IPEの果樹園2019

今週のReview

2/18-23

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世界不況のリスク ・・・アメリカは決して社会主義国にはならない ・・・合意なしのBrexit ・・・米中貿易摩擦、不況から戦争へ ・・・東京リボーン ・・・ニューヨークはアマゾンを必要とする ・・・タイ王女の首相候補断念 ・・・昆虫絶滅の時代 ・・・管理された資本主義

[長いReview

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主要な出典 FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Foreign Policy, The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, Yale Globalそして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


 低インフレーションの問題

FT February 8, 2019

Low-level inflation will prevent an economic heart attack

Tim Harford


 世界不況のリスク

FT February 9, 2019

Global economy: Why central bankers blinked

Sam Fleming in Washington and Jamie Smyth in Sydney

世界の主要な中央銀行が金融政策を転換した。持続的な景気回復を前提して、金融の超緩和状態から正常な水準まで金利を引き上げる話が、一気に消えてしまった。特に、アメリカ連銀のパウエル議長が金利引き上げの計画を放棄した。むしろ景気の下振れリスクを恐れる声が強まった。

PS Feb 8, 2019

A Mixed Economic Bag in 2019

NOURIEL ROUBINI

2017年の世界同時回復から、2018年は非同時化して行き、アメリカ以外の多くの国が減速し始めた。アメリカのインフレも懸念される。賃金が上昇すれば、いずれ、それはインフレをもたらすからだ。中国やヨーロッパとの貿易戦争、イタリアの予算案と債務問題、中国の減速と新興市場。

2019年は、世界が同時不況に向かうかもしれない。しかし、アメリカ連銀は金利引き上げを延期し、ハト派になった。中国も、原則に対抗するマクロ経済政策に変更する。

プラスの変化が勝つには、多くの要因が関係する。1.アメリカのインフレと連銀、2.中国の減速とマクロ政策、3.貿易戦争、4.ユーロ圏の減速、それを決めるのは、ハードBrexit、トランプによる自動車関税、欧州議会選挙、ECBの次期総裁、である。

5.アメリカの混乱する国内政治、すなわち、連邦政府の閉鎖、ロバート・ミューラーの捜査報告、大幅減税から後の景気抑制効果、6.株式市場、7.原油価格、8.新興市場。

金融政策が緩和状態に戻ったことは、むしろ次の不況に対して追加の緩和を取れないまま、財政的な余地も少ない。


 アメリカは決して社会主義国にはならない

NYT Feb. 7, 2019

Trump Versus the Socialist Menace

By Paul Krugman

NYT Feb. 7, 2019

Yes, Tax the Rich. But Do It Right.

By Steven Rattner

NYT Feb. 9, 2019

One Cheer for the Green New Deal

By Ross Douthat

The Guardian, Mon 11 Feb 2019

Trump offers socialism for the rich, capitalism for everyone else

Robert Reich

「アメリカは決して社会主義国にはならない」とドナルド・トランプは一般教書演説で断言した。だれかが彼に教えてやるべきだ。今、アメリカこそ社会主義の温床である。ただし、それは富裕者のための社会主義だ。他のすべての者は過酷な資本主義に合わせて扱われる。

保守的な考えでは、社会主義とは何もしないで何かを得ることを意味する。それこそ、昨年、トランプの減税で、この国の大手銀行が210億ドルを得たことを表している。その一部は、銀行の重役たちが得た莫大なボーナスになった。他方で、銀行の低い階層の被雇用者たち4000人以上が、過酷な資本主義の報いを得た。職を失ったのだ。

大き過ぎて潰せない銀行は、2008年に救済されたのだが、年に約830億ドルも補助金を得ている。なぜなら、(必ず救済されるという保証で)リスクの減少した貸し手は、預金や融資に低い金利を享受できるから。昨年、ウォール街がボーナスに利用した資金は314億ドルだった。もし隠れた補助金を取り去れば、ボーナスは消える。

GMは政府との契約で6億ドル以上を得たし、さらに5億ドルを免税された。その一部はGMの重役たちのポケットに入った。社長兼CEOMary Barraは、2017年だけで、合計2200万ドルを得た。

他方、GMの社員たちは過酷な資本主義を生きている。GMの計画では、2019年末までに、北米で、3つの組み立て工場、2つの部品工場を閉鎖し、14000人以上を解雇する。

今や、アメリカの資産の約60%が相続される。現代の超富裕層の多くが、その生涯で1日も働くことはない。これに対するトランプの反応は、夫婦で2200万ドルを超える遺産にだけ相続税を適用する、というものだった。しかし今、Mitch McConnellは、相続税を廃止する提案をしている。

アメリカは、史上最大の世代間資産移転という現象の先端を行く。資産の膨張した者たちが次の30年間で亡くなるとき、推定30兆ドルが、その子供たちのものになる。

数世代後には、この国の資産のほとんどすべてを、働かない数千人の家族によって所有されるだろう。保守的な考えでは、社会主義の亡霊がとりついた社会では、だれも何もせずに、手に入れる物のために働く必要もない。だが、それこそトランプと共和党が富裕層のために育てている社会だ。

PS Feb 13, 2019

How Can We Tax Footloose Multinationals?

JOSEPH E. STIGLITZ

この数年、グローバリゼーションに対する攻撃が増えている。間違った批判もあるが、次の点は明らかだ。アップルやグーグル、スターバックスのような巨大な多国籍企業が税を回避している。

アップルはその典型だ。数百人しか働いていないアイルランドの会社を利潤の法的な申告先として、0.005%だけを税として納めている。彼らは自社が社会的責任を果たすと自慢するが、それならまず、公正な税を支払うべきだ。

こうした企業のように、誰もが税の支払いを回避すれば、社会は機能できない。アップルやグーグルのビジネスが依拠するインターネットのための公共投資も減少するだろう。

多国籍企業は「底辺への競争」を刺激してきたが、各国には税率を引き下げるように求めている。その結果、政府の財政は債務の発行に依存している。デジタル経済は、政府が課税する能力を大幅に削減するだろう。多国籍企業に対する課税の根本的な欠陥は、いわゆる、移転価格である。

移転価格に関する一般的な原則は、企業への課税を、経済活動が実際に行われている国によって行う、いうことだ。しかし、それをどう定義するのか? グローバル化した経済では、製品が未完成の状態で、何度も国境を超える。それについて、われわれが「適正な価格」を決めて課税する、ということが前提されている。それは不可能だ。

知的財産権や無形資産の重要性が高まれば、事態は悪化するだろう。所有権は一層容易に世界中に移転できる。そしてそれこそ、アメリカ国内では移転価格が存在しなくなった理由である。アメリカで企業は、総利潤に対して課税され、売り上げ、雇用、投資を反映する一定の公式に従い、税収が各州に分配される。

われわれは今や、グローバルに、こうした課税システムへ移行するべきである。

どのような公式によって税収を分配するかは、重大な交渉事項である。最終製品の売り上げによるなら、それは消費の圧倒的な部分を占める開発諸国が有利である。他方、発展途上諸国は必要な財源を奪われる。この公式化は、デジタル取引には有効だろうが、製造業や他のもっと雇用が重大な産業では、適当でない。

雇用を公式に含めることは、課税競争を強める、という批判がある。各国政府は多国籍企業に領土内での雇用を奨励するからだ。その場合、企業へのグローバルな最低税率を課すべきだ。先進諸国の政府でも、他国への影響を顧みない行動が取られている。特に、発展途上国を犠牲にして、自分たちの財政再建を図るだろう。

「包括的な成長」を実現するのは、こうした問題を解く政治の能力にかかっている。

FT February 14, 2019

America’s unexpected socialist dawn

Edward Luce

ドナルド・トランプは、アメリカを再び偉大にする、と約束した。民主党員の半数は、アメリカを社会主義にする、と初めて約束している。数年前なら、共和党員のほとんどがリベラルと呼ばれることを恐れた。

それは失敗に終わるのかもしれない。しかし、2020年の大統領選挙に向けて、アメリカではかつてないイデオロギー論争が起きるだろう。

その代表的な主張が、Alexandria Ocasio-Cortezのグリーン・ニュー・ディールだ。その費用は、Ocasio-Cortezの推定では、年間66000億ドルである。現在のアメリカ連邦予算4兆ドルより、はるかに大きい。彼女は、その財源をどのように調達するのか、示せないようだ。

しかし、民主党員たちはまだその細部に関心がない。トランプが当選したときもそうだ。その魔法の考え方に、自殺同然で、共和党員は従った。ほとんどすべての民主党大統領候補者に名乗りを上げた上院議員たちが、Ocasio-Cortezの願いに支持を表明している。

この現象を真剣に扱うべき3つの理由がある。

1Ocasio-Cortez 嬢はすでにAOCというイニシャルだけで有名だ。それはJohn F Kennedy (JFK) or Franklin Delano Roosevelt (FDR)のような、非常に少数の政治家だけにできたことである。GNDGreen New Deal)もそうだ。変化を望むアメリカの若者たちは、29歳の元バーテンダーであった女性を好み、トランプに次ぐ政界の有名人にした。

2Ocasio-Cortez の政策案は、細部としての評価より、論争を求めるものだ。「グリーン」はもはや好みの生活スタイルではなく、地球温暖化と大規模な公共投資を結びつける意味で支持されている。

3.アメリカ国民は、もはやいい加減な選択を望まない。コカ・コーラとペプシの選択ではなく、ウォッカとスーパーグリーンジュースとの選択だ。その意味で、トランプがOcasio-Cortezの社会主義を攻撃して、これまでのように計算して、民主党に勝利できると考えるのは、それほど確実ではない。多くのアメリカの若者は、社会主義を、ベネズエラではなく、北欧諸国と考える。もし彼らを動かすことができれば、それは民主党に勝利をもたらすだろう。

FT February 16, 2019

Turning left? Democrats divided on how to take on Donald Trump

Demetri Sevastopulo and Courtney Weaver in Washington


 合意なしのBrexit

FP FEBRUARY 9, 2019

The Nine Levels of Brexit Hell

BY JAMES BLOODWORTH

FT February 11, 2019

Brexit goes to the brink

Wolfgang Münchau

The Guardian, Tue 12 Feb 2019

Deal or no deal, both Labour and the Tories will split over Brexit

Rafael Behr

PS Feb 13, 2019

A Survival Kit for the City of London

BARRY EICHENGREEN

Brexitの合意はなかなか進まない。ブラックユーモアが好きな人たちは、Brexitサバイバル・キットを話し合う。その中身は、水のろ過装置、点火装置、そして30日間は生存できるだけのドライフーズ、だ。

あるいは、Brexit後の不安については、大手の金融機関が足による投票を示している。Goldman Sachs, JPMorgan, Morgan Stanley, and Citigroupは、約3000億ドルの資産をフランクフルトへ移した。Barclaysは、2150億ドルをダブリンへ移した。BNP Paribas, Crédit Agricole, and Société Généralは、500人のスタッフをパリへ移した。HSBCは、ヨーロッパの関連会社について、その所有をパリに移した。

金融ビジネスをEU市場で行うためのパスポートを得られる保証はない。

メイ首相はEUとの合意案を議会で承認してもらうか、あるいは、シティにとってBrexitを止めることが、その生存を保証する。

PS Feb 14, 2019

A Very Greek Brexit?

GEORGE PAPACONSTANTINOU


 米中貿易摩擦、不況から戦争へ

FT February 11, 2019

US-China conflict echoes Europe’s past

Rana Foroohar

市場の過剰な変動、政治の機能マヒは、最終的に、他国に他のアプローチを選ばせる。それは、経済ナショナリズムと産業政策に基づく新しい大国の登場と一致する。それは不況とともに、戦争だけでなく、長期に及ぶ世界貿易と資産取引の衰退をもたらす。

それはイギリスとドイツがグローバリゼーションの最後に陥ったコースであり、第1次世界大戦と大不況とが起きた。2つの事実により、私は、それが再現する可能性が高まったと感じた。1.アメリカの要請でカナダがフアウェイの幹部を拘束した。2.ウォール街の委員会が財務省に警告した。アメリカ政府が今後の10年間で12兆ドルの債券を発行するとき、中国はその購入を減らす。

YaleGlobal, Thursday, February 14, 2019

Chinese and US Ambitions Constrained

Joergen Oerstroem Moeller


 インドの政治とカネ

FP FEBRUARY 10, 2019

Show Me the Money, India

BY MILAN VAISHNAV

PS Feb 13, 2019

India’s Vote-Buying Budget

SHASHI THAROOR


 東京リボーン

FT February 12, 2019

A dystopian vision inspires Japanese rebirth

Leo Lewis

1988年のアニメ映画『アキラ』の大友克洋を、なぜNHKが東京オリンピックの企画として取り上げたのか? もっとふさわしい魅力あるテーマはあっただろう。

その物語は、1988年の戦争によって破壊され、水没した東京に、人工島を創って日本政府は甦る、というイメージであり、破壊によっても再興する日本のエネルギーを確信するものだった。

1964年の東京オリンピックの背景は、第2次世界大戦におけるアメリカ軍の空爆と破壊から再興する物語だった。

2020年には、1989年の史上最大の金融バブルが破壊された後、長期の水没からよみがえる、日本最高の物語にしたいのであろう。

FT February 13, 2019

Japanese ‘attack’ exposes French unease over Ghosn

Victor Mallet and David Keohane in Paris and Peter Campbell in London


 ポーランド

FT February 11, 2019

Poland could be better by Radoslaw Sikorski

Review by James Shotter


 トランプの軌跡

SPIEGEL ONLINE 02/11/2019

Interview with Obama Adviser Ben Rhodes

'Trump Is Just Tearing Things Down'

By Christoph Scheuermann

NYT Feb. 11, 2019

Trump’s Trail of Fears

By Jamelle Bouie

FP FEBRUARY 12, 2019

Trump Is America’s First Narcissist-in-Chief

BY MICAH ZENKO


 ヨーロッパ政治

PS Feb 11, 2019

Europe, Please Wake Up

GEORGE SOROS


 仮想通貨

FT February 13, 2019

The libertarian fantasies of cryptocurrencies

Martin Wolf

FP FEBRUARY 13, 2019

Forget Bitcoin, Try Your Mattress

BY DAVID GERARD


 トランプ=キム首脳会談

FT February 12, 2019

It is time for the Trump-Kim double act to deliver


 イスラム革命40

PS Feb 12, 2019

The Islamic Revolution at 40

DJAVAD SALEHI-ISFAHANI


 ベネズエラ

PS Feb 12, 2019

What Venezuela Tells Europe About Russia

ANA PALACIO

NYT Feb. 12, 2019

Nothing Can Prepare You for Life With Hyperinflation

By Virginia López Glass


 ニューヨークはアマゾンを必要とする

NYT Feb. 12, 2019

New York Needs Amazon

By Kenneth T. Jackson

アマゾンが、20181113日に、ニューヨークを北米本社の1つの立地として発表し、Chicago, Atlanta, Denver, Newark and Austin, Texを含む200以上の候補地の競争は終わった。しかし、ニューヨークでは歓迎しなかった。Michael Gianaris上院議員など、指導者たちは、市と州が、世界最大の市場価値を持つ企業、しかもそのオーナーは世界一裕福な人物である企業に、納税者の金を30億ドルも補助金として提供するのはばかげている、と主張したのだ。

彼らは正しい。どの都市もそのような取引をしており、それは確かにばかげている。しかし、これがアメリカのゲームなのだ。1936年に、ミシシッピが最初の州が支援する開発計画を立てたときから、アメリカは企業誘致のために補助金を提供して競うようになった。第2次世界大戦の後、多くの企業が立地を変えたが、それは通常、労働組合の強い北東部から、企業にとって好ましい環境の南部へ移転することだった。

この歴史的な経緯を観れば、ニューヨークとアマゾンの取引は決して悪いものではない。しかし、反対派は、取引が秘密に行われたことを批判し、再交渉により、25000人の新規雇用を他の分野で要求している。彼らは、世界でもっとも偉大な都市が膝を屈して、資本家のために契約手数料を支払うことなど必要ない、というわけだ。

しかし、それは間違っている。確かにニューヨークは多くの経済危機を乗り越えてきた。しかし、アマゾン本社を失うことは、もっと長期的な不幸に似ているだろう。ニューヨークは、20世紀を通じて、その経済基盤を失ってきた。すなわち、製造業や、世界一の貿易額を扱った港湾だ。

ニューヨークが失った職場は、ブルーカラーに限らなかった。1970年代には、Fortune 500に入るアメリカの主要企業が市から脱出した。郊外のConnecticut and New Jerseyへ移転し、あるいは、多くの企業が遠くAtlanta, Dallas or Houstonへ去った。その影響は劇的なものだ。これらの企業に働いていた人々だけでなく、その家族が職を失って苦しんだ。その多くは他の州へ移動した。他方で新しい移民が来たために人口統計はその影響を示さないが、移民たちは失われた職場をすぐにもたらすわけではなかった。

アマゾンを失うことは、25000人分の直接的な雇用と、それにともなう間接的な雇用82000人を失うだろう。ニューヨークのイーストリバーに建つアマゾン新本社は、過去に負けない、未来の偉大なメトロポリス、というシグナルになっただろう。

反対派はもっと長期の視点を取るべきだ。経済機会のないところに職場はない。職がなければ税収はなく、ニューヨークはもはや都市の上位にも入らないだろう。

FT February 15, 2019

Amazon’s U-turn shows it misunderstands public sentiment

Andrew Edgecliffe-Johnson in New York


 タイ王女の首相候補断念

FP FEBRUARY 12, 2019

Thai Politics Has a Princess but No Storybook Endings

BY SEBASTIAN STRANGIO

社会の底辺に同情的な、王女Ubolratanaを首相候補に指名することで、タクシンとその政党は大きな賭けを行った。彼女は67歳の女優で、インスタグラムのスターである。しかも、彼女が候補として指名された政党は、タクシンThaksin Shinawatraとその妹Yingluckという、2人の元首相の同盟組織である。彼らは民主的に選出されたが、その後、2006年、2014年の軍事クーデタによって失脚した。

もし成功すれば、タイ王室の国民的な支持と神聖さが、タクシンを権力の座に就けた地方の、労働者階級のポピュリズムと融合する、圧倒的な選挙戦略を生んだかもしれない。しかし、それは48時間で消滅した。

王室は政治に関わらない、という判断が示され、タクシン派の政党もただちに受け入れた。政党を解体されるかもしれないが、その場合、街頭デモが再現される恐れもある。タイはさらに分断された状態で残される。

FT February 15, 2019

Ubolratana Rajakanya, a Thai princess tries her hand at politics

John Reed


 昆虫絶滅の時代

FT February 13, 2019

Sleepwalking towards the insectopocalypse

Anjana Ahuja

「無駄にせず、不足もない。」 これが糞虫(フンコロガシ、スカラベ)のモットーだ。彼らは糞を転がしてボールを作り、糞に卵を産んで、糞を食べる。

光沢のあるこれらの昆虫が、地球の円滑な循環を支えている。特に、土壌に空気を通し、寄生虫の好む糞を処理してくれる。もし彼らがいなければ、家畜の寄生虫を抑える多くの化学薬剤が必要だ。その糞虫たちが脅威にさらされている。生息域が失われ、化学肥料、外来生物、熱帯地域の気候変動。

もし現在のスピードで生物種が減少すれば、Biological Conservationによると、この先数十年で、昆虫の40%が絶滅する。昆虫は食物連鎖の不可欠なリンクをなしている。昆虫がいなくなれば、彼らを食糧とする鳥や獣が飢えるだろう。

われわれの六つの足がある戦友たちは、圧倒的数で優位にあるが、その繁殖力で動物世界の頂点に立つ。東アフリカのシロアリの女王は2秒ごとに卵を産み、1か月足らずの生涯にイエバエは900個の卵を産む。およそ100万種類の昆虫が観察されたが、その種類は3000万に及ぶだろう。恐るべき社会性を持つ昆虫もいる。バッタの大群には10億もの個体が集まっている。

昆虫をわずらわしいと思う人が多いけれど、作家David MacNealは昆虫を「世界のレバーを引く者たち」と呼ぶ。昆虫は動物の(そして人間の)餌となり、植物に受粉する。彼らがいなければ、地球は腐敗した排せつ物に満たされる。昆虫は、地球規模の生態系における微妙なバランスの一部なのだ。彼らの数が急速に減少することは、地球環境のタペストリーを破る、という脅威になる。その結果は「破滅的」である。

シンクタンクthe Institute for Public Policy Researchの報告書は、環境危機について3点を指摘する。1.土壌流出、種の絶滅など、環境の急激な悪化、2.政治家や政策担当者におけるこの問題への無関心、3.貧困層が最も深刻な影響を受ける。「さまざまな社会が破滅的な結果を避ける機会の窓は、世界中で、急速に閉じられつつある。」 経済の不安定化、強いられた大規模移住、紛争、飢餓、社会・経済システムの潜在的な崩壊。

人類がもたらす新しい地質学的な時代Anthropoceneは、環境危機の多面的な次元を含んでいる。それは、実際、昆虫絶滅の世紀であろう。糞虫を滅ぼすなら、われわれの世界はそのシンボルを得る。・・・腐った、寄生虫に満ちた、排せつ物の山。


 管理された資本主義

The Guardian, Wed 13 Feb 2019

Carney is right. Brexit could lead to a better, fairer kind of globalisation

Larry Elliott

すべては1990年代にさかのぼる。障壁が倒され、自由市場は世界の隅々にまで広まった。生産拠点を世界の低コスト国に移転したことで、消費者たちは安価な服や電子機器を得た。

しかし、世界金融危機はその考えを見直す方向に人々を導いた。イングランド銀行のMark Carney総裁が述べたように、これは価値を見極める厳しいテストである。市場開放の利益を享受しながら、同時に、民主的な説明責任を高めることはできるのか?

資本主義のモデルは、それ自身が破壊の種を運ぶものだ。マルクスが予言したような革命を回避するために、改革は進められた。労働組合運動、公的な教育機会の提供、税制による再分配、福祉国家。社会民主主義とケインズの需要管理・完全雇用政策が、市場の機能に介入した。1970年代の初め、トービンは為替市場の車輪に砂を撒く、とあからさまに語った。

1970年代の半ばから、資本主義的な反革命は、こうした言葉を変えた。摩擦のない市場が万能になった。

管理された市場の思想を復活するときだ。


 尊厳からプライドへ

PS Feb 14, 2019

Democracy Beyond Voting and Protests

SASHA FISHER

The Guardian, Thu 14 Feb 2019

From Tahrir to Trump: nationalism has hijacked the hope of the people

Ece Temelkuran

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The Economist February 2nd 2019

The battle for Venezuela

The war in Afghanistan: Talking to the Taliban

Taxing the rich: A way through the warren

The economy: The day after

The war in Afghanistan: Khyber possibility

The politics of pigs

Geopilitics: How the Baltics resist Russia

Free exchange: Money down

(コメント) ベネズエラを民主的な権力の下で、労働者や企業が活発な市場を担う、石油輸出や債務の健全な管理体制をともなった、機能する政治経済秩序に戻したい。あるいは、それはアフガニスタンの和平交渉においても、アメリカとタリバンとの合意が成立するならば、その先に、国民が強く願っていることでしょう。

石油輸出に依拠した指導者チャベスの社会主義的な理想は、石油価格の下落や債務依存によって崩壊した後も、貧困層の夢や、軍関係者たちの富の分割によって支えられている、というわけです。ハイパーインフレーションによっても、政治秩序の交代は容易でない、と分かります。Ricarudo Hausmann3年前に示された再建計画 “morning-after plan” が紹介されています。

ハイパーインフレーションは何によって起きるのか、どのように終息するのか、Free exchangeの記事とともに、興味深いです。

富裕層や多国籍企業への課税、冷戦時に似たNATOの抑止効果、という議論に注目します。

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IPEの想像力 2/18/19

世界金融危機の評価、意味は、まだ定まりません。

1930年代のように、資本主義の成長モデルや政策のコンセンサス、国際秩序の在り方は、これから大きく転換するのか? 危機は「物語」によって意味を持ち、その反応が決まる、と、金融危機の後、D.ヤーギンは書いています。多くの物語と政治運動が現れては消え、互いに影響力を強めたり、弱めたりしながら、盛衰を競っています。

Daniel Yergin, “A crisis in search of a narrative,” FT October 21, 2009

「資本主義はどうなるのか? 30年前に世界は市場に重心を移し、世界経済を開放してきたが、それは終わるのか?」

市場こそが最適の答えを示す、政府はそれを損なうだけだ、という声は減った。「管制高地」を支配するのは、政府から市場へ移ってきたが、それが逆転したのか? しかし、各国政府が経済を支配するマスター・プランは、まだ、示されません。いつか、市場を通じた支配者たちの富と傲慢さは、いよいよ剥奪されるのか?

何が起きたのか、という物語が、未来の方針を決める。そうした物語とは、たとえば、・・・

・融資・債務に大きく依存した金融取引が肥大化した。

・金融技術・商品の急激な開発、利用の拡大。それらはリスクを減らすよりも、むしろ不透明にして、集中した。

・金融部門の規制は機能しなくなった。「シャドー・バンキング」、故億歳か、「大きすぎて潰せない。」 リスクが複雑に絡まり過ぎて処理できない。

・自宅の購入を支援する政策、住宅担保証券に対する政府の暗黙の保証が、融資の行動を歪めた。

・債務依存のアメリカ経済は、巨大な新興市場に似ている。世界から過剰貯蓄を吸収した。

・投資家の心理。不動産やエネルギー部門で、低金利と投機的な行動を強める。

・ブームとその破裂は、金融機関の救済と低金利によって、次の危機を招いた。

・金融や生産のグローバリゼーションが脆弱性を高めている。

・石油など、国際商品の価格が巨大なブームを波及した。

・市場システムは操作されている。富は一部のものに集中し、彼らは危機を免れた。

危機についての理解が、その後の人々の行動を変える。年金や退職、その後の生活など、人々の「社会契約」が見直される。新しい「慎重な時代」が来るのではないか?

市場は信頼を基礎として機能する、とヤーギンは書きました。そのような信頼を回復する上で、「物語」が欠かせないのです。

Brexitやトランプは、その模索の過程がねじれて、政治的な変異が制度を破壊していく過程になったと考えられます。

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同じことは、貧困や暴力をめぐる説明についても言えるでしょう。

朝日新聞(2019218日)を読んでいると、「売られる少女 ネパール地震の影」と、「ポル・ポト派の傷痕と向き合う」とい記事が同じ紙面に並んでいました。

「ニューデリー近くの旧市街GBロード。建物の1階に機械部品などの店が並ぶが、2階の窓は鉄格子がある。薄暗い階段を上ろうとすると見知らぬ男が声をかけてきた。2階以上は売春の場になっている。」

「次々と入っていく男性客について階段を上ると、たばこや便所のような臭いが充満する部屋に着飾った女性が50人ほどいた。部屋は何層にも入り組み、男性客を相手にする1畳半ほどの狭い空間がロッカーのように並んでいた。」

こうした厳しい現実に生きる人々、少女たちが、今も多くいるのだ、と思うと、胸が痛いです。

「連載:特派員リポート 国連支援活動の最前線、アレッポ事務所長高嶋さんに聞く」 アレッポ=其山史晃 2019215日。この記事も、しばらく読んだ後、考えていました。

難民たちの間に入って、国際的な支援活動を行う中で、高嶋さんは支援の意味、可能性を考えます。難民たちのなかにも、支援する側にも、熱い意志と高い能力を持った人たちがいること、その姿勢に感銘を受けます。

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