IPEの果樹園2018
今週のReview
3/12-17
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簡易版
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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times,
The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate,
SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
NYT MARCH 1, 2018
China’s Parliament Is a Growing
Billionaires’ Club
By
SUI-LEE WEE
中国の立法府はほとんど権力を持たないが、多くの富を持っている。人民代表大会とその諮問機関の153人の資産は、超富裕層ともいえる6500億ドルに達する。それはスイスのGDPに近い。
FT March 2, 2018
Xi Jinping needs Chinese history to
be on his side
JAMES
KYNGE
Bloomberg 2018年3月3日
Emperor Xi's China Is Done Biding
Its Time
By
Tobin Harshaw
FP MARCH 7, 2018
Chinese Students in America Say ‘Not
My President’
BY
BETHANY ALLEN-EBRAHIMIAN
FT March 8, 2018
Xi Jinping and China’s ‘good
emperor, bad emperor’ problem
Tom
Mitchell, Lucy Hornby and Tom Hancock in Beijing
The Guardian, Fri 2 Mar 2018
Boris Johnson’s white privilege:
imagine he was a black woman
Gary
Younge
ボリス・ジョンソン外相は、現在のイギリス外交を忠実に体現する人物になった。すなわち、秩序を欠き、説得力のない、騒々しくて、無能な存在、という意味だ。しかし、国内においては、またもう1つの機能低下を示す人物でもある。
これほど失敗してもジョンソンがその地位にとどまるのは、そのジェンダー、人種、階級が、彼の無能さを助長し、傲慢さを強め、交代する者を排除したからだ。彼の経歴こそが、富、縁故、そして文化的なつながりが、明確な、あるいは、隠された形の、生まれつき有利な取引を与えることの証明である。
もしそれを疑うのなら、試しに、ジョンソンが黒人の女性として生まれた、と考えてみることだ。
もしジョンソンが黒人女性なら、イートン校には入学しなかっただろう。イートンは女性の入学を認めていない。たとえ認めるとしても、黒人女性は何よりも労働者階級になる見込みが強く、イートン校に行くことがはるかに少ない人々である。もしイートンではなく、多くの黒人女性が行くインナーシティの公立学校に行けば、彼(彼女)はオックスフォード大学に行くことが、非常に、非常にまれなケースであるだろう。
たとえジョンソンが非常に優秀で、黒人女性でもオックスフォード大学に入ったと仮定しても、彼のようにクラブthe Bullingdon Clubに参加することはできなかっただろう。それは野蛮な行為で悪名高いクラブであり、政治家としての生涯のコネを得る機会となるのだが、男性しか入会できない。
もしジョンソンが黒人女性なら、The
Timesのインターンシップを、その家族のコネで得ることはできなかっただろう。黒人女性の家族のコネがTimesに有効であるとは全く思えない。また、インターンシップを解雇された後、The Telegraphの執筆チームに加わることもできなかっただろう。なぜなら、黒人女性はそのような2度目の機会を与えられないからだ。そもそもThe Telegraphには黒人の政治コラムニストがいたことなどない。
もしジョンソンが黒人女性なら、彼が黒人について書いたように、白人について書くことはできなかっただろう。また2002年のコラムで女王のコモンウェルス歴訪を「はためく国旗には火山灰」、「スイカのような笑顔」で迎えられた、と彼は書いたが、6年後にロンドン市長に立候補するまで、謝罪することもなかった。黒人女性が男性や白人をこれほど侮辱して、それでも政治的な地位を高めることなどないだろう。
もしジョンソンが黒人女性なら、彼が非難を免れることはなかったし、とっくに政治家としての経歴が終わっていたはずだ。
NYT MARCH 2, 2018
West Virginia Teachers Give a Lesson
in Union Power
By
THE EDITORIAL BOARD
NYT MARCH 5, 2018
The Rising Ghosts of Labor in the
West Virginia Teacher Strike
By
SARAH JAFFE
NYT MARCH 2, 2018
The Supreme Court Case That Could
Give Tech Giants More Power
By
LINA M. KHAN
FT March 5, 2018
The backlash against shareholder
value
RANA
FOROOHAR
Bloomberg 2018年3月2日
Turkey Is Turning Into the Next
Pakistan
By
Eli Lake
エルドアンは、平和的な抗議デモをトルコの内外で弾圧し、新聞社を閉鎖し、アメリカ兵を脅迫し、クルド人を集団的に人質にした。トルコの西側における評価は悪化している。彼が舞台で、すすり泣く6歳の少女に殉教のため死ぬよう勧める姿は、まるでイスラム国である。
トルコは、永久の破たん国家、軍部が政治的なイスラム運動を許し、それを推進するパキスタンに似てきた。イスラム運動はアメリカと西側の利益と深く対立しているのだ。
NYT MARCH 2, 2018
God, Don’t Save the King
Timothy
Egan
あなたは「ザ・クラウンThe
Crown」が好きですか? しかし、王位は要らない? 若い頃のヴィクトリア女王は称賛できる?
それは、何にもまして文化闘争である。アメリカという国は、権力が出生によって与えられるという考え方に反抗する、暴力革命によって誕生したことを忘れてはならない。そして、王朝的なナルシシズムにふけるアメリカ大統領を観れば、われわれの憲法がいかなる貴族身分も禁じた理由がわかるだろう。
王位に最も近い者には、グッゲンハイム美術館から黄金の便器を贈呈するべきだ。もしトランプが王様なら、彼の演説中に拍手しなかったという理由で、敵対者を投獄するだろう。
この大統領は、また、この土地に主権を持った王様、ジョージ3世以来の、狂った王という存在に最も近い人物でもある。国王ジョージは植民地を失い、それから正気を失った、と言うが、民主主義の倦怠期に、トランプはそれを逆の順序で行った。
世界を観れば、生まれついた王位によって支配を正当化するかのような権威主義者が増えている。中国では、習近平がシステムを変えて、永遠の帝王であることを許されたばかりだ。彼のインターネット検閲者たちは、習をからかう「クマのプーさん」を禁止した。
Netflixの「ザ・クラウン」が面白いが、現実のヴィクトリア女王は公僕たちに奉仕されて生活した。彼女の3人の孫たちは、ロシアのツァー、イギリス国王、ドイツの皇帝になったが、彼らは第1次世界大戦の無意味な虐殺を止めることができなかった。王族間の侮辱は、むしろ戦争の勃発を促したかもしれない。
不快で、野蛮で、下品なトランプが大統領であることは、王室の示す統一、連続性、尊厳に対して、人々に羨望の念を刺激するのだろう。しかし、それは間違いだ。彼を大統領にしたのは、人々がそれを望んだからだ。もしアメリカに王制が敷かれたら、われわれはトランプの言葉を何世紀も聞くことになる。
FP MARCH 2, 2018
Strongmen Are Weaker Than They Look
BY
STEVEN A. COOK
NYT MARCH 3, 2018
The Macroeconomics of Trade War
Paul
Krugman
NYT MARCH 3, 2018
Trade War, What Is It Good For?
Absolutely Nothing
Paul
Krugman
FT March 5, 2018
Currency markets send a warning on
the US economy
LAWRENCE
SUMMERS
金利が上がるのに、ドル安が生じている。これはアメリカの資産が外国投資家に売られていることを意味する。そして、国内投資家の資産多様化である。こうした状況で、政策担当者たちには不安がある。
NYT MARCH 5, 2018
Don’t Worry About Trump’s Tariffs
By
JOSH BIVENS
NYT MARCH 5, 2018
The Trump Tariffs Will Cost
Americans Jobs
By
VERONIQUE de RUGY
ワシントン政治のドブさらいをする、と約束したが、トランプは鉄鋼業とアルミニウム産業の重役たちに関税で大きな利益をもたらした。
トランプは、輸入される鉄鋼製品やアルミニウムを買うアメリカ人に課税して、アメリカの国内生産者を助けたのだ、と言う。中国の企業は大幅な政府補助を受けているから、と。
しかし、トランプは気にしないが、われわれは中国よりも多くの鉄鋼製品を他の10か国から輸入している。国内鉄鋼製品の市場シェアは70%もある。安全保障上の問題にはならない。軍に供給するのはわずか3%だけだ。
関税は、アメリカに職場を取り戻すことでも、輸入品と闘うことでもなく、より多くの職場が海外に流出し、原料よりも製品の輸入を増やすことになる。鉄鋼に人為的な高い価格を支払って鋼管や冷蔵庫をアメリカで作るより、単純に、完成品を海外で生産するからだ。
トランプは鉄鋼とアルミニウムの消費する企業に高いコストを求めた。こうした業界で働く650万人の労働者が厳しい生活を強いられる。多くの者が職を失うだろう。それは鉄鋼とアルミニウムで働く17万人よりも多い可能性がある。
データが示すように、両産業の雇用減少は、中国との競争が始まる数十年も前から起きたことだ。その主要な原因は技術革新と企業の集中合併である。
トランプは貿易戦争を歓迎し、これで貿易赤字が減る、とTweetする。しかし外国企業がアメリカ国内に出店して雇用を増やす、というのはあまり期待できず、そのような投資は輸入を増やすだろう。
北京が、中国企業の輸出を増やすために、優遇策を採っているのは明らかだ。しかし、中国のクローニズム(政府と業界の癒着)に対抗して、アメリカがクローニズムを拡大することは間違った対応だ。クローニズムは他の生産者や消費者を犠牲にする。
より優れた改善策は、WTOの紛争処理に訴え、TPP交渉にもどることだ。
FT March 6, 2018
Donald Trump’s trade follies presage
more protectionism
MARTIN
WOLF
PS Mar
6, 2018
Trump’s
Tax on America
J. BRADFORD DELONG
FT March 7, 2018
The west is doing its best to help
China
EDWARD
LUCE
FP MARCH 8, 2018
Steeling for a Fight
BY
PHILIPPE LEGRAIN
NYT MARCH 4, 2018
Donald Trump Sure Has a Problem With
Democracy
By
THE EDITORIAL BOARD
NYT MARCH 5, 2018
The Chaos After Trump
David
Brooks
PS Mar 6, 2018
The People vs. Democracy?
JAN-WERNER
MUELLER
ポピュリストと極右が上位になったイタリアの選挙結果は、Brexitとトランプ当選の2大破局に続いて、有権者自身が破滅をもたらした、というリベラル派の確信を強めただろう。「普通の市民たち」はあまりにも非合理的で、間違った情報を基に投票する。彼らには権威主義的指導者を好む面がある、と。
その診断は間違いだ。個人の信念や嗜好ではなく、民主主義を脅かす構造的な理由を観るべきだ。こうした診断によれば、その処方箋は、意思決定を普通の人々から遠ざけること、専門家によるテクノクラシーに委ねること、となる。
選挙は、市民の資格をテストする場ではないし、公共部門をめぐる修士論文の試験でもない。有権者は、すべての政策問題に関して、細かい知識や選好を持つ必要はない。大まかな方向性や信頼する機関、政治家、ジャーナリスト、宗教組織、専門家たち、の示す手がかりを受け入れるだけで十分だ。
問題が起きるのは、市民たちが党派的なアイデンティティーを問題にするときだ。それが強すぎれば、他の党派からの議論を受け入れず、彼らの正当性を全く認めないことになる。トランプは共和党の候補として当選したのだ。彼が当選するよりずっと前から、グローバリゼーションに反対する、損失を受けたと怒る白人労働者たちはいたが、共和党は、特に極右メディアのキャンペーンで、その反対派、民主党と支持者たちを、不道徳な、邪悪な意図を持つ集団として非難した。
アメリカは文化的な相違によって分断されているのではない。それは、少なくともある意味では、政治的な優位、そして、ときには個人的な利益のために行われた、意識的なエリートが行った分断計画によるものだ。分断化はまた巨大ビジネスである。Fox Newsやトーク・ラジオの収益を少しでも観れば、よくわかる。
2010年のハンガリー、2015年のポーランドで行われた選挙では、2大政党制の民主主義が示すと予想される理論通りの結果であった。ハンガリーの経済状態は悪く、政権・左派政党の汚職が責められた。ポーランドの経済は好調であったが、長期政権を担った市民プラットフォームの慢心が嫌われていた。
選挙前、オルバンViktor
OrbánやカチンスキーJarosław
Kaczyńskiの発言や行動は目立たず、その政党は対抗する野党として政権政党を批判し、あるいは、子供のある家族により多くの給付を約束した。
しかし、権力を握ると、ポピュリストとして何より文化戦争を始めた。「国民統合」を唱えて社会を分断し、多くのメディアを支配下に置いて、権力維持のために世論を操作した。
ポピュリストとの論争をすべて拒否し、ポピュリストの台頭を「取り残された人々」の不満のせいにしてはいけない。市民に対する教育や情報の提供は重要だが、メディアや政党政治に問題があるとき、ポピュリストは民主主義の制度を悪用できるのだ。
NYT MARCH 8, 2018
Why Europe Is Giving Up on Trump’s
America
Sylvie
Kauffmann
The Guardian, Mon 5 Mar 2018
The Guardian view on Italian
elections: a lesson for progressives
Editorial
FT March 5, 2018
Italy delivers a damning verdict on
its elite
TONY
BARBER
NYT MARCH 5, 2018
Italy’s Five-Star Electoral
Performance
Roger
Cohen
Bloomberg 2018年3月6日
Italy's Election Was Quite
Traditional, Actually
By
Leonid Bershidsky
NYT MARCH 6, 2018
At the Polls, La Dolce Vita Yields
to Anger
Beppe
Severgnini
NYT MARCH 8, 2018
Want to Understand What Is Wrong
With Europe? Look at Italy
By
HELEN THOMPSON
イタリアの選挙は、ヨーロッパで政治的な中道が主流にとどまるという希望を打ち砕いた。
1992年のマーストリヒト条約署名以後、EUはユーロを創り、予算から難民まで、多くの分野で、民主的に選出された政府の権限を奪ってきた。移民のように、ますます多くの問題が理事会の多数決によって決められるようになった。難民・移民危機がそうであったように、それは時にはドイツの強権によって支配される。
その結果、ヨーロッパの多くが統治不能に近い状態だ。中道的な左派が最も深刻な打撃を受け、選挙後のイタリアはユーロ圏から離脱も議論し始めるだろう。イタリアの離脱は、ギリシャと違って、EUそのものの終わりを意味する。
FT
March 5, 2018
How
the Middle East is sowing seeds of a second Arab spring
Andrew England in London and Heba Saleh in
Cairo
FP MARCH 5, 2018
The State Department Needs Rehab
BY
STEPHEN M. WALT
FT March 6, 2018
Emerging markets under pressure as
debt mounts
Jonathan
Wheatley in London
NYT MARCH 6, 2018
Memo to the President on Saudi
Arabia
Thomas
L. Friedman
FT March 9, 2018
Mohammed bin Salman, strongman in
the making
FP MARCH 6, 2018
Kim to Trump: Let’s Make a Deal
BY
KEITH JOHNSON, DAN DE LUCE
Bloomberg 2018年3月7日
It's Too Soon to Take North Korea's
Offer Seriously
By
Eli Lake
NYT MARCH 7, 2018
North Korea Has Put the Ball in
Trump’s Court
By
THE EDITORIAL BOARD
FT March 7, 2018
Trump administration starts to rev
its engines
EDWARD
LUCE
NYT MARCH 7, 2018
Gary Cohn’s Breaking Point
Bret
Stephens
FT March 8, 2018
Gary Cohn’s exit leaves White House
globalists exposed
PS Mar 7, 2018
A Brexit Gentlemen’s Agreement
DANIEL
GROS
FP MARCH 7, 2018
Baathism Caused the Chaos in Iraq
and Syria
BY
ROBERT D. KAPLAN
アメリカは2003年、15年前の今月、イラクに侵攻した。その結果は戦争状態とカオスであった。しかし2011年、アメリカは、体制が批判されていたシリアに介入しなかった。その結果は戦争状態とカオスであった。
シリアに対する政策がイラクとは180度異なる者であったにもかかわらず、その結果は同じであった、という事実は、両国において、もっと深い、根源的な力が作用しているということを示唆するものだ。
それはバース党・バース主義Baathismの遺産である。それこそが地中海とイラン高原との間に、暴力的な、21世紀のホッブズ的悪夢を生み出したのだ。私は9・11の3年前、1998年に、ベイルートでElias
Khouryにインタビューした。イラクとシリアについて、「体制は社会だけでなく、彼らに対抗するいかなる者も破壊した」と彼は述べた。
支配者たちHafez al-Assad and Saddam Husseinは、国歌を強化するために、多年にわたり、治安組織を構築した。人々は、市民ではなく、事物であった。健全な政治・経済的発展がエスニックや宗派の対立を克服するのではなく、むしろ対立を利用した。独裁体制の下には、何もなかったのだ。
バース主義のイデオロギーは、エジプト、チュニジアなど、アラブ世界の他のブルジョア的な独裁体制よりも、さらに致命的で、窒息させるものだった。バース主義は、第2次世界大戦前から戦中にかけて、ダマスカスの2人の中産階級出身者Michel
Aflaq and Salah al-Din Bitarが創始した。彼らは19930年代のフランスに留学し、アラブ・ナショナリズム、マルクス主義、そして、ナチズムなど、血と土地によるアイデンティティーを理想化するドイツの理論を吸収したのだ。彼らは出自の社会から無視された低中流の階級として、支配層を恨み、革命を目指した。そして、ダマスカスやバグダッドの伝統的な商人階級でも、ヨーロッパのエリートが唱えるガバナンス論でもなく、興隆する軍事指導者に受け入れられた。
Bloomberg 2018年3月8日
The BOJ Should Focus on Equities and
Banks, Not Inflation
By
Steven Englander
FT March 8, 2018
Syriza is undermining democracy in
Greece
ANTONIS
SAMARAS
PS Mar 8, 2018
A Better Way to Fight Corporate Tax
Avoidance
JOSÉ
ANTONIO OCAMPO
多国籍企業をグローバルな単一企業体として認め、各国はその現実の活動に応じて課税できる。また、諸国が最低税率に関する合意を形成し、協力して実施する。各国は、こうした課税の競争的な利用ではない形で、投資条件や研究開発の改善を進めることができる。
FP MARCH 8, 2018
The Most Dangerous Man in Europe Is
Jens Weidmann
BY
SIMON TILFORD
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The Economist February 24th 2018
Britain and Europe: The
right way to do Brexit
Regional development: The
bribe factory
The conquest of Yemen:
Gobbling up southern Arabia
Digital currency: Tales
from crypto-nation
(コメント) Brexitを達成するには、単一市場から離脱せずに、EUと離れた関係を築く必要があります。それは、スイスもしくはノルウェーです。記事は、ノルウェー型の離脱は決して「奴隷国家」ではなく、EUとの関係を管理するヒントになる、と考えます。
中国東北地方の重工業が衰退した後、どのような再開発が可能なのか? インフラ投資と比較優位に委ねた競争力回復、という方針に批判が起きています。
興味深いのはサウジアラビアとUAEによるイエメン侵攻です。イエメンの国土や、重要な港、島を、2つの隣国が占拠します。中東世界は法的な境界線を無視した再編過程を加速するようです。
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IPEの想像力 3/12/18
東日本大震災・福島原発事故の7周年が来たことで、日曜日、メディアは問題を取り上げました。その中で、以下の3つに私は注目します。
●「10メートルもの堤防が建設されたのは、どのような議論を経て決まったのか?」
かつて私は、湾岸に避難所を設けるべきだと思いました。避難(そして救援)できる経路を確保し、避難訓練を真剣に繰り返す方が、職場と自然を守り、津波の危険に向き合うコミュニティーの結束も高められたのではないでしょうか?
自分たちに責任のない「天災」による不幸と困窮を、政府は救済するべきだし、再発を防止し、地域の復興や福祉をめぐる議論が活発に行われるはずでした。地震と津波に対して、技術的な答えを求める。そんな形で、本当は、政治を封じ込めたのではないか?
新しい政策や政治集団、社会運動が登場しなければならなかった、と思います。しかし、それは既存の制度を支配する人々や組織・団体にとって、脅威であったはずです。
震災を理由に集めた資金は何に使われたのでしょうか? 堤防は、一時的な雇用、建設業の利益にすぎません。海とのかかわりで生きてきた人々が、巨大な堤防によって海と遮断されることが、本当に望ましい社会や政治の姿とは思えません。
●「原発再稼働や規制委員会は、原発の安全性や、エネルギーの安定供給とコストについて、どのように説明してきたのか?」
同じことは、原発事故に関しても起きています。
原子力エネルギーに依存する生活が、これほどの危険をともなうことを明白に示した事故でした。しかし今も、十分に管理できない諸問題が、迷路のように、答えられることなく、行き止まりのまま、各地の原発は再稼働されます。なぜでしょうか?
立地する市町村が原発に反対する首長を選んでも、国の政策として原発は維持されました。この矛盾を解決する努力が真剣に行われれば、もっと革新的な手法を取り入れて、住民・関係者たちの議論を積み重ね、科学者、技術者、関連する企業の能力を結集するシステムに向かったはずです。
エネルギーの長期的な展望や社会倫理を欠いたまま、既存のシステムを温存しただけのように見えます。そんなことで済むはずがないでしょう。あれほどの犠牲者を出し、多くの人たちが苦しむ問題を、政治が反映しないという法はないのです。
●「被災した人々・地域の救済と再興を、政府は、そして、私たちはどう考えているのか?」
高齢者が公営住宅に入ることや、若者や、家族を持つ労働者たちが、他の地域において雇用先を見出すこと、地域を担う新産業や企業を支援することは、ダイナミックな日本の経済や社会を再発見するフロンティアになり、もっと多くの人が支援と復興に誇りを感じることもできたはずです。
戦場や災害から経済復興する「フェニックス効果」という言葉があるように。
もちろん、難しいと思います。さまざまな軋轢が生じ、分配や介入をめぐる社会・政治対立が生じるのは当然です。私たちは、こうした問題や対立を避けてきたのかもしれません。その「やさしさ」、あるいは「弱さ」を、がまんし、他者を気遣う感情を、権力志向の人々は利用します。
震災と同じ3月11日に、財務省が文書を偽造したことを認めた、というのは、ジャーナリズムや国会の役割を見直す重要な日になったと思います。
私は、官僚や公務員を支持し、育てるべきだと思います。津波に破壊された町と、泥をかぶり、悪臭のする市庁舎を尋ねたときのことを、私は覚えています。日本中から支援のために公務員が集まって、路上の自動車に泊まりながら、行政機能の回復を図り、維持していました。
震災の記憶と教訓を、語り合い、形にできる政治、それを支える制度に向けて、良心に従う政治家や官僚がきっといるはずです。それはまた、教育、大学の役割であると思います。
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