IPEの果樹園2017

今週のReview

5/22-27

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保守党と労働党のマニフェスト ・・・ネット犯罪とセキュリティ ・・・一帯一路 ・・・マクロン大統領のEU ・・・トランプとエルドアン ・・・7歳児の大統領 ・・・新ヤルタ会談 ・・・アフリカの緑の革命 ・・・ポピュリズムの拡大 ・・・アフガニスタン増派 ・・・台湾の防衛政策

 [長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]


 保守党と労働党のマニフェスト

FT May 13, 2017

How Jeremy Corbyn’s Labour party is planning for opposition

Philip Stephens

テリーザ・メイは、Brexit交渉を闘うために「強力かつ安定した」指導力を求める大義の旗を振る。ジェレミー・コービンは財政支出の増額と国有化の波を約束している。総選挙をパロディにするのはいつものことだが、一方は勝利の大きさだけを気にして、他方は敗北の結果ばかり論争している、というのは珍しい。

階級闘争の戦士であるコービンにとっては、選挙が敗北することは間違いないから、労働党の指導権を確保することだけが重要だ。コービンの支持者の多くが、あらゆる証拠を無視して、自分たちが勝利すると信じていることは異様である。左派のポピュリズムを選挙公約に書くことと、これまでの選挙を示すように、有権者が拒んだことを翻すこととは、全く別問題だ。彼らは権力を握ることより、自分たちのイデオロギー的な純粋さを維持することが主要な関心であるらしい。

コービンと左派は選挙に敗北するしかない。しかし、労働党が分裂しない限り、コービンを支持する活動家たちは生き残る。

The Guardian, Tuesday 16 May 2017

Labour’s manifesto is a template for the struggling left worldwide

Owen Jones

求む!:中道左派の説得的なビジョン。経済に投資し、不可欠のサービスを更新し、富裕な人々にもっと税を支払ってもらう。電車でもFree wi-fiを利用できる、というのはボーナスだ。だれか私の広告に応えてほしい。

今日、労働党のマニフェストが出た。重要問題に対する、穏健で、常識を踏まえたものだ。この世界で最も豊かな諸国の1つであるイギリスが、西側世界に共通する社会民主主義のアイデンティティとビジョンの危機に対抗する。

マニフェストはイギリスの失敗したモデルに対する答えを示す。現在のモデルは、不正義であるだけでなく、不合理である。富が少数者の手に集中している。最も裕福な1000人のイギリス人は、過去1年で資産を14%も増やした。他方、賃金は最長の縮小期にある。必要な住宅が建てられていない。多くのコミュニティが、安定して、報酬の良い、熟練職がない。働いても貧しい人々が多い。多国籍企業はわずかな税金しか払わず、あるいは、まったく支払わないのに、零細企業は納税に苦しむ。

国民にとって何より貴重な健康保険システムが危機にある。若い世代は債務に苦しんでいる。公共料金も私企業の利潤のために、利用者の必要より短期の利益が重視されている。これが世界で最も裕福な諸国の1つである。富や資源がないのではなく、政治的な意志がないのだ。

ギリシャやフランス、スペインやオランダ、どこの社会民主主義政党も、支持者を大幅に失い、崩壊しつつある。グローバリゼーションの時代、経済混乱の時代に、明確なビジョンを欠いているのだ。

Bloomberg 2017516

The British Labour Party's Zombie Manifesto

By The Editors

もし1974年なら、労働党のマニフェストに驚くこともないだろう。しかし、2017年に、再国有化、増税、高額給与の制限、その他、ラディカルな社会主義政策を並べるのは、時代錯誤であるだけでなく、現実無視である。痛ましいほどに的外れだ。Brexit交渉が迫っているのに、UKを、経済の機能不全の時代、最も脆弱な時代に戻すものだ。

The Guardian, Thursday 18 May 2017

The Guardian view on Theresa May’s manifesto: a new Toryism

Editorial

テリーザ・メイのマニフェストは、この国を運営する計画というより、保守党を再編する彼女の計画だ。その内容は保守党員の多くに異様なものだろう。彼らにとって保守党とは、国家のスリム化と自分優先のサッチャリズムであったはずだ。しかしメイは、「利己的な個人主義の狂信」を拒否する、と言う。彼女の党は、「際限のない自由市場」を、今や、信じていない、と。これがどれほど大きな飛躍か、考えてみることだ。最近まで保守党は、物質的な個人主義のムードを広め、イギリスの状況を作り変えてきたのだ。

多くの点で、メイは政治的論調に逆らわず、それに同調しているだけだ。古典的な自由党はこの選挙に参加していない。労働党も自由民主党もより左に転換した。メイは、政権から「リベラリズム」の痕跡を消したがっているにすぎない。有権者には反市場のムード、経済的正義と社会的合意を求める文化的変化が満ちている。

しかし、40年間の市場自由化と手を切る試みは、Brexit、さらに自由貿易条約、シティへの優遇策によって簡単に葬られる。彼女の思想は、イギリスが単独でできることについての非現実的期待を高める、ナショナリスティックな反応に依拠するものだ。その最も強力な推進力は、イギリスは内外の敵から攻撃されている、という間違った認識である。

FT May 19, 2017

Theresa May delivers a manifesto for Middle England

メイのマニフェストは、中道派を取り込む恥じることのない計略だ。

それはBrexitを選んだ国民投票が示す社会的分断、政治家たちへの失望を受けた対応であるが、同時に、野党である労働党が強硬左派の党首に握られたことを、旧来の労働者層に支持を拡大するチャンスと見たのだ。

圧倒的な多数の議席を奪うことは、党内の離脱強硬派を抑え、現実的なBrexit交渉を進めるためにも重要だ。しかし、メイは実質的な白紙委任を求めている。自分で掲げた移民の制限目標は間違っており、それを達成するために、彼女が改善すると願う労働者の生活状態を悪化させるだろう。サッチャー時代に築いたグローバル・ハブとしての経済成果にも反する結果になる。


 ネット犯罪とセキュリティ

NYT MAY 13, 2017

The World Is Getting Hacked. Why Don’t We Do More to Stop It?

Zeynep Tufekci

The Guardian, Sunday 14 May 2017

The Guardian view on securing the internet: collective action needed

Editorial

コンピューターのソフトウェアは複雑で難しい。中立的なプログラムでも、そのプログラマーをすべてたどることはできないし、それを理解することは難しい。連結性は、われわれを脆弱にし、同時に、経済を緊密に統合化する。われわれはこの世界に大きく依存して暮らしている。

NHS(イギリス国民健康保険)攻撃は、国際的な無法状態の増大するパターンの一部である。それは、インターネット文化の初期にリバタリアンが抱いた夢の行き過ぎた楽観を否定するものだ。実際、現れつつあるのは、一種の封建システムだ。そこでは、個人だけでなく、強力な企業、銀行、政府機関でさえ、サイバースペースで活動する限り、そのソフトウェアの弱点を通して窃盗や身代金要求に遭う危険から、MicrosoftGoogleなど、巨大組織に守ってもらう、武器を持たない農民でしかないのだ。この死活的な保護と交換に、彼らはわれわれのヴァーチャルな生命を所有する。次の攻撃があるのは確実であり、あらゆる方法で守らねばならない。

これはNHSを襲った最初のランサムウェアではないし、最後でもない。政府は、病院の衛生状態と同じように、デジタル・セキュリティーを重視しなければならない。しかし、長期的には、デジタル封建社会を民主的に管理する必要がある。

FT May 15, 2017

Silicon Valley has too much power

Rana Foroohar

先週、クレジットカードの請求が来て、私は驚いた。私が知らないApp storeから909ドルも請求されていたのだ。最初、これはハッキングと思った。しかし、その後、10歳の息子がヴァーチャル・フットボール選手とオンライン・ゲームをした料金だとわかった。

StanfordPersuasive Tech Labを卒業した、元グーグルのTristan Harrisは、Big Techの権力に反対する伝道師になっている。彼によれば、こうしたケースは珍しくない。われわれは最大級のハイテク企業、すなわちGoogleからFacebookまで, 彼らの利益が、消費者の利益と一致する、とは言えなくなる限界に達しているのだ。

「文化や政治が逆立ちして、エゴによって動かされるようになっていることには理由がある。」 と彼は言う。「これらの企業で働くエンジニアの軍団は、あなたたちがより多くのお金と時間をオンラインに費やすよう仕向けている。」

ヴェンチャー資本家のRoger McNameeは、FacebookAmazonGoogleの初期の投資にも参加したが、同様に、闘うことを宣言した。Big Techは個人にデータの追跡を許したり、拒んだりできるように、また、規制当局が「高度に操作される、高度に中毒となりやすい技術」に介入するように、求めている。

過去数十年間にいくつかの産業で集中が進んだが、特にハイテク企業がそうだった。検索エンジンの広告ではGoogleが市場シェアの88%を占め、モバイル端末のメディアではFacebook70%以上を支配し、e-bookの販売ではAmazon70%を支配している。

こうした支配的企業は、オンライン・ネットワークにより、新興企業よりもはるかに強力に利用者を取り込んでしまう。自動化が進めば、たとえば、自動運転の車や、NHS(国民保険システム)をGoogleが動かすようになれば、そのデータと支配力はさらに飛躍的に増大する。

1890年に、シャーマン反トラスト法が成立したとき、その原点は、政治的なパワーを制限する、ということだった。特に沿岸部の裕福な企業や人々がすべての者を、あらゆることを支配するパワーを制限したのだ。それは今でも、シリコン・ヴァレー、ウォール・ストリート、巨大製薬会社が最大の政治ロビー活動に対する資金提供者であることから、われわれになじみ深い問題である。

FP MAY 15, 2017

The United States Is Not Ready for a Cyber-Pearl Harbor

BY JAMES STAVRIDIS

NYT MAY 16, 2017

Focus Turns to North Korea Sleeper Cells as Possible Culprits in Cyberattack

By CHOE SANG-HUN and PAUL MOZUR


 一帯一路

NYT MAY 13, 2017

Villagers in Myanmar Describe the Destructive Power of China’s Building Frenzy

By CAROL GIACOMO

習近平主席が提唱した最大のギャンブルである「一帯一路One Belt, One RoadOBOR)」とは、中国とヨーロッパやアフリカを含む世界とを結びつける、パイプライン、港、鉄道、自動車道、その他の事業に対する投資計画である。

ミャンマー西部の沿岸に絶望的なほど貧しいRakhine Stateがあり、その町Kyaukphyuがこの巨大な建設計画に入る前から注目されている。バラ色の約束は守られず、資源と利益に殺到する中で、汚職がはびこり、農民たちの権利は踏みにじられている。

さらに小さな貧しむらから惨状を訴えるために来た5人の農民たちから、私は直接に話を聞いた。中国の国有企業であるthe China National Petroleum Corporationとミャンマー政府との合同事業である石油・天然ガスのパイプライン建設は、中国からミャンマーを通って、ベンガル湾沿いのKyaukphyuにまで至る。

中国人は村の貯水ダムとそれを維持するマングローブの森を壊した。農地は塩を含む洪水に覆われ、灌漑のための川にも影響した。農民たちは収穫量が半分になって、家族を養うのも難しい。米俵を運ぶなどの臨時雇いをするしかない。住民の委員会はダムの修復を求めているが、その要請は州や地方政府の官僚の間でたらい回しにされている。

環境被害は無視されるか、隠されている。貧しい村にもたらされる大きな豊かさ、そして、50万人の新規雇用という約束は、嘘であった。ミャンマーの開発に中国は以前からかかわっているが、国民に嫌われた軍事政権を支援したことも含めて、多くのビルマ人が中国に敵意を持っている。彼らは巨大な隣国の市場に輸出する必要があることを知っている。日本企業のプロジェクトもあるが、彼らは住民の不満に応えている。

ミャンマーの人々は、こうした中国の態度が変わるとは思っていない。

NYT MAY 13, 2017

Behind China’s $1 Trillion Plan to Shake Up the Economic Order

By JANE PERLEZ and YUFAN HUANG

ジャングルに覆われたラオスの山脈を数知れないトンネルや橋梁によって260マイルの鉄道を敷設する中国人の技術集団がいる。それはアジアの8か国をつなぐ60億ドルのプロジェクトだ。

中国の資金は慢性的な電力不足に苦しむパキスタンの発電所建設にも注がれる。

習近平が推進する「一帯一路」は、1兆ドル以上を投資して、60か国以上にインフラ建設を約束するものだ。中国の富とノウハウで新しいグローバリゼーションを展開し、より多くの国と企業を中国の軌道に取り込む。

FT May 14, 2017

One Belt, One Road — and many questions

YaleGlobal, Tuesday, May 16, 2017

ASEAN Summit’s China Tilt Portends a New World Order

June Teufel Dreyer

Bloomberg 2017517

Can China Afford Its Belt and Road?

By Christopher Balding

NYT MAY 18, 2017

China’s Trillion-Dollar Foreign Policy

By THE EDITORIAL BOARD


 カナダへの移住

NYT MAY 13, 2017

For Liberals, Is It Time to Move to Norway?

By LEE SIEGEL

共和党の大統領が当選したら、リベラルな人々はカナダやヨーロッパに移住することを考えたものだ。しかし、トランプはさらにひどい。トランプはパンドラの箱を開けて、この何十年かアメリカに沸騰していた反民主主義の力を解放したのだ。

アメリカはこれほどひどいところではなかった。こんなまま怒りに満ちたアメリカを棄てて、ノルウェーに移住することを私はやめた。逃避するより、素晴らしいアメリカを取り戻したい。

VOX 17 May 2017

The immigrants who made America

Sandra Sequeira, Nathan Nunn, Nancy Qian


 マクロン大統領のEU

FT May 14, 2017

Europe’s new political divisions

Tony Barber

若いマクロン大統領の登場をEUとフランスがよみがえったと祝う声が起きている。しかし、すべてのEU加盟諸国が同じ反応を示したわけではない。中欧や東欧では沈黙に近く、西の旧加盟諸国と東の新加盟諸国とは著しい対照を示した。

明確な分断線があるわけではない。しかし、国益、価値観、将来への展望は、大陸の半分が互いに反対を向いており、長期的に、EUの統一を脅かす。

EU内の反対派のNo.1は、2010年にハンガリー首相となったオルバンViktor Orbanだ。彼の裁判所、メディア、研究者、市民社会に関する政策は、ブリュッセルで批判されている。

Albania, Macedonia, Serbiaなど、バルカン諸国のEU加盟問題も懸念されている。多くの問題を解決するまでには時間がかかるだろう。暴力的なエスニック紛争、政治の不安定性、国家機構の弱さ、経済の脆さ、汚職や組織犯罪の蔓延。地域全体が経済停滞と民主主義の崩壊に瀕しており、ユーゴスラビア内戦が再燃する恐れがある。

EU内の反対派No.2は、ポーランドの元首相で、与党Law and Justice partyの指導者Jaroslaw Kaczynskiである。彼の政治観は、伝統的なカソリックの価値、EUへの懐疑、ドイツとロシアに対する不信感、である。

他方、エストニアの大統領Kersti Kaljulaidは、7月に、6か月ごとのローテーションでEU議長となるが、旧ソ連圏で最も熱烈にEUの統一と東欧への拡大を成功とみなす指導者である。エストニアの独立と繁栄にとって、EUNATOは不可欠の条件だ。

マクロンは全EUの反民主的行動に対して懲罰する姿勢を示しており、ポーランドやハンガリーと対立する。それはベルギーやドイツに共通する東への強い不満を表している。しかし、マクロンの主張はBrexitに続く離脱の呼びかけを各地で刺激し、また、ユーロ圏の単一財務省を目指すことも幻想だ、と批判されている。

EU2層化が懸念される。バルカン諸国に向けたEU拡大の新しい動きがある。そこはハプスブルクとオスマンとが激しく対立した土地である。セルビアの強硬派Aleksandar Vucicは、ロシアに対する明確な批判を表明して、大統領に当選した。EUは彼を支援しようとしている。

アルバニア首相Edi Ramaと、戦士からコソボ大統領となったHashim Thaciは、コソボの再生とEU加盟が失敗すれば、‘Greater Albania’大アルバニアの再興を唱える政治運動が強まると警告する。それは、コソボ介入以来、西側諸国が描いてきたバルカン諸国の安定化構想を、完全に否定するものだ。

SPIEGEL ONLINE 05/15/2017

Frenemy in the Making?

Merkel Views Macron with Skepticism and Hope

By Peter Müller, Ralf Neukirch, René Pfister, Michael Sauga and Christoph Schult

Project Syndicate MAY 15, 2017

Germany Will Lose if Macron Fails

HANS-HELMUT KOTZ

マクロンが当選したとき、多くのドイツ人は安堵のため息をついた。しかしナショナリストの脅威を真に封じ込めるには、多くの有権者がEUを拒否する理由となった経済的課題にドイツは応えねばならない。

しかし、マクロンの唱えるEU改革、ユーロ圏の連邦化をドイツは拒むだろう。ドイツの政策担当者たちから見れば、マクロンはフランスの景気刺激策をドイツの黒字で行おうとしているにすぎない。ドイツには経常黒字が蓄積しており、もっと内需を拡大せよ、というわけだ。

ドイツ人はそのような主張を何度も聞いた。欧州委員会やIMFもそう求めた。しかし、ドイツ政府がすべて拒否したのだ。ドイツのエコノミストや政府職員にとって、経常収支不均衡とは構造改革の問題だ。ドイツ国民は、自国の黒字をドイツ企業の競争力が高いことに結び付けて考える。

確かに、ドイツはフランスの改革に協力しなければならない。フランスの失敗はドイツに及ぶからだ。今、マクロンはシュレーダーの改革を実行するときである。

Project Syndicate MAY 15, 2017

Congratulations, President Macron – Now We Oppose You

YANIS VAROUFAKIS

NYT MAY 15, 2017

The Fertile Ground of French Communism

Marc Lazar

FP MAY 15, 2017

France’s Europhile-in-Chief Is About to Meet a Berlin Wall

BY PAUL HOCKENOS

FT May 16, 2017

Emmanuel Macron’s grand Franco-German bargain

Janan Ganesh

マクロンがドイツとの関係を再建する計画が成功すれば、イギリスの伝統的な大陸分断戦略も観直すべきだろう。

FT May 16, 2017

Emmanuel Macron and the battle for the eurozone

Martin Wolf

NYT MAY 16, 2017

Speak Up for Europe and Win

By GUY VERHOFSTADT


 トランプとエルドアン

FT May 15, 2017

Donald Trump, Recep Tayyip Erdogan and how democracies die

Gideon Rachman

火曜日に会談するアメリカとトルコの大統領、トランプとエルドアンは、互いに多くの性格を共有していることを知るだろう。自国の偉大さを取り戻すと唱え、政府をファミリー・ビジネスに変え、義理の息子に依存し、都市エリートの軽蔑を受け、大都市の外の住民から強い支持を受けている。官僚たちが彼らに対する謀反を企てている、と主張する。

特にアメリカ国民を不安にする類似性は、2人がメディアと司法を攻撃する姿勢だ。しかし、トルコを専制国家に導く長い過程を推進したエルドアンと、アメリカの大統領たちとの間には、決定的な違いもある。トルコの大統領がメディアと司法を弾圧したやり方は、アメリカでは不可能だ。

トランプは、彼を不快にしたテレビの司会者を非難しただけだが、エルドアンは、約120人のジャーナリストを投獄した。トランプがFBIのコニー長官を解任したとき、また以前、検事総長代理や、ニューヨークの検察官も解任したが、エルドアンは、昨年の夏以降、非常事態を宣言して、4000人以上の判事と検察官を解雇した。

これらの違いは、2つの結論を導く。第1に、アメリカ人は安心するだろうが、指導者の個性よりシステムの性格が重要である。トランプには専制君主の性格があるけれど、アメリカのチェック・アンド・バランスのシステムと民主主義の伝統は彼の最悪の性向が発揮させるのを許さない。しかし、トルコの歴史には軍事クーデタと民主主義の断絶が何度もあり、システムを弱めた。

2の結論は、アメリカ人を不安にするものだ。すなわち。十分な時間をかければ、どのような民主的システムも、それを破壊すると決意した専制支配者の攻撃に対して脆弱である。エルドアンは2003年に首相となり、その後、国家を完全に変質させた。あるトルコの知識人は、「かつて不可能と思ったことが、今では毎日起きている」と語った。

エルドアンは、トランプのアメリカに対する警鐘だ。トルコの政党政治は、常に、エルドアンを支持する固い政治基盤によって、彼の行動を正当化した。また、エルドアンは、テロの脅威を政敵の打倒に利用した。特に、クーデタが失敗した後、非常事態を宣言し、法の執行を停止した。そして、軍、メディア、司法、学会における国家の敵を追放する、と主張した。いずれもアメリカでは不可能だ。しかし、大規模なテロが起きた場合、トランプは同じことをするかもしれない。

よく似た性格の2人がワシントンで会談することは、親しい関係を築く機会であるが、地政学的な衝突を議論することにもなる。会談の前に、ペンタゴンは、シリアにおけるクルド人部隊への軍備供給を発表したからだ。トルコはクルド人部隊をテロリストとみなして戦っている。

トランプは強権的な指導者との政治取引を好む。習近平と北朝鮮を議論した。フィリピンのドゥテルテも招待した。トランプとエルドアンがどのような地政学的取引をするにせよ、2人が国内政治に関して相談しないことを、アメリカ国民は願う。

FP MAY 15, 2017

Trump and Erdogan Need to Discuss Some Hard Truths

BY AMANDA SLOAT


 ハイテク時代のフロンティア

FT May 15, 2017

Technology is the tool to spur a healthcare revolution

John Thornhill

医療費のコストがますます増大する高齢化社会で、その対策として、よりスマートで安全な技術に投資するほか道はない。医療においても、他の産業分野で起きたように、生産性革命や消費者革命が求められる。

医療保険システムは、これまで、結果よりもインプットに多くの焦点を向けてきた。もっと患者の要求に関心を持つべきだ。新しいグローバルな議論で唱えられている課題は、予防、正確さ、個人への適切さ、である。

センサー、スマートフォン、データ分析、など、オンラインのサービスが広がりつつある。人々はもっと自分の健康や病気に責任を持ち、システムの無駄を省いて効率化を促す。より個人に適切な治療を求めるだろう。

ヨーロッパではプライヴァシーが限界となって医療データが集まらない。技術の成果を享受するには、十分なデータを集積することだ。

Project Syndicate MAY 16, 2017

Do You Want to Be a Cyborg?

AGATA SAGAN and PETER SINGER

Teslaを設立したことで有名なElon Muskだが、火星に居住する計画を進めるSpaceXや、頭脳を直接にコンピューターによって拡張するNeuralinkの企業設立でも指導的な役割を果たす。

サイボーグになる技術開発も、医療行為になるかもしれない。

FT May 17, 2017

Never mind the robots; future jobs demand human skills

Sarah O'Connor

FT May 17, 2017

Insurance: Robots learn the business of covering risk

Oliver Ralph


 南アフリカ

FP MAY 15, 2017

This Is What Happens When a Family of Business Moguls Takes Over a Country

BY ERIN CONWAY-SMITH


 7歳児の大統領

NYT MAY 15, 2017

When the World Is Led by a Child

David Brooks

トランプは,ホワイトハウスに入ってからいくつかのインタビューを通して,権威主義的支配者,腐ったニクソン,怒り狂うポピュリスト,大企業のコーポラティストではなく,彼が子供っぽい大人であることを示した.

未熟さがホワイトハウスを支配し,自制のある目標など示せない.

1に,トランプはじっと座っていることができない.7歳の子どもだ.

2に,トランプは,自分に対する評価ができない.彼は,医療保険制度も,航空力学も,すべてのことを理解した,という.あまりにも無能で,自分の無能さが理解できないのだ.

3に,トランプは,他人が何を考えているか,認識できない.

NYT MAY 16, 2017

The 25th Amendment Solution for Removing Trump

Ross Douthat

FT May 17, 2017

Paralysis grips Republicans over Donald Trump

Edward Luce

Project Syndicate MAY 17, 2017

Trump’s Strongman Weakness

ARYEH NEIER

FT May 18, 2017

Trump’s failures risk a constitutional crisis

Project Syndicate MAY 18, 2017

The White House Crack-Up

ELIZABETH DREW

NYT MAY 18, 2017

Forget Watergate. Think Iran-Contra.

By JOHN YOO

FP MAY 18, 2017

Robert Mueller Could Be Donald Trump’s Worst Nightmare

BY ELIAS GROLL


 Brexit

Project Syndicate MAY 16, 2017

Brexit or Breakup?

CARL BILDT

Bloomberg 2017517

Brexit Can Now Be Quicker But Harder

By Leonid Bershidsky


(後半へ続く)