IPEの果樹園2018
今週のReview
2/19-24
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簡易版
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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times,
The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate,
SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)
[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]
NYT FEB.
8, 2018
Will North
Korea Win the Gold Medal for Deceit?
By JEAN H. LEE
FT
February 9, 2018
Olympics:
North and South Korea must seize this political moment
BAN KI-MOON
NYT FEB.
9, 2018
Japan and
South Korea, the Friendly Foes of East Asia
By NARUSHIGE MICHISHITA
Bloomberg 2018年2月12日
North
Korean Charm Sure Beats the Alternative
By Leonid Bershidsky
韓国がピョンチャン・オリンピックを北朝鮮との関係改善に利用することに、アメリカのメディアや国民の意見は割れている。
しかし、評論家や政治家、視聴者は、空虚な2元論を避けるべきだ。そのような接触だけが、恐らく唯一の途である。すなわち、北朝鮮の体制が、崩壊とまで行かないが、無害化されることを促すものだ。
人によっては偽善と思うだろうが、それが明敏な外交になるかもしれない。そのことを、ある逸話によって説明しよう。
1967年、朝鮮の諜報機関が、有名な作曲家、尹伊桑(ユン・イサン)を西ドイツのベルリンから誘拐した。当時、彼はベルリンに滞在していたのだ。自国で、彼は拷問され、スパイだと自白を強要されて、終身刑の判決を受けた。国際的な支援によって、1969年、彼は釈放された。
それは、北ではなく、南の朝鮮(韓国)だ。
韓国を民主主義国家と思っている人には驚きかもしれないが、韓国がキム・ジョンウンの野蛮さに匹敵する体制に支配されていたのは、それほど前の話ではない。その時代にも、韓国はアメリカの忠実な同盟国だった。同盟関係を維持するのに偽善を必要としたか? もちろん。その同盟関係が、最後は、韓国を民主化することに役立ったか? これも、正しい。
韓国のムン・ジェイン大統領はこの教訓を忘れていない。しかし、アメリカのペンス副大統領はキム・ヨジョンを無視し、会話を避けた。
アメリカの外交専門家たちは、キム体制が、何も放棄することなく、認知されつつあることを恐れている。特に、その核兵器だ。
歴史上、多くの全体主義もしくは権威主義的な体制が、独裁者自身の失策によって崩壊した。すなわち、慢心、選挙操作の失敗、間違った後継者の指名、反発を呼ぶ暴力の使用。しかし、キムは、その一族とともに、こうした失策を回避してきた。
1つ、キム・ジョンウンが犯すかもしれない失策がある。それは、ゴルバチョフが失脚した原因ともなった、市場自由化につながる経済改革だ。キムがこの政策を採用するのは、その後の中国とベトナムの市場改革は成功したからだ。北朝鮮の改革に関しては、詳しい報告がある。"North
Korea: Witness to Transformation" on the website of the Peterson Institute
for International Economics
北朝鮮にも「闇経済」が拡大しつつある。ソ連とその衛星諸国がやったように、人々に経済的な誘因を与えて動かそうとしているのだ。
アメリカがこの過程を刺激することはできないが、こうした市場の刺激によって人々が外の世界と繋がり、ソフト・パワーが機能するだろう、と楽観するかもしれない。それは無邪気な期待である。私はかつてソ連でそれが起きた時代を観た。
しかし、たとえ市場の小さな開放がキムの体制を崩壊させないとしても、それはトランプとキム・ジョンウンが核兵器による威嚇を繰り返す現状よりも好ましい。
NYT FEB.
13, 2018
The Ivanka
Trump of North Korea? Oh, Please
Frank Bruni
FT
February 14, 2018
North
Korea’s cheerleaders and the art of political distraction
ROULA KHALAF
FT
February 15, 2018
Kim Jong
Un gives Donald Trump a lesson in diplomacy
PHILIP STEPHENS
FP FEBRUARY
9, 2018
Japan’s
Own Belt and Road
BY KEITH JOHNSON
NYT Feb.
9, 2018
The Era of
Fiscal Austerity Is Over. Here’s What Big Deficits Mean for the Economy.
By Neil Irwin
FT
February 14, 2018
Where is
the Tea Party when you need it?
EDWARD LUCE
NYT FEB.
11, 2018
How
Germany’s New Coalition Explains Europe’s Uncertain Future
By AMANDA TAUB
PS Feb 12,
2018
Populism’s
Second Wind
ZAKI LAÏDI
ポピュリズムは終息していない。ギリシャ、イタリアなどでは、人々がEUの連帯が欠けている、と不満を感じている。逆に、オーストリアやオランダなどでは、人々がEUの過剰な連帯が痛みを強いている、と不満を感じている。
移民について、東西の体質について、Brexitと「主権」について、人々の不満はポピュリズムと結びつく。
PS Feb 13,
2018
The Double
Threat to Liberal Democracy
DANI RODRIK
民主主義は変化しやすいものであるから、エリートたちはそれを恐れて統治を制度化し、法律や官僚によって拘束する。たとえリベラルな体制でも、民主主義は死滅しつつある。
NYT FEB.
13, 2018
Germans
Quietly Pass an Equinox of Unity, but the Walls Remain
By KATRIN BENNHOLD
NYT FEB.
14, 2018
The Pull
of Populism
Ross Douthat
SPIEGEL
ONLINE 02/15/2018
How Can
You Falter, When You're the Rock of Gibraltar?
A Commentary By Henrik Müller
FT February
12, 2018
Tech
companies are the new investment banks
RANA FOROOHAR
知的財産から莫大な利潤を上げている主要企業、すなわち、アップルやグーグルは、ますます低利の資金調達によって債券、特に、社債を保有するようになっている。それは銀行がしてきたことだ。
もし彼らの資本移動がグローバリゼーションを推進し、金利の上昇を進め、それによって得た利益でM&Aや配当を増やすなら、貧富の差は拡大し、人々の憎悪とポピュリズムを刺激する。次に政治家たちが標的とするのは、大銀行ではなく、こうした世界最大のハイテク企業群であろう。
FT February
12, 2018
Five
reasons why universal basic income is a bad idea
Ian Goldin
AIとロボットのもたらす革命が職場を大きく失わせるだろう。ある推定the Oxford
Martin Schoolによれば、これから20年で、アメリカの職場の47%、UKとヨーロッパの職場の40%、中国を含む発展途上諸国においてはそれ以上の職場が機械化される。
以前の産業革命とは、そのスピードと影響する範囲が全く違う。新雇用の創出は旧雇用の破壊よりも遅く、多くの場合、フル雇用からギグ労働、臨時契約となり、その性格は劣る。脆弱な労働者は地理的にも孤立する。住宅や通勤のコストが増大し、人々がダイナミックな都市へ移住することは妨げられる。貧困と不平等がますます地理的な分断を強めている。
弱い立場にある労働者たちに対する関心が高まることは正当であり、対策が必要だ。しかし、ユニバーサル・ベーシック・インカムUBIという対策は、5つの理由で間違っている。
1.財政的に無責任である。まともな市民としての生活水準を保証するには、最も裕福な諸国でも、その財政負担に耐えられない。UBI予算を維持するには、医療や教育などで、はるかに高い税率や地域間の財政移転を要する。
2.不平等と貧困を悪化させる。UBIは、既存の失業手当や社会給付を廃して、一律の給付に代える。その結果、最も給付に頼る者はその水準が低下し、最も裕福な者もわずかな給付を得る。
3.社会的結束を損なう。仕事を通じて得られるものは、所得だけでなく、意味、地位、スキル、ネットワーク、友人である。所得と仕事を切り離し、住宅で暮らす者に給付することは、社会的な退廃につながる。
4.社会参加の誘因を損なう。強固なセーフティーネットは需要だが、それは社会に参加する個人や家族に対して与えられる。社会的給付への依存ではなく、有意義な仕事や社会参加に向けてセーフティーネットを設計するべきだ。
5.政治指導者たちに「万能薬」を与え、職場の未来を真剣に議論する圧力を失わせる。豊かな諸国の高齢化、貧しい諸国へのAIの影響は、一時雇用、労働時間の短縮、自宅における就労、創造的な新産業、社会・個人の介護ビジネス、など、議論を要する。UBIではなく、われわれの所得や仕事を根本的に変える思考が求められている。
FP
FEBRUARY 12, 2018
Russia’s
Clash With the West Is About Geography, Not Ideology
BY BENN STEIL
1945年5月、ドイツの降伏後、短期間に、ソ連が東欧を占拠した地図を観て、スターリンJosef
Stalinは別荘でうなずいた。彼は今や、この削ぎ取った東欧圏が、将来のナポレオンやヒトラーに対する緩衝地帯となるだろう、と考えた。
「私はこの国境が気に入らない。」 ソ連のグルジア、アルメニア、アゼルバイジャン共和国が、敵対的なトルコやイランと接する国境だ。
その後の1年半で、米ソ関係は急激に悪化した。スターリンがトルコとイランンに圧力をかけ、トルーマンは地中海に海軍を送った。戦災からの自国の復興に取り組まねばならないスターリンにとって、その関心は東欧を緩衝地帯として保持すること、また、宿命的な敵であるドイツをアメリカが支配するのを阻止することだった。
マーシャル国務長官は、モロトフ外相との会談を終えてモスクワを去るとき、占領したドイツの将来に関して交渉が行き詰まった、と理解した。どちらにとっても、ドイツを相手の支配に委ねることは、戦略的に観て、非常に危険な状態であり、受け入れられなかった。
トルーマンは軍隊をヨーロッパから撤退させたかったが、マーシャル国務長官は、ドイツや西ヨーロッパ各地が経済的、社会的な破滅に向かっている、と確信していた。しかし、スターリンは、事態の悪化を歓迎していた。マーシャルは、民主的な、資本主義的な政府がヨーロッパで生き延びるように、アメリカが一方的に行動することを決断した。
FT February 13, 2018
Russia’s
system of power defies any rational explanation
LILIA SHEVTSOVA
FP FEBRUARY
15, 2018
The Trojan
Horse of Russian Gas
BY DAVID KORANYI
PS Feb 12,
2018
The
Lessons of Black Monday
BARRY EICHENGREEN
この株価下落は、2008年の金融危機ではなく、1987年の「ブラック・マンデー」に似ている。その類似点とは、1.連銀が金融引き締めに転換する局面にある。2.ドル安に向かっている。3.AIによる自動売買が注目されている。
下落がこのまま止まるか? 1.新しい連銀議長が流動性危機を起こさない姿勢を明確に示した。2.金融システムが不安定化することはなかった。ただし、それは局面が変われば急速に悪化する。議会は金融規制を緩和したため、その危険を見逃しているかもしれない。3.金融緩和の余地がない。パウエルにも「グリーンスパン(そしてバーナンキ)・プット」として市場に株価の底を形成できるか、まだわからない。
もっとも重要なことは、トランプ大統領の反応だ。もし彼が、自分の好まない株価下落を誰かのせいにし、民主党員や外国政府、あるいは、連銀を非難するなら、問題は悪化するだろう。
FT
February 13, 2018
Charities
should uphold the highest standards
The
Guardian, Tue 13 Feb 2018
The
Guardian view on the Charity Commission: guarantor of public generosity
Editorial
FT
February 13, 2018
How to
drag Big Tech away from the dark side
Roger McNamee
PS Feb 13,
2018
The
Eurozone Island of Stability
DANIEL GROS
SPIEGEL
ONLINE 02/14/2018
Currency
Cold War
Donald
Trump's Dangerous Game
By Tim Bartz and Martin Hesse
VOX 13
February 2018
Cryptocurrencies
don't make sense
Jon Danielsson
仮想通貨(暗号通貨)は、貨幣のような、投資のような性格を持っている。それはプライヴァシーやセキュリティーを高め、効率的な決済手段である。その新しく、魔法のような、神秘的な側面は、愚かな、旧世代には理解できない。そんな風に言われている。
貨幣なのか? ・・・仮想通貨は、貨幣のように、経済取引を円滑にするものでも、価値を保存するものでもなく、「最後の貸手」は存在しない。確かに、現在の人工通貨は、かつてのような金など、実物による価値保証ではなく、政府が価値を保証している。自然物による保証をやめて、人工通貨の利用によって得られるメリット(金融政策)は大きい。政府は信頼できない、という意見はもちろんあるが、中央銀行の金融政策は貨幣の価値を守っている。
それに比べて、ビットコインの取引は大幅に劣る。時間がかかり、最低でも25ドルかかり、必ずしも匿名性があるわけではない。仮想通貨にも人工通貨にも、それ自体の価値はなく、貨幣として2%で安定して価値を減らす人工通貨に比べて、ビットコインなどの価値は、数日で、倍増もすれば半減もする。もちろん、市場がパニックになれば、金融機関に流動性を供給して破たんを防ぐような制度もない。
投資なのか? ・・・仮想通貨を、人工通貨と同様に、ねずみ講Ponzi
schemeにたとえることがある。しかし、それは正しくない。既存の投資家が新規の投資によってのみ支払いを受け取るわけではない。それが投資であるかどうか、決めるのは利用の仕方である。貨幣によって、将来の価値を割り引いた債券を得ているのか、単に、希少であることを価値があるとみなすのか。仮想通貨を保有する理由は、債券購入ではなく、切手蒐集と同じだ。それは株式や債券への投資が目的ではなく、切手の蒐集や宝くじの購入と同じである。
信用できるか? ・・・私は、アメリカ連銀やECBのような中央銀行を信用する。仮想通貨には信用を維持する仕組みが何もない。
プライヴァシーやセキュリティーは? ・・・仮想通貨が優れているとしたら、これしか残らない。しかし、ビットコインはブロックチェーンの記録が残る。完全な匿名性はない。仮想通貨を盗まれた、という報せを聞かない日はない。現金や電子マネーも盗まれる。しかし、仮想通貨よりも厳重に守られている。仮想通貨がプライヴァシーやセキュリティーを高めると思うのは、そのような専門知識を持つ者だけの話で、多くの人々には犯罪の犠牲者となる道具である。
私は仮想(暗号)通貨を理解できず、素晴らしい性格を見逃しているのかもしれない。しかし、私に言わせれば、仮想通貨は宗教やカルト集団の現象に近い。経済問題ではない。
NYT FEB.
13, 2018
Syria: You
Own It, You Fix It, So Just Rent It
Thomas L. Friedman
Bloomberg 2018年2月15日
Syria Is
the New Afghanistan
By Noah Feldman
Bloomberg 2018年2月14日
How to Fix
the Eastern Ukraine Problem
By Leonid Bershidsky
FT
February 15, 2018
German
military: combat ready?
Tobias Buck in Potsdam
第2次世界大戦終結後のドイツが、再び軍事力を国際的に行使して秩序に貢献する時代が来た。すでにコソボやアフガニスタンでドイツ人兵士が犠牲となっている。その防衛政策、軍事力行使の原則は、どのように表現されるべきか?
Bloomberg 2018年2月15日
U.S.
Allies Are Failing to Fill the Global Leadership Void
By Hal Brands
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The Economist February 3rd 2018
Theresa May: Intolerable but
unsackable
European populism: Threat
and opportunity
European populism: A
dangerous waltz
South Korea and China:
Setting a new course
(コメント) メイ首相が耐えられないほど無能でありながら、解雇できない首相であることは、保守党のBoris
Johnsonや、労働党による政権交代が、一層の悪化を意味すると考えるからです。
ヨーロッパのポピュリズムが何であるのか、独自のイデオロギーや政治システムを実現するものとして定義することは間違いである。ポピュリズムは既存の政治システム、民主主義の機能低下を攻撃し、新しい試みを提案する改革運動と観るべきだ。ポピュリストたちは政権に参加することで洗練され、プロ化する。また主流派政党はポピュリズムの主張を取り込んでいく。かつて「緑の党」がそうであったように。
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IPEの想像力 2/19/18
AIの能力がどこに向かうか、どれほど伸びるかは予測できない。AIにできない仕事はない。・・・
BSフジのプライム・ニュース(2月22日)で、「第4次産業革命」を議論していました。参加者たちは、自民党IT戦略特命委員会のA、元Google副社長・日本支社長のB、IT企業家・慶応大学院教授のN(夏目剛)、日本の中小企業・金属加工を代表して浜野製作所のCです。
「ロボット、IoT、人工知能(AI)など、第4次産業革命を、わが国が力強くリードしていく」という安倍首相の録画映像で始まります。
「第4次産業革命」・・・? 何だろう、と思いました。藤井聡太が羽生善治に勝った将棋のことを思い浮かべました。そして、なんでも吸収し続ける、スマートフォンのアプリを介したネットビジネスです。
最初の産業革命とは、蒸気機関車や綿工場のことでしょう。その後の経過を含めて大きく分ければ、第1次:工場制度、機械化・蒸気機関・石炭、第2次:電力、石油化学、自動車、大量生産大量消費型社会、第3次:情報・通信、コンピューター、を意味します。
番組が取り上げたのは、日本の成長が明らかに遅れていることです。もちろん、その主要な理由は人口減少や高齢化ですが、ITのブームに乗り遅れたことこそ重要だ、と(安倍政権と助言者たちは)考えたわけです。
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政治家Aはインターネットとビッグデータを重視します。日本が成功している例として持ち出すのはビットコインです。FinTec(AI+インターネット+金融工学)を代表として、医療や社会福祉の分野まで、高齢化する日本経済を政府の支援で大幅に改善できる、と考えます。
・・・人間が関わる最終局面は変わらない。AIやIoTにおいても、対人サービスの接点に人間が残るから、その領域で活躍すれば「IT革命」を恐れることはない。
・・・アメリカが成長したのはサービス分野だ。
グーグルの日本進出・大番頭(?)Bが称えるのは、クラウド化やプラットフォームの重要性(それを支配する企業群)です。ITの勝ち組が目指すのは、サプライチェーンだけでなく、むしろデマンドチェーンを組織する部分を担うことだ、と構想を述べます。
番組・司会者は、Apple、Google、Amazon、Facebookの成功を説明する役割をBに求めたようです。
・・・しかし、その過程で、既得権を持つ旧産業、守旧派が反対する。
・・・わたしたちは説明し、それでも始まると彼らは怒り とりあえず「あやまる」わけです。
・・・何をしてもいいか、ではなく、何をしてはいけないか、だけ示して、すべて自由にやらせるべきだ。
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IT企業家・大学教授のNは、現代人にとってスマホが大切なのは、そのハードとしての製品ではない、と強調します。それは、便利で豊富なアプリである。インターネットを介した優れた接続性、繋がっていることを活用する日常こそが、急速に拡大していく。
それに応じるには、日本の企業や政府、社会がITやAIを活用するのにふさわしくない。IT革命によって生まれる富を、旧時代の企業管理層が奪ってしまう。旧い人事システムや経営管理システムが、新しいアイデアを抑え、実現させない。
・・・社会のすべてが変わらなければならない。
・・・ITの普及で可能になったカー・シェアリング(ユーバーなど)は、たとえ便利でも、日本で使えない。日本社会の多数派は、それが正しい、規制することは望ましいと(まだ)考えている。
・・・しかし、結果はすでに出た。AIを活用できる(ソフトを利用して独自のサービスを普及させる)企業だけが成功する。それ以外は淘汰され、消滅する。
・・・AIによって消滅する仕事は、人間にとって「つまらない仕事」だ。やりたくない仕事だ。だれがやっても変わらない、だからAIがやった方が良い仕事は、すべてAIがする。人間はもっと他に、想像力を用いて、創造的な仕事をする。
・・・製造業、とか、中小企業、とか、そういう言葉には意味がない。多くの者が、AIやロボットに「仕事」を委ねて、人間たちは互いに豊かなサービスを提供して生きている。
中小企業のCは、どうするべきか、教えてほしい、学びたい、と発言を控えています。
・・・わたしたちには、これが自分たちにとってどういう意味があるのか、よくわからない。
・・・ITと私たちは共存していける。属人化している部分もAIは助けてくれる。IT大企業が中小企業の優れたアイデアを奪ってしまう、ということはないと思う。
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司会者は、討論を刺激しようとしますが、なかなか動きません。Aは政治家、Bは番頭、NはIT成功者、Cは無言。それでも司会者の指摘はいくつか的を射たと思います。
・・・熟練工の技能がAIによって奪われてしまうことにならないか? その技能は一気に普及し、陳腐化する。熟練労働者は生き残れない?
・・・それがIT革命であり、「第4次産業革命」だ。600円の「ラズベリー・パイ」に接続すればIT化は誰でもできる。クラウドのアプリやAIサービスを利用すれば、プログラミングなど知らなくても、だれでも容易に利用できる。そういう時代が来た。
・・・誰でも簡単にアイデアを製品化できるのか? 試しに金型を作れば、予想外に高額を要する。
・・・しかし、金型は3Dプリンターによって一気に安価になった。テクノロジーで解決できないのは、製品化する過程だ。新しい分野は人間がする。
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・・・AIにできない仕事は何か?
・・・何もない。
・・・では人間は何をするのか?
・・・遊んでいるのです。
・・・産業革命は生産性を高めた。かつて人口のすべてが農業をしていた時代から、10%が農業すればよい時代に変わった。ほかの人はモノ作りを始めたが、それも機械化された。最後はディズニーランドに行く。人工的な自然を楽しむ。
・・・レジャー産業で人々が遊ぶことは消費や雇用、成長を生み出している。
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彼らの過激な楽観論は何に依拠しているのか? と思わず考えてしまいます。AIやビッグデータ、ロボット、IoTによって、生産性が大きく高まる。所得は増えるだろう。完全雇用、労働時間は短縮され、たとえ低所得でも生活には十分なゆとりがある。レジャーが楽しめる。
・・・AIを規制して製造業を守ることは、必ず失敗する。
・・・日本は完全雇用状態だ。人口が減少している。失業を心配するのは間違いだ。
・・・若者は「保守化」したというが、その発想がおかしい。革新を実現しているのは与党・自民党だ。モリ・カケで騒ぐ野党が技術革新を実現することはない。
・・・いつまであるかもわからない大企業に就職するより、若者たちは起業を目指している。
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・・・トヨタも変わりたい。社長は目標を掲げた。モビリティを提供するサービス企業になりたい、と。カー・シェアリング。プラットフォーム。自動運転。トヨタは、自動車を作る会社ではなく、人が空間を移動する姿・仕組みに関わるGoogleになりたい。
・・・これは日本だから注目されるだけで、アメリカの自動車企業は、すでに言っていたことだ。トヨタは最後だ。
・・・デジタル家電も、コンピューターも、携帯電話も、同じことだろう。技術が普及するスピードは速く、一気にコモディティー化する。だれでも参加できる。やらない企業は消えるだけだ。
司会者は、IT導入への既存産業の不安、第4次産業革命における労働者や中小企業の苦悩、痛みを指摘します。しかし出席者たちはだれも気にしません。
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どうかな? ・・・私も、超楽観論者たちに同意する気持ちもところどころありましたが、消えてしまいました。
アメリカの成長を支えるサービス産業、ディズニーランドを観て、これからの社会を理想とするのでしょうか? レジャー産業やカジノを誘致することが、高齢化や少子化の対策になるでしょうか?
もしかしたら究極の対人サービスである防犯・治安・軍事産業や諜報・情報セキュリティー分野で、多くの優れた人間がAIに消費されるのではないか?
過去の産業革命が、労働時間を大幅に短縮したとは思えません。労働者の権利や生活水準を高めたのは、技術ではなく、社会・政治闘争です。えへーっ! なんて旧式の階級論なんだ、と出席者たちは驚倒し、黙殺するのかもしれません。
これからも優れたアイデアは重要です。ウォークマンからウォシュレットへ。そして、クラウドに載せたアプリで、だれもが容易に、非常に安価に、高度なサービスを利用できる社会を実現してほしいです。
しかし、GoogleやAmazonに情報を介して支配され、仲介手数料を支払い続けるのは、不在地主の支配に苦しむ土地なし農民のようではないですか?
インターネットを介して生じる巨大な利益を奪い合うIT起業家・企業家たちが富の独占を正当化するものは何もないと思います。それは産業革命にともなう醜い社会・政治的な側面です。技術ではなく、社会運動や政治が問われています。
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