。
先週の民主党大統領候補者討論会を観て、私はまさに思った。富の蓄積から富の分配へ、という次の大転換が始まった、と。
討論会の主導権を得た2人Bernie Sanders and Elizabeth Warrenは、ともに、富裕層への増税と企業に対する規制強化を主張した。これをラディカルと思う世界はあまりないだろうが、アメリカ政治においては革新だ。しかも、民主党員だけでなく、一部の共和党員にも起きている。
独占禁止法の厳格な適用、貿易からの保護、連銀への政治介入。それはトランプ大統領のツイートだけではない。
経済成長が減速する中で、その減少する果実を、だれが、どのくらい得るのか、という重大な政治闘争は終わるだろう。そしてもう1つの闘争、資本と労働力との闘争も、アメリカ企業の利潤を賃金上昇が侵食し始めている。そうあるべきだ。
非正統的な超金融緩和で何兆ドルも供給したが賃金はわずかしか上昇しなかった。アメリカ人の多くが医療費や薬の支払いによって貯蓄できない。祭富裕層への増税は政治論争で広く支持されている。
富の分配という時代は、投資を変化させる。アメリカの株価は頂点を過ぎて下落し、金、住宅、商品、あるいは美術品といった、供給の限られているものに向かう。多国籍企業の株式や債券ではない。
これは世界の終わりではない。富は蓄積され、分配される。その循環は影響に続くだろう。しかし、投資家たちの行動するルールは変わった。
FT August 6, 2019
Relying on liquidity risks leaving investors
in hot water
Mohamed
El-Erian
● アジアの地政学的な溶解に向けて
The Guardian, Mon 5 Aug 2019
The Hong Kong protests are putting China on
a collision course with the west
Simon
Tisdall
FT August 5, 2019
The Asian strategic order is dying
Gideon
Rachman
過去1カ月に起きた外交・安全保障の諸事件は、高齢で死を迎える老人に見られる多くの病のように、アジアが死の時を迎えていることを示した。40年間におよぶアジアの繁栄は終わる。
アメリカの圧倒的な優位や外交の予測可能性は失われた。東アジアの安全保障システムで、中国はもはや従属的な地位を受け入れない。この新しい状況で、ロシア、日本、北朝鮮など、諸国はルールを試しつつある。
アジアの経済的奇跡は平和と安定性を前提していた。それは1970年代半ば、ベトナム戦争終結と、中国を世界市場の包摂する戦略によって始まった。
その時以来、アメリカは中国の台頭を容認し、それどころが支援し、それと交換に、、中国はアジア太平洋におけるアメリカの軍事的な支配を受け入れた。東アジアのこの体制を、米中国交正常化を推進したキッシンジャー国務長官の名を借りて、「キッシンジャー・オーダー(体制)」とよべるだろう。
しかし、ドナルド・トランプも習近平も、その基本要素を拒否した。
オーストラリアの外交官は、「アメリカとオーストラリアは、中国に対する政策で協力できないときが来るだろう」と述べた。しかし、アメリカの指導力が失われても、それは中国が支配するアジア・太平洋を歓迎することにはならない。東京から台北、キャンベラからハノイまで、中国の行動に関する疑念は強い。
キッシンジャー・オーダーは、東アジアの歴史的な紛争や対立を解消したわけではなく、凍結することで、平和的な発展のための時間を与えたのだ。
今、地政学の気候は変化し、凍結された海は溶けていく。事態は急速に、危険で、予測不可能なものになる。
● 米中通貨戦争
FT August 5, 2019
China using its currency to soften worst
effects of trade war
Tom Mitchell
in Beijing
FT August 6, 2019
China shows its strength by allowing the
renminbi to slide
FT August 6, 2019
The threat of a US-China currency war
John
Plender
かつてアメリカ連銀の元議長Paul
Volckerは、米中の金融的紐帯を指して、潜在的な、「運命の抱擁」とよんだ。中国は1兆ドルを超えるアメリカ財務省証券を保有している。もしこれが経済戦争の武器になれば、悪夢のシナリオが始まるだろう
FP AUGUST 6, 2019
Currency War With China Dooms Trade Talks
BY KEITH
JOHNSON
PS Aug 8, 2019
Can America and China Avoid a Currency War?
BENJAMIN
J. COHEN
中国の通貨、人民元が、USドルに対して、若干、下落し始めたとき、金融市場はパニックになった。
米中対立は、中国がレア・アースの輸出禁止やアメリカ農産物の購入抑制、南シナ海、台湾海峡の紛争によって、さらに悪化することもあり得る。
しかし、通貨戦争をこの米中紛争において利用しないような、双方の利益を反映する合意を結ぶことは可能であろう。そのもっともありそうな仲介・監視役はIMFだ。それによって、国際金融市場の「ゲームのルール」は維持される。
あるいは、無力なIMFに代わって、ECBなど、他の金融当局が参加した、金融版の休戦協定を結ぶことだ。それには先例がある。1936年、当時の金融大国、アメリカと英仏が、為替レートを安定化する非公式な協定を結んだ。通貨価値の変更には、24時間の事前通知を各国が約束したため、「24時間の金本位制」と揶揄されたが、一定の安定化に役立った。
現在、その交渉はより困難だろう。当時の3国間は関係が良好だった。しかし米中とも、自国や世界におよぼす広範なダメージを防ぐことには利益がある。
FT August 9, 2019
There will be no winners in a currency war
Eswar
Prasad
PS Aug 9, 2019
Trump’s Manipulation of Currency
Manipulation
PAOLA
SUBACCHI
ドルを武器にすることは、アメリカにとって、めったに良い結果をもたらさなかった。1971年、ニクソン大統領が一方的に金鉱間を停止した「ニクソン・ショック」もそうだ。変動為替レートは不安定化し、スタグフレーションの時代になった。
中国政府にとって、人民元を安くする政策には重大な問題がある。国内の債務累積問題を抱える中で、資本の海外流出を加速する危険が高いことだ。
しかし、トランプ大統領が第2次世界大戦後の政策協調の枠組みを破壊しているときに、中国を敵視するアメリカの人民元批判に、中国政府が従う理由は何もない。
PS Aug 9, 2019
The Currency Manipulation Game
JEFFREY
FRANKEL
人民元の為替レートが減価したのは、中国の通貨操作ではなく、アメリカによる関税引き上げのショックに市場が反応したものだ。中国政府はむしろ市場圧力に屈したのだ。
YaleGlobal, Tuesday, August 13, 2019
Is China a “Currency Manipulator”?
Farok J.
Contractor
● 不平等と不動産所有
PS Aug 5, 2019
Locating Equality
HAROLD
JAMES
不平等の増大について、工業諸国の論争が強まっている。それは技術変化やグローバリゼーションを批判することも多いが、不平等をもたらす主要な要因は、不動産の所有である。
暴力と革命が不平等な社会を破壊しないとき、人々の不満は不動産所有であった。西ローマ帝国の後半には、広大な土地の所有が貴族制をもたらした。ロシア革命をもたらした都市住民の不満も、土地所有であった。
この疫病は巨大都市に限られるものではなく、現代も続いている。Brexitが起きたのは、ロンドンとその近隣地区では、移民流入、国際金融ビジネス、ツーリズムで、すなわち、グローバリゼーションにより、住宅を買えなくなった、と人々が感じたからだ。
● トランプと人種差別
PS Aug 5, 2019
The Race Card in America
IAN
BURUMA
NYT Aug. 6, 2019
When the President Is a Bigot, the Poison
Spreads
By Susan
E. Rice
The Guardian, Thu 8 Aug 2019
Our forever war: how the white male
hegemony uses violence to cling to power
Rebecca
Solnit
● リブラ
PS Aug 5, 2019
The Right Response to the Libra Threat
KATHARINA
PISTOR, CO-PIERRE GEORG
● ギリシャの保守政権
NYT Aug. 5, 2019
The Adults Are Back in Charge of Greece.
And They Are Really Right-Wing.
By
Matthaios Tsimitakis
● インドのモディ政権
NYT Aug. 5, 2019
India Tempts Fate in Kashmir, ‘The Most
Dangerous Place in the World’
By The
Editorial Board
FP AUGUST 5, 2019
India’s Sudden Kashmir Move Could Backfire
Badly
BY
MICHAEL KUGELMAN
FT August 7, 2019
India’s relationship with Kashmir needs
great care
NYT Aug. 7, 2019
India Annexes Kashmir and Brings Us Back to
Partition
By
Mohammed Hanif
カシミールは地上の楽園として多くの詩にうたわれた。しかし、インド分割以来72年間、インドとパキスタンはカシミールをめぐって争い続け、4度も戦争した。
1948年、国連はカシミールに住民投票による帰属の決定を求め、両国は合意したが、実施されることはなかった。双方に友人を持つが、彼らは、自由、特別な地位、インド(もしくはパキスタン)との合併、両国からの自由、などを主張してきた。
しかし、彼らが決して求めないことが起きた。モディ首相はカシミールの自治権を奪ったのだ。この世界でもっとも軍事化された土地に、3万5000人の兵士を増派した。
モディ首相のチアリーダーたちは、大分裂、世界でもまれな大虐殺、エスニック・クレンジングが再現されることを祝った。ヒンドゥー至上主義者にとって、カシミールはインド人であることを喜ばないことがそもそも罪なのだ。インド各地で牛肉をあつかう商人がリンチにされた。
最初の大分裂では多くの女性たちがレイプされた。多くの女性がレイプを逃れるために崖から身を投げた。今や、若いインド人男性は新しい機会を得たと考えているようだ。
パキスタンは激しく抗議しているが、アメリカはトランプであり、国連、中国、ロシア、イスラエル、国際社会は行動するような関心がない。
NYT Aug. 8, 2019
Modi’s Majoritarian March to Kashmir
By
Haseeb A. Drabu
PS Aug 9, 2019
Narendra Modi’s New-Model India
SHASHI
THAROOR
● 誰が熱帯雨林を守るのか?
FP AUGUST 5, 2019
Who Will Save the Amazon (and How)?
BY
STEPHEN M. WALT
● イタリアの並行通貨案
FT August 6, 2019
Legality is not the problem with parallel currencies
Izabella
Kaminska
FT August 8, 2019
The euro must prepare for future shocks
Laurence
Boone
FT August 9, 2019
ECB’s conventional tools will not solve
eurozone woes
Rick
Rieder
● 安倍晋三と日韓通商紛争
FP AUGUST 6, 2019
Japan Started a War It Wasn’t Ready to
Fight
BY
WILLIAM SPOSATO
安倍首相は、戦後処理に関する韓国の姿勢に強く憤慨し、利用できる武器を探していた。そして、貿易障壁を武器とした後、トランプ式に、その後の声明、さらなる声明を出し、政府内の戦略も変化させた。
政府のこうした姿勢を、官僚たちは強く支援しておらず、韓国からの逆襲に準備していたわけでもない。安倍と菅が経済的な損失の広がりを予想していたようには見えない。
品目が限定されているため、経済的な影響は、両国にとって、それほど大きくない、とGoldman Sachsは注意する。むしろ、韓国企業が将来の日本の姿勢を信頼できないと考えることが、長期的に重大である。
トランプ政権に事態の沈静化を期待する、というのは、皮肉でしかない。
● イラン
FT August 7, 2019
Sanctioning Iran’s foreign minister is
futile — and worrying
David
Gardner
● エリザベス・ウォレン
PS Aug 8, 2019
Elizabeth Warren’s Trade Makeover
DANI
RODRIK
● アメリカのいない世界
FT August 10, 2019
What happens when the world cannot rely on
the US?
Gideon Rachman
in London
カシミールからウクライナまで、世界中の発火点が一斉に火を噴き始めた。トランプ外交の成果と言えるだろう。アメリカの優位は高まった。と言えるのかもしれない。どこであれトランプの仲介は、まったく、その意図が分からない。さまざまな問題を悪化させても、アランプは米中対立を激化させ続けている。
アフガニスタン、ホルムズ海峡、香港、・・・
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The Economist July 27th 2019
Brothers in arms
Britain’s new prime minister: Here we go
Currency wars: Do not escalate
The new government: Britain finds its Bojo
Currency manipulation: Fishing expedition
(コメント) 中国とロシアの兄弟関係は、歴史的に見れば、アメリカを含む3国の間で、相手を交代する舞踏会の延長でしかない。しかし、今回、相手を失ったのはアメリカだ。そして、この踊りでは、中国が圧倒的に強力であり、ロシアは大量の核兵器を保有しているだけで、何もかも中国に頼るしかない関係だ。
ほかには2つの話題。ボリス・ジョンソンの政府は何をするのか? そして、貿易戦争から通貨間戦争へと、トランプ政権はエスカレーションを続けるのか?
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IPEの想像力 8/12/19
「アメリカのいない世界」という映画が始まったが、観客たちは、自分の周りの席にだれが座って、何をしているのか、暗闇の中、心配でたまらない。
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世界は、USでも、EUでもなく、もちろん、中国でもない。あえて言えば、インドだ。そんな風に思いました。なぜか?
1.
多言語、多宗教、さまざまなエスニック集団、膨張し続ける都市、さまざまな混住。
2.
緩やかな連邦制。
3.
表面的には、近代・民主主義的な諸制度。
4.
猛烈な所得格差。
5.
独立、大分裂。言語を重視した州の再編成。
6.
エリート層の分裂。支配的集団の不在。
7.
社会的・文化的な知識を保存・固定するための、憲法とカースト制度。
8.
市場導入による成長率の引き上げ、を売り込む政治家と期待する有権者。
9.
ヒンドゥー至上主義、ナショナリズム、ポピュリズム、保護主義。
10.
民衆の生活の、浅ましさ、醜さ、暴力を持ち込んだ、不断の政治的交渉過程。
インド調査旅行の論考を書きながら、チャタジーやコーリ、日本の高名なインド研究者たちの本から学びました。
ダニ・ロドリックのまとめた論集が資料に出てきたため、これは持っていた、と思い、本棚を探しました。In Search of Prosperity です。彼はそこで、古典的な成長モデルの基本要因、①要素賦存、と、②生産性、を挙げて、a)急速な物的投資、b)人的資本の形成、そして、c)世界の生産性の最高水準から比べた、生産性ギャップ、を、「成長の加速」、貧困の解消に向けて、政府が取り組む条件と指摘します。
しかし、a,b,cの条件を決定する、より「深い要因」は何か? それは、3つある、と考えます。1つは、<地理>です。降雨量や資源といった自然環境、距離・近接性、輸送インフラが重要です。2つ目は、<貿易>、もしくは世界市場との関係、統合化問題です。最後に、3つ目は、<制度>、とよびます。
ダグラス・ノースが強調したように、成長理論の展開に従って、研究者たちは「制度」を重視するようになりました。所有権、規制やルールの安定した構造、独立した司法、汚職を拒む、有能な官僚制、など。あるいは、それらをもたらしたという意味で、<歴史>、とよぶべきかもしれません。
私の論考では、インドに関する、政治(その変動)、人類学的な考察、地政学、を強調しています。「市場自由化」によってインドの成長率は高まったのでしょうか? わたしはその答えを、「深い要因」を説明する「もっと深いロジック」として探します。
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映画の中身はちっともわからないまま、外に出ると、私たちはカシミールに立っているのかもしれません。
(8/7-10 入院のため、空白があります。紹介も少ないですが、あしからず。)
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