IPEの果樹園2018

今週のReview

8/6-11

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BRICS ・・・インド・パキスタン ・・・ユーロ ・・・都市と田舎の民主主義 ・・・大西洋同盟 ・・・金融危機で失われた世界 ・・・米中貿易戦争 ・・・QE ・・・トランプの外交敗北 ・・・暗号通貨と取引コスト

[長いReview

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主要な出典 FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, Foreign Policy, The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, Yale Globalそして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


 BRICS

PS Jul 25, 2018

The BRICS in a Multipolar World

ELIZABETH SIDIROPOULOS

PS Jul 27, 2018

New Rules for the New Global Economy

PROJECT SYNDICATE interviews JIM O'NEILL

ドナルド・トランプが大統領になってから、アメリカが指導した国際秩序の衰退は顕著である。グローバル・ガバナンスの問題がますます重要になってきた。

BRICSは第10回の年次大会を開いた。これはグローバル・ガバナンスを考える良い機会である。あなたはBRICs(その後、南アフリカが加わってBRICS)の命名に関わった。また、長年、現実の変化を反映したグローバル・ガバナンスの改善を要請してきた。ブレトンウッズ体制をどのように変えることを考えているのか?

Jim O’Neill: G7カナダ・サミットは、それがグローバル・ガバナンスとして時代遅れであることを示した。G7とは、1970年代の経済で最も重要な、民主主義諸国を集めている。しかし、世紀が変わって、言うなれば、1990年代半ばのアジア金融危機以降、これらの諸国の経済は世界経済の支配的要因ではなくなった。

1つの代替策はG20だろう。G20は世界の主要な経済を含んでおり、民主主義国だけではない。2008年と2009年にG20ができたころ、ジョージ・W・ブッシュ大統領とゴードン・ブラウン首相は、世界金融危機後の救済策を指導するためにG20を集めた。しかし、G20は動かしにくい。

G7それ自体、1970年代に、アメリカ、そしてドイツとフランスが共感を持つカナダとイタリアを追加して成立した。またソ連崩壊後、ロシアは民主国家になると予想されていた。しかし政治システムに注目することは、世界を管理する現実的な方法ではない。

この10年を観れば、世界GDPの成長の約半分は中国から生じた。世界経済のガバナンスを考えるのであれば、必ず中国を含めるべきだ。中國では2年ごとにイタリアの経済規模が追加されている。ところがイタリアはG7に含めている。これは不合理だ。

中国の経済成長は、BRICSと結びつくことで、むしろG7を世界経済の余分な構成員にしてしまう力がある。トランプ大統領が貿易戦争を唱えて関税を引き上げれば、逆に、中国は一帯一路やAIIBによって新興経済、たとえば、ネクスト11South Korea, Mexico, Indonesia, Turkey, Iran, Egypt, Nigeria, the Philippines, Pakistan, Bangladesh, and Vietnam)を一層の自由貿易に組み込んでいくだろう。

Brexitやトランプの保護主義的な姿勢への転換、そしてEUの分裂状態は、グローバル・ガバナンスについてのIMF改革を一層重要にするだろう。IMFが改革できれば、新しい国際機関を立ち上げる必要はない。なによりも、中国とインドは人口が10億人を超える国家であり、世界経済の成長を長期にわたって支配する。

Brexitにもかかわらず、イギリス人の多くは自分たちがグローバリゼーションから利益を受けていることを知っている。イギリスは相対的な衰退を受け入れたし、新興経済が成長することで、集団としても、個人としても、生活を改善できる。それが可能であるためにも、個々の国の盛衰とは別に、グローバル・ガバナンスが必要だ。

中国に関しては誤解がある。金融危機は、ある意味で、中国にとって最善の改革条件をもたらした。中国経済は、低付加価値の輸出産業で成長するには限界に達していたのだ。指導者たちは改革を強いられた。

われわれは素晴らしい成長の兆候を見ている。AppleGoogleAmazonについての話に喜ぶ人々は、中国のTencentAlibabaが同様に、一層、爆発的な成長を遂げていることに十分な中を払わない。

中国の政治と経済との関係を、単純化した見方で処理するのは間違いだ。共産党が中国経済のすべての意思決定を支配することなどない。4万フィート上空から中国を観るべきだ。

中国には深刻な問題もある。特に、Hukou戸籍システムは、農村からの移住者に都市の社会サービスを拒んでいる。これを放置すれば、長期的には、中国社会の安定を脅かすような重大な抗議活動や社会不安に至るだろう。

BRICSサミットからグローバル・ガバナンスが生まれるわけではない。私の考える事実上のG5とは、アメリカ、日本、中国、インド、EUである。G20の内部に、G5が形成される。

他方で、アメリカと中国は不均衡を是正し、双方がもっと似た姿に変化するべきだった。この点で、中国の変化はめざましい。成長に対する輸出の重要性は大幅に低下した。他方で、アメリカはますます消費の過剰によって成長を続けている。アメリカはトランプ政権による政策でも、1980年代のレーガンを模倣しているが、現実は全く違う。もっと投資することで成長を高める必要がある。

中国は世界貿易に参加して急速な成長を実現した。今や、ヨーロッパ単一市場があるにもかかわらず、ドイツの最大の貿易相手国は中国である。また、日中間の歴史的な対立があるにもかかわらず、この数年にわたり、日本の最大の輸出市場が中国だ。トランプの戦略がいかに弱いものかよくわかる。それはアメリカが世界貿易を支配した1970年代、80年代の前提で考えられたものだ。

Brexitやトランプの背景には、先進経済において、労働の分配率が低下してきたことがある。機械化やオフショア化など、政治指導者たちは課税その他の介入について、ルールを変えて、分配を是正するべきだ。市場経済システムの基本的なメカニズムが変調をきたしているからだ。特に、イギリスの優良な企業はほとんどイギリスに税金を支払っていない。また、経営者たちは株式を買い戻すことで高配当を演出する。

それらは企業や経営者にとって合理的かもしれないが、その国の経済を成長させる投資に結び付かない。多くの西側諸国で投資が減っている。「啓蒙された自己心」によって経済システムを動かす必要がある。


 インド・パキスタン

FT July 28, 2018

Pakistan plans to seek up to $12bn IMF bailout

Kiran Stacey in New Delhi and Farhan Bokhari in Islamabad

PS Jul 29, 2018

Imran Khan’s Pakistan

SHAHID JAVED BURKI

FT July 30, 2018

Indians sound alarm over ‘Orwellian’ data collection system

AMY KAZMIN

PS Jul 31, 2018

Pakistan’s IMF Problem

NADEEM UL HAQUE

FT August 2, 2018

Pakistan puts a spotlight on China’s opaque loans

YaleGlobal, Thursday, August 2, 2018

Intolerance Threatens Liberalism

Rudrangshu Mukherjee

インドのリベラリズムが包囲されている。マイノリティのコミュニティに対する暴力、反政府派に対する弾圧、増大する政治的な不寛容が、軍事力によってイギリスがインドに押し付けたリベラリズムの持続を疑わしいものにしている。リベラリズムの誕生と拡大は、その反動も刺激する。

インドにおけるリベラリズムとそれを体現する啓蒙運動は、外来、1857年に、イギリスの暴力的な弾圧の中で確立された、という矛盾を抱えていた。啓蒙思想家たちはインド人が統治できるとは考えなかった。その答えが帝国による独裁であった。同じことは、ハイチの黒人奴隷たちがパリの革命政府に訴えた権利の否定にも観られた。

こうしたリベラリズムへの批判は、ガンディーやタゴールの思想に現れた。彼らは、自由が、単に個人だけによって実現されるものではないことを批判した。そして、コミュニティに依拠した自治を強調した。彼らにとって、その場合、国家が重要ではない。

他方、ネルーは西側のリベラリズムを称賛していた。独立したインドはリベラルな民主主義国家になるべきだ、と考えた。そこには、ガンディーやタゴールと共通する、4億の民衆の自治を願う気持ちがあった。しかし1964年のネルーの死後、その娘、インディラ・ガンディーは権力を集中した。特に、1976-77年には戒厳令を敷いて、インドの民主主義に疑念が生じた。

さまざまな弾圧や謀殺が行われ、ヒンドゥー原理主義運動の高揚による非寛容な政治、ジャーナリストの殺害、イスラム教徒のリンチが起きている。

PS Aug 3, 2018

The Promise of Liberal Identity Politics

ANDRÉS VELASCO


 ユーロ

VOX 26 July 2018

Getting closer or falling apart: Euro countries after the crisis

Massimo Bordignon, Nicolò Gatti, Massimiliano Onorato

PS Jul 30, 2018

Twilight of the Euro?

HANS-WERNER SINN

19985月に諸通貨が為替レートを統一してから、ユーロは20歳の誕生日を迎えた。最初の10年は低利融資の大宴会であった。特に、南欧で。次の10年は、必然的に、二日酔いの苦しみだった。そしてこれからの10年は、ますます政治的な過激主義が広まりそうに見える。

残念ながら、偉大な社会学者Ralf Dahrendorfの結論は正しかったようだ。「通貨同盟は陰鬱な失敗であった。空想的な、無謀な、誤解された目標であり、ヨーロッパを統合するのではなく、分解した。」


 都市と田舎の民主主義

NYT July 26, 2018

Democrats’ Vulnerabilities? Elitism and Negativity

By Frank Bruni, Jane Harman and Tim Ryan

FT July 30, 2018

Urban-rural splits have become the great global divider

GIDEON RACHMAN

トランプ現象を理解するために、タイやトルコの変化を観ることも有益である。アメリカ大統領の登場は、グローバルな政治変化の一部であった。すなわち、「大都市圏のエリートたち」と、小都市の、田舎の、土地を耕すポピュリストたちとの対立である。

2016年の選挙で、トランプは、すべてのアメリカ大都市で、しかも多くの場合は大差によって敗北した。しかし、その他のアメリカの支持を得て大統領に当選した。このパターンは、その年の早い時期にイギリス国民投票で、EU離脱派が勝利したパターンと同じであった。都市と田舎の分断は、教育の格差でもあった。

西側だけでなく、世界中に同じパターンがみられる。たとえば、トルコ、タイ、ブラジル、エジプト、イスラエルだ。

イスタンブールの都市住民をエルドアン大統領は嫌った。それは、トランプがブルックリン住民を嫌うのと同じだ。しかし、トルコの伝統的な世俗のエリートは、エルドアンが動員した田舎の、信仰に篤い有権者によって、一掃された。イスラエルでは、全体としてナショナリストの右派に政治的支持が変化したが、最もグローバル化したテルアビブでは、世俗のリベラリズムが支配的であり、左派の市長を擁している。

フィリピンのドゥテルテは、トランプ風のポピュリストであるが、「帝国的なマニラ」のリベラルなエリートに反して権力を得た。タイの政治は、長期にわたり、首都バンコクと北部農村との、厳しい、暴力的な分裂状態によって支配されてきた。

都市エリートとその他の有権者を対立に向かわせるものは何か? 反トランプ、反Brexit、反エルドアン、反オルバン、彼らはその反対派に比べて裕福であり、良い教育を受けている。都市住民は、より多くが外国を旅行し、外国で学び、移民である。ニューヨークとロンドンの住民の3分の1以上が外国生まれである。

都市がリベラリズムの砦である、と思うかもしれない。社会的な価値からはそうだ。しかし、都市の有権者は民主主義に嫌気がさしている。

エジプトでは、2011年に民主化を求めた都市中産階級の多くが、軍事クーデタを支持した。選挙に勝ったムスリム同胞団が神聖政治を始めると恐れたからだ。タイでは2014年、赤シャツ(農村部の支持を得たタクシン派)の政権を倒す軍事クーデタが、バンコクの中産階級から支持された。ブラジルでは、今、サンパウロやリオデジャネイロの専門職クラスが、左派のLuiz Inácio Lula da Silva元大統領を、たとえ大統領選に立候補して当選しても、汚職の罪で投獄すべきだと考えている。

西側の大都市エリート層は、まだ、民主主義を見捨てていない。しかし、信じない者が増えている。裕福な、かつ若い有権者たちは、民主主義的でない政治的選択肢についてもオープンになった。

大都市の有権者が民主主義について分裂した姿勢を示し、田舎の有権者たちはトランプやエルドアンのような指導者の唱えるナショナリズムにますます魅力を感じている。ナショナリズムによる国際的緊張より、われわれの政治的危機は、むしろ国内で爆発するだろう。

NYT July 30, 2018

The Maps That Show That City vs. Country Is Not Our Political Fault Line   

By Colin Woodard

FT August 2, 2018

After Trump, the GOP must accept a new kind of Republicanism

JANAN GANESH


 韓国

YaleGlobal, Thursday, July 26, 2018

Historical Reckoning in Korea?

Kathryn Weathersby


 大西洋同盟

SPIEGEL ONLINE 07/27/2018

Alliance of the Likeminded

Germany's Anti-Trump Strategy Begins to Take Shape

By Christoph Schult

PS Jul 27, 2018

Is Europe America’s Friend or Foe?

JEAN PISANI-FERRY

FP JULY 30, 2018

It’s Time for the United States and Europe to Face the Politics of Cultural Displacement

BY SPENCER BOYER

PS Jul 31, 2018

Reclaiming European Sovereignty

JOSCHKA FISCHER

FT August 2, 2018

How Germany became Donald Trump’s European punchbag

Guy Chazan in Berlin


 ギリシャ

NYT July 27, 2018

The Fires in Greece

By Nikos Konstandaras

FT July 28, 2018

Unprecedented heat cannot be ignored


 ホワイトハウス

NYT July 27, 2018

The White House and the Strongman

By David D. Kirkpatrick


 戦争の話

NYT July 28, 2018

War Stories We’ve Been Missing for 50 Years

By Raul Roman


 金融危機で失われた世界

The Guardian, Sun 29 Jul 2018

Beyond the crash

Adam Tooze

「人々が、グローバリゼーションを止めるべきだとか、論争しているのを私は聞くが、夏が過ぎて秋になるのを、同じように論争するだろうか?」 200510月、当時のイギリス首相、トニー・ブレアは語った。

その2年後、アメリカ連銀議長、アラン・グリーンスパンはスイスの新聞のインタビューで、アメリカ大統領選について、どの候補を支持するか、と質問された。彼の答えは驚くべきものだった。私がだれに投票するかは重要ではない。「なぜなら、幸いにも、グローバリゼーションのおかげで、アメリカの政策決定は概ねグローバル市場の諸勢力にとってかわられたからだ。安全保障を除いて、次の大統領が何かを決定することはない。世界は市場諸力によって統治されている。The world is governed by market forces.

われわれが失ったのは彼らが唱えた世界である。

世界市場はあたかも季節のようにやってくる。われわれは世界市場のロジックによって市はされており、それは全体として善意の支配である。確かに国家安全保障は、経済学とは切り離され、政治が決めるかもしれないが、経済学と地政学とが結び付く分野では、経済学が政治家を支配すると思われた。

金融危機から10年経って、こうしたすべての前提は間違いであった。

リーマンブラザーズの倒産で、政治と市場との関係についてブレア=グリーンスパンが示した世界像も崩壊した。市場が自己統治できないことは明らかだった。その機能不全は、限定された事故ではなく、世界経済全体を停止させる恐れがあった。

危機の頂点で、バラク・オバマは権力を得た。ゴードン・ブラウン首相は、グローバルな時代のグローバルな解決策を唱えた。しかし、ワシントンの新しいチームは、英米協調のブレトンウッズ体制に戻ることに関心がなかった。むしろアメリカの国家機構は、世界の主要銀行や、彼らがロンドンやヨーロッパで行うオフショアビジネスの背後に隠れた。中央銀行家たちは、連銀の緊急融資は銀行救済ではない、と言った。それは通常の「最後の貸し手」であり、異常な状態において行われただけである、と。

英米協力が頼りにならないとき、シティの銀行界はUKの銀行として最優良のHSBC(香港上海銀行グループ)に注目した。そしてシティと香港とをつなぐ戦略で未来を目指した。2013年、シティは中国にとってのオフショアセンターになると宣伝し始めた。それは、かつてユーロダラーの取引を集めた経験から来る、自然な反応であった。シティが人民銀の世界化にプラットフォームを提供する。

しかし、1960年代のユーロダラーにはNATOがあり、アメリカの認める地政学と経済学との共通圏があった。中国はそうではない。さらに、中国は空前の信用膨張とブームの中にある。


 米中貿易戦争

PS Jul 30, 2018

The US is at Risk of Losing a Trade War with China

JOSEPH E. STIGLITZ

PS Jul 30, 2018

Europe’s Trade Victory in Washington

SIMON JOHNSON

FP JULY 31, 2018

Trump’s $12 Billion Bailout Is No Remedy for Farmers Caught in Trade War

BY KEITH JOHNSON


 QE

PS Jul 30, 2018

QE Turns Ten

STEPHEN S. ROACH

FT August 2, 2018

UK rate rises would be premature in a time of uncertainty

PATIENCE WHEATCROFT

FT August 3, 2018

A false step by the Bank of England


 人種差別

NYT July 30, 2018

Inside the World of Racist Science Fiction

By Ian Allen


 トランプの外交敗北

FP JULY 30, 2018

Trump Is Losing His Own 3D Chess Game

BY PHIL LEVY

FT August 2, 2018

Donald Trump’s foreign policy is China’s gain

Philip Stephens


 暗号通貨と取引コスト

NYT July 31, 2018

Transaction Costs and Tethers: Why I’m a Crypto Skeptic

By Paul Krugman

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The Economist July 21st 2018

A plan to save the WTO

Banyan: Only connect

Free exchange: The ballot or the wallet

(コメント) アメリカのライトハイザー通商代表が目指す世界貿易ルールと、トランプ大統領が求める政治ショーとは異なる。そして、中国の考える将来のグローバルな政治経済ルールも異なっている。WTOはその中でトランプに破壊され、中国の地域ブロックに向けた選択で、無力な存在になるのか、あるいは、ルールの効果的な仲介者になれるのか?

Banyanには、私の注目する2人の地政学者、Robert KaplanParag Khannaが引用されます。中国の一帯一路戦略と、それをめぐるユーラシアの人口大国の選択に注目します。

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IPEの想像力 8/6/18

インド調査旅行の前に、準備すべきことは山ほどありましたが、ともかく訪問先もなかなか決まらず、暗中模索の日々でした。ようやくTata Institute of Social Scienceの研究者に何人か連絡を取って、またNGOも教えてもらいました。

なぜインドに来たのか? ・・・さて、どう応えたらよいのか?

R. KaplanThe Return of Marco Polo’s World)を紹介するThe Economistの記事Banyanは、ユーラシアがにわかに現実の概念として力を持つようになった、というグローバリゼーションの新局面を考えています。中国の一帯一路戦略がもたらした現実です。中央アジアも、東アジアも、南アジアも、その中に消えていきます。

インターネットが地理を消滅させる、という技術的なメッセージとして既知の概念が、中国の地政学的な戦略によって、国民国家を溶解するような「ユーラシア超大陸」という流流動的かつ包括的な単位に転換しつつあるのではないか?

それを支配するのは3つの大規模領域支配国家、中国、ロシア、イラン、トルコである。中国が示したのは、connectivityが富をもたらす、というメッセージだ。彼らは熱狂的に接続しようとしている、とKaplanは考える。一面では、シンガポールやドバイのような都市国家の繁栄をもたらす。しかし他方で、主権は分散し、帝国としてのアイデンティティだけでなく、土地や信仰、部族に対するアイデンティティが再生する。

その意味で、この超大陸は接続性とアナーキーとの融合物となる。中国でさえも、西域で、その限界を経験しつつあるだろう。そして、最悪の警察国家を建設しつつある。Khannaは、こうした中国の試みに、3つの大規模人口支配民主国家、インド、インドネシア、フィリピンは、どのように対応するのか? と問う。

成長をめぐる地域統合化のエネルギーをだれが、どのような形で吸収できるだろうか?

・・・だから私はインドに来た。そう答えよう。

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