「千年の都」を支えたのは、「庶民の智恵」だった
有数の観光都市として知られる、京都。「華やかな王朝文化」は広く知られるところですが、それを支えゆるぎないものに育てたのは、限られた土地や資源を有効利用する「庶民の知恵」だったのです。北山の森に生まれた清冽な水流は、豊かな地下水となって京の人々の水資源となったばかりでなく、豆腐や湯葉、酒などの発酵産業を育て上げました。狭い町屋の暮らしは、暑い京都の夏を涼しくすごす、「庶民の知恵」がたくみに活かされていました。「狭い盆地」だったからこそ真剣に取り組まれた、「持続可能な」経済。そこに、京都のもう一つの貴重な文化があったのです。
「京エコツアープログラム制作プロジェクト」は、世界的に関心が高いエコツーリズムの考え方を用いて、「旅行」という誰でもが親しめる非日常的な行為から、京都の日常を考え直します。また、京都ならではの環境学習の試みを、「知的な探究活動」として実践するものです。それにより、「環境の世紀」にふさわしいライフスタイル変革のヒントを得て、「地域資源」を活用しながら環境保全を行うことを人々に広く伝えるしくみ(プログラム)を考えることを狙いとしています。
プロジェクトの内容
1.京エコロジーセンターを教室のひとつとして、環境問題の現状を学びます。2.フィールドワークで、京都の自然やそこで育まれた暮らしの智恵や伝統産業、そして環境保全を目指した新しい取り組み(省エネシステム、環境コンセプト事業など)を探訪して、環境共生型の暮らしのアイデアを出し合い、それらを紹介するプログラムを開発します。もうひとつの「京の旅」プログラムの土台づくりです。3.エコツアーの企画書・プログラムフローを作成し、取材活動を京都市内で行います。コース策定と解説マニュアルを、分担して作成します。4.作成後、それらを活用し、実際に案内活動を行います。
「自ら課題を発見し、考え、解決する方法を導き出し、実践する」という、体験学習型のプロジェクトです。グループ活動ですから、適切なコミュニケーション能力や合意形成能力が養われます。解説プログラム作成においては、企画立案能力やプレゼンテーション能力育成のノウハウが学べます。野外学習では、安全管理技術、表現力、伝達力を育成する好機となります。そして社会人として今後欠かせない「環境に対する意識」を育て、日本を代表する京都の自然や文化を知る機会にもなります。 |