IPEの果樹園2016

今週のReview

8/1-6

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習近平体制の遺産 ・・・Brexitはどうなる? ・・・トランプ指名共和党大会 ・・・TPP ・・・ドルと人民元 ・・・世界銀行とポール・ローマー ・・・ヒラリー・クリントン ・・・プーチンのアメリカ大統領選挙介入 ・・・日本の財政刺激・金融緩和 ・・・マイナス金利とヘリコプター・マネー ・・・南シナ海とASEAN ・・・ユーロの失敗

 [長いReview]

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主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]


l  習近平体制の遺産

FP JULY 21, 2016

How to Explain Xi Jinping’s Mounting Foreign-Policy Failures

BY ROBERT A. MANNING, JAMES PRZYSTUP

習近平の中国は、一連の外交における重大な失策を犯した。

ハーグの常設仲裁裁判所は、中国による南シナ海の「九断線」を明確に否定した。岩礁や環礁に関する領有権紛争に関しても、中国の主権を認めなかった。

韓国は、北朝鮮のミサイル攻撃に対して、アメリカ軍から防衛システムTHAADを配備することに決めた。それは中国が強く拒んでいたものだ。さらに、アメリカ・日本・韓国の戦略的な協力関係を強化することも意味し、中国にとって長い間、回避すべき悪夢とみなされていた。

その背景には、中国が北朝鮮の核開発とミサイル実験を抑制できないことがある。北京はミサイル発射をやめさせるため、わざわざ特使を送って説得したが、北朝鮮は無視した。

尖閣諸島に関しても、中国は日米安保体制を揺さぶり、分断することを狙った。しかし、オバマは訪日時に、尖閣諸島をアメリカが防衛することを明確にした。これに応じて、日本政府も地域安全保障に積極的な協力を行う姿勢を示した。自衛隊の艦艇は、フィリピンのスービック湾、ベトナムのカムラン湾、オーストラリアのシドニー・ハーバーに派遣された。日本は憲法改正にも手を付ける条件を整えた。

中国政府は、ASEANが南シナ海の紛争に関する言及を声明に含めないように説得してきた。しかし、中国の攻撃的な行動の結果、オーストラリア、日本、アメリカ、そして地域の海洋諸国が、前例のない協力関係を築くに至った。

EUWTOが中国を「市場経済」として認めることを拒否した。またEUやアメリカは、中国における鉄鋼の過剰生産とダンピング輸出に対抗するため、関税を導入した。

中国の産業政策は、それまで中国に好意的であったアメリカの実業界、特に、IT業界にも失望を生んだ。

習近平が、オバマのアジアを重視した新しい外交、アジア旋回に対抗して、効果的な外交を展開する能力は、否定された。この失策は、2008-09年の金融危機によって、中国の分析官たちがアメリカの時代は終わったと早計に結論したことがある。地理的な有利を持つ中国は、この機会に、経済だけでなく、積極的な影響力の拡大を図ったのだ。その前提は間違っていた。

FT July 25, 2016

Xi’s China: The rise of party politics

Tom Mitchell

FT July 26, 2016

Xi’s China: Command and control

Charles Clover

FT July 28, 2016

After the power plays, Xi must now reform

2012年後半に習近平が共産党の頂点に立ったとき、ほとんどの人は彼がそれまでにしてきたことを続けると思った。合意形成型の指導体制、有能な経済管理、漸進的な政治の自由化、である。彼はこれらの期待をすべて否定した。

最初から大統領型の政府であったが、汚職撲滅キャンペーンをテコに、劇的な権力の集中を進めた。新しい秩序に反対する政敵を倒し、誕生してもまだ脆弱な市民社会において、反体制派を弾圧し、表現の自由を認めなかった。

他方で、習は経済改革には驚くほど逡巡した。成長が減速し、旧経済モデルが時代遅れであることを認め、2013年後半には340もの改革を掲げていた。しかし、改革は始まらず、詳しく見れば互いに矛盾したものだった。

彼の体制が始まったとき、西側の政治家やビジネスマンは、その権力集中を改革のために必要と考えて、好意的に見ていた。しかし、昨年の株価下落に対する救済策と混乱、人民元の切下げ、改革の明らかな後退は、投資家たちを幻滅させた。

今、中国にとって最も重要なことは、彼が手にした強大な権力で何をするのか、ということだ。政府はすでに、過去数十年間の目覚ましい成長を実現した投資の動員やインフラ建設が、もはや経済運営として不十分であることを認めている。万里の長城、大運河から、最近の上海、北京、深圳に見られる高層ビル群まで、すべて権威主義的な中央計画型政府の歴史を示したものだ。

しかし、習が求めている成長はそうではない。環境にやさしく、技術革新に優れた、サービスと消費を重視する成長モデルである。それは指令経済の生産目標では実現できない。市民的な自由、権威への挑戦、強固な法の支配、消費者保護、知的所有権、そして、危ういナショナリズムに頼らず、市民権を政府が強く擁護することだ。

こうした方針は、ソ連崩壊を詳しく研究し、その致命的な失敗は政治改革や「西側の」思想を取り入れたことだ、と結論付けた指導者にとって受け入れがたいことだろう。世界には、イギリスのBrexitから、アメリカのトランプまで、民主主義の顕著な混乱を示す例があふれている。

しかし、経済成長と長期的な政治的安定性のためには、司法の独立と、政治におけるチェック・アンド・バランスを増やす制度改革を、共産党は徐々に進めるべきだ。習が嫌う「民主主義」という言葉を使わずに、「中国国民の偉大な若返り」と呼ぶことで改革を推進できるなら、それこそ彼の最大の遺産となるだろう。

FT July 27, 2016

Xi’s China: Smothering dissent

Tom Mitchell


l  移民・難民危機

The Guardian, Friday 22 July 2016

The attacks in France show that its colonial past endures

Natalie Nougayrède

FP JULY 22, 2016

The Immigration Crisis Is Tearing Europe Apart

BY BRUCE STOKES

FT July 26, 2016

So far, Germany is reacting to the attacks with calm

Daniela Schwarzer

DER SPIEGEL July 25, 2016

Apocalypse Now: A Year of Crises, Shocks and Fears of Terror

By Mathieu von Rohr

The Guardian, Wednesday 27 July 2016

The Guardian view on terror in Europe: the search for a political answer

Editorial

FP JULY 27, 2016

The End of German Exceptionalism

BY YASCHA MOUNK

NYT JULY 28, 2016

Germany, Caught Between Two Violent Extremes

Anna Sauerbrey


l  Brexitはどうなる?

FT July 22, 2016

Brexit: what Britain can learn from Norway

Karen Helene Ulltveit-Moe

FT July 22, 2016

Theresa May needs to take shareholders with her

Philip Augar

FT July 23, 2016

Brexit fears of market contagion look overdone

FT July 24, 2016

Brexit: London can safeguard its global city status

Saskia Sassen

Brexitで、ロンドンはどうなるか? それは、香港が中国に返還されたときの金融センターの変化から学ぶべきだろう。

都市との関係は、企業と市場とでは大きく異なる。企業は、税制や雇用法の違いで、1つのグローバル・シティから別のグローバル・シティへ、容易に移動する。しかし市場は、特に、戦略的な機能をともなう市場は、その全体が移動することは非常に困難だ。ロンドンにはそのような市場がある。

北京は、上海を中国の主要な金融センターにするつもりだった。それには香港の市場を上海に移せばよい、と。しかし、そのようなことは起きなかった。香港が、今もなお、中国で最強の、国際的な金融センターである。上海は金融センターとして成長したが、国内投資家に偏っている。

ロンドンがEUから離脱しても、確かにユーロの清算機能などは移転するかもしれないが、より複雑な機能の市場は残るだろう。それは非常に特別なタイプの企業やスキルを組み合わせたものに依拠しているからだ。高度にネットワーク化された機能であって、個々の企業が満たすことはできない。1960年代や70年代には、超巨大企業がすべての経済を支配する、と思われたが、そうではなかった。

グローバル・シティは、企業・銀行本社の機能と同じではない。1980年代から進んだグローバリゼーションとは、戦略的な中間部門が登場したことだ。それらは金融、法務、会計、デジタル技術の革新的な機能を果たす。20か国や30か国で活動する企業は、個々の国においてスタッフを雇用するのではなく、こうした市場に依拠して活動している。グローバル化した経済は、かつてない水準で、こうした仲介市場の重要性を高めており、金融センターもシリコン・ヴァレーも、そのような機能を果たしている。

それゆえ、1990年代になってグローバル・シティは増え続けている。すでに100以上に達するが、新しい機能を発明し、新しい市場を開拓するだろう。グローバル・シティの機能が発達するには時間がかかり、複雑で、多面的だ。世界が単一のグローバル金融センターに支配される、と1980年代後半には思われた。しかし、私はそう思わなかった。非常に異なった、特化した機能を持つグローバル・シティが増え続けている。

FT July 27, 2016

The Bank of England’s response to Brexit

Chris Giles

Project Syndicate JUL 27, 2016

Reversing Brexit

ANATOLE KALETSKY

イギリスがEU離脱を決めたことで、ヨーロッパの指導者たちは、他も国がEUやユーロ圏から離脱することを心配している。現在、注目されているのはイタリアだ。

イギリスの国民投票は、EUの分断を扱う政治力学を大きく変えた。それまではファシストや極左派の幻想として、不可能なはずであった離脱が、現実に行えることを示したからだ。もしイギリスが離脱すれば、同じような主張の離脱派が各国で要求を実現しようとするのは止められない。

妖精を瓶に閉じ込めておくべきだ。

残念ながら、EU指導部は間違った戦略をとっている。フランスはバッド・コップとしてイギリスに離脱を急がせ、ドイツはグッド・コップとして移民を受け入れるなら単一市場への参加を認める、と話しかけている。

離脱の条件ではなく、イギリスの有権者が残留する条件を交渉するべきだ。それは民主的な改革の能力を示すことであり、民衆の不満に応じて政策やアイデアを変えるのだ。

また移民管理に関する強硬な姿勢を主張してきたイギリスのメイ首相は、EUや世界との自由貿易協定に傾いている。それは金融街や企業の利益を否定するものだ。有権者たちは、国民投票後のショックが、離脱派の訴えたような穏やかなものではないことを知った。移民管理より単一市場の方を優先するだろう。

メイ首相は、イギリスの進路には2つの道しかない、と示すべきだ。1つは、単一市場を諦めるか、新しい条件で第2の国民投票を行うか。この姿勢は、EU指導者たちに譲歩や改革姿勢を示す多くの余地を与える。そして、改革の推進がEU諸国の中で強まる離脱派の動きを抑えるだろう。

こうした柔軟な交渉を妨げているのは、EUの官僚制度である。ソビエト連邦も、カソリック境界も、硬直的な官僚制度によって崩壊した。


l  エルドアン体制

SPIEGEL ONLINE 07/22/2016

Erdogan's Putsch

Turkey's Post-Coup Slide into Dictatorship

By SPIEGEL Staff

Project Syndicate JUL 22, 2016

The Strange Death of Turkish Secularism

SHLOMO AVINERI

NYT JULY 22, 2016

Who Was Behind the Coup Attempt in Turkey?

Mustafa Akyol

Bloomberg JULY 22, 2016

Erdogan Will Need to Liberalize Turkey to Survive

Leonid Bershidsky

NYT JULY 24, 2016

The Coup Leader Must Be Held Accountable

By IBRAHIM KALINJULY 24, 2016

FT July 26, 2016

The fate of Turkey lies in Erdogan’s hands

David Gardner

NYT JULY 25, 2016

Fethullah Gulen: I Condemn All Threats to Turkey’s Democracy

By FETHULLAH GULEN


l  トランプ指名共和党大会

NYT JULY 22, 2016

The Dark Knight

David Brooks

NYT JULY 22, 2016

Donald Trump, the Siberian Candidate

Paul Krugman

NYT JULY 22, 2016

Make America Hate Again

Timothy Egan

アメリカには南北戦争以来の、共和国、民主主義に対する不安が高まっている。

共和党大会は暴徒の集会であった。狂気に満ち、理性を失っている。選挙戦は「法と秩序」の叫びに満たされた。それは暴徒の支配だ。その精神において、語調において、言葉において。

テロ攻撃で犠牲となった子供の母親が登場した。ヒラリー・クリントンを絞首刑にしろ、と群衆は叫ぶ。トランプは、自分が法と秩序を回復してやる、と約束する。私を信じろ、と。

破産した者、苦境にある大工や配管工、カジノ所有者が登場する。この国を豊かにする魔法を知っている、と彼は言う。

トランプを支持する代表たちは、個人としては素敵な人たちだ。しかし、集団としては、トランプの刺激する憎悪に満たされ、偏った信条に陶酔している。

Bloomberg JULY 22, 2016

Trump's Hopeless America

Megan McArdle

The Guardian, Saturday 23 July 2016

Donald Trump thinks a wall will keep out the world’s problems. It won’t

Deborah Orr

NYT JULY 23, 2016

Donald Trump’s Sham Patriotism

Frank Bruni


l  TPP

NYT JULY 22, 2016

Is China Stealing Jobs? It May Be Losing Them, Instead

By MICHAEL SCHUMAN

VOX 26 July 2016

What’s ahead for the WTO: Looking around the corner and beyond

Ricardo Meléndez-Ortiz

NYT JULY 26, 2016

Why Dropping the Trans-Pacific Partnership May Be a Bad Idea

Eduardo Porter

アメリカの指導者たちは自由貿易を信じなくなった。TPPは支持されない。

トランプを支持する白人労働者たちは、メキシコ人や中国人に憤慨している。国境の開放、自由な資本移動、市場開放について、政治家たちは話そうとしない。それはますますわれわれを苦しい経済状況に追い込むかもしれない、とコーネル大学のEswar Prasadは注意する。

NAFTAはメキシコの成長を助けたし、中国のWTO加盟は世界最大の人口を持つ国がルールに依拠した市場型民主主義に向かうのを促した。ただし、どちらの戦略もいろいろな欠点があったわけだ。メキシコは数か月後に金融危機を起こした。中国は貿易ルールを捻じ曲げ、通貨価値を操作した。

しかも、貿易自由化はブルーカラー労働者たちを苦しめた。自由化の支持者は、その受益者だけでなく、損失を強いられた人々に対する利益の再分配を強めるべきだった。

ハーヴァードのDani Rodrikは、貿易交渉が市場アクセスや金融自由化をめぐる争いになっている、という。それは、広い国民的な利益ではなく、特定産業の利益を代表する交渉になりやすい。NAFTAが環境や労働問題を取り上げたことは画期的であった。TPPもこれを継承している。

アメリカ企業と労働者の利益を守るTPPを拒むことは、自分たちの利益を損なうだろう。それだけでなく、TPPを放棄すれば、ワシントンがこの地域に対して約束してきたことの信頼性を損なう。それは日本やベトナムから見て裏切りであり、中国が喜ぶだけである。


l  ドルと人民元

FP JULY 22, 2016

How China’s ‘Currency Manipulation’ Enhances the Global Role of the U.S. Dollar

BY MICHAEL PETTIS

中国人民銀行がSDR建の債券を発行するだろう、と発表した。それは、SDRを国際取引の計算単位として重要なものにすること、長期的にはドルに代わるものとしてアメリカの覇権を終わらせ、新しいグローバルな金融秩序を築く意図を示すものだと言われている。中国は、複数通貨によるシステムを目指している、と。

それは間違いだ。人民元の台頭や、アメリカ・ドルの衰退に関する、よく知られた混乱した話は、準備通貨の役割、国際収支、というものを誤解している。北京が1990年代に取った政策は、ドルの準備通貨としての役割を強めた。

アメリカの『途方もない特権』としてドルの役割を批判する者は、ドルが世界の準備通貨であることの経済コストを知らないのだ。Brexitにおいても、安定性を求める資本がアメリカに流入し、ドル高が起きるのを耐えるしかなかった。

特権と言われるものには4つある。1.アメリカの借り入れコストが少ない。2.アメリカは所得を超えて消費できる。3.シニョレッジが得られる。4.経済安定性の保険を売ることができる。

しかし、外国からの資本流入は債務の増加を意味する。それはドル高や、経常収支、貿易収支の赤字を許容することを意味する。アメリカ以外のどの国も、これを受け入れないだろう。特権と言われている利益は、国際的な使用を拡大する諸国の通貨も同じように得ることができる。

SDRの使用を拡大する、というのは、実際には、IMFSDRを構成する通貨の保有を増やすことでしかない。それは、中国政府が直接に主要通貨に分散して準備を保有することと同じである。しかも、中国はそうしていない。ほとんどドル債券を購入しているからだ。

ドルの国際的な利用を減らすには、中国が経常収支黒字を減らし、ドル建の準備をも有しなければよい。しかし、中国政府はそれを好まず、国内高揚を減少させる重大な脅威と考えている。中国人民銀行が円建で準備を保有しようとしたとき、日本はそれを歓迎するより嫌った。革新のための投資も、発達した市場諸国ではほとんど国内貯蓄によって行っている。

特権という議論では、アメリカの貯蓄率が低すぎるから、資本流入が欠かせないのだろう、と考えている。しかし、国際収支で資本流入が多ければ、国内投資は増え、貯蓄は減少するのだ。ドルの海外における保有をアメリカ政府が(国内政策に及ぶ制約を知りながら)許容し続ける限り、それに代わる準備通貨は存在しない。SDRや中国・人民元がそれに代わるのは、中国の経済的な利益に反する。


l  テロ対策

NYT JULY 23, 2016

The Long War on Terror

By DAVID RIEFF

Project Syndicate JUL 25, 2016

Civil Society Against Terrorism

DOMINIQUE MOISI

FP JULY 26, 2016

How to Start a Clash of Civilizations

BY JAMES POULOS

FT July 28, 2016

Why France is the jihadis’ prime western target

Jonathan Fenby


FP JULY 23, 2016

Arsenal of Democracy

BY NINA JANKOWICZ


l  韓国のミサイル防衛体制

FT July 25, 2016

South Korea’s high stakes missile deployment


l  世界銀行とポール・ローマー

FT July 25, 2016

The World Bank recruits a true freethinker

ポール・ローマーPaul Romer, the New York Universityが世界銀行の主任エコノミストになる。ローマーは既存の経済学に反抗して、斬新なアイデアを導入してきた。特に、機能不全の社会に対するガバナンスの改善を、世界銀行の融資計画に盛り込むことが予想される。

1980年代、90年代、多くの発展途上諸国が財政赤字や経常収支赤字に対する是正策を求められ、世界銀行は「構造調整融資」を行った。主に、民営化、規制緩和、市場のゆがみを取り除く改革だ。そして巨額の物的インフラ投資を助けた。

しかし、最近は、ますます資本市場がこうした世界銀行の役割に代わるようになっている。これに対して世界銀行は、「ナレッジ・バンク」へと進化し、資金だけでなくアイデアを移転する支援機関になろうとしている。

ローマーはこうした商品を持っているのだ。「内生的成長理論」や「チャーター・シティ」のアイデアは、実現困難であることは問題だが、その実験は始まっている。中国の輸出特区が成功したことは顕著な例かもしれないが、他方で、ホンジュラスのチャーター・シティからは、その条件に反対して、参加しなかった。


l  ヒラリー・クリントン

FT July 25, 2016

The fight of Hillary Clinton’s life

Edward Luce

Project Syndicate JUL 25, 2016

Hillary Clinton and the Scandinavian-American Dream

BO LIDEGAARD

NYT JULY 27, 2016

Hillary Clinton’s Radical Promise

By BRYCE COVERT

ヒラリー・クリントンには、有権者たちが聴きたいと願うような重大な公約がない、と批判されてきた。しかし、彼女は繰り返し、重大な、理想主義的な約束をしている。それは、女性に対する賃金格差の解消だ。

FP JULY 27, 2016

Hillary the Hawk: A History

BY MICAH ZENKO


l  長期停滞

VOX 22 July 2016

Secular stagnation in the open economies: How it spreads, how it can be cured

Gauti Eggertsson, Lawrence Summers


l  19930年代

NYT JULY 22, 2016

Arendt, Schmitt and Trump’s Politics of ‘Nation’

Feisal G. Mohamed

FT July 29, 2016

Why today’s politics do not mirror those of the 1930s

Jacek Rostowski


Project Syndicate JUL 25, 2016

The Globalization Disconnect

STEPHEN S. ROACH


NYT JULY 25, 2016

Israel’s Looming Demographic Crisis

By ALON TAL


l  女性指導者たち

FP JULY 25, 2016

The Women on Top Theory

BY SUZANNE NOSSEL


l  プーチンのアメリカ大統領選挙介入

FP JULY 25, 2016

Moscow Brings Its Propaganda War to the United States

BY ELIAS GROLL, PAUL MCLEARY, MOLLY O’TOOLE

FP JULY 26, 2016

Why Putin’s DNC Hack Will Backfire

BY MARK GALEOTTI

FP JULY 27, 2016

How Should the United States Respond to Russia’s Election Meddling?

BY PETER FEAVER

FP JULY 25, 2016

Is Trump a Russian Stooge?

BY JULIA IOFFE

FP JULY 28, 2016

Congratulations, President Putin! Everything Is Going According to Plan.

BY CHRISTIAN CARYL


l  日本の財政刺激・金融緩和

Bloomberg JULY 25, 2016

Japan's Risky Stimulus Decision

Christopher Wood

日本政府は財政刺激策を日銀融資によって行うのか? 財政赤字の貨幣化という過激な政策で、ハイパーインフレーションへの期待を刺激することは危険である。しかし、これまで「衝撃と恐怖」作戦に失敗してきた黒田は、バーナンキとの会見で、その点を話し合ったのかもしれない。

Bloomberg JULY 26, 2016

What Japan's Economy Needs

FT July 27, 2016

The Fed and BoJ return to familiar questions


l  イギリス労働党

The Guardian, Tuesday 26 July 2016

This Labour battle isn’t Blairites v Corbynistas. It’s over progressive change

David Wearing

The Guardian, Thursday 28 July 2016

Labour has been adrift. Owen Smith can bring it back to land

Polly Toynbee


l  マイナス金利とヘリコプター・マネー

The Guardian, Tuesday 26 July 2016

The Guardian view on negative interest rates: positives and minuses

Editorial

FT July 27, 2016

The world leans ever more on America

Stephanie Flanders

Project Syndicate JUL 28, 2016

What’s New About Today’s Low Interest Rates?

CARMEN REINHART

NYT JULY 28, 2016

Helicopter Money: Why Some Economists Are Talking About Dropping Money From the Sky

Neil Irwin


l  破たん国家

VOX 26 July 2016

Failed states and the paradox of civilisation: New lessons from history

Ernesto Dal Bó, Pablo Hernandez-Lagos, Sebastián Mazzuca


l  南シナ海とASEAN

FP JULY 26, 2016

U.S. Navy Chief Says He’ll Keep Sailing in South China Sea

BY PAUL MCLEARY

Global Times 2016-7-27

China, ASEAN must cooperate on sea issue

By Ding Gang

中国とASEANが南シナ海の問題を処理する制度を構築しなければ、アメリカや日本のような大部勢力が解消する余地を与える。

FP JULY 28, 2016

The Paradox at the Heart of the South China Sea Ruling

BY FENG ZHANG


l  ミルトン・フリードマン

Bloomberg JULY 26, 2016

Economists Give Up on Milton Friedman's Biggest Idea

Noah Smith

Bloomberg JULY 28, 2016

Answering the Hardest Question in Economics

Noah Smith


l  プーチンの経済改革

FT July 27, 2016

A reformed Vladimir Putin is the model of economic sobriety

Ruchir Sharma


l  アメリカの不平等

Project Syndicate JUL 27, 2016

A Brief History of (In)equality

J. BRADFORD DELONG

Project Syndicate JUL 27, 2016

Fighting Poverty in America

LAURA TYSON and LENNY MENDONCA


l  イランとサウジ

NYT JULY 27, 2016

Is the Iran-Saudi Cold War Heating Up?

By ELLIE GERANMAYEH


l  ユーロの失敗

NYT JULY 27, 2016

How a Currency Intended to Unite Europe Wound Up Dividing It

By PETER S. GOODMAN

なぜユーロは、加盟諸国間の共通利益を促すより、対立を強め、経済危機を生じているのか?  Joseph E. Stiglitzは、それに関する新しい本“The Euro: How a Common Currency Threatens the Future of Europe”を書いた。彼によれば、ユーロは必要な政治統合を避け、重大な欠陥に関して真剣に考えていない。列強諸国の間違った経済政策と妥協の産物でしかないのだ。

ドイツのマクロ経済学に関する信念は異常である。ユーロ圏は失敗から学ばず、緊縮策を繰り返した。しかし、債権諸国の中で分裂が生じているから変化が起きるはずだ。


l  オバマ

NYT JULY 28, 2016

President Obama and the Long March

By THE EDITORIAL BOARD

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The Economist July 16th 2016

The dividing of America

The South China Sea: Come back from the brink, Beijing

The South China Sea: Courting trouble

Marine management: Net positive

Japan’s Emperor Akihito: The long goodbye

The World IF

(コメント) 南シナ海をめぐる国際仲裁裁判所の判決に関して,中国の反応が注目されています.インドのミディ首相との比較,台湾の蔡英文との比較.

アメリカのトランプ,日本の明仁天皇,ともに記事が目を引きました.日本の天皇制度にも,トランプ指名のような危険があると思います.生前退位は,小さな改革案かもしれません.

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IPEの想像力 8/1/16

暑い。こんなに暑かったでしょうか? 都市の気温が異常に上昇しているのか、温暖化の影響もあるのか、・・・暑い都会への反撃は、何か?

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大阪のMontbellで、登山用具を揃えました。この夏は、南アルプスの北岳に登りたいです。

ランニングは続けていますが、どうも退屈してしまいました。タイムが短縮できるわけでもないし、フルマラソンを楽しむ体力も付きません。同じコースを走っても、今では、早起きのそう快感を味わうことがなくなっています。

テレビで田中陽希のグレートトラバースに感心し、何度か、百名山を観て、自分でも山を歩きたいな、と思いました。

どうしても必要なものは、リュック、レインウェア、登山靴です。北岳、山小屋一泊の計画です、と相談すれば、店員が次々に案内して説明してくれます。

そして、ストック、ヘッドライト、その他、靴下やシャツ、手袋、防寒着も買いました。日の出前に登頂し、朝陽を観るために。

さすがに3000メートルを超える山では、特に、雨や風によって体温が奪われることが非常に危険だ、というわけです。

地図とコンパス。コンパスは、持っていましたが、使い方はまだこれから勉強です。

絶対に避けたいですが、それでもコースを間違って、日が暮れてしまえば、安全な場所で、夜間をじっと待機して、朝まで過ごすしかありません。なるほど、と思い、そのための保温の非常袋(ミニ・シェルター)を買いました。

クマよけの鈴は買いませんでした。要ったかもしれませんが。警笛を持って行きます。そして、クマに遭った場合、慌てて逃げない。目をそらさず、ゆっくりと後退して、距離を取る。・・・そんなことでクマが油断するものかな、と半信半疑でしたが、そうしてみます。

ヘルメット、もやめました。岩場を避けて、沢のコースを歩きます。

一通りのことが何でも書いてある、入門書を買いました。

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急激に年齢を超えて老化しているな、と実感します。

ある時から、健常さを維持するメカニズムが破たんしつつあるのでしょう。「人生は短い。」 せめて、反撃してやろう、と思うのです。

3年後であれば、もう北岳なんて、登ってみたいと思わないかもしれません。

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The Economistの特集記事は,「もし・・・であれば,世界は?」です.トランプが大統領になり,北朝鮮が崩壊し,・・・

それらが思ったほど衝撃的でないのは,すでに破滅的な予想が頻出しているからでしょう.むしろ,予想もしないIFが面白そうです.

むしろ、人口の急増と若年層の都市流入が続く地域と、富裕化・高齢化が進む地域について、人類の未来を予想してはどうか? それは、火山から噴出する溶岩に呑み込まれる、登山者の恐怖に似ているかもしれません。

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