IPEの果樹園2015

今週のReview

12/14-19

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イギリスの政治再編 ・・・Zuckerbergの寄付より課税 ・・・ル・ペンの右派政治 ・・・虐殺を許さない ・・・中国の金融覇権 ・・・金融引き締めをめぐって ・・・ロシアの改革と制裁 ・・・ユーロ圏の解体か,改革か ・・・気候変動に関する国際会議 ・・・難民たちの自由経済圏 ・・・アメリカ中産階級の没落 ・・・大統領になる者が知るべきこと ・・・トランプと保守派の暴走 ・・・中国の大気汚染 ・・・人間にとって仕事の変化 ・・・メルケル首相の挑戦

 [長いReview]  ・・・******************************

主要な出典 Bloomberg, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, The Guardian, NYT: New York Times, Project Syndicate, SPIEGEL, VOX: VoxEU.org, そして、The Economist (London)

[これは英文コラムの紹介です.私の関心に従って,いくつか要点を紹介しています.関心を持った方は正しい内容を必ず自分で確かめてください.著者と掲載機関の著作権に従います.]


l  イギリスの政治再編

FT December 4, 2015

Ukip licks wounds after bruising election defeat in Oldham

Jim Pickard, Chief Political Correspondent

フランス国民戦線のル・ペンは地方選挙で歴史的な勝利を祝ったが,イギリス独立党UKIPでラファージNigel Farageはオルダム西部地区の中間選挙で敗北を味わった.

UKIPは欧州議会選挙をピークとして,その支持が低下している.イギリスのEU離脱を求めて保守党を離脱した勢力だが,保守党のキャメロン首相がEU離脱に関する国民投票を実施する.離脱派は独自に運動を展開し,UKIPの存在理由が失われてきたのだ.

資金も党員も,UKIPは危機を迎えている.

FT December 4, 2015

Before the Syria vote, a battle for Britain

Gideon Rachman

シリア空爆をめぐる議会の論争は、もっと大きな問題を争うものだった。すなわち、イギリスが外国の戦争に介入するのか? いつするのか?

それはイギリスの「介入主義」に関する論争を超えて、イギリス社会の変化、世界に占めるイギリスの位置をめぐる論争だ。それはシリア以上に、イギリスに関する論争である。下院の論争は激しい高揚感を示した。

イギリスはシリアに地上軍を送らない。イラクで行われている空爆をシリアに拡大することが問われた。しかし、その背後には多くの戦争があった。イラン、アフガニスタン、コソボ、ボスニア、スエズ、第1次・第2次世界大戦もあった。

この20年間で、介入主義の浮沈があった。1990年代、イギリス人政治家の多くは、イギリスのボスニア介入が遅かったことで、多くの戦争犯罪と数千の犠牲者を出し、数百万の難民が生じた、と考えた。ボスニア介入は、人道主義的介入を拡大する転換点となった。1998年、コソボ、2000年、シエラレオネに介入した。その3年後にイギリスをイラク侵攻に向けて決断したトニー・ブレアが介入主義者の頂点であった。

しかし、この10年の経験は、介入主義に反対する論争を強めた。2003年の開戦は、今や、大失敗であったとされている。左派にとって、ブレアは今も戦争犯罪人だ。

アフガニスタン介入は、当時、それほど論争されなかったが、数百人のイギリス兵士が犠牲となり、安定した国家も築けず、タリバンは復活しつつある。キャメロンが決断したNATOによるリビア空爆への参加も、その結果は事態を悪化させるものであった。カダフィ体制崩壊後、リビアはカオスに陥り、聖戦主義者の拠点、ヨーロッパへの難民の経路になっている。

2013年までに、イギリスは介入主義から離反し、アサドが内戦で化学兵器を使用したことに対し、キャメロンが求めたシリア空爆を下院は否決した。イギリスはもはや、グローバルな軍事行動をになう気力を失ったのか?

労働党党首となったコービンは、ブレア派の介入主義に強く反対してきたし、イギリスが世界各地で軍事介入する能力を必要とするか、と問い続けた。またテロの脅威がイギリス社会の性質を変えた。2005年のロンドン・テロは国内に育ったイスラム教徒が行ったし、多くの若いイスラム教徒がシリアでISISに参加するために国を出た。国民は、イギリスのシリア空爆がテロ攻撃を増やす、という不安を感じている。

下院における論争の頂点は、労働党・影の内閣の外相、ベンHilary Bennによる空爆支持の演説であった。

ベンの演説は、非常に珍しいことだが、喝采を浴びた。苦渋の顔のコービン党首の横で、支持演説をするのは政治的な勇気を要する。それは典型的なイギリス型の大衆アピールであった。その最後で、彼は良識と寛容の価値に訴えた。

ベンは、ISISを「ファシスト」と呼び、イギリスが同盟国の支援に向かうよう求めた。かつてチャーチルが下院で雄弁をふるったように。仲間の議員たちに彼は問う。イギリス人とはだれのことか? 何に対して立ち上がるのか?

Project Syndicate DEC 8, 2015

The Battle for Britain

PHILIPPE LEGRAIN

FT December 9, 2015

The policy failures masked by scapegoating migrants

Simon Tilford

イギリスの移民流入は、他のEU諸国に比べて大きくない。社会統合にも比較的成功している。移民問題が政治的な言い訳として利用されているのだ。すなわち、2008-2014年の実質賃金低下、住宅問題、医療サービスの供給不足、である。これらはイギリス自身の公共政策に問題がある。

FT December 10, 2015

A radical solution for England’s housing crisis

Martin Wolf


l  Zuckerbergの寄付より課税

FT December 4, 2015

What Mark Zuckerberg can learn from Warren Buffett about giving

ED Luce

Mark Zuckerberg and Priscilla Chanは、子供が生まれたことを祝って、その資産の99%をチャリティーに寄付すると発表し、これまでのすべての慈善活動家の記録を破った。金縁時代の先行者たち、the Mellons, Rockefellers, Vanderbilts and Carnegiesに比べて、その寄付行為を老年まで待つこともしない。彼は非常に若い。まだ31歳だ。

現在の慈善事業家たち、Warren Buffett, Bill Gatesをも抜いて、Zuckerbergは、無駄なことに資産を使うより、働き続けることを好み、病気をなくし、教育を改善し、不平等を減らすことに使いたいと考える。その道徳的な模範行為は並ぶ者がない。

しかし、問題がある。シリコン・ヴァレーの規範とは、政府を無視することだ。実際は、非常に多くの政府援助がシリコン・ヴァレーの技術革新を生んだ。医薬品業界と同じである。

Zuckerbergの寄付は企業形態を取り、慈善事業に使われるとは限らない。利益をもたらすベンチャー投資であるかもしれない。しかも、チャリティーではない彼の資産移動に税金がかからない。

彼が唱える、すべての者が基本的な医療を受けられ、すべての子供が最良の教育の機会を得る、という理想は、税金を基にした公共サービスでしか実現できない。ところが、昨年、Facebookが支払った税金は4327ポンドである。間違いではない。わずか4327ポンド! 国際事業本社をアイルランドに置き、そこではグローバル企業を支援する特別な低課税が利用できるからだ。

アメリカの納税者たちは文句を言うべきだろう。彼らが商業化している公共の技術革新に莫大な利用料を支払うのではなく、シリコン・ヴァレーは弁護士たちを使って課税を逃れている。そのような収益は公平ではない。

むしろZuckerbergは、その資産に通常の税金を、たとえば30%を支払い、69%を社会事業のための会社に移すべきだ。Buffettはすでに、超富裕層が資産のすくなくとも半分を寄付するだけでなく、所得に対しては最低限の税金を支払う、という規範を示した。

Bloomberg DEC 7, 2015

Philanthropy Should Be Controversial

By Justin Fox


l  ル・ペンの右派政治

SPIEGEL ONLINE 12/04/2015

The Right Stuff

Marine Le Pen and the Growing Influence of Front National

By Julia Amalia Heyer

Project Syndicate DEC 4, 2015

The Politics of Islamophobia

IAN BURUMA

政治的破滅に至る多くの道がある。強欲、慢心、デマゴーグのカリスマ、そしておそらく最も危険なものは、恐怖心である。人々はパニックに陥ると、ヒステリックに反応し、しばしば多数の死者を出す暴力に至る。政治家たちが生存のための競争、生きるか死ぬかである、と主張するとき、何でも起こりうる。

ヒトラーは、政治的破滅のすべての要素を示した。もちろん、現在の西側のデマゴーグたちは誰もヒトラーに及ばない。アメリカのトランプ、フランスのル・ペン、オランダのウィルダース。彼らは大量殺戮どころか、独裁も主張していない。しかし、彼らも恐怖の政治を広めている。

トランプはまた、自分の富をひけらかし、強欲を奨励する。世界中のすべての問題を解決する、と彼は約束する。中国にも、ロシアにも、イスラム国にも、だれがボスであるかわからせればよい。しかも、彼の広大で勝つ強力なアメリカはシリアからの難民を入れようとしない。イスラム教徒難民たちは軍事クーデタになるから、と。他の共和党員たちも影響されて、難民排除を唱えるが、同時に、毎年1万人も殺戮する銃の規制には反対する。

中東の混乱と革命的イスラム主義が西側の若者たちの不満を刺激し、テロが起きる恐れはあるだろう。しかし、それは国家を脅かすものではない。むしろ、デマゴーグが正統的な政治家たちを彼らの主張に近づけることこそ危険である。

フランスは非常事態を引き延ばし、令状なしに拘束し、深夜でも、民間住宅への強制捜査を行っている。レストランや公共の場に、武装した兵士たちが展開する。イラクやシリアにおける空爆も、フランスのスラムで多くの若いイスラム教徒が挫折や不満を抱いているとすれば、イスラム主義者の革命を止めることにはならない。トランプ以上に、恐怖はイスラム主義者たちの最強の武器である。

西側政府はもっと警察の対応を控えめにし、事案を理由にしたイスラム教徒への嫌がらせを止めるべきだ。革命を唱えるイスラム主義者に対する唯一の対抗策は、西側で法律を順守しているイスラム教徒たちから信頼を得ることだ。

国内の不安から軍事的強硬策に走るのを抑えることも重要だ。オバマは一貫して戦争を増やす衝動に抵抗してきた。確かに、オバマの政策はときに一貫性を欠き、不決断であったが、パニックの中で戦争を唱える者たちより、はるかに勇敢であった。

The Guardian, Monday 7 December 2015

France’s cowardly elite is to blame for the rise of Marine Le Pen

Natalie Nougayrède

国民戦線FNが本当に関心を集めたのは1984年、欧州議会選挙で11%近い票を得たときだ。FNはフランス政治と歴史の暗黒を象徴していた。その深い根が、伝統主義的、権威主義的、ウルトラ・カトリック、反共和主義の極右政治という遺産に至ることを、誰も忘れはしないだろう。

FNの創設者、Jean-Marie Le Penは、1950年代のアルジェリア戦争で中尉であったが、拷問にかかわったとして告発された。誰も彼の作った政治団体がフランスの指導的政党になるとは思わなかった。

移民・難民危機や、1月、11月のフランスにおけるテロが、反イスラム、安全保障重視の言論を強めた。しかし、こうした事件だけでなく、社会的・経済的な要因を見逃さないことが重要だ。フランスは、この30年間、大量失業に苦しんできた。グローバリゼーションが仕事を奪い、フランスの地位を低下させるものとして、生存にかかわる脅威と広く認識されている。グローバリゼーションが、フランスの近代化と国際的影響力を増した、1945-1975年の「黄金の30年」を終わらせた。FNの躍進には、こうしたノスタルジアがある。

1970年代の石油危機後に、失業は急激に増えた。政府は借り入れによって福祉国家を維持した。その解決法は2008年の金融危機でさらに複雑化した。1980年代以来、失業率は8%を割ったことがなく、今は10%を超えている。18-24歳の若者では24%、特に、高度な教育を受けない若者は46%が失業している。FNは若者の間で支持されている。

フランスはグローバリゼーションの挑戦に応じそこなったのだ。例えば、教育システムは社会的不平等を強め、社会的な上昇をかなえる階段として機能していない。

FNは、この誰でも知っていることを政治的に利用できた。すなわち、主要政党はどれも、社会的、経済的な苦境に対処できなかった、と。FNの最大の利点とは、政権に参加したことがない、ということだ。多くの有権者が、FNを既存のエリートたちに代わるものとみなすようになった。

それは、FNの現在の指導者Marine Le Penが党のイメージを刷新したことにもよる。47歳の彼女は、父と違って、FNを通じて権力を獲得する戦略を持ち、地方選挙で主要な選挙区を得ようとした。それは600万という記録的な得票数となった。

FN2017年の大統領選挙に勝つだろうか? それはありそうにないが、こうした問いが立てられること自体、人々が民主主義を無視するトラウマに冒されているということだ。FNへの支持は、フランスの支配エリートが臆病であることの証明だ。グローバルな変化に耐えられるモデルに、フランスを転換できなかった。

しかし、マリー・ル・ペンは何の答も持っていない。その経済プログラムとは、外の世界から、ヨーロッパから撤退することだ。彼女の社会観は、ありもしない同質的なフランスという神話である。彼女は幻想を売った。それでも多くの人に支持されるのは、ほかに買いたいものがないからだ。

FT December 7, 2015

France needs a better way to unseat its ruling clique

Jean-Yves Camus

FNは、the Dutch Freedom partythe UK Independence partyのフランス版ではない。FNはエスニックな差別を政策綱領に掲げ、もし実施されれば、エスニックと宗教における国内の紛争が生じるだろう。その経済学は機能せず、不況に至る。フランスと世界との関係は深刻な摩擦を生じる。

彼らは既存政治家をすべて排除したいと考えている。FNの主張とは、彼らは「民衆」を理解しており、この国を取り戻すのだ、ということだ。だから何の経験もないFNに政権をゆだねるというのは、薄っぺらな理由に見える。しかし、フランスの政治エリートは30年ないし40年にわたって老人の指導者ばかりだった。企業や他の分野から政治に入る者もいなかった。

高位の官僚たちは唯一のエリート大学the École nationale d’administrationから育てる伝統があり、それは既存政党も支配している。FNへの投票は、こうした政治エリートへの不満を表明している。

FNはそうではない。その候補者はさまざまな分野の庶民、ブルーカラーの労働者、都会の若い専門職、中産階級の女性などだ。その破滅的な政策ではなく、この開放性こそ、伝統的な政党が学ぶべきことだ。フランス人の80%が議会や政党を信頼できないと回答している。民主主義システムへの信頼を取り戻さねばならない。

さらに、保守系右派は、そのイデオロギーを再定義し、FNへの支持を低下させる戦略を取るべきだ。共和党は、社会的な保守派から、反EUのナショナリスト、経済のリベラリズムまで、多くのイデオロギーを含んでいる。しかし、後者の地位は低下しつつある。

異質な共和党の両翼に好まれる姿勢を示す、サルコジの試みは失敗した。シェンゲン協定を批判しても、フランスの影響力喪失を嘆いても、FN支持者を奪うことはできない。穏健な保守派から嫌われ、自由市場経済学の称賛も支持されない。むしろ共和党を解体することだ。それは右派を2つの集団に分割する。

1つは、ヨーロッパ統合に一層強く関わり、自由な市場経済学や多文化の社会を支持する。もう1つは、リベラルではない民主主義を支持する、よりFNに近いものだ。多数派がマイノリティーに強制し、フランスはグローバリゼーションから離脱する。

孤立する保守派ではなく、外向きの保守派こそが、フランスの衰退を逆転できる。

Bloomberg DEC 7, 2015

Le Pen Wins on Economy, Not Xenophobia

By Leonid Bershidsky

FT December 8, 2015

An illiberal streak spreads further across central Europe

Tony Barber

FT December 9, 2015

Le Pen aside, Europe’s populist parties are floundering

Tony Barber

FT December 10, 2015

Marine Le Pen not Donald Trump is the bigger danger

Philip Stephens


l  虐殺を許さない

Project Syndicate DEC 4, 2015

Beating Genocide

GARETH EVANS

人々が何をしたかではなく、だれであるか、すなわち、その国籍、エスニシティ、人種、宗教、政治のアイデンティティを理由に、殺戮することは道義的に悪である。しかし20世紀に、世界の少なくとも8000万人の男や女、子供たちがこうして殺された。トルコのアルメニア人、ヨーロッパのユダヤ人、ソ連や中国の容疑を受けた階級、インドネシアのコミュニスト、カンボジアのコミュニストでない人々、旧東チモールのベンガル人、ウガンダのアジア人、ルワンダのツチ族、旧ユーゴスラビアのイスラム教徒。

1948129日、ジェノサイド条約が成立した。それはホロコーストに向かう回路を切断するブレーカーになるはずだった。しかし、そうなっていない。罪のない人々が、その後も大量に殺害されてきた。特に、中東で、スーダンで、南スーダン、中央アフリカ、そしてアジアの脆弱な辺境として、北朝鮮、ミャンマー、アフガニスタン。

世界が、国家には人を殺す特権などない、というコンセンサスができたことは良いニュースだ。2005年、国連総会で、国家には住民を「保護する責任」があるという原則Responsibility to Protect(通称R2P)を全会一致で認めた。それは政府に要求される条件となっている。

しかし、リビア介入の後、シリア介入に欧米諸国が決断できなかったように、その成果は必ずしも良いとは言えない。成功例としては、2008年大統領選挙後のケニア、シエラレオネやリベリア、ギニア、コートジボアール、キルギスタン、ブルンジ。しかし、深刻な失敗例として、2009年のスリランカ、スーダン、シリア。


l  キューバ移民

NYT DEC. 4, 2015

A New Crisis of Cuban Migration

By WILLIAM M. LEOGRANDE


l  中国の金融覇権

NYT DEC. 4, 2015

China Creates a World Bank of Its Own, for Asia

By JANE PERLEZ

IMF、世界銀行、アジア開発銀行に対抗して、中国はAIIBを設立した。参加国はアメリカの友好国、同盟国に及んだ。それが世界の、特にアジアのための機関か、中国のための者か、まだわからない。

アメリカにも招待は届いている。いつでも電話すればよい、とAIIBJin Liqunは言う。

FP DECEMBER 4, 2015

5 Myths About Chinese Investment in Africa

BY DEBORAH BRAUTIGAM

Bloomberg DEC 6, 2015

Yuan Move Is Good for China's Politics

By Noah Feldman

FT December 8, 2015

The unenviable currency problem facing China

SDRの価値を決める通貨バスケットに人民元が入っても、通貨投機のリスクを減らすわけではない。中国はむつかしい転換期にあり、世界経済の減速やアメリカの金融政策が転換する中で、政府はそれを慎重に管理しようとしている。

輸出や投資に頼る成長から、国内消費に依存した成長への転換を唱えてから、人民元レートは市場による決定を受け入れる不確実な状況が続いている。輸出が大きく減り、外貨準備も減った。中国政府は為替レートの切下げで輸出を伸ばす競争に加わっていない。むしろ中央銀行による金融緩和で消費が伸びつつある。

この状態がさらに改善されることを願うが、短期的に、為替レートの変動を許しながら、長期的な成長モデルの転換を図るのは、世界経済のショックに対して非常に難しい対応を必要とする。

FT December 9, 2015

China working age population ‘to fall 10% by 2040’

Tom Mitchell in Beijing


l  アメリカのテロ事件

NYT DEC. 4, 2015

End the Gun Epidemic in America

By THE EDITORIAL BOARD

こうした戦闘用の重火器を利用する殺人は、それ自体で、テロ行為である。

FT December 6, 2015

Barack Obama’s Achilles heel on terrorism

ED Luce

カリフォルニア州サンバーナディーノにおける銃乱射は,イスラム国のインターネットによる過激主義のイデオロギーに影響されたテロ事件であるとわかった.そのアメリカ国民に与えた衝撃は911に類似の強い影響を及ぼすだろう.この事件を未然に防げなかったFBIは,批判に応えることに苦労している.

オバマ大統領は国民に冷静であるように求めている.国内で過激なイデオロギーからテロに及ぶ者が出ることをさらに警戒すると同時に,より厳格な銃規制が必要であると訴えている.それはパリのテロ攻撃に対する姿勢と同じだ.しかし,一層の虐殺やテロが起きれば,オバマを非難する声は強まるだろう.大統領選挙に向けて,ISISへの軍事攻撃も含め,国民の意見を分断する状況が増えてくる.

NYT DECEMBER 7, 2015

How Can America Counter the Appeal of ISIS?

NYT DEC. 8, 2015

Learning From Terrorism Past

Beppe Severgnini

FT December 9, 2015

Self-serving logic that makes a gun the answer to every question

Roula Khalaf


l  エルドアン

The Guardian, Sunday 6 December 2015

Erdogan’s dreams of empire are perilous for Turkey

Norman Stone


l  金融引き締めをめぐって

FT December 6, 2015

Central bankers do not have as many tools as they think

Larry Summers

金融引き締めには慎重になるべき理由が多くある.

FT December 7, 2015

Why ECB’s quantitative easing won’t work and how it can be fixed

Alberto Gallo

FT December 8, 2015

The challenges of central bank divergence

Martin Wolf


l  ロシアの改革と制裁

FT December 6, 2015

Reform of Russia’s ailing economy cannot wait

NYT DEC. 7, 2015

A Russian Revolt, Delayed

Masha Gessen

NYT DECEMBER 10, 2015

Trade an End to Sanctions for Putin’s Help Against ISIS?

ISISを打倒するために,ロシアと連携し,その経済制裁を解除するべきか?


(後半へ続く)