前半から続く)


l  シンガポール

Bloomberg AUG 2, 2015

Can Singapore Save Democracy?

Pankaj Mishra

FT August 5, 2015

Pragmatic Singapore can afford a little poetry

David Pilling


l  新興市場

FT August 3, 2015

Emerging markets: Redrawing the world map

James Kynge and Jonathan Wheatley

「第三世界」から「新興市場」へ,新しい債券市場に投資家の関心を向けるために作られた概念であった.しかし,その影響は先進工業諸国を越えつつあり,その分類は内部の多様性を正しく表せない.ポルトガルとチリの違いは何か? 中国やインドの巨大さと,その大きな違いを含む分類は作れない.

各国の成長をもたらすダイナミズムを表すには,多くの分類がある.


l  プエルトリコ独立

NYT AUG. 3, 2015

America’s Un-Greek Tragedies in Puerto Rico and Appalachia

Paul Krugman

NYT AUG. 6, 2015

Free Puerto Rico, America’s Colony

By NELSON A. DENIS


l  イランの核合意

NYT AUG. 3, 2015

The Iran Deal’s Dangerous Precedent

By JOHN R. BOLTON

FP AUGUST 3, 2015

Why America Will Never Hit Reset With Iran

BY STEPHEN M. WALT

オバマ政権によるイランとの核合意は成立するだろう.それを阻止する議会の法案は大統領の拒否権によって敗北する.しかも,この合意は成功するだろう.すなわち,イランを今後10年間,そして,その後も永久に,核武装しないままの状態を維持するだろう.なぜなら合意には,イランの利益が盛り込まれているからだ.

軍事的な矯正でない限り,国際合意には双方の利益がなければならない.

ただし,イスラエルとの特別な関係を維持するために個人資産家が組織した親イスラエルのロビー活動は,この敗北にもかかわらず,アメリカ外交を支配する戦いを続けている.


FT August 4, 2015

Lesson I learnt tackling financial crisis that never was

Ed Balls


FT August 4, 2015

New ‘gig’ economy spells end to lifetime careers

John Gapper in London


l  日米中の関係

FP AUGUST 4, 2015

Does America Need New ‘Special Relationships’?

BY DAVID ROTHKOPF

FP AUGUST 4, 2015

Why Is China Playing Nice With Japan?

BY WILLIAM SPOSATO

中国経済の減速について,日本からの経営者団体と会談するとき,習近平の指導部は日本の安倍政権とも関係を改善する姿勢を示し始めた.中国は日本の投資や市場ではなく,その技術力を求めている.


FT August 5, 2015

Debt markets: After the binge

Robin Wigglesworth and Elaine Moore


l  中国の人口移動

FT August 6, 2015

China migration: Dying for land

Lucy Hornby


l  広島・長崎原爆投下70周年

FT August 6, 2015

Japan commemorates 70th anniversary of Hiroshima atomic bombing

Leo Lewis in Hiroshima

戦争を早く終わらせた,というアメリカ政府の原爆投下を正当化する理由は疑われている.他方,被爆者たちは,広島の記憶が世界を新しい原爆の被害から守っている,と考える.

FT August 6, 2015

We will be lucky to go 70 years without another Hiroshima

Richard Haass

過去の党かをめぐる論争とは別に,重要な問題は,未来のことだ.この先,70年間も,原子爆弾は使用されないと確信できるだろうか?

簡潔に答えるなら,NO,だ.しかも,近年,核兵器を利用する蓋然性は高まっており,さらに高まると予想される.

アメリカ,ロシア,中国,イギリス,フランスの,公式に核保有を認められた5か国は,核兵器を使用する蓋然性が低い.なぜなら,十分な通常軍備を持っており,第1劇に耐えて反撃することが可能である.外交とそれを支える諜報システムを持つので,誤算から核兵器を利用することもないだろう.

他方,新しい核武装国であるパキスタンや北朝鮮は,こうした条件を持っていない.政治システムも弱く,内外の危機が核兵器の使用を促す状況はあり得る.核兵器を強硬派やテロ集団に奪われる,もしくは,経済的な苦境から核兵器を売却する,ということも考えられる.

中東地域の不安定化は,核武装とその利用を強く懸念すべき状況だ.イスラエルはすでに核軍備を蓄えているし,イランも今回の合意で核武装できる高い能力を獲得する.他の諸国も同様の方針を取るだろう.

それは小説の話のようだが,現実だ.

FP AUGUST 6, 2015

Did Hiroshima Save Japan From Soviet Occupation?

BY SERGEY RADCHENKO

ソ連軍は北海道を占領する計画を立てていた.しかしスターリンは,直前に,その実行を認めなかった.

アメリカが広島と長崎で原子爆弾の力を示したことが,トルーマンに強気の外交姿勢を取らせた.しかし,スターリンは原子爆弾を信用しなかった.むしろ,1945年には,ルーズベルトと合意したヤルタ会談で認められた利益を重視していた.

FP AUGUST 6, 2015

Magical Thinking and the Real Power of Hiroshima

BY JEFFREY LEWIS

原子爆弾は,他の兵器と違って,2度と使用してはならないものだ,という規範ができたことが,その後,70年間も使用されなかったことに役立つ心理的な規範となった.それは特に,John Hersey’のかいたHiroshimaによる影響が大きかった.

SPIEGEL ONLINE 08/06/2015

Mikhail Gorbachev

US Military an 'Insurmountable Obstacle to a Nuclear-Free World'


l  アメリカと開発問題

Project Syndicate AUG 6, 2015

America in the Way

JOSEPH E. STIGLITZ

新興市場,発展途上諸国は,膨大な長期投資を求めている.成長のために,インフラ投資,都市の建設,環境問題を解決しなければならないからだ.しかし,国際投資にはルールが確立されていない.アメリカが大西洋や太平洋を越えて推進する条約は,こうした成長する国の投資需要を反映していない.むしろ,彼らから医療や年金,労働条件に関する決定権を,また多国籍企業がその国で上げた収益に対する課税権を奪ってしまう.


l  NATO

FP AUGUST 6, 2015

NATO’s Rot From Within

BY BRUCE STOKES

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The Economist July 25th 2015

Asian security: Small reefs, big problems

Wages and 2016: Ways of seeing

The Iran deal: Not déjà vu all over again

(コメント) 中国は日本の軍事的対抗に,アメリカ軍を含めて,エスカレートの危険を避けたため,沈静化している.他方で,より明確な支持をアメリカが示していない南シナ海では,攻勢を続けている.それは米中が「ツキディデスの罠」を回避する対話の継続にかかっている.

しかし,長い目で見たとき,台湾はすでに自力で安全を確保する力を失い,日本も遠方の島々に対する安全を失いつつある.日本は次第に台湾と似た防衛戦略を南の諸国にも広めつつある.封じ込めが成功することを願うより,中国を地域の安全保障協力体制に参加させることが目標ではないか?

アメリカの次期大統領と外交戦略を左右する,採点賃金に関する論争,イラン核合意に関する評価は,中国に対する外交にも影響します.

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IPEの想像力 8/10/15

なぜ空母は建造できて,海上基地は建設されないのでしょうか? 軍事技術や基地の条件を満たしていないかもしれませんが,私は普天間基地に代わる空港を,浮遊構造基体を連結して,海上に建設することを考えてほしいと思います.

北海道には,ソ連軍が侵攻して北朝鮮型国家を樹立し,沖縄は,台湾あるいはシンガポール型の独立国家として,アメリカと中国の間で発展していたかもしれません.そのとき,日本という国や安全保障の在り方はどうなっていたか? 広島,長崎,敗戦を受け入れた日に,考えます.

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729日に行われた朝日新聞シンポジウム「いま,沖縄と本土を考える」を観ました.

http://www.asahi.com/special/okinawa/

翁長知事は,沖縄の言葉で話し始めました.それは日本語と全く違う,異国の言葉に思えます.

サンフランシスコ講和会議でも,沖縄はアメリカの占領地として残りました.議会や知事ではなく,高等弁務官がアメリカから来て支配したのです.米兵の犯罪も思うように裁かれませんでした.

沖縄は日本から切り離され,返還は27年後でした.戦後70年の日本と言うけれど.平和国家,東京オリンピック,高度成長.そのような歴史を沖縄は共有していないのです.サンフランシスコ条約の発効4.28を記念する式典への違和感が,政府官僚には理解できない,と言います.

保守政治家として翁長氏は,沖縄の自然,歴史,伝統を守る,と言います.日米安保体制を支持するか? と訊かれると,支持すると答えます.逆に,辺野古の海を埋め立てて基地を作るのか? と訊くのです.沖縄の基地は占領されたのであり,本土の基地と違う.

人口との比率で見てどうか? 0.6%の土地に,74%の基地が集中することをどう考えるか? 基地による資金や雇用で沖縄は生活できている,という誤解がある.沖縄県のGDPに占める軍関連支出は50%から5%へ下がった.

官房長官は「粛々と進める」と言うが,同じ言葉を他の県民にも使えるだろうか? 自由,平等,人権,民主主義,自国の中でそれを支持しない日本が,日米安保体制によって守られるのか?

沖縄は,日本とアジアの懸け橋.平和の緩衝地帯になろうと思う.

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寺島実郎,・・・江戸期の琉球国.日本近代史のなかの沖縄と朝鮮半島は,日本が領有し,朝鮮は独立したが,沖縄はできなかった.幕末,アメリカは琉球国家と条約を結んでいる.沖縄には2度,独立のチャンスがあった.終戦と1972年.戦後はあまりにも破壊されていた.また,1972年の中国は四人組の時代であった.沖縄は日本として生きる道を選択した.

普天間基地移転に関して,アメリカとの5年前の合意は変えられないか? 1993年,ドイツは全アメリカ軍基地と地位協定を見直した.民主党政権は,「負担軽減問題」と捉えてしまった.しかし5年間で,沖縄の意識が明確になった.日米同盟,日米安保を受け入れる保守政治家が,辺野古移転に反対している.

日米同盟の意味は何か? 尖閣問題でアメリカの姿勢は明確だ.(台湾と同じ)「あいまい作戦」である.安保条約は守るが,尖閣諸島の領有権については答えない.アメリカの影響力の最大化でしかない.日中の間でバランスを取っている.米中戦略対話のほうが進んでいる.日中の領土問題で,米中戦争にはしない,と両国は合意している.

辺野古の問題を孤立させては答が無い.全米軍基地の評価を,日本とアジア安全保障を考えるべきだ.沖縄はアメリカ海兵隊の,世界に3つしかない基地の1つである.

抑止力の罠.日本は中国と政治で対立し,経済は深く統合化している.日本政府が,外交ではなく,中国を仮想敵国として抑止を唱えることは間違いだ.

知事の訪米では,アメリカも沖縄を重視している.安倍政権は沖縄の説得に失敗した.

アメリカと真剣に対話せよ.アメリカは多様である.アメリカに問題提起をすれば,状況は変えることができる.

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佐藤優,・・・構造化された差別問題.自覚されない差別.抑止力,地政学は無意味だ.

植民地支配の内地と外地.4つの沖縄人が存在する.1.「完全な日本人」というコンプレックス.2.違いは考えない.ルーツが沖縄という日本人.3.日本系沖縄人.日本人だが,沖縄のことをアイデンティティとして重視する.4.日本人ではない.独立するべきだ.2から3へ,そして4へ.スコットランドの独立問題,チェチェンなど.99%の多数派は,少数派の違和感を正しく理解できない.日本政府は沖縄人の同化には失敗した.民族問題の初期段階だ.

沖縄人に自己決定権を認め,その選択を重視するべきだ.

安倍政権の反知性主義.客観性,実証性,を無視して,自分の要求だけを信じる姿勢が問題である.

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アジアでは冷戦と移行経済,日本の敗戦後の国際秩序構築が,今も続いています.

海底油田の掘削基地が海上に敷設できるなら,軍事基地を会場に移転することもできると思います.基地の本体は海上にも,海中にも,移動することができるでしょう.浮遊構造基体は,一部が破壊されても入れ替えることが容易であり,移動することができるでしょう.必要な重量を支える浮力と支柱があれば,埋め立てに比べて,環境への負荷を大きく抑制できると思います.

巨大な艀や海底油田の技術があれば,海上基地の技術を確立し,たとえば南シナ海でも,海洋の勢力均衡を維持することが可能になるでしょう.

そして,この軍事的な均衡から,慎重に海上基地を平和利用に転換するとき,沖縄の描く平和の緩衝地帯は実現します.

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