IPEの果樹園2012

今週のReview

2/6-/11

 

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アメリカ衰退と大統領選 ・・・資本主義論争 ・・・グローバリゼーション再考 ・・・ミット・ロムニー ・・・メルケルと反対者たち ・・・グローバルな不遜さ ・・・帝国の誘い

 [長いReview]

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l  アメリカ衰退と大統領選

NYT January 26, 2012

Jobs, Jobs and Cars

By PAUL KRUGMAN

Appleは今や市場評価額でアメリカ最大の企業であるが,アメリカで雇用しているのはわずか43000人であり,これはGMがアメリカ最大の企業であった時の10分の1である.Appleは下請け会社などで約70万人を雇用するが,そのほとんどはアメリカ国外である.特に中国に多い.それは単に中国が低コストであるだけでなく,そこにサプライ・チェーンが集中しているからである.

共和党の政治家たちは英雄的な経営者を賛美し,中産階級の労働者よりも低い税率で報いることを重視する.こうした発想だから,オバマの自動車産業救済に,彼らは“crony capitalism”として最も激しく反対した.しかし,この救済策は個別企業の繁栄はその周りに企業が繁栄するような生態学的な条件,産業のエコロジーが必要だ,という考えに拠っている.

LAT February 1, 2012

America's waning influence

By Rosa Brooks

「アメリカは衰退しているか? アメリカのグローバルな影響力は弱まっているのか?

アメリカの衰退には二つの理由がある.第一に,アメリカの軍事力は今も世界一であるが,今まで弱かった国がより強くなったという理由で,アメリカの相対的な地位は低下した.ヨーロッパ,中国,インド,ブラジルがそうだ.これは歓迎すべきことだろう.

「その他の世界の台頭"the rise of the rest"」により,世界の生産額に占めるアメリカの割合は,この10年間で,23.5%から19.1%に低下した.しかし,『ガリバー旅行記』を思い出すなら,これは悪いことではない.巨人の国にいるときよりも,小人の国にいる方がガリバーは苦難を強いられたからだ.ガリバーのように,もし友好的な,われわれとよく似た仲間の国に囲まれるなら,アメリカは繁栄できるだろう.彼らは我々に大きな市場を提供し,われわれと負担を分かち合う.グローバルな問題について,アメリカが解決できないことを苦しむこともない.

もう一つの理由は,オバマが年頭教書で示したように,多くの点で,アメリカン・ドリームが失われてしまったことだ.アメリカ人の平均寿命は他の工業化された民主国家よりかなり短い.幼児死亡率や小学校への就学率も低い.我々は世界最悪の人口当たり収監率(犯罪・囚人の数が多い)を示す.ウォール街占拠運動が強調するように,所得格差の増大は深刻だ.まるで発展途上国のように.

こうした衰退を否定することは,愚かなだけでは済まない.第三世界の状態に向かうこうした傾向を放置すれば,アメリカが国際情勢において指導的な役割を果たすことなどできないからだ.我々は改革についての真摯な論争を必要としている.頭を砂に突っ込む場合ではない.


l  資本主義論争

Project Syndicate 2012-01-27

A Crisis in Two Narratives

Raghuram Rajan

世界の工業化された民主主義諸国を襲った危機には,二つの競合する説明がなされている.一つは,いわゆる標準的なケインズ主義による説明.もう一つは,長期的な成長力の低下による説明だ.

前者によれば,危機は債務累積と需要の崩壊によるものだ.成長を回復するには,民間需要に代わって,政府が借金による支出を増やし,超低金利で貯蓄を阻止することである.

短期的には財政赤字は良いことである.そして中期的に景気回復とともに財政赤字は減らす.こうした理解が政府にも,中央銀行にも,ウォール街にもあって,支持されている.

もう一つの見方によれば,先進諸国の経済は成長のファンダメンタルズが改善しなくなった.戦後の成長は,欧米や日本で,戦後復興,保護主義の解体と市場拡大,技術移転,輸送・通信の改善,教育の拡充などが長期の成長を実現したものだった.それは1950年代,60年代に枯渇し始めた.

それにもかかわらず債務の膨張はさらに進んだ.持続的な成長経路を引き上げるために,彼らは成長の条件を改善しなければならない.ところが,安価な信用を供給し,民間債務を膨張させることで,住宅価格は上昇し,それが消費に回された.ヨーロッパでも,少し事情は違うが,ユーロによって低下した金利で住宅バブルや債務膨張が生じた.それが建設など,未熟練労働者の雇用を増やし,新しい成長である,と金融危機まで過信していたのだ.

Project Syndicate 2012-01-31

Blaming Capitalism for Corporatism

Edmund S. Phelps and SaifedeanAmmous

資本主義は生き残れるか?

「資本主義」という言葉は,資本が指摘に所有され,取引されるシステムを指している.資本の所有者は,その最善の使い途を決める.企業家の先見の明や創造的アイデア,革新的思想家に依拠して,利益を得る.それは個人の自由と責任からなるシステムであり,政府が経済的な意思決定を左右する余地を与えない.その成功は利潤を意味し,失敗は損失となる.企業は自由な個人が進んでその商品を買う限り存在し,買い手を失えば速やかに消滅する.

19世紀に入って,資本主義はその革新をもたらす能力で世界に広まった.資本主義システムを採用した社会は,繁栄と雇用の改善,多くの人々を貧困から解放した.

しかし今,資本主義は腐敗してしまった.管理国家が中産階級の所得から大企業の利潤,産業発展まで責任を持つように求められている.こんなシステムは資本主義ではない.19世紀のビスマルク,20世紀のムッソリーニが行ったような,コーポラティズムである.

FT February 1, 2012

Our ignorance will yield more crises in capitalism

By KennethRogoff

イギリスのGeorge Osborne蔵相とEd Miliband労働党党首が,ともに,政治の短期思考short-termismを批判したことは興味深い.金融政策だけでなく,地球温暖化や食糧生産など,政治の短期思考が解決困難にしている重要問題は多い.

政治の悪影響は発展した諸国に固有のものではない.中国は,投資・輸出主導から消費主導に,成長モデルを転換しなければなあないが,既存の産業利益に結び付いた政治システムはそれを指導できない.中国資本主義の優秀さを喧伝し,発展途上諸国に普及させるというのは誇大妄想である.ソ連も日本も,中国と同じようにインフラ投資には成功したが,その後の成長モデルへ移行することには失敗した.

Martin Wolfが述べたように,現代資本主義は私的財の豊富さを実現したが,公的財の供給に失敗している.すなわち,教育,インフラ,環境,安定した金融システム,など.政治的市場,すなわち規制を改善することは,世界のすべての国の課題である.

どのようにしてバランスを取るべきか? それは,教育の改善,である.持続可能性の問題に対する答えは他にないだろう.初等教育も,高等教育も,社会人のための再教育,再訓練が重要だ.社会は成人に対する教育プログラムを拡大し,たとえば,経済情報や金融情報を効果的に伝えるべきだ.こうした教育を受けた有権者がいなければ,短期思考の政策がもたらす害悪を知らず,そうした政治家を支持してしまうだろう.まして,資本主義の改善など望めない.


l  グローバリゼーション再考

NYT January 28, 2012

Made in the World

By THOMAS L. FRIEDMAN

政治家たちは世界を有権者ごとに分かれた特別な場所だと思っている.しかし,企業幹部たちは世界をひとつの場所と考える.製品はサプライ・チェーンのどこか,組合のない,コストが最も安い土地で生産され,世界のどこにでも売る.

優れた製品はすべて,“Made in the World” であり “Made in America”ではない.企業は自分たちを世界市民と考えるが,オバマはアメリカの大統領でしかない.

香港最古の繊維会社の一つであるLi & Fung Victor Fung会長は,かつて,アジアで生産し,アメリカやヨーロッパの市場に輸出した,と言う.今は違う.どこからでも調達し,どこででも生産し,どこへでも売る.「輸出」という言葉もなくなった.

Dell Inc.の創業者Michael Dellは,われわれの製品の新しい顧客はその96%がアメリカ国外にいることを忘れるな,と言う.彼らに売るためには,われわれはデザインや生産を彼らの国に移すしかない.

M.I.T. の物流専門家であるYossi Sheffiは,できるだけ多くの労働者を,さまざまなグローバル・サプライ・チェーンに入れるべきだ,と言う.彼らは製品を想像し,デザインし,販売する.製品のサプライ・チェーンを,最高級品の生産と大量販売とをアレンジする.そうすることで我々のシェアは拡大する.

アメリカは,この競争において優位にある.世界で最も想像力に富んだ国,才能ある移民を歓迎してきた国,確かな知的所有権とベンチャーを育てる資本市場を持つ国,バイオ,新技術,クリーン・エネルギーを育てる政府を持つ国,そして,FedExU.P.S.のような物流企業が奥の雇用をもたらす国は,アメリカだから.

The Observer, Sunday 29 January 2012

We can now see the true cost of globalisation

カール・マルクスが,バンコクの労働者に団結を呼びかけたとき,iPhoneのボイコットを考えてはいなかっただろう.AppleのボスであるTim Cookは,批判を受けて,世界中の生産工場に査察を行い,もはや地下工場における生産などない,という最新の証拠を提示した.

グローバリゼーションの利益は疑われ,正しく扱うときが来た.国内において,アウトソーシングや民営化,勝者総取りの報酬システム,などを放置せず,その利益に課税し,バランスを回復する.国際的にも,外国企業による買収を阻止し,放任されてきた資本移動に制限を課すことだ.

我々は中国の労働者たちが権利に目覚め,報酬の引き上げを要求し始めたことを支持する.それは我々の市場における中国製品の価格を引き上げ,中国経済の中産階級とその消費を重視する成長政策になるだろう.

Appleへの批判は,無知でナイーブな意見と否定された.しかし今は,世界恐慌の大破壊を経て,われわれもマルクスの言葉に気付くだろう.万国の労働者は団結する.


l  ミット・ロムニー

guardian.co.uk, Sunday 29 January 2012

US elections: no matter who you vote for, money always wins

Gary Younge

ミット・ロムニーの資産は過去8人の大統領を合わせた額の倍もある.

金持ちを引くむのは,貧乏人の妬み・僻みである,と彼らは主張する.しかし,これは政治システムの問題だ.王さまは裸である.あなたが誰に投票しても,金のある者しか当選しない.

The world has changed, Mr. Romney

By FareedZakaria

親愛なるミット・ロムニーへ

あなたは選挙運動でオバマ大統領を批判し,こう言ってますね.「これは次の世紀はポスト・アメリカの世紀であると信じる大統領だ.」私は“The Post-American World”という本の著者として,あなたが攻撃しているものは何か,説明しておきましょう.

ポスト・アメリカの世界とは,アメリカが衰退するのではなく,他の誰もが台頭する世界なのです.私はアメリカの将来を楽観しています.アメリカはこの新しい世界で繁栄できるし,最も力のある国に留まるでしょう.ソ連の崩壊で始まったアメリカ一極の世界は終わりました.アメリカの思想,アメリカのモデルが世界に広まって,各地で受け入れられたからです.

1990年,中国は世界GDP2%でしたが,今ではその4倍の8%に達し,増大し続けています.2016年から2018年の間に,世界最大の経済になるでしょう.経済分野だけでなく,軍事力の面でも,外交の面でも,中国は重要性を増しています.

中国だけでなく,各大陸に新興諸国が現れて政治的安定性と経済成長を達成し,グローバルな舞台で確約し始めています.独裁や3000%のインフレに苦しんだブラジルが,今では安定した民主主義を実現し,3500億ドルの外貨準備を保有しています.ラテンアメリカで指導力を発揮し,キューバの港湾を再整備する工事に68000万ドルを融資します.また,30年間拒まれていたインドは,核保有国の地位を西側諸国から正式に承認されました.成長するアジアの操縦席に入って,欧米諸国がこぞってインドとの同盟関係を望んでいます.


l  メルケルと反対者たち

NYT January 29, 2012

The Austerity Debacle

By PAUL KRUGMAN

イギリスは,その空想的・イデオロギー的な解釈“expansionary austerity”,つまり,財政緊縮によって景気が刺激できる,という幻想の実験である.イギリスのキャメロン首相は,最初に財政再建が必要だ,という.しかし,すでに失業者があふれる中で,さらに雇用を削ることが景気を良くするなどと,どうして思うのか? その理由は,信頼だ! また,ECBのトリシェ前総裁も言った.信頼を取り戻すことが,現在の段階では,景気を刺激するのだ,と.


l  グローバルな不遜さ

FT January 30, 2012

Beware the hubris of the Brics

Moisés Naím

人を狂わせるのは過剰な成功である.Hubris不遜さ,と呼ぶ.古代ギリシャ人はそれを知っていた.

現在,われわれにはBRICsがある.貧しい諸国だが,経済的・地政学的に成功して,影響力を急速に強めている.そして不遜さも.

ダヴォスの世界経済会議に多年にわたって参加してきた私は,多くの不遜さを見てきた.1990年代半ば,私はそのすぐ後に苦境を知るメキシコのサリナス大統領に会った.エンロンのKenneth Layにも会った.アルゼンチンのメネム大統領にも会った.・・・アジア通貨危機の前に,タイやインドネシア,マレーシア,韓国の大臣にも会った.

すべてではないが,あまりにも多くの人物が不遜さに冒された.BRICsやその他の新興諸国も同じだろうか? スイスのアルプス山上に集まるトルコ人,インド人,ブラジル人,インドネシア人,ロシア人,中国人の姿にも,多くの兆候を見る.祝福と,その裏にある不遜さ.


l  帝国の誘い

FT February 1, 2012

The trials of a reluctant superpower

By David Pilling

1793年,中国の乾隆帝はジョージ3世の使いを断った.中国は自給自足している世界の中心であるから,何も輸入するものはない,と.現代の中国は幸いである.外国の優れた技術だけでなく,外国の石油,外国の銅,外国の鉄,その他の外国の財を輸入して,<メイド・イン・チャイナ>へと加工する.

だから中国企業や中国人労働者がこれほど世界中に展開しているのだ.スーダンと南スーダンには25000人の中国人がいる.中国にとって7番目に重要な石油供給国だ.そして,海外で活動することは代償を伴う.時には命の代償を支払うことになる.先週末,スーダン国境地帯で,29人の中国人労働者が誘拐された.一人は行方不明で,おそらく殺されたのだろう.昨日,エジプトのシナイ半島では25人が解放された.1013日,タイのメコン河では13人の中国人労働者が殺害された.

海外の自国民を守ることはどの国にとっても難しい.中国は,国際的な関与を低く見せることに執着する「嫌々ながらの超大国」であるから,この問題の解決は一層難しい.それは中国の世界的な商業的利益と矛盾する.昨年は,35000人の中国人がリビアから国外退去した.

スーダンは,KhartoumJubaの南北に国家が分裂した.中国政府は,人権に対する犯罪を国際刑事裁判所に告発されているOmar al-Bashir大統領のKhartoum政府を支持し続けている.中国人労働者は国境地帯で,スーダン政府軍の反政府勢力弾圧に利用する道路を建設していたようだ.反政府軍が彼らを襲撃することは十分に予想できた.中国政府の「中立」には,いろいろな意味がある.

日本も,アジアで最も近代的な軍隊を持つが,同様の問題を抱えている.その軟弱な姿勢は多くの身代金を求められる.中国と同様,日本政府も不介入の姿勢を強調した.特に1973年,アメリカに逆らって,アラブ諸国との友好関係を維持したのだ.原油の蛇口を守ったわけだ.そして,日本政府は経済的拡大と中立性とを融合する「全方位外交」なるものを発明した.

中国人労働者は海外に85万人いる.アフリカ,アジア,ラテンアメリカ,中東の不安定な地域で,何万人もが働いている.彼らを守るために,人民解放軍を退いた軍人たちが「民間警備会社」を設立した,という.中国市民にとって,遠く離れた外国のぼろをまとった兵士たちに,中国人が誘拐されるニュースや映像は衝撃的である.国威を踏みにじられた,と不満をネットで見る.中国政府が海外の権益を守るためには外国に中国軍を駐留させる必要がある,という海軍関係者もいる.

1949年以来,中国は公式のイデオロギーとして反帝国主義や非同盟を掲げてきた.しかし,新しい世代は違うかもしれない.

アフリカ連合AUの本部ビルがアジス・アベバで,今週,開設された.それは2億ドルを要した中国の善意を示す幻影だ.開設を記念する中国共産党の政治局員Jia Qinglinは,集まったアフリカの指導者たちに向けて,非介入主義のあいさつを述べた.「大小に関わらず,すべての国は平等であります.大きな,強い,裕福な国が,小さな,弱く,貧しい国をいじめることに,私たちは反対します.」 ここには,大きく,強く,しかし,貧しい国が入っていない.それが中国だ.

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The Economist, January 21st 2012

The rise of state capitalism

Taxing the rich in America: The politics of plutocracy

Income inequality: Who exactly are the 1%?

Corporate anonymity: Light and wrong

Booming Mongolia: Mine, all mine

Charlemagne: And then there was one

Free exchange: The hangover

(コメント) どの記事もあまり面白くないのです.一つを除いて.

国家資本主義の台頭に関する特集記事は,レーニンの影や「管制高地」,などが出てくるものの,平凡な内容です.むしろアメリカの富裕層,1%,の話が少し面白いです.株式会社が匿名性を悪用する話も,ヨーロッパがドイツの一人勝ちになって,J.スティグリッツに言わせれば集団自殺のような財政緊縮を強要し,また,スウェーデンやフィンランドの金融破たん処理に優れた先例があるのに,ヨーロッパよりもアメリカの方が債務処理を進めていること,は興味深いです.

しかし,何より面白い記事は,モンゴルの資源採掘ブームです.同じ広大な大地でも,かつては遊牧民が繁栄し(特に,優れた騎馬軍団の支配力で帝国を築き),長い空白期間を経て,今は資源採取によって繁栄します(特に,隣国の急速な工業化と資源需要を得て).遊牧から採掘へ,大草原を愛し,敬って,住処としてきた人々が,都市へ,地底へ,マンホールへと移住します.

これは,かつてなかったほどの「オランダ病」です.とはいえ,資本流入や通貨価値の増大で駆逐される産業は遊牧以外にないのですが.20%を超える成長率や,非合法な採掘と有毒廃液,外国人や文化の流入と不平等が,彼らにとってこの上なく美しい土地を荒廃させるとき,政治的不満の土壌が形成されます.

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IPEの想像力 2/6/12

梅田のレストランでランチを食べました.高層ビルからの摩天楼を眺めて,ちょっとした,ごちそうです.

阪神百貨店の地階が待ち合わせ場所であったために,日本が誇る?デパートの食料品売り場,お惣菜,弁当屋さんを観察してきました.素晴らしい品数です!!! 抑えられた価格,目の覚めるほど?美味しそうな食品・弁当・パン・・・などの展示に感心しました.

少し歩くと,お酒があり,フルーツも色とりどりに並びます.干物,味噌,漬物は押しのけられた感じですが,和菓子,洋菓子の充実した陳列に陶然とした気分を味わえます.お茶,海苔,佃煮など,伝統食品もありますが,売り場の配置や面積はどんどん変化するのでしょう.なるほど,これがデパ地下なのだ,と納得しました.食品世界のバランス・オブ・パワー,地政学を見たわけです.

しかし,想うに,デパートという販売様式は,このままでは滅ぶでしょう.あれほど多くの美しいフロアが何層にも,まさに超豪華ケーキのように積み重なっていても,それほど人は集まりません.この婦人服や紳士服,子供服,宝飾,おもちゃ・文具,靴,バッグ,などを並べて売っている規模に見合う購買層など,今の日本にはいないのです.洗練された店員たちの数に比べて,財布の口が開かない中年・高齢層が各階にちらほら歩くだけです.

もっと安い製品を,もっと価格競争に徹した販売方法で,繁華街ではなく居住区において,巨大スーパーが競争している時代に,また,必要なものなら,なんでもコンビニで済ませ,300円の弁当でも,それなりにおいしく食べられる日本で,時代遅れの百貨店の未来とは何なのか? ・・・地階だけを独立させて,上の階層はコンビニやホテルにしたほうがよいのでは?

私は,観察するうちに,想像をめぐらせました.商品は買わなくても,値札や産地を見たら楽しいだろう,と.ルーマニア製とか,カンボジア製の衣類はあるでしょうか? 食品はタイ,トンガ,スリランカ,リビア,アルゼンチンからも来ているのか? この膨大な商品を,その産地や生産された国でフロアを分けたら,日本産・日本製品はどれくらい残るのか?

きっとスーパーでは日本製品の値段の半分や3分の1,いや5分の1で,中国製の家電を売っているのでしょう.日本が自動車と並んで誇ってきた家電業界が,軒並み大幅な赤字を出していることに,貿易赤字以上の不安を感じます.まともな給与を得る職場が無くなり,勤労や熟練,優れた技術では,企業が生き残れなくなったのでしょうか?

他方,デパートの優れた商品と店員たちのマナーを見るとき,このまま滅亡して良いものか? という憤慨が湧きます.これほどすぐれた巨大なショッピング拠点なら,生産拠点を海外に移転してしまうのとは逆に,世界中からショッピング・ツアーを招き寄せるのではないでしょうか? すでに,中国,台湾,その他の新興諸国から,観光客が日本の空港,京都の観光地,九州の温泉旅館,などに出現していると想います.

あるいは・・・ 衣食足りて礼節を知る,と言いますね.しかし,衣食の詰まった老舗デパートに集まらない客層が,梅田の真ん中にできた若者向けのファッション店舗,そして,カメラ・パソコン・音楽の店に集まります.Loftやヨドバシカメラの若さと活気は,デフレや高齢化に苦しむ国とは別世界です.スタバの狭いカウンター席で,こぞって本やノート,パソコンを広げる彼・彼女たちは,一体,どこから来るのか? と驚きます.

そして ・・・東北の地震や津波,原発事故の被災地で人々が味わう苦しみを想いました.

Googleを見れば,被災地の状態が詳しく映ります.家屋は流され,更地になった地域もあれば,がれきが残る地区もあります.建物の傷みが激しい,と思います.住宅や雇用を,震災前の水準まで回復するのに,何年かかるのでしょうか? 失われた友人や家族は永久に戻りません.

消費を自粛することは,何も改善しないでしょう.しかし,デパ地下やLoft,ヨドバシカメラ,高層ビルのレストラン街,などの楽しみが,被災地の苦しみと共鳴し,共振する仕掛けがあれば,私たちはより深い満足を得るのではないでしょうか? たとえば,・・・東北の民謡を流して,彼らの再起を願い,公共財を寄付する運動をお店で工夫し,あるいは,・・・町全体の深甚な破壊から,再建に向かう住民やボランティアたちをたたえる映像を,何かの記念日に紹介します.

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