IPEの果樹園2018

今週のReview

1/22-27

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簡易版

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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, PS: Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.] 


 民主主義

NYT JAN. 11, 2018

How Democracies Perish

David Brooks

NYT JAN. 15, 2018

John Stuart Mill Showed Democracy as a Way of Life

David Brooks

FP JANUARY 17, 2018

American Democracy Was Asking for It

BY HENRY FARRELL


 ソブリン・ウェルス・ファンド

FP JANUARY 11, 2018

Nations Are Wielding Their Sovereign Wealth Funds as Tools of Power

BY ADAM ERELI, THEODORE KARASIK


 トランプ

The Guardian, Fri 12 Jan 2018

If Oprah took on Trump, he would be the ultimate winner

Jonathan Freedland

NYT JAN. 15, 2018

Know-Nothings for the 21st Century

Paul Krugman

SPIEGEL ONLINE 01/16/2018

The Blight House

Trump's Presidency Sinks Below Rock Bottom

By Christoph Scheuermann

PS Jan 16, 2018

Trump’s Quest to Make America White Again

JAMES Q. WHITMAN

FT January 17, 2018

Donald Trump holds more cards than we think

EDWARD LUCE


 民営化の見直し

The Guardian, Fri 12 Jan 2018

The company that runs Britain is near to collapse. Watch and worry

Aditya Chakrabortty

UKのインフラと言えばCarillionが大きな契約を得ている。高速鉄道HS2、ブロードバンド、the Royal Liverpool University Hospital, the Library of Birminghamもそうだ。軍の兵舎を管理し、PFI方式の学校を建て、アバディーンの道路も。

しかしCarillionは溶解し、株価は90%下落した。イギリス国内では2万人を雇用し、海外でも同じ数を雇用する。納入業者の数も多い。彼らはどうなるのか? 他の公共事業にも不安が生じている。

職場は失われ、学校は建設されない。PFI方式の政府のアウトソーシングは正しかったのか? PFIの醜い真実は、株主が利益を得ながら、納税者がその損失を押し付けられる、ということだ。

The Guardian, Wed 17 Jan 2018

Four lessons the Carillion crisis can teach business, government and us

Larry Elliott


 バブル

FT January 12, 2018

The lesson for diagnosing a bubble

TIM HARFORD

FT January 15, 2018

Ultra low market volatility – friend or foe?

GAVYN DAVIES


 メッシの課税回避

SPIEGEL ONLINE 01/12/2018

New Tax Problems

Lionel Messi Paid around 12 Million Euros in Back Taxes

By Rafael Buschmann, Jürgen Dahlkamp, Gunther Latsch, Nicola Naber, Jörg Schmitt and Michael Wulzinger

SPIEGEL ONLINE 01/15/2018

FC Barcelona Star Lionel Messi

Tax Troubles, an Audit and a 100-Million-Euro Contract

By SPIEGEL Staff

メッシLionel Messiは、南米最大のカジノがある町、Rosario, Argentinaにやってきた。この神の子とも呼ばれるフットボール・プレイヤーは、20億ユーロを超える契約を結ぶはずだった。ただし、このとき注目されたのは、故郷で行われた彼の結婚式だった。

クラブはメッシに年棒として1億ユーロを保証していた。それと比較して、ドイツのクラブ・チームであれば、年間収入が12000万ユーロである。ヨーロッパのファンは、入場券やテレビ契約料金として、どれくらいまで彼らに報酬を支払うのだろうか? ネイマールの給与は3680万ユーロ、ロナルドは3820万ユーロ。

グローバルなフットボール市場は過熱し、まるでゴールド・ラッシュだった。中国、ロシア、アラブ、アメリカの投資家たちが、メッシの家族により良い条件を提示するだろう、と思えた。

それはメッシの父親に契約で一層の高い報酬を要求することができると思わせた。バルセロナのクラブとの契約には、メッシの兄が管理する慈善団体への莫大な寄付や、税務に関するクラブからの優遇措置が含まれている。シーズンあたり1億ユーロ以上、チームが3冠を達成し、メッシが最優秀選手になれば、年棒は12215万ユーロに達するだろう。

それが脱税行為にあたる、という告発を受けて、メッシ家族は罰金を支払うことにした。メッシは契約交渉を父親や兄弟に頼ってきた。専門家や弁護士のグループに委ねたほうが良いだろう。


 パキスタン

PS Jan 12, 2018

The Pakistan Conundrum

RICHARD N. HAASS


 ハイチ

NYT JAN. 12, 2018

What Makes a Country Great? Meet Haiti’s People.

By TANAEL JOACHIM


 インドの若者

The Guardian, Sat 13 Jan 2018

India has 600 million young people – and they’re set to change our world

Ian Jack


 核兵器

NYT JAN. 13, 2018

False Alarm Adds to Real Alarm About Trump’s Nuclear Risk

By THE EDITORIAL BOARD

FT January 18, 2018

Nuclear weapons are a risky defence against cyber attacks

GIDEON RACHMAN


 トランプ外交

Bloomberg 2018113

Trump's No Isolationist. Is That a Good Thing?

By Tobin Harshaw

PS Jan 15, 2018

Making America’s Deficits Great Again

JEFFREY FRANKEL

Bloomberg 2018116

Trump Is Helping To Make Elites Great Again

By Leonid Bershidsky

FT January 18, 2018

Donald Trump, Davos and the special relationship

PHILIP STEPHENS

イギリス人が好む「特別な関係」は破たんした。イギリスは、自ら望んだヨーロッパからの疎外を前提に、大西洋の大嵐も生き延びねばならない。


 富とパワーの集中に反撃する

The Guardian, Sun 14 Jan 2018

Let’s wrench power back from the billionaires

Bernie Sanders(民主党の大統領候補指名をヒラリー・クリントンと争った上院議員)

2018年、われわれの星では、過去100年の間に起きた戦争、革命、国際会議の末に、一握りの、信じがたいほど裕福な個人が、グローバル・コミュニティーの経済・政治生命に対する桁外れの支配力をおよぼしている。

この星の最も裕福な6人が、人類の下半分である37億人よりも、多くの富を所有する。トップ1%99%よりも多くの資金を所有する。その一方で、7人に1人が1日当たり1.25ドル以下で生活し、毎日、29000人の子供たちが、下痢、マラリア、排煙といった完全に防ぐことのできる理由で死んでいる。

同時に、世界中の腐敗したエリートたちが、オリガークたち、時代錯誤の王族たちが、まったくばかげたことに何十億ドルも支出している。ブルネイのスルタンは、約500台もロールスロイスを所有し、世界最大級の宮殿に住み、その宮殿には1788の部屋があり、建設に35000万ドルをかけた。世界で最も裕福な王族の10人の内、7人がいるという中東では、若い王子たちが世界中をジェット機で移動し、若者の失業率は世界で最も高く、少なくとも2900万人の子供たちが、まともな住居も、安全な水も、栄養のある食料も手に入らない暮らしを続けている。その政府が何兆ドルも武器の購入に支出することで、世界の武器商人たちはますます富み栄えている。

アメリカでは、Amazonの創設者で、現在、世界で最も裕福な人物であるベゾスJeff Bezosが、1000億ドル以上の資産を所有する。彼は、数千万ドルの価値があるマンションを、世界に少なくとも4件所有し、テキサスの山中に、1万年は動き続けるという時計を4200万ドルかけて建設している。しかし、アメリカ中にあるAmazonの倉庫では、そこに雇われた労働者たちが長時間、へとへとになるまで働き、それでもわずかな賃金しか得られないために、低所得者のためのメディケイドや、食糧スタンプ、公営住宅を利用して、彼らにアメリカの税金が支払われている。

新しい、国際的な、進歩的運動が、構造的な不平等と闘わねばならない。この運動は、「貨幣欲のカルト」、「最適者の生存」という精神を打破せねばならない。貧しい、労働者階級の生活水準を高めるような内外の政策を支持する。すなわち、完全雇用から、生活賃金、すべてのものが高等教育を受ける権利、医療保険、通商条約まで含む。


 中国の環境規制

NYT JAN. 14, 2018

Why China’s Good Environmental Policies Have Gone Wrong

By YANZHONG HUANG

NYT JAN. 16, 2018

The Price of China’s Haphazard Urbanization

By HELEN GAO


 スーパースター経済

FT January 15, 2018

The rise of the superstar company

RANA FOROOHAR

われわれはスーパースター経済に住んでいる。そこではトップの個人、企業だけが、そして地域だけが、尋常でない不均等な率で、権力、富、関心を支配する。

1990年代後半から、われわれはスーパースター企業の興隆を観てきた。The McKinsey Global Instituteによれば、ハイテク、金融、医療・薬品、の3分野で、利潤のシェアがほぼ3倍に増大した。アメリカの全企業利潤の約45%を占める。

この変化は知的所有権に強い分野に限定されない。Brookings Institutionの研究では、過去20年間で、アメリカ産業の75%以上で、富と影響力の集中化が進んだ。

なぜか? 第1に、グローバルな競争の激化だ。それにより、アメリカ企業は、企業、労働者、地域社会の間で戦後に利潤をシェアした行動から離脱する動きを強めた。第2に、反トラスト法の変化だ。1980年代に連邦判事Robert Borkの独占規制に対する修正が支持されたのは、明らかに、外国企業との競争を意識したからだ。

ネットワーク効果により、ほとんど一夜にして、少数のプレイヤーが市場シェアを拡大できるようになった。彼らの保有する莫大なキャッシュは、潜在的な競争企業を容易に買収できた。ほとんどあらゆる業種で、すなわち、食品から飲料、銀行、包装、メディアまで、巨大ハイテク企業による買収に対抗して、巨大化を追求した。

こうして「パス・スルー」企業が勃興したのだ。スーパースター企業の周りに、スーパースター投資家と労働者が集まった。こうした経済パワーの集中は、地理的にもパワーの集積をもたらした。新規雇用の創出は地域的に限定され、その傾向は雪だるま式に強まっている。才能ある若者たちが少数の都市に引き寄せられ、不動産価格が上昇し、スーパースター・クラブに入れない者には手が出なくなる。彼らは社会経済的な食物連鎖の下に生きる。

もっと富やパワーを多くの者が分かち持つ、持続可能な経済成長を実現してくれる政治家が、大統領であってほしい。


 ドイツ

FT January 15, 2018

A German coalition deal to radically reshape Europe

WOLFGANG MUNCHAU

FT January 15, 2018

A grand coalition in Germany will not paper over the cracks

TONY BARBER


 Brexit

The Guardian, Mon 15 Jan 2018

Brexit Britain will have to get used to life as a ‘third country’

Rafael Behr Rafael Behr

PS Jan 15, 2018

How Britain Could Change Its Mind About Brexit

ANATOLE KALETSKY


 ポーランド

FT January 15, 2018

Europe’s biggest test will come in Poland

GIDEON RACHMAN


 中東のパワー・シフト

FT January 15, 2018

A power shift in the Middle East

NICK BUTLER


 イタリアの銀行

PS Jan 15, 2018

The Electoral Fate of Italy’s Banks

PAOLA SUBACCHI


 ユーロ危機のサイクル

PS Jan 15, 2018

Europe’s Doom Loop in Reverse

DANIEL GROS


 フランケンシュタイン

FT January 16, 2018

‘Frankenstein’ still speaks to very modern fears

ANJANA AHUJA

The Guardian, Tue 16 Jan 2018

What happens when the jobs dry up in the new world? The left must have an answer

John Harris


 韓国の冬季オリンピック

FP JANUARY 16, 2018

The Olympics Will Only Make the Korea Crisis Worse

BY DAVID CLAY LARGE

Bloomberg 2018119

Korea's Olympic Compromise Is Fool's Gold

By James Gibney


 ブリティッシュ・コロンビア

FP JANUARY 16, 2018

Fantasy Island

BY SAUL ELBEIN


 答えはある

FP JANUARY 16, 2018

The Answers Are Out There

気候変動,中国の債務累積,北朝鮮,ビットコイン,感染症,世界不況,


 イラン

FP JANUARY 16, 2018

The Islamic Republic of Hysteria

BY STEPHEN M. WALT


 危機と経済学

FT January 17, 2018

How to fix university economics courses

PS Jan 18, 2018

How Economics Survived the Economic Crisis

ROBERT SKIDELSKY

1930年代にはケインズ主義が、1970年代にはマネタリズムが、マクロ経済学を形成し、転換した。世界金融危機は、なぜマクロ経緯財額を転換させなかったのか?


 英仏防衛協力

FT January 17, 2018

Anglo-French defence co-operation marches on


 中国の最適通貨圏

FT January 17, 2018

What if China stops being an optimal currency area?

Matthew C Klein

中国は最適通貨圏ではなくなるかもしれない。通貨圏の安定性は、圏内における人の移動に集約されるからだ。

ヨーロッパに比べてアメリカの通貨同盟はよりうまく機能している。それはアメリカ人が、単一市場内で、よりより職場を求める人々の大規模な移動に寛容であるからだ。他方、中国では、成長の結果、豊かな地方政府が人に移動を規制しようとしている。それは人の移動により地域間の成長の再分配を実現してきたシステムを破壊する。

人口を各地の戸籍によって管理するシステムが自由化されるより、その期待に反して、大都市の人口に上限を課し、工場などを規制によって移転させる政策を採用している。それは都市住民の利益を守るけれど、最適通貨圏の条件を損なうだろう。

むしろ、人口移動を促し、豊かな地方から貧しい地方への財政移転を増やすべきだ。


 中国vsシリコン・バレー

FT January 18, 2018

Silicon Valley would be wise to follow China’s lead

MICHAEL MORITZ

FT January 18, 2018

Letting light through the Great Firewall of China


 従軍慰安婦合意

Bloomberg 2018118

Even a Final, Irreversible, Absolutely Done Deal Can Be Broken

By Noah Feldman


 ドル安

Bloomberg 2018118

Weaker Dollar Won’t Derail Global Growth

By Mohamed A. El-Erian

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The Economist January 6th 2018

Protests in Iran: Berating the tyrants in Tehran

Education: Pupil power

Education in Pakistan: Stepping up

Religion in South-East Asia: Escalators to heaven

Feudalism in Pakistan: Quail, Cotton, and contumacy

Protests in Iran: When frustration boils over

Italy: their generation

Turkey’s economy: Firing on all cylinders

Money-laundering in Canada: Snow-washing

Environmental economics in China: Towards a greener future

(コメント) いずれの記事も面白いです.

イラン,パキスタン,トルコ,中国,これらを眺めれば,強権指導者や非リベラル,反民主主義の体制と言いたくなりますが,その内部の軋轢やダイナミズムは大きく異なっています.たとえば,インフレーションの問題です.

イランでは,雇用が少なく,特に若者は失業に苦しんでいます.西側による経済制裁を取り除いて経済成長を高めるロウハニ大統領の方針は進展せず,貧困層への補助金が削減され,宗教組織への財政支援は増額されます.アメリカが退場した後,中東の真空にイランは積極的に影響力を拡大したように見えて,実は国内の不満が爆発したのです.

パキスタンの封建領主体制が貨幣経済のもたらすダイナミズムによって後退し,トルコではエルドアンが要求する好景気を政府と中央銀行が何もかも費やして維持しています.他方,中国の環境規制は,成長を妨げ,インフレをもたらすと懸念されましたが,そうではないらしい.

どうしてか? その説明も,面白い.

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IPEの想像力 1/22/18

イランの反政府デモ,パキスタンの封建領主,トルコの高成長とインフレ,中国の環境規制は,それぞれの政治秩序において理解しなければ,全く異なった意味を持つでしょう.

・・・「1947年の独立以来,封建制はパキスタンの発展を阻む呪いであった.かつてザミンダール(封建地主)がイギリスの支配下で力を得て,大土地を支配し,奴隷を集めて,しばしば乱暴した.奴隷たちは小作人として穀物を収め,またさまざまな労働を介して地主に奉仕した.独立したインドはそのような制度を廃止したが,パキスタンではわずかな土地改革もイスラム的でないものとして,1990年,最高裁判所で退けられた.地主たちはその経済パワーを政治にも行使し,小作人たちに地主の有利な投票を強制した.1970年には,国会議員の42%は地主であった.」

地主たちは,自ら慈悲深い父親のような権力者と見なされるのを好んだが,実際は,小作人を搾取するだけで,その教育や衛生を改善しなかった.

しかし,そのパワーは衰微している.なぜか? 今では議員の4分の1を占めるだけであり,地主たちが悩むのは権威を維持するためのバッファローや馬の維持コストである,ミルクだけなら市場で安く買える,と言う.経済構造が変化したのだ.GDPに占める農業のシェアは,1947年の53%から20%にまで低下した.急速な都市化は,南パンジャブのような土地から数百万人の労働者を流出させた.

もちろん,ずっと前から,狡猾な地主たちは興隆する産業家たちと姻戚関係を結んで変身してきた.しかし,こうした新しい富裕層の行動様式は,かつての封建領主と何も変わらない.大型車に乗り,奴隷を殴り,脱税する.それは「似非封建領主」である.

・・・中国は都市の大気汚染を解決すると政治的に宣言した.「より広い経済問題としてみるなら,問題は急速なコストの上昇である.世界最大の汚染国が環境規制を強化すれば,それは中国と,世界経済にとっても,潜在的なショックになる.2つの懸念をよく聞く.すなわち,成長が減速するだろう.同時に,インフレになるだろう.・・・それは『古典的なスタグフレーション』である.」

環境規制の強化は本物であり,生産コストは急速に上昇している.しかし,成長は維持されている.その影響がほとんど見えないことは驚きだ.その理由は3つある.1.鉄鋼や石炭が経済に占める割合は低下した.製造業は縮小しても,職を失った400万人がサービス部門の強い労働需要によって吸収された.2.石炭や鉄鋼の価格上昇は1度だけの調整であり,スパイラルを生じていない.そのコスト上昇は経済全体に分散される.さらに金属・鉱山部門は重債務に苦しんでいたが,価格の上昇はバランス・シートを改善し,中国の金融リスクを緩和した.3.環境規制で生まれた新しいビジネスが急速に拡大している.中国は,世界の電気自動車生産の5分の2を占める.

なぜ中国政府はこれほど環境規制を強化し続けたのか? その苦痛には地理的な不均等さがある.大気汚染の源となる工場は北部に多い.地方政府に任せる限り,彼らが規制を強化することはなかっただろう.しかし,中国経済全体では利益がある.グリーン成長モデルには,苦痛もあるが,配当もあった,ということだ.

しかし,もし大都市の住民が生活の快適さを優先して,出稼ぎ労働者への社会保障や教育サービスへのアクセスを拒み,労働者の大規模な移動にある再分配を制限するなら,中国は人民元の最適通貨圏ではなくなるだろう,という論説もあります.人民元は,ドルよりもユーロ圏に近くなるのです.

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