第1部 イスラーム財産法の手引

 

第1章:イスラーム財産法とは

序.

「イスラーム法」とは、アラビア語の「フィクフ(fiqh)」の訳語である。「フィクフ」とは「理解する、知る」を意味するアラビア語語根「F-Q-H」の動名詞形であり、語源的には「理解」を意味する。この「フィクフ≒イスラーム法学」を、伝統的イスラーム学は、「個別的な典拠から演繹されたシャリーアに基づく行為諸規範の学」と定義している。シャリーアとはアッラーフの御教え自体、即ちクルアーンと真正のスンナ(預言者の言行)の教えの総体である。

イスラーム法学の目的は行為規範の定立にあるが、そのカヴァーする領域は近代西欧の法の場合とは異なり人間生活の全領域に及ぶ。西欧の法は「私法」と「公法」に大別されるが、イスラーム法は、神と人間の関係を扱う宗教儀礼「神事(イバーダート)」と人間同士の関係を扱う「人事(ムアーマラート)」に大別される。このイスラーム法の「神事(イバーダート)」については、著者は拙著『イスラーム法の存立構造 - ハンバリー派フィクフ神事編』においてその概要を示した。本シリーズ『イスラーム私法・公法概説』はその続編にあたり、イスラーム法の全体から「神事(イバーダート)」を除いたもの、つまり人間同士の関係を扱う「人事(ムアーマラート)」のハンバリー派法学の立場からの概論となる。『イスラーム法の存立構造』の続編であるため、イスラーム法の一般的性格、歴史、基本概念、ハンバリー法学史などの詳細については同書に譲る。読者諸賢には、宜しくご参照ありたい。ハンバリー派と他のスンナ派3法学派の神事における具体的な違いについては、『イスラーム法の存立構造』148-162,237-249頁の中で具体例をあげて示してあるが、財産法について他学派の見解を知るたい場合、柳橋博之『イスラーム財産法の成立を変容』を参照されたい。同書は、本書のような入門書ではなく、専門書であるが、主としてハナフィー派とマーリキー派の事例を詳細に扱い、シャーフィイー派にも折に触れて言及しているが、ハンバリー派についての記述は手薄であるため、本書と併せ読まれることは有益であろう。

『イスラーム法の存立構造』においてその神事編を訳出したハンバリー派古典法学綱要『ザード・アル=ムスタクニウ(満足を求める者の糧)』の「人事(ムアーマラート)」の章立ては、以下の21章の構成になっている。

 

第1章                            売買

第2章                            寄進

第3章                            遺贈

第4章                            遺留分

第5章                            奴隷解放

第6章                            婚姻

第7章                            離婚

第8章                            イーラーゥ離婚

第9章                            ズィハール離婚

第10章                     リアーン離婚

第11章                     待婚期間

第12章                     授乳

第13章                     扶養

第14章                     傷害・殺人罪

第15章                     傷害・殺人賠償

第16章                     法定刑

第17章                     食物

第18章                     誓言

第19章                     裁判

第20章                     証言

第21章                     認諾

 

このうちの「売買、寄進、遺贈」は、民法の財産法に、「遺留分、奴隷解放、婚姻、離婚、イーラーゥ離婚、ズィハール離婚、リアーン離婚、待婚期間、授乳、扶養」は民法の身分法にほぼ相当し、残りの「傷害・殺人罪、傷害・殺人賠償、法定刑、食物、誓言、裁判、証言、認諾」は「食物」を除いていずれも公法に分類される。

そこで本シリーズでは、「売買、寄進、遺贈」を第1巻『イスラーム私法・公法概説 - 財産法編』(つまり本巻)、「遺留分、奴隷解放、婚姻、離婚」を第2巻『イスラーム私法・公法概説 - 身分法編』、そして「傷害・殺人罪、傷害・殺人賠償、法定刑、食物、誓言、裁判、証言、認諾」に公法の重要な主題である「聖戦」を加えたものを、第3巻『イスラーム私法・公法概説 - 公法編』として纏めることにする。

イスラーム・スンナ派法学には、ハナフィー派、マーリキー派、シャーフィイー派、ハンバリー派の4つの法学派がある。本シリーズは『イスラーム法の存立構造 - ハンバリー派フィクフ神事編』の続編としてハンバリー派法学に基づいて、イスラーム私法・公法を概説する。

ハンバリー派は信奉者の数においてはスンナ派4法学派の中でも最小であるが、現代のスンナ派イスラーム世界でイスラーム法に基づく統治の原則を掲げる唯一の国であるサウディアラビアの「公式」学派である。サウディアラビアの統治基本法は、第1条に「・・・その憲法はクルアーンと使徒のスンナである・・・」、第7条に「統治の権威はクルアーンと使徒のスンナに由来し、クルアーンとスンナがこの基本法及び全ての国家法を規定する」、第23条に「国家はイスラームの信条を護り、イスラーム法(シャリーア)を適用する・・・」と定めているる。そして1928年のアブド・アル=アズィーズ王の勅令によって、サウディアラビアの司法はハンバリー派の法学書の古典を司法の「法源」とすることが定められている。本シリーズがその訳注を収める『ザード・アル=ムスタクニウ(満足を求める者の糧)』も、このアブド・アル=アズィーズ王の勅令によってサウディアラビアの私法の法源として指定された10冊のハンバリー派の古典法学書のうちの1冊である。それゆえ本書は古典法学の概説であると同時に、現在のサウディアラビアの「生きた法」の理解の手引きともなっているのである。

イスラーム法は、1400年の歴史の変遷の中で、西はモロッコ・サハラ砂漠から東はインドネシアの熱帯樹林まで、時と場所を行われてきた。「イスラーム法はあらゆる時代にあらゆる場所で妥当する(­±liÆ fµ kull mak±n wa-kull zam±n)」とは、単なるスローガンではなく、歴史的事実である。

本書が、イスラーム学を学ぶ者にとっての入門書であると同時に、イスラーム世界の人々の考え方の理解にも役に立つもとなれば、筆者にとって望外の幸せである。

 

2.イスラーム財産法の主題

イスラーム法は人間のすべての行為を「義務行為(w±jib)」、「推奨行為(mustaÆabb, mand¹b)」、「合法行為(mub±Æ)」、「自粛行為(makr¹h)」、「禁止行為(Æar±m)」の5範疇に分ける。

「義務行為」とは「それを行わないことに懲罰が定められ、それを行うことに報償が定められている行為」、「推奨行為」とは「それを行わなくとも懲罰が課されず、それを行えば報償が定められている行為」、「合法行為」とは「それを行うことにも行わないことにも懲罰も報償も定められていない行為」、 「自粛行為」は「推奨行為」の逆で「それを行っても懲罰は課されないが、行わないことに報償の定めのある行為」、「禁止行為」とは「義務行為」の逆で「それを行うことに懲罰が定められており、行わないことに報償が定められている行為」を意味する。なお、ここで言う「懲罰」「報償」はすべて来世での最後の審判によるものであり、現世における地上の権力とは関係がない。

イスラーム法の神事編においては、ことが宗教儀礼にかかわることであり、それぞれの行為がこの5範疇のいずれにあたるのか、特に義務行為の確定が議論の中心であった。一方、公法の刑法においては、禁止行為がその中心的主題となる。他方、民法では近代西欧法でも私的自治の原則があるように、ほとんどの行為が上記の5範疇においては合法行為の範疇であり、イスラームの禁ずる利息、推奨する無利息消費貸借等のような問題を除いて、議論の中心は、行為の法律効果、即ち、有効、無効、あるいは取消の可否などであり、行為の5範疇ではない。

西欧法の民法の基本原則の一つに私的自治、あるいは契約自由の原則がある。一方、イスラーム法学は、「ムスリムは約款の上にある(Ôal± shr¹»)」とハディースの法諺が示すように、私的自治を認めているが、「おおまかな傾向として、イスラームの契約法は私的自治を認めず、限定的に列挙された契約類型の内容や法律効果は厳格に定められている」と柳橋博之が指摘する通り(柳橋博之『イスラーム財産法の成立を変容』創文社1998年196頁)、私的自治の範囲が狭く、主として「売買」章の中で、様々な契約類型の是非を決疑論的に叙述する傾向がある。

『ザード・アル=ムスタクニウ』の民法編の大部分を占める「売買」の部は以下に見出しを列挙する24の章に分けられている。

約款、取消権、リバー(不等価交換)と両替、果実と元物、先物売買、消費貸借、質、連帯保証、債務引受、和解、禁治産、委任、組合契約、果樹撒水契約、賃約、競争、使用貸借、侵奪、先買権、寄託、無主荒蕪地の開墾、懸賞、拾得物、拾い子。

この見出しにも、イスラーム民法の包括性が理解されると同時に、イスラーム文明の歴史の中で営まれてきた様々な商取引の姿が垣間見ることができよう。

 

3.イスラーム財産法の主体

イスラーム法神事編とイスラーム公法の規定は、主として「責任能力者(mukallaf)」に関わる。イスラーム法は責任能力者の条件を、理性、成人(第二次性徴、あるいは15歳)としている。一方、財産法においては、「責任能力者」と並んで「行為能力者」の概念が重要である。「行為能力者」をアラビア語では「j±Õiz ta­arruf(物事の自由な処理が許されてできる者)」と呼ぶが、「行為能力者」になるには、「rushd(管財能力)」を有さなくてはならない。成人した責任能力者の行った法律行為は有効であるが、管財能力者になった判断されない限り、彼は制限能力者であり、その法律行為の効力は不確定であり、後見人による取消しが可能である。イスラーム法の通説では、この「管財能力(rushd)」は個体差があるため年齢を特定されないが、アブー・ハニーファは25歳としており、シリア民法は18歳(太陽暦)、エジプト民法は21歳(太陽暦)としている。

イスラーム法はその実効性を来世での懲罰と報償によって担保されている。それゆえイスラーム法の主体は身体を有する「自然人」に限られる。即ちイスラーム法が法人概念を認めないのは神学的必然である。イスラーム法の財産法と西欧法の財産法の間の最大の相違はこのイスラーム法における法人概念の不在であろう。ここでは「会社」の概念を例に、イスラーム法と西欧法の違いを概観しよう。

現代アラビア語では「company(会社)」と訳される単語は「シャリカ(sharikah)」である。「シャリカ」の原義は「共同」であるが、ハンバリー派の財産法は、以下の5種類のシャリカを認めている。

第一は、「並鞍(Ôin±n)シャリカ」で、二人が資本金を出し合い、相互に代理人として共同事業を行い、利益を合意した比率で分配する。

第二は、「匿名組合(mu½±rabah)シャリカ」で、一方が資本金を提供し、他方がその代理人として労働力を提供し、利益を合意した比率で分配する。

第三は、「顔役(wuj¹h)シャリカ」。二人が相互に連帯保証人となり、信用で仕入れをし、相互に代理人として売買を行い、利益を合意した比率で分配する。

第四は、「肉体労務(abd±n)シャリカ」、二人で仕事を請負い、連帯で履行義務を負い、利益は合意の比率で分配する。

第五は、「委任シャリカ」で、二人のどちらかが他方に法律行為の全てを委任し、利益は合意した比率で分配し、損失は出資額に応じて分配する。

これらのシャリカは必ずしも二人の間の契約でなければならないわけではないが、定義が双数形で記述されていることからも分かるとおり、典型的には二人の個人間の契約である。

つまりこれらは法人格を持つ社団ではなく、我が国の民法上の組合にあたり、基本的に団体というよりも個々の各組合員の契約関係なのである。それゆえ本書ではシャリカを組合と訳すことにする。

イスラーム財産法において、あらゆる人間は、独自の人格を持った個人として、自らの責任によって、法律行為を行う。イスラーム法は、人間が各自の人格性を奪われ没個性の組織の歯車と化す人間疎外の可能性を排除すると同時に、誰にも組織に責任を押し付け自らの責任を逃れることを許さないのである。

 

4.契約

イスラーム私法における最重要概念の一つに「契約(アクド)」がある。

アッラーは創造主であり、人間は被造物である。被造物と創造主に対する関係は「服従・帰依(イスラーム)」であり、対等な当事者間の合意を基礎とする契約ではない。『旧約聖書』を神との古い契約書、『新約聖書』を新しい契約書とするキリスト教の発想はイスラームには無い。それゆえ神と人間の関係を律するイスラーム神事法(イバーダート)には、「契約」は場を占めない。『ザード・アル=ムスタクニウ』においても「浄化」章、「礼拝」章、「浄財」章、「斎戒」章、「巡礼」章には「契約」の語は一切現れない。

またイスラーム公法においても、その中心的主題は、アッラーの定めた法規定である。例外的に「契約」が論じられるのは、イマーム(カリフ)が選挙人団と結ぶ君臣契約、異教徒居留民と結ぶ庇護契約、敵軍との間で締結する和議・休戦協定であり、いずれも戦時国際法「戦争(ジハード)」章の中で論じられるのが通例となっている。なお、「ジハード(戦争)」章は、『ザード・アル=ムスタクニウ』では神事(イバーダート)に分類しているが、法規の内実は異教徒との間の戦時国際法であり公法に分類すべきであり、事実、ハンバリー派法学者イブン・クダーマ(ヒジュラ暦620年没)の『十全(al=K±fµ)』など、多くの法学書は、「ジハード(戦争)」を殺人・傷害、法定刑と並べて公法といし論じている。

イスラーム私法においては、身分法においても、婚姻が契約である他、奴隷解放にも契約の形式が存在するが、やはり契約が中心的主題になるのは財産法である。

イスラーム法においても日本の民法の場合と同じく、契約の基本的な構成要件は、「申込(イージャーブ)」と「承諾(カブール)」であり、さまざまな種類がある。契約は、典型契約/非典型契約、諾成契約/要物契約、有償契約/無償契約、などに分類されるが、以下に日本の民法と比較しながら、イスラーム民法の契約概念を概観しよう。

日本民法の定める典型契約には贈与売買交換消費貸借使用貸借賃貸借雇傭請負委任寄託組合終身定期金和解の13種類があるが、日本民法上も死文化している終身定期金を除いて、イスラーム民法にもこれらに対応する契約類型を有している。但しイスラームでは、物の使用収益と人間の労務を同一の用益権(マンファア)として理解するので、賃貸借と雇用は、賃契約(イジャーラ)という単一の類型として論じられる。またイスラーム法は、契約の有効性の条件を厳密に定めているため、それらの条件に抵触する可能性があるが例外的に有効と認められる場合を典型契約として列挙している。『ザード・アル=ムスタクニウ』では、栽培契約、懸賞契約、競争契約を、これらの例外的典型契約と呼ぶことが出来よう。

イスラーム法にも契約両当事者が共に相手に債務を負う双務契約と一方のみが債務を負う片務契約の区別があり、典型的には売買が双務契約、贈与が片務契約であるが、この点においては、イスラーム民法と日本の民法に大きな差はない。

諾成契約と要物契約については、イスラームでは利息(リバー)を禁ずるため、リバー商品と言われる特定の財物の交換は要物契約とされている。特に通貨の交換が要物契約とされているのがイスラーム法の大きな特徴である。

また有償契約と無償契約においても、このリバーの金糸により、日本の民法では許される有償消費貸借、有償消費寄託(利息付銀行預金)の契約が、無効であるばかりでなく禁じられることになる。

 

5.財

物権と債権の区別は、西欧の法学においては基本的なものであるが、イスラーム法学では副次的でしかない。日本の民法においては、土地は物権の中でも特殊な扱いを受け、土地だけが、地上権、永小作権、地役権、入会権といった用益物権の対象となる。イスラーム法学

ではハナフィー派を除き、寄進の諸規定等を除き土地が特別扱いされることはない。

むしろイスラーム財産法における重要な区分は、売買などの取引の対象となるものの、財(マール)と用益(マンファア)の大別であろう。イスラーム法学は、住宅、家畜などの物の使用益、土地の使用益、人間の労務を区別せず用益と呼ぶ。、したがって、雇用と賃貸借は、どちらも用益の対価に賃料を支払う賃契約として扱われることになる。

また財は有体物(アイン、ラカバ)であるが、イスラーム法上、全ての有体物が財であるわけではない。禁じられたもの、不浄なものは財ではない。酒、豚、死肉など財ではないため、ムスリムにはそれらの商取引は禁じられている。問題となるのは、異教徒によるそれらの取引が法的保護を受けるかどうかであるが、これについては法学派の間だけでなく、ハンバリー派の中でも見解が分かれている。また逆に自由人やクルアーン写本は、その高貴性から売買が禁じられており、やはり財物性を持たない。

用益にもまた取引の対象にならないものがある。不浄、禁じられた有体物は、その用益も禁じられている。但し不浄なものであっても用益によっては許される例外としては、家畜の番犬、猟犬としての犬の売買などがある。既述の通り、イスラーム財産法では、人間の労務と物の使用益を区別せず用益(マンファア)と呼ぶ。人間の労務の場合の禁じられた用益としては、性交があげられる。夫婦以外の性行為を用益とする売春は、イスラーム刑法により姦通罪にあたり、厳しく禁じられている。また住居を異教の教会に転用すること、酒場、売春宿に転用することも、禁じられた用益であり、禁じられている。

寄進は、永続性のある有体物の財の所有権を凍結し、用益だけを敬虔な目的のために奉献する特殊な財産行為であるが、寄進は、モスクやイスラーム教育機関(マドラサ)の設立、運営のための法的基礎となり、イスラーム史上、きわめて重要な役割を担った。寄進のこの重

要性のためか、『ザード・アル=ムスタクニウ』においても、一般的な贈与は「寄進の書」の下位部門に位置づけられている。

 

6.契約の無効と取消

脅迫や詐欺があった場合に契約が無効になるのは、我が国の民法もイスラーム法も同じである。既述の通り、イスラーム民法には、私的自治がない、とも言われている。しかし日本の民法でも強行法規に反する契約、公序良俗に反する契約は無効とされている。重婚のようにイスラーム法では合法で有効な契約が日本の民法では公序良俗に反するとして無効とされる場合もあるのである。今日では資本主義社会の発展により、資本主義社会でも私的自治への制限がますます強化されつつあり、私的自治が上位の規範によって制限を蒙ることの妥当性は広く認められつつある。世界史的な視野で見た場合、イスラーム法が特に私的自治を認めていない、ということではないことを確認した上で、ここでは特殊イスラーム法的に契約が無効になる以下の三つの例、(1)リバー(不等価交換)、(2)ダイン(債権債務)によるダイン(債権債務)の売買、(3)二つの附款、の禁止である。

(1)「リバー」は通例「利息」と訳される。しかしイスラーム法のリバーの概念はより広く、むしろ「不等価交換」とでも訳すべきものである。

イスラームは、金銀等、重量容積の計量によって売買される物の不等価交換を禁ずる。これがリバーの禁止である。イスラーム法は、リバーの禁止を、①上乗せのリバー、②後払いのリバー、に二分する。①上乗せのリバーの禁止とは、量の違う同種のものの交換の禁止であり、②後払いのリバーの禁止とは、金銀の交換において一方が他方に現金を渡し、その対価として一定期間の後に、それより多額の現金を受け取ることで、この後払いのリバーの禁止が、我々の許での利息の禁止に当たるのである。

(2)「ダイン」とは、債権あるいは債務を指し、イスラームの禁ずる「ダインによるダインの売買」とは、何かの取引において、対価のどちらもその場で支払われず後払いの債務となる契約である。ダインによるダインの売買の禁止により、債券たる株式の空売りなどは禁じられることになる。

(3)二つの附款の禁止とは、売買と消費貸借を組合すような二つの契約の併合であり、射倖、リバーの禁止などに抵触する脱法行為への道を開くが故にイスラーム法は、二つの附款を禁じているのである。

またイスラーム法は(1)商談の場の取消権、(2)取消期間特約による取消権、(3)「欺罔、(4)粉飾の取消権、(5)瑕疵の取消権、(6)不当価格告知による取消権、(7)両契約当事者間の対立による取消権であり、(8)品質の相違と外観の変化による取消権、の8つのケースに追認と取消の選択の取消権を認めている。

その他に取消が認められるのは、制限行為能力者や禁治産者の行った契約などがある。

 

7.担保制度

日本民法は、債権の履行の確保のために、物的担保として、留置権、先取特権、抵当権、質権、人的担保として、保障契約、連帯保証契約を認めている。

イスラーム財産法は、物的担保としての留置権、先取特権を分節化していない。またイスラーム法は「動産」の対概念としての「不動産(Ôik±r)」概念を持つが、「不動産」に他の財と区別された特別な地位を殆ど与えていないため、不動産のみに設定される抵当権もイスラーム民法には存在しない。したがってイスラーム民法の認める物的担保制度は質権だけとなる。

人的担保については、イスラーム財産法は、連帯保証(½am±n)と連行保障(kaf±lah)の二つの規定を設けている。連帯保証は我が国の民法の連帯保証と同様に、債権者は主たる債務者、連帯保証人のいずれに対しても同じように履行を請求することができる。

連行保証とは、イスラーム財産法に独自の制度で、債務者を債権者の許に連行することを自らに貸す契約である。債務者が死亡した場合は、連行保証人の責任も消滅するが、債務者が生きている場合に、債権者の許に連行できなかった場合は、連行保証人が、債務者の債務を負うことになる。

 

8.イスラーム財産法の哲学

イスラームの教義の核心は偶像崇拝の禁止である。そして私見では、イスラーム財産法の根底にもこの偶像崇拝の禁止の教えが横たわっている。

イスラームは食欲や性欲などの人間の自然的生理的欲求を否定しない。イスラームが否定するのは、アッラーの創造になる自然から乖離した人間の妄念が作り上げた虚構、即ち、実体のない記号、偶像化した欲望である。自然的生理的な欲求は人間の生存に必要であり、必要を満たせば終息する有限なものである。しかし記号、偶像化した欲望は実体を持たないが故に無限に自己増殖する。権力、名誉、地位など、偶像化した欲望は、決して満たされることはなく、塩水を飲む者が、飲めば飲むほどますます渇くように、手に入れれば手に入れるほどますます欲望が肥大する。富もまたそうであり、その象徴が貨幣である。

貨幣は対応する自然的生理的欲求を持たない純粋な記号であるが故に、無限の欲望の対象となる。「己の欲望を自らの神とする者をお前は見たか」(クルアーン45章22節)とアッラーが言われるとおり、己の欲望を神とすることが偶像崇拝の本質であるなら、自然的本能のフィードバックの制御を超えて無限に肥大し、人間を支配し隷従させる貨幣こそ、まさに偶像神マモンに他ならない。

イスラーム財産法は、この欲望の記号化=偶像崇拝の阻止を目的としているのである。ダインによるダインの売買は、債権を物権から遊離せしめ、記号の浮遊への道を開き、人間の欲望の無限の肥大化のプロセスを起動させ、人間を欺き隷従させる虚構の仮想現実(バーチャル・リアリティ)の出来による偶像崇拝を引き起こすが故に禁止されなければならないのである。

二つの附款による契約の結合の禁止も同様である。一つの約款からなる一つの契約が、物、あるいは現実の事態の言語記号による整序であるが故に認められるのに対して、二つ以上の附款、二つ以上の契約の結合は、現実とは遊離した仮想現実(仮定条件)の間の言語記号上での操作であるため、やはり偶像崇拝の危険があるため、禁じられるのである。

労働、すなわち現実の世界との関わりを介さずに、貨幣という記号が自己増殖するかのような表象を呈するリバー取引が禁じられるのも、そこに偶像崇拝の危険が感知されるからだと考えることもできよう。

但しリバーの禁止にはより明白な理由がある。それは不正の峻拒である。

アッラーは言われる。「信託物は正当な主に引き渡すように、また人々を裁くときは公正に裁くように、アッラーはお前たちに命じ給う」(クルアーン4章58節)

ハンバリー派の大学者イブン・タイミーヤ(1328年没)が、クルアーンのこの節は信託物の正当な持ち主への返却と、正義に基づく裁きを義務付けており、この二つの原則が公正な政治と正しい統治の全てを尽くしている、と述べている通り(イブン・タイミーヤ『イスラーム政治論』日本サウジアラビア協会1991年22頁参照)、正義の確立こそが、イスラームの政治経済学(political economy)の要諦である。

経済における正義の基本は等価交換であり、イスラーム財産法は、可能な限り等価交換を貫徹しようとする。元金に対して、利息分が上乗せされた対価を受け取る明白な「不等価交換

」であるリバーがイスラームにおいて厳禁されるのはけだし当然なのである。等価交換の貫徹への志向性は、イスラーム財産法が、契約の時点で商品の品質が確定的に知られていることを条件付けていることをも説明する。商品の価値が予め知られていることは等価交換成立のための不可欠な前提条件だからである。同様に偶然に作用される不確定要素を伴う多額の対価を少額の支払によって入手する射倖性を有する一切の取引が無効として忌避される。賭博が禁じられるのは言うまでもなく、不労所得の一攫千金を夢見る宝籤のような売買もイスラーム財産法は認めないのである。

貨幣はその純粋な記号性の故に欲望の無限の肥大化を解発し偶像と化す危険がある。イスラームは、貨幣の所有が自己目的となり退蔵され偶像化するのを防ぎ、貨幣を交換価値にとどめるための様々なレベルの装置を有している。

神事編で詳述した通り、イスラーム法は、年収ではなく一年間の退蔵資産に宗教税である浄財を課している。金銀の場合の浄財の率は2.5%になる。イスラーム財産法はリバーの禁止に抵触する利息付消費貸借を禁じているが、「ムスリムがムスリムに2回消費貸借を施せば、一回の自由喜捨を施したに等しい」 とのハディースを典拠に、来世での大きな報償を約束し無償消費貸借を推奨している。つまりイスラーム法は、神と人間との関係(神事)、人間と人間との関係(人事)の有機的な結合により、貨幣の退蔵による偶像崇拝の危険を回避すると同時に、貨幣と財物の流通、需要の充足の促進を図っているのである。

 

 

第2章:ハンバリー法学派財産法概説

 

第1節 典型契約

1. 売買

(1)総論

売買は、「財、あるいは用益(manfaÔah)の、それぞれの等価のものとの永続的な交換」と定義され、その構成要件は、 「申込」と、「承諾」である。

(2)有効条件

売買が有効であるためには、以下の7条件を満たす必要がある。

売買には以下の[7つの]条件がある。

                 契約当事者双方の合意。

                 契約締結者が行為能力者(j±'iz al=ta­arruf)であるこ。

                 有体物(‛ain)の合法性。

                 契約が(取引物件の)所有者かその代りの者によること。

                 物件が、受渡し可能であること。

                 物件が実見か説明によって知られていること。

                 価格が契約当事者双方に知られていること。

(3)無効化事項

その他、特に以下のような事項は、売買契約を無効にする。

     金曜集合礼拝の義務被負荷者の礼拝告知の召集後の契約行為。

     酒造りへの果汁の売却。

     内乱時の武器販売。

     ムスリム奴隷の異教徒への売却。

     他人の商談への割込み。リバー商品(不等価交換禁止財)の後払いによる決算。

イスラーム財産法は、契約に約款を付すことを厳しく制限している。二つ以上の附款は無条件に禁じており、一つの不款についても、(a)有効な約款と(b)無効な約款を、予め以下のように定めている。

(a)質、代金の後払い、奴隷の品質の条件、住宅の売主の特定期間の居住猶予、商品の運搬や、加工などの附款は有効である。

(b)売買契約の附款にはその契約自体を無効とする約款と、売買契約が有効だがその附款だけが無効になる約款がある。

前者の例としては、一つの売買契約と、別の売買、先物売買、貸与、賃貸、両替などの契約の結合の附款がある。

後者の例としては、転売した場合に売主が損をしないとの約款、買主がその品を転売できなかれば返却するとの約款、その品を買主が転売、贈与、その品が奴隷であった場合には解放しないこと、解放した場合には売主が監護権を保持するとの約款がある。

(4)取消権

イスラーム財産法は、以下の8つの場合に売買契約の追認か取消の選択を認める取消権を定めている。

     商談の場の取消権。商慣習上、商談の場から離れたとみなしうるのでない限り、当事者の双方に商談の場における取消権が認められる。売買、調停、賃貸、両替、先物売買においては認められる。商談の場を去ることによって商談の場における取消権の有効期間が過ぎれば、売買は確定する。

但し、重量、体積、長さなどの計量で売買される商品については、契約によって売買が確定しても、商品の受け渡し前には、買主にはその処分権はなく、売主に危険負担と保障責任があり、天災によって商品が毀滅すれば、その契約は無効になる。

     期限特約取消権。両当事者が契約において、一定期間の取消権を特約したものである。 なお、商談の取消権と期限特約取消権の期間中、商品の所有権は買主にあり、分離可能な商品の法定果実は買主の物となる。

     欺罔取消権。さくらを使った取引などがこれにあたる。

     粉飾取消権。水を予め集めておいて、商談の場でだけ送水できるようにしておいた水車を売ることなどが粉飾とみなされる。

     瑕疵取消権。買主は契約後に瑕疵を見つけた場合は、良品の価格と瑕疵ある不良品の価格の価格の補填を得てそれを引き取るか、返却して代価を取り戻すかの選択権を有する。

     告知取消権。売値が不当に高価か廉価かが、後に判明した場合に、それを告知することによる取消権。

     両契約当事者間の対立による取消権。両者が価格について対立した場合、双方共に取消権がある。

     性状の相違と外観の変化による取消権。受け渡された商品が契約時の説明と相違した場合の取消権である。

 

2. リバー(不等価交換)

(1)   総論

リバー(不等価交換)とは、体積、重量で計量される同種のもの同士を、異なる価で売買することであり、イスラーム法はこれを厳禁する。リバー(不等価交換)には①「上乗せのリバー」と②「後払いのリバー」の2種類がある。俗に「利息」と訳されるのは②「後払いのリバー」である。

リバーは「戦争の家」でのムスリムと敵地在住の異教徒との間の取引においても禁じられる。

(1)上乗せのリバー

体積、重量で計量される同種のものは、同量でその場で交換されねばならない。不等量の交換は上乗せのリバーとして禁じられる。

(2)   後払いのリバー

体積、重量で計量される同種のものは、同量でその場で交換されねばならないが、後払いでより多い量を得ることでの交換が、後払いのリバーで禁じられる。また後払いであっても、等量、あるいはより少ない量を得る交換であれば許される。

(3)両替

金貨と銀貨の交換(両替)は、即座で現物が引渡されねばならず、後払い分の契約は無効となる。

(4)債務売買

債務を対価とする債務の売買は商品の如何を問わず、無条件に禁じられる。

 

3. 元物と果実の売買

(1)総論

イスラーム財産法は天然果実の売買を特記し、法定果実にも個別の規定を与えている。

(2)土地、家屋

家を買った場合、融合している土地、建物、屋根、扉、階段などは含まれ、家の中に残された宝物、じゅうたん、鍵など家とは分離されたものは含まれない。土地を売った場合は、その土地の上にある草と建物を含む。小麦や大麦のような収穫が一回きりの農作物があれば、それは売主の所有、繰り返し刈り入れ、摘み取りできるものであれば、その基幹は買主のものとなるが、売買の時点で刈り入れ、摘み取りが目前であった場合は、それは売主のものとなる。

(3)果樹、農産物

肉穂花が開いたナツメヤシ、ブドウ、リンゴなどの木を売った者は、果実は収穫まで売主の所有となる。果実、農産物は成熟前の売買は無効である。成熟後の売買は合法で、買主にはそれを収穫まで放置する権利があり、売主にはその世話が義務となる。

果実は売主が危険負担し、天災で失われれば売主が補償する。人災の場合は、買主は契約取消か、追認と加害者への賠償請求のいずれかの選択権を得る。

 

4. 先物取引

(1)総論

先物取引とは、明記された事物について受け渡し期限を定めて、商談の現場で代価を受け渡す契約であり、「売買」、「先物取引」、「先払い」の文言により有効となる。

(2)有効条件

先物取引の有効性には以下の7つの条件がある。

①体積、重、長さで測るものについては、その諸性状の確定。個体差があるものついては先物取引は有効でない。

②価格に影響するすべての性状、新旧の言及

③量、重さ、長さによる商品の大きさの明示。

④価格に影響する特定期間の言及であり、即金は有効でない。

⑤支払期日に商品が引渡履行の場所に存在することが蓋然的であること。

⑥商談の場での対価の全額取得。

⑦権利義務上のものについての契約であることで、現物については有効でない。

(3)無効事項

先物商品はその受け渡し前の売買、贈与、その債務引受、その代償の取得、質権設定、連行保証は有効ではない。

 

5.消費貸借

(1)総論

「財をその受益者に与え、その代替物を戻すこと」と定義され、推奨行為である。消費貸借物はその受取により所有され、そのもの自体の返却が課されることはなく、等質、あるいは等価の代替物の返還義務が満期によって確定する。

(2)禁止事項

利益をもたらす特約は全て禁じられる。借主がそれを借りる以前に習慣になかったものを貸主に消費貸借物)返却前に贈れば、貸主がその贈物の相当の返礼か自分の債権からのそれ以上の差引を意図していない限り、受取は許されない。

 

6. 質

(1)   総論

質とは、それ自体、あるいはその代価によって債務の償還を可能とする債務の担保。 

契約による権利の発生以降、確定した負債に基づいて有効となり、質権設定者のみを拘束する。質はその引渡により確定拘束し、その占有の存続が条件である。質権設定者と質権者の合意がない限り、質物は処分は執行されない。

(2)質物の保管

質物は質権設定者と質権者が合意した者の許におかれる。質権設定者は質物の維持、保管費を負担し、毀滅の危険も負担する。質物は質権者の占有する受託物であり、質権者の踰越なくして毀損した場合は、質権者に保証責任はない。また質権者には、質物の維持保管費の充当のための質物からの受益が許される。

(3)質物の処分

満期になっても質権設定者が債務を返済しない場合、質権設定者が質権者か公正な第三者にその売却を許可していれば、それを売って債務返済に充てる。もしそうでなければ、為政者がその債務の返済か質物の売却を強制し、質権設定者がそのいずれも行わなければ為政者がそれを売って質権設定者の債務返済に充てる。

 

7.人的担保

(1)   総論

イスラーム財産法は、連帯保証と連行保証の二種類の人的担保制度を規定している。

(2)連帯保証

 債権者は保証人と被保証人の好きな方に生存時でも死亡後でも請求権がある。保証人は行為能力者であることを要するが、被保証人が誰か、債権者が誰かを知っていることは必要とならず、連帯保証は保証人の同意のみで成立する。

(2)   連行保証

 連行保証とは、管財能力者が、債務者を債権者の許に連行することを自らに課すことであり、被連行人の同意は必要なく、連行保証人の同意のみにより成立する。

被連行人を連行できないか、失踪したか、連行期限を超過した場合、連行保証人は被連行人の債務を保証する。但し被連行人が死ねば、連行保証人は免責される。

 

8.債務引受

(1)   総論

債務引受は「財の旧債務者から新債務者への移転」と定義される。

(2)   有効条件

確定した債務であることを要するが、引受債務の確定は必要とされない。2つの債務の、範疇、性状、返済期限、額の一致が条件となる。債務引受が発効すれば、債務は新債務者の責任に移転し、旧債務者は免責される。新債務者の同意は必要であるが、旧債務者の同意は必要とされず、債権者の承認もいらない。

 

9.和解

(1)総論

「和解(スルフ)」は、①ムスリムと異教徒の敵国人との間の和解、②官軍と賊軍の間の和解、③不仲な夫妻の間の和解、④財貨以外についての争議者間の和解、⑤財貨についての争議者間の和解、の5つに分類される。本書で扱うのは ⑤財貨についての争議者間の和解、である。

(2)有効条件

返済期限満期になった債務の一部を帳消しにし、残りを延期すれば、帳消しだけが有効である。期限前の債務者と、債務の一部だけを満期ということで支払って和解する、あるいは何かを代償に行為能力者に自分への隷属を認めさせる、あるいは女性に妻であると認めさせるよう取引するなどは、有効でない。

現物の借りか債務で訴えられた者が、沈黙するか否認して、その後に財貨で和解すれば、その和解は有効であるが、原告にとっては売買、被告にとっては免除となる。

窃盗、誣告法定刑、先買権と証言の取り下げの代償による和解は無効で、先買権と法定刑は消滅する。

 

10.禁治産

(1)総論

禁治産とはシャリーア上は「人にその財産の処分を禁ずること」を意味し、①破産者に対する場合のように他人の権利のための禁治産と、②小児の権利のためなどのようなその当人のための禁治産の2種類がある。

(2)他人の権利のための禁治産。

自分の債務を返済できない者はそれを請求されず、その監禁は禁じられる。また債務を返済する能力のある者も禁治産とはされず、その返済を命じられ、拒否すれば、貸主の請求に基づき監禁される。断固債務返済を拒否して、自分の富を売却しないようならば為政者がそれを売って債務を返済する。返済期限の過ぎた債務をその財産で完済しなかった者は、債権者たちの請求により、禁治産とすることが為政者の義務となり、その公表が好ましい。

破産の禁治産の主要規定は以下の4つに纏められる。

     破産者の財には債権者の権利が関わる。

     自分が売った物を破産者の許でみつけた者は、それに対しては他の者(債務者)より優先権を持つ。

     為政者は破産者の財を売却し、その代金を分配する。

     破産者への請求権の停止。

(3)当人の利益のための禁治産

 浪費者や小児や狂人は彼ら自身の利益のために禁治産とされる。

 子供が15才になるか、陰毛が生えるか、夢精があり、また狂人が正気に返り、両者が管財能力を備えるか、浪費者が管財能力を備えれば、彼らの禁治産は判決を要さずに解かれる。女子の成人は月経が加わり、妊娠すれば、成人と判断される。「管財能力」とは、度々商行為を行い、概してごまかされず、また禁じられたことや無益なことに自分の財産を浪費しないことによる財産運用の適切さである。

 禁治産時の彼らの後見人は先ず父、次いでその遺言執行人であり、次いで為政者である。後見人は、彼らの利益になることにしか、彼らの財産を処分してはいけない。後見人は禁治産者のために、無償で売買をするが、貧しい後見人は、被後見人の財産から、自分の必要か自分の賃金以下のものを取っても良い。

 

11.代理

(1)   総論

「代理」とは法学の専門用語としては「自分と同様な行為能力者に代行が可能な事項の代行を依頼すること」を意味する。代理は取消可契約であり、一方からの取消か死、代理人の解任、代理人の禁治産により無効となる。

(2)有効条件

代理の有効性には以下の5つの条件がある。

       法学専門用語としての代理と代理人の任命がこの5つの条件を満たすものであること。

       行為能力者であること。

       代理が可能な事項であること。

       代理人と本人が自分自身でそれが有効である者であること。

       代理が明記された事項についてであること。

 代理人は任されているのでない限り、代理を託されたことを別の者に更に代理に託することはできない。

(2)代理人の責任 

 売買の代理人は自分自身か自分の子と売買をしてはならない。標準価格以下か、自己評価額以下で売れば、契約自体は有効であるが、不足分を賠償する。代理人は、信用される受託者であり、懈怠がない限り、彼の占有中に毀損したものの賠償はしない。

 

12.組合

(1)   総論

組合とは「権利か、法律行為に於ける合同」であり、「所有の組合(共同所有)」、「契約の組合」、に大別され、「契約の組合」は①並鞍組合、②匿名組合、③顔役組合、④肉体労務組合、⑤委任組合、の5種に分かれる。

(2)   並鞍組合。

2人が両人の財産を共有し、それで事業を行い、両者[2人の財産]における2人の法律行為は自分の持ち分に関しては所有権の規定に従い、パートナーの持ち分に関しては代理人の規定に従って行為する。資本は両正貨であること、双方について両者合意の一定の利益配分を取り決めることが条件となる。匿名組合も同様。損失は出資額に応じて負担する。

(3)匿名組合

匿名組合は、その事業遂行者がその利益の一部を取る。契約続行中は、両者の合意がない限り、利益は分配されない。もし資本かその一部が法律行為の後に毀損するか、失われた場合、その分配か清算の前に利益から損失補填する。

(4)顔役組合

顔役組合は、2人が両名の信用で両名の負債で買うことであり、2人の利益は両名の間で分配。相互に代理人であり、価格について連帯保証人である。2人の間の所有権は2人が特約した通りであり、損失は2人の所有権に応じ、利益は2人が特約した通り。

(5)肉体労務組合

肉体労務組合は、2人が2人の肉体を使って稼いだものを共有する。一方が受けた仕事は両者ともその実行が課される。たとえ一方が病気になっても稼ぎは2人の間で分配される。もし健康な方が病人に代行者を立てることを要求すれば、病人にはそれは課される。

(6)委任組合

委任組合は、二人のどちらかがパートナーに各種の組合の金銭的肉体的法律行為の全てを委任する。利益は2人で条件をつけた通り、損失は出資額に応じて分配される。

 

13.ムサーカー(果樹撒水契約)

ムサーカーは、食用果物のなる木を果実の一部を対価に結手入れをする契約。取消可契約であり、木の所有者が取消せば労働者には賃金を貰う権利が生じ、もし労働者が果実が実る前に取消せば、彼には何の権利も生じない。

労働者には果実のためになること全て、耕作、水遣り、蔓刈り、受粉、日乾、その場の用意、水路整備、収穫などが課される。資本家には柵で囲んだり、水路を引いたり、水揚車などのような木のためになることが課される。

 

14.ムザーラア(小作契約)

ムザーラア(小作)は土地の産するものの一定の率の部分を地主か労働者のものと定めることによって有効となり、残りは地主のものとなる。

 

15.賃約

(1)総論

賃約は、確定契約であり、賃約発注者が用益享受を始めれば、期間満了前でも、賃約発注者に賃料金額支払いが課される。また賃約は、賃約されたものの毀損などによって取消されるが、契約者の一方の死や、賃約発注者の必要経費の喪失などによっては取消されない。

賃約が有効となるには、①用益が知られている、②賃金が知られている、③その用益が合法である、の3条件を満たさなければならない。

(2)賃約対象物の規定

 賃約の対象になるものには、 ①実見か、説明によってそれが知られている、②その部分ではなく用益について結ばれる、③引渡すことが可能である、逃亡奴隷、④そのものが用益を有する、⑤その用益が、賃約された者に許可されている、の5つ条件がある。

(3)賃約の義務。

 賃約受注者には、ラクダに手綱、鞍、腹帯、鞍籠、輿をつけること、住宅の施錠や修繕など、賃約注文者が用益を享有できるためのもの全ての提供が課される。

(4)賃約の種類

賃約労働者は、その用益が時間で計算される専属雇用人と、労働によってその用益が計算される共用雇用人に大別される。

専属費雇用人は自己の過失の保償はしない。

被雇用人は自らの行為によって毀損したものは賠償するが、保管下にあって壊れたもの、或いは自己の行為によらずして毀損したものについては、賠償はないが賃料もない。

賃料は期日が特約されていない限り、契約時の支払いが義務であり、責務となった仕事を引渡した時点でその請求権が生じる。

有効でない賃約によってものを受け取り、期間が過ぎた者には、標準価格の支払が課される。

 

16. 競争

競争は、徒歩、全ての動物、船、射撃について有効である。対価を定めた競争は有効でない。但し、ラクダと馬と弓矢は例外で、乗り物、射手、慣例に応じた距離を特定すれば有効。それは懸賞であり、各人に取消権がある。

 

17.無賃使用貸借

(1)   総論 

無賃使用貸借とは、「その享受後も存続する物の用益の許可」である。無賃使用貸借は用益を有するもの全てについて許されている。

(2)無賃使用貸借の義務

 無賃使用貸借物はたとえその賠償の否定を特約しても、壊れた日にその価格を賠償され、借主にはその返却にかかる費用も負担となるが、貸借した者の返却経費は借主の負担とはならない。

また無賃使用貸借の借主には又貸しは許されない。又借り人の手許で壊れたら、その価格の賠償は又借り人に課される。又貸しをした者には、第一貸主に対してその賃料が課される。そして第一貸主にはどちらでも好きな方に弁償を求める権利がある。

 

18.侵奪

(1)   総論

侵奪とは不動産であれ動産であれ、他人の権利を正当な権利なし力ずくで奪うことである。侵奪者による法律行為は無効である。

(2)侵奪の賠償

購入された犬、庇護民の酒は返還されるが、死獣の皮は返還されない。犬、酒、死獣の皮の毀損には賠償は無い。自由人を侵奪してもその賠償はないが、強制的に使役するか監禁すれば、彼にはその賃料の支払が課される。

侵奪者には侵奪物をたとえその原価の何倍も返還のために支払うことになろうとも、法定果実の増額分も合わせて返還することが課される。侵奪者が侵奪物の持主を知らなければ、持主に代わってそれを喜捨する。

規格品の侵奪物が毀滅すれば、その規格品で償われる。そうでなければ規格品以外なら、その毀損の日のその価格で賠償される。

侵奪者が侵奪物の持主を知らなければ、持主に代わってそれを喜捨する。

 

19.先買権

(1)   総論

先買権とは、自分の共有者の持分を、共有者の持分が財物代価によって移転した相手から、契約で決った対価で買い戻す優先権である。

先買権は、分割が義務である土地について定められており、それを回避する脱法行為は禁じられている。

(2)先買権の消滅

買主がそれを寄進、贈与、質入れすることによって処分すれば先買権は消滅する。先買権者が請求前に死ねばそれ先買権は無効になる。請求後に死んだなら、彼の相続人のものとなる。

先買権者は自己の持分を満額で買い取る。一部でも支払いが不能であれば、先買権は消滅する。

 

20.寄託

受寄者には、適切な保蔵庫での保管が課される。寄託物が毀損しても、彼に踰越、懈怠がなければ、賠償責任はない。

寄託者の許可を得た上での第3者への返却、懈怠なくしての毀損については、受寄者の言葉が容れられる。

 

21.無主荒蕪地の開墾

(1)   総論

無主荒蕪地とは、特別な用途も不可侵の所有もない土地のことであり、それを開墾したものがそれを所有する。信者であり不信者であれ、カリフの開墾の許可があろうとなかろうと「イスラームの家」の中であれそれ以外であれ同じ。武力征服地も他に同じである。

(2)開墾

居住地の近くでも、その権益に影響がなければ、開墾により所有権を得る。無主荒蕪地を囲い込むか、井戸を掘り水脈を掘り当てるか、それ水を泉や川や井戸などから無主荒蕪地に引くか、農作のためにそこにそれ水を留めれば開墾したことになる。

(3)授封

カリフは無主荒蕪地をその開墾者に授封することができるが、受封者は封土を所有しない。またカリフは人々に害を及ぼさない限りで、大通りにおける売買のための座の授封の権限がある。そして受封者は、その座の最優先権を持つ。授封がない場合、先に座った者は、彼の持物が残っている限り、たとえ長時間となっても最優先権を持つ。

 

22.懸賞

(1)総論

懸賞とは、一定の或いは不定の期間に、一定、或いは不定の仕事をした者に、一定のものを報酬に与えることであり、盗まれた奴隷、遺失物の取り戻し、仕立てなどである。

懸賞提供者の言葉を知った後で、それを行った者は、懸賞の権利があり、複数ならばそれを等分する。

(2)   取消

懸賞は取消可契約であり、両者共に取消権があり、取消が労働者の側からなら彼は何も得る権利はなく、取消が仕事開始後で懸賞提供者からなら労働者は労働の標準的賃料を得る権利がある。

 

23.拾得物

(1)総論

中流階級の関心を引くだけの価値のある落し物。小肉食獣に負けない雄牛やラクダなどは取得が禁じられるが、それ以外の動物やそれ以外のものは、自らそれを安全に保管するなら、拾得が許される。

(2)拾得物の所有

モスク以外の人寄り場所で1年間、万人に告知すれば、その後は法的にそれを所有することになる。しかしその諸性状を知る前には、それを処分しない。それを求める者が来て、拾得物の諸性状を描写すれば、彼にそれを返さねばならない。

 

24.拾い子

(1)   総論

「拾い子」とは身許もその所有者も分からず、捨てられているか、迷い子になった子であり、それを引き取ることは連帯義務である。

(2)   拾い子の身分

拾い子は自由人であり、その子と一緒にあった物はその所有物とみなされ、そこから彼の養育費を支出し、そうでない場合は国庫から。彼はムスリムでありその保育は発見者の権利であるが、遺産、血讐賠償は国庫に入れる。その子が自分の子であると証言する者が現れれば、その拾い子は、その者に帰属する。

 

第2節 寄進

1.総論

「寄進」とは基体の確保と用益の奉納である。寄進は定型句と、自分の土地をモスクとし人々にその中での礼拝を許したり、墓地としそこへの埋葬を許すような慣習的に寄進を指す行為によって有効に成立する。その明示的定型句は「私は寄進にする(waqaftu)」、「私は凍結する(habbastu)」、「私は奉納する(sabbaltu)」、その暗示的定型句は「私は喜捨する(ta­addaqtu)」、「私は禁制とす (Æarramutu)」、「私は永代とする(abbadatu)」である。暗示的定型句の場合は、寄進の意図、あるいは明示的定型句、暗示的定型句のうちの残りの5つの語、或いは寄進の規定との結合が寄進の有効性の条件となる。

 

2.有効条件

また以下が寄進の有効性の条件となる。

(1)       土地や動物など、その基体が残存する限りその用益が得られる基体からの恒常的用益。

(2)       モスク、橋、宿舎、ムスリムか庇護民の親族のためのような敬虔な目的。

(3)       モスクなどを別にすれば、所有する者の特定とその寄進の承諾。

 

3.寄進の処分

寄進は確定契約であり、取消は許されず、売却もされない。但しその用益が完全に消失した場合は別で、その代価は同等のものに支出される。たとえそれがモスクまたその付属物、その必要を越えるものは、他のモスクに移転することが許される。

 

4.贈与、譲与

贈与と、生存中に存在する一定の自己財産を他人の所有に移すことによる寄贈である。

贈与は申出と承諾か、贈与を示す遣り取りによって締結され、贈与者の許可に基づく受取により、確定する。

 

5.子供への贈与

子供への譲与では彼らへの相続額に応じて平等化が義務であり、もし一部を優遇すれば撤回か、増額によって均等化が義務つなる。

 

6.病人の贈与

 肋膜炎、肺炎、心臓の痛み、慢性の下痢腹痛、鼻血、初期中風、末期結核、恒常性熱病、四日熱などの重病、あるいは二人の公正なムスリムの医者が重病と診断した病の場合、相続人たちによるその贈与の許可がない限り、一人の相続人に対してのいかなるものも、また自分の財産の3分の1を少しでも超える分も、その贈与は確定しない。その死にあたって3分の一だけが認められる。

 

7.遺贈との相違

贈与は以下の4つの点で遺贈と異なる。

(1)       遺言に於いては先行者と後続者は平等であるが、贈与においては、最初の者から始め順々にである。

(2)       贈与は撤回権がない。

(3)       贈与その発生の時点で承諾を要する。

(4)       贈与はその時点で所有権が確定するが遺贈は違う。

 

第3節 遺贈

1. 総論

沢山の財産を残した者には、5分の1を遺贈することが推奨される。相続人がいる者には他人には3分の1以上は許されず、相続人には他の相続人たちが死後に許可したのでない限り、遺贈を受ける権利がない。相続人が困窮している場合、貧者の遺言は嫌われる。遺産の3分の1が遺贈を満たさなければ、不足額は全員で分割する。遺贈の撤回は許される。

 

2.受遺者

遺贈は所有の有効である者には有効である。また遺贈以前にその存在が確実であった胎児に対しても有効である。

 

3.遺贈物

逃亡奴隷や空中の鳥のような引渡しが不可能なもの、或いは自分の動物、女奴隷、樹木の卆んだものような不在物でも有効。

また「ある奴隷」や「ある羊」のような未知の物でも有効であり、通例その名が当てはまるものが受遺者に与えられる。

 

4.遺留分と配分による遺贈

特定の相続人の遺留分と同額を遺贈されれば、受遺者はその相続人の遺留分と同額の所有権を得る。どの相続人かを明示せず、遺贈者の相続人たちの1人の遺留分と同額を遺贈すれば、受遺者には相続人たちの中で最も遺留分の少ない者と同額の所有権を得る。「いくらか」、「一部」、「取分」と、遺贈したなら、相続人が好きなだけを受遺者に与える。

 

遺言執行者

ムスリムの遺言は奴隷であっても、行為能力があり公正で責任能力のある全てのムスリムに対して委託が有効。

為政者も遺言執行者もいない土地で死んだ者については、そこにいたムスリムの誰かがその遺産を取り仕切り、その時点で売るなり、それについて最善の処置を行う。

 

 

第2部                          翻訳・訳注編

訳注作成にあたって

第2部はアル=フジャーウィー(ヒジュラ暦968年没)『満悦を求める者の糧(Z±d al=MustaqniÔ)』の訳注である。

アル=フジャーウィーは生年不詳、エルサレムからダマスカスに移住し、ダマスカスのハンバリー派のムフティーを務め、ヒジュラ暦968年に同地で没した。彼は生前からシリアのハンバリー派フィクフの最高権威であり、彼の主著『納得(al=Iqn±Ô)』は後代のハンバリー派の基本文献となっており、サウディアラビアの第一次法源の一つでもある。『満足を求める者の糧(Z±d al=MustaqniÔ)』は、ハンバリー派法学史上の最高権威であるイブン・クダーマ(ヒジュラ暦620年没)の著した同派の最も標準的な法学綱要『満足させるもの(al=MuqniÔ)』の要約であり、サウディアラビアの第二次法源の一つでもある。

イスラーム諸学の綱要は極めて凝縮された表現で書かれている。従って訳注の作成にあたっては、先ず、言葉を補い、文意が通るものとなるように心がけた。また法学綱要は学的営為の末の結論だけを書き、その結論に至る根拠は示されていない。『満悦を求める者の糧』も同様で、ハンバリー派法学が演繹した法規範の通説の要約となっている。そこで訳注では、そうした法規範の典拠となるクルアーン、ハディースの章句、あるい法学者のコンセンサス等を示すことを目指した。また『満悦を求める者の糧』はハンバリー派の通説を纏めたものであるが、稀に通説から逸脱している場合もある。そうした場合は、訳注においてそれを指摘し、通説を示し、また同派の間に有力な少数説が存在する場合はその少数説を紹介するよう努めた。

訳注の作成に当たっては、先ず『満悦を求める者の糧』の前近代の注釈アル=バフーティー(ヒジュラ暦1051年没)『新緑の牧場(al=Raud½ al=MurbiÔ)』、次いでその現代の脚注アル=ナジュディー(ヒジュラ暦1392/西暦1972年没)著『新緑の牧場・脚注(űshiyah al=Raud½ al=MurbiÔ)』 (全7巻)及びアル=ブライヒー(ヒジュラ暦1410年/西暦1990年没)著『楽園の泉(al=Salsabiµl)』(全3巻)を参照した。これらの解説書の中に適当な表現が見つからなかった場合には、古典のイブン・クダーマの『大全(al=Mughniµ)』(全15巻)、イブラーヒーム・ブン・ムフリフ(ヒジュラ暦884年)の『(al=MubdiÔ)』(全11巻)、古典の翻案『信頼すべきもの(al=MuÔtamad)』)(全2巻)、現代の概説書Dr.ワフバ・アル=ズハイリー著『易しいハンバリー法学(al=Fiqh al=Åanbalµ al=Muyassar)』(全4巻)等を適宜参照した。

『大全(al=Mughniµ)』は、「ハンバリー派においてこの綱要に有益な書はない」とまで言われ300点以上の注釈が書かれた同派の最初の法学綱要アル=ヒラキー(ヒジュラ暦334暦)『アル=ヒラキー綱要(Mukhta­ar al=Khiraqiµ)』の最も浩瀚かつ有名な解説書であり、クルアーン、スンナの典拠を述べ、他学派の見解と比較対照の上で、ハンバリー派の学説を擁護する形式で書かれている。al=MubdiÔはイブラーフーム・イブン・ムフリフ (d.884)によるal=MuqniÔの注釈であり、同書の中級者向けの最良の注釈と言われるものである。『信頼すべきもの(al=MuÔtamad)』)は、マルイー・ブン・ユースフ(ヒジュラ暦1033年没)著の古典Dalµl al=º± lib2冊の注釈アブドルカーディル・ブン・ウマル・アル=シャイバーニー(ヒジュラ暦1135年没)著『希望の達成(Nail al=Ma'±rib)』イブラーヒーム・ブン・ムハンマド・アル=ドゥワイヤーン(ヒジュラ暦1352年没)著『道の灯台(Mana±r al=Sabiµl)』を現代の3人の学者が併せて編集し、脚注に現代のハディース学者ムハンマド・ナースィル・アル=アルバーニーの『渇く者への水遣り(Irw±' al=Ghalµl)』に則りハディースの出典を付したものである。またダマスカス大学イスラーム法学部長Dr.ワフバ・アル=ズハイリーは『イスラーム法とその典拠』(全11巻)の著書であり、現代を代表するイスラーム法学者である。

本邦では、法学用語は日常用語と乖離しており、法学書には、日常目にしない専門用語が頻出する。一方、アラビア語においては、むしろ同じ単語に語源的な意味から専門用語として意味を重層的に持たせることが多い。それは語根から様々な意味が派生するセム語としてのアラビア語の特徴にも拠っている。

例えば、通常「利息」と訳される「リバー(不等価交換)」は、語義的には、「・・・その(大地の)上に雨を降らすとそれは震え、リバーした(rabat・・・)」(クルアーン22章5節)、つまり「盛り上がった」、とのクルアーンの聖句にあるように、「過剰(ziy±dah)」を意味するが、シャリーアの専門用語としては、「体積、重量で量り売りされる商品における過剰」を意味し、それが「・・・アッラーフはリバーを禁じ給うた・・・」(クルアーン2章275節)との聖句における「リバー」の意味である。

このように日常語に用いられる言葉に法学の専門用語としての意味を盛り込むアラビア語の法学書の翻訳にあたっては、日本語の法学の専門用語を当てるか、本来のアラビア語の語源的意味に近い日常用語を当てるかで、選択を迫られることになる。本書では、基本的に、日本の法学に近似する概念が存在する場合は、法学用語を当てる方針を取った。勿論、イスラーム法の概念と日本の法の概念には厳密に一致するものは存在しないが、それはイスラーム法に限らず翻訳という作業が宿命的に持つ限界であろう。但し、法学用語に訳した場合に、原語のニュアンスが失われることを示すために、一つだけ具体例を挙げよう。

本書では、「匿名組合」と訳した「ムダーラバ(mu½±rabah)」は「打つこと」を基本的意味とする「½-r-b」の語に由来するが、それは「他の者たちは地上を交易する(ya½rib¹na)」(クルアーン73章20節)の用法の派生的意味「地上での売買のための旅を意味する地上の交易(½arb)」に相互性を表わす動詞派生形第3形の意味を加えて、イラクのアラブ人たちが使った用語である。「ムダーラバ」は法学的に定式化するなら、資本家と事業者の組合契約であり、「匿名組合」と訳すことができるのであるが、その結果、アラビア語の原語の持つ豊かな意味の広がりは失われてしまうのである。その意味でも、本書は、あくまでもイスラーム法理解への手引に過ぎず、イスラーム法を真に学ぼうと志す者は、アラビア語を習得し、イスラーム法学のアラビア語原典を読んでいただきたい。

 

 

目次

第1章                       売買

[売買の無効化事項]項

[売買の附款]節

[取消権]節

[受け渡し前の商品の処分とその(商品の)受け渡しによって生じること]項

[リバーと両替]節

[後払いのリバーの諸規定]項

[両替]項

[元物と果実の売買]節

[果実の売買とその関連規定]項

「先物売買」節

「消費貸借」節

「質」節

[質物保管者]項

[質物の利用]項

「連帯保証」節

「連行保証」節

「債務引受」節

「和解」節

[財貨に対する和解の第2形態]項

「禁治産」節

「当人の利益のために禁治産とされる者」項

「代理」節

[代理委任者と代理人に課されること]項

[代理人は受託者であり、懈怠がなければ賠償責任を負わない]項

「組合」節

[ムダーラバ(匿名組合)の諸規則]項

[顔役組合]項

「ムサーカー(果樹散水契約)」項

[ムザーラア(小作契約)]の諸規定]項

「賃約」節

[賃約される物の諸規定]項

[賃約の義務とその要請すること]項

「競争」節

「使用貸借」節

「侵奪」節

[侵奪されたものの共有、染色、毀滅等]項

[侵奪者の法律行為の法的規定、その他、毀滅]項

[侵奪者の法律行為等]節

「先買権」節

[持分の買主の法律行為、その増加分など]項

「寄託」節

[その返却と毀滅については誓言を伴って受寄者の証言が容れられること]項

「無主荒蕪地の開発」節

「懸賞」節

「拾得物」節

「拾い子」節

第2章                       寄進

[集成、優先、及びその逆、ある性状、或いはその不在の特記、順序、管理権その他に於ける寄進者の条件の]項

[寄進の義務とその売却]項

[寄進の義務、収益のためのその売却、その取替、その余剰の振替等]項

「贈与、譲与」節

[譲与の諸規定]項

第3章                       遺贈

「受遺者」節

「遺贈物」節

「遺留分と配分による遺贈」節

「遺言執行者」節

 

 

『満悦を求める者の糧(Z±d al=MustaqniÔ)』訳注

 

第1章:売買

 売買[1]とは、たとえ権利義務上のものであれ(wa lau fµ al=dhimmah)[2]財、あるいは通路のように合法的な用益(manfaÔah)を、リバー(≒不等価交換、後述)や貸与ではなく、それぞれの等価のものと永続的に交換することである。それは申込と、その後あるいはその[申込の]前の、その(商談の場)(majlis)でである限りそれ[申込]に対して反応の遅いものであっても、承諾によって契約は成立する[3]。但し商談の場を中断するようなことを両者がすれば無効となる[4]。それには言語による形式と商慣習、すなわち行為によるもの[形式]がある[5]

 売買には以下の[7つの]条件がある[6]

 [第1に]相互満足が条件付けられる[7]。不当に(bil± Æaqq)強制されたものは有効ではない[8]

 また[第2に]契約締結者が行為能力者(j±'iz al=ta­arruf)であること[9]。子供や禁治産者の法律行為は後見人の許可がなければ有効でない[10]

また「第3に」有体物(‛ain)が、不可欠であるためでなく使用が合法な[11]、ロバ、蚕、まゆ、象、猟に役立つ猛獣などであること。ただし犬[12]、虫[13]、クルアーン写本[14]、死体[15]、不浄な堆肥[16]、不浄な油、不潔な油[17]の取引は無効であるが、不潔な油はモスク以外のところで灯すことは許される[18]

[第4に]契約は(取引物件の)所有者か[19]その代りの者[20]によること。他人の所有物を売るか、その(他人の)財貨の現物で(その所有者の)許可なしに買った場合は有効ではない[21]。ただし(代価が)自分の権利義務上の(代価)の場合(fµ dhimmat-hi)、その(代価の所有者の)許可なく彼(代価所有者)のために買い、(買主の名前を)名指さなかった場合、追認 (ij±zah)があれれば彼(代価の所有者)のものとして[その契約は]有効であるが[22]、それ[追認]がない場合は(その契約は代価の所有者ではなく)買主(契約を行った当事者)を拘束する(lazima)[23]。シリア、エジプト、イラクのように武力で征服された土地は住居地以外は売らないが[24]、賃貸はかまわない[25]。井戸のたまり水の売買は有効ではなく[26]、自分の土地に生えた草や棘木[を売ること]も有効でない[27]

 [第5に]物件は受け渡しが可能であること。それゆえ逃亡奴隷[28]、逃亡家畜、空中にいる鳥、水中の魚の売買は有効でない[29]。また侵奪物(の売買)は、侵奪者か彼[侵奪者]からそれを奪える者以外には有効でない[30]

 [第6に]物件が実見か説明[31]によって知られていること[32]。見たことのないもの、あるいは見たことはあってもそれについて知らないもの、あるいは十分でない説明によるもの[の売買]は有効でない[33]。また母体胎内の胎児[34]、乳房の中の乳[35]は単独で売られず、容器の中の麝香[36]、なつめやしの実の中の種[37]、背についた(刈り取り前の)羊毛[38]、抜かれる前の大根など[39]も[売られない]。また触り売り[40]、投げ売り[41]は有効でない[42]。また奴隷の一団のうちの[不特定の]奴隷ひとりを売買することはできず[43]、特定したものでなければ除外することも[44][有効でない]。ただし食用動物の頭、皮、末端部分(a»r±f)を除外した場合は[その売買は]有効である[45]。脂肪や胎児(の除外)は逆(に有効でない)[46]。ザクロやスイカのように食用部分が中にあるもの[47]や豆類のように莢の中にあるもの[48]、殻の中で実る穀物の売買は有効である[49]

[第7に]価格が[両当事者に]知られていること[50]。書き込まれた値であったり[51]、金銀(合計)1000ディルハムであったり[52]、相場(m± yanqa»i‛  bi-hi al=si‛ r)[53]、あるいは(売主と買主の)双方、あるいはどちらかが知らないザイド(第三者)の売った値で売った場合[54]は有効でない。衣服、[食べ物の]塊[55]、(家畜の)群を、それぞれ腕尺(ズィラーア)、カフィーズ[56]、一頭につき1ディルハムで売ることは有効である[57]。もし塊の中から1ブッシェルにつき1ディルハムとして売るか[58]、100ディルハムに1ディナール足りない値で売るかその逆(100ディナールに1ディルハム足りない値)で売るか[59]、あるいはまた、(性状、価格、数量等が)知られているものと不明なもので知ることが困難なものを、「それぞれにつきいくら」と言わないで売れば、それは有効ではない[60]。もし知ることが困難でなければ、知られているものについては(総額のうちの)その相当分[の代価]で(売買が)有効となる[61]

奴隷のように自分とそれ以外の者との間で共有されているか[62]、部分について値段の内訳が決められるものは[63]、自分の分については(総額のうちの)その相当分[の代価]で有効。

一度の取引で自分の奴隷と他人の奴隷をその許可なしに、あるいは奴隷と自由人を、あるいは酒と酢を売った場合は、自分の奴隷と酢の分だけ[契約は]有効であり[64]、買主がその真相を知らなかった場合は取消権(khiy±r)を有す[65]

 

[売買の無効化事項]項

金曜集合礼拝(出席)が課されている者の売買は、2度目の(礼拝の)呼びかけ[66]の後は有効ではない[67]。ただし、結婚やその他の契約は有効である[68]

果汁は、それから酒を造る[69]者との売買は有効ではなく[70][ムスリムどうしの]内乱時の武器(の売買)も(有効でない)[71]。またムスリムの奴隷を不信仰者に売ることは、その者が彼を解放しない限り有効でない[72]。また、奴隷が不信者の元でイスラームに入信すれば、彼の所有権の消滅が強要され[73]、自己身請契約(muk±tabah、kit±bah)では十分でない[74]。売買と自己身請契約[75]、あるいは売買と両替を併せて行う場合は[76]、自己身請契約以外については[77]有効であり[78]、代価はそれぞれの割合に応じて分割される。

[ムスリム]同胞の売買に割り込んで自分の売買をすること、例えばある商品を10で買った者に対し、「それと同じものを9で売ろう」と言うようなことは禁じられる[79]。また同胞の購入に割り込んで自分の購入を行うこと、例えば商品を9で売った者に対し、彼が取り消し自分と契約するように、「私のところではそれは10である」と言うようなことも(禁止)であり[80]、どちらの場合も契約は無効となる[81]

後払い(nasµ'ah)で「リバー(=不等価交換)商品」[82]を売り、その対価に代えて(‛an thaman-hu)、後払いで、それによる売買の完了していないもの(m± lam yub±‛u bi-hiを代わりに受け取ること(I‛t±½a)[83]、及びあるものを後払いで売ったもの(額)以下の現金(naqd)で買い戻すことは許されないが[84]、その逆はそうではない[85]。しかしそれ[商品]別種のもので買うか[86]、対価を実際に受け取った後で買うか[87]、商品が変質した後で買うか[88]、その買主以外から[それを買うか][89]、あるいは自分[売主]の父か息子が買うかする場合[90]は[その購入は]許される[91]

 

[売買の附款]節

その(約款の)中には以下のように有効なものがある[92]

(rahn)。代金の後払い[93]。奴隷が文字が書けたり、去勢されていたり、ムスリムであること、女奴隷が処女であること[94]、売主が住宅での一カ月の居住やラクダによる特定の場所までの運搬を特約するなど[95]、買主の売主に対する薪運び、薪割り、布地の裁縫や裁断の附款[96]

但し[第3種の]2つの附款を組み合わせればその売買は無効となる[97]

そして(附款の)中には以下のように無効なものもある[98]

一方が他方に対して先物取引(salam)[99]、貸与[100]、売買[101]、賃貸[102]、両替[103]のような別の契約を特約した場合、売買契約[自体]が無効となる[104]

また(買主が)自分が損失を被らないこと[105]、買った物が売れなければ返却すること、[買った商品を]売却、贈与、(商品が奴隷の場合)解放しないこと、あるいは解放すれば自分が後見の任につくと特約すること[106]、あるいはそうしたこと[107]をすることを特約した場合はその附款[のみ]が無効となる。ただし[売主が]解放を特約した場合[はその附款も有効][108]、また「あなたが私に対価を3日以内に支払い、さもなくば我々の間の売買はなかったことにするという条件であなたに売った」と言った場合は[売買と条件節構文(ta‛lµq)]は有効である[109]

「もしあなたが甲をもって来れば売った」[110]、「あるいは某が納得すれば売った」[111]、あるいは(質権設定者が)質権者に対し「私はあなたに負ったものを持ってくるが、さもなければ質物はあなたの物となる」[112]と言えば、その売買は有効ではない[113]

(買主)に[何かを]売り、すべての未知の瑕疵に対する免責を特約しても、[売主は]免責されない[114]。また家を(間口、あるいは奥行きが)10ズィラーア(腕尺)であるとして売り、後にそれ以上、あるいはそれ以下であったと判明した場合、その売買は有効である[115]。それ[余剰と不足]を知らず、その[家を買った]目的を達成できなかった者には取消権が生ずる[116]

 

「取消権」節

取消権には[8]種類がある[117]

第1は商談の場の取消権で、売買[118]、調停もこれに準じ(bi-ma‛n±-hu)[119]、賃貸[120]、両替、先物売買(salam)[121]においては認められるが、その他の契約はそうではない[122]。常識に照らして2人の体が商談の場から離れたの(とみなしうるの)でない限り[123]、当事者の双方に(商談の場における)取消権はある。

双方が取消権を否定するか、放棄すればそれは消滅する[124]。もし一方が放棄したとしても、もう一方の取消権は残る[125]。(商談の場を去ることによって商談の場における取消権の有効な)期間が過ぎれば、売買は確定する(lazima)。

第2(の取消権)は、両当事者が契約において、長期間であれ一定期間、取消権を特約したものである[126]。取消権の期間は契約とともに始まり、その期間が過ぎるか、両者がそれを中止すれば無効となる。(附款による取消権は)売買とそれに準ずる和解において、また権利義務上の (fµ al=dhimmah)か[127]、契約(時)から継続しない期間[128]の賃約においては認められる。両者が一方をはずして相手方に対してのみこれを特約しても[この附款]は有効である[129]。「明朝、あるいは夜まで」[の附款]の場合は、その初りをもって[130]消滅する。取消権を持った者は相手方が不在であっても、あるいはその怒りを買おうとも取消すことができる[131]

(上記の)2つの取消権の期間中は所有権は買主にあり[132]、分離可能な(商品の)増加物[133]および獲得物[134]は彼[買主]の物となる。この(取消期間の)間は、商品とその特定の(mu‛aiyan)対価は、商品の試用を除き[135]一方が他方の許可なしに自由に処する(ta­arruf)ことは禁じられており、有効でない[136]。但し[取消期間中の]買主による(買われた)奴隷の解放は別である[137]。買主による処分[138]は彼の取消権の取消[139]である。また2人のうち死去した者の取消権は無効となる[140]

第3は度を超えた[141]「欺罔(ghabn)」[142]を商品におこなうこと、さくら[143] (を使った)、また「他人の言いなりになる人(mustarsil)」相手の値の吊り上げ[144]

第4は女奴隷の髪を黒く染めたり、巻き毛にする、あるいは水車の水を集めておいて(買主に)見せる時に送水する、といった[値を上げるための]粉飾(tadlµs)の取消権である[145]

第5は瑕疵による取消権である[146]。それは[動物の]病気、四肢および歯の過不足、奴隷の淫行や盗癖、逃亡癖、夜尿症など商品価値を減じるもののことである。買主は[契約の]後に瑕疵を見つけた場合はその「補填(arsh)」、つまり良品の価格と瑕疵ある不良品の価格の差率[147]、を受け取ってそれを引き取るか、返却して代価[148]を取り戻す。商品が毀損したか奴隷を解放した場合は補填に決まる[149]。ココヤシやラクダの卵などのように毀損には至ってないが疵があることを知らなかったものを買い、その後それを毀損してから、それが傷物だったことに気づいた場合、それを引き取るならば彼(買主)は補填を受け取る権利があり、(買主が)それを返すならばその[150]毀損のための補填を払う[151]。もし鶏の卵のようなものであれば全額の返還を受ける[152]。瑕疵による取消権は(買主の)満足を示す証拠(証人)がない限り[153]期限はなく[154]、[瑕疵による取消は]裁判を必要とせず、相手側[売主]の同意、臨席をも必要としない[155]。もし誰の手元で瑕疵が生じたかについて[売主と買主の間で]意見の対立があれば[156]、買主が誓言することによって買主の意見(が容れられる)[157]。もし一方の主張しか可能でなければ[158]、宣誓なしにそちらの方を受け入れる[159]

第6は売買において値段の過剰か過小が明らかになった時、その値を告知することによる取消権。それは原価転売(tawliya)[160]、共同購入[161]、掛け値売り[162]、値引きに[163]ついて認められる[164]。これらすべてにおいては買主が原価を知っていることが必要である[165]。後払い(mu'ajjal)で買ったか[166]、彼(売主)に対する証言が(法廷で)受け入れられない者[167](後述)から買ったか[168]、あるいは脱法行為でその値段以上で買ったか[169]、商取引(­afqah)の一部をその代価のその割合で売り[170]、値の告知においてそれを明らかにしなかった場合、買主にはそれを引き取るか返却するかの選択権がある[171]

取消権[172]の有効期間中の価格の増加分あるいは減少分、瑕疵や損傷(jin±yah)の補填として受け取ったものは[173]原価に繰り込まれ[174]、その旨を告知しなくてはならない。ただしそれが売買[契約]確定後であれば、契約にそれは繰り込まれないが[175]、その事情を告げることはよいことである[176]

 第7は、両契約当事者の間の対立による取消権であり、両者が価格について対立した場合は[177]、両者は誓言する。まず売主が「私はそれをその値段で売ってはいない。私はこの値でしか売っていない。」と誓い、ついで買主が「私はそれをその値段では買っていない。私はこの値で買っただけである。」と誓い、どちらも相手の言い分に同意しなければ[178]双方共に取消権がある[179]

商品が毀滅した場合は、標準価格(qµmah mithl-hi)に帰一し[180]、その[毀滅した商品]の(元の)性状について双方の意見が食い違えば[181]、買主の言い分(が通る)[182]。契約が解消された場合は、外面的にも内面的にも取消される[183]

後払い[184]、あるいは附款について主張が対立した場合は[185]、それを否認する側の言い分(が通る)[186]。商品それ自体について主張が対立し[187]、ともに宣誓するなら、その取引は無効となる[188][買主が]対価[商品](‛iwa½)、[売主が]現物の代価(thaman ‛ain)を受け取るまで、両者が自分の手にあるものの受け渡しを拒否すれば[189]、公正な人物を立て[190]、(その者が)両者(売主と買主)から[商品と代価を]受け渡し、まず商品を[買主に]渡し、それから代価を[売主]渡す[191]。[代価が]『即金(満期の債権:dain Ʊll)』であれば、売主が強制され[192]、次いで代価が商談の場にあれば[193]買主[が強制される]。もし[債務(dain)が]国(balad)内にあって手元にない場合は[194]、[買主は]それ[代金の全額]を持って来るまでは商品と彼の残金(baqµyah m±li-hi)を差し押さえられる(Æujira)[195]。また[(買主の)財産が]その[国の]遠方にあり、買主が手元不如意(mu‛sir)である場合は、売主には取消権が有る[196]

性状(­ifah)の相違(khulf)[197]と外観の変化による取消権は認められる[198]

 

[受け取り前の商品の処分とその(商品の)受け渡しによって生じること]項

体積で売られるもの[199]を買えば、[その売買は]有効であり、契約によって確定する(lazima)[200]。しかし商品の受け取りまでその処分[201]は有効ではない[202]。もし[受け取り]前に毀損すれば[203]売主の保証責任(½am±n)となるが、天災によって毀損した場合は、その売買は無効となる[204]。人間がそれを毀損した場合は[205]、買主は取消すか[206]、(契約を)追認し毀滅者にその代替を請求するかのどちらかを選択する[207]

それ以外のもの[208]については、その受け取り以前でも処分が許される[209]。体積での量り売りなどの商品でないものが毀損すれば、売主が買主の受取を妨げたのでない限り[210]、彼[買主]の危険負担となる[211]。体積、重量、個数、長さによって売られる商品の受け渡しはそれ[体積、重量、個数、長さ(の切り分け)]によって成立する[212]

束ね売り商品、移動できる商品[213]は、その移動により[214][手で]持てるものは[215]その把持により[216]、またそれ以外のもの[217]は「明け渡し」によって(受け取りが成立する)[218]

 「解除(iq±lah)」は取消であり[219]、商品の受け渡し前であれば適正価格で認められるが[220]、それには取消権も先買権もない[221]

 

「リバー[222]と両替[223]」節

「上乗せのリバー」[224]は、体積、重量で計量され同種のもの(を対価)と(して)売買されるものについては禁じられる[225]。それには完済(Æul¹l)と受け取りが義務である[226]。体積で量るものは同種のものとは体積でしか売買されず[227]、重さで量るものは同種のものとは重さでしか売買されない[228]。またある量を[同種の]ある量と(目分量の)纏め売りで(juz±fan)売買することもできない[229]。ただし種類が異なれば[230](既述の)3つ[体積、重量、(目分量の)纏め売り]で(売買することが)許される[231]

(jins)とは小麦のように固有の名を持つもので、いくつもの類を包含する。粉、パン、油脂のような異種の派生物は(それぞれ別個の)種であり[232]、肉はその原料が異なれば異種であり、乳も同様である。肉と脂肪と肝は異種である。

肉とその(同)種の動物(固体)で売ること有効ではないが[233]、別種のものとなら[234]有効である。穀粒とその粉、あるいは焙煎粥[235]、またその未加工物と加熱調理物(ma»b¹kh)[236]、原料と搾り汁[237]、純正物と混合物[238]、生物(なまもの)と乾物[239]との売買は許されない。

粉と粉の売買は、製粉度が同じであれば許され[240]、加熱調理物と加熱調理物、パンとパンは乾燥度が同じであれば許され、搾り汁と搾り汁、生物(なまもの)と生物も[売れる]。

リバー商品は同種のもの(を対価)で、またその[対価の]一方、あるいは両方に別種のものを混ぜて売買することはできない[241]

種のない乾燥ナツメヤシは種のあるものとでは[売買でき]ない[242]。種は種のある乾燥ナツメヤシと、乳と羊毛は、乳と羊毛のある羊と売買できる[243]

体積の測量基準は、預言者の時代のマディーナの慣習、重量の測量基準はマッカの慣習に従い[244]、そこに慣習のなかったものについてはその土地の慣習に習う[245]

 

[後払いのリバーの諸規定]項

後払いのリバーは、上乗せのリバーの原因(‛illah)[246]において一致するどの2種の売買においても禁じられる。ただしそれはその一方が正貨[金銀]でない場合で[247]、例えば体積で量る物と重量で量る物どうしのような場合である。受け渡し前に両者が別れれば[契約は]無効となる[248]。しかし体積で量るものを重量で量るもので売るなら、受け渡し前の別離と後払いが許される[249]。債務による債務の売買は許されない[250]

 

[両替]項

両替の両当事者が全体、あるいは一部の受け渡し前に別れた場合は、受け渡されなかったものについての契約は無効となる[251](金)ディルハムと(銀)ディーナールは契約中に指定したものに決まり[252]、変更はできない[253]。それが不法占有されたものと判明した場合は、[その契約は]無効となる[254]。またその種に固有の瑕疵があれば[255]引き取るか[256][契約を]破棄する。

リバーは「イスラームの家」でも「戦争の家」でも、ムスリムと敵地在住の異教徒との間でも禁じられ、ムスリム同士の間では無条件に[禁じられる][257]

 

「元物と果実の売買」節

家を買った場合、[契約は]土地[258]、建物、屋根[259]、建て付けの門、釘で固定された階段、軒ジャバラ、埋めた瓶[260]を含むが、家の中に残された宝物[261]、石、あるいはロープ、桶、給水用の滑車、閂、じゅうたん、鍵など家とは分離されたものは除く[262]

土地を売った場合は、たとえ「その諸権利と共に」と言わなくても、[契約は]土地の草と建物を含む[263]。もしそこに小麦や大麦のような[収穫が一回きりの]農作物があれば、それは売主の所有に留まる[264]。一方[繰り返し]刈り入れ、摘み取りできるものであれば[265]、その基幹は買主のものとなるが[266]、売買の時点で刈り入れ、摘み取りが目前であった場合は、それは売主のものとなる[267]。ただし買主がそれ(収穫の所有)を特約すれば[その附款は]有効である[268]

 

[果実の売買とその関連規定]項

肉穂花が開いたナツメヤシの木を売った者は、買主が特約しない限り、果実は収穫まで売主のもとに留まる[269]。ブドウ、桑、ザクロなどの木も同様で、アンズやリンゴのように花から現れたもの、さらにバラや綿花のように萼から出てきたものも同様である[270]。それ以前のものと葉は買主のものである[271]

果実はその成熟の判明前には売られず[272]、農産物はその穀粒の成熟前には売られない[273]。またウマブカシやネギ、ナスのような瓜類などは、その基幹なしでは売られない[274]。ただし直ちに切るとの条件があるか[275]、刈ったもの毎、摘んだたもの毎でない限りであり[276]、収穫は買主の負担である[277]

もしそれ[278]を無条件で[279]、あるいはその残存を条件に売ったか、あるいは刈り取りを条件に果実を買いながら[熟したのが]判明するまで放置したか[280]、あるいは刈り取り、摘み取るということで売ったのが成長したか、あるいは成熟の判明したものを買ったのところが別のものが生じて混ざってしまうか[281]、(樹上の)熟成ナツメヤシを買ったのが乾燥すれば無効であり[282]、すべては売主のものである。

実の成熟したものが明らかになり、穀粒が熟せば無条件であっても放置を特約してもその売買は合法であり[283]、買主にはそれを収穫するまで放置する権利があり[284]、売主はもし水をやる必要があればたとえ[水をやることで]基幹に害があってもそれに水をやることが課される[285]

もし[果実が]天災で失われれば売主に(賠償)請求する[286]。もし人間がそれに被害を与えた場合は、買主は解約か、[契約の]追認と加害者への[賠償]請求のいずれかを選択する[287]。木の(果実の)一部の成熟は、その(木の)及び同じ農園の同類のものすべての成熟である[288]

ナツメヤシの果実の成熟は、赤あるいは黄色に色づくことであり[289]、ブドウについては甘く熟れることであり[290]、他の果実については、それが熟して見え、食べよくなることである[291]

財産を有する奴隷を売った者は、買主が特約したのでない限り、その(奴隷の)財産は売主のものとなる[292]。もし彼[買主]の目的がその[奴隷の]財産なら、それと売買の他の附款の全てを知っていることが条件となるが[293]、そうでなければならない[294]。美服は売主のものであり[295]、平服は買主のものである[296]                       

 

「先物取引[297]」節

それは期限を定めての(mu'ajjal)権利義務上の(fµ al=dhimmah)明記された事物(mau­¹f)について、商談の現場で代価を受け渡す契約である[298]

 それは以下の7つの条件(を満たすこと)によって[299]、「売買」、「先物取引」、「先払い」の文言により有効となる。

第1は、体積で量るもの[300]、重さで量るもの[301]、長さで測るもの[302]については、その諸性状の確定である[303]。果物、青草、皮革、(動物の)頭部、上部と中部の異なるやかんのような器、頭部の細い真鍮容器、宝石、妊娠雌獣、全ての混ぜ物[304]、区別不可能な成分の混ざった「ガーリヤ」[305]、塗り薬のように、数えられる(個数で売られる)もので個体差があるものついてはその先物取引は有効でない[306]

動物[307]や2種(の布)から織られた服[308]、意図せざる物の交じったチーズ、果実酢、酢蜜のようなものについては[先物取引は]有効である[309]

第2は、種と類、価格に影響するすべての明白な性状[310]、新旧の言及である。「最悪の」「最良の」という条件は有効でなく[311]、「良い」「悪い」(と言うべきである)。もし条件通りか同種でより良いものを[先物受注者]が持参すれば、たとえ期日前でも、引取に問題がなければ、彼[先物注文者]にはその引取が課される[312]

第3は、[民衆の間で]周知の量、重さ、長さ単位によるその(商品の)大きさの言及である[313]。もし体積で量(り売りす)るもの[小麦、胡麻油など]を重さで、あるいは重さで計(り売りす)るもの[鉄鋼など]を体積で先物取引をしても、それは有効でない。

第4は、価格に影響する[314]特定期間[315]の言及であり、即座では有効でなく[316]、収穫時も不可[317]。パンや肉などのように毎日その中から[特定の量を]受け取るもの以外については[318]一日[のような短期間]では不可[319]

第5は、契約時ではなくその(支払)期日に[320](商品引渡の)履行の場所に存在することが蓋然的であること[321]。もしそれ(全体)かその一部に支障が生ずれば、彼(先物注文者)には(注文品ができるまで)忍耐するか、あるいは全部または[支障の生じた]一部を解約し、(先物先物受注者の手元に)ある(自分が前払いした)対価かその代替物[322]かを取り戻すかのいずれかの権利がある[323]

第6は、[商談の場所から」別れる前に量と質が知られた対価を完全に取得することであり[324]、一部を取得し別れたらそれ以外の部分については無効となる[325]。もし一種の物に2つの期日[326]、あるいはその逆[327]で先物取引を行えば、種類とその対価のすべて[328]、あるいはそのそれぞれの期日についての割合[329]が明らかにされていれば有効である。

第7は、権利義務上の物に (dhimmah)について[330]先物取引をすることで、現物(‛ain)については有効でない[331]。(商品引渡の)履行契約の場でなければならないが[332]、それ[契約の場]以外[の場所]でのその[履行の]特約(をつけること)は、無人の地(barr)であれ海であれ両者が特約した場所で(の受け渡しを)契約したのであれば有効である[333]

先物商品はその受け渡し前の売買[334]、贈与[335]、それ[先物商品]の[336]、あるいはそれ[先物商品]に基づく債務引受[337]、その代償(‛iwa½)の取得は有効でない[338]。またそれ(先物商品)に対する質、連行保証人(kafµl)は有効でない[339]

 

「消費貸借[340]」節

それは推奨される行為であり[341]、売買が有効なものは人間を除き[342]その消費貸借も有効である[343]。消費貸借物はその受取により所有され[344]、そのもの自体の返却が課されることはない[345]。しかし彼(借主)の権利義務上の代替物は彼(貸主)がそれを延期しようとも、満期によって確定する[346]。また借主がそれを返却すれば、その受取が課される[347]。もしそれ[348]が毀損しているか、通貨であっても、スルタンがその流通を禁じたのであれば、貸主には貸借時の価値の請求権がある[349]

[借主は]等質品(mithlµ)には等質品[350]、それ以外にはその等価物を返却する[351]。またもし等質品[352](の返還)が難しければそのときはその等価物[353]

利益をもたらす特約は全て禁じられているが[354]、特約なしにそれ[355]を始めるか、(借りた物より)より良いものを[特約なし]に与えるか[356]、あるいは返却後の[特約なしの]贈与ならば許される[357]。もし[借主がそれを借りる以前には]彼(借主)の習慣になかったものを貸主にその(消費貸借物)返却前に贈れば、[貸主が]その[贈物の]相当の返礼か自分の債権からのそれ以上の差引を意図していない限り(それの受取は)許されない[358]

彼(借主)に「商品代価(thaman)」を消費貸借とし、(消費貸借を行った国にいる)貸主が)他の国にいる彼(借主)にそれを請求すれば、それ(商品代価)と[359](借主がいる国から貸主がいる国までの)運搬に(貸主)にかかる諸経費については、消費貸借を行った国でより安価であるのでない限り[360]、その価格が(借主に)課される[361]

 

「質[362]」節

それは売買が許される全てのものについて[363]たとえ解放予定奴隷でさえも、(契約による)権利(Æaqq)(の発生)と共に[364]、それ以降、確定した負債に基づいて[365]有効となり[366]、質権設定者のみを拘束する[367]。共有物の質は有効であり[368]、嵩で量るもの、重量で計るもの[369]以外の商品には、その対価、あるいはそれ以外の物に対して質権を設定することは許される[370]。刈取を特約しない完熟判明前の緑の果実と農作物を除き[371]、売買が許されないものへの質権設定は有効でない[372]

また質はその取得によってのみ拘束し[373]、その[取得の]存続が条件であり[374]、もし[質権者が]それを質権設定者に自分の自由選択により返却すれば、その拘束力は消滅するが[375]、もし更に[質権設定者が]それを彼[質権者」に返せば、彼[質権設定者]は再び拘束される[376]

両者[質権設定者と質権者]の一方が他方の許可なく、その処分を執行しないが[377]、奴隷を質設定者が解放することは別で、(質権設定者の処分行為は)有罪ではあるが[378]、それ(解放自体)は有効であり[379]、その価格(相当物)がその(奴隷の)替わり質物として取られる[380]

質物の付加(価値)[381]、稼ぎ、それに対する加害(傷害)の賠償金は、それに帰属するが、その維持費、死装束、保管費は質権設定者の負担となる[382]。それ(質物)は質権者の占有する受託物であるが[383]、もし彼[質権者]の踰越なくしてそれが毀損した場合は、彼[質権者]には何の責任もなく[384]、その毀滅によって彼の債務債権からは何も引かれない[385]

もしその(質物の)一部が毀損すれば、残りが債務全体の質となる。また債務の一部が残っていれば、その一部が取消されることはない[386]。自分の債務ではなく[387]その[質物の]加増は許される[388]。もし一人が二人の(質権者の)許に質物を置き一方(だけ)に(債務を)返済したか[389]、あるいは二人が一人に共同で質権を設定し一方から返済を受ければ[390]、その(返済)分については(質は)取消される。

債務が満期になり、その返済を拒んだ時は、質権設定者が質権者か公正な(第三)者に[391]その売却を許可していれば、それを売って債務(返済)に充てる[392]。もしそうでなければ、為政者がその(債務の)返済か質物の売却を強制し[393]、もし(質権設定者がそのいずれも)行わなければ為政者がそれを売って彼(質権設定者)の債務に充てる[394]

 

[質物保管者]項

それ(質物)は両者[質権設定者と質権者]の合意した者の許におかれる[395]。もし両者が彼(質物の保管者)にその売却を許した場合、その国の通貨でしか売らない[396]。もし(保管者が)その(質物の売却の)代価を受け渡され、彼の占有時に(その代価が)毀損すれば[397]、それは(質権設定者の)危険負担となる[398]。もし[公正な保管者]代価を質権者に払ったと訴え、彼(質権者)がそれを否定し、証拠(証人)もなく[399]質権設定者の同席の上のことでもなければ、代理(の場合)と同様に(後述)彼[公正な(保管)者]が危険負担する[400]

もし「債務が満了しても、[質権者が]それ(質物)を売らない」[401]、あるいは「某時に彼(質権者)に彼の権利を返済する。さもなければ質物は彼[質権者]の所有となる。」[402]と特約すれば、その特約だけが無効である[403]。債務及び質物[404]の額とその返却[405]、またそれがブドウ果汁であってブドウ酒でなかったことについて[406]は質権設定者の証言が容れられる。

もし[質権設定者]が「それ[質物]が彼以外の所有であった」[407]、あるいは「それ(質物)は傷物であった」と認めれば[408]、彼自身に対して(傷害を認める証言)なら容れられるが[409]、質権者がそれを追認した場合を除き[410]、それ(質権)が取消された[411]後に、その証言に基づいて裁かれる[412]

 

[質物の利用]項

 質権者には[質権設定者の]許可なしにその保管費用の分だけ乗り物には乗り、乳を出すものの乳を搾ることができる[413]。もし[質権設定者が]質設定者の許可を得ることが可能でありながら許可なく質物の保管費を費やした場合には、その(返還)請求は(でき)ない[414]。もし[許可を求めることが]困難であったのなら、たとえ為政者の許しを得ていなくても[質権設定者に]返還を請求する(ことができる)[415]。持ち主が逃亡した寄託物、貸借した駄獣も同じ[416]

 もし質物[が家屋の場合]が毀滅すれば、「質権設定者]の許可なく[質権者が]それに内装を施した場合は彼の工材だけを[417]返還請求する[418]

 

「連帯保証[419]」節

それは行為能力者(j±'iz al=ta­arruf)[420]にしか有効でない[421]。債権者には2人(保証人と被保証人)のうちの好きな方に生存時でも死亡後でも請求権がある[422]。もし被保証人の債務が免じられれば[423]、保証人の債務も消滅するが[424]、逆は真ではない[425]

保証人が被保証人(が誰か)を知っていることは必要視されず(l± yu‛tabaru)、債権者(が誰かを知っていること)も(必要視)されない[426]。ただ保証人の同意(のみが必要視される)[427]

もし知ることに至るなら未知のものの保証は有効であり[428]、また無賃貸借物や侵奪物や交渉により持ち去った[429]、商品の納品証[430](の保証)も(有効である)。信託物[431]の保証はないが、それらに対する侵害[432](の保証は有効)[433]

 

[連行保証]項

連行保証(kaf±lah)[434]は保証された現物[435][を占有している人間]すべて[の身体]と債務者の身体について有効である[436]が、法定刑と同害応報刑には否[437]。連行保証人の同意は必要視されるが[438]、被連行人(の同意)は(必要)ない[439]。(被連行人が)死ぬか[440]、現物が至高なるアッラーの行為により毀損するか[441]、本人[被連行人]が自ら出頭すれば、連行保証人は免責される[442]

 

「債務引受[443]」節

それは確定した債務[444]によってしか有効でない。一方原債務の確定は必要とされない[445]。2つの債務の、種[446]、性状[447]、返済期限[448]、額[449]の一致が条件となるが、残余は[債務引受の失効に]影響しない[450]。もし(債務引受が)発効すれば、債務は新債務者の責任に移転し[451]、旧債務者は免責される。旧債務者の同意は必要であるが、新債務者の同意は必要とされず[452]、また富裕者[に引受けてもらう]なら、債権者の承認もいらない[453]。新債務者が破産者であって[彼への債務引受に]同意していなくとも、それを[新債務者に]履行請求する(ことができる)[454]

商品の代価について (bi)債務引受された[455]、あるいはそれ[代価]によって彼(買主)に対して債務引受された場合[456]、その売買が無効であったことが判明すれば[457]、債務引受は(有効では)ない[458]。一方その売買が取消されたなら[459][債務引受は]失効せず[460]、両者ともに債務引受が許される[461]

 

「和解」節

もし(被告の借主が)彼(原告の貸主)に債務か借物を認め、その一部を免除するか贈与し、残部を残せば、それは双方がそれを条件付けておらず[462]、また、寄贈が有効でない者による[463]のでない限り有効である[464]。もし返済期限の満期になったものの一部を帳消しにし、残りを延期すれば、帳消しだけが有効である[465]。もし期限前の者と、その(債務の)一部(だけ)を満期ということで(支払って)和解するか[466]、その逆か[467]、あるいは(借主が)は彼に家(の借用)を認めている場合に、彼(借主)にその居住、あるいは彼のためにその上部に部屋の増築することで和解する[468]、あるいは何かを代償に、行為能力者に自分への隷属を認めさせる、あるいは(他人の)女性に妻であると認めさせるよう取引するなどは[469]いずれも有効でない。しかし(最後の2つのケースでは)両名[470]が彼[原告]にその訴訟の和解のために支払うのは有効である[471]

(原告が)「私の債権を認めよ。そうすればお前にそのうちのいくらかを与える。」と言い、[被告がその承認を]行えば、その承認は有効であるが[472]、和解は[有効で]ない[473]

 

[財貨に対する和解の第2形態[474]]項

現物(の借り)か債務で訴えられた者が、それに身に覚えがなく沈黙するか否認して、その後に財貨で和解すれば、それは有効である[475]。そしてそれは原告にとっては売買であり[476]、その傷物は返却され、和解は取消され、また[もし共有物であっても]先買権(shuf‛ah)によってそれ(その共有物から)から(和解が)とられる[477]。またそれは相手(否認者、被告)にとっては免除であり、それゆえ返却権も先買権もない[478]

もし一方が虚偽を申告していれば、彼(虚言者)に関しては真相においては(b±»inan)有効ではなく[479]、彼が獲得したものは禁じられたものである[480]。窃盗と誣告法定刑は代償によって(和解すること)は有効ではなく[481]、先買権と証言[482]の取り下げも(有効で)なく[483]、先買権[484]と法定刑[485]は消滅する。もし自分の木の枝が他人の空間か住居に入ったら[486]それを取り除く[487]。もし[枝の所有者がその撤去を]拒めば「空間の所有者が」できればそれを矯め、さもなければ彼にはそれを切る権利がある[488]

公道には道をつけるために門を開くことは許されるが[489]、屋根窓やアーケードや屋台[490]や桶口[491]を出すことは出すことは否。また、それらのことを権利者の許可なく隣人の所有物や私道についても行ってはならない[492]。また、彼にはそうすることによってしか屋根をふくことができない必要不可欠な場合を除き、その隣人の塀にも木材を置く権利はない[493]。モスクなども同様である[494]。もし2人の壁が崩れるかその被害の恐れがあり、一方が他方に自分と協力してそれを直すよう求めれば、それを強制される[495]。河川、水揚げ機、カナート(地下水路)も同様である[496]

 

「禁治産[497]」節

自分の債務のうちの一部でも返済できない者はそれを請求されず[498]、その監禁は禁じられる[499]。また債務を返済する能力のある者も禁治産とはされず、その返済を命じられる[500]。そこで拒否すれば、その主(貸主)の請求に基づき監禁される[501]

もし、断固(債務返済を)拒否して、自分の富を売却しないようならば為政者がそれを売って債務を返済する[502]。しかし期限前のものについては請求されない[503]

(返済)期限の過ぎた債務をその財産で完済しなかった者は、その債権者たち(の全員)、あるいは彼らの一部の請求により、彼を禁治産(とすること)が(為政者の)義務となる[504]

その公表が好ましい[505]

その禁治産後は、彼の財についての法的行為は、有効とならず[506]、それ(財)に対する彼の追認もない[507]

その[禁治産]後に何かを彼に売ったか、貸した者は[508]その禁治産を知らなければ、それについて取り戻せるが、そうでなければできない[509]

一方もし[禁治産者が]自分の義務権利上で(fµ dhimmah)法律行為[510]を行うか、債務か、同害報復か賠償を要する加害を認めればそれは有効であり[511]、彼から禁治産が解れば、それを請求され[512]、為政者は、その財産を売却し[513]その代金を債権者にその[満期の]債権額に応じて分配する[514]

返済期限前の債務は[債務者の]破産によって満期とならず[515]、その相続人が質物か富裕な連行保証人を確約すれば[516]、[債務者の]死によっても(満期と)ならない[517]。もし分配後に(別の)債権者が現れれば、債権者たちから自分の取分を取戻す[518]。為政者だけが、彼の禁治産を解く[519]

 

[当人の利益のために禁治産とされる者]項

浪費者(制限行為能力者)[520]や子供[521]や狂人[522]などは彼ら自身の利益のために[523]禁治産とされる[524]。そして彼らに、売買であれ、貸与であれ自分の財産を与えた者は、その現物を取戻すが[525]、もし彼らがそれを壊した時には、彼らはそれを賠償しない[526]。一方、傷害の賠償[527]と、自分で彼等に引き渡したのでない者[528]の財物の賠償は彼らにも課される。

子供が15才になるか[529]、陰毛が生えるか[530]、夢精があり[531]、また狂人が正気に返り、両者が管財能力を備えるか[532]、愚か者が管財能力を備えれば、彼らの禁治産は判決を要さずに解かれる[533]。女子の成人は月経が加わり[534]、妊娠すれば[535]、成人と判断される。

禁治産は、その[前述の]諸条件の前には解かれない[536]。「管財能力」とは、度々商行為を行い、概してごまかされず[537]、また禁じられたこと[538]や無益なこと[539]に自分の財産を浪費しないことによる財産運用の適切さである[540]。彼[小児]は、その成人前に、彼にとって適切な方法で[541]試験をするまでは、その財産を引渡されない[542]

禁治産時の彼らの後見人は先ず父[543]、次いでその遺言執行人[544]であり、次いで為政者[545]である。彼らの誰についてもその後見人は、利益になることにしか、(その財産を)処分してはいけない[546]

[後見人は]彼(禁治産者)のために、無償で売買をするが[547]、匿名組合では利益の一部を、彼の財産から払ってよい[548]。貧しい後見人は[549]、被後見人の財産から、自分の必要か自分の賃金以下のものを[550]無償で取っても良い[551]

禁治産が解けた後、扶養費[552]、必要と好機[があったこと][553]、毀滅[554]、財産の返還[555]については、後見人[556]と為政者[557]の言葉(証言)とが採られる[558]

奴隷が負った債務はもし、主人が彼に許していたなら、主人が[その返済の]義務を負うが[559]、そうでなければ、それは、彼[奴隷]の保管[560]、傷害の賠償、毀損の代価と同様に、彼[奴隷]自身[561]である。

 

「代理」節

それは許可を示すあらゆる言葉によって[562]有効となる。また、その承諾は即座にであれ、間をおいてであれ[563]、それを示すあらゆる言葉、行為により有効となる[564]。なんであれ[自ら]処理する権限のある者は[565]、それに代理を立てることも、代理となることもできる[566]

委託は、契約[567]、解約、奴隷解放、離婚や離婚撤回[568]、猟の獲物や青草などの合法的なものの所有[569]などの全ての人間の権利について有効であるが、「母の背離婚」[570]、「相互呪詛離婚」誓言[571]については有効でない。また、代行の可能な、全てのアッラーの権利である崇拝行為について[572]、また固定刑の確定と執行についても[573][有効である]。

代理人は任されているのでない限り[574]、代理を託されたことを(別の者に更に)代理に託することはできない[575]

代理は取消可契約であり[576]、一方からの取消か死[577]、代理人の解任[578]、(代理人の)行為無能力による禁治産[579]により無効となる。

売買の代理人は自分自身か自分の子[580]と売買をしてはならない[581]。また物々交換にせず、後払いで売らず、その国の通貨以外で売らない[582]

標準価格以下か、[本人が]それについて評価する額以下で売るか、或いは彼[本人]の代わりに標準価格、あるいは[本人が]評価する額以上で売れば、[契約自体は]は有効であり[583]、不足分、[購入の場合の]超過分を賠償する[584]。高く売るか、「これを後払いで売れ」と、本人が言ったものを[代理人が]即金で売るか、(逆に)本人が「即金で買え」と言ったものを後払いで買えば、その2つのケースで(本人に)損害を与えなければ有効であるが[585]、そうでなければ[586]そうでない[587]

 

[代理委任者と代理人に課されること]節

もし[代理人が]傷物であることを知っているものを買えば、本人が納得しない限り、彼[代理人自身]がそれ[その売買契約]に拘束される[588]。もし[買った時点で傷物であることを代理人が]知らなければ、その返済[が可][589]

販売の代理人はそれ[商品]を引渡すが[590]、状況証拠(証人)[591]がない限り、代金は受け取らない[592]。購入の代理人は、代金を支払う[593]。もし、正当な理由[594]なくそれを遅らし、[代金が]失われれば、彼(代理人)はそれ[代金]を賠償する[595]

(本人が)無効な売買[596]の代理を依頼し、代理人が、有効な売買を行った場合[597]、或いは多少を問わずに代理を頼んだ場合[598]、或いは(代理人の)望むものを何でもよいとの購入[599]、或いは何かの現物を、特定せずになんででも[600]、との購入の代理の依頼は有効でない[601]

係争に於ける代理人[602]は(本人が権利を有する財貨は)受領しないが[603]、その逆は逆である[604]。「ザイドから私の権利(のある財貨を)を受け取れ」[と、もし本人が言えば、その代理人からはその権利がある][605]。しかし]彼の相続人からは受領しない[606]。しかし「彼の許にある私の権利(のある財貨)を(受け取れ)」[と本人が代理人に言った場合は別][607]。寄託委任における代理人は証人を立てなかった場合も危険負担をしない[608]

 

[代理人は受託者であり、懈怠がなければ賠償責任はない[609]]節

代理人は、信用される受託者(amµn)であり、懈怠がない限り、彼の占有中に毀損したものの賠償はせず[610]、[代理人の]否認[611]、及び毀損についての誓言を伴った証言は承認される[612]

アムルから彼(ザイド)の権利を取戻す件でザイドの代理人となったと称する者がいて、アムルが彼を認めたとしても[613]、その支払いは彼(アムル)には課されない[614]。もし彼を否認したなら[615]、誓言も課されない[616]

[アムルが]それを払って、ザイドが代理を否認すれば、[ザイドは]誓言し[617]、アムルがそれを賠償する[618]。戻されたもの[619]が寄託物であった場合は、それを取る[620]。もし、それが毀損すれば、(ザイドは)2人の[アムルか無権代理]のどちらにでも賠償させる[621](ことができる)。

 

「組合[622]」節

それは[623]、権利[624]か、法律行為(ta­arruf)[625]に於ける合同であり[626]、それ[契約の組合]には種類がある。

[その1]並鞍(Ôin±n)組合。2人[627]が両人の一定の財産を[額、種類、性状に]差があろうとも共有し、その中で2人で働き[628]、両者[2人の財産]における2人の法律行為は自分の持ち分に関しては所有権の規定に従い、パートナーの持ち分に関しては代理人の規定に従って行われる[629]

資本は少量の混ぜ物であるとしても[630]両正貨(金銀貨)鋳貨[631]であることが条件となる。

また、両人が双方について両者合意の一定の利益配分を取り決めること[632][が条件となる]。

もし、利益に言及しないか[633]、一方に両者が不定の配分(を取り決める)か[634]、或いは定額のディルハム(の配分を取り決める)か[635]、2枚の服の1枚の利益を[636]取り決めれば、有効でない。ムサーカー(果樹撒水契約、後述)、ムザーラア(小作契約、後述)、ムダーラバ(匿名組合、後述)も同様であり[637]、損失は出資額に応じて[638]。 両者の資本の混合は条件とならず[639]、両者の出資が同種であることも(条件となら)ない[640]

 

[ムダーラバ(匿名組合)の諸規則]節

 第2はムダーラバ(匿名組合)[641]であり、その事業者がその利益の一部[642]を取る。もし(資本家が)「利益は山分けにしよう。」と言えば、折半となる[643]

「私に・・・」、或いは「あなたに、4分の3或いは3分の1」と言えば、それで有効であり、残りはパートナーのものとなる[644]。両者の間で特約分がどちらのものかで意見が分かれれば、それは事業者の者である[645]。そしてムサーカー(果樹撒水契約)、ムザーラア(小作契約)も同様である(後述)。

ムダーラバは、[事業者は]資本で最初の者(資本家)に損失を与えるようなら、(最初の資本家が)了承していない限り、他者の資本でムダーラバ業をしない[646]。もしそれを行えば、その[第一の]組合に於ける彼の取り分[647]は返却される[648]

契約続行中は、両者の合意がない限り、[利益は]分配されない[649]。もし資本かその一部が法律行為の後に[650]毀損するか、失われた場合、その分配か清算の前に利益から損失補填する[651]

 

[顔役組合]節

第3は顔役組合[652]で、2人が2人の義務権利上で(fµ dhimmah)、2人の信用(j±h)で買うことであり、2人の利益は2人の間で(分配)[653]。どちらも互いに対して、代理人であリ、価格について連帯保証人である[654]。2人の間の所有権は2人が特約した通りであり[655]、損失は2人の所有権に応じ[656]、利益は2人が特約した通り[657]

第4は肉体労務組合であり、2人が2人の肉体を使って稼いだものを共有する。一方が受けた仕事は両者ともその実行が課される[658]。それは草刈、薪拾い他全ての合法的労働に有効である[659]。 

たとえ一方が病気になっても稼ぎは2人の間で[660](分配される)。もし健康な方が彼(病人)に代行者を立てることを要求すれば、それが彼(病人)に課される[661]

第5は委任組合で二人のどちらかがパートナーに各種の組合の金銭的肉体的法律行為の全てを委任する[662]。利益は2人で条件をつけた通り、損失は出資額に応じて(分配される)。もし、2人がそれに稀な収入や課徴金やどちらか一人に課される収奪物の保証金などを繰り入れれば、無効となる。

 

「ムサーカー(果樹撒水契約)[663]」節

それ[ムサーカー]は、食用果物のなる木[664]、成っている実、植え[665]果実を結ぶまでその手入れをする木に対して[666]、実の一部(を対価とするこ)[667]とによって有効となる[668]

 それは、取消可契約(Ôaqd j±Õiz)であり[669]、もし、(木の)所有者が取消せば労働者には賃金(を貰う権利が生じ)[670]、もし彼[労働者]が[果実が実る前に]取消せば、彼には何の権利も(生じ)ない[671]

労働者には果実のためになること全て、耕作、水遣り、蔓刈り、受粉、日乾、その場の用意、水路整備、収穫などが課される[672]。資本家には柵で囲んだり、水路を引いたり、水揚車などのようなそれ(木)のためになることが課される[673]

 

「ムザーラア(小作契約)」節

ムザーラア(小作組合)は土地の産するものの一定の率の部分を地主か労働者のものと定めることによって有効となり[674]、残りは他方[地主]のものとなる。

種草が地主の負担となることは条件とならない[675]。人々の慣行もその通りである[676]

 

「賃約[677]」節

それ[賃約]は3つの条件が揃って有効となる。

[第1に]住宅の居住[678]や人間の使役[679]や知識の教授[680]のような用益が知られていることである。

第2に賃金が知られていることであるが[681]、被雇用者[682]と乳母[683]については衣食だけでも有効である。もし銭湯に入るか、船に乗るか、或いは漂白屋や仕立屋に服を預ければ、契約を(特に)交さなくとも慣行の価格で有効である[684]

第3に、そのものが合法であることであり[685]、姦通や笛演奏や歌や住宅を教会や酒屋にすること[686]のように禁じられた用益については有効でない[687]

[688]の端を置くための塀の賃約は有効である。夫の許可なく妻は自分自身を賃約できない[689]

 

[賃約される物の諸規定]項

賃約されるものに条件となるのは[第1に]住宅など[690]を除いて、目で見るか、説明によってそれが知られていること。[第2に]その部分ではなく、その用益について結ばれることであり、食べるための食物、燃やすための蝋燭、乳母[691]以外の乳を取るための動物の賃約は有効でない[692]。井戸の溜り[水]、土地の水は従属物に含まれる[693]。また[条件の第3は]引渡すことが可能であることであり[694]、逃亡奴隷、逃げたもの[ラクダ]の賃約は有効でない[695]。また[第4は]そのものが用益を有することであり、病衰した駄獣は運搬用として有効でなく、不毛の地は耕作用にならない[696]

また[第5に]用益が、賃約された者が、彼がそれを許可された者であること[697]。そのものを本人より害が多くない限り[698]、代行人に賃約することも許される[699]。また寄進(ワクフ)の賃約も有効であり[700]、賃約した者が死んだら[ワクフは]彼の後の者に移り、取消されない[701]。そして[最初の者の死の時点から]第2の者には賃金の中に彼の取り分がある[702]

もし住宅などをそのものがその間多分残存すると思えるなら、たとえ長期間であれ、一定期間賃約しても有効である[703]。もし乗用獣を特定(の目的)地までの乗用に、或いは、牛を耕作或いは作物踏みのために、或いは、道案内を賃約するなど(特定の)労働のために、その(もの)を賃約する場合それが知られており、食い違いがでないようにそれを確定しておくことが条件となる[704]

その行為者が、献身者[ムスリム]に限られるような行為[705]には(賃約は)有効でない[706]

賃約受注者(muÕjir)には、賃約注文者(mustaÕjir)が用益を得ることができるためのもの全て(の提供)が課される[707]。たとえばラクダの手綱や鞍や腹帯や鞍をつけること、籠や輿をつけること、乗せ降ろしラクダを(逃げない用に)繋いでおくことなどや、住宅の施錠や修繕などである。水溜や厠はもし空の状態で引渡されたのなら賃約注文者が空にしなければならない[708]

 

[賃約の義務]節

それは、確定契約であり[709]、もし、彼[賃約受注者]に何かを賃約し、[賃約受注者]が彼[賃約発注者]を全期間あるいは期間の一部にわたり、妨害すれば、彼[賃約受注者]には[賃料の]何の権利もない[710]。もし、他方[賃約発注者]が[用益享受を]始めれば、期間満了前でも、彼[賃約発注者]に[賃料金額支払いが]課される[711]。また、それ(賃約)は、賃約されたものの毀損[712]、乳母の死、代わりを遺さなかった場合[713]は乗り手の死や奥歯が抜けることや、治癒などによって[714]取消されるが、両契約者がその一方の死や[715]、賃約発注者の必要経費[716]の喪失など[717]によっては[取消]されない[718]

住宅を貸借しそれが倒壊するか、農業のために土地を貸借し水がかれるか水没すれば残り[期間]の賃約は取消される[719]

[契約発注者が]そのものに瑕疵があるを見つけるか、[彼の許で]そのものに瑕疵が生じた場合[720]、彼[契約発注者]には取消権があるが[721]、それまでの分の賃料(支払い)が課される[722]

専属雇用人[723]は自らの手で犯した過失の保償はしない[724]。吸玉放血師、医師、獣医は、彼らの技倆が認定されており手術を誤らなければ[725][賠償は]ない[726]。過失のない牧者も(賠償)しない[727]

[共用]雇用人[728]は自らの行為によって毀損したもの[729]は賠償する[730]。彼の保管下にあって壊れたもの[731]、或いは彼の行為によらずして毀損したものについては賠償しないが[732]、彼には賃金もない[733]

賃料は(特に)期日指定がなされていない限り、契約時に(支払いが)義務である[734]。そして自分の責務となった仕事を引渡した時点で[その請求]権が生じる[735]

また、有効でない賃約によって[736]ものを受け取り、期間が過ぎた[737]者には、標準価格(の支払い)[738]が課される[739]

 

「競争」節

それは、徒歩、全ての動物、船、射撃について有効である[740]。但し、ラクダと馬と弓矢を除き、対価をつけて行うことは有効でない[741]。そして乗り物[742]と射手[743]と、慣例に応じた距離の特定[744]が必要である。

 それは懸賞であり、[双方の]各人に取消(権)がある[745]。特定人数の弓を射られる者の射的は有効である[746]

 

「無賃使用貸借[747]」節

それはその享受後も存続する物[748]の用益の許可である。無賃使用貸借は用益を有するもの全てについて許されている。但し性器[749]、不信者へのムスリムの奴隷[750]、巡礼への猟の獲物など[751]、女性と親族以外への若い女奴隷[752]、(の無賃使用貸借すること)は別で許されていない。

塀を貸した者には[753]、(木材が塀から)落ちるまでは、賃料はない[754]。また[その塀が]崩落したなら、彼[塀の所有者]の許可[755]がなければ [板を]元の場所に戻せない[756]

無賃使用貸借物はたとえその賠償の否定を特約しても[757]、壊れた日[758]にその価格を賠償され[759]、彼[借主]にはその返却にかかる費用も負担となるが[760]、貸借したものについては[返却経費は借主の負担とは]ならない[761]

また(無賃使用貸借の借主は)又貸しはしない[762]。もし、第2の者(又借り人)の手許で壊れたら、その価格(の賠償)は彼(又借り人)に決まる[763]。又貸しをした者には、[第一貸主に対して]その賃料が課される[764]。そして[第一貸主には]どちらでも好きな方に弁償を求める権利がある[765]

(来世での)報奨を求めて[自分の乗用獣に他人を]乗せたなら、(その乗用動物が死傷してもその同乗者には)賠償はない[766]

一人が「私はあなたと賃約を交わした」と言い、他方が「いや、あなたは私に無賃消費貸借を行ったのだ」と言うか、或いはその逆の場合[767]、契約直後なら[768]、無賃消費貸借の主張者の訴えが容れられるが[769]、時間を経た後なら[770]所有者の訴えが通り[771]、標準賃料で[772]

一方[占有者]が、「あなたは私に無賃使用貸借をした」或いは「あなたと私と賃約を結んだ」と言い、他方[所有者]が「いやあなたは私から侵奪したのだ」と言った場合[773]、及び、一方[所有者]が「私はあなたに無償使用貸借をした」と言い、他方が「いや、あなたは私と賃約をしたのだが、その動物は死んでしまった」と言った場合[774]、及び、返還(したかどうか)について2人の言葉が違った場合は[775]、所有者の言葉(が容れられる)。

 

「侵奪」節

それは不動産であれ動産であれ、他人の権利を正当な権利なし力ずくで奪うことである[776]。購入された犬[777]、庇護民の酒は返還されるが[778]、死獣の皮は返還されない[779]。上記の3種[犬、酒、死獣の皮]の毀損は、無償の毀損である[780]

もし、自由人を略奪してもその賠償はないが[781]、強制的に使役するか[782]監禁すれば[783]、彼にはその賃料(の支払い)が課される[784]

[侵奪者には]侵奪物をたとえその(価格の)何倍も(返還のために)支払うことになろうとも、増加分も合わせて[785]返還することが課される[786]

[奪った]土地に建てるか植えれば、その撤去[787]、[地価の]減価補填、整地[788]、賃料[789]が彼[侵奪者]に課される。もし、狩猟用鳥獣や奴隷や馬を侵奪し、それによって獲物を得れば、[その獲物は]その[狩猟用鳥獣などの]所有者のものとなる[790]。もし金属の加工、紡織、服の漂白、あるいは染色、板の工作などを行うか、穀種が実るか、卵が孵るか、種が芽を出すかそれば、それを返却し、減価分を補填する。侵奪者は何も得ず[791]、その減価分の賠償が課される[792]

奴隷が去勢されればその価格[全額]と一緒に彼を返還し[793]、価格の減価分は賠償しない[794]。また、回復して返れば病気による減価分も(賠償しない)[795]

[職業]教育によって[減価が]回復しても減価分を賠償する[796]。もし学習するか太った後で忘れるか、痩せて値下がりすれば、増加分を賠償する[797]。増加が、最初の減額とは別種で回復した場合も[798]、その[最初の増加]の種による場合[799]も同様で、両者のうちの多額の方[800]を除き、賠償しない[801]

 

[侵奪されたものの共有、染色、毀滅等]項

油や小麦のように分離できないものと混ぜるか、服を染めるか、[侵奪された]大麦粥を油に混ぜるかその逆を行い、その結果[侵奪されたものの]価格が増減しなけければ、両者はそれに於ける両者の財産の比率に応じての共有者となる[802]。 [侵奪されたものの]価格が滅じれば、それを補填する[803]。またその両者の一方の価格が上がればその所有者に権利[804]。染料を落とすことを[805]拒否する者は強制されない。もし、買主の草、或いは建物が土地の権利によって[806]撤去されたら、[植えた人、建築者は]売主から賠償 (ghar±mah)[807]を取戻す。

[侵奪者が]彼の侵奪について知っている者にそれ(その奪ったものを)食事に供したら、彼[食べた者]に賠償が課せられる[808]。逆の場合は逆になる[809]。もし侵奪者がそれ(奪ったもの)をその所有者に食用に供するか、贈与するか、預けるか、賃約するかした場合、彼[所有者]が、[それが自分のものであることを]知っているのでなければ[810]、免責されないが[811]、[侵奪者が]それ[奪った物]を[所有者に]無賃使用貸借すれば免責される[812]

規格品[813]の侵奪物の、毀損したもの、亡くなったものは[814]、その規格品で償われる[815]。そうでなければ、困難な[816]日のその価格で。規格品以外なら、その毀損の日のその価格で賠償される[817]

[侵奪された]果汁が発酵して酒になれば、同じもの(果汁)を[818]、もし酢に変われば、それ(酢)を彼(原所有者)に返し[819]、それに、果汁との差額を、補填する[820]

 

[侵奪者の法律行為等]節

侵奪者による、イスラーム法の規定の対象となる行為(ta­arruf±t Æukmµyah)[821]は、無効である[822]

(侵奪されて)毀損した物の値段、量[823]、性状[824]についての(裁判で採用される)言葉は、侵奪者の言葉であるが[825]、その返却、瑕疵[826]について(採用される言葉)は、その(本来の)持主の[否認の]言葉である[827]

[侵奪者が]その[奪ったものの]持主を知らなければ、賠償されたものとして[828][持主の]代わりにそれを喜捨する[829]

[主人の許可なく]貴重品を毀損するか、[鳥]籠か扉を開けるか、[皮袋の]口紐、[馬の]手綱、頸木を解いて、何ものが逃げるか、何かを毀損などした場合は、それを賠償する[830]。道に動物を狭い道に繋ぎ、それで人が躓けば、それを賠償する[831]。咬癖のある犬が、許可を得て自分の家に入った人を[832]、或いは外で人を咬んだ場合も同様に[飼い主が賠償する][833]

家畜が夜荒した農作物は畜主が賠償するが、昼間ならばその逆[で賠償しない][834]。但し、[昼間に]それが普通荒らすものの近くに放っておかれた場合は別である[835]。(動物が)乗り手、御者、追い手の手にあった時は、その前部[前足や口]による損害は賠償するが、後部[後足]によるものは(賠償)しない[836]。その(動物の)被害の他のものは[837]、襲撃者の殺害[838]や、笛[やその他の楽器][839]、十字架、金銀食器[840]、無価値の酒器[841]の毀滅と同様に、無償である(hadr)。

 

「先買権」節

それ[先買権]とは、自分の共有者の持分を、それ(共有者の持分)が財物代価によって移転した[842]相手から、契約で決った対価で[共有者が]取戻す[843]優先権である[844]

[共有者の持分が]代価なしに移転した場合[845]、代価が婚資、離婚のために返還する婚資、或いは、故意殺人の和解調停であれば、先買権はない[846]

それ[先買権]を回避する脱法行為は禁じられている[847]。それ[先買権]は、分割が義務である土地について定められており[848]、草、建物はそれに付随するが[849]、果実、農産物は違う[850]。また隣人には先買権はない[851]。またそれ[先買権]は彼が知った時点の直後(にしかないの)であり[852]、もし、正当な理由[853]なく、その場でそれを請求しなければ無効となる[854]

[先買権者が]買主に「[あなたが買ったもの(自分の共有地)を]私に売ってください」或いは、「私と調停せよ」と言うか[855]、義人[自分にそれ(自分の共有地)が売られたことを告げた者]を嘘と否定したか[856]、[(共有物の)売られた持分の]一部だけを請求すれば[857]、[先買権]は消滅する。また先買権は2人[の共有者]に両人の権利に応じてあり、一方が放棄すれば、他方は全てを取るか[全てを]放棄するかである[858]

1つの契約で2人が1人の権利を買うか[859]、或いはその逆[1人が2人の権利を買うか][860]、或いは1人が2つの土地の2つの持分を買えば、先買権者には、その1つの所得(の権利)がある[861]

[一つの契約で]持分と刃を売るか[862]、或いは売り物の一部が毀損すれば[863]、先買権者はその持分を、その代価のうちの(持分の)比例分で、取得する(権利がある)。

寄進物(ワクフ)の共有には先買権はなく[864]、先行する所有権でないものにもなく[865]、不信者がムスリムに対してもない[866]

 

[持分の買主の法律行為、その増加分など]説

それを買った者がそれを寄進する、贈与にする、質入れすることによって処分すれば先買権は消滅するが[867]、遺言ではしない[868]。もし、売った後なら、彼[先買権者]は2つの売買(価格)いずれかによってそれ(自己の持分)を取得する[869]

「果実」と分離生成物[870]、農作物、実っているものは先買権者のもの[871][買主が](建物を)建てるか、(草木を)植えるかすれば、その[建物と木の]価格で[872]それ(土地)は先買権者に所有権があり、また[先買権者には]それを撤去し、その減価分を賠償する[権利がある][873]。一方、加害[874]がなければその[建物と草木の]持ち主はそれをを引き取る権利がある[875]

先買権者が請求前に死ねばそれ[先買権]は無効になる[876]。もしその[請求後に死んだ]なら、彼の相続人のものとなる[877]

[先買権者は]全額[878]で[自己の持分を]取得し、もし、その一部でも[支払いが]不能であれば、彼の先買権は消滅する[879]

[代価が]後払いの場合は、金持ち[の先買権者]は、それ(代価の金額を後払いで払うこと)で取得するが[880]、その逆の[先買権者が貧しい]場合、金持ちの保証人によって[代価が後払いの場合それを取得する][881]

[双方のどちらにも]証拠(証人)がない時には、宣誓においては買主の言葉が容れられる[882]。[買主が]「1000で買った」と言えば、たとえ、売主がそれより高額を証言しても、先買権者は、その額[1000]で取得する[883]。売主が[先買権の設定された持分の]売却を認め、買主が否認した場合は[先買権が]確定し[884]、先買権者は買主に対して権利を有し[885]、買主は売主に権利を有す[886]

 

「寄託[887]」節

自分の財の中から寄託物が毀損しても、彼に踰越、懈怠がなければ、賠償しない[888]

[受寄者]には、それをその類のものに適した[889]保蔵庫での保管が課される[890]。もし、その寄託者がそれ[保蔵庫]を指定したのに、そこ以外の場で保管した場合は[寄託物が消失すれば]賠償するが[891]、(指定された保蔵庫と)同等か、あるいはより安全な保蔵庫でであれば[消失しても賠償]しない[892]。その(家畜の)持ち主の指示によるのでなく家畜に飼料をやらなければ[それで餓死した場合は]賠償する[893]。彼(受寄者)の懐を指定した[894]後、それを袖か手に入れたままにしていれば[寄託物が消失した場合は]賠償するが[895]、その逆の場合は逆[896]。それを彼(受寄者)の財を保管している、或いはその持主(寄託者)の財を保管している者[897]に渡した場合は賠償しないが[898]、他人か[899]為政者[900](に渡した)なら、その逆(で賠償する)。双方[見知らぬ人と為政者]が[それが寄託物であると]知らなければ(賠償の)請求は受けない[901]

[受寄者に]懸念が生じるか、旅に出ることになれば、それはその持主[あるいはその代理人]に返す[902]。[寄託物の持主が]失踪すれば、それ[寄託物を携行しての旅]がより安全であれば、[受寄者は]それ[寄託物]を携行するが[903]、そうでなければ、信頼できる人にその保管を頼む[904]

ある者が[寄託物を侵害し]家畜を寄託され世話をせずにそれに乗った場合[そしてそれが死んだ場合]、服を[寄託されて]それを着た場合[虫に食われた場合]、銀貨[を寄託されて]それを金庫から出して後で[金庫に]返すか、[その金庫の]封印を解くか、区別のつかないものと混ぜてその全部が失くなれば、賠償する[905]

 

[無題[その返却と毀滅については誓言を伴って受寄者の証言が容れられること]節]

その寄託者かその[寄託者の]許可を得た上での第3者への返却、懈怠なくしての毀損については、受寄者の言葉が容れられる[906]。「あなたは私に寄託しなかった」と言った後で、証拠(証人)か自白によって[寄託が]証明されれば、その後で彼(受寄者)が、自分の否定(していた寄託物)が前に返却、或いは損壊したと主張した場合、たとえその証拠(証人)があっても、その2つ[返還、損壊]は受け容れられない[907]。但し、彼(受寄者)の「私はあなたのものを何も持っていません」等の言葉であるか、或いは[否認の]後で[返却か損壊を訴えて]それ[証拠(証人)]があれば[誓言を伴えばその返却と損壊の訴えは容れられる][908]。[受寄者が死んで]その[受寄者の]相続人が、自分[受寄者の非相続人]かその被相続人[寄託者]による[寄託者への]返還を主張しても、証拠(証人)がなければ[909]容れられない[910]。二人の寄託者の1人が、分割可能な嵩か重さで計られるもの(寄託物)の自分の持分を請求すればそれを取る[911]。受寄者、匿名組合労働者、質権者、賃借者には[彼らから(預かった)現物それ自体が侵奪された場合]その現物の侵奪者に対しての(返還)請求権がある[912]

 

「無主荒蕪地の開墾」節

それ[無主荒蕪地]とは、特別な用途[913]も不可侵の所有もない土地のことであり、それを開墾したものがそれを所有する[914]。信者であり不信者[915]であれ、イマーム(カリフ)の[開墾の]許可があろうとなかろうと[916]「イスラームの家」の中であれそれ以外[917]であれ同じ。武力征服地[918]も他[919]に同じである。居住地の近くでも、その権益に影響がなければ[920]、開墾により所有権を得る[921]。無主荒蕪地を囲い込むか[922]、井戸を掘り水脈を掘り当てるか、それ[水]を泉[や川や井戸]などからそこ[無主荒蕪地]に引くか、農作のためにそこにそれ[水]を留めれば開墾したことになる[923]。古井戸[924]は50腕尺四方の付属禁域(Æarµm)を所有し、新井戸ならその半分[25腕尺四方]を所有する[925]。イマームは無主荒蕪地をその開墾者に授封することができるが[926]、彼[受封者]はそれ[封土]を所有しない[927]。また[イマームには]人々に害を及ぼさない限りでの[928]大通りにおける[売買のための]座の授封(の権限がある)[929]。そして彼[受封者]は、その座の最優先権を持つ。授封がない場合、先に座った者は[930]、彼の布が残っている限り[931]、たとえ長時間となっても(最優先権を持つ)。2人が先着すれば2人で籤を引く[932]。合法的な水[933]の最上部にいる者は、水汲みと足首に届くまで水を溜めることができ[934]、その後はそれ(水)を次の人に流す[935]。イマームだけには、ムスリム(人々)を害さない限り、ムスリムの家畜[936]の飼育用の保護区(の設定権)がある[937]

 

「懸賞[938]」節

それは自分のために、一定の或いは不定の期間に[939]、一定、或いは不定の仕事[940]をした者に、一定のもの[941]を報酬に与えることであり、[盗まれた]奴隷や遺失物の取り戻しや仕立てや、壁塀建設などである[942]。彼[懸賞提供者]の言葉を知った後で、それを行った者は、その(懸賞の)権利があり[943]、複数ならばそれを等分する[944]。[その仕事の]途中[で懸賞の情報が届いた]なら、その全額の一部を取る[945]

両者共に取消権があり[946][取消が]労働者の側からなら[仕事を完遂する前であれ]彼は何も得る権利はなく[947]、[取消が][仕事]開始後で懸賞提供者からなら労働者は労働の[標準的]賃料の権利がある[948]。その[懸賞の]事実自体或いは額について争いがあれば、懸賞提供者の言葉が容れられる[949]。懸賞がないのに、遺失物や迷い家畜を取り戻すか、他人のために仕事をした者は代償を得る権利はない[950]。但し逃亡奴隷については別で1ディナールか12ディルハム(を払い)。さらに[逃亡奴隷を取り戻した者は]その扶養費も払ってもらう[951]

 

「拾得物」節

それは財、或いは持主から迷い去った私有物であり[952]、中流階級の関心を引くだけのものである[953]。一片のパンや、鞭などは公示なしに[拾得によって]所有権を得る[954]。小肉食獣[955]に負けない雄牛やラクダなどは取得が禁じられるが[956]、それ以外の動物[957]やそれ以外のもの[958]は、自らそれを安全に保管するなら[959]、拾得が許される[960]。そうでなければ[961]、彼は侵奪者に準ずる[962]。モスク以外[963]の人寄り場所[964]で1年間、万人に告知すれば[965]、その後は法的にそれを所有することになる[966]。しかしその諸性状を知る[967]前には、それを処分しない[968]。それを求める者が来て、それ(拾得物の諸性状)を描写すれば、彼にそれを返さねばならない[969]。禁治産者と子供は、その後見人が告知をする[970]。動物をその疲弊により砂漠に放置するか、持主がそれを扶養できずに放置すれば、その拾得者がそれを所有する[971]。靴などを取られた者が、その場に別のものを見つけた場合それは拾得物となる[972]

 

「拾い子」節

それ(「拾い子」)とは身許もその所有者も分からず、捨てられているか、迷い子になった子であり、それを引き取ることは連帯義務である[973]。その子は自由人であり[974]、その子と一緒に、或いはその下に地表であれ、埋めたばかりであれあったもの、或いは動物などで近接していたものは[975]、彼のものであり[976]、そこから、彼の養育費を出す[977]。そうでない場合、国庫から[978]

彼はムスリムであり[979]、その保育は、彼を見つけた信頼すべき者の権利であり[980]、為政者の許可は不要で[981]、彼を扶養するが[982]、遺産、血讐賠償は国庫に入れる[983]。故意[の殺人]

の場合の彼の相続人はイマーム(カリフ)であり、イマームが同害報復か血讐賠償のどちらかを選択する[984]

もし男性か、ムスリム夫のある女性か、不信者が、その子が自分の子であると証言すれば、たとえその拾い子の死後でも、その拾い子は、その者に帰属するが[985]、その宗教については[広い子は]不信者には、彼(拾い子)が彼(拾い主の不信者)の床で生まれた証言する証拠(証人)がない限り。従属しない[986]。もし[拾い子が][奴隷である事と]矛盾する過去[987]がありながら、奴隷であることを認めるか[988]、自分が不信仰者であると言っても受けいれられない[989]。複数の人間が名乗り出てくれば、証拠(証人)[990]のある者を優先する。そうでなければ、観相家たちが、帰属せしめた者に[991]

 

「寄進(waqf)[992]」節

それ(寄進)は基体の確保と用益の奉納である。それ[寄進]は言葉と、自分の土地をモスクとし人々にその中での礼拝を許したり、墓地としそこへの埋葬を許すような[慣習的に]それ[寄進]を指す行為によって有効に成立する。その[言葉の]明言は「私は寄進にする(waqaftu)」、「私は凍結する(habbastu)」、「私は奉納する(sabbaltu)」、その暗示は「私は喜捨する(ta­addaqtu)」、「私は禁制とす (Æarramutu)」、「私は永代とする(abbadatu)」である。暗示の場合は、(寄進の)意図、あるいは[上記の(3種の)明言、(3種の)暗示のうちの残りの]5つの語[993]、或いは寄進の規定[994]との結合が(寄進の有効性の)条件となる。

また以下が[寄進の有効性の]条件となる。[1]土地や動物[995]など、その基体が残存する限りその用益が得られる基体[996]からの恒常的用益。[2]モスク、橋、宿舎、ムスリムか庇護民の親族[997]のためのような敬虔のため[998]であり、敵国人[999]、教会[1000]、モーゼの律法の書、福音書、異教の書物でないことであり[1001]、遺言[1002]、自分自身への寄進も同様である[1003]。[3]モスクなど[1004]を別にすれば、所有する特定の者に対してであることが条件となり[1005]、[ジブリールやミーカイールなどの]天使、動物[1006]、胎児、墓[1007]に対してはなく、その[寄進の]承諾[1008]、それが本人の占有を離れることは[条件と]ならない[1009]

 

[集成、優先、及びその逆、ある性状、或いはその不在の特記、順序、管理権その他に於ける寄進者の条件]項

集成[1010]、優先[1011]、及びその逆[1012]、ある性状、或いはその不在の特記[1013]、順序[1014]、管理権[1015]その他に於ける寄進者の条件の実行は義務である[1016]

無条件で条件がつけられていなければ、富者、男性はその反対[貧者、女性]と同等であり[1017]、管理権は寄進受益者(mawq¹f Ôalai-hi)に属す[1018]。もし、自分或いは他人の子、その後は、貧者のために寄進したならば、男女平等に彼の子供たちに属し[1019]、次いで、その娘の子供たちでなく[1020]、息子の子供たちに[1021]。 また「自分の子の子(walad waladi-hi)」、「自分の腰の自分の子種(dhurriyyatu-hu li-­albi-hi)」と言った場合も同じである[1022]。しかし、「自分の息子たちに(banµ )」或いは、「某の息子たちに」と言った場合は、彼ら(子供たち)のうちの男子に限られる[1023]。但し、部族(qabµlah)であれば、女性も含まれるが[1024]、族外者による彼女らの子供は違う[1025]

「親族(qar±bah)」、「家族(ahl bayt)」、「同族(qawm)」など(の概念)は、本人の子(awl±d)、本人の父、祖父、曽祖父の子のうちの男女を含む[1026]。女性の、或いは女性の排除の意図を確証する[文脈による]証拠(証人)があれば、それに従う[1027]。もし、全員を数え上げられる集団に対して寄進されたのなら、全員の網羅と平等な取り扱いが義務であるが[1028]、そうでなければ選別[1029]、その1人に絞ることも許される[1030]

 

[寄進の義務、収益のためのその売却、その取替、その余剰の振替等]項

寄進は確定契約[1031]であり、取消は許されず[1032]、売却もされない。但しその用益が[完全に]消失した場合は別で[1033]、その代価は同等のものに支出される[1034]。たとえそれがモスクであっても[1035]、またその付属物、その必要を越えるもの[1036]は、他のモスクに移転することが許される[1037]。またそれによる喜捨は貧しいムスリムのために[1038]

 

「贈与、譲与」節

それは、自分の生存中に存在する一定の自己財産を他人の所有に移すことによる寄贈であり[1039]、もしそれに一定の対価を条件づければ、それは売買である。その認識が困難なもの[1040]を除き、不明なもの[1041]の贈与は有効でない。

それ[贈与]は申出と承諾か、それ[贈与]を示す遣り取りによって[1042]締結され、贈与者の許可に基づく保有(qab½)により、確定する[1043]。但し受贈者の占有であったものは別[1044]。[取得の前に贈与者が死んだ場合]贈与者の相続人がその代わりを務める[1045]

満了(iÆl±l)、喜捨(­adaqah)、贈与(hibah)などの語によってその債務者をその債務から解放した者は、[債務者の]承諾がなくとも、その権利義務関係は解消される(baraØat dhimmatu-hu)[1046]。売買される全てのもの[1047]、買われた犬[1048]の贈与は許される。

 

[譲与の諸規定]項

子供への譲与では彼らへの相続(額)に応じて平等化が義務であり[1049]、もし一部を優遇すれば撤回[1050]か、増額によって均等化する[義務として][1051]。その前に[贈与者が]死ねば、確定する[1052]。贈与者は確定した自分の贈与の撤回は許されない[1053]。但し、父親は別で、彼[父]は害を与えず必要としているのでない限り[1054]、自分の子の財産を取り所有することができる[1055]

[父が]彼(子)の財産について、たとえ彼(父)が彼[子]に贈与したものであっても、その撤回[1056]か、言葉か意図による所有か、認められた保有(qab½ muÔtabar)の前に、売買、奴隷解放、債務取消などの法律行為を行うか、その[父が子に贈与した物の]取得を望んでも、彼の法律行為は有効でない[1057]。但しその後(なら有効)[1058]

子には、自分の父に対して(自分の)債務など[1059](の肩代わりの支払い)の請求権はない[1060]。但し、彼[父]の彼[子]に対する義務的扶養は別であり、彼(子)は彼(父)にそれを求めるかそれを確保する権利がある[1061]

 

[病人の諸法律行為]項

軽い歯痛、眼の痛み、頭痛など[通常死に至る]恐れのない病を患う者は、その[譲与などの]法律行為は、たとえそれによって死ぬ結果となっても[1062]、健常者と同じ[で有効である]。 

肋膜炎、肺炎、心臓の痛み、慢性の下痢腹痛、鼻血、初期中風、末期結核、恒常性熱病、四日熱などの恐ろしい病、あるいは二人の公正なムスリムの医者が「恐ろしい」と診断した病の場合、あるいは居住地でペストが流行した者[1063]、流産で患う女性は、それによって死んだ場合、相続人たちによるその(譲与の)許可がない限り、一人の相続人に対してのいかなるものも、また(自分の財産の)3分の1を少しでも超える分も[1064]、その寄贈は確定しない[1065]。もし直った場合、健常者と同じ[1066]病や[初期]結核や[末期]中風が長引いても寝たきりでない者は彼の所有全てを[健常者の譲与に準じて(寄贈できる)][1067]。その逆[寝たきりの場合]は逆である[その譲与は遺贈に準ずる][1068]。その死にあたって[1069]3分の一だけが認められる。

 [譲与は4つの点で遺贈と異なり]、[1] 遺言に於いては先行者と後続者は平等であるが[1070]、譲与においては、最初の者から始め順々にであり[1071]、[2]それにおいて撤回権を有せず[1072]、[3]そして[譲与は]その(譲与の)発生の時点でのその承諾が必要視され[1073]、[4]所有権はその時点で確定するが[1074]遺贈はそうではない[1075]

 

「遺贈」章

[常識に照らして]沢山の財産を残した者には、5分の一[1076]を遺贈することがスンナ[1077]である。[相続人がいる者には」他人には3分の一以上は許されず[1078]、相続人には両者への相続人たちが死後に許可したのでない限り、少しも権利がないが[1079]、[相続人たちが3分の1を超える額、あるいは彼らのうちの一人の相続人だけへの遺贈を許可した場合は]執行としては有効である[1080]。相続人が困窮している場合、貧者の遺言は嫌われる[1081]。相続人のいない者は(財産)全て(の遺贈)も許される[1082]

(遺産の)3分の1が遺贈を満たさなければ、不足額は全員で分割[1083]。もし相続人の1人に遺贈したが、死亡の際に相続人でなくなった場合は[1084][その遺贈は]有効である[1085]。逆の場合はその逆である[1086]。たとえ大幅に遅れても死後の承諾が認められる[1087]。その[死の]前の[承諾]は[有効では]ない[1088]。死後の直後からそれ[承諾]により所有権は確定する[1089]。そして、それ[遺言]を承諾し、その後で[たとえ受取(qab½)]の前であっても]それを拒絶してもその拒絶は有効でない[1090]。また遺贈の撤回は許される[1091]。「もし、ザイドが来たら、彼が、私がアルムに遺贈したものを得る」と[遺贈者が]言い、彼[遺贈者]の存命中に彼[ザイド]が来ればそれは彼[ザイド]のものとなる[1092]。しかし[ザイドが来たのが遺贈者の]死後ならアムルのもの[1093]。債務や巡礼などの義務は全て、彼の死後、その財産からたとえそれが遺言されていなくとも取り分ける[1094]。もし、「私の3分の一から、義務を果たしてくれ」と言った場合、それ[義務]から始める。もしそれ[3分の1]からいくらか残ればそれは寄贈の対象が取るが[1095]、そう[いくらか残るの]でなければ[寄贈は]無くなる[1096]

 

「受遺者」節

 [遺贈は]所有の有効である者には有効である[1097]。その3分の1のような分有で(bi-mush±Ô)あれば[1098]奴隷でも(有効であり)、そのうちからそれに応じて解放され[1099]、[3分の1(の遺贈)の]残余を彼が取る[1100]。しかし100や[家や服など]特定のもの[1101]であれば[その遺贈は]彼[その奴隷]には有効でない[1102]。また[遺贈は]胎児によっても[1103]、また[遺贈]以前にその存在が確実であった胎児に対しても[1104]有効である。

巡礼の義務がない者が1000で自分の代わりに巡礼をすることで遺贈すれば、その(彼の遺産の)3分の1から巡礼の費用が充当され、[その1000が]使い果たされるまで別のに[1105]。また[遺贈は]天使、動物、死者に対しては有効でない[1106]

もし生者とその死を知っている死者に遺贈すれば、全てはその生者のものとなるが、[その死を]知らなければ半分のみ[1107]。自分の財産を2人の息子と1人の他人に遺言し、2人の息子がそれを拒んだら彼(その他人)には9分の1[1108]

 

「遺贈物[1109]」節

 逃亡奴隷や空中の鳥のような引渡しが不可能なもの[1110]、或いは自分の動物や[女奴隷や]樹木の卆んだものも不在物[1111]を無期限か一定期間でも有効。それから何も生じなければ、その遺贈は無効[1112]。また猟犬や汚れた油も[1113]有効であり、もし富が多くとも相続人が許可しなければ、彼[受遺者]には両者[犬、油]の3分の1(のみの所有権)[1114]。また「ある奴隷」や「ある羊」のような未知の物でも有効であり[1115]、通例その名が当てはまるものが[受遺者に]与えられる[1116]。もし3分の1を遺贈し、たとえ血讐代償金によってであれ[1117]、財産を増したら、それは遺贈に組み入れられる[1118]。固有物を遺贈された者は、それが[承諾の前に]毀損すれば[その遺贈は]無効となる[1119]。 それ以外の彼の財産が毀損した場合は、相続人の得る財産(個人の遺産)の3分の1から出るなら[1120]、それは彼[受遺者]のものになる[1121]

 

「遺留分と配分による遺贈」節

特定の相続人の遺留分と同額を遺贈されれば、彼[受遺者]はその公分母(masØalah)に算入されて、彼の遺留分と同額(の所有権)。彼(遺贈者)に2人の息子があり、彼の息子の遺留分と同額を遺贈すれば彼[受遺者]には3分の1(の所有権)。3人の息子がいれば彼[受遺者]には4分の1(の所有権)[1122]。もし彼ら(3人の息子たち)の他に娘もあれば、彼[被遺言人]には9分の2[1123]。[どの相続人かを]明示せずに彼(遺贈者)の相続人たちの1人の遺留分と同額を遺贈すれば、彼[受遺者]には彼ら[相続人たち]の中で最も遺留分の少ない者と同額(の所有権)[1124]。従って息子と娘があれば、(受遺者には)4分の1[1125]、妻と、息子なら、9分の1[1126]。もし彼(遺贈者)の財産の「配当分(sahm)」(を遺贈した)なら、彼(受遺者)には6分の1[1127]。「いくらか(shayØ)」、「一部(juzØ)」、「取分(ÆaÃÃ)」と[遺贈した]なら、相続人が好きなだけ彼に与える[1128]

 

「遺言執行者(m¹­± ilai-hi[1129]

ムスリムの遺言はたとえ奴隷にであっても[1130]、行為能力があり公正で責任能力のある全てのムスリムに対して(委託が)有効であり[1131][遺言者以外の奴隷の場合は]その主人の許可により、承諾する[1132]。ザイドに遺言を託し、その後でアムルに託し、ザイドを解任しなければ、2人で協同し[1133]、どちらも[遺言者が]彼(独り)に託さなかった処分を単独で行うことはできない[1134]

遺言は自分の債務の返済や、自分の(財産の)3分の1の分配や、自分の小人たちの後見など、遺言者が所有権を有する明確な法律行為以外については有効でない[1135]。女性の自分の小さな子供についての後見のような遺言者が所有権を有さないもの[1136]については有効でない。何かについての遺言執行者は、それ以外のものについては遺言執行者ではない[1137]。遺言執行者の[託された3分の1の遺贈の]分配の後で死者にその遺産を超える債務があったことが判明しても[遺言執行者は債権者に]賠償しない[1138]。(遺贈者が)「私の(財産の)3分の1を好きなところに置きなさい」と言えば、彼[遺言執行者]には[その着服は]許されず[1139]、その子供にも[他の相続人たちにも][1140]。為政者も遺言執行者もいない土地で死んだ者については、そこにいたムスリムの誰かがその遺産を取り仕切り、その時点で売るなり、それについて最善の処置を行う[1141]

 

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ムハンマド・バーキルッ=サドル(黒田壽郎)『イスラーム経済論』未知谷、1993年

 

 



[1](売買は)「アッラーは売買を合法とされた」(クルアーン2章275節)との至高者の御言葉によりイジュマーゥによって許されている。 al=Rau½, vol.4, p.325.

[2] 現代の代表的なイスラーム法学者ワフバ・アル=ズハイリーによると、dhimmahとは「人間において、債務や義務が負わされるされる概念上の場(maÆall iÔtib±rµ)」を意味する。Wahbah al=ZuÆailµ, al=Fiqh al=Isl±mµ wa-Adillatu-hu, vol.4, 1985, Damascus, p.52.

[3]申込とその後の承諾の形式の例。

「売主が『あなたに売った』、『あなたに所有権を移した』などと言い、買主が『買った』、『承諾した』などと言う」 al=Rau½, vol.4, p.328.

承諾が先で申込が後の例。

「たとえば(命令法)『甲を(対価)乙で売ってくれ』に対して、『これをもって行け』などの命令法の言葉による承諾(によって売買契約)が成立する」 al=űshiyah, vol.4, p.328.

[4]常識に照らして(‛urfan)。al=Rau½, vol.4, p.329.

無関係な第三者の発言や、長時間の沈黙や食事などによって無効になる。al=űshiyah, vol.4, p.329.

[5] たとえば、「これ(価格)でパンを下さい」と言って、(相手が)彼が承知した[文句をつけなかった]もの(パン)を渡すこと、あるいは売主が「これを1ディルハムで持って行け」と言い買主がそれを取ること、あるいは慣習的にその(商品の)代金をおき、その(支払いの)あとでそれ(商品)を取ることによる。al=Rau½, vol.4, p.330.

[6] al=Mu‛tamadでZ±d al=Mustaqni‛ の第6と第7の条件を「代価(thaman)と商品(muthman)について知られていること」と纏めて第6条件としており、「(売買契約の文言が)遂行完了表現(munajjaz)であること(未来形や条件文でないこと)」を第7条件としている。 cf., al=Mu‛tamad, vol.1, pp.400-402.

[7] 「・・・あなたがたの間で互いに満足した取引でない限り・・・」 (クルアーン4章29節), al=Mu‛tamad vol.1, p.400, al=űshiyah, vol.4, p.332.

 「売買は相互の満足によるしかない」 (ハディース:イブン・ヒッバーン) al=Rau½, vol.4, p.332.

[8]  「債務を返済させるために、為政者(Ʊkim)が彼(債務者)にその財産の売却を強制した場合には(その売却は)有効である。なぜなら彼(債務者)に対する(売却)強要は正当(bi- aqq)であったからである。」al=Rau½, vol.4, p.332.

[9] 「自由人(Æurr)責任能力者(makallaf)管財者(rashµd)であること」 al=Rau½ , vol.4, p.333.

[10]「そして孤児たちを試験せよ・・・」 (クルアーン4章6節) al=Rau½, vol.4, p.333.

但し、アブー・アル=ダルダーゥ(教友)が小児から雀を買い取り、逃がしてやった(イブン・アビー・ムーサー[MuÆammad bn AÆmad al=H±shim , d.428,la-hu al=Irsh±d fµ Fur¹‛ al=Madhhab]の伝える伝承:al=Mubdi‛, vol.4, p.8.)ことから、少額のものであれば(後見人の)許可がなくとも両者(小児や禁治産者)の商行為は成立する(yanfudhu)。al=Mu‛tamad, vol.1, p.400.

[11] 及び、「やむをえず」。これ(この定義)によって、虫けらのような無益なもの、酒のように有益ではあるが禁じられたもの、犬のように有益であるため不可欠な場合に限り使用が合法となるもの、死肉のように有益でありやむを得ない場合(他に食物が皆無な場合)に限り合法となるもの(の4種のものが、有効な売買から)排除される。 al=Rau½, vol.4, p.334.

不可欠な場合に限り使用が合法となるもの」の例としては犬がある。原則として犬は殺す以外のにいかなるかかわりあいも禁じられているが、猟犬、番犬、牧羊上記の目的に不可欠である場合に限り上記の目的のために使用することのみが許される。 cf., al=Rau½, vol.4, p.334.

[12]「預言者は犬の代金を禁止された。」(ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=Rau½, vol.4, p.335.

[13]なぜならそれは役に立たないから。それゆえ(悪)血を吸い出す(医療用に用いた)ヒルや、魚釣りの餌、フクロウを捕らえる囮の餌にするための虫などは別である。al=Rau½, vol.4, p.336.

[14]アフマドは「クルアーン写本の売買の特別許可(rukh­ah)を知らない」と述べている。イブン・ウマル(教友)は、「それ(クルアーン写本)を売った者の手を切り落としてやりたいと思った」と言った。

そしてその理由は、それを大切にすることが義務であるが、それを売れば、それを軽んじている(ibtidh±l)からである。 ・・・

al=TanqµÆ(al=Mard±wµ,d.885/1480)とal=Muntah±(Ibn Najj±r, d.972)(の表現)は、「それをムスリムへの売買は有効である」、と解釈できる。al=Rau½, vol.4, pp.337-338.

アフマドからは、「(クルアーン写本の売買は)忌避事項ではない」(と述べた)とも(伝えられている)。またアル=ワズィール(Ibn Hubairah)は「それを忌避事項とするのはアフマドだけで、他の者は皆それ(クルアーン写本の売買)を忌避事項とすることなく許されるとし、その購入が許されることで合意している(了)」と言う。

 どこの土地でも反対者なくそれが行われている(al=‛amal ‛alai-hi)。

 Ta­ÆµÆ al=Fur¹(al=Mard±wµ,d.885/1480)でも『それが行われており、人々はそれ以外に方法がない』と言う。al=űshiyah, vol.4, p..338

[15]アッラーフは死体と酒とal=Murbi‛, vol.4, p.338.

[16]なぜならそれは死体と同じだから。al=Rau½, vol.4, p.338.

そしてそれが不浄であることのイジュマーゥ(コンセンサス)によって。al=űshiyah, vol.4, p.338.

[17] 不浄な(najis)油とは例えば死体の脂肪からとった油。不潔(mutanajjis)な油とは不潔なオリーブ油や胡麻油など。al=Rau½, vol.4, p.339.

 「アッラーフが何かを禁じら給うたときはその代金も禁じ給うた」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=Rau½, vol.4, p.339.

[18]なぜならそれ(モスク)を汚すことになるから。しかし不浄物(油)自体によって灯すことは許されない。al=Rau½, vol.4, p.339.

 「死体の脂肪で船の塗装をし、皮革に油を塗り、人々のために灯すのはどうでしょう」(と尋ねられ)預言者は「駄目だ。それは禁じられている。」と答えられたとのハディース(アル=ブハーリー、ムスリム)による。al=űshiyah, vol.4, p.339.

[19]「アッラーフの使徒よ、ある男が私のところに来て、自分のものでないものを彼に売って、あとでそれを市場で買えばよいではないか、と持ちかけました」と私(ハキーム・ブン・ヒザーム)が言うと、使徒は「おまえの所有物でないものを売ってはならない」と言われました。 (ハディース:アフマド、アル=ティルミズィー、アブー・ダーウード、アル=ナサーィー、イブン・マージャ) al=Salsabµl, vol.2, p.29, al=Rau½, vol.4, p.340.

[20]代理人(wakµl)や後見人(walµ)。al=Rau½, vol.4, p.340.

[21]たとえ彼(所有者)が立ち会っており、黙認していたとしても。またたとえ所有者が[事後に]それを承諾しても[有効とはならない]。 al=Rau½, vol.4, p.340.

[22] なぜなら彼(買主)は彼(代金の所有者)のために買ったのであるから、買主自身がは代理人に準ずることになるため、その所有権はその者のために買ってあげた者(代金の所有者)のものとなるのである。al=Rau½, vol.4, p.341.

[23] その者のために買ってあげた者(代金の所有者)が購入を(事後)承諾した場合に、その商品を購入の時点から所有するのか承諾の時点から所有するのかについては、(ハンバリー派)学説は前者であり、従ってもし(家畜の出産などで)増加しても(増加分は売り手ではなく)彼(代金の所有者)のものになる。al=Salsabµl, vol.2, p.29, cf., al=űshiyah, vol.4, p.341.

[24]なぜなら(第2代カリフ)ウマルがそれ(シリア、エジプト、イラクの武力征服地)をムスリム全ての(muslmµn)のための寄進地(ワクフ)としたからである。また住居地については、その売買は有効である。なぜなら教友たちはウマルの治世にクーファやバスラの市街地(khi»a»)を授封され(iqta»a‛a)そこに住居を建てそれを相互に売買したが反対する者はなかったからである。al=Rau½, vol.4, p.343.

但し、アフマド祖師からは「ハラージュ(地租)の課される土地の売買は許される」(と述べた)とも(伝えられる)。al=In­±fには「そして我々の時代にはそれが行われている(al=‛amal ‛alai-hi)」と言う。

また私は、それがアル=シャイフ(Ibn Taim±yah)の採った説でもある、と言おう。またal=In­±fの著者の時代はヒジュラ暦6世紀であった(正しくはal=In­±fの著者al=Mard±wµはヒジュラ暦885年没で9世紀の学者)。 al=Salsabµl, vol.2, p.29.

[25]なぜなら(そもそも)それは毎年それ(土地)に課されたハラージュ(地租)と引き換えに(bi al=khar±j)その持ち主たちの占有とされた賃貸地だからである(mu'jarah fµ aydai  arb±bi-h±)。al=Rau½, vol.4, p.345.

[26]「ムスリムたちは水、草、火の3つについては共有者である。」(ハディース:アブー・ダーウード、イブン・マージャ)al=Rau½, vol.4, p.346.

[27] 既述の通り[(注25)参照]。また石油や塩水など液状鉱物(ma‛±din j±riyah)も同様である。al=Rau½, vol.4, p.347.

[28]「アッラーフの使徒は逃亡中の奴隷の購入を禁じられた」 (ハディース:アフマド) al=Rau½, vol.4, p.349.

[29] 「預言者はリスク(gharar)の売買を禁じられた」 (ハディース:ムスリム、アル=ナサーィー、アフマド) al=Mu‛tamad, vol.1, p.402.(cf., footnote)

 アル=カーディー(アブー・ヤァラー)とその一派はそれ(「リスク」の意味)を、「二つの可能性の間で揺れ動くもの」と説明している。al=Mu‛tamad, vol.1, p.402.

「水中の魚を買うな。それはリスクである。 」(ハディース:アフマド、アル=タバラーニー) al=Salsabµl, vol.2, p.31.

[30]「リスクがないから」 al=Rau½, vol.4, p.350.

[31]先物買い(salam、後述)の場合に十分なだけの。それ[商品の説明]は特に先物買いが許されるものの売買においては[商品の]実見の代わりになるのである。しかし見本による売買は有効ではない。・・・中略・・・但し説明、触覚、嗅覚、味覚などによって盲人がそれらによって知り売るものを売買しても、彼が代理を立てること(が有効であるの)と同様に有効である。al=Rau½, vol.4, pp.352-353.

[32]契約両当事者に。なぜなら商品について知らないことはリスク(gharar)であるから。al=Rau½, vol.4, p.351.

そしてリスク(売買)は禁じられているから。al=űshiyah, vol.4, p.351.

[33]商品を知っていないため。al=Rau½, vol.4, p.353.

既述のように商品についての無知は禁じられたリスクにあたる。al=űshiyah, vol.4, p.353.

[34]「預言者は妊娠した動物の胎児の売買を禁じられた」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=Salsabµl, vol.2, p.33.

[35] 「預言者は背についた(刈り取り以前の)羊毛、乳房の中の乳の売買を禁じられた」 (ハディース:アル=シャーフィイー、アル=タバラーニー、アル=ダーラクトゥニー、アル=バイハキー、イブン・マージャ) al=Salsabµl., vol.2, p.33, al=Rau½, vol.4, p.354, al=űshiyah, vol.4, p.354.

[36]但し容器の中の麝香の売買は有効であるとの異説もある。 cf., al=Salsabµl, vol.2, p.33.

[37]わからないから。al=Rau½, vol.4, p.354.

[38] 「預言者は背についた(刈り取り以前の)羊毛、乳房の中の乳の売買を禁じられた」 (ハディース:アル=シャーフィイー、アル=タバラーニー、アル=ダーラクトゥニー、アル=バイハキー、イブン・マージャ) al=Rau½ al=Murbi‛, vol.4, p.354. (注35)参照。

[39]有効であるとの異説もある。 cf., al=űshiyah, vol.4, p.355, al=Salsabµl, vol.2, p.33.

[40] 「あなたが手に触ったものに(価格)甲を払うという条件で私のこの服をあなたに売ろう」、あるいは「どれであれあなたが触った服は、(価格)甲であなたのものだ」と言うことによる(取引)。al=Rau½, vol.4, p.355.

[41] 「どれであれ私に向かって投げた - つまりあなたが放った - 服について、あなたは(価格)甲を払う(ことによってそれを手にいれる)」などと言うこと(による取引)。al=Rau½, vol.4, p.356.

[42]  「預言者は触り売り、投げ売りを禁じられた」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=Rau½, vol.4, p.356.

[43]  たとえ(全ての奴隷が)等価であっても。al=Rau½, vol.4, p.357.

[44]  それゆえ「あなたに一人(の奴隷)だけ除いてこれらの奴隷を(全て)売った」と言っても有効ではない。al=Rau½, vol.4, p.357.

[45]  「アッラーフの使徒はアブー・バクルとアーミル・ブン・フハイラを連れてマッカからマディーナに出掛けられた。彼らは(途中で)羊飼いに出会った。二人(アブー・バクルとアーミル)は、彼(羊飼い)から羊を一頭、それ(頭、皮、末端部分)を切り外すという条件で買った。」 (ハディース:アブー・アル=ハッターブ[MaÆf¹Ã al=Kalaw±dh±nµ,d.519]) al=Salsabµl, vol.2, p.35. cf., al=Rau½, vol.4, p.358.

頭、皮、末端部分などの除外が許されるのは、屠殺・解体を依頼した場合にその過程で生じる無用で捨てる部分だから、という理由のようである。

[46]その他、単独での売買が有効でないもの。それを除外することでその売買は無効になる。al=Rau½, vol.4, p.358.

[47] 「必要がそれ[その売買]を要請し、またそれ(皮を剥かないこと)がその(実の)ためになり、それを除去すればその性状悪化を招くから」al=Rau½, vol.4, p.359.

[48]その本性からして遮蔽物で隠されているので、ザクロに準ずる。al=Rau½, vol.4, p.360.

[49]なぜなら預言者は「実り(ishtid±d)」によって(穀物売買の)解禁(gh±yah li-al=man‛)とされたので、解禁後は前と違うはずであり、必然的に禁止は消滅する。 al=Rau½, vol.4, p.360.

「預言者は実るまで穀物の売買を禁じられた」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=űshiyah, vol.4, p.360.

[50]なぜならば交換物の一方であるから、商品の場合と同じくそれが知られていることが条件となる。al=Rau½, vol.4, p.361.

[51]両方か、一方がそれを知らなかった場合。al=Rau½, vol.4, p.361.

 両方が知っていれば有効である。al=űshiyah, vol.4, p.361.

[52](金銀)双方それぞれの量が不明だから。al=Rau½, vol.4, p.361. 1ディルハムは2,975g。 cf., Wahbah al=ZuÆailµ, al=Fiqh al=Isl±mµ wa-Adillatu-hu, vol.1, p.77.

[53]これが(ハンバリー派)学説である。しかしそれが有効である、と(の説)もアフマドから明文で伝わっており、アル=シャイフ(イブン・タイミーヤ)もそれを採り、「その方が交渉よりも買主に心地よい。つまり、『私は人々に倣います(lµ uswah bi-al=n±s)。他の人が買う値段で私も買います。』と言うのである。」と述べている。al=űshiyah, vol.4, p.362.

[54]人々が売る値段で彼が売ったとしても同様。al=űshiyah, vol.4, p.362.

 それと既述の相場との違いは、人々が売る値段の方は、人々が実際にそれを決めている(sharaÔ¹)のに対して、固定価格では決めていないことにある。al=űshiyah, vol.4, p.362.

[55]体積でも重量(の表示も)もなく。al=űshiyah, vol.4, p.362.

[56]1カフィーズの量については、8マッカ・ラトル、16イラク・ラトル、8イラク・ラトル、30イラク・ラトル、128イラク・ラトルなどの諸説がある。 cf., al=űshiyah, vol.4, p.364, Wahbah al=ZuÆailµ, al=Fiqh al=Isl±mµ wa-Adillatu-hu, vol.1, p.75.

[57]なぜならば商品は実見によって知られており、価格も(量が分かっているために客観的に計算によって)知られているから。al=Rau½, vol.4, p.364.

[58]つまり「塊の中から」といった場合、塊の全部を買うわけではないため、量の多少が分からないため、商品の量が知られていないことになるから。服、羊についても同様。 cf., al=Rau½, vol.4, pp.364-365, al=űshiyah, vol.4, pp.364-365.

[59]なぜなら100ディルハムから1ディナール分の価格を引いた額を意図しているわけだが、それ(ディナール)はそれ(ディルハム)と同種ではないため、それ(ディナールの価格が何ディルハムに相当するかは)不明であるから。al=űshiyah, vol.4, p.365.

ディナールは金の計量単位、ディルハムは銀の計量単位であり、ここではディナールはディナール金貨、ディルハムはディルハム銀貨を指している。金貨と銀貨の交換率は、金相場、銀相場に連動しており一定ではない。

契約両当事者が金貨、銀貨の交換率を予め知っていれば、「100ディルハムに1ディナール足りない値」の表現で売買は有効となる。 cf., al=Salsabµl, vol.2, p.38.

[60] 「あるいはまた、・・・」以下、本節最後までは、売買が許されるものと許されないものが混合している場合についての議論であり、「知られているものと不明であって知ることが困難なもの」はその3つのケースの第一である。 cf., al=Rau½, vol.4, p.368.

 なぜならば一部が不明なものは全体もそう(不明)であるから。そして値段は商品の価値によって内訳を定めることになるが、不明なものは値踏みのしようがないため、「知られているもの」の価格も知りようがないことになるのである。それゆえたとえ「その双方を(価格)斯く斯く云々で(bi-kdh±)」と言ったとしても、禁止の原因(‛illah al=man‛)が、取引の融合(ittiƱd al=­afaqah)、あるいはその時点で価格が不明であることにより、二つの考え方があるのである。

また言おう。 もしそれ(商品)を100(ディルハム)と1ラトル(の代価)で売ったとしても同様であり無効である(fasada)。なぜならば我々(ムスリム)にとって酒には価値がないことは(学派の)一致をみており、価値のないものには代価の内訳に含まれないため、契約は100(ディルハム)と定まり、1ラトル(の酒)は無効な条件になるからである。al=Mubdi‛, vol.4,p.38.

[61]たとえば「この服と、私がかくかくしかじかに染めて(今は)自分のうちにおいてある服とを、(価格)甲であなたに売った」と言えば、相手にそれ(染めた服)を見せることができる。(それによって「不明」であった服を「知られたもの」にすることができる)」 al=űshiyah, vol.4, p.367.

[62]つまり売主と共同所有者の間で共有されているものを、共同所有者の許可なく(売った場合)。彼の(奴隷の)持ち分については代価の(持ち分に応じた)相当額(の支払い)で(契約は)有効である。 al=űshiyah, vol.4, p.367.

[63] たとえば二人[売al=Murbi‛, vol.4, p.367.

[64]他人の所有物を許可なく売ることは禁じられており、自由人、酒はそもそも売買自体が禁じられている。

  「どの二つ(1.自分の奴隷と他人の奴隷、2.奴隷と自由人、3.酢と酒)のうちの一つにも、個別の規定[有効と無効]があり、両者が合わさっても、それぞれにそれぞれの規定が継続するから。代価の内訳を決めるために、酒は(等量の)酢(の価格で)値踏みし、自由人は奴隷の価格で値踏みする」。al=Rau½, vol.4, p.369.

[65]売買の有効な分だけ代価の相当額で買い取るか商品を返却するかの。al=Rau½, vol.4, p.369.

[66]説教の際の2度目の(礼拝の呼びかけ)が始まった後は。al=űshiyah, vol.4, p.321.

家が(モスクから)遠い者には、礼拝の呼びかけより前であってもそれ(礼拝)に急ぐことが義務となる時刻であれば同様(に売買は無効)である。その時には商談や客引きも禁止される。というのは、それらが禁じられた売買に至る道だからである。al=Rau½, vol.4, p.372.

[67] 「集合礼拝の日(金曜)に礼拝の呼びかけを受けた者は売買を中止してアッラーフの唱念に急げ」 (クルアーン62章9節) al=Rau½, vol.4, p.372.

[68]なぜならそれらは滅多に行われず、それゆえ売買とは違って、それを許可しても金曜集合礼拝(の全体)、あるいはその一部を怠る抜け道にはならないからである。al=Rau½, vol.4, p.373.

[69]たとえ情況証拠(証人)(qar±in)によってでも、それが知られるか、確からしく思われれば(ghuliba al=Ãann-hi)。al=űshiyah, vol.4, p.373.

[70] 「・・・罪と侵害において助け合うな」 (クルアーン5章2節) al=Rau½, vol.4, p.374.

 「葡萄を収穫の季節に、それから酒を造る者に後で売るために貯蔵する者には、火獄が目前に迫っている」 (ハディース:アル=タバラーニー、アル=バイハキー) al=Salsabµl, vol.2, p.39.

[71]「・・・罪と侵害において助け合うな」 (クルアーン5章2節)

 「預言者は内乱時の武器の売買を禁じられた」 (ハディース:アル=タバラーニー、バイハキー、アル=バッザール) al=Mu‛tamad, vol.1, p.404. cf., al=Rau½, vol.4, p.374, al=Salsab±l, vol.2, p.40, al=űshiyah, vol.4, p.374.

同様にそれ(武器)の敵国人(の異教徒)や盗賊への売買も(無効)。al=Rau½, vol.4, pp.374-375.

[72] 「・・・アッラーフは不信仰者に信仰者を圧する手段を決して授け給わない」 (クルアーン4章141節) al=Mu‛tamad, vol.1, p.404.

 彼(不信仰者)による彼(ムスリムの奴隷)が継続することは、それ(奴隷所有)には(不信仰者のムスリムに対する)蔑視が伴うため禁じられている(mamn¹‛)以上、(奴隷購入により)それ(所有)を新たに始めることも(なおさら)禁じられる(muni‛a)。al=Rau½, vol.4, pp.375-376.

[73]  「・・・アッラーフは不信仰者に信仰者を圧する手段を決して授け給わない」 (クルアーン4章141節) al=Rau½, vol.4, p.376.

 「イスラームは上に立つ。下になってはならない。」 (ハディース:アル=ブハーリー、アル=バイハキー) al=űshiyah, vol.4, p.376, al=Salsabµl, vol.2, p.40, al=Mughnµ, vol.13, p.242(cf., footnote).

[74]なぜならそれは(異教徒の)主人の彼(ムスリム奴隷)に対する所有権を消滅させないから。al=Rau½, vol.4, p.377.

[75]一回の取引(­afaqah)で、ある(一つの)代価(‛iwa½)で、自分の奴隷の(所有権の)一部を売って(同時に)彼(その奴隷)と自己身請契約を交わすことによって。al=Rau½, vol.4, p.377.

[76]あるいは賃貸、婚資返還離婚、婚姻とをある一つの代価で。al=Rau½, vol.4, p.377.

[77]売買は無効である。なぜなら彼(主人は)は自分の財産を自分の財産で売ったことになるから。他方それ(自己身請契約)は有効である。というのは、無効は売買に生じており、それに限られているからである。al=Rau½, vol.4, p.378.

つまり自己身請契約を交わす自分の奴隷は(契約を交わす時点ではまだ)自分の財産であるから、その奴隷(自身)も彼(主人)が自己身請契約と併せて彼(自分の奴隷)に売ったところの彼(自分の奴隷)の(所有権の)一部も、(双方共に)主人の財産であるから、その売買は有効でない。但しこの(文言の)含意するところ(mafh¹m)によると、先ず彼(奴隷)と自己身請契約を結び、その後で彼(自己身請契約を交わした相手の奴隷)に(奴隷所有権の)一部を売れば(その売買は)有効である。なぜならその時点での彼(自己身請契約奴隷)の自分の主人との取引(ta­arruf)は第三者(の取引)と同じだからである。al=űshiyah, vol.4, p.378.

[78]売買と売買と併せておこなったところのもの[両替、賃貸、婚資返還離婚など]は(共に)。 al=Rau½, vol.4, p.377.

[79]前たちの誰であれ他人の売買に割り込んで売買をするな。(ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム)al=Rau½, vol.4, p.379, al=űshiyah, vol.4, p.379.

[80]それもそれ(同胞の売買に割り込んだ売買)に含まれるから。al=Rau½, vol.4, p.381.

 同様に彼(同胞)の商談(saum)に割り込んでの彼の商談も満足の意を明らかにした後なら(ba‛d al=ri½± ­arµÆan)[禁止]。 ・・・中略・・・ 「商談(saum)」とは、商品の所有者とそれを欲しがる者が売買に合意する(ittafaqa)が、まだその契約は済ませていないことである。 al=űshiyah, vol.4, p.380.

 「人はその同胞の商談に割り込んで商談を行ってはならない」 (ハディース:ムスリム) al=Mughnµ, vol.6, pp.306-307(cf., footnote), al=űshiyah, vol.4, p.380.

[81]但し彼(同胞)の商談に割り込んでの商談の場合は有効である。al=Rau½, vol.4, p.381.

つまり同胞の商談に割り込んでの商談のケースでは、それが禁止されているにもかかわらず契約は有効となる。なぜなら禁止されているのは商談(の割り込み)であって、(その結果としての)売買(契約自体)ではないからである。al=Rau½, vol.4, p.381. (注49)参照。

[82]「リバー商品(ribawµ)」とは、体積で計られるもの、重量で量られるもの全て」al=Rau½ al=Murbi‛, vol.4, p.382.

[83]たとえば大麦の対価として、大麦を代価に受け取るなど。またその他の体積で計られるものも許されない。なぜならそれは後払いでリバー商品のリバー商品による売買への抜け道になるからである。」 al=Rau½, vol.4, p.383.

例えば、1月1日に甲が乙に1月10日に対価丙(ダミー)を払うことで、大麦10バーレルの現物を売り、同時にその1月1日に、1月10日に乙から甲に払われる丙を当日の1月10日に大麦20バーレルを払うという後払いで売り、1月10日は丙の代わりに大麦20バーレルを受け取る。この取引では丙はダミーであって実際には乙の手元を動かず、実際に動くのは、1月1日の甲から乙への大麦10バーレルと、1月10日の乙から甲への大麦20バーレルである。これは実質上、甲が乙に10日間で利子100%のリバー貸借契約で大麦10バーレルを貸し、満期の10日後に元利合計20バーレルの返済を受けたのと同じことになる。それゆえこの形態の取引はリバーへの抜け道になるのである。

[84]それはリバーへの抜け道(dharµ‛ah)になるからである。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.4, p.384.

 「私(アル=アーリヤ)はウンム・ワラド・ザイド・ブン・アルカムと一緒にアーイシャ(預言者の妻)の許を訪れました。

 ウンム・ワラド・ザイド・ブン・アルカムが『私はザイド(夫)の奴隷を後渡し(il± al=‛a»±' )で800ディルハムで売り、それ(奴隷)を相手から500ディルハムの現金(naqd)で買い戻しました』と言いました。すると(アーイシャは)彼女に言った。

『貴女の買ったもののいかに悪いことよ。買われたもののいかに悪いことよ。(夫)ザイドに「お前が悔い改めない限りアッラーフの使徒 に同行した彼のジハードも無効になる」と伝えなさい。』」 (アフマド、アル=バイハキー、アル=ダーラクトゥニー、サイード・ブン・マンスール) al=Salsabµl, vol.2, pp.42-43.

 なぜならそれは1000を500で売るリバーへの抜け道となるからであり、「イーナ(‛µnah)」類型と呼ばれる。al=Rau½, vol.4, p.384.

 「イーナ(‛µnah)」とは、商品を手元においておき後払いでそれを売ることを意味する。 al=Mughnµ, vol.6, p.262.

 「人々がディーナールやディルハムのことを考え、『イーナ』で売買をし、牛の尻尾を追い、アッラーフの道でのジハードを怠るようになれば、アッラーフは厄災を下し、人々が宗教(イスラーム)に戻るまで、それ(厄災)を去らしめ給わない」 (ハディース:アフマド) al=Salsabµl, vol.2, p.42.

「アル=アーリヤの伝承を例にとると、アル=アーリヤが乙に奴隷甲を代金800ディルハムの後払いということで売り、後払いで売った奴隷甲を乙から即金500ディルハムで買い戻すと、実際には奴隷甲はアル=アーリヤの手元から動かず、その場では500ディルハムの現金が乙に手渡され、後に800ディルハムが乙からアル=アーリヤに払われることになる。

これは実質的には300ディルハムの利息をとって500ディルハムの金を貸すことと等しい。それゆえ『イーナ』もリバーの抜け道の1種となる。」al=Mughnµ, vol.6, p.261.

[85]もしそれを売ったものより多額で買い戻した場合は違い、それは許される。al=Rau½, vol.4, p.384.

[86]例えばそれを金で買って銀で買い戻すか、その逆などによって。al=Rau½, vol.4, pp.386-387.

 ただしこの形態もリバーへの抜け道になるため許されないとする説も有力である。 cf., al=Salsabµl, vol.2, p.43, al=űshiyah, vol.4, p.384.

[87]リバーへの抜け道にならないから。al=űshiyah, vol.4, p.387.

[88]奴隷なら不真面目になったり、技能を忘れることにより、衣服なら破れることなどによって。al=Rau½, vol.4, p.387.

[89]それ(商品)をその買主が(第三者)に売るか、贈与するかなどどして、その後に売主が、それ(商品)が渡った相手からそれ(商品)を買い戻せば、許される。al=Rau½, vol.4, p.387.

たとえ最初の対価より少額ででも。al=űshiyah, vol.4, p.387.

[90]あるいは彼[売主]の自己身請契約奴隷や妻が。al=Rau½, vol.4, p.387.

なぜなら彼らは皆、その購入に関しては第三者(ajnabµ)と同じだから。al=űshiyah, vol.4, p.387.

[91]それが『イーナ』類型の商行為へと導く脱法行為(Ƶlah)でない限り。al=Rau½, vol.4, p.388.

それには3種類ある。第1は、相互取得(買主による商品、売主による代金の取得)や代金の完済など、売買の要件(muqta½±)である約款であり、それは説明、契約の要件の確認でしかないため、それ(売買に)特別な効果は生ず、それゆえ著者はこれを省いているのである。

 第2は契約[特約者]に有利(ma­laÆah)なものである[質・・・代金の後払い・・・など・・・・]。・・・中略・・・

 第3は売主による商品に関する一定の受益[売主が住宅での一カ月の居住を特約したりするなどの]の約款、及び買主の売主に対する[薪運び、薪割り布地の裁縫や裁断など]約款である。al=Rau½, vol.4, pp.393-398. cf., al=Mu‛tamad, vol.1, pp.407-408.

[93]「・・・汝らが一定の期間を決めて、債権債務の契約を結ぶなら・・・」 (クルアーン2章282節) al=Mu‛tamad, vol.1, p.407.

[94] 「ムスリムは条件(約款)の上にある(‛al± shur¹»)」 (ハディース:アブー・ダーウード、アル=バイハキー、イブン・ヒッバーン) al=Mu‛tamad vol.1, p.407(cf., footnote).

[95]「預言者はラクダを売ったが、(そのラクダが)自分をマディーナまで乗せていくよう特約された」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=Rau½, vol.4, p.396.

[96]アフマドは、「ムハンマド・ブン・ムスリマ(ブン・サラマ・アル=アンサーリー)(教友、d.42)がナバタイ人から薪を一束、それを(そのナバタイ人が)運ぶ特約で買った」との彼の伝える伝承をその(この種の附款の有効性)の論拠とした。なぜならばそれは売買と賃約(ij±rah)(の融合)であり、売主は雇い主に準じるので、その賃金を取ることで両者が満足していれば、たとえ免責事由(‛udhur)がなくても、許されるのである。al=Rau½, vol.4, p.396, cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.409.

[97]「貸与(salaf)[qar½]と売買(の組み合わせ)は許されない。また一つの売買に二つの附款も(許され)ない。お前の手元にないものの売買も(許され)ない。」 (ハディース:アル=ティルミズィー、アブー・ダーウード) al=Rau½ al=Murbi‛, vol.4, p.399.

[98]無効な附款は(1)売買契約自体を無効にするもの、(2)その契約は有効であり附款だけが無効であるもの、(3)売買契約を成立させないもの、の3種に大別される。 cf., al=Rau½, vol.4, pp.401-405. 第1形態と第3形態はどちらも売買契約自体を無効とする点では同じであるが、前者ではある契約の附款が契約自体の部分であるのに対し、後者では契約はその契約とは独立の別の事柄にかかっている点に相違がある。 cf., al=űshiyah, vol.4, p.405.

  但しal=Mu‛tamadは無効な附款を、(1)売買契約自体を無効にする附款、(2)それ自体は無効でも売買契約は有効となる約款に2分している。 cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.410.

[99]無効な約款は(1)売買契約自体を附款にするもの、(2)その契約は有効であり附款だけが無効であるもの、(3)売買契約を成立させないもの、の3種に大別される。 cf. al=Rau½, vol.4, pp.401-405. 第1形態と第3形態はどちらも売買契約自体を無効とする点では同じであるが、前者ではある契約の附款が契約自体の部分であるのに対し、後者では契約はその契約とは独立の別の事柄にかかっている点に相違がある。 cf., al=űshiyah

(価格)乙で私に甲の先物を売れば(tuslimu)あなたに売った」、など。al=Rau½, vol.1, p.410, vol.4, p.405.

  但しal=Mu‛tamadは無効な附款を、売買契約自体を無効にする附款、それ自体は無効でも売買契約は有効となる附款に2分している。 cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.410.

[100] 「私に甲を貸してくれればあなたに売った」など。al=Mu‛tamad, vol.1, p.410

[101]「私にこの服を売ってくれればあなたにこの馬売った」など。al=Mu‛tamad, vol.1, p.410.

[102]「私に(賃借料)乙であなたの家を貸してくれればあなたに売った」など。al=Mu‛tamad, vol.1, p.410.

[103] 「(後でその代価の10ディーナールを)ディルハム(銀)に両替してくれるなら、金10ディーナールであなたに売った」など。al=Mu‛tamad, vol.1, p.410.

[104] それは禁じられた「一つの売買に二つの附款」にあたるから。al=Rau½, vol.1, p.401. (注97)参照。

[105]つまり買主が売主に対して、商品に関して(転売した場合)自分が損をしないことを特約とすること。同様にある土地から別の土地までの(輸送に際する事故の)危険負担(½am±n)を特約した場合も、売買契約は有効で、その附款(のみ)がその(売買)契約の帰結に反するために無効である。というのはその(売買の)帰結(muqta½±)とはその所有(milk)と自律(istaql±l)だからであり、もし(その商品が)損壊した場合は、商品の危険負担(½am±n al=mushtar±)から、その附款のために価格に上乗せされた分を引く。 al=űshiyah, vol.4, p.402.

[106] 「私(アーイシャ)のところにバリーラ(自己身請解放女奴隷)が来て、『私は主家と毎年1ウーキヤ(オンス、計量単位)(の分割で)、7ウーキヤで自己身請け契約を交わしました。それゆえ私を助けて下さい。』と言いました。

 そこで私(アーイシャ)は、『もしあなたの主家が、私が彼らに一括払いで支払うことに同意すれば、後見(walµ)は私の任になります。』と言い、実行しました。」

 そこでバリーラは彼女の主家に行き、彼らに話しましたが、彼らは拒否しました。そこで彼女が彼らのもとから戻ってくると、アッラーフの使徒が座っていました。そこで彼女は『私は彼ら(主家)に提案しましたが彼らは、後見が彼らの任となるのでなければ、認めてくれません』と言いました。聞いていた預言者 にアーイシャが説明すると、彼は(アーイシャに)『後見の附款をつけて彼女を引き取れ。後見の任は解放した者に属する。』と言い、アーイシャは実行しました。

 その後アッラーフの使徒は人々の中に立ち、アッラーフを讃え、彼を称賛し、その後言われました。

 『さて、クルアーンの中にない附款を設ける者たちがどうしたというのか。クルアーンにない附款は、たとえ100の附款がつけられていようとも、無効である。アッラーフの裁定はより正しく、アッラーフの特約はより確実である。後見の任は解放した者のみに属するのである。』」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=Mughnµ, vol.6, pp.325-326, al=Rau½, vol.4, p.403.

 ちなみに後見人には、遺産相続権など、被後見人に対して若干の権利が発生する。

 「アッラーフの使徒は(上記の)バリーラのハディースで附款は無効にしたが、契約は無効にされなかったら」al=Rau½, vol.4, p.403.

[107]商品を売る、あるいは贈与するなど。al=Rau½  al=Murbi‛, vol.4, p.403.

[108] (奴隷の)買主はたとえ拒否しようとも解放を強制され、後見の任は彼(買主)に帰する。あくまでも(解放を)拒否するようなら、為政者(Ʊkim)が彼(奴隷)を解放する。al=Rau½, vol.4, p.404.

バリーラの伝承による。al=űshiyah, vol.4, p.404. (注106)参照。

[109]取消権(khiy±r)を特約し、もし実行しなければ取消されるのと同様に。al=Rau½, vol.4, p.405. 「なぜならば取消期間中に生ずる事項を契約の破棄の条件としているから、取消権を特約した場合と同様に許される。というのはこれは売買の一形態であり、両替が特定期間中に締結されなければ契約が取消されるのと同じで受領(qab½)の遅滞によって取消が許されるのである。」 al=Mubdi‛, vol.4, p.60.

 「『ムスリムは約款の上にある』とのアッラーフの使徒の言葉(アブー・ダーウード、アル=バイハキー、イブン・ヒッバーン)の一般原則(‛um¹m)による」 al=Salsabµl, vol.2, p.47. (注94)参照。

 このケースと(注110)、(注111)のケースとの違いは、このケースでは、条件が自分の意志に基づく行為であり実現の蓋然性が高いのに対し、(注110)、(注111)では条件節の行為主体は売買の相手方、あるいは第三者であり、その実現の蓋然性が低いことかと思われる。

[110]所有権が移転しないため。また契約が決定されておらず、条件(の成立)次第である、あるいは「彼がその甲を持ってくること」は、それをもって来ることもあれば、来ないこともありのであり、その実現と不実現がどちらとも言えないからである。al=űshiyah, vol.4, p.406.

[111]条件次第だから。al=űshiyah, vol.4, p.406.

[112]「質物は質権設定者から接収されない」 (ハディース:アル=アスラム) al=Rau½ al=Murbi‛, vol.4, p.406.

 「ある男がマディーナで特定の期間を定めて家を質にしたが、その期間が過ぎたので、質権者が『これは私の家だ』と言った。ところが預言者は『質物は接収されない』と言われた。」 (ハディース:イブン・マージャ、マーリク、アル=バイハキー)

 なぜならば売買を条件に依拠せしめている(‛allaqa)からである。つまり期日までに彼(質権者)にその債務を返済しない、という条件で、それを商品としているのであるが、条件に依拠する売買は有効ではないからである。またこうした約款を付せば質も無効(fasada)となる。al=Mughnµ, vol.6, pp.507, 444(cf., footnote).

[113]  「インシャーアッラーフ(アッラーフが望み給えば)」(の成句)、及びウマル - アッラーフ、彼を嘉し給え - が行ったことから、契約の後で(代金の)一部を払い「商品を私が受領すれば代価を完済する。もしそうでなければこれはあなたのものだ[売買を逃した代償に]。」と言う「手付け」を除き、将来の条件に依拠する全ての売買は同様[に有効でない]。 al=Rau½ al=Murbi‛, vol.4, pp.407-408.

 つまり売主の「インシャーアッラーフ、あなたに売った」の言葉、また同様に「インシャーアッラーフ、承諾した」を除いて。なぜならば大抵の場合その意図は祝福を求めること(tabarruk)にあり、躊躇ではないからである。al=űshiyah, vol.4, p.407.

(ナーフィウ・ブン・アブド・アル=ハーリスが)ウマルのためにサフワーンが「もしウマルが満足すれば(買う)。そうでなければあなたにはかくかくしかじか(払う)。」と(言って)牢屋の建物を買った。

アフマド(ブン・ハンバル)は「これに賛成しますか」と聞かれて、「私が何を言うというのか。これはウマル(の決定)ではないか。」と述べた。al=űshiyah, vol.4, p.408.

[114] なぜならこれは未知の特約であるから。al=űshiyah, vol.4, p.409.

 買主が商品に瑕疵を発見した場合、彼には取消権が生ずる。というのはそれ(瑕疵)は売買(契約)の後で確信されたのであり、それ(売買契約)の前のその(瑕疵の)免責によっては免じられないからである。それゆえ[売主が]瑕疵を特定しているか、あるいは契約後に買主がそれ(未知の瑕疵)を免責したのなら[売主は]免責される。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.4, pp.409-410.

[115]なぜならばこれは買主の損害(naq­)であり、瑕疵の場合(後述)と同じく売買(契約)が有効であることを妨げないから。al=űshiyah, vol.4, p.410.

余剰は売主のものであり、不足分は彼に(補填が)課される。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.4, p.411.

[116]前者(10ズィラーゥを越えたの場合)では売主が余剰を買主に無償で与えるか、後者(10ズィラーゥに満たない場合)では買主が満額でそれ(10ズィラーゥに足りない家)を引き取ることで納得した場合に限り、(売主と買主の)双方に取消権が生ずる。それ(売主が無償で与えたか買主が満額を払った場合には取消権が生じないこと)は、(家を買った)目的を達成できなかったわけではない(‛adam faw±t al=gara½)(とみなされる)からである。また双方が余剰と不足の賠償(mu‛±wa½ah)で合意したなら、それは許されるが、どちらもそれ(賠償)を強制されない。al=Rau½ al=Murbi½, vol.4, p.411.

但し10ズィラーゥであるとして売って、後に実際には11ズィラーゥや9ズィラーゥであることが判明した場合にはその契約は無効になるとの説もある。 cf., al=Mubdi‛, vol.4, p.61.

[117] Z±d al=Mustaqni‛ の挙げる取消権は7種類であるがal=Rau½al=SalsabµlZ±d al=Mustaqni‛ の挙げる7種類に「性状(­ifa)の相違(khulf)による取消」を加えて取消権を8種とする。 cf., al=Rau½, vol.4, p.475, al=Salsabµl, vol.2, p.63.

  Z±d al=Mustaqni‛ の挙げる7種類の取消権はal=Muqni‛ の7種類と同じである。一方al=Mu‛tamadでは取消権は7種であるが、Z±d al=Mustaqni‛の「値段の告知による取消権」に替えて「性状(­ifah)の相違(khulf)による取消」を第6種としている。

 Mar‛µ bn Y¹suf(d.1033)のGh±yah al=Muntah±は「値段の告知による取消権」と「性状(­ifah)の相違(khulf)による取消」を共に数えて取消権を8種としている。 cf., al=Rau½, vol.4, p.413, al=Muqni‛., pp.103-107, al=Mu‛tamad, vol.1, pp.412-419, Gh±yah al=Muntah±(Ma»lib ¹lµ al=Nuh±), vol.3, pp.83-137.

[118]二人が互いに売買の取引をする場合、二人が分かれるまで一緒にいる間か、あるいは一方が他方に取消を特約しない限り、二人とも取消権を有する。(商談の場で)二人の一人が他方に(取消権の有無の)選択を求め(khaiyara)、二人がそれで売買契約を交わせば、その売買は(確定し)義務となる(wajaba)。」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=Rau½, vol.4, pp.414-415.

[119]なぜなら売買の一種だから。al=Rau½, vol.4, p.416.

[120]なぜなら代価払い契約(‛aqd mu‛±wa½ah)であり、売買に準ずる。al=Rau½, vol.4, p.416.

[121]売買はこの双方を含むから。al=Rau½, vol.4, p.416.

[122]果樹撒水契約、小作契約、債務譲渡、解除(iq±lah)、先買権行使、懸賞、組合契約、代理、匿名組合、使用貸借、競争、無償贈与、寄託、遺贈などや、婚姻、寄進、婚資返還離婚(後述)、離婚、免除離婚、有償奴隷解放、質、保証、帳消し、人的担保も。上記のものには全て取消権はない。

 我々(ハンバリー派)の根拠は、これらの契約は売買ではなく、アッラーフの使徒によって取消権が定められているのは売買だけだということである。 al=Salsabµl, vol.2,p.50.

[123]二人が砂漠のような広い場所にいた場合は、一方が相手に背を向けて、数歩歩くことによって。たくさんの客間や、住居ある大きな建築物では、相手と分かれて住居から別の住居、あるいは別棟に移ることによって。二人が小さな家にいる場合には、一方が屋根に上ったり、外に出ることによって、既に二人は分かれたことになる。また二人が大きな船にのっている場合には、両者が下部にいたのなら、一方が上部に上ることによって、あるいはその逆によって、小さな船なら、一方の下船によって。二人の間が壁などで隔てられたり、二人が眠ったりしても、二人の身体が契約の場所に止まっているため、たとえ(睡眠)時間が長くとも、別離とはみなされない。al=Rau½, vol.4, pp.417-418.

[124]取消権は契約両当事者の権利だから、その放棄によって消滅する。al=Rau½, vol.4, p.419.

[125]あるいは甲が乙に「(取消すか取消さないか)どちらかを選べ」と言うと、甲の取消権が消滅する。al=Rau½, vol.4, p.419.

つまり(選択を迫られた方ではなく)発言者の取消権が。記述の伝承[(注118)参照]を字義通りに取れば。al=űshiyah, vol.4, p.419.

[126]「ムスリムは約款の上にある」 (ハディース:アフマド、アブー・ダーウード、アル=ハーキム、イブン・マージャ、イブン・アル=ジャールード[al=Muntaq±]) al=Rau½ , vol.4, p.421, al=Salsabµl, vol.2, pp.51-52.

[127]服の仕立てなど。al=Rau½, vol.4, p.424.

また取消を特約した塀の建築など。なぜならそれによって「欺罔(ghabn)」をみつけることができるからあり、商談の場での取消権に似るからである。al=űshiyah, vol.4, p.424.

[128]たとえばある人がシャアバーン月(8月)20日に、ラマダーン月(9月)にある家を賃借する契約をし、(ラマダーン月に入って借り始めてから)5日か10日の間は、双方か、一方に取消権があると特約すれば、その取消権は有効である。al=Salsabµl, vol.2, p.52.

その契約を結ぶ理由となった用益(man±fi‛ ma‛q¹d ‛alai-hi)の一部が失われることがないように、「今から1か月」のように、(取消)期間が契約と継続すれば有効でない。al=Rau½, vol.4, p.424.

[129]「・・・あるいは一方が他方に取消を特約すれば。二人の一人が他方に(取消の有無の)選択を求め(khaiyara)、二人がそれで売買契約を交わせば、その売買は(確定し)義務となる(wajaba)。」(ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム)

 「ムスリムは約款の上にある」 (ハディース:アフマド、アブー・ダーウード、アル=ハーキム、イブン・マージャ、イブン・アル=ジャールード) al=Salsabµl, vol.2, p.52. (注117)、(注125)参照。

 「それは双方の権利だから、ふたりが納得したことなら許される」 al=Rau½, vol.4, p.425.

[130]朝、あるいは夜の初め。al=Rau½, vol.4, p.426.

[131]離婚の場合と同様に。al=Rau½, vol.4, p.426.

つまり彼(夫)に妻の留守中であれ、また彼女が怒ろうとも離婚できることにおいて。 al=űshiyah, vol.4, p.426.

[132]取消権が双方にあろうと、一方のみにあろうと。それは「財産を所有する奴隷を売ったなら、彼(売られた奴隷)の財産は売主のものである。但し買主がそれ(奴隷の財産の所有権の買主への移転)を特約した場合は除く。」(ハディース:ムスリム)との預言者の言葉による。彼はその(奴隷の)財産をその(所有権移転)附款によって買主のものとされたのであるが、これは全ての売買に該当する原則(‛±mm)であり、取消附款売買も含むのである。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.4, p.427.

[133][樹木を買った場合の]果実のような。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.4, p.427.

[134]つまり売られた奴隷が稼いだものなどは(その奴隷の)買主のものとなる。al=űshiyah, vol.4, p.426.

「ある男が奴隷を買い、アッラーフの望み給うただけの間、彼(買主)のもとに住んだ。その後、彼(奴隷)には瑕疵が発見された。そこで(買主は)彼(売主を)を預言者に訴え、彼(売主に)にそれ(奴隷)を返却した。そこでその男(売主)が『アッラーフの使徒よ、彼(買主)は私の奴隷を利用しました』と(不平を)言うと、使徒は『収穫(khar±j)は危険負担に従属する(bi-al=½am±n)(損壊の危険負担がある側がその収穫を取る権利を有する)』と言われました。」 (ハディース:アル=ティルミズィー、アブー・ダーウード、アル=ナサーィー、イブン・マージャ、アフマド) al=Salsabµl, vol.2, p.53, al=Rau½ al=Murbi‛, vol.4, p.428.

他方、(家畜の)脂肪のような不可分な増加物は、分離が困難なために、取消と共に本体に従う。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.4, p.428.

後に双方が取消しようとも。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.4, p.428.

なぜならば取消(faskh)は取消の時点からの契約の解消(raf‛)であり、その(契約の)始点(a l)から(の解消)ではないからである。al=űshiyah, vol.4, p.428.

[135]走りを見るために乗用獣(馬、ロバ等)に乗ったり、搾乳量を知るために乳を搾るなどで試用のために処してもその取消権は無効にならない。al=űshiyah, vol.4, p.430.

[136]というのはそれは売主の自由に処することのできる所有物ではないが、といって買主が自由に処するには、彼(売主)とそれ(商品)との関係が切れていないからである。 al=űshiyah, vol.4, p.429.

 損害(½arar)も(許され)なく、加害(½ir±r)も(許され)ない。 (ハディース:アル=ダーラクトゥニー、アル=ハーキム)

 「ムスリムの財産は彼が喜ぶよう(min »µb nafs)にしか(処分が)許されない」 (ハディース:アフマド、アル=ダーラクトゥニー) al=Salsabµl, vol.2, p.54. cf., al=Mughnµ, vol.6, p.606(cf., footnote).

[137](解放は)禁止されてはいるが、(解放してしまった以上それは追認され)履行される。 al=Rau½, vol.4, p.431.

[138]寄進や売却や贈与や(女奴隷に対する)欲望をもっての接触など。al=Rau½, vol.4, p.431.

[139]そして売買(契約)の最終確認(im½±')である。というのはそれはそれ(商品)への満足の印であるから。al=Rau½, vol.4, p.431.

売主が商品を自由に処しても、彼(売主)だけに取消権があった場合は、それはその売買の取消とはならない。また受け渡し後の商品の毀損によって無条件に、また買主によるその(商品の)破壊によっても無条件に双方の取消権は失効する。al=Rau½, vol.4, p.432.

[140]それは相続されない。al=Rau½, vol.4, p.432.

[141]なぜならシャリーアはそれ(どこからが「欺罔」と言えるのかの客観的範囲)を定めていない以上、それについては常識(商慣習)(‛urf)に基づくことになるからである。al=Rau½, vol.4, p.433.

つまり10の価値のものを8で売る、あるいは8の価値のもの2を10で買うこと。(Dalµl al=º±lib)

3分の1が目安になるとも言われる。「3分の1である。3分の1は多い。」(ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム)との預言者の言葉により、アブー・バクル(al=Marwadhµ)がこれを採り、al=Irsh±d(MuÆammd bn Ab¹ M¹s±, d.428)ではこれを断定している。al=Mu‛tamad, vol.1, p.415(cf., footnote).

[142] (値段の分からない)(砂漠からの)搬入品(jalab)を手にするな。それを手にして買っても、その買主が市場に行けば取消権がある。(ハディース:ムスリム) al=Rau½, vol.4, p.434.

もし買主が、その商品の(市場)価格が分かるところ - つまり市場 - に行けば、彼には取消権がある。al=űshiyah, vol.4, p.434.

[143]「預言者のさくらの禁止による」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム、マーリク) al=Mu‛tamad, vol.1, p.415(cf., footnote).

[144]「『他人の言いなりになる人(mustarsil)』相手の『欺罔(ghabn)』はリバー(不等価交換)である」 (ハディース:アル=バイハキー) al=Salsabµl, vol.2, p.55, al=űshiyah, vol.4, p.435.

 「他人の言いなりになる人(mustarsil)」とは「(市場)価格を知らず、駆け引きもできない者」。al=Rau½, vol.4, p.436.

「不当価格(ghabn)」には、1.(市場価格の不明な)搬入品による不当価格、2.さくらを使った不当価格、3.他人の言いなりになる人相手の不当価格の3つの形態がある。 cf., al=Rau½, vol.4, pp.434-436.

[145] 「(乳房が張っているようにみせかけるために)ラクダや羊の乳首を縛っておくな。それを買った者は、その搾乳の後で、そう望むならそれを引き取るか、そう望むなら1サーウ(2175g)のナツメヤシ(の賠償)でそれを返却するか、好きな方を選ぶ」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム)

粉飾による取消権は、無期限である(‛al± al=tar±khµ)。但し家畜の乳首を縛った場合は別で、知った時点から3日以内に賠償なしで引き取るか、返却するかを選ぶが、それを搾乳した(上で返却する)場合は1サーウのまともなナツメヤシを添える。ナツメヤシがない場合は、その値段を。またその場でなら(絞った)乳の返却も受け入れられる。al=Rau½, vol.4, pp.440-441.

[146]  「『預言者の治世に。ある男が奴隷を買い、アッラーフの望み給うただけの間、彼(買主)のもとにいたが、彼(買主)は瑕疵を見つけたためにそれ(奴隷)を返却し、預言者 は瑕疵による彼の返却を裁可した』とのアーイシャの伝えるハディース(:アル=ティルミズィー、アブー・ダーウード、アル=ナサーィー、イブン・マージャ、アフマド)による。その(ハディースの)出典の明示と信憑性の確認は既に少し前に行った。」 al=Salsabµl, vol.2, p.56. (注134)参照。

[147][公正な人( adl)が]その商品が良品であったとして値踏みし、次いで瑕疵ある不良品であったとして値踏みし、両者の値段の差率を取る。つまり良品を10と値踏みし、不良品を8と値踏みしたなら、高価であれ廉価であれ、代価の5分の1を返却する。al=Rau½, vol.4, pp.446-447.

買主が契約の前に商品の瑕疵を知っていたか、契約後に瑕疵が生じた場合は彼(買主)に取消権はない。但し体積で売られているもの(makµl)で(契約後)受け渡し前に瑕疵が生じたものは別である。al=Rau½, vol.4, p.447.

 (体積で売られているもので受け渡し前に瑕疵が生じたものの場合は)買主に取消権がある。というのは体積や重量で売られているもの、数で売られているもの、長さで売られているもの、木になった果実、前もっての説明や実見(に基づく契約)の商品などは、引き渡すまではそれ(商品)は売主が危険負担するから。al=űshiyah, vol.4, p.448.

[148] 売主に払った。al=Rau½, vol.4, p.447.

[149]返却は困難であり、といってたとえ売主が瑕疵を知っていて買主にそれを隠す粉飾を行っていたとしても、その減価に(買主が)納得もしないから。al=Rau½, vol.4, p.449.

[150]それ(毀損)によってもそれにまだ価値が残るもの(商品)。al=Rau½, vol.4, p.450.

[151]自分の手元で生じた毀損による減価分を返す。(買主はその毀損した商品を)瑕疵の補填を得て引き取るか、毀損を補填して返却するかのいずれかを選ぶ。al=űshiyah, vol.4, p.450.

そしてその代価を取り戻す。なぜなら売買契約(の有効性)は(商品が)良質(であること)を必要とするから。al=Rau½, vol.4, p.450.

[152]なぜならその契約が無益なものをめぐってであるため最初から無効であったことが明らかにされた以上、彼(買主)には、何の益もない故にその無効なものを売主に返却する必要はない。al=Rau½, vol.4, p.451.

[153]その瑕疵を知っていながらそれを賃貸や無償使用貸借などに処するか、試用のため以外にそれを利用するなど。al=Rau½, vol.4, p.452.

毀損した後に瑕疵が見つかった場合については外にも多くの分類があり、それぞれについてハンバリー派内部に多くの説がある。 cf., al=Mubdi‛, vol.4, pp.87-99.

[154]なぜならそれは発現した被害を除くためであるから、遅延によっては失効しない。al=Rau½, vol.4, p.451.

[155]離婚のため場合と同じく。al=Rau½, vol.4, p.452.

つまり離婚が為政者(Ʊkim)の判決も、(妻の)同意も臨席も必要としないのと同じく。 al=űshiyah, vol.4, p.452.

[156]その可能性がある場合。al=Rau½, vol.4, p.453.

つまり服の破れなどや(奴隷の)発狂や逃亡など、(売主と買主の)双方のどちらの言い分にも(正しい)可能性があること。またどちらにも証拠(証人)証言(baiyina)がない場合。al=űshiyah, vol.4, p.453.

[157]なぜなら欠陥部分については受け取らないのが基本(a­l)であるため、(認められる)言い分は、[誓言によって]それを否認する者(買主)の言い分となる。それは(欠陥)商品の受け渡しについて両者が食い違った場合に彼(買主)の断定の(‛al± al=batt)言い分が必ず通るのと同じである。それゆえ彼(買主)は「瑕疵のある状態で私はそれを買いました」、あるいは「それ(瑕疵)は私の手元で生じたのではない」と誓言する。 al=Mubdi‛, vol.4, p.99. cf., al=Rau½, vol.4, p.454, al=Mu‛tamad, vol.1, pp.418-419.

 但し誓言によって売主の言い分が通るとの説も有力である。

「第2の説は、誓言によって売主の言い分が容れられる、というものでこの方が(アフマドの)伝承の字義に近い。アル=カーディー(アブー・ヤァラー, d.526)はal=Riw±yatinの中で、またアブー・アル=ハッターブ(d.510)もこちらを採っており、al=MuÆarrarの中でも(al=Majd ‛Abd al=Sal±m Ibn Taimµyah, d.652が)こちらが勝っている(qaddama)としている。というのは商品は良品であり、取消の権利はないのが基本(a­l)であるためであり、彼(買主)の誓言はその返答次第なのである。もし(売主が)『それには瑕疵はなかった』と答えれば、それを誓う。また『それは彼(買主)の訴えるように返却すべきものではない』と答えてもそれを誓う。」 al=Mubdi‛, vol.4, p.99.

[158]たとえば余分な指や生傷などは契約以前に生じた可能性はない。al=Rau½, vol.4, p.455.

[159]「この瑕疵のある商品は返却されたもの(の元の状態)ではなかった」、との売主の言い分が認められる。al=Rau½, vol.4, p.456.

[160]売主が「その原価(ra's al=m±l)で商品をあなたに譲った(wallaitu)」、「その原価で商品をあなたに売った」、あるいは「私が買った値段で(譲った、売った)」、あるいは双方に知られた数字、つまり(商品の上に)書かれた値段で(譲った、売った)と言うこと。al=űshiyah, vol.4, p.457.

[161]その(商品の)一部をその値段の相当分で買うこと。もし「私はあなたと組合契約した(ashraktuka)」と言えば、折半となる。」 al=Rau½, vol.4, p.458.

[162]その価格と一定の儲けで売ること。al=Rau½., vol.4, p.458.

「私の原価は100だがあなたしそれ(100)と10の儲けで売った」と言う。al=Muqni‛ (in al=Mubdi‛), vol.4, p.103.

[163]原価と一定の損で売ること。al=Rau½, vol.4, p.458.

たとえば「あなたにそれをその原価100から10値引きして売る」などと言う。al=űshiyah, vol.4, p.458.

[164](上記の)この4種類に。al=Rau½, vol.4, p.457.

売買の形態の4つの形態に。al=űshiyah, vol.4, p.457.

[165]なぜならそれは売買(契約)が有効であるための条件であるから。al=Rau½, vol.4, p.459.

既述の通り、イジュマーゥによって代価を知っていることは売買(契約)が有効である条件である。al=űshiyah, vol.4, p.459.

[166]そのこと(後払いで買ったこと)を(その商品の)代価(原価)について告げる時に明らかにしなかった場合。al=űshiyah, vol.4, p.460.

これはハンバリー派同学の多くの取る(アフマドの)伝承(riw±yah)である。

しかし一方で彼(アフマド)からは、買主はそれ(商品)をその後払いで引き取り、彼には取消権はない、とも伝えられており、これがal=In­±fに言われるように(ハンバリー派の)通説である。

私の考えでは第一の伝承を行うほうが勝る。なぜならば買主は多くの場合、代価の支払いにおいて、考慮や思惑があるのであり、また後払いで買われた商品は多くの場合はその価格より高く買われるので、買主にはそれが押し付けられ(るべきでは)ないのである。アッラーフこそ最も良くご存じにおわします。al=Salsabµl, vol.2, p.59.

[167](売主)の父や子や妻など。al=Rau½, vol.4, p.460.

[168]なぜなら彼(売主)は彼ら(自分の父、子、妻)には気前よく、甘くするものだから。 al=űshiyah, vol.4, p.461. cf., al=Mubdi‛, vol.4, p.106.

[169]たとえばそれ(高い値段)を(買主に)言うためだけに、それ(商品)をある人からその(市場)価格より高い値で、形の上でだけ買ったことにすること。al=űshiyah, vol.4, p.461.

[170]つまりオリーブなどの各部分が等価な全ての体積で測るもの、重量で量るもののようには、その部分が(全て)同等等価ではない衣類などの商品を、商品の一部をその代価(原価)のその割合分で売ること。al=űshiyah, vol.4, p.461.

[171]価格が後払いであることが判明した場合の(ハンバリー派の)通説は、(売主が)買主に対して(支払いを)後払いにすることであり、(買主に)取消権はない。それ損害がなくなるからである。al=Rau½, vol.4, p.462. (注165)参照。

[172]商談の場と特約の。al=Rau½, vol.4, p.462.

[173]たとえ売買の確定の後でも。al=Rau½, vol.4, p.463.

(al=Rau½ al=Murbi‛ の著者)の「たとえ売買の確定の後でも」の句は、その「瑕疵や損傷(jin±yah)の補填として受け取った」の句にかかる。なぜなら代わりに受け取られた物は価格の一部であるから。al=űshiyah, vol.4, p.463.

[174]なぜならそれは価格(の範疇)にはいるから、原価に繰り込まれる。al=Rau½, vol.4, p.463.

[175]そしてその告知も課されない。たとえ商品(奴隷)が傷害を犯して買主(奴隷の新しい主人)がそれを償ったとしても(告知は課され)ない。なぜならそれによってその商品の本体や価値が増したわけではないから。al=Rau½, vol.4, p..464.

つまり。それゆえその告知は課されない。なぜならそれは傷害によるその減価の賠償(mudhaiyal li-naq­i-hi)だからであり、医療や食事や衣類も同様で、原価に繰り込まれず、またその告知も課されない。al=űshiyah, vol.4, p.464.

[176]なぜならその方がより誠実であるから。al=Rau½, vol.4, p.464.

しかしそれが売買(契約)の確定の後であるため契約には影響しない以上、義務ではない。 al=űshiyah, vol.4, p.464.

[177]売主が「あなたにこれを100で売った」と言い、買主は「80で(買った)」と言い、両者共に証拠(証人)がないか、両者の証拠(証人)が食い違った場合。al=Rau½, vol.4, p.466.

[178]もし一方が相手方の言葉に同意するか一方が誓い、他方が(誓うことを)拒否すれば、[誓った方の言い分によって]契約は確定する。al=Rau½, vol.4, pp.467-468.

[179]売買が対立し、双方共に証拠(証人)がない場合は、商品の持ち主(売主)の言い分(が通る)か、あるいは両者が共に返却するかである。(ハディース:マーリク、アフマド、アブー・ダーウード、アル=ナサーィー、アル=ティルミズィー) al=Salsabµl, vol.2, p.60.

[180]買主の言い分が受け入れられる。なぜなら彼が負担者(gh±rim)だからである。al=Rau½, vol.4, p.468.

つまり毀損した商品の価格(の見積もり)については、誓言することによって買主の言い分が受け入れられる。なぜなら彼は負担者だから。つまり彼は契約によって確定したこと(m± iltazama-hu)(権利義務)を負う当人である(mulzim nafs-hu)から、彼の言い分が受け入れられるのである。al=űshiyah, vol.4, p.468.

 「負担者(gh±rim)」とは、債務の(返済)義務や、その財の焼失などによって、(自分の)財の上で負い切れない損失を被った者。MuÆammad Rauw±s Qal‛ajµ, & űmid ª±diq Qunaibµ, Mu‛jam Lughah al=Fuqah±', Beirut, 1988, p.327.

[181]売主が「その奴隷は読み書きが出来た」と言い、買主がそれを否定すること(など)によって。al=Rau½, vol.4, p.468.

[182] なぜなら彼は負担者(gh±rim)であるから。al=Rau½, vol.4, p.468.

双方が代価の(支払い)義務(の存在)については一致しており、その特定において(のみ)食い違っているため。それは全ての負担者が、誓言によってその言い分が受け入れられるのと同じなのである。なぜならば原状(a­l)はその責任の不在(bar±'ah dhimmah)であるから。 al=űshiyah, vol.4, pp.468-469.

[183]彼の言葉「外面的(ñhiran)」は「(現世の裁判での)外面的判断(ñhir al=Æukm)において」を意味し、「内面的(b±»inan)」は「(アッラーフの御許における)事柄の真相(b±»in al=amr)において」を意味する。al=űshiyah, vol.4, p.469.

双方のうちの不正を被った者の方が取消された場合は、形式的にも実体的にも契約は取消される。しかし不正を行った方が取消した場合は、彼については実体的には取消されず、彼は侵奪者の罪を負う。al=Muqni‛ (al=Mubdi‛ ), vol.4, pp.112-113. cf., al=űshiyah, vol.4, p.469, al=Salsabµl, vol.2, p.61.

[184](例えば)買主が「私はこれを後払いで(mu'ajjal)(価格)甲で買った」と言い、売主がそれを否認することで。al=Rau½, vol.4, p.469.

[185](rahn)や保証人(½amµn)やそれらの額についてなど、有効であれ、無効(f±sid)(な附款)であれ。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.4, p.469.

[186]なぜならばそれ[後払い、附款]は存在しないというのが基本(a­l)だから。al=Rau½, vol.4, p.470.

[187]例えば(買主が売主に)「あなたは私にこの奴隷を売った」、(それに対して売主が)「いや(私が売ったのは)あの婢だ」(と言う)など。al=Rau½, vol.4, p.470.

[188] この場合は誓言によって売主の言い分が通るというのがハンバリー派の通説である。 c.f., al=Rau½, vol.4, p.470, al=Salsabµl, vol.2, p.62.

なぜならそれは債務者(gh±rim)に準ずるから。そしてこれが学説(madhhab)である。 al=Rau½, vol.4, p.470.

両者が代価(支払い)の義務については一致しており、その具体額について対立しているから。al=űshiyah, vol.4, p.470.

[189]売主が「代価を手にするまでは商品を渡さない」と言い、買主が「商品を受け取るまでは代価を払わない」と言うことによって。al=Rau½, vol.4, p.471.

[190]為政者(Ʊkim)が。al=Rau½, vol.4, p.472.

売主と買主が共に渋っている場合の両者の対立を解決するため。al=űshiyah, vol.4, p.472.

[191]それが人々の(商)慣習となっているから。al=Rau½, vol.4, p.472.

つまり昔も今も。al=űshiyah, vol.4, p.472.

[192]商品の受け渡しを。というのは買主の権利はその[商品]自体に係っているから(taalluq)。al=Rau½, vol.4, p.472.

一方売主の権利はただ「権利義務の概念場(dhimmah)」に係っているに過ぎないため、質権者の権利が他の債権者に優先されるのと同じく、「物権(現物に係るもの:m± ta‛allaqa bi al=‛ain)」を優先しなくてはならない」 al=űshiya, vol.4, p.472.

[193]彼にはそれが可能である以上相手にそれを即支払う義務があるから。al=Rau½, vol.4, p.472.

なぜなら彼は豊かなのでその(支払いの)遅延は不正だから。al=űshiyah, vol.4, p.472.

[194]あるいは(礼拝)短縮の(許される)距離以内に(ない場合)。al=űshiyah, vol.4, p.473.

つまり、あるいは代価が国外(‛an al=balad)であっても(礼拝)短縮の(許される)距離、即ち二日の行程以内にあるが手元にはない場合。なぜならそれは「国(balad)(内)」と見做される(fµ Æukm al=balad)からである。al=űshiyah, vol.4, p.473.

[195](買主)が彼の所持金を売主に損害を与えることに使う恐れがあるから。al=űshiyah, vol.4, p.473.

[196]なぜならその(支払いの)遅延は彼(売主)に損害を与えるから。al=űshiyah, vol.4, p.473.

[197]これが(取消権の)第8種である。al=űshiyah, vol.4, p.474.

[198]これで取消権の種類は全部で8種類となる。al=Rau½, vol.4, p.475.

もし二つの売買が相違し、両者の間に証拠(証人)(baiyinah)がなければ、売主の言い分が通るか、あるいは両者が突き返しあうかである。 (ハディース:サイード、イブン・マージャ) al=Mughnµ, vol.6, p.279. cf., al=Salsabµl, vol.2, p.63.

[199]つまり重量で売られるもの、数で売られるもの、長さで売られるもの。al=Rau½, vol.4, p.476.

[200]取消権が生じないことから。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.4, p.476.

つまり、イジュマーゥにより、両者共にもその一方にも取消権がないことから、その約款を完全に満たしていれば、商品は(所有権移転が)確定し(lazima)、その契約によって所有される。al=űshiyah, vol.4, p.476.

[201]売却や贈与や賃貸や質権設定や債権譲渡(Æaw±lah)。al=Rau½, vol.4, p.476.

[202]食物を買った者は、全て引き取るまではそれを転売してはならない。 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=Rau½, vol.4, p.477.

[203]体積などで売られる商品が。al=Rau½, vol.4, p.478.

[204]これには二つのケースがある。第1は、天災による場合で、この場合はその契約は取消される。なぜならば預言者は危険負担しないものの利益を禁じられたからである。というのはその意味は、売られたものから受け取る前に利益を得ることである。なぜならば売られたものからその(受け渡しの)後で得た利益は、(他学派とも)一致して(wif±qan)、買主が危険負担するからである。第2のケースはそれ(天災)以外によるもので、それは明白である。 al=Mubdi‛, vol.4,p.118.

[205]それ(毀損者)が売主であろうと第三者であろうと。al=Rau½, vol.4, p.479.

[206]そして売主にその受け取ったその代価の返還を求める。al=Rau½, vol.4, p.480. なぜならそれは瑕疵ある商品の場合と同じく、その受け渡し(qab½)迄は彼(売主)に保証責任があるからである(ma½m¹n ‛alai-hi)。 al=űshiyah, vol.4, p.480

[207]もし規格品(mithlµ)なら、同一規格のものを。もし(個別に)評価される品なら、評価額を。もし買主の行為によって毀損したのなら、彼(買主)には取消権はない。なぜなら彼による毀損は受け渡し(qab½)に準ずるから。al=Rau½, vol.4, p.480.

[208]体積、重量、個数、長さなど(の単位)によって買われる物以外。奴隷や家など。al=Rau½, vol.4, p.480.

[209]「以下のイブン・ウマル(教友)の言葉による。

 我々はアル=バキーウの地でラクダをディルハム銀貨で売り、その代わりにディーナール金貨を受け取ったり、その逆を行ったりしており、(その是非について)アッラーフの使徒 に尋ねると、(使徒は)『二人が別れて間が空いたのでない限り、その日の相場で取引するなら(an ta‛khudha bi-si‛ri-yaumi-hi)問題はない』と答えられました。」 (ハディース:アフマド、アル=ティルミズィー、アブー・ダーウード、アル=ナサーィー、イブン・マージャ)al=Rau½, vol.4, p.481.

[210]不法占有(物)(gha­b)の保証責任として、それを保証する。al=Rau½, vol.4, p.483.

つまり買主に商品をその不可分の、及び分離した増加分と共に引き渡すこと。それは契約の保証責任(½am±n ‛aqd)としてではない。al=űshiyah, vol.4, p.483.

[211] 「利得は危険負担に伴う(bi-al=½am±n)」 (ハディース:アフマド、アル=ティルミズィー、アブー・ダーウード、アル=ナサーィー、イブン・マージャ) al=Rau½, vol.4, p.482, al=űshiyah, vol.4, p.482.

[212]売るなら体積を量れ。買うなら体積を量ってもらえ。(ハディース:アフマド) al=Rau½, vol.4, p.484.

[213]衣服や動物など。al=Rau½, vol.4, p.485.

[214]我々は市場の最上部で食べ物を纏め売りにしていたところ、アッラーフの使徒は我々に、それ(食べ物の塊)を一旦移動させるまでは転売することを禁じられた。(ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=Salsabµl, vol.2, p.65.

[215]宝石や代価など。al=Rau½, vol.4, p.485.

[216]というのはそれ(把持)がそうしたもの(宝石や代価)についての(商)慣習(‛urf)であるから。al=Rau½, vol.4, p.485.

つまりそれによってシャリーアに則る受け渡しとなり、体積で量る物などについての受け渡しの諸規定を与える。学識者の一部は、ある者は、「慣習に従うこと(al=ruj¹‛ il± ‛al= urf)」はフィクフの依って立つ5つの原則の一つである、とも述べている。al=űshiyah, vol.4, p.485.

[217]つまり既述の物以外。不動産や樹上の果実など。al=Rau½, vol.4, p.485.

[218] 彼(買主)のために家の戸を開くことや、その鍵を引き渡すことなどによって。たとえその(家の)中に(まだ)売主の家具が残っていても(それによってその家の受け渡しは成立したとみなされる)。al=űshiyah, vol.4, p.486.

[219]それは契約の解消であって(新たな)契約ではない。al=Rau½, vol.4, p.487.  ムスリムに対して「解除 (iq±lah)要チェック」をなした者には、最後の審判の日にアッラーフはその苦難[過誤、罪科]を除きたまう。(ハディース:イブン・マージャ) al=Rau½, vol.4, p.486.

[220]なぜなら契約が消滅すれば、両当事者は共に自分の元の権利の返還を請求するから。al=Rau½, vol.4, p.487.

[221]なぜならそれ(取消)は契約ではないから。al=Rau½, vol.4, p.488. (注218)参照。

[222]語義的には、「・・・その(大地の)上に雨を降らすとそれは震え、リバーした(rabat・・・)」(クルアーン22章5節)、つまり「盛り上がった」、との至高者の御言葉にあるように、「過剰(ziy±dah)」を意味するが、シャリーアの専門用語としては、特定のもの[体積、重量で量り売りされるもの(makµl, mawz¹n)]における過剰を意味する。「・・・アッラーフはリバーを禁じ給うた・・・」(クルアーン2章275節)との至高者の御言葉により、その禁止はイジュマーゥである。 al=Rau½, vol.4, p.490.

[223]正貨(naqd)による正貨(naqd)の売買。al=Rau½, vol.4, p.491.

[224]「金と金、銀と銀、小麦と小麦、大麦と大麦、ナツメヤシとナツメヤシ、塩と塩は、等量どうし(mithl bi-mithl)で、現物と現物(yad bi-yad)」 (ハディース:アフマド、ムスリム) al=Rau½,vol.4, p.493.

[225]水にはリバーはなく、慣習的に(価値評価が)その製品規格によっており重さを量るのでない金貨、銀貨を除く硬貨(ful¹s)についてもない。al=Rau½, vol.4, p.494. cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.426.

[226]商談の現場での両当事者の。al=Rau½, vol.4, p.495.

「手と手で(yad bi-yad)」 (ハディース:アフマド、ムスリム) al=Rau½, vol.4, p.495. (注224)参照。

[227]つまり同一種のものとは、たとえナツメヤシ一個をナツメヤシ一個でであっても重量によっては売れない。al=Rau½, vol.4, p.495.

[228]「金と金は重量と(同)重量で、銀と銀は重量と(同)重量で、小麦と小麦は体積と(同)体積で、大麦と大麦は体積と(同)体積で」 (ハディース:アル=アスラム)al=Rau½, vol.4, p.496.

なぜならシャリーアの定める計量基準に反するので、それによっては等量が成立しないから。al=Rau½, vol.4, p.496.  cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.428.

[229] 「金と金、銀と銀、小麦と小麦、大麦と大麦、ナツメヤシとナツメヤシ、塩と塩は、等量どうし(mithl bi-mithl)で、同量どうし(saw±' bi-saw±')、手(手中にあるもの)と手(手中にあるもの)で(yad bi-yad)」 (ハディース:ムスリム、アフマド、アル=ティルミズィー、アブー・ダーウード、アル=ナサーィー、イブン・マージャ) al=Salsabµl, vol.2, p.69, 67, al=Rau½, vol.4, p.497.

[230]大麦と小麦、鉄と銅など。al=Rau½, vol.4, p.498.

[231]「これらのもの(金、銀、小麦、大麦、ナツメヤシ、塩)と異なるなら、手と手で有る限り好きなように売買するがよい。」(ハディース:ムスリム、アブー・ダーウード) al=Rau½, vol.4, p.498.

[232]なぜなら派生物(fur¹‛)は原料に従属するので、それら(派生物)の原料が異種であれば、それら(派生物)も異種でなければならない。それゆえ麦の粉は一種であれば、トウモロコシの粉は別種となり、他(の粉)も同様である。al=Rau½, vol.4, p.500.

[233]  「預言者はある肉をその動物によって売ることを禁じられた」 (ハディース:マーリク) al=Rau½, vol.4, p.502.

[234] 例えば羊の肉を牛一頭で。なぜならそれ(牛)はその(羊肉)の原料でも、その(同)種でもないから、それを非食用[動]物で売ったのと同じく許されるのである。al=Rau½, vol.4, p.502.

[235]等量化が困難であるから。というのは穀粒の要素は製粉によって拡散し、焙煎によって縮減されるからである。al=Rau½, vol.4, p.503.

[236]小麦とクッキー、パンとケーキなど。というのは加熱によって料理の素材が固まってしまし、(原料が)等量とならないから。al=Rau½, vol.4, p.503.

[237]オリーブとオリーブ油、ゴマとゴマ油、ブドウとブドウ果汁など。al=Rau½, vol.4, p.503.

[238]混合物がわずかである場合を除いて。al=Rau½, vol.4, p.505.

[239]生ナツメヤシと乾燥ナツメヤシ、ブドウと干しブドウなど。al=Rau½, vol.4, p.506.

 「預言者は生ナツメヤシと乾燥ナツメヤシの間の売買について問われて、『生ナツメヤシが乾けば軽くなりはしないか』と言われ、彼らが『はい』と答えると、それを禁じられた」 (ハディース:マーリク、アブー・ダーウード) al=Rau½, vol.4, p.506.

[240]一方が他方より少なくないという意味で、契約の時点で両者が等量であるから。al=Rau½, vol.4, p.507. cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.428.

[241]たとえば1ムッドのナツメヤシ・ペーストと銀1ディルハムを、銀2ディルハム、あるいは2ムッドのナツメヤシ・ペースト、あるいは1ムッドのナツメヤシ・ペーストと銀1ディルハムで(は売れない)。al=Rau½, vol.4, p.511. cf., al=Mubdi‛, vol., p.4., p.144.

[242]一方がその種の一部でないものを含んでいるから。また種を取り除いてそのナツメヤシと種を、(別の)ナツメヤシと種と売買しても同様[に無効]。al=Rau½, vol.4, p.513.

[243]なぜならナツメヤシの中の種、羊の乳と羊毛は、(主)目的(maq­¹d)でないので、天井に金箔の装飾のある家を金で(買って)も有効であるのと同じであるから。al=Rau½, vol.4, p.514.

ただし種と種のある乾燥ナツメヤシ、乳と羊毛と、乳と羊毛のある羊との売買については可否の両説がある。 cf., al=Mubdi‛, vol.4, p.146.

[244]体積測量基準はマディーナの住民の体積測量基準。重量測量基準はマッカの住民の重量測量基準。(ハディース:アブー・ダーウード、アル=ナサーィー、アル=バイハキー) al=Salsabµl, vol.2, p.73, al=Rau½, vol.4, p.515.

[245]シャリーアに規定(‛urf)のないものについては、慣習(al=‛urf)に従うから(yurja‛u)。al=Rau½, vol.4, p.516

  ただしヒジャーズ地方の類似のものに近い基準を取るべき、との見解も存在する。 cf., al=Mubdi‛, vol.4, p.147, al=Rau½, vol.4, p.516.

[246]体積(による売買)と重量(による売買)。al=Rau½, vol.4, p.518. cf., al=Salsabµl, vol.2, p.74.

 体積と重量に食用(»a‛m)を併せて、上乗せのリバーの原因(‛illah)とする見解も有力。 cf., al=űshiyah, vol.4, p.518.

[247] 鉄と金、あるいは銀のように、もしその一方が正貨であれば、後払いが許される。さもなければ我々は完済(Æul¹l)と受け渡し(qab½)が条件とされる通貨(ful¹s n±fiqah)と正貨の両替を除いて、重量で量るものにおける「先物売買(salam)」の門を多くの場合に閉ざさないのである。 al=Rau½, vol.4, p.519.

なぜなら立法者は「先物売買」において軽減措置を定められたからである。al=űshiyah, vol.4, p.519, al=Mubdi‛, vol.4, p.148.

[248] 「もしこれらの種類と異なるなら、好きなように現物と現物で売買するがよい」(ハディース:アフマド、ムスリム)との使徒の言葉による。というのはその[現物と現物で]の意味は、受け渡しだからである。al=Rau½, vol.4, p.520, al=Mubdi‛, vol.4, p.148(cf., footnote).[リバーと両替]章・(注231)参照。

[249]なぜならその二つは、上乗せのリバーの原因の二つの性状の一つに収斂せず、衣類と動物(の売買)に準ずるからである。al=Rau½, vol.4, p.521. cf., al=Mubdi‛, vol.4, p.149.

 「預言者はアブド・アッラーフ・ブン・アムルに喜捨の若ラクダから取るように命じられ、彼(アブド・アッラーフ・ブン・アムル)は1頭のラクダについて(返済は)喜捨のラクダ(が徴収される)時期にラクダ2頭ということで取った。」 (ハディース:アフマド、アル=ダーラクトゥニー) al=Rau½, vol.4, p..521.

[250]イブン・アル=ムンズィルは、「預言者は後払い(k±li')の後払いによる売買を禁じられた」とのハディース(アル=ダーラクトゥニー、アル=ハーキム、アル=バイハキー)によりイジュマーゥを伝えている。それは権利義務上のもの(m± fµ al=dhimmah)を、彼に対して負債のある者(man huwa ‛alai-hi)に代価後払いで売ること。」 al=Rau½, vol.4, p.522, al=Salsabµl, vol.4, p.74.

たとえばザイドがアムルに対して10サーウの貸し、あるい未払い代金があった場合、例えばザイドがアムルに「これ(10サーウの債権)を1リヤルで私から買え」と言い、それを彼(アムル)に1リヤルの債務として売るようなこと。al=űshiyah, vol.4, p..522

[251]なぜなら「現物と現物でなら好きなように金を銀で売るがよい」(ハディース:ムスリム、アブー・ダーウード、アル=ナサーィー、イブン・マージャ、アル=ダーリミー)との預言者 の言葉により、受け渡しは契約が有効となる条件であるから。al=Rau½, vol.4, p.525, al=Mughnµ, vol.6, pp.112, 54(cf., footnote).

[252] 売主のそれ(正貨)を指しながらの「私はこの商品をこれだけの正貨で売った」との言葉、あるいは買主の「私はこの商品をこれだけの正貨で買った」との言葉によって決まる。 al=Salsabµl, vol.2, p.75.

 つまり支払い手段は、契約中に指定したディーナール金貨、ディルハム銀貨で行われなくてはならない、ということ。

[253]それ(特定の正貨)を名指しで契約された以上、その(正貨)を請求されればその(正貨の)支払いが課される。al=Rau½, vol.4, p.526.

[254]商品について正当な所有者が明らかになった場合と同様。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.4, p.526, al=Mubdi‛, vol.4, p.155.

なぜなら自分が所有していないものを売ったのであるから。al=űshiyah, vol.4, p.526.

[255]金の白濁や銀の黒濁など。al=Rau½, vol.4, p.527.

[256]銀と同量の銀のように両者が等しいものどうしについて(両替の)契約を交わしていた場合には補填なしに。そうでない場合には商談の場でなら彼(瑕疵を発見した側)にはそれ(補填)を受け取る権利がある。その(商談の場)の後なら、その(正貨の)種(による補填)でない限り同様(に補填を取る権利を有する)。al=Rau½, vol.4, p.527. cf., al=Mubdi‛, vol.4, p.155.

[257]「『戦争の家』においてはムスリムと異教徒の間にリバーはない」とのマクフールの伝えるハディースにより、「戦争の家」での異教徒に対するリバーは禁じられないとの少数説も存在する。 cf., al=Mubdi‛, vol.4, p.157, al=Mughnµ, vol.6, p.99.

[258]その土地が売買の有効なものであれば。al=Rau½, vol.4, p.532.

つまりワクフ(寄進)地でないなど。al=űshiyah, vol.4, p.532.

[259]両者ともに「家(d±r)」の指示対象(musamm±)に含まれるから。al=Rau½, vol.4, p.532. cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.432.

[260]なぜならそれはその(家の)装備のために(li-ma­laÆah)それに接合しており(mutta­il)、壁に準ずるから。al=Rau½, vol.4, pp.532-533. cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.432.

[261]つまり地中に埋められた財[金銀など]。al=Rau½, vol.4, p.533.

[262]なぜならそれはそれ(家)と接合してもおらず、その語(家)がそれを内包しているわけでもないから。al=Rau½, vol.4, p.534.

[263]なぜなら双方共(草、建物)にその(土地の)諸権利(Æuq¹q)に含まれるから。al=Rau½, vol.4, p.534, al=Mu‛tamad, vol.1, p.432.

[264]買主がそれを特約していない限り、その最初の収穫時までは[売主に対しての]賃銀なしに。al=Rau½, vol.4, p.535, al=Mu‛tamad, vol.1, p.433.

[265]ナツメヤシやネギのような、あるいはキューリやナスのような。al=Rau½, vol.4, pp.535-536.

[266]なぜならそれは存続することが意図されているため、それは樹木に準ずるから。al=Rau½, vol.4, p.536. cf., al=Mu‛tamad, vol.4, p.433.

[267]開いた花も同様。というのは、それは実った果実に準ずるから。ただし売主は即座にそれを刈り取らねばならない。al=Rau½, vol.4, pp.536-537. cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.433.

[268]「ムスリムは約款の上にある」 (ハディース:アブー・ダーウード、イブン・アル=ジャールード、イブン・ヒッバーン), al=Mu‛tamad, vol.1, p.433.

[269]「ナツメヤシの木が実った後に買った場合、果実はそれを売った者の所有である。ただし買主がそれを特約した場合は除く。」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=Rau½, vol.4, p.539.

[270]なぜならそれらは全て肉穂花の開花に準ずるから。al=Rau½, vol.4, p.542. cf., al=Mubdi‛, vol.4, pp.163-164.

[271]ナツメヤシの木についての前出のハディース[(注269)参照]の含意(mafh¹m)に基づく。それ(ナツメヤシの木)以外のものについてはそれからの類推である。al=Rau½, vol.4, pp.542-543, al=Mu‛tamad, vol.1, p.435.

[272]「預言者は成熟の判明前の果実を売ることを禁じられた。売主にも買主にも禁じられた。」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=Rau½, vol.4, p.544.

[273]「アッラーフの使徒はナツメヤシが赤く実る前に売ること、穂が白く実って病気の心配がなくなる前に売ることを禁じられた。売主にも買主にも禁じられた。」 (ハディース:ムスリム)al=Rau½, vol.4, p.545.

[274]なぜなら土中にあるものは隠れ姿が見えず、そこから生ずるものは非在(ma‛d¹m)であるから、その売買は許されない。それはそれから生ずる果実と等しい。果実を熟す前に基幹と共に、あるいは野菜をその土地と共に売るか、両者[果実と野菜]をその両者[果実と野菜]の基幹の所有者に売るか、あるいは瓜類などをその基幹と共に売るなら、その売買は有効である。というのは果実を基幹と共に売り、野菜を土地と共に売れば、その売買の附属物(tab‛)に含まれるから。al=Rau½, vol.4, pp.546-547.

[275]なぜならその売買の禁止は、枯死や天災の恐れがあるからであるが、(その場で)刈り取られたものについてはその心配がないから。al=Rau½, vol.4, p.548.

[276]その場合は(その売買は)有効である。なぜならばそれは知られており、それには未知(の要素)がなく、欺瞞(の余地)もないから。al=Rau½, vol.4, p.548.

[277]なぜなら彼の所有に移転したから。そして売主の所有物をそこから移すことは食物の[売主の家からの]搬出[が買主に課されること]に準ずるから。al=Rau½, vol.4, p.550.

[278]つまり熟したことが判明する前の果実、穀粒が実る前の穀物、瓜類など。al=Rau½,vol.4, p.550.

[279]刈り取るか、放置するかに言及せずに。al=Rau½, vol.4, p.550.

[280]それを果実の成熟の判明前に買いその成熟が判明するまで放置するための(抜け)道とすることがないように。al=Rau½, vol.4, p.551.

[281]有効であるとの説も有力である。

「正しくは、その売買は有効である。もし新たに実った果実の量が確定できれば、それは売主に戻され、残りは買主のものとなる。そうでない(確定できない)場合も(売主と買主の)合議により決め、売買は無効とはならない。」al=Rau½, vol.4, p.552. cf., al=űshiyah, vol.4, p.552, al=Salsabµl, vol.2, pp.80-81.

[282]熟成ナツメヤシの売買の許可の典拠は、「預言者はムザーバナ(muz±banah)、つまり果実と乾燥ナツメヤシとの売買を禁じられた。ただし成熟ナツメヤシ(‛ar±y±)の所有者たちについては別で、彼らには許可された」とのラーフィウ・ブン・ハディージュのハディース(アル=ブハーリー、ムスリム)である。al=Salsabµl, vol.2, p.81.

なぜならそれは生ナツメヤシ(ru»ab)を食べるために必要であるという理由だけによって許されているのであるから、それが乾燥すればその必要がないことが両者に明らかになるから。al=Rau½, vol.4, p.553.

「成熟ナツメヤシ(‛ar±y±)」の売買の諸規定については後述。

[283]なぜなら実が熟していれば天災にも安心だから。al=Rau½, vol.4, p.554.

[284]また彼(買主)にはその場でそれ(果実、穀物、瓜類など)を刈り取る権利があり、また摘み取る前にそれを売る権利もある。al=Rau½, vol.4, p.554.

[285]もし彼が拒否すればそれを強制される。それは売主の所有である実がまだなっている基幹を売った場合とは異なる。その(後者)場合には買主にはそれ(基幹)に水をやることは課されない。なぜなら買主はかれの側としてはそれ(基幹)を所有していないからである。al=Rau½, vol.4, p.555.

[286]たとえ受け渡し(qab½)の後でも。al=Rau½, vol.4, p.556.

「もしあなたがあなたの同胞に果実を売って、その後で天災がそれを襲った時には、何物であれ彼(買主)から取ることはあなたには許されない。どうしてあなたの同胞の財産を不当に奪えようか。」 (ハディース:ムスリム、アブー・ダーウード、アル=ナサーィー、イブン・マージャ、アフマド、アル=ハーキム) al=Mu‛tamad, vol.1, p.437, al=Salsabµl, vol.2, p.82.

[287]体積で量るものを受け渡し前に人間が毀損した場合に準ずる。al=Rau½, vol.4, p.557.(注207)参照。

[288]なぜなら全ての成熟を顧慮することは困難だから。al=Rau½, vol.4, p.558, al=Mu‛tamad, vol.1, p.436. 「アル=ムワッファク(イブン・クダーマ)は『それについて我々は異論を知らない』と述べている」 al=űshiyah, vol.4, p.557.

 「種(jins)ではない」 al=Salsabµl, vol.2, p.83.

[289] 「預言者は果実が色づくまで売ることを禁じられた。アナスによると、『その色づきとは何ですか』と尋ねられると、『赤くなること、あるいは黄色くなることである』と答えられた。」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=Rau½, vol.4, p.558, al=Mu‛tamad, vol.1, p.436.

[290]  「預言者は黒ずむまでブドウの売買を禁じられた」 (ハディース:アフマド) al=Rau½, vol.4, p.559.

[291]  「預言者は美味しくなるまで(ta»µba)果実の売買を禁じられた」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=Rau½, vol.4, p..559

[292]「財産を有する奴隷を売った者は、買主が特約したのでない限り、その(奴隷の)財産は売主のものとなる」 (ハディース:ムスリム) al=Rau½, vol.4, p.560.

[293] つまりその財産の(総額の)知識。al=Rau½, vol.4, p.560.

[294] なぜならそれが目的の商品であるので、別の単品と併せられた(商)品に準ずるから。al=Rau½, vol.4, p.561.

そしてその両方を売った(場合に準ずる)。つまりその場合彼は両方(の性状)、及び売買の他の全ての特約を知っていることが(その売買が有効である)条件となる。財産を有する奴隷で、それ(財産)が目的である場合も、それと同様なのである。al=űshiyah, vol.4, p.560.

[295]なぜならそれは慣例を越えており、それは奴隷の必要に関係ないから。al=Rau½, vol.4, p.562.

[296]それ(平服)も彼(奴隷)と共に売る(商)習慣が確立しているから。al=Rau½, vol.4, p.563.

[297]それ(salam)とはヒジャーズ地方の住民の方言であり、イラクの住民の方言では「salaf」である。

それが「salam(先渡し;先物取引)」と呼ばれるのは、(商談の)現場で資本(ra'as al=m±l)を渡す(taslµm)からであり、「salaf(先払い)」と呼ばれるのは、それ(資本)を「前払い(taqdµm)」するからである。al=Rau½, vol.5, p.3.

[298]「なんであれ先物取引をする(aslafa)者は、体積の確定、重量の確定、期限の確定の上で先物取引を行いなさい」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) ibid., vol.5, p.4.

[299]売買の諸条件に加えて。al=Rau½, vol.5, p.5.

 al=K±fµでは先物取引の有効性の条件は6つであり、「権利義務上の(fµ al=dhimmah)物であること」は条件とならない。

 al=Mu tamadでも条件は7つであるが、「値段に影響する特定期間の言及」に代えて、「先物取引の資本の額の認識とその確認」を条件としている。

 cf., al=K±fµ, vol.2, pp.108-115, al=Mu‛tamad, vol.1, p.438-443..

[300]穀粒、果実、酢、油、乳など。al=Rau½, vol.5, p.6.

[301]綿、絹、羊毛、銅、水銀、アルミニウム、硫黄、獣脂、生肉。al=Rau½, vol.5, p.6.

[302]布地、糸。al=Rau½, vol.5, p.6.

[303]ザクロ[梨、桃、スモモ、スイカ]など。それは大小で異なるのでそれについての先物売買は有効でない。al=Rau½, vol.5, p.6.

[304]水で薄めた乳など。al=űshiyah, vol.5, p.9

[305]麝香、竜涎香、香木、油の混合香料。al=Rau½, vol.5, p.10.

[306]「なんであれ先物取引をする(aslafa)者は、体積の確定、重量の確定、期限の確定の上で先物取引を行いなさい」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=K±fµ, vol.2, p.108, al=Salsabµl, vol.2, p.86.

[307]  「預言者はある男に若いラクダの先物取引を求めました(istaflafa)」 (ハディース:ムスリム)al=Rau½, vol.5, p.11.

[308]なぜなら正確な分別が可能だから。al=Rau½, vol.5, p.11.

[309]混合物を纏めると以下の4種類になる。

(第1は)二種の(布地で織った)衣服のような分別可能で(混合が本来の)目的である(maq­¹d)混合物。(第2は)チーズの羊の乳児の腹から取った発酵剤のようなそれ自体が目的ではないが役立てるために混ぜたもの。この二つについては先物取引は有効である。(第3は)ガーリヤ香のような(本来の)目的ではあるが分別不能な混合物、(第4は)水増しの乳のような(本来の)目的ではなく無益に混ぜられたもの。この(最後の)二つについては(先物取引は)有効ではない。al=űshiyah, vol.5, p.12. cf., al=K±fµ, vol.2, pp.109-110.

[310]その色、量、産地など。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.13.

全ての性状の網羅は義務ではない。なぜならそれは困難であるから。また価格に影響しないものもその必要がないため、(義務とはなら)ない。al=Rau½, vol.5, p.13.

[311]なぜならそれは網羅的でないから。というのはどんな良い品、悪い品にも、それより更に良い品、悪い品が存在し得るからである。al=Rau½, vol.5, p.14.

[312]というのは、彼(先物受注者)は契約の規定したこと及び、彼(先物注文者)に有利なそれ以上の事物を持参したのであるから。al=Rau½, vol.5, p.15.

全ての果物や料理のように変質するものであるか、穀物のように(期日前に持参したなら)新作でなく旧作であるなど、(契約)期日前の引取が(先物注文者に)有害なら先物注文者には引き取りは課されない。al=űshiyah, vol.5, p.15.

[313] 「なんであれ先物取引をする(aslafa)者は、体積の確定、重量の確定、期限の確定の上で先物取引を行いなさい」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=Rau½, vol.5, p.16.

[314]慣習的に。たとえば1か月。al=Rau½, vol.5, p.19.

アル=ザルカシーは、「(ハンバリー派の)同学の多くは一か月か2か月を標準としている」と述べている。al=űshiyah, vol.5, p.19.

 最短期間については一か月、半月など諸説がある。cf., al=űshiyah, vol.5, p.19, al=Mu‛tamad, vol.1, p.441.

[315]「なんであれ先物取引をする(aslafa)者は、体積の確定、重量の確定、期限の確定の上で先物取引を行いなさい」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=űshiyah, vol.5, p.18. (注313)参照。

[316]即金(Æul¹l)は、それ(その契約)を、その名称と意味から逸脱させるから。al=Rau½, vol.5, p.19.

なぜならそれは対価の一方を前払いし、他方を後払いするが故に「salam(先渡し;先物取引)」、あるいは「salaf(先払い)」の名称で呼ばれるのであり、またその意味は「注文品(muslam fµ-hi)の後渡と資金(ra'as al=m±l)の前渡」だからである。 al=űshiyah, vol.5, p.19.

[317]収穫(Æa­±d, jadh±dh)期は、ほぼ予測でき、ずれは僅かなので有効であるという説も有力。 cf., al=űshiyah, vol.5, p.20, al=Salsabµl, vol.2, p.89.

[318]必要(Ʊjah)がそれを要請するから(d±‛iyah).al=Rau½, vol.5, p.20. cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.441.

[319]なぜならそれは価格に影響(waq‛)がないから。al=Rau½, vol.5, p.20.

[320]それゆえその期日に存在しないか、稀にしか存在しないブドウや完熟ナツメヤシの冬場を期日指定したような先物取引は無効である。al=űshiyah, vol.5, p.21.

[321]それゆえある特定の小さな果樹園や小さな村の果実についてや、特定の部族のラクダや羊や、この布、といったものからの生産物(子ラクダ、子羊、衣服)について先物取引は有効でない。なぜならそれは消失、断絶のおそれがないとはいえないからである。al=űshiyah, vol.5, p.22.

 「ユダヤ教徒の一人の男が預言者に対して、一定のナツメヤシのデイーナール(金貨)による先物取引を行った。そのユダヤ教徒が『某部族の柵のナツメヤシを』と言うと、預言者は『「某部族の柵のナツメヤシ(という条件)」、はならぬ。一定の量を決め特定の期日までとせよ』と言われた」 (ハディース:イブン・マージャ) al=Mu‛tamad, vol.1, p.442.

[322]つまり消失した(自分の前払いした)代価の代替物。al=Rau½, vol5, p.24.

[323] なぜなら契約が消滅した以上、代価の返却が義務となるから。al=Rau½, vol.5, p.24.

[324] 「なんでであれ先物取引をする(aslafa)者は、先物取引を行いなさい(fal-yuslif)」、つまり「払いなさい(fal-yu‛»i)」との預言者の言葉による。アル=シャーフィイーは「なぜならば先物取引を行った相手と別れる前に相手に先物取引をしたもの(代価)を払わない限り、それに『先払(salaf)』の名称はつかないからである」と述べている。al=Rau½, vol.5, p.25. cf., al=Salsabµl, vol.2, p.90.

ハディースについては(注315)参照。

[325]受け渡した部分については有効である。al=Rau½, vol.5, p.26.

取引の分割に基づき、その代価の割合に応じて。al=űshiyah, vol.5, p.26.

[326]たとえば小麦をラジャブ月とシャアバーン月に。al=Rau½, vol.5, p.26.

[327]たとえば、小麦と大麦をシャアバーン月に、などと2つの種について先物取引をすることによって。al=Rau½, vol.5, p.27.

[328]  「あなたと2デイーナール(金貨)で先物取引を行う。片方(1デイーナール)はかれこれの期日に1イルダブ(重量単位)のかれこれの性状の小麦で、もう一方(1デイーナール)は、かれこれの期日に2イルダブ(重量単位)のかれこれの性状の大麦で」と述べることによって。al=Rau½, vol.5, p.27.

[329]たとえば「あなたと2デイーナール(金貨)で先物取引を行う。片方(1デイーナール)はラジャブ月に1イルダブ(重量単位)の小麦で、もう一方(1デイーナール)は、シャアバーンに2・1/4イルダブ(の小麦)で」と述べることによって。al=Rau½, vol.5, p.28.

[330]後払いのもの(mu ajjal)は、「権利義務上(fµ al=dhimmah)」しか存在しない。al=Mu‛tamad, vol.1, p.441, al=űshiyah, vol.5, p.28.

[331]家や木など。なぜならそれ(現物)はその受け渡しの期日までに消失するかもしれないから。 al=Rau½, vol.5, p.28. cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.441. 「現物(muÔaiyan)は即売が可能であり、先物取引にする必要がないから」 al=Mubdi‛, vol.4, p.197. cf., al=űshiyah, vol., p.28.

[332]契約はその場での引渡を義務づけるから。al=Rau½, vol.5, p.29.

引渡が契約の場でなされるべきことは当然であり、契約の文言として特記する必要はない。

「履行の場の言及は条件とならない。なぜなら預言者 はそれ(履行の場)については言及されていないからである」al=Rau½, vol.5, p.29. cf., al=Mubdi‛, vol.4, p.197. ハディースについては(注313)参照。 cf., al=űshiyah, vol.5, p.29.

[333]なぜならそれ(先物取引)は売買であり、それゆえ現物の売買と同様に(契約の場と)別の場での(商品引渡の)履行の特約も有効なのである。al=Rau½, vol.4, p.30. cf., al=Mubdi‛, vol.4, p.197.

[334] 「食物を売る者は、受け取り前にそれを転売してはならない」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) al=Salsabµl, vol.2, p.91, al=Rau½, vol.5, p.31.

[335]その引渡ができないため。al=Rau½, vol.5, p.31. 但し贈与は可、との説もある。 cf., al=űshiyah, vol.5, p.31.

[336]つまり、先物受注者(muslam ilai-hi)が先物注文者(muslim)に、その先物商品(muslam fµ-hi)を、それ(先物商品)を彼(第三者)から取るようにと、第三者に対して債権譲渡する、という先物商品の債権譲渡(Æaw±lah)は有効でない。al=űshiyah, vol.5, p.32.

 「なぜならばそれ(債権譲渡:Æaw±lah)は確実な債務(dain mustaqarr)に対してしか有効でないから」 al=Rau½, vol.5, p.32. 「債権譲渡」については後述。

[337]つまり、先物注文者(muslim)が、自分が先物商品と同種の債務を負っている第三者(債権者)に、その債務を、 彼(その第三者の債権者)が彼(先物受注者)からそれ(債務の替わのそれと同種の先物商品)を取り立てるようにと、先物受注者(muslam ilai-hi)に、移転することによって。al=űshiyah, vol.5, p.32.

[338] 「何物であれ先物取引する者は、それを他人に振り替えては(yu­rifu)ならない」 (ハディース:アブー・ダーウード、イブン・マージャ) al=Rau½, vol.5, p.32, al=Mu‛tamad, vol.1, p.443.

[339]  「先物取引で先払いをした者は、相手方(先物受注者)にその履行(qa½±')以外の特約をつけてはならない」 (ハディース:アル=ダーラクトゥニー) al=Salsabµl, vol.2, p.93.

なぜなら質は質物の代金からそれを完済できるものにのみ許されているからであり、また保証(½am±n)とは、保証人(½±min)の義務権利上のもの(m± fµ al=dhimmah)が被保証人(ma½m¹n)の権利義務上のものに代わることであり、それゆえそれはその(先物商品)の代償(‛iwa½)、代価(badal)と見做され(fµ Æukm)ることになるが、両者(代償、代価)はいずれも許されないから。al=Mu‛tamad, vol.1, p.443. cf., al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.34. 但し質を取り保証人を立てることも許されるとの見解もある。 cf., al=Salsabµl, vol.2, p.93.

[340] 法学用語としては。al=Rau½, vol.5, p.36.

[341]「ムスリムがムスリムに2回消費貸借を施せば、一回の自由喜捨を施したに等しい」 (ハディース:イブン・マージャ) al=Rau½, vol.5, p.37, al=űshiyah, vol.5, p.37.

[342]なぜならそれは運搬されないから。al=Rau½, vol.5, p.38.

[343]「預言者が若ラクダを借りられた(istaslafa)から」 (ハディース:イブン・マージャ、ムスリム) al=Rau½, vol.5, p.38, al=Mu‛tamad, vol.1, p.445.

[344]贈与と同じく。承諾により成立する。al=Rau½, vol.5, p.39.

[345]貸主が破産し禁治産者指定を受けたのでない限り。その場合には彼(貸主)にはその返却請求権がある。al=űshiyah, vol.5, p.40.

[346](貸主)にはその代替物の請求権がある。al=Muqni‛(in al=Mubdi‛), vol.4, p.206.

つまり、満期のものについて(Ʊll)。なぜなら消費貸借は、その権利義務上(fµ al=dhimmah)、満期によって定まる(yathbutu)ので、彼には他の全ての債務と同様にその請求権がある。 al=Mubdi‛, vol.4, p.206.

[347]その価格が変わっていようとなかろうと。al=Rau½, vol.5, p.40.

[348]賃借がなされたディルハム(銀貨)。al=Rau½, vol.5, p.41.

[349]なぜならそれは瑕疵に準ずるので彼にはその受取は課されない。al=Rau½, vol.5, p.42.

[350]「預言者は一頭の若ラクダを借りて、それと等しいもの(mithl)を返却された」 (ハディース:マーリク、ムスリム) al=Mu‛tamad, vol.1, pp.445-446.

[351]宝石などの価格は、その(貸借物の)受渡の日(の価格)で。al=Rau‛½, vol.5, p.43.

 消費貸借の日の価格で、とも。cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.446, al=Mubdi‛, vol.4, p.207.

[352]等質品(mithlµ)とは、全ての体積で量(り売りす)るもの、重量で量(り売りす)るもので、それに手が加えられておらず、それについては先物取引が有効なもの。al=Salsabµl, vol.2, p.96.

[353]なぜならそのときそれ(等価物)はその責任上(fµ al=dhimmah)定まる(yathbutu)から。 al=Rau½, vol.5, p.44.

つまり等質品(の返却)が困難となった時点で、消費貸借物の等価物が借主の権利義務上で定まる。al=űshiyah, vol.5, p.44.

[354]たとえば彼(貸主)を彼(借主)の家に住ませるとか、それ(消費貸借物)より良いものを彼(貸主)に返すなど。というのはそれ(消費貸借)は親切(irf±q)と(アッラーフへの)奉献(qurbah)の契約であるので、それに付録を特約すれば、その目的からはずれることになるから。al=Rau½, vol.5, pp.44-45.

 「利益をもたらす消費貸借は全てリバーである」 (ハディース:『ムスナド』ハーリス・ブン・アビー・ウサーマ[d.282/895]) al=Salsabµl, vol.2, p.96.

[355]つまり彼(借主)の家に住ませるなどの利益のあることを始める。al=Rau½, vol.5, p.45.

[356]「預言者は若ラクダを借りられたが、その後それよりも良いもの(ラクダ)で返却され、『お前たちの中で最も優れた者は、返済を最も良く行う者である』と言われた。」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム)al=Rau½, vol.5, p.46.

[357]なぜならそれはその利得分(ziy±d)を消費貸借の代償(‛iwa½)とせず、それへの抜け道ともしていないから。al=Rau½, vol.5, p.46.

[358]「お前たちの誰でも消費貸借を与え、その後に贈物が届けられたり、乗用獣へ載るように勧められたなら、それ(乗用獣)に乗ってはならず、それ(贈物)を受け取ってもならない。ただし以前から両者の間に習慣的に行われていた場合は別である」 (ハディース:イブン・マージャ)al=Rau½, vol.5, p.47.

[359]なぜなら彼(借主)が支障なく義務の返済ができる以上それが課されるから。al=Rau½, vol.5, p.48.

[360]つまり請求した国でのその(代価の)価格より。そしてその場合は、支障なくそれが可能であることからそれによる支払いが彼に課される。これによって、消費貸借の(行われた)国での価格が(その請求額よりも)より高価であったのに、(貸主が)彼(借主)に請求した土地でのその(代価の)価格で請求した場合には、彼にはその(代価)そこ(請求地)までの運搬が課されないため、彼にはそれは課されないことが知られる。al=űshiyah, vol.5, p.49.

[361]消費貸借の(行われた)国での。なぜならそこがそこにおいてその(代価の)引渡がなされるべき場所だから。al=Rau½, vol.5, p.48.

 「消費貸借を行った国でより安価であるのでない限り」の句については、al=Rau½は「より高価である」の間違いである、と述べているが、al=űshiyahは本文の「より安価である」が正しいと述べている。 cf., al=Rau½, vol.5, p.49, al=űshiyah, vol.5, p.49.いずれにしてもこの問題については見解が分かれている。 cf., al=Salsabµl, vol.2, p.98-99.

[362]それによって、あるいはその代価によって債務の償還を可能とする債務の担保。al=Rau½, vol.5, p.51.

[363]自己身請契約奴隷については、質物の継続的占有(istid±mah qab½)を質の有効性の条件とまなす場合には、その質は無効となる。 cf., al=Mubdi‛, vol.4. p.215, al=Salsab‛l, vol.2, p.100.

[364](質権者が)「私はあなたにこれを1か月後(の代価支払)ということで10で売った。それゆえ私に対してこのあなたの奴隷に質権を設定して下さい」と言い、質権設定者が「私はあなたからこれを買い、それに質権を設定した」と言うことによって。al=Rau½, vol.5, p.55.

[365]あるいはそれに帰着するもの(mu'±l ilai-hi)。無賃貸借(‛±riyah)のような被保証物権や、無効な契約による取得物(maqb¹½)や、権利義務上の(fµ al=dhimmah)の賃労働(ij±rah)の用益(権)(nafa‛)などに対してさえも(質権設定は有効)。しかし自己身請契約(kit±bah)の債権や、返済期限前の血讐賠償有責親族(‛±qilah)に対する血讐金に対しては(有効で)なく、商品の制限(‛ahdah)や、特定された代価(thaman)や賃銀(ujrah)や特定の家などの用役によっては(有効では)ない。al=Rau½, vol.5, p.57.

[366]「もし汝らが旅先にあって証書記録者を見つけられなければ、受渡された質物」 (クルアーン2章283節)

「預言者はユダヤ教徒から食物を買って自分の盾に質権を設定された」 (ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム、アフマド) al=Mu‛tamad, vol.1, p.449.

al=Salsab lによると質の構成要件は、1.質権設定者、2.質物、3.質によって買われたもの、4.質権者、5.形式の5つであり、質の有効性の条件は、1.行為能力者(j±'iz al=ta­arruf)であること、2.自由選択を行う者であること、3.質物の所有者、あるいはその質権設定を許可されたものであること、4.無条件的(munajjaz)であること、5.(契約による)権利(発生)以降であること、6.伐採の条件を付さない成熟前の果実、野菜を除き、売買が有効なものであること、7.その種類、量、質の認識、8.義務となった債権であること、の8つである。 cf., al=Salsabµl, vol.2, pp.99-100.

 al=Mu‛tamadの挙げる質が有効である条件は、1.無条件的(munajjaz)であること、2.(契約による)権利(発生)以降であること、3.売買が有効なものであること、4.質物の所有者、あるいはその権利義務上の許可を得た者(ma'dh¹n la-hu fµ al=dhimmah)であること、5.その種類、量、質が知られていること、の5つである。 al=Mu‛tamad, vol.1, pp.449-450.

[367]質は質権者ではなく質権設定者のみを拘束する(yalzimu)。なぜならそれにおける取分は彼(質権者)だけの所有であるから、それゆえ彼(質権者)には保証物件(ma½m¹n la-hu)と同様に、その取消権があるからであり、その拘束力は双方に及ぶ訳では決してない。 al=űshiyah, vol.5, p.57.

[368]なぜならそれは権利の満期には(maÆill al=Æaqq)売買が許されるから。そしてもし共同所有者と質権者が、彼(共有奴隷)が両者の一方か、あるいは第三者の占有となることで合意すれば、それは許される。両者が対立すれば、為政者(Ʊkim)は彼(共有奴隷)を信託によるか賃銀を払っての管理人の占有とする。al=Rau½, vol.5, p.58.

なぜなら(共同)所有者には、自分が質権を設定したわけでないものの引渡義務はなく、質権者にもその質物を(共同)所有者の手元に止めることは課されないので、為政者が両者に代わってその保管を行い、それをたとえ両名(所有者と質権者)の負担となる賃銀を払ってでも管理人の占有にする。なぜなら両者のどちらもそれ(共有奴隷)について他方よりより権利がある、ということはなく、またそれについて二人を一緒にすることもできないので、そう(管理人の占有への移管)定まるのである。 al=űshiyah, vol.5, p.58.

[369]それらをその受取前に売ることは許されない。al=Rau½, vol.5, p.59.

[370]その(商品の)受取前に。al=Rau½, vol.5, p.58.

なぜなら受取前のその売却が許されるから。al=űshiyah, vol.5, p.58.

[371]それ[その場での刈取の附款]なしの両者(果実、野菜)の[成熟判明前に]売買は無効であるにもかかわらず、双方共に質権設定は有効である。というのはその売買の禁止は、それに天災の(被害の)危険を免れないからであり、それゆえその被害に際する免責が命じられているのであるが、(質の場合には)それが質権設定者の権利義務の座に依っている(ta‛alluq bi-dhimmah)ので、その全滅の危険性によって質権者のその債権に対する権利が失われることはないからである。al=Rau½, vol.5, p.60. cf., al=Mubdi‛, vol.4, p.218.

[372]それによっては質の目的が達成できないから。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.59.

つまり(質権設定者の債務返済に)支障のある場合にその売価から債権分を差し引くことによる。ところが売買の許されないものではそれが不可能である。al=űshiyah, vol.5, p.5.

[373]「・・・その時には受渡された質物」(クルアーン2章283節)との至高者の御言葉により、商品の受渡の場合と同様に。・・・中略・・・受渡前の質権設定は有効であるが、拘束力はなく(laisa bi-l±zim)、質権設定者にはその取消権と処分権がある。al=Rau½, vol.5, p.67.

[374]拘束の。発効(の場合)と同様に件の章句(クルアーン2章283節)によって。al=Rau½, vol.5, p.63.

[375]受取(による占有)の消滅により。しかし契約(そのもの)は、あたかもそこには(最初から)受渡がなかったかのように継続する。al=Rau½, vol.5, p.64.

[376]なぜなら(質権設定者が)自分の自由選択によってその受渡を行ったのであるから、最初(受渡による拘束力の発効)の場合と同じく、拘束し、それが継続している以上、契約の更新の必要はない。al=űshiyah, vol.5, p.65.

[377]質権者についてはそれは彼の占有下の信託物だからである。質権設定者については、もし彼が質権者の許可なく、売却、贈与、寄進、質などによってそれを処分すれば、彼の処分は無効だからである。al=űshiyah, vol.5, p.66.

[378]それが質権者の担保(wathµqah)の権利の蹂躙だからである。しかしそれが禁じられているにもかかわらず執行されるのは、それが完全な所有権を有する所有者による解放であるから、賃借人(奴隷)(musta'jir)の解放と同様に、執行される。al=űshiyah, vol.5, p.68.

[379] 「波及(sar±yah)」と「遡及(taghlµb)」に基づいて。al=Rau½, vol.5, p.68.

第三者の所有についても執行されるのであるから、自分自身の所有については尚更であるから。「波及(sar±yah)」とは、富裕者(muwsir)が、共有分を有する(共有)奴隷の一部を解放した場合には、それ(解放)がその(奴隷の)全体に及ぶこと。「遡及(taghlµb)」とは、例えば「私の奴隷は自由だ」と宣言すれば、(特定の)意志がなく特定しなければ、彼の奴隷全てを解放すること。al=űshiyah, vol.5, p.68. cf., al=Mubdi‛, vol.4, p.223.

[380]解放した場合には質権設定者から。al=Rau½, vol.5, p.68.

[381]油脂、職業訓練、子供、果実、羊毛など。al=Rau½, vol.5, pp.69-70.

[382] 「質物はそれに質権を設定した所有者から剥奪されているわけではない。その付加分は彼に属するが、その出費も彼の負担となる。」 (ハディース:アル=シャーフィイー、アル=ダーラクトゥニー) al=Rau½, vol.5, pp.70-71.

[383]「質物はそれに質権を設定した所有者から剥奪されるわけではない。その付加分(ghanam)は彼に属するが、その出費(gharam)も彼の負担となる。」 (ハディース:アル=シャーフィイー、アル=ダーラクトゥニー)al=Rau½, vol.5, p.71, al=űshiyah, vol.5, p.71.

[384]アリーがそう述べている。なぜならそれは寄託物(wadµ‛ah)と同じく彼の占有する受託物(am±nah)であるから。もし踰越があったり(ta‛add±)、懈怠があったら(farra»a)、賠償する(½amina)。al=Rau½, vol.5, p.72.

[385]なぜならそれは毀損前に質権設定者の権利義務上(fµ al=dhimmah)確定しており、それを免ずるものは存在しないから、その原状のまま(bi-Ʊli-hi)継続するのである。al=Rau½, vol.5, p.72.

質権設定者にはその代わりに別の質物を置くことは課されない。なぜならそれは本来義務でないから。al=űshiyah, vol.5, p.72.

[386]債務は質物の諸部分の全体に関連しているので、その債務全体によっても、そのいずれの部分によっても、差し押さえられ(maÆb¹s)、彼(質権者)にその(債務の)全てを返済するまで、その(質物の)一部たりとも取消されないのである。al=űshiyah, vol.5, p.73. cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.453.

[387]相手に100(の債務)に対して奴隷に質権を設定すれば、それを50増した150の(債務の)質とすることは、たとえそれ(奴隷)がそれ(150の債務)と等価であっても無効である。なぜなら質物は当初の100に用立てられているのであり、一旦用立てられたものは用をなさないからである(al=mashgh¹l l± yashgalu)。al=Rau½, vol.5, p.74.

[388]相手に100(の債務)に対して奴隷に質権を設定して、それから更に彼にそれ(100の債務)に対して服を質に置くことによって。なぜならそれは担保(istiyith±q)のための加増だから。al=Rau½, vol.5, p.74.

[389]なぜなら一人の二人との契約は、二人の双方が個別にその半分(づつ)に質権を設定したのと同様で、二つの契約に準ずるからである。もし(質権設定者が二人の質権者に)分割を求めれば、もし質物が嵩で計るものか、重さで量るものであれば、それ(分割)に応じる。al=Rau½, vol.5, p.75. cf., al=Mubdi‛, vol.4, p.229.

[390]「なぜなら質権設定者が複数であるから、1000(の債務)に対して、(債務者)二人が両者の(共有の)奴隷に、(債権者)二人を相手に、質権を設定すれば、これは4つの契約であり、その(奴隷の)各四半分が250(の債務)についての質物となるからである。al=Rau½, vol.5, p.75. cf., al=Mubdi‛, vol.4, p.229.

[391]質物を占有している者。al=Rau½, vol.5, p.77.

[392]なぜならそれこそ質の目的であるから。・・・つまり債務の返済こそ質物の売却の目的であるから。al=űshiyah, vol.5, p.77. cf., al=Rau½, vol.5, p.77.

[393]なぜならそれは為政者(Ʊkim)の職務(sha'n)だから。もし拒絶すれば、履行するまで、彼を監禁するか懲罰を与える。al=Rau½, vol.5, p.78.

[394]所有者(質権設定者)か為政者の許可がない限り、質権者にはその(質物)の売却権はない。al=Rau½, vol.5, p.79. cf., al=Mubdi‛, vol.5, p.230.

[395]「ムスリムは、真理に適うものである限り、約款を守る」 (ハディース:アフマド、アブー・ダーウード、アル=ハーキム、イブン・ヒッバーンアブー・、アル=ジャールード) al=Salsabµl, vol.2, p.104.

[396]なぜならばその流通によってそこで有益であるから。al=Rau½, vol.5, p.82.

[397]懈怠でなく。al=Rau½, vol.5, p.83.

[398]なぜなら公正な(第三)者(保管者)の占有下の代価は信託物(am±nah)であり、それゆえ彼(保管者)は代理人に準ずるから。al=Rau½, vol.5, p.83.

 「質物はそれに質権を設定した所有者から剥奪されるわけではない。その付加分(ghanam)は彼に属するが、その出費(gharam)も彼の負担となる。」 (ハディース:アル=シャーフィイー、イブン・マージャ、イブン・ヒッバーン、アル=ダーラクトゥニー) al=Salsabµl, vol.2, pp.102, 105.

[399]公正な(保管)者の側に、自分がそれ(代価)を質権者に支払ったとの。al=Rau½, vol.5, p.83.

[400] なぜなら(保管者が代価の質権者への支払いの際に)証人をたてなかったことで、(保管者は)懈怠であった(farra»a)からであり、また彼(質権者)はただ返済の履行(qa½±' mubri')のために彼(保管者)に許可をしたのであるが、それが実現しなかったからである。それゆえ質権設定者は(先ず)質権者に返還請求し、次いで公正な(保管)者に返還請求する。al=Rau½, vol.5, p.84.

つまり質権者は、例えば、自分が債権を回収していない、と誓言した後で、質権設定者に返還を請求し、次いで質権設定者は公正な(保管)者に対して、彼(保管者)の懈怠ゆえに返還を請求する。質権者には誓言の後なら、両者の好きな方に返還を請求できる。もし(質権者)が公正な(保管)者に返還を請求すれば、その公正な(保管)者は誰にも返還を請求できない。なぜなら彼は質権設定者が(返済の)責任を果たしたことを認めているからである。al=űshiyah, vol.5, p.84.

[401]なぜならそれ契約の趣旨に反する附款であるから。al=Rau½, vol.5, p.84.

つまり契約の趣旨は、質権設定者が債務を返済しなかった場合に、質物が売られ、その代価から債務を返済することであるから。al=űshiyah, vol.5, p.85.

[402]「『質物は(それに質権を設定した所有者から)剥奪されるわけではない』とのアル=アスラムの伝える預言者の言葉による。そして[アフマド]師はこれ(ハディース)をそのように釈義している。al=Rau½, vol.5, p.86.(注396)参照。

つまり、「某月某日までに某ディルハム(銀貨)を持参するが、さもなければこの質物はあなたのものだ」と言って質物を誰かに渡してはならない、とアフマド師は述べている。al=űshiyah, vol.5, p.86.

[403](既述の)伝承によって、質(質権設定自体)は有効である。al=Rau½, vol.5, p.86.

つまり「質物は剥奪されるわけではない」との彼(預言者)の言葉。というのはそれ(ハディース)は、(返済期限が切れると自動的に所有権が移転するとの)無効な附款がつけられているにも拘わらずそれを質物(rahn)と呼んでいるからである。al=űshiyah, vol.5, p.87.

[404]質権者が「1000(の債務)のための質物である」と言い、質権設定者が「いや、それは100(の債務のため)だけである」と言うことで。・・・中略・・・また質権者が「あなたは私にこの奴隷と婢に質権を設定した」と言い、質権設定者が「いや、奴隷だけだ」と言えば、彼(後者)の証言(が容れられる)。なぜなら彼(後者)は否認者であるから。al=Rau½, vol.5, p.87.

 「もし人々が彼らの訴訟を認められれば、ある人々は、人々の血(生命)や財産までも訴訟の対象にするようになろう。それゆえ被告(の無罪の立証には)は誓言(のみ)が課されるのである。」 (ハディース:ムスリム) al=Mughnµ, vol.6, p.525.

[405]質権者が「私はそれをあなたに返した」と言い、質権設定者がそれを否認した場合には、彼(後者)の証言(が容れられる)。なぜなら質権者は自分の利益のために(質物の)現物を受け渡されたのであり、原状(a­l)では(質物は)彼(質権者)の許にあったのであるから、賃貸物の場合と同じく、彼(質権者)の返却の証言は容れられない。al=Rau½, vol.5, p.88.

[406](質権者が)「あなたが私にこのブドウ果汁に質権を設定するということで、私はあなたに甲を売った」と言い、(質権設定者)がその条件で(その申出を)承諾し、それ(ブドウ果汁)を彼(質権者)に受け渡し、その後で質権者が「あれはブドウ酒だったので、私には取消権がある」と訴え、質権設定者が「いや、それはブドウ果汁だった」と言えば、取消権はない。なぜならその原状は正常(sal ma)(であったと見做されるべき)であるから。al=Rau½, vol.5, p.88.

[407]つまり彼(質権設定者)が質権設定の前に既にそれを売却していた、あるいは贈与していた、あるいは質権設定の前にそれを不法占有していた、と。al=űshiyah, vol.5, p.88.

[408](質権設定者)にはその瑕疵の賠償が課される。al=űshiyah, vol.5, p.89.

[409]質権者に対して(質権者が傷害を犯したと告発する証言)なら、(質権者が)それを否定するなら、(容れられ)ない。なぜなら彼(質権設定者)は彼(質権者)に関しては疑わしい(muttaham)からである。自分以外に対する(不利な)他人の言葉は容れられないのである。 al=Rau½, vol.5, p.89.

[410]その質権設定は無効となる。al=Rau½, vol.5, p.89.

 つまり質権者が、質権設定の時点で質物が質権設定者の所有物でなかった、あるいは傷物にしたのが自分であることを認めた場合。

 「彼(質権者)がそれ(質権設定)を無効とすることを認めたため。質権者は求められれば、質権設定者が証言したような事実を知らないことの誓言が課される。そしてもし(その誓言を)拒否すれば、その質権は無効と判定される。 al=űshiyah, vol.5, p.89.

[411]債務の返済かその免除によって。al=Rau½, vol.5, p.89.

[412](その質物の質権が)取消されたら、(その質物の本来の正当な)買主、受贈者、被占有者が、その質物を取る。al=űshiyah, vol.5, p.89.

[413](乗用獣の)背は、もしそれが質物であれば、その(乗用獣の)保管費(を支払うこと)によって乗る(ことが許される)。(家畜の)搾乳した乳はもしそれが質物であれば、その(家畜の)保管費(を支払うこと)によって飲む(ことが許される)。乗り、飲んだ者が保管する(義務がある)。」(ハディース:アル=ブハーリー) al=Rau½, vol.5, p.91.

[414] なぜなら彼はそれを喜捨したのであるから、貧者への喜捨の場合と同じく、その代償の返還の請求は(でき)ないからである。あるいは所有者の許可を得ようとしなかった以上、彼には懈怠があった (mufarri»)。というのは返還請求(ruj¹‛)には対価支払(mu‛±wa½ah)の含意があり、それゆえその他の対価支払(請求)と同じく(先方の)許可と同意(ri½±)が必要だからである」 al=Mubdi‛, vol.4, p.240. cf., al=Rau½, vol.5, p.92.

[415]なぜなら彼(質権者)は彼(質権設定者)に代って、それについて彼(質権設定者)に許可を求めることが(質権者には)できない(が)義務(であること)を履行したのであるから。 al=űshiyah, vol.5, p.93.

自分の権利(担保としての質物)を守るためにそれ(保管費の出費)が必要であるから。al=Rau½, vol.5, p.93.

[416]つまり、それらの規定は前述の質の規定(に準ずる)。なぜならそれは彼の占有下にあった信託物だから。al=űshiyah, vol.5, p.93.

それゆえもし彼(受託者、賃貸者)が、その持ち主の許可(を得ることが)困難な状況下で、(後に)返還を請求する意図をもってその保管費を払っていたなら、費やしたもの以下、あるいは適正保管価格の請求権がある。al=Rau½, vol.5, p.93.

[417]なぜならそれ(工材)は彼(質権設定者)の所有だから。al=Rau½, vol.5, p.94.

石材や木材などを。al=‛Anqarµ, al=űshiyah, vol.2, p.177.

[418] その家屋の資産価値(m±lµyah)維持のためのもの、内外装職人(mu‛ammir)の賃銀は(請求し)ない。なぜなら内外装(‛im±rah)は質権者には義務ではなく、それゆえ彼(質権者)以外の誰もそれ(内装)について彼(質権者)の代理をすることができないから。al=Rau½, vol.5, p.94.

つまり彼(質権設定者)は、内外装については、工材('±l±t)といっても家屋の資産価値を維持するために頻繁に使う水、灰、粘土、漆喰、石灰、塗炭などやセメントのようなものなどの代価などと同じく返還請求しない」。al=űshiyah, vol.5, p.94. cf., al=‛Anqarµ, al=űshiyah, vol.2, p.177.

この場合には返還請求が可能だとの説もある。 cf., al=űshiyah, vol.5, p.94, al=‛Anqarµ, al=űshiyah, vol.2, p.177.

[419]「内部(½imn)」の派生語。保証人(½±min)の権利義務の座(dhimmah)は、被保証人者(ma½m¹n  an-hu)の権利義務の座の内となる。そのシャリーア上の意味は、「他人に義務であったことを、及び義務となることを(m± qad yajibu)、それ(他人の義務)も存続しつつ、自らに課すこと(iltiñm)」である。al=Rau½, vol.5, p.97.

 一般的(fµ al=jumlah)に、債務保証はクルアーンとスンナとイジュマーゥによって許されている。至高者は言われる。「それ(盗品)を持参した者には、ラクダの荷(が報奨)である。そして私はその責任者(za‛µm)であるである。」 (クルアーン12章72節)。またアル=ティルミズィーには、教友まで溯る伝承として(marf¹‛)、「『責任者』とは『債務者(gh±rim)』である」とあるが、それはつまり「保証人(½±min)」のことである。またアル=ムワッファクなどが、一般的に、イジュマーゥを伝えている。al=űshiyah, vol.5, p.97. cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.457.

[420]つまり、財産の処分(ta­arruf)が有効である者に。それは男性であれ女性であれ、禁治産者(maÆj¹r ‛alai-hi)でない自由人である。al=űshiyah, vol.5, p.99.

[421]それは「(私は)保証人(½amµn、kafµl、qabµl、Æamµl、za‛µm)(となる)」、あるいは「私があなたの債務を引き受けた(taÆammaltu)」、「私はそれを保証した」、あるいは「それは私のものだ(‛indµ)」などの表現によって有効となる。al=Rau½, vol.5, p.98.

[422]なぜならアブー・ダーウードとアル=ティルミズィーが伝え、後者が良好であると判定した「『責任者』とは『債務者(gh±rim)』である」とのハディースによって、その義務(Æaqq)は、両名の権利義務上(dhimmah)確定している(th±bit)ので、彼は両者のうちの欲する方に請求権を有する。al=Rau½, vol.5, p.100.

[423]免除(ibr±')、返済、債務引受(Æaw±lah)などによる。al=Rau½, vol.5, p.101.

[424]なぜならそれ(被保証人の債務)に附従するから。al=Rau½, vol.5, p.101. cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.459.

[425]もし(債権者が)保証人を免責しても(abr'a)、被保証人の責任(dhimmah)が免じられない。なぜならそれ(被保証人の責任)は基本であり、附従物(保証人の責任)の免責によっては免じられないから。またそれ(保証)が担保(wathµqah)だからでもある。債務の返済によらずして(保証人の責任が)それ(担保)から取消されても(inÆalla)、原債務者の責任がそれによっては免じられないのは、質(権設定契約)がその(債務の)返済によらずに取消された場合(も債務自体が免じられないこと)と同様である。al=Mughnµ, vol.7, p.87. cf., al=Rau½, vol.5, p.101, al=űshiyah, vol.5, p.101.

[426]なぜならその両者の同意は顧慮されないからであり、それゆえその両者の認識も同様である。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.102.

なぜならアブー・カターダは、債権者の同意も被保証人の(同意)もなしに、保証人となったが預言者はそれを許されたから。al=űshiyah, vol.5, p.102.

 「(葬儀の)礼拝を挙げてもらうために一人の男(の遺体)が連れて来られたところ、預言者 は『彼には債務があるか』と尋ねられ、人々が『はい、(銀)2ディーナールあります』と答えると、更に『彼はその返済分を遺したか』と尋ねられた。人々が『いいえ』と答えると、彼は後に下がられた。人々が『何ゆえ彼のたえに礼拝を挙げないのですか』と尋ねると、彼は『彼の責任(dhimmah)が質に入っている(marh¹nah)のに、私の礼拝が役立とうか。おまえたちの誰か、その保証人とならないか。』と言われた。するとアブー・カターダが立ち、『アッラーフの使徒よ、それは私が負います』と言った。そこで預言者 は彼のために礼拝を挙げられた。」 (ハディース:アル=ブハーリー) al=Mughnµ, vol.7, p.71.

[427]なぜなら保証とは、義務(Æaqq)を自らに課す施し(tabarru‛)であるから、現物の施しと同様に、それには同意が顧慮される。al=Rau½, vol.5, p.102.

[428]それ(ラクダの荷)は(ラクダによって)相違があり、未知であるにも拘らず、「それ(盗品)を持参した者には、ラクダの荷(が報奨)である。そして私はその責任者(za‛µm)である。」(クルアーン12章72節)と至高者が仰せられているから。al=Rau½, vol.5, p.103.

[429] もしそれを商交渉し価格に合意したか、あるいは、それを自分の家族に同意するかどうか見せ、しなければ返却するために、商交渉した場合。もし商交渉もせず、価格も決めず、ただ自分の家族に見せるためだけに持ち去ったのなら保証は受けない。al=Rau½, vol.5, p.104.

[430]もしその商品に価値があればその代価、あるいは瑕疵があれば返却、もし傷物にして返した場合には賠償を保証することによって、あるいは売主にその(商品の)受渡し前に代価を保証するか、あるいは瑕疵が見つかった場合[買主に]、価値があった場合[売主に保証する]。それが必要であることから、それは有効となる。al=Rau½, vol.5, p.105.

 「納品証(‛uhdah)」とは俗語(‛urf)では「入手(darak)」、「代価の保証」を意味するが、国語学者の許では「購入証書(­akk bi-ibtiy±‛)」である。つまりそれに代価が記されているのである。またそれは彼が保証するところの代価(自体)を指すこともある。al=űshiyah, vol.5, p.104.

[431]寄託物(wadµ‛ah)、会社の資金、賃借物など。なぜならそれらはその占有者(­±Æib yad)によっても保証されていないから、その保証人も同様なのである。al=Rau½, vol.5, p.106.

[432]つまり故意の踰越があった(ta‛add±)か、自分の行為によって損失を与えた場合」 al=űshiyah, vol.5, p.106.

[433]なぜならこの場合には、侵奪物の場合と同じくそれ(信託物)はその占有者の保証となるからである。al=Rau½, vol.5, p.7.

[434](連行保証とは)管財能力者(rashµd)が、債務者を債権者の許に連行することを自らに課すことである。al=Rau½, vol.5, p.108.

[435]それ(自体)か、その代替物を返却すべき寄託物など。al=Rau½, vol.5, p.108.

[436] 「彼は言った。『あなたがたが彼を私の許に連れてくるか、さもなければ八方塞がりの窮地に立たされる、とアッラーフに対して宣誓しない限り、私はあなたがたを放免しない』」 (クルアーン12章66節) al=Salsabµl, vol.2, p.112.

 「返済するか、連行引き受け人(Æamµl)を連れてくるまではと、債務者を拘禁している男に対し、預言者は『私が連れて来よう(aÆmilu)』と言われた」 (ハディース:アブー・ダーウード) al=űshiyah, vol.5, p.108.

[437] 「姦通罪のようにアッラーフの(権利に関わるハッド刑)であれ、誣告罪のように人間の(権利に関わるハッド刑)であれ、アムル・ブン・シュアイブが彼の父、祖父を介して伝える教友まで溯るハディース『ハッド刑には連行保証(kaf±lah)はない』 (ハディース:アル=バイハキー) al=Rau½, vol.5, p.110, al=űshiyah, vol.5, p.110.

なぜなら犯人以外からはその(刑の)執行が不可能だから。al=Rau½, vol.5, p.110.

なぜならそれは連行保証人に対しては執行できない義務(Æaqq)であるから。al=űshiyah, vol.5, p.110.

[438]なぜなら彼の同意がない限り、そもそもその義務(Æaqq)は彼に課されないから。al=Rau½, vol.5, p.111, al=Mu‛tamad, vol.1, p.460.

[439]連帯保証に準ずる。al=Rau½, vol.5, p.111. (注424)参照。 cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.461.

[440]なぜなら彼には連行が免除されるから。al=Rau½, vol.5, p.112, al=Mubdi‛, vol.4, p.266.

[441]その毀損は被連行人の死亡に準ずるから。al=Rau½, vol.5, p.112, al=Mubdi‛, vol.4, p.266.

[442] 「もし生存しているにもかかわらずその被連行人を連行できないか、彼が失踪してしまったか、連行可能期限を超過した場合には、免責を特約していない限り、(連行保証人が)彼(被連行人)の債務を保証する。」 al=Rau½, vol.5, p.113. cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.461.

[443] それは財(m±l)の権利義務の主体(dhimmah)から他の権利義務の主体への移転である。そしてそれは以下の預言者の言葉により、スンナとイジュマーゥによって定められている。「富者の(返済)繰延は不正である。それゆえお前たちの誰でも富裕者に肩代りされるなら(utba‛u)、肩代りされなさい」 - 別のテキストでは、「富裕者にその債務を引き受けてもられえる者は(aƱla bi-)引き受けてもらいなさい」(ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム、マーリク、アフマド) また総論において、その合法性にはイジュマーゥが成立している。 al=Mu‛tamad, vol.1, p.462.

  「債務引受(Æaw±lah)の定義(ta‛rµf)は、(1)旧債務者(muƵl)、(2)新債務者(muƱl ‛alai-hi)、(3)債務(muƱl bi-hi)、(4)文言、即ち債務引受の言葉である」 al=Salsabµl, vol.2, p.114.

債務引受の有効性の条件は、al=Muqni‛では(1)確定した(mustaqirr)債務であること、(2)両債務(新債務と旧債務)の一致、(3)旧債務者の同意の3つ、Dalµl al=º±libでは(1)両債務の一致、(2)両債務の双方の額の認識、(3)第三債務財(m±l muƱl ‛alai-hi)の確定、(4)第三債務財が先物売買の有効な品であること、(5)旧債務者の同意の5つ、al=Salsabµlでは(1)旧債務者の同意、(2)旧債務者が能力者であること、(3)両債務の一致、(4)両債務の双方の額の認識、(5)第三債務財(m±l muƱl ‛alai-hi)の確定、(6)第三債務財(m±l muƱl ‛alai-hi)が嵩、重さ、個数、長さなどで計量されるもの等のように客観的に評価可能であること、の6つである。 cf., al=Mubdi‛, vol.4, p271-272, al=Mu‛tamad, vol.1, pp.462-463, al=Salsabµl, vol.2, p.114.

muƵlはmadµn(債務引受人、旧債務者)、muƱlはmuÆt±l、Æawµl、rabb al=dain、 d±'in(被債務引受人、債権者)、muƱl ‛alai-hiはmuÆt±l ‛alai-hi、alladhµ iltazama al=dain al=muƱl(新債務者)とも呼ばれる。また新債務者が旧債務者に対して有する債務(dain li-al=muƵl ‛al± al=muƱl ‛alai-hi)と区別し、旧債務者が債権者に対して負う原債務(muƱl bi-hi)を(muÆt±l bi-hi)、(al=dain alladhµ li-al=muƱl ‛al± al=muƵl)とも呼ぶ。 cf., Wahbah al=ZuÆailµ, al=Fiqh al=Isl±mµ wa-Adillatu-hu, vol.5, p.165,

[444]それは新債務者に対する債務の無条件の賦課(ilz±m)を帰結する。確定して(mustaqirr)いないものとは、解消の可能性のあるもの(‛ur½ah li-suq¹»)であり、従って自己身請契約、先物売買の財、床入り前の婚資、取消期間中の代価などによっては有効ではない。 al=Rau½, vol.5, p.116.

[445]al=Mu‛tamadでは第三債務財(m±l muƱl ‛alai-hi)の確定は条件だが、原債務財(m±l muƱl bi-hi)の確定は違う、との表現になっている。cf., al=Mu‛tamad, vol.1,

p.463.

もし自己身請契約奴隷が主人に(対する債務について)、あるいは夫が妻に(対する債務について)債務引受を行えば(aƱla)、それは有効である。というのは彼にはその受渡があり得るが(la-hu taslµm-hu)、その債務引受は、その受渡の代わりとなるからである。 al=Rau½, vol.5, p.117.

 自己身請契約の(支払い)財について(bi-m±l kit±bah)の債務引受は有効であり、それは受渡(qab½)の代わりとなるので、(その債務引受により)自己身請契約奴隷の責任は免じられる(bari'at)。・・・中略・・・夫が妻に彼女の婚資について(bi)、確定したもの(債務) (mustaqirr)による債務引受を行えば、たとえ床入り前でも有効である。なぜなら原債務(muƱl bi-hi)の確定は条件となっていないからである。また買主が売主に対して、商談の場と附款の取消期間中に、その代価について(bi)債務引受を行えば有効であり、同様に雇用者(musta'jir)の用役提供終了前の賃料(ujrah)について(bi)の他の(債務)によっての債務引受もである。 al=űshiyah, vol.5, p.117.

[446]ディーナール(金)とディーナール、ディルハム(銀)とディルハムのように。それゆえ金の債務を負う者に、銀について債務引受を行う、あるいはその逆を行っても有効ではない。 al=Rau½, vol.5, pp.117-118.

[447]たとえば良品と良品、鋳造品とその等質品など。al=Rau½, vol.5, p.119.

[448]つまり満期か、あるいは同一期間の期限付であるか。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.119.

[449]それゆえ5(の債務)について6(の債務)によっては有効でない。al=Rau½, vol.5, p.119.

[450]たとえば10(の債務)のうちの5について5(の債務)によって債務引受するか、5(の債務)について10(の債務)のうちの5によって債務引受すれば、債務引受の成立した部分が一致するため、それは有効であり、残余はそのままその(元の)担い手のものである。al=Rau½, vol.5, p.119.

[451]債務引受(契約行為)のみによって。それゆえその[新債務者(muƱl ‛alai-hi)からの]債務(Æaqq)の返済が可能であれ、(返済)繰延、破産、死亡などにより不可能であれ、債権者(muÆt±l)はその債務引受申請者に対して返済請求権を全く有さない。もし債権者(muƱl、muÆt±l)と新債務者(muƱl ‛alai-hi)が、債務の性状と額の値上げあるいは値下げ、あるいはその期限の繰上げか繰延べ、あるいはその代替(品)に合意すれば、それは許される。al=Rau½, vol.5, pp.119-120.

[452]なぜならば旧債務者には自分自身によってであれ、代理人によってであれ、債権を取り立てる権利があるため、債権者は受渡における彼自身の代行者となり、従って新債務者には彼への支払いが課される」 al=Rau½, vol.5, p.121.

[453]「富者の(返済)繰延は不正である。それゆえお前たちの誰でも富裕者に肩代りされるなら(utba‛u)、肩代りされなさい」(ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム) - 別のテキストでは「彼の富裕者に対する債権(Æaqq)を引受(aƱla bi-)たい者は引受なさい」(ハディース:アフマド、アル=バイハキー) ibid., vol.5, p.122, al=Salsabµl, vol.2, p.115.

アル=ザルカシー(d.772)によると、「富裕者(malµ')」とは、その財産、その言葉、その身体によって、つまり「その財産」、即ち、返済能力、「遅らせない」との「その言葉」、為政者(Ʊkim)の許への彼の出頭可能性によって、「可能である者(q±dir)」のことである。al=Rau½, vol.5, pp.122-123.

[454]なぜならば破産は瑕疵であり、それに同意していなかったからであり、それゆえ瑕疵ある商品の場合と同様に返還請求の権利があるのである。al=Rau½, vol.5, p.123.

なぜなら預言者はただ富裕者に債務引受が行われた場合にのみ、債務引受の承認を命じられたからである。al=Mughnµ, vol.7, p.62. (注451)参照。

[455] 買主が売主にそれ(代価)について(bi)、自分に対して債務がある相手に対して、債務を移転する(aƱla)ことによって。al=Rau½, vol.5, p.124.

 つまり買主が、その商品代価(と相殺)で、第三者に対する債権を売主に譲渡し、その第三者が買主に代わって代価を売主に払う。

[456] 売主が自分に対する債権者(madµn-hu)に、その代価について(bi)、買主に対して(‛al±)、債務を引受けさせる(aƱla)ことによって。al=Rau½, vol.5, p.124.

[457]商品が、第三者が権利を有するもの(mustaÆaqq)、自由人、葡萄酒などであることが判明して。al=Rau½, vol.5, p.124.

[458]債務引受は代価に対する分枝(far‛)であるから、元物 (a­l)(代価)の無効によってその分枝も無効となる。自分の債務を引受けてもらう(Æaw±latu-hu)場合には、買主は自分に対して債務を負っていた者に、債務引受(Æaw±lah ‛alai)の場合には、新債務者(muƱl ‛alai-hi)(売主が自分が負っている債務を、買主が代価を売主の代わりにその相手に払うことで相殺した相手)に(債務)履行を請求し、売主には(代価の返還を請求)しない。al=Mubdi‛, vol.4, p.274.

[459]相互解除(taq±yul)や瑕疵による取消などによって。al=Rau½, vol.5, p.125.

[460]なぜなら売買契約は消滅せず(lam yartafi‛)、それゆえ代価は消滅しないので、従って債務引受も無効とならない。al=Rau½, vol.5, p.125.

[461]前者では売主が、買主がそれを債務引受申請した相手(man aƱla-hu al=mushtarµ ‛alai-hi)に対して債務引受することができ、後者の場合には買主は債務引受者に、売主について債務引受できる。 al=Rau½, vol.5, p.125.

前者は、買主が売主に、自分(買主)が債権を有している者について債務引受申請した場合。それは買主が債務引受させた者に対する彼(買主)の債務が確定している(thub¹t)からであり、他の確定(mustaqirr)した債務の場合と同じ。al=űshiyah, vol.5, p.125.

 後者は、売主が買主に対して、自分(売主)の債務の債務引受を申請した場合で、彼(売主)に対してそれ(債務)が確定しているから。たとえば甲に1000(の債務)を乙に対して債務引受(させると)申請し、更に乙が彼(甲)にそれ(1000の債務)を丙に対して債務引受(させると)申請しても有効であり、また甲が乙に、自分(甲)の責任下にあって確定しているもの(債務)によって(代わりに)丙に対して債務引受(させると)申請した場合も同様である。al=űshiyah, vol.5, pp.125-126.cf., al=Salsabµl, vol.2, p.115, al=Mubdi‛, vol.4, p.275.

[462] (被告が)「某を私にくれるという条件で」あるいは、「某を私にくれる、ということで」、あるいは「代わりに某を私にくれる、ということで(‛al± 'an)」、と言うことによって。その場合は(和解は)有効ではない。というのはそれは交換(mu‛±wa½ah)につながるからである。 al=Rau½, vol.5, p.131.

 「和解(­ulÆ)」は、(1)ムスリムと(異教徒の)敵国人(ahl Æarb)の間の和解、(2)官軍(ahl  adl)と賊軍(ahl baghy)の間の和解、(3)不仲な夫妻の間の和解、(4)財貨(m±l)以外についての争議者間の和解、(5)財貨についての争議者間の和解、の5つに分類されるが、本章で論じられるのは、(5)財貨についての争議者間の和解、である。(5)財貨についての争議者間の和解、は更に(a)(被告が訴えを)認めた場合(iqr±r)の和解、(b)(訴えを)否認した場合(ink±r)の和解、の2種類に下位分類される。 cf., al=Mu‛tamad, vol.1, p.465, al=Salsabµl, vol.2, pp.116-117.

更に(被告が訴えを)認めた場合(iqr±r)の和解、は 債務と同種(jins al=Æaqq)の和解、と 異種による債務の和解[代償和解(mu‛±wa½ah)]、に下位分類される。 cf., al=Muqni‛(in al=Mubdi‛), vol.4, p.278,282.

[463]自己身請契約奴隷、寄進物件管理人、未成年や狂人の後見人など。なぜならそれ(和解)は寄贈であるが、これらの者はそれを所有しているわけではないから。 al=Rau½, vol.5, p.133.

[464]なぜならば人は自分の権利の一部を返還請求することを妨げられないのと同様に、その一部を放棄することも妨げれれないから。というのも預言者はジャービルに、彼(借主)に(債務の半分を)免ずるように言われたからである(ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム、アフマド)。al=Rau½, vol.5, p.130, al=Mu‛tamad, vol.1, p.466.

 「和解は良いことである」 (クルアーン4章128節)

 「ムスリムの間での和解は許されている。ただしハラール(許されたもの)をハラーム(禁じられたもの)とするか、ハラームをハラールとする和解を除く。」 (ハディース:アル=ティルミズィー、イブン・マージャ、アル=ダーラクトゥニー、アル=バイハキー), al=Mu‛tamad, vol.1, p.465.

[465]なぜならば(免除分については)好意から免除したのであるから、その有効性に問題はないからである。しかし満期の債務(Ʊll)は延長されないので、延長は有効ではない。al=Rau½, vol.5, p.133.

満期の債務(Ʊll)は延長されない。なぜならそれは約束だから。al=Mubdi‛, vol.4, p.280.

[466]預言者は期限前のもの('±jil)を前払い(‛±jil)で売ることを禁じられた。曰く「期限前のものを即金で」とはお前がある男に1000ディルハムの貸しがある時、彼が「500(ディルハム)を前払いするから、残額を帳消しにせよ」と言うことである。」(ハディース:アル=バイハキー) al=Salsabµl, vol.2, pp.117-118.

[467]満期のものを一部を延期することで和解することによって。al=Rau½, vol.5, p.135.

[468]なぜなら彼(借主)と自分(貸主)の所有物について自分(貸主)の所有物、あるいは用役によって和解したからである。もしそうしたとすればそれは好意の贈与(tabarru‛)であるから好きなときに相手を立ち退かせる(ことができる)。もし和解によってそれ(居住、増築)が義務になったと信じて和解としてそれを行ったなら、彼(貸主)にその住んだ分の家賃を請求し、彼(貸主)の占有する家を取り戻す。なぜなら彼(貸主)はそれ(家)を無効な契約で入手したのであるから。al=Rau½, vol.5, p.136.

[469]なぜならばそれはハラーム(禁止事項)をハラール(合法事項)とする和解であるから。というのは代償を払っての、人の奴隷化、女性の自己犠牲(badhl al=mar'ah nafs-h±)は許されないからである。al=Rau½, vol.5, p.136.

[470]奴隷であると訴えられた被告(mudda‛± ‛alai-hi)と妻であると訴えられた女性の被告(mudda‛± ‛alai-hi)。al=Rau½, vol.5, p.137.

[471]なぜなら(原告が)代償を得て自分の奴隷を解放すること、自分の妻を離縁することは許されているから。al=Rau½, vol.5, p.137.

[472]なぜなら彼が否認することを禁じられている真実を認めたのであるから。al=Rau½, vol.5, p.138.

[473]なぜなら彼には自分にとって義務である真実を認める義務があったのであるから、それ(単なる義務の履行)に対して代償を取ることは許されていないからである。al=Rau½, vol.5, p.138.

[474](被告が)否認した場合の和解。al=Rau½, vol.5, p.142.

[475] 「ムスリムの間での和解は許されている。ただしハラール(合法事項)をハラーム(禁止事項)とするか、ハラームをハラールとする和解を除く。」 (ハディース:アブー・ダーウード、アル=ティルミズィー)al=Rau½, vol.5, p.142.

[476]原告はその[訴え]の正当性を信じて、自分に確証された自分の権利の代償としてそれを取る。al=MuÔtamad, vol.1, p.468.

なぜなら彼はそれを自分の私産の代償と信ずるのであるから、彼には自分の信念の規定が課されるのである。al=Rau½, vol.5, p.143.

[477]なぜならそれは売買だから。al=Rau½, vol.5, p.143.

それゆえ売買の諸規定が適用される。al=űshiyah, vol.5, p.143.

[478]否認者は訴えが虚偽であると信じながらも、自分の(否認の)宣誓(yamµn)を贖い(iftid±')、訴訟から我が身を放免すために、財貨を支払ったなら。al=Mu‛tamad, vol.1, p.468.

権利(Æaqq)と信ずるところのものの代償としてではなく、自分の(否認の)宣誓を(財貨を払うことで)贖い、自分から害悪[訴訟費用の出費、出廷の手間]を取り除くために、財貨を払ったのであるから。al=Rau½, vol.5, p.144.

[479]それは真相における判断であり、我々にとっての(現世の)外観(ñhir)においては有効である。というのは我々は事の真相を知らないからである。al=űshiyah, vol.5, p.145.

[480]「あなたがたの間で自分たちの財産を不当に貪ってはならない」(クルアーン2章188節、4章29節) al=Salsabµl, vol.2, p.119.

[481]なぜならそれは財貨(m±l)でも、それ(財貨)に還元される(yu'auwal)ものでもないから。 al=Rau½, vol.5, p.146.

 「ただしハラール(合法事項)をハラーム(禁止事項)とするか、ハラームをハラールとする和解を除く。」 (ハディース:アブー・ダーウード、アル=ティルミズィー) al=Salsabµl, vol.2, p.120,(注473)参照。

[482]及び取消権。なぜならその双方ともに財貨の利得のために定められたのではないから。」 al=Rau½, vol.5, p.147.

[483]なぜならハラームにおける和解か、それを避けることにおける和解のどちらかになるが、(どちらにしても)その代償を取ることは許されないから。al=űshiyah, vol.5, p.147.

[484]もし(原告が)自発的同意によってそれ(先買権)を放棄することで、それについて和解すれば。そして[和解の無効により]代償は返却する。al=Rau½, vol.5, p.147.

[485] 固定刑については消滅説と非消滅説が対立する。

 「それ(誣告罪求刑権)が彼(被告自身)の権利であるとの考え方に立てば(ハッド刑は)消滅するが、それがアッラーフの権利であるとの考え方立てば消滅しない」 al=űshiyah, vol.5, p.147, al=Mubdi‛,  vol.4, p.291.

[486]そして(空間の所有者が)彼(木の所有者に)にその撤去を請求したならば。al=Rau½, vol.5, p.149.

[487]義務として。それを伐採するか、別の方向に捻じ曲げるかによって。al=Rau½, vol.5, p.149.

[488]なぜならばそれはそれ(空間)からの撤去が義務であるところの彼(空間の所有者)の所有権に基づく撤去だからであり、為政者の裁定を必要としないが、それが彼(木の枝の所有者)の行為によるものでもないので、その(木の枝の)所有者が撤去を強制されることもない。空間の所有者がそれを矯めることができるにもかかわらずそれを毀滅すれば、彼はそれを賠償する。al=űshiyah, vol.5, p.150.

[489]それには所有者が特定されておらず、それには通行人に害が無いから。al=Rau½, vol.5, p.151.

[490] なぜならばそれは非公道の場合と同じく、他人の財産におけるその許可なしの処分にあたるからである。それが通行人に害が有るか無いかには関わらない。なぜなら現時点において無害でも、将来害が生ずるかもしれないからである。またイマーム(カリフ)の許可の有無にも関わらない。なぜなら彼(イマーム)には、ムスリムたちが福利を有する財については許可する権限がないからである。特に将来的に彼らに害が生ずる可能性がある場合には。なお(ハンバリー派)学説では、屋台を除いて、害がない場合には、イマームかその代理人の許可があればそれらは許される。なぜなら彼(イマーム)はムスリムたちの代理であり、彼の許可は彼ら(ムスリムたち)の許可に準ずるからである。al=Mubdi‛,  vol.4, p.295.

[491]許可説も有力。Cf., al-Salsabµl, vol.2, p.121, al-Fiqh al-Åanbalµ al-Muyassar, vol.2, p.369.

以下のように伝えられる(アフマド、バイハキー)。

ウマル(第二代カリフ)はアッバースの家を通りかかったが、彼は道に樋口を設けていた。そこで彼(ウマル)はそれを撤去した。すると(アッバース)は言った。「あなたはアッラーの使徒(SS)が手ずから設けられた樋口を撤去した」そこでウマルは「私の背中に乗ってしか、それを再建させはしない」と言い、背を屈め、彼(アッバース)は彼(ウマル)の背に上って、それを再建した。al=Mubdi‛,  vol.4, p.295, cf., al-Fiqh al-Åanbalµ al-Muyassar, vol.2, p.369.

[492] なぜならその不許可は、その権利者の権限だから。もし彼(権利者)がその(不許可の権限)放棄に同意するなら許される。・・・中略・・・

自分の所有物であっても、その隣人に害を及ぼす風呂(煙で)、水車(振動で)、釜(煙で)などを新設することは禁じられている。al=Rau½, vol.5, p.155.

「加害も相互加害もいけない」との有名なハディース(アフマド:注500参照)の伝承による。それは宗教の原則中の原則であり、隣人であるとないとを問わず、いかなる性格であれ相互加害(½ir±r)の禁止を示している。隣人の権利は大きいので、隣人の権利についてはより重大なのである。al=űshiyah, vol.5, p.155.

[493]「隣人はその隣人に自分の壁に木材を置くのを妨げてはならない」(ハデイース:アル=ブハーリー、ムスリム)al=Rau½, vol.5, pp.156-157.

[494]類推(キヤース)がそれを帰結するから。隣人に関しては伝承によりそれが留保されるが、それ以外については類推の帰結が継続する。al=Mubdi‛, vol.4, p.300,

[495] 「加害も相互加害もいけない」との預言者の言葉による(ハディース:アフマド)(注500参照)。もし拒めば、為政者は彼の財産を取り、その(修繕の)ために費やす。al=Rau½, vol.5, p.159.

[496] もし修繕を必要とすれば。共有者は修繕を妨げてはならない。もし(共有者の一方が修繕を)行っても、水は(依然、両共有者の)共有となる。al=Rau½, vol.5, pp.159-160.

[497] 語源的には、「制限」、「阻止」であり、それゆえ「禁止事項」、「理性」がそう名づけられる。シャリーア上は、人にその財産の処分を禁ずること。それには破産者に対する場合のように他人の権利のための禁治産と、小児の権利のためなどのようなその当人のための禁治産がある。al=Rau½, vol.5, p.162.

それで禁止事項は、それが禁じられているゆえに、「阻止(Æijr)」と名づけられる。例えば至高者の御言葉「彼らは『阻止された阻止だ(Æijran maÆjūran)』」(25章2節)。つまり「禁止された禁止事項(Æar±man muÆarraman)」。またそれで理性も、その持ち主に醜悪でその結果が有害なことを行うことを妨げるので「自制」と呼ばれる。たとえば至高者の御言葉「それには自制の所有者への誓いがあるではないか」(クルアーン第89章5節)。al=űshiyah, vol.5, p.162.

破産の禁治産の主要規定は以下の4つに纏められる。

1.破産者の財には債権者の権利が関わる。

2.自分が売った物を破産者の許でみつけた者は、それに対しては他の者(債務者)より優先権を持つ。

3.為政者は破産者の財を売却し、その代金を分配する。

4.破産者への請求権の停止。

Cf., al=MuniÔ(in al=Mubdi‛), vol.4, pp.311, 313, 322,329, al-Fiqh al-Åanbalµ al-Muyassar, vol.2, pp.376-378.

[498] 「もし困窮者であれば楽になるまで猶予」(クルアーン2章280節)

[499] 多くの債務を抱えた債務者についての預言者の言葉「お前たちが見出したものを取れ。お前たちにはそれ以外の権利はない」(ムスリム、アブー・ダーウード、アル=ナサーイー、イブン・マージャ、アフマド)により、その監禁、拘束は禁じられる。なぜなら監禁、拘束は、その困窮の証明、あるいはその債務の返済のためでしかないが、既に困窮は証明され、返済は不可能だからである。al=űshiyah, vol.5, pp.163-164. cf., al-Mughnµ, vol.6, pp.578, 585.

[500] つまり「金持ちが返済を遅らせるのは不正である」とのハディース(アル=ブハーリー)により、為政者には、債権者の求めにより、彼(債務者)に(返済を)命じることが義務となる。al=Rau½, vol.5, p.166.

[501]「有産者の隠匿は、その非難と罰が許される」(ハディース:アフマド、アブー・ダーウード)al=Rau½, vol.5, p.168.

[502]「預言者はムアーズを禁治産とし、彼の債務のために彼の財産を売られた」(ハディース:ハーキム、バイハキー、ダーラクトゥニー) al-Fiqh al-Åanbalµ al-Muyassar, vol.2, p.374.

返済遅延による債務者への害を取り除くため。al=Rau½, vol.5, p.169.

「加害も相互加害もいけない」とのal=Musnadのハディース(アフマド)により、それには加害があるから。al-K±fµ, vol.2, p.189.

[503]なぜなら満期までは彼にはその返済が課されないから。al=Rau½, vol.5, p.169.

[504] 「アッラーの使徒はムアーズを禁治産とし、彼の財産を売却されたから」(ハデイース:アル=ハッラール)al=Rau½, vol.5,p.170.

[505] 人々が彼のせいで財産を失わないように、彼との取引が回避されるように。al-Mughnµ, vol.6, p.573.

[506] 禁治産の効果は4つ。

第一は、債務者たちの財産に対する権利への関係であり、それについての法的行為は全て有効ではない。

第二は、禁治産に関する規定で、その者(破産者)に売った、あるいは貸した物それ自体を見つけた場合は、その者がそれに最優先権を持つ。

「破産した男、あるいは破産した人の許で、自分の財物そのものを見つけた者は、それ以外の者より、その者に優先権を持つ」(ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム、アル=ティルミズィー、アフマド)

第三は、破産者に関わる規定で、為政者には彼の財産の分配が貸される。

第四は、禁治産に関する規定で、その請求権の消滅である。なぜなら至高者は「もし困窮者であれば楽になるまで猶予」(2章280節)と仰せであるが、「猶予」とは命令の意味の叙述文であるから。al-MuÔtamad, vol., 1, pp.479-482.

「もし禁治産となれば、それによって4つの規定が定まる。

1.債権者たちの彼(債務者)の財物に対する権利の帰属。2.彼(債務者)の自分の財物に対する法的行為の停止。3.彼(債務者)の許に自分の財物それ自体を見出した者は債権者たちの中で最優先権を持つ。4.為政者には彼(債務者)の財物を売却し、債権者たちに返済する権限がある。al-Mughnµ, vol.6, p.537.

[507] つまり、彼が自分の財産を追認しても有効とはならない。なぜなら債権者たちの権利は彼の財その物にかかっているのでそれに対する追認はたとえ自分の奴隷の解放であっても認められない。al=űshiyah, vol.5, p.171.

[508](売ったか貸したのが)禁治産の前で、それが元の状態であり、その価格の一部でも受け取っていないなら、以下のアブー・フライらの伝える預言者の言葉により、それに対して最優先権を持つ。

「破産者の許に自分のものを見出した者は、それに最優先権を持つ」(アル=ブハーリー、ムスリム)al=Rau½, vol.5,p.173.

[509] なぜならその状態を知らなかったことに罪は無いから。al=Rau½, vol.5, p.170.

その伝承(「破産者の許に自分のものを見出した者は、それに最優先権を持つ」)の一般性により。人間の状態は禁治産ではないから、それについて調べなかったことに懈怠は無い。

al=űshiyah, vol.5, p.173.

[510] 購買、保証など。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5,p.174.

[511] なぜなら彼は行為能力者であり、禁治産は彼の財にかかっているのであり、彼の帰責能力(dhimmah)にかかっているのではないから。

[512] 債権者たちの権利のため、禁治産の取消前には、彼に対する権利は彼の財には該当しないから。彼の禁治産の取消後は、障害がなくなるため、その請求が義務となる。それらの権利の保有者には、債権者との共有はない。なぜなら彼の破産を知ったうえで彼と取引した者は、延滞を了承していたのである、知らなかった者は懈怠だったからである。al=Mubdi‛, vol.4, p.312.

[513] その債権と同種のものでない破産者の財を適正価格、あるいはそれ以上で。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5,p.175.

同種の場合はその売却の必要は無く、為政者はただそれを配分する。al=űshiyah, vol.5, p.175.

[514] 即座に。なぜならそれが彼に対する禁治産の目的の達成であり、その延滞は滞納(ma»l)であり、それは不正だから。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5,p.176.

なぜなら預言者(ss)はムアーズを禁治産にされた時、彼の債務のために彼の財を売却し、その代金を債権者たちに分配されたから。al=űshiyah, vol.5, p.176.

[515] なぜなら期限は破産者の権利なので、他の諸権利と同様、彼の破産によっても消滅しない。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5,p.177.

[516] つまりもし遺族などが債権者たちに、債権の返済を確実にするところの、債権か遺産の少ない方を補填できるだけの質か、あるいは富裕な連行保証人を確約すれば。al=űshiyah, vol.5, p.177.

[517] なぜならば期限は死者の権利だったので、彼の諸権利と同様に、彼から相続される。しかし(遺族たちが)確約しなかった場合は、不利益が大きいため満期となる。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5,p.178.

遺族が居なかった場合も同様で、(債権が)失われないため。もし遺産がそれに十分にあるか債務者たちが共有するなら、債務者がそれを全て取る。満期で無かった代わりにその(債権の)うちの幾分なりとも削られることはない。al=űshiyah, vol.5, p.178.

[518]なぜならもし彼が(分配の)その場に居れば、彼ら(債権者たち)に参加していたのだから、(後で)現れても同様なのである。もし破産者に(債務の)残額があり、彼に手に職があれば、その返済のために働くことを強制される。al=Rau½, vol.5,p.179.

[519]なぜなら彼(為政者)の裁定によって確定するのであるから、彼の裁定によってしか消滅しない。al=Rau½, vol.5,p.180.

なぜなら彼の財産の消滅(の確定)は情報と調査を要し、それは為政者の任だからである。al=űshiyah, vol.5, p.180.

[520]「浪費者には汝らの富を与えるな」(クルアーン4章5節)al=űshiyah, vol.5, p.181.

[521]「孤児は結婚年齢に達するまで試み、それで彼らに分別があるとおまえたちが認めたなら、彼らに彼らの財産を渡せ」(クルアーン4章6節)al=űshiyah, vol.5, p.181. 

[522]財産においてであれ、帰責能力においてであれ、子供と愚か者などの取引は、(後見人の)許可を得る前は有効ではない。なぜなら彼らの取引には彼らの財産の損失があり、それは彼らに有害だからである。一方、狂人については、たとえ許可を得ていたとしても彼らの取引は有効ではない。 al=űshiyah, vol.5, p.182.

[523]破産者の場合と逆に、益は彼らに帰されるから。 al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5,p.181.

[524]彼らに対する禁治産は、その帰責能力(dhimmah)と財に共通で、為政者(の裁定)を要さない。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5,p.181.

帰責能力で無く財だけが禁治産となる破産者と異なる。彼らのは人々の知るところだから(為政者の裁定を要しない)。al=űshiyah, vol.5, p.181.

[525]もしまだそれが残っていれば。なぜならそれは自分(売主)の財であるから。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5,p.182.

彼ら(愚か者や子供)の取引は無効(f±sid)なので、それは彼(売主)の所有のままであるから。al=űshiyah, vol.5, p.182.

[526]なぜなら自分で同意して彼らにそれを引き渡したから。禁治産を知ってようと、知っていまいと、彼の懈怠であるから。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5,p.182.

[527]なぜなら被害者の懈怠によるのではないから。毀損においては、能力者も無能力者も等しい。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5,p.183.

もし彼らが犯した傷害に対して保証しなければ、彼らの横暴の被害が甚大になるからである。血の賠償は、加害者の親族(‘±qilah)が負担する。al=űshiyah, vol.5, p.183.

[528]なぜなら所有者の懈怠によるのではないから。毀損においては、能力者も無能力者も等しい。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5,p.183. 

[529]イブン・ウマルが言った。「私は14歳の時に、ウフドの戦いの日に、預言者に志願しましたが、彼は私に許可されなかった。そして15歳の時、塹壕の戦いに志願したところ、彼は私に許可されました。」(アル=ブハーリー、ムスリム)al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, pp.183-184. 

[530]サアド・ブン・ムアーズがクライザ族(の捕虜)について(戦闘員の)処刑と小児の隷属の裁定を下した時、彼らの下着を脱がせるように命じ、陰毛の生えた者は戦闘員、生えていない者は小児となった。預言者(ss)にその報が達すると、彼は「おまえは7つの天の上のアッラーの定めに合致した裁定を下した」と言われた。(アル=ブハーリー、ムスリム)al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.184.

[531]至高者の御言葉「おまえたちの子供たちが夢精に達した時には、彼らより前の者たちが許しを求めたように許しを求めさせよ」(クルアーン24章59節)により。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.185.

[532]イスラーム学者の多数説では「孤児は結婚年齢に達するまで試み、それで彼らに分別があるとおまえたちが認めたなら、彼らに彼らの財産を渡せ」(クルアーン4章6節)との至高者の御言葉により「判断力(rushd)」とは財産運用の適切さ(­al±Æ)である。al=Mubdi‛, vol.4, p.333.

アブー・ハニーファは以下のように述べる。25歳までは彼(孤児)にはその財産は引き渡されない。ただし彼が取引を行えば(ta­arrafa)、その取引は有効に確定する(nafadha)。そして25歳になれば、「孤児の財産には、彼が成年(ashudd)に達するまで、より良いことをもってのほか、近づいてはならない」(6章152節)との至高者の御言葉により、この者(25歳)はその成年に達し、独り立ちできるのであり、また彼は自由身分で、成人し(b±ligh)、理性を備え、責任能力を備えているので、判断力ある者(rashµd)として、禁治産にはされないので、彼の禁治産は解かれ、彼に自分の財産が引き渡される。al-Mughnµ, vol.6, pp.595-596.

[533]為政者による(判決を要さず)。なぜならばそれ(禁治産)はその(為政者の)裁定なしに確定するので、それはその裁定なしにその原因が消滅すれば消滅する。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.185.

[534] 「アッラーは、頭巾なしでは月経の女性の礼拝を嘉納し給わない」(ハディース:アル=ティルミズィー)との預言者(ss)の言葉による。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.186.

[535] なぜならば至高なるアッラーは男性と女性の精液によってのみ子供を創造することを慣例とし給うたからである。至高なるアッラーは仰せ給う。「人間に、何から創造されたか見さしめよ。迸る水から創造された。(男の)腰と(女の)肋骨の間から出る。」(クルアーン86章5-7節)al-Mughnµ, vol.6, p.600.

[536] クルアーンの節(4章5-6節)の字義から、愚か者、小児、狂人に対する禁治産は、たとえその禁治産者が老人になろうとも、前述の諸条件、即ち、成年、あるいは理性に判断力が伴う前には決して取消されない。al=űshiyah, vol.5, p.187.

[537] 2円のものを10円(で買わされる騙し売り)のような、とも言われる。その(欺罔かどうかの)基準は商慣習による。al=űshiyah, vol.5, p.188.

[538] 酒、楽器、賭博、禁じられた歌など。al=Rau½, vol.5, p.188, al=űshiyah, vol.5, p.188.

[539] つまり自分の財産を、合法的な歌や火遊びのようにたとえ許されていることであっても、無益なことに費やさないこと。なぜならそのようなことに財産を費やす者は浪費者とみなされるから。al=Rau½, vol.5, p.188, al=űshiyah, vol.5, p.188.

[540]「それで彼らに管財能力があるとおまえたちが認めたなら」(クルアーン4章6節)との至高者の御言葉についてのイブン・アッバースが「つまり、彼らの財産の運用の適切さのことである(­al±Æ fµ amw±li-him)」と述べているから。al=Rau½, vol.5, p.187.

[541]商人の子であれば既述のように売買を繰り返し行って騙されないことによって、管理職や書記の子であれば、部下の掌握、農民の子であれば、農業、専門技術者の子であればその専門技術、女性であれば主婦の仕事などによって。al=űshiyah, vol.5, p.188.

[542]「孤児は結婚年齢に達するまで試み、それで彼らに管財能力があるとおまえたちが認めたなら、彼らに彼らの財産を渡せ」(クルアーン4章6節)との至高者の御言葉によって。al=Rau½, vol.5, p.188.

[543]婚姻の後見に準ずる。彼の愛情が完全だから。al=Mubdi‛, vol.4, p.336.

「それゆえ、私(預言者ザカリーヤ)にあなたの御前から後見人(walµ)を授け給え」(クルアーン19章5節)との至高者の御言葉により、受贈者(父)の贈物(子)に対する後見権の定立はより相応しい。Cf., al=Mughnµ, vol.9, pp.355-356.

[544]なぜなら彼(父)の代行(n±Õib)なので、生前の彼の代理人(wakµl)に準ずるから。al=Mubdi‛, vol.4, p.336.

[545] なぜなら父の線での後見が消滅したので、婚姻の後見と同様に、為政者に決まる。なぜなら彼(為政者)は後見人のいない者の後見人だから。al=Mubdi‛, vol.4, p.336.

「スルタンは後見人のいない者の後見人である」(ハディース:アブー・ダーウード)al=Mughnµ, vol.9, p.361.

[546]「孤児の財産には、彼が成人に達するまで、より良いことをもってのほか、近づいてはならない」(6章152節)との至高者の御言葉による。愚か者、狂人もその(孤児の)意味の範疇に入る。al=Rau½, vol.5, p.191.

[547]孤児の後見人が彼(孤児)の財産で売買をした場合、その利益は全て孤児のものとなる。なぜならばそれは彼の財産の増加分だからである、特約が無い限り、他者はそれに権利を持たないが、後見人は自分自身と契約を結ぶことは出来ないから。al=Rau½, vol.5, p.191.

[548] なぜならアーイシャは(弟の)ムハンマド・ブン・アビー・バクルの財産で売買を行ったから(出典無記)。また後見人は彼(禁治産者)の利益になることについて彼の代行だから。al=Rau½, vol.5, p.192.

[549]「・・・貧困ならば良識に従って食べよ」(4章6節)との至高者の御言葉による。al=Rau½, vol.5, p.195.

[550] もし彼(後見人)の評定労賃が10ディルハムで彼の必要が15ディルハムであった場合、彼(後見人)は評定労賃(10ディルハム)しか得ない。逆の場合は逆になる。(評定労賃が15ディルハムで必要が10ディルハムなら必要分の10ディルハムのみを取る)al=űshiyah, vol.5, p.195.

[551]もし余裕が出来てもその償還は彼(後見人)には課されない。なぜならそれは彼の労働の対価であったからで、それにおいて彼(後見人)は賃労働者、匿名組合営業者に準ずるから。al=űshiyah, vol.5, p.196.

[552]後見人が「私はおまえに2年間扶養費を払った」と言い、(被後見人である子供が)「1年だった」と言えば、子供の言葉(証言)が[宣誓によって](法廷で)採用される。

なぜならば原状は父親の生存だから。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.197. al=űshiyah, vol.5, p.197.

[553]たとえば(後見人が)彼(被後見人)の不動産を売却し、両者(売却の必要があり、売り時でもあったこと)と主張し、(被後見人)がそれを否定した場合。

「好機(ghib»ah)」とは価格の3分の1以上の増額。al=Salsabµl, vol.2, p.130.

[554]及び(管理の)懈怠がなかったことを。なぜならば彼は受託者であり、原状は免責だから。al=Rau½, vol.5, p.198.

[555]管財能力を身につけた後の、彼(被後見人)への。なぜならば彼は受託者だから。al=Rau½, vol.5, p.198.

[556]その宣誓によって。al=Rau½, vol.5, p.196.

Cf., 「証拠(証人)は訴人に、宣誓は否認者に」(ハディース:アル=ブハーリー、アル=ティルミズィー、イブン・マージャ)al=Mughnµ, vol.6, p.587.

[557] 宣誓なしに。al=Rau½, vol.5, p.196.

[558]習慣と慣例に背かない限り。al=Rau½, vol.5, p.197. アフマドの伝える「ムスリムが良いと思うものは、アッラーの御許でも良い」とのイブン・マスウードの言葉による。al=űshiyah, vol.5, p.197.

また後見人の嘘が知られている場合を除く。al=Rau½, vol.5, p.197. 

[559] なぜならば人々は彼の取引で欺かれたから。al=űshiyah, vol.5, p.197.

[560] 彼が預かり物を取り、それを毀損した場合。al=Rau½, vol.5, p.200.

[561] その(奴隷の)主人は、例え彼を解放しても、その[奴隷の]価格か彼の債務の低いほうの価格での売却か、身請けのいずれかを選択する。al=Rau½, vol.5, p.200.

一読すると既述のもののうちで選択することになるが、それは真意ではない。なぜならばもし彼(奴隷)を解放してしまえば彼を引き渡すことはできなくなるから。解放前に彼に義務であったものが彼の負担義務となるのである。それはその(奴隷の)価格か、債務の少ない方である。売買と身請けの間での選択は、解放しなかった場合のことである。もし解放した場合は、彼の価格かその債務のいずれか少ない方で、彼を身請けする義務がある。なぜなら彼の解放によりその(奴隷の)身体(raqabah)は権利の所有者に移転されるから、解放しなかった場合と同様に、その価格以上の負担は課されないのである。それゆえもしその(奴隷の)身体に100の債務がかかっており、その価格が50でしかなければ、(主人には)50の負担しか課されない。al=űshiyah, vol.5, p.200.

代理の有効性には以下の5つの条件がある。

       法学専門用語としての代理と代理人の任命がこの5つの条件を満たすものであること。

       行為能力者であること。

       代理が可能な事項であること。

       代理人と本人が自分自身でそれが有効である者であること。

       代理が明記された事項(maÔūm)についてであること。al-Salsabµl, vol.2, p.132.

[562]「何々を為せ」、あるいは「私はお前にそれを行うことを許可する」など。al=Rau½, vol.5, p.205.

[563] ある物の代理の売買を委託して、1年後にそれを売買した、あるいは、ある者に1月後にその者を代理に頼むと言い、彼が承知した、と言う、など。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.205.

[564]預言者(ss)の代理人たちの承諾は実行によるものであり、それは彼による彼らの代理任命と時間差があった。al=Rau½, vol.5, p.205.

浄財の徴収や固定刑の執行など、一つならぬ伝承経路で流布しているように。al=űshiyah, vol.5, p.205.

[565]ある者がそれを自分で行うことが有効でないなら、その代行者はなおさらである。それゆえ将来自分が所有するであろうものの売買や、結婚を予定している女性との離婚に代理を立てても有効ではない。

[566]代理を立てることに害が無いから。al=űshiyah, vol.5, p.205.

[567]預言者は預言者は羊の購入にウルワ・ブン・アル=ジャウドを代理に立てられたが(ハディース:イブン・マージャ)(cf., al=Mughnµ, vol.6, p.295)、賃労働、消費貸借、匿名組合、債権放棄などのほかの全ての契約もその意味範疇に入るから。al=Rau½, vol.5, p.205.

[568]なぜなら契約成立に代理が許されるなら、その解消は尚更だから。al=Rau½, vol.5, p.208.

[569]無主荒蕪地の開墾など。なぜなら不特定の原因による財の所有であるので、売買と同じく許される。al=Rau½, vol.5, p.208.

[570] なぜなら不正な否むべき言葉だから。al=Rau½, vol.5, p.209, al=űshiyah, vol.5, p.205.

「母の背離婚」については、「おまえたちのうち妻たちを『おまえは、私にとって、私の母の背中のようである』と言うことによって遠ざけた者たち、彼女らは彼らの母親ではない」(クルアーン58章2節)参照。

[571]なぜなら誓言者、願をかけた者自身に関わるので、身体による崇拝行為に準ずるが、それにおける代行は有効でないから。al=űshiyah, vol.5, p.209.

[572] 喜捨、浄財、誓願、償いの分配など。なぜなら預言者(ss)は喜捨の徴収と分配のために彼の部下を遣わされていたから。(ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム)また既述のように大巡礼と小巡礼も。(中田考『イスラーム法の存立構造』ナカニシヤ出版2003年468-470頁参照)他方、礼拝、斎戒、汚れの浄めのような純粋に身体的な崇拝行為には、代理を立てることは許されない。なぜならばそれはそれが課される者の身体に関わるから。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, pp.210-211.

[573]「ウナイスよ、この男の妻の許に行け。もし(姦通を)自白すればその女を石打に処せ」との預言者の言葉による。彼女は自白し、彼は彼女に命じ、彼女は石打で処刑された。(ハディース:アル=ブハーリー、ムスリム)

al=Rau½, vol.5, p.211.

[574](代理を頼んだ者が)彼に代理を立てることを許可するか、あるいは「あなたが好きなようにして下さい」と言うことによって。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.213.

[575] 許される、という説も有力。特に、自分ではできない、あるいは自分には相応しくない仕事に関しては。Cf., al=űshiyah, vol.5, pp.212-213, al=Mubdi‛, vol.4, pp.360-361, al=MuÔtamad, vol.1, p.491.

[576] なぜなら代理を立てた者の側からは許可であり、代理人の側からは便宜供与であり、双方共に未確定(ghair l±zim)であり、どちらにも取消権があるから。al=Rau½, vol.5, p.214.

[577] またその慢性的狂気によっても。なぜなら代理は生命と理性に依拠しており、それらが消滅すればその有効性も消滅するから。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.214.

[578] 彼(代理人)がそれを知る前であっても。なぜならそれは契約の破棄であり、相手方の同意を要さず、彼の認識が無くとも有効であるから。離婚と同じである。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.215.

代理人が知る前に無効となるかどうかについては、有効説も有力。al=űshiyah, vol.5, p.215, al=Mubdi‛, vol.4, pp.365-366.

[579] 行為能力(ahlµyah al-ta­arruf)の消失による。破産による禁治産によっては(無効とは)ならない。なぜならそれによっては行為能力を喪失しないから。但し代理依頼者が禁治産となり、それ(代理)が彼(代理依頼者)の財産の現物にであった場合は無効となる。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.217.

[580] また父親、配偶者、解放予定奴隷など彼に有利な証言が受け入れられない者全て。なぜなら彼らについては最善の価格をつけようとの努力を怠りがちであり疑わしいから。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.218.

[581] なぜなら商慣行は、男と別人との間でであるので、代理もそれが適用される。またそれに(自分や子供との売買)は嫌疑がかかるから。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.217.

[582] なぜならば売買の基本は、対価(thaman)の取得、現金払い(Æulūl)であり、無限低に「通貨(naqd)」と言えば、その土地の通貨を意味するから。al=űshiyah, vol.5, p.219.

[583] 標準価格でそれ(売買)が有効な者は、それ(標準価格)以外ででも(その者の売買は)有効だから。al=Rau½, vol.5, p.220.

通常、騙されない範囲で。10分の1程度の、標準の誤差の範囲であれば、(代理依頼者)本人が価格を予め指定していたのでない限り、免責される。al=űshiyah, vol.5, p.220.

[584]なぜなら彼(代理人)の懈怠だから。al=Rau½, vol.5, p.220.

[585]なぜならそれは彼(本人)に利益を増すから。なぜならそれは本人が10で売るようにと代理に頼んだのをそれ以上の額で売ったのに準ずるから。al=Rau½, vol.5, p.222.

預言者はウルワ・ブン・アル=ジャウドに1ディーナールを持たせて、「それで彼のために供物 - あるいは羊1頭 - を買ってきなさい」と命じた。そこで彼(ウルワ)は彼(預言者)のために2頭を買い、1頭を1ディーナールで売り、彼の元に他の1頭を持参した。そこで彼(預言者)は彼(ウルワ)のために祝福を祈った。al=Mubdi‛, vol.4, p.372.

[586] たとえば、本人が「後払で10で売れ」、と言ったのに、即金で9で売る、あるいは10の即金で売って、その状態で代価の保全のために本人に害を与える場合、あるいは本人が「即金で10で買え」と言ったのに、後払で11で買った、あるいは害があるのに10の即金で買った場合、彼が本人と相違しているためその取引は有効にならない(l± yanfudhu)。al=Rau½, vol.5, p.222.

[587]但し本人に有害な取引であっても有効である、との説も有力。al=Rau½, vol.5, p.223.

[588]彼(代理)にはその(傷物の)返却の権利は無い。al=Rau½, vol.5, p.224.

彼(本人)に代わって彼の許可していないものを買ったことになるから。なぜなら無限定に売買と言えば、それは瑕疵の不在を要請しているからである。al=űshiyah, vol.5, p.224.

[589] なぜならば彼は本人の代行なので、彼にもその返済の権利がある。なぜならそれは彼(本人)の所有だから。al=Rau½, vol.5, p.225.

[590] 無条件に代理と言えば、それ(商品引渡し)を要請するから。al=Rau½, vol.5, p.226.

[591] (本人の代理人による)代金受け取り(の承認)を示す状況証拠(証人)。あるいは本人による(代理人の)その(代金の)受け取りの許可。たとえば市場か、代理人がそれ(代金)を受け取ららなければ代金を貰い損ねるような場所で、本人がいないところで何かを代理で売ることを委託したような場合は、それはその(代金の)受け取りの許可となり、それ(代金の受け取り)を怠れば、それを賠償する。なぜならば懈怠とみなされるから。

al=Rau½, vol.5, pp.226-227.

[592] 本人の許可が無い限り。なぜなら代金の受け取りに関しては信用のおけない者を販売の代理に立てることもありうるから。al=Rau½, vol.5, p.226.

[593] 商品の引渡しと同様に、その(購入の)仕上げ、その義務に属するから。al=Rau½, vol.5, p.226.

[594]売主が受け取りを拒む、あるいは現金を取りに行くなど。al=Rau½, vol.5, p.228.

[595]遅延による加害とそれを手放さなかった踰越による。al=Rau½, vol.5, p.228.

[596]たとえば代理人に商品を引き渡してはならない、との附款を課すなど。al=űshiyah, vol.5, p.228.

なぜなら至高なるアッラーはそれをお許しになっていないから。al=Rau½, vol.5, p.228.

[597]なぜならそれ(有効な売買)の代理は頼まれてはいないから。al=Rau½, vol.5, p.229.

[598]なぜならそれには彼(本人)の財産の贈与、妻の離婚、奴隷の解放などの全てが含まれるので、危険と害が大きいから。al=Rau½, vol.5, p.228.

なぜなら代理は、明記された行為についてしか有効でないから。al=űshiyah, vol.5, p.229.(注560)の代理の有効性の条件5参照。cf.,。al-Salsabµl, vol.2, p.132.

[599]その代価が(支払い)不可能なものを買うこともありうるから。al=űshiyah, vol.5, p.229.

[600]例えば「大麦」のように種類、価格を1ディルハム金貨、のように明言しない限り。al=űshiyah, vol.5, p.229.

[601]それにはリスクが甚大であるから。al=Rau½, vol.5, p.230.

[602] アル=バイハキーの伝えるところ、アブドゥッラー・ブン・ジャアファルは言った。「アリー・ブン・アビー・ターリブ(4代カリフ)は係争を嫌い、彼に係争が生じた時には、アキール・ブン・アビー・ターリブを代理に立て、アキールが老齢に達すると、私を代理人とした。」al-Salsabµl, vol.2, p.137.

[603]なぜならそれその(係争の代理の)許可は文言上も、慣習上もそれ(財貨受け取りの代理)を含まないから。なぜなら、(財貨の)受け取りについては承認しない者について、係争については(代理を)承認することはありうるから。al=Rau½, vol.5, p.230.

[604]つまり、受け取りの代理には係争(における代理)が(有効)。なぜならばそれ(係争)なしにはそれ(本人が権利を有する財貨の受け取り)を達成できないから、慣習法上、彼はそれ(係争)を許可されている。al=Rau½, vol.5, p.231.

[605]なぜなら彼はその代行者だから。al=Rau½, vol.5, p.231.

[606]なぜならそれを命じられおらず、慣習法もそれを要請しないから。al=Rau½, vol.5, p.231.

[607]彼にはその相続人からも受け取る権利がある。なぜなら代理は、条件なしにその(本人の)権利(を有する財貨)を受け取ることを要するから。al=Rau½, vol.5, p.231.

つまりザイドからもザイドの代理人からもザイドの相続人からも。なぜならそれは彼の権利であるから。al=űshiyah, vol.5, p.229.

[608](代理人が証人を立てずに)寄託して、受託者が否認した場合、証人を立てるのは無益だから。なぜなら受託者は返却と毀損において(裁判で)その証言が受け入れられるから。al=Rau½, vol.5, p.232.

つまり代理を頼んだ本人が、その保証を求めることに益が無いので、彼(代理)に懈怠の落ち度は無いから。もし寄託者が、代理人の信託物の返却を否認した場合、誓言を伴う代理人の証言が(裁判で)採用される。al=űshiyah, vol.5, p.232.

他方、債務返済の代理人は、本人が居ないところであって、証人を立てていなければ、債権者が(返済を)否認すれば賠償する。al=Rau½, vol.5, p.232.

[609] 代理人に賠償が課せられる事項、課せられない事項、証言が受け入れられる事項などについて。al=űshiyah, vol.5, p.232.

[610] なぜなら彼は占有と処分において所有者の代行であるから、彼の占有における毀損は、所有者の占有における毀損に準ずるから。al=Rau½, vol.5, p.233.

「受託者(muÕtamin)には賠償は課されない」(ハディース:アル=バイハキー、アル=ダーラクトゥニー)al=Salsabµl, vol.2, p.138.

[611]つまり、懈怠等の否認。al=Rau½, vol.5, p.234.

[612]なぜなら責任の不在が原状だから。al=Rau½, vol.5, p.234.

[613]債務のある者(アムル)が代理を証する者を認めたとしても。al=Rau½, vol.5, p.237.

[614]ザイドがその代理を否認する可能性があり、その場合彼(ザイド)には彼(アムル)への返還権があるから。al=Rau½, vol.5, p.237.

[615]つまりアムルは、ザイドからの代理を証する者を認めなかった場合も、誓言が課されない。al=űshiyah, vol.5, p.232.

[616] なぜならば彼は誓言拒否によって不利な判決を受けないので、彼に誓言を課すことは無益だから。al=Rau½, vol.5, p.237.

[617]代理を否認したザイドが、アムルに自分の権利の取立てなどの代理を委任しなかった、と(誓言する)。なぜならその(代理の)不在が原状だから。al=űshiyah, vol.5, p.238.

[618] つまりアムルがその債務をザイドに保証する。al=űshiyah, vol.5, p.238.

その場合、ザイドが彼(アムル)に返済請求をする。なぜなら彼(ザイド)の債権は彼(アムル)の帰責(fµ dhimmati-hi)されたままであるから。そしてアムルはその代理人に返還請求する。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.238.

[619] 証拠(証人)を示さない代理の自称者によって。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.238.

[620] それ(寄託物)を見つけたところで。なぜならそれは彼の所有権(のあるもの)それ自体であるから。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, pp.238-239.

つまりザイドの権利(を有する財貨)それ自体であり、それをアムルが権利のない者に引き渡したのだから。al=űshiyah, vol.5, p.239.

[621] なぜなら(寄託物などを)引き渡した者(受寄者アムル)は、[合法的な許可無く]引き渡したことによって賠償し、受け取った者(無権代理)は自分に権利のないものを受け取ったが故に(賠償する)。もし引き渡した者(受寄者アムル)に賠償させれば、たとえ[引き渡した者が]彼(受け取った者:代理人)を認めたとしても、受け取った者には請求しない。逆に受け取った者(代理人)に請求した場合は、引き渡した者(受寄者アムル)には請求しない。al=Rau½, vol.5, p.238.

[622]組合(sharikah)は、クルアーンとスンナと総括的にはイジュマーゥによって合法である。 至高者は仰せである。「共有者たちの多くは・・・」(38章24節)「共有者たち(khula»±Õ」とは「組合員たち(shurak±Õ)」のことである。またアブー・ダーウードの伝える神聖ハディースに「私(アッラー)は二人の組合員に対する3人目である」。その財産に禁じられたものと許されたものが混ざっているものとの協同は自粛すべきであり、禁じられたものが勝っているようなら(そうした者との協同は)禁じられている。al=űshiyah, vol.5, p.241.

[623]組合には(1)所有の組合と(2)契約の組合があり、契約の組合には5種ある。

[624]相続などにより二人以上で一軒の家のような不動産の所有権、あるいは二人以上に一人の奴隷の用益を遺贈するような二人以上への用益の確定。あるいは, vol.5, p.241. al=űshiyah, vol.5, p.241.

[625]売買などの。al=Rau½, vol.5, p.242.

[626]契約の会社。al=Rau½, vol.5, p.242.

[627]あるいはそれ以上。二人のムスリムか、両者の一方がムスリム。al=Rau½, vol.5, p.243.

つまり、一方がムスリムで、他方がマギ教徒や偶像崇拝者などの不信仰者の場合。自粛すべきであるが、両者の参加は有効である。al=űshiyah, vol.5, p.243.

取引の権限のない啓典の民の参加は自粛事項ではない。al=Rau½, vol.5, p.243.

[628] あるいは二人のうちの一人が働き、彼(働いた側)には彼(働いた側)の資金の利益以上の利益が属する。al=Rau½, vol.5, p.244.

それは、それが彼(働いた側)のパートナーの資金における彼の労働の対価における増加分となるようにである。al=űshiyah, vol.5, p.244.

もしそれ以下であれば、有効ではない。al=Rau½, vol.5, p.244.

つまり彼(働いた側)の資金の利益以下なら。その会社は有効ではない。なぜなら彼(働いていない側)が、自分の労働なしに自分のパートナーの資金の利益の一部を取ったことになるから。al=űshiyah, vol.5, p.243.

[629] 許可によって取引するので、代理に準ずる。契約のみによって両者の財産のどちらも、二人の間の共有となる。al=űshiyah, vol.5, p.243.

「至高なるアッラーフは仰せられる。『2人の組合員の一方が他方に裏切らない限り、私は2人の組合員の3人目である。しかり裏切りがあれば、私は2人の間から出て行く。』」(ハディース:アブー・ダーウード、アル=バイハキー)al=Salsabµl, vol.2, p.140.

[630] 金貨の中に一片の銀が混じっている場合のように。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.246.

なぜならそれは回避することが不可能だから。al=űshiyah, vol.5, p.246.

[631] なぜならその両者が財の評価基準、売買の代価であり、例え換金性があっても(n±fiq)、商品や補助貨幣(fulūs)であっては有効ではない。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.246.

但し金銀貨以外でも有効との説も有力。al=űshiyah, vol.5, p.246, al=MubdiÔ, vol.5, p.5.

[632] 「ムスリムは約款の上にある」(ハディース)Salsabµl, vol.2, p.141.

3分の1,4分の1など。なぜなら利益は、条件に応じて両者の権利となるから。al=Rau½, vol.5, p.247.

[633] 契約は有効で、利益配分は出資額に応ずる、との説も有力。al=űshiyah, vol.5, p.247.

[634] 「アッラーの使徒はリスク(gharar)を禁じられた」(ハディース:ムスリム、アル=ティルミズィー、アブー・ダーウード、イブン・マージャ、アルーナサーイー)al=Salsabµl, vol.2, p.141.

(ただ)「取り分がある」「分け前がある」(との約束)のような。あるいは「某氏と特約したのと同じで」との、それ(特約の内容)を知らないでの(特約の)ような。あるいは利益の3分の1より10ディルハム引いた額、のような。al=űshiyah, vol.5, p.248.

[635]自分がそれでは利益を得ない、あるいは相手が利益を得ない可能性があるから。al=űshiyah, vol.5, p.248.

[636]なぜならその特定されたものだけが利益をあげ他方があげないことも、その逆のことも在り得、その結果両者の一方だけが利益を得ることになることも有り得るが、それは組合の趣旨に反するから。al=Rau½, vol.5, p.248.

[637]それらについても労働者に対して、明示の(利益の)共有分の特定が必要視される。al=Rau½, vol.5, p.249.

[638] 計算される。毀損であれ、減価などによるのであれ同じ。al=Rau½, vol.5, p.249.

[639] 「ムスリムは約款の上にある」(ハディース)Salsabµl, vol.2, p.142.

なぜならば目的は利益であり、それは混合に依拠するわけではないから。al=Rau½, vol.5, p.250.

そして契約の源泉は労働であり、利益はその結果であり、財産は労働の付帯物であるが、その(労働の)混合は必要視されないから。al=űshiyah, vol.5, p.250.

[640] それゆえ一方はディーナール金貨を出資し、他方はディルハム銀貨を出資することが許される。そして分配の際には、双方とも自分の資本を取り戻し、その後に余剰を分配する。al=űshiyah, vol.5, p.250.

[641]これ(mu½±rabah)はイラク人の命名で、地上での売買のための旅を意味する地上の交易(½arb)に由来する。al=MuÔtamad, vol.1, p.500.

「他の者たちは地上を交易する」(クルアーン73章20節) al=Rau½, vol.5, p.253.

 これはイジュマーゥによって合法である。al=K±fµal=SharÆがそれ(イジュマーゥ)を伝えている。al=MuÔtamad, vol.1, p.500.

ムダーラバは(イスラーム以前の)無明時代に行われており、イスラームがそれを追認した。ウマル、ウスマーン、アリー、イブン・マスウード、イブン・アッバース、アブドゥッラー・ウマル、ジャービル・ブン・アブドゥッラー、ハキーム・ブン・ハッザームの9人の教友がそれを承認したことから、その合法性に異論はない。Salsabµl, vol.2, p.142.

[642]既述のようにその共有分の明示の一定分。もし「この資金をムダーラバで受け取れ」と言い、労働者の配分を述べなければ、利益は総て資本家の所有となり、損失も総て彼(資本家)の負担となり、労働者は彼の標準賃金が権利となる。al=Rau½, vol.5, p.254.

[643]なぜならばその両者への接合は単一の接合で優先がないので、平等を帰結する。al=Rau½, vol.5, p.255.

[644]なぜなら利益は両者の権利なので、二人の一方の取り分が算定されれば、残りは言葉の意味からして、他方に属することになるから。al=Rau½ al=Murbi‛, vol.5, p.256.

[645]多少にかかわらず。なぜならば彼(労働者)は労働によってそれ(特約分)に権利を有するからであるが、それは少ないこともあれば多いこともあるので、その取り分は約款によってのみ決定されるからである。資本家は違い、その資本によってその権利を得る。al=Rau½, vol.5, p.257.(資本家が権利を得るのは)約款によるのではない。それゆえ、もし(資本家が)自分の分け前について黙っていれば、彼には特約分が労働者のものとなった後の残額がその所有となる。al=űshiyah, vol.5, p.252.

[646]それはたとえば次の者の資本が多額であり、彼(労働者)の時間を取るような場合で、その最初の者の資本での売買が疎かになるから。al=űshiyah, vol.5, p.259.

[647] 第二の(資本の組合の)利益からの。al=Rau½, vol.5, p.259.

[648] (二つのムダーラバを行った労働者は)第二のムダーラバの資本家に利益のうちの彼(第二の資本家)の取り分を支払い、労働者の取り分を取り、(自分の労働者としての取り分を)第一のムダーラバの利益と合算し、その資本家と二人で特約した通りに分配する。al=űshiyah, vol.5, p.259.

つまり、資本家は分配を強要されない。なぜなら損失がないとは限らないのに、利益を彼に強制することになるから。また労働者も強制されない。なぜなら彼はそれ(支払い)が不可能な時に、彼が稼いだもの(の利益の分配)を彼に課すことにならないとは限らないから。al=űshiyah, vol.5, p.260.

[649]なぜなら権利は二人から離れず、利益は、資本の保護(wiq±yah)であるから。al=Rau½, vol.5, p.260.

[650]取引の前に毀損したならば、そのムダーラバは無効となる。al=Rau½, vol.5, p.260.

[651]つまり損失はその利益から補填され、労働者は、資本の全額保全の後でなければ何の権利もない。なぜならそれは一回のムダーラバであるから。al=űshiyah, vol.5, p.262.

[652]それは合法的である。というのは、その意味は、二人の双方の他方に対する売買における代理、代価についての連行保証(kaf±lah)であり、どちらも有効であり、それは害でなく益を含んでいるから。al=űshiyah, vol.5, p.265.

[653]二人で特約した通りに。al=Rau½, vol.5, p.265.

[654]なぜならばそれは代理と連行保証に基づくから。al=Å