同志社大学 理工学部 機能分子・生命化学科
分子生命化学研究室
〒610-0321 京都府京田辺市多々羅都谷1-3
我々は錯体化学を武器に生命化学に挑もうとしている.非金属系の原子が金属イオンに配位して出来る金属錯体を研究する錯体化学が,なぜ生命化学研究と繋がるのか?
我々の体の多くは有機物で構成されているが,少量の鉄や銅,亜鉛などの金属イオンが含まれている.この少量の金属イオンは単に存在するのではなく,生命を維持するために重要な役割を担っている.生体内の金属イオンの多くは蛋白質にくるまれ,多様で魅力ある化学反応を促進している.金属イオンを含む蛋白質は金属タンパク質と呼ばれているが,金属蛋白質の中で金属イオンは,蛋白質と金属イオンとの相互作用(配位結合の距離,角度,数)の違いやその周りの環境によって異なる化学反応を促進する.我々,錯体化学者の目には金属タンパク質は大きな金属錯体にしか見えない.我々は,有機合成化学を駆使し,蛋白質の代わりとなるような複雑な構造をもつオリジナル配位子,オリジナル錯体を合成している.
生体の中で魅力ある化学反応を担っている金属タンパク質の働きの秘密を錯体化学の力で解き明かしたい.秘密を解き明かし触媒やセンサーなどの人類に有用な機能性物質を作りだしたい.秘密を解き明かし新しい薬を作りだしたい.これが我々の根源的な研究動機である.
キーワード:金属酵素・酸化反応・細胞・環境・触媒・診断薬・センサー・酸化ストレス・抗酸化剤
酸化反応は工業プロセスの大半を占めているが,高温・高圧など多大なエネルギーが必要とされ環境負荷も大きい.そのため,エネルギー効率が高く,環境に優しい酸化反応プロセスが求められている.我々は,生体内で金属酵素が行う酸化反応に着目し,金属酵素と同じ機能を発現する様々な金属錯体を開発し,この問題の解決に取り組んでいる.
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白金錯体であるシスプラチンは現在,抗がん剤として使用されているが,シスプラチン耐性を有する癌が存在するために次世代の抗がん剤の開発が望まれている.我々は,自然界に存在する金属酵素をもとにDNAを自在に操ることのできる金属錯体の開発を目指している.
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Inorg. Chem., 44, 691-702 (2005).![]()
我々の体の中には様々なセンサー蛋白質が存在し生命活動を制御している.我々はこれらのセンサー蛋白質の機能に着目し,細胞内の出来事を細胞を壊さずに観察したり,機能を制御する分子ツールを開発し,病気の早期発見や治療に役立てようとしている.
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Anal. Chem.Vol. 83, No. 24, 9213-9216 (2011).![]()
我々は独自に1層のポルフィリン被膜を有する極小金ナノ粒子の開発に成功している.現在,新しい医療診断薬としての応用展開を図っている.
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光合成は人類が手本とすべき究極のエコシステムである.水分子から酸素分子と水素分子を発生させる金属錯体を開発し,光エネルギーを水素エネルギーに変換するシステムの開発を目指している.
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