IPEの果樹園2010

今週のReview

4/19-/24

 

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IPEの想像力 4/19/10

日本の政治家たちが国会で安全保障を積極的に議論し、国民的な合意を形成しなければ、北朝鮮の核や中国の軍備拡大が話題になるたびに、すべての政治が停止してしまいます。核持ち込みの「密約」は、その危険を示したはずです。

もしこれが、アメリカや、イギリス、ロシア、ドイツ、ポーランド、中国、インド、韓国、アルゼンチン、ニュージーランド、アイスランド、であれば、米軍基地の移転問題をどのように扱うでしょうか?

普天間基地移転の問題で、首相自身が日本の外交や安全保障について十分に説明しないのは、連立政権であることを意識するからかもしれません。民主党自身が安全保障で内部の合意を形成できず、社民党との連立を維持するためにも、安全保障は議論できない、と言うのですか? あるいは、鳩山首相が自民党の政治的伝統と政治家・資産家の閨閥に属しているから、革新的な議論はできないのでしょうか?

首相が責任を取って辞任する、あるいは、衆議院を解散し、衆参同時選挙を行う、という決断を歓迎します。しかし、国民に選択を迫る前に、その理由を示し、自分たちの基本的な考え方を示してほしいです。あなたが保守派の政治家であったからこそ、また、社民党との連立政権であるからこそ、自民党政権ではできなかった論争を喚起し、新しい合意を促せるはずです。

もし自分で議論を指導することが難しいのであれば、安全保障の基本方針を議論するよう担当大臣に命じて、諮問委員会を設置し、今の政権の主張を明確にする政治家に首相の強い支持を与えるべきでしょう。5月までに解決する、と繰り返すだけでは、何も説明したことになりません。

安全保障とともに、通貨発行、課税、犯罪の取り締まり、は国家が独占する特殊な領域です。しかし、民間主体が国民国家の枠を次第に抜け出し、その強制を回避できるようになれば、いずれも浸食されてしまいます。

NHKのドラマ、『チェイス 国税査察官』が面白かったです。脱税コンサルタントはビジネス富裕層とともにグローバル化し、国税査察官は旧式のアパート暮らし。

「ある者にとっての絶望が、他の者にとっては希望であること」・・・ドラマでは、カンボジアの世界遺産を主人公の国税査察官と旅行するはずだった彼の妻が、結局、一人で訪れるために乗っていた飛行機が墜落します。その炎上する画面を観たもう一人の主人公、脱税コンサルタントは依頼者に祝福を述べています。「おめでとうございます。・・・これであなたの会社は合法的に課税を免れました。」

アイスランドでは火山が噴火、氷河が溶けて洪水を起こし、また、その噴煙によってヨーロッパの20カ国以上で空港が閉鎖されました。ポーランドの大統領を含む100名近い政府高官が、モスクワ近郊の空港で着陸に失敗した飛行機に乗っており、犠牲となりました。韓国の哨戒艦が北朝鮮との境界近くで爆発、沈没し、40名以上が亡くなっています。タイのバンコクでは赤シャツ派のデモ隊が鎮圧部隊と激しく衝突、20名以上が死亡しました。

「私、税金払いたくないよ。」 「母さんを殺したのは父さんよ。」・・・政治家たちは無能で、税金は無駄に使われている。不正義に立ち向かっていると言いながら、仕事に追われるだけで家族に説明もできない。あなたは、世界の複雑さに圧倒されているだけで、自分たちを守ることもできなかった。・・・鳩山首相。

米軍基地、子供手当、年金、財政赤字、課税・脱税、高速道路、郵政民営化、派遣労働者、少子化、外国人労働者、・・・すべては結び付いており、重要な政治的選択です。日本にも、タイにも、サッチャーとブレア、クリントン夫妻、オバマとマッケインが、もっと必要です。

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1.米ロ核兵器削減協定と核サミット

2.中国と不均衡の調整問題

3.ギリシャとユーロ圏の政治経済危機

4.債券市場・金融システムの権力

5.ポーランドの悲劇

6.朝鮮半島の大転換と中国の台頭に直面して、韓国は何を目指すか?

7.タイ式民主政治は機能するか?

8.イギリスは財政赤字をどのように減らすべきか?

・・・キルギスタン ・・・日本 ・・・ハンガリー ・・・中東

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主要な出典 Bloomberg, The Guardian, FP: Foreign Policy, FT: Financial Times, LAT: Los Angeles Times, NYT: New York Times, The Observer, The Times, SPIEGEL ONLINE, WP: Washington Post, WSJ: Wall Street Journal Asia


1.米ロ核兵器削減協定と核サミット

(コメント) 

 

FT April 8 2010

Now Obama is a president with an endgame

By Philip Stephens

ノーベル平和賞に値する仕事ができるのか? オバマはその答えを示したようです。たとえ一部でも。オバマは、核武装していない国に対してアメリカが核兵器を使用しないこと、北朝鮮やイランを牽制して、NPT体制を無視する国に核攻撃も辞さないことを警告しました。オバマは、この姿勢が、単に国内向けの言葉ではないことを、新しい米ロ戦略(核)兵器削減協定と核サミットによって強く示しました。

オバマの呼び掛けに主要国が積極的に応えたのは、医療保険制度の改革を実現して、オバマが国内政治秩序を掌握したことを内外に示したからであろう、とPhilip Stephensは考えます。カーター外交と同じ破産に終わる、あるいは、中間選挙において民主党候補が大敗北、という予想は、今や、逆の楽観主義に交替しました。

「同時にいくつものゲームを相手するチェスの名人」という比喩を使って、オバマ外交の難しさを指摘します。アメリカは世界中の安全保障を自国だけで担えない以上、ロシアや中国などと二国間の交渉を欠かせません。しかし、アフガニスタンのカルザイ政権がそうであったように、イラクからの撤退も、イスラエルの入植活動停止や中東和平も、アメリカの望み通りにはならず、この先、ロシアや中国が合意を守る保証もありません。そして最悪の場合、イランは核武装を完了し、中東の政治情勢を根本的に変えてしまいます。

オバマはヨーロッパを常に友人にしておかねばなりません。日本については、中国の台頭に向けた外交戦略の調整を注視する必要があります。オバマから外交の諸問題が解決される日は来ないでしょう。

WP Friday, April 9, 2010; A21

How significant a new START for the U.S. and Russia?

By Graham Allison

アメリカ政府は、今、何を恐れているのか? 安全保障政策は、それを示すものです。

オバマは、中国の胡錦濤主席やロシアのメドヴェージェフ大統領を招いて、核サミットにおける説得を行いました。すなわち、北朝鮮やパキスタンなどの保有する核物質・兵器がテロリストの手に渡り、アメリカを攻撃する危険について、です。

オバマは、ジョージ・W・ブッシュのユニラテラリズムを否定し、それ以前の(ジョン・F・ケネディーが始めた)正統的な核軍縮外交に戻ったのです。もし核攻撃を受けたら、という終末論的な保守派の脅威論を抑え、核保有を減らし、新しい核兵器開発を思いとどまらせる説得の信頼性を高めるでしょう。

WP Friday, April 9, 2010; A21

Nuclear posturing, Obama-style

By Charles Krauthammer

報復の核戦略は、たとえ狂気のシナリオに見えても、核戦争を未然に防ぐという正しい目的がある、と考えます。その姿勢を変えるというなら、慎重でなければなりません。

生物・化学兵器による攻撃にも核で報復する? 脅威は存在するが、報復を信用できるだろうか? NPT体制に参加している国に疑いがあるときは、IAEAの調査団が送られます。だから、非加盟国には、加盟するように圧力がかかる、というわけです。そして、アメリカは核による第一撃を放棄します。

「それは驚くべきナイーブさだ。」 アメリカの核の傘に頼ってきた小国は、アメリカには自分たちを守る意志がない、と思うでしょう。そして、核拡散が加速します。

NYT April 9, 2010

Obama’s Nuclear Modesty

By PETER D. FEAVER

NYT April 9, 2010

Just Like Ike (on Deterrence)

By CAMPBELL CRAIG

核戦争とそれまでの戦争を明確に区別したのは、1957年、アイゼンハワーの方針でした。その後、相互確証破壊がアメリカの核戦略として登場します。

なぜそのような方針を示したのか? 大統領は核戦略の安全保障担当補佐官、言い換えれば、「ハルマゲドンの魔法使い」たちが、「限定的な」核攻撃、などを唱え、アメリカの外交政策を支配することを恐れたのだ、とCAMPBELL CRAIGは指摘します。それは人類滅亡へのエスカレーションを招いたでしょう。

オバマもアイゼンハワーの方針を採用します。アメリカが一方的に核使用を制限することは、核攻撃の機会を与え、核拡散を促す、という批判に対して、核の使用を「曖昧にする」戦略は、核戦争の可能性を高める、と反論します。

核のない世界を目指す、と唱える点で、オバマはアイゼンハワーを超えます。アメリカは通常兵器とその新技術において圧倒的な優位にあるからこそ、核廃絶を目指せるのです。

NYT April 11, 2010

How to Build on the Start Treaty

By WILLIAM J. PERRY and GEORGE P. SHULTZ

新しいSTARTをさらに交渉によって推進することは難しいだろう、とアメリカの代表的な安全保障専門家たちは考えます。ロシアがこれ以上の核削減に応じられないのは、敵対する諸国に囲まれている、と感じているからであり、また、通常戦力においてアメリカとの差が大き過ぎる、と考えるからです。

むしろ「大幅に拡大された軍縮」が重要になるでしょう。それは戦略核兵器に限定せず、米ロ二国間にも限定しない、地域安全保障からグローバルな軍縮交渉です。

FT April 11 2010

Nuclear options

SPIEGEL ONLINE 04/12/2010

Nuclear Security Summit in Washington

Obama Fights for Ambitious Peace Plans

By Gregor Peter Schmitz in Washington

FP APRIL 12, 2010

'Time Is of the Essence'

BY DAVID E. HOFFMAN

現在のアメリカの不安は、ロシアの経済危機に際して生じた核兵器の散逸・流出を恐れたことに始まっているようです。

「ロシアにおける1998年の寒い秋のことだ。ロシアは最近、その債務を不履行にし、ルーブルを切り下げ、無数の国民がその預金を失い、銀行は閉鎖されていた。経済危機はまた、核の安全保障に関する不安を生じていた。」・・・アメリカ政府が数十億ドルを費やしたロシアの核管理体制が、その専門職員や警備員たちへの給与不払い、食糧確保に対する不安から、崩壊しつつあったのです。

核管理体制が、ロシア(そして旧ソ連圏)のどこかで、短期間でも失われたら、それは決定的な漏出となるかもしれない。アメリカの専門家たちは恐れました。現在、核兵器の管理に関わる政府や専門スタッフは、さらに世界各地に拡散し、不安定さを増しています。

DAVID E. HOFFMANは、核管理の要点を整理します。

WP Monday, April 12, 2010; A16

What is most likely to denuclearize North Korea

それゆえ、北朝鮮の体制崩壊と核管理の重要性を、アメリカ政府は強く意識し、韓国や日本とも共有しなければならないわけです。勧告の哨戒艇が沈没し、40人以上もの犠牲者を出した原因究明は、この地域に重大な結果を準備しつつあるのかもしれません。

NYT April 12, 2010

The Nuclear Security Summit

SPIEGEL ONLINE 04/13/2010

Interview with German Foreign Policy Expert

'A World with 25 Nuclear Powers Would Be Highly Dangerous'

Josef Janning

WSJ APRIL 13, 2010

From Reagan to Obama

By GEORGE P. SHULTZ

WSJ APRIL 13, 2010

What About Iran and North Korea?

By PAUL WOLFOWITZ

「核の無い世界」を実現するには、米ロの核保有数以外にも、答えなければならない問題がある。

アメリカは効果的なミサイル防衛システムを築けるか? アメリカはイランや北朝鮮の核保有や核攻撃を防げるか? アメリカは核兵器を減らす一方で、通常の軍備により、安全を十分に確保できるか?

FT April 15 2010

Ridicule is a weapon against terrorism

Jamie Bartlett and Richard Reeves

核テロを恐れるなら、自国内のテロリストを生み出す状況にどのように対処するか?


2.中国と不均衡の調整問題

 

guardian.co.uk, Friday 9 April 2010

Can China be an international leader?

Jamie F Metzl

中国は、アメリカが築いた国際システムから大きな利益を享受しています。だから、一方では、国民国家の主権を理由に国際的な責任を回避する姿勢は支持できません。また、もしアメリカの支持する国際システムに代わる、もっと優れた国際システムを考えるのであれば、その構想を世界に対してもっと説明しなければなりません。

WP Sunday, April 11, 2010; B03

Five myths about China's economy

By Arthur Kroeber

中国は、国内に多数の貧困を残したまま、市場経済に移行してわずか30年で世界の指導的な輸出国となりました。中国の台頭とアメリカもしくは世界への挑戦と機会について正しく理解するため、いくつかの誤解を説くべきです。

「1.中国経済の規模は急速にアメリカの地位を脅かす。」・・・まだ日本を抜いただけで、アメリカの3分の1である。家計で見れば、生活水準ははるかに低い。製造業においても、高付加価値分野の優位はアメリカにあるため、生産額で20%も中国寄りアメリカが大きい。

「2.中国の保有するアメリカ財務省証券は経済交渉の人質だ。」・・・「3.中国の人民元を増価させることがその貿易黒字の最も重要な解消策だ。」・・・「4.中国の消費する資源は世界を干上がらせ、温暖化につながる。」・・・「5.中国経済の成長は低賃金労働者を酷使することによって実現した。」・・・

FT April 11 2010

Renminbi adjustment will not cure trade imbalance

By Yang Yao

アメリカ政府が本気で中国の人民元をドルペッグから離脱させたいのであれば、中国に財務省証券を売るのをやめることだ、とYang Yaoは主張します。その場合、中国は貿易黒字をドル以外の、たとえば、ユーロの債券で保有しなければなりません。それは中国の不腿化政策を難しくし、国内のインフレを加速するか、ドルとの固定をやめて金融引き締めに向かうでしょう。

「中国に財務省証券を売らないことで、アメリカは利益を得るだろう。すなわち、1.中国の貯蓄が、むしろアメリカの財に対する需要になる。2.アメリカ政府が財政赤字を容易にできなくなって、爆発する債務が抑制できる。3.貿易摩擦が回避できる。しかし、認めたくないだろうが、アメリカ財務省は中国の貯蓄を、医療保険制度を含む、緊急に必要な支出を賄うために必要なのだ。」

また、アメリカが望むように、中国が人民元を増価させ、しかも、その貯蓄をアメリカ財務省に利用させ続ける、という場合に、少なくとも20%程度の増価であれば、アメリカの貿易赤字は減らないだろう、と。

April 12 (Bloomberg)

Geithner Confronts Curse of 15 Plaguing China

William Pesek

中国が好きな数字は「8」です。そして、嫌いな数字は「4」。中国政府は成長率8%を何としても達成するつもりです。他方で、インフレ率が15%に達するという予想に懸念を強めています。

2兆4000億ドルの外貨準備がインフレ鎮圧を難しくします。しかし、それはアメリカの姿を映すものでもあるのです。ゼロ金利と数兆ドルの財政赤字。

「ドル価値が暴落しない唯一の理由は中国の支持があるからであり、投資家に他の選択肢が多くないからだ。アメリカの政策は明らかに近隣窮乏化的である。そのやり方がまずいとしても、それは中国の罪ではない。」

ガイトナーも人民元の債券を買って、人民元の増価を促せばよいはずですが、中国政府は資本取引を規制しています。G20に姿を借りたG2の支配する世界とは、不快な者同士の結婚である、とWilliam Pesekは考えます。

WSJ APRIL 12, 2010

China's Good, Bad and Ugly Bank Loans

By TED OSBORN

FP Tuesday, April 13, 2010

I'll believe it when I see it....

Posted By Stephen M. Walt

NYT April 13, 2010

Gao Zhisheng, Hu Jia, Liu Xiaobo

世界不況からの脱出や核管理体制で協力したとしても、オバマは中国政府の人権無視・民主化弾圧に抗議しなければならない。

FT April 13 2010

Bismark’s lessons for Beijing

By Wen Liao

人民元をめぐる論争に何を見るか? 興味深い論説です。

アメリカ政府は中国の人民元が安すぎる、と名指しで攻撃し続けています。しかし、IMFがアメリカの姿勢をわずかに支持したものの、多くは米中間の紛争を回避するように求めています。日本や韓国は、この論争に全く加わらず、むしろ中国に投資している自国の大企業の業績を心配するだけです。人民元が強くなれば、彼らの利益も奪われます。

しかし、とWen Liaoは中国の指導層に警告します。中国の姿勢は、反中国の包囲網を形成する危険を含んでいるからです。インドはアメリカとの同盟関係を強化し、ロシアとも軍事協力関係を回復しました。中国がスリランカ政府のタミール反政府組織を掃討するのに協力し、また、冷戦後の影響力拡大をめぐってロシアの伝統的な影響圏を侵食してきたからでしょう。日本もインドとの関係強化を模索しています。

「中国包囲網」は、かつてビスマルクがドイツ統一を目指した際に、ヨーロッパの勢力均衡を破壊する結果として、周辺諸国の連携を刺激してしまったケースと似ています。「第二帝政の悲劇を繰り返さないために、中国はもはや発展途上国ではないと認め、公式にグローバルな大国の責任を受け入れるべきである。それは、単なる国益を超えるものである。責任ある大国はその行動を説明しなければならないし、他国の利害をその政策に関係づけねばならない。

1997年のアジア危機において、中国は近隣窮乏化政策を避けたように、何よりも近隣諸国との多角主義を守らなければならない。」

guardian.co.uk, Wednesday 14 April 2010

Obama's 'deal' with China is oversold

Mark Weisbrot

本当に重大な米中合意が成立したのか? 中国は人民元について他国が発現することを牽制し、イラン制裁ではなく、核管理の一般的な合意に参加しただけです。アメリカ政府はドル安に頼ることなく失業対策を取れるはずであり、ドル高を好むウォール街の意向を無視できません。

NYT April 14, 2010

Mr. Obama and Mr. Hu

人民元の増価は、米中2国間の対立ではなく、グローバルな問題である。中国の指導部内にも、特に共産党政府と人民銀行との間に、明らかに対立がある。

FT April 13 2010

Commodities: A market re-emerges

By Javier Blas

FP APRIL 14, 2010

Beijing Is Key to Creating More U.S. Jobs

BY C. FRED BERGSTEN

中国は人民元の増価に同意した、とC. FRED BERGSTENは考えます。問題は、それがインフレ抑制や貿易不均衡と政治対立を回避するほど、十分に行われるか、である。

LAT April 15, 2010

China -- it's money

By Daniel Griswold

「中国の通貨介入は・・・乗り越えられない貿易障壁をアメリカ企業に設けている」と、民主党の議員が非難することは正しいか? ・・・「ナンセンス。通貨体制がどうであれ、中国はアメリカ企業にとって、最近の10年において、最も熱い市場であった。」

FT April 15 2010

China moves to prevent property bubble

By Geoff Dyer in Beijing

FT April 15 2010

China must steer – not slow – growth


3.ギリシャとユーロ圏の政治経済危機

guardian.co.uk, Friday 9 April 2010

EU can't afford to let Greece fail

Adrian Pabst

EU首脳会議とIMF融資の組み合わせは、すでに市場で信頼を失い始めています。

「今、ギリシャ政府に示されている唯一の選択肢は、より一層の残酷な緊縮策を呑むことと交換に、IMF主導の低利融資を受け取ることだ。ギリシャが現在の市場圧力もしくはIMFの要求に耐えて生きるかどうか、いずれにせよ債務とデフレの悪循環という妖怪は昨年の12月からギリシャをさまよい、自己実現的な予言になりそうである。新しい経済不況が進行中の社会不安を増幅し、若者の失業が増大し、未熟なギリシャの民主主義はその社会的基盤を脅かされる。」

救済融資を拒む、というECBの根拠は、同時に、天災や例外的事情を例外として認めており、世界金融危機が加速した財政破綻について、この事情を考慮することは可能です。ギリシャの経済破綻がもたらすユーロ圏の社会的・政治的コストは、余りにも大きい、と。

NYT April 9, 2010

Learning From Greece

By PAUL KRUGMAN

ギリシャの悲劇から学ぶべき教訓とは何か? PAUL KRUGMANは、「デフレ的な金融政策のもたらす極端な危険性」を指摘します。

ギリシャの公的債務(GDP比、113%)は極端に大きいわけではありません。1946年、アメリカの債務は122%でした。その後、アメリカの債務比率が低下したのは、債務を減らしたからではなく、GDPが増えたからです。

ギリシャが同じように債務比率を抑えられないのは、その成長をユーロ圏のデフレ的金融政策に制約されているからです。アメリカは、戦後、むしろインフレ的に成長を維持しました。もしドイツを含めてユーロ圏内でギリシャを救済する財政移転が行われるなら、ギリシャは危機を回避できるかもしれません。あるいは、ギリシャがユーロ圏を離脱して切下げ、しかも、資本逃避や銀行の連鎖倒産を回避できるなら。

アメリカはデフレを回避する金融政策を採ることができます。しかし、日本のようにインフレ的な成長を実現できないケースもあります。それにもかかわらず、財政赤字の削減やインフレ懸念を強調する人びとがいることを、PAUL KRUGMANは批判します。

FT April 9 2010

The next act opens in Greek drama

FT April 11 2010

A Greek bail-out at last but no real solution

By Wolfgang Münchau

金融危機に際して、国内政治は “Too Big To Fail”と言って救済融資を増やし、他方、国際政治が制約となって “Too Little, Too Late”と批判されるような国際救済融資しか行いません。では、国内政治と国際政治とが重なっているユーロ圏ではどうなるのか?

(ECBではなく)EUが合意したのは、ギリシャに対する緊急融資です。金利は市場金利を下回る5%です。融資額は500億から600億ユーロの間でもめています。ただしECBは、今はまだ、ギリシャ国債を担保として受け入れます。(その後、さらに融資額と条件は変化しています。)

「ギリシャは、結局、デフォルトになるだろう。」・・・「ギリシャが求められている調整コストは歴史上最大規模のものだ。しかし、過去において同様の調整を行った他の諸国と違って、ギリシャは切り下げができず、世界経済が不安定で、財政基盤が弱く、根本的な改革を行う社会的合意がない。しかも、その金融システムは壊れやすい。」・・・「すぐにはっきりするように、合意された融資はアテネからベルリンに富を移転するものである。その逆ではない。」

厳しい調整コストを受け入れるには、政治的な意志と財政的な支援が必要です。それを欠く場合、債務の返済は放棄されるべきでしょう。少なくとも、全面的に市場の秩序が崩壊する、というのでなく、部分的な債務免除を民間債権者と諸政府が合意された手続きで受け入れる、ということであれば。

WSJ APRIL 12, 2010

Greek Truth or Bailout

FT April 12 2010

Poland should not rush to sign up to the euro

By Slawomir Skrzypek

WSJ APRIL 13, 2010

Only Debt Restructuring Can Save Greece

By CARL B. WEINBERG

今後5年間にギリシャ政府が市場から調達しなければならない資金は2400億ユーロである。これは、どのような高金利でも考えられない。ギリシャが資本市場で信用を回復するには、次の二つのことが必要だ。1.ギリシャの財政均衡化。2.ラテンアメリカが債務危機を脱したように、多年度に渡る債務の再編。

guardian.co.uk, Wednesday 14 April 2010

German roots of Greek crisis remain

George Irvin

ギリシャの危機ではなく、ドイツの危機だ。

「ドイツはユーロ圏にインフレと闘う強い通貨当局を求めた。しかし、景気循環を抑え、支援が必要な国に財政移転する「ユーロ財務省」をともなわなかった。・・・ドイツはまた「強い通貨」政策を求め、財政支出の抑制、民間部門の賃金抑制、国内需要抑制による輸出指向の成長を促進した。この政策をユーロ圏として採用したのが1997年の安定と成長のための合意であった。」

このドイツ式デフレ政策圏は、圏内の不況・貿易赤字国に財政破綻を強いるものだ、と。

FT April 14 2010

Only Athens has the power to rescue Greece

By Daniel Gros

FT April 15 2010

Greece takes key step towards rescue

By Kerin Hope in Athens, Alan Beattie in Washington and Anousha Sakoui in London

FT April 15 2010

Europe evolves

FT April 15 2010


4.債券市場・金融システムの権力

guardian.co.uk, Friday 9 April 2010

The tyranny of bond markets

Kevin Gallagher

信用格付け機関(Standard & Poors (S&P), Moody's, and Fitch)は金融危機の発生に責任があるだけでなく、危機からの回復を妨げている点でも責められるべきだ。

経済学を無視して、格付け機関は正しいことを行う政府に圧政を敷いている。ギリシャを破滅の淵に追い込んだのはムーディーズであり、先週はフィッチがポルトガル債券の格付けを下げた。」・・・「債券発行者の利益ではなく、投資家の利益を守らせるべきだ。より多くの格付け機関を市場で競争させるべきだ。社債の格付けに公的な機関を設け、政府債の格付けにも国連の機関が設置されるべきだ。」

WP Friday, April 9, 2010; A19

Let traders call the next bubble

By Sebastian Mallaby

FT April 9 2010

The emotional markets hypothesis and Greek bonds

Gillian Tett

WP Sunday, April 11, 2010; B01

How to reduce risk on Wall Street? Make the banks pay.

By Matthew Richardson and Nouriel Roubini

世界不況を回避するために金融機関を救済した結果、金融システムはますます巨大金融機関の倒産を許容できない状態になっています。この問題をどうやって解決するかが、「システミック・リスク」の抑制にとって重要です。

Matthew Richardson and Nouriel Roubiniのアイデアは単純です。巨大金融機関は危機の際に、(税金ではなく)自分たちで積み立てた基金で、あらかじめ決められた手続きで、必ず救済される、というものです。そして、基金を積み立てない機関は救済されないことを投資家や預金者は知らなければなりません。

金融システムを破壊するほど巨大な金融機関に課税する基準は、危機の救済コストです。それは歴史的な証拠から十分に推計できる、と主張します。

NYT April 11, 2010

Who’s Not Sorry Now?

NYT April 11, 2010

No One Is to Blame for Anything

By FRANK RICH

guardian.co.uk, Monday 12 April 2010

Attack Wall Street, not social security

Dean Baker

NYT April 12, 2010

Georgia on My Mind

By PAUL KRUGMAN

FT April 12 2010

Post-crisis malaise

WP Tuesday, April 13, 2010; A17

How to prevent America's next financial crisis

By Timothy Geithner

どれほど巨大な金融機関でも破産処理できる金融システムを作る。そのためには、金融システムの透明性と、世界的な自己資本規制を交渉できるような強固な国内法が必要だ。

FT April 13 2010

IMF adds weight to big bank surcharges

By Francesco Guerrera in New York and Patrick Jenkins in London

FT April 13 2010

The bankers need to fight back

By Robert Sloan

WP Wednesday, April 14, 2010; A18

Politics hampers effort to reform the $450 trillion derivatives market


5.ポーランドの悲劇

guardian.co.uk, Sunday 11 April 2010

Poland and Russia: reconciled in tragedy

Jarosław Kurski

FT April 11 2010

Tragedy will prove Poland’s strength

The Times April 12, 2010

Behind the grieving faces is a thriving nation

Edward Lucas

The Times April 12, 2010

Poland’s Pain Recommend?

カチンの森事件について、プーチンが漸くロシアの責任を認めたとき、その記念式典に向かうポーランド政府高官たちを乗せた飛行機がモスクワで着陸に失敗し、再び、多数の指導者たちが亡くなりました。しかし、今やポーランドはEUの一部であり、NATOに加盟しています。東欧における改革に占める重要性だけでなく、外交においても、ポーランドの復活、経済の繁栄は、国民に自信を与えているでしょう。陰謀説も含めて、ロシアとの関係が悪化するとしても、それはロシアと西側との関係悪化の一部です。

guardian.co.uk, Monday 12 April 2010

A glimmer in Poland's darkness

Timothy Garton Ash

ソ連の時代を通じて、その虐殺はナチス・ドイツの犯罪と主張され続けました。歴史家の感性で、飛行機墜落の犠牲者を悼む様子を、数10年間も隠ぺいされてきたカチンの森とそれを悼むこともできなかったポーランドの時代とを比較します。

The Guardian, Monday 12 April 2010

Polish air crash: Curse of Katyn

The Times April 13, 2010

In dark times Poland needs the sunlight of truth

Ben Macintyre

LAT April 13, 2010

A fog of questions in the Polish plane crash tragedy

By Adam Chmielewski and Denis Dutton

その悲しみを超えて、ポーランド人たちの胸には疑念が生まれざるを得ません。墜落の原因は何か?

WP Tuesday, April 13, 2010; A17

Out of tragedy, a detente of sorts between Russia, Poland

By Anne Applebaum

70年前に2万人のポーランド人将校が虐殺された現場から遠くない地点で、飛行機は墜落しました。Anne Applebaumは、今回は誰一人として陰謀説を主張しない、と書いています。それを扱うのは少数の個人ホームページだけです。ポーランド首相はプーチンに連絡を取り、ポーランドからただちに調査隊を送り込むことに協力を得た、と。

遺族たちは訪問のビザを得たし、いたるところでテレビ・カメラが撮影し、ロシアの市民はジャーナリストたちの質問に応えました。これが西側で当たり前に思えるとしても、ポーランドとロシアにおいては全く新しいことであり、それゆえ陰謀説は力を得ないのです。

NYT April 13, 2010

The Glory of Poland

By ROGER COHEN


6.朝鮮半島の大転換と中国の台頭に直面して、韓国は何を目指すか?

WP Monday, April 12, 2010; A17

Will the U.S. commit to free trade with South Korea?

By Fred Hiatt

韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は、北朝鮮における孤立した体制が「今まさに転換のときを迎えている」、と語った。最近、「通貨改革は惨憺たる失敗に終わった。北朝鮮経済の状態は日に日に悪化しつつある。」

326日には、北朝鮮との境界付近において韓国の巡視艇が沈没し、104人の乗組員のうち46人が死亡している。

さらに李大統領は、韓国と中国との貿易は、アメリカと日本を合わせた韓国の貿易額よりも多くなった、と指摘した。中国とFTAを結ぶのも時間の問題である、と。

だから韓国は、中国への依存が増す東アジア・東南アジア全体がそうであるように、アメリカに中国と拮抗する勢力を維持してほしいし、アメリカと韓国とのFTAは重大な意味を持つ、と主張しています。

・・・日米間の関係悪化に比べて、朝鮮半島の再統一を含む韓国の展望は、オバマ政権に強くアピールすると思います。

WSJ APRIL 12, 2010

Pyongyang Tipping Point

By MARCUS NOLAND

昨年11月に行われた新通貨への転換と外貨(ドル)の使用禁止は、北朝鮮の経済活動を麻痺させました。特に、人びとは通貨への信用を失い、価値のあるものに交換しようと市場価格が急騰しています。コメ、トウモロコシ、ドルの値段が最悪のときに6000%まで上昇した、と言われます。その後も、金融引き締めにもかかわらず、通貨改革前の600%の水準にあります。

脱北者の反応に見られるように、北朝鮮の住民は次第に政府の情報ではなく、外国からの情報を求め、信頼するようになりました。体制への幻滅が広がっています。

金正日は北京を訪問して食糧などの援助を求めるでしょう。北京がそれと交換に求めるのは、非核化のための6カ国協議に戻ることです。こうして、韓国の「陽光政策」やアメリカ政府の「食糧援助と対話との交換」が再起動しつつあります。

WSJ APRIL 13, 2010

North Korea's Radio Waves of Resistance

By PETER M. BECK

WSJ APRIL 14, 2010

Handling the Next North Korean Famine

By KAY SEOK

WSJ APRIL 15, 2010

Pyongyang's Women Wear the Pants

By ANDREI LANKOV


7.タイ式民主政治は機能するか?

WSJ APRIL 8, 2010

The End of the Thai Fairy Tale

By MICHAEL MONTESANO

「タイ人は王制下の不完全な政治を『タイ式民主制』と呼んだ。最近の数週間、タイは今のところ非暴力の『タイ式内戦』によって分断されている。」

・・・的確な概観です。タイは「幸運の国」でした。1960年代、農産物輸出で繁栄し、石油危機後の世界不況で農産物価格が下がると、FDIによる工業化と観光業で繁栄しました。しかし、その間、教育や技術の形成は遅れ、地方の貧困とバンコクの富裕層とは社会的・政治的に分断されます。

1997年のアジア通貨危機により、その経済転換は加速しますが、タイの伝統社会が深いところで維持してきた平穏さは破壊されます。1960年代に形成された「童話的な」タイ王室への愛着は、交通、情報、メディアの新しい手段を手に入れた国民の間で、複雑なタイ現実に対する意味を失い始めます。特に、タクシン政権が行った農村開発基金、安価な医療サービスは、地方の欲求を政治的に取り込みます。その後、軍事クーデタでタクシンが追放され、それらが逆転した後も、農村を沈黙させることはできませんでした。

「より平等なタイを実現することに尽くす、信用できる、利己的でない政治家が政治の舞台にいません。」

LAT April 12, 2010

Thai prime minister should heed call for early elections

The Guardian, Tuesday 13 April 2010

Thailand: Colour-coded chaos

FT April 13 2010

Strife in Thailand

WSJ APRIL 14, 2010

Thailand Runs Out of Room for Compromise

By PASUK PHONGPAICHIT AND CHRIS BAKER

死者23人、負傷者800人以上というデモ隊と鎮圧部隊との流血の衝突は、対社会の亀裂を深めた、とPASUK PHONGPAICHIT AND CHRIS BAKERは書いています。事態はさらに悪化しそうだ、と。内戦の始まりでしょうか?

日本人の写真記者が犠牲者に含まれていますが、この論説は長距離の狙撃者がいた、と書いています。死傷者の増大を意図した者たちがいる、というのです。すなわち、デモ隊と警察の双方に、対立激化を望む強硬派がいるのです。

政府側の強硬論が強まったのは、赤シャツ派のデモ隊が単なるお祭り騒ぎやタクシンによる買収というレベルを超えて、バンコク市民も含む、政治権力・体制の転換を求める支持を広げているからです。僧侶たち、軍や警察にも、その影響は広まるでしょう。なぜなら彼らは同じ社会階層に属しており、都市と農村の分断・対立を味わってきたからです。

議会を解散し、選挙するしかないでしょう。アビシット政権はバンコクのビジネス層から強い支持を受けています。体制側は十分な選挙資金を集めるために解散時期を先延ばします。しかし、衝突による犠牲者が情勢を変化させ、赤シャツ派が選挙で圧勝してしまえば、タクシンを権力に復帰させるでしょう。クーデタに関わった政府・強硬派が弾圧行動を起こしたのは、選挙そのものを許せないからです。

WP Thursday, April 15, 2010; A20

Stopping Thailand's endless battle of the yellow and red shirts

「反民主的な戦略は、軍事介入であれ、街頭占拠であれ、法廷の指令であれ、タイの混乱を収拾できない、ということだ。唯一の解決策は、選挙によって誰がタイを統治するかを決め、そのことを双方が受け入れることである。そして、勝者も敗者も基本的な政治の権利、市民権を尊重することだ。」


8.イギリスは財政赤字をどのように減らすべきか?

FT April 8 2010

Tax land or carbon emissions, but not hard work

By Philippe Legrain

医療保険の支払い負担を増やすべきかどうか、保守党、労働党、社会民主党が激しく論争しています。どのように税収を得るべきか?

Philippe Legrainは、所得税を増税した労働者に課税する労働党の政策を批判します。それに代わって、1.有害なものに課税します。たとえば、炭素の排出です。2.年金給付の年齢を引き上げます。そして、3.土地の価値に課税します。

土地に課税することは、労働のように課税が供給を減らす心配がなく、しかも、脱税できません。また、土地の投機やバブルを抑制し、開発や投資を妨げることもない、と。

guardian.co.uk, Sunday 11 April 2010

There is a better Britain

Robin Shepherd

FT April 13 2010

UK economy must perform a rebalancing act

By Martin Wolf

FT April 15 2010

Growth is the fix for British finances

By Martin Wolf

イギリスは投資と輸出を増やすことで成長率を高め、財政赤字を克服します。


WP Friday, April 9, 2010; A21

Out of Kyrgyzstan's chaos, another chance for democracy

By Alexey Semyonov and Baktybek Abdrisaev

FP APRIL 9, 2010

How Not to Run an Empire

BY TOM MALINOWSKI

NYT April 10, 2010

Name That Revolution

NYT April 10, 2010

Running in Circles in Kyrgyzstan

By ERIC McGLINCHEY

FP APRIL 13, 2010

How Does the U.S. Decide Which Governments to Recognize?

BY JOSHUA KEATING


FT April 14 2010

Japan’s splendid isolation may be at risk

By David Pilling

日本は世界を忘れ、世界も日本を忘れつつあります。鳩山に明治維新を期待する支持者は、次にどこへ向かうか?

April 15 (Bloomberg)

Waning Sex Drives Give Economy ‘Perfect’ Cushion

William Pesek

アジアのスイスを目指す? 出産奨励のために企業が動く? 老人のための健康と美容がグローバルな成長産業になる? ・・・平均年齢が70歳を超えた政治家たちの新党結成・・・「立ち上がれニッポン」?

WSJ APRIL 15, 2010

Hatoyama Frozen in the Headlights

By TOBIAS HARRIS


SPIEGEL ONLINE 04/09/2010

'The Monster at Our Door'

Hungary Prepares for Shift in Power

By Walter Mayr

FT April 12 2010

Hungarian demons


WP Sunday, April 11, 2010; B04

To achieve Mideast peace, Obama must make a bold Mideast trip

By Zbigniew Brzezinski and Stephen Solarz

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The Economist April 3rd 2010

Hope at last

Time to rebalance: A special report on America’s economy

(コメント) 国際通貨システムが不均衡を調整する過程は、ますます、国内経済の調整過程と同時に、一体化して進むようになりました。アメリカ人が消費よりも貯蓄を増やし(債務を減らし)、アメリカ企業が国内市場よりも輸出によって利益を得るようになることが、世界経済の以前のパターンを根本的に変えるのは当然です。

しかし、それを他の主要諸国は当然と受け取ってくれるでしょうか? アメリカは金融緩和とドル安を促し、輸出を増やそうとしています。では、他国は、特に黒字諸国は、通貨の増価を受け入れ、国内需要を刺激することで輸入を増やす用意があるのでしょうか?

特集記事は、アメリカ経済がいかにバランスを回復しようとしているか、それは政府ではなく、資産市場や石油価格、為替レートの変更が、企業や家計の選択に影響する結果として確実に起きるのです。こうした論旨はThe Economistの市場メカニズムに対する支持を示していますが、特集記事には、貯蓄を変化させる<文化>や<制度>を重視する囲み記事があります。

また、為替レートがいかに長期的な均衡の回復を目指すシグナルとして頼りない・間違っているか、を認めています。逆に、オバマの「保護主義」や「産業政策」を批判しつつも、政府が輸出企業を助け、技術開発を支援する余地を(ポートフォリオ式に)認めています。

アメリカ経済の転換がそうであるなら、世界のバランス回復にはさらに制度的な合意を必要とするでしょう。


The Economist April 3rd 2010

Terrorism in Russia: Mayhem in Moscow

South Korea’s industrial giants: The chaebol conundrum

Myanmar’s crushed opposition: Whether ‘tis nobler

Uganda’s oil: A bonanza beckons

Germany and the euro: May the best man share

(コメント) ロシア(コーカサスへの軍事介入はテロをなくせない)、韓国(チェボルの復活を歓迎してよいのか)、ミャンマー(アウンサン・スー・チーと反政府勢力の選挙参加を求める)、ウガンダ(民主化と石油の呪い・プラス・中国)、ドイツ(ギリシャ<救済>の合意が求める黒字国ドイツの政策変更)について、興味深い視点を学べます。