FLEAT III国際研究大会の報告

同志社大学    北 尾 謙 治
同志社女子大学  北尾S.キャスリーン

はじめに

 FLEATは Foreign Language Education and Technology の略で、日本の LLA と北アメリカの International Association of Language Laboratories (IALL) の共催により、8月12-16日まで、カナダのビクトリアにあるビクトリア大学で行われました。今回は1981年の東京、1992年の中部に継ぐ3回目で、北アメリカでは最初の大会です。日本からの参加者100人以上を含む12カ国から約500人が参加しました。

 この大会の対象は、語学ラボの管理運営者、マルチメディア資料室関係者、語学教育者などで、工学を語学教育に利用して、語学教育やその研究に関係する人々です。英語以外の外国語も含まれ、日本語に関する研究発表も目立ちました。北アメリカでコンピュータラボの運営に従事している日本人や、日本語を教えている日本人も目立ちました。

 研究発表の多くは、コンピュータ関係で、自作や市販のソフト、ウエッブ,Eメールに関するものが圧倒的に多く、その他の工学的なものや純粋の語学教育も多少ありました。インターネットに関するものが多く、とくにウエッブに関するものが圧倒的に多くありました。多くの人々が、ウエッブをより高度に使用する試みをしているものが多かったと思います。以前のIALLの大会に参加した人たちの話では、インターネットに関する警戒心や倫理の問題も浮上してきたそうです。発表の多くは、ウエッブやソフトをどのように使用するかなどで、その使用した研究成果を発表するものは非常に少なかったように思います。

 展示はソニーなど大手のハード会社3社、ソフト会社が中、小数社、関連学会のLLA、IALLとEUROCALLなどがありました。

 その内容を日時を追って報告します。個々の発表の詳しい内容は、現在プロシーディングが作成されていますので、それをご参照ください。

ワークショップ (12日と13日)

 12日と13日は少人数の参加者を対象にした半日と1日のワークショップが行われました。3時間半か7時間、集中的にコンピュータに触れて、特定の経験を積めるように工夫されていました。参加者の多くは、コンピュータの知識の少ない者で、よい訓練の場になっていたようです。

 日本からの参加者は少なかったのですが、北アメリカの参加者の多くは、これを目当てに参加した人が多くいたようです。自分の仕事の訓練として参加し、ワークショップに参加することで、旅費を支給してもらった人が多くいたそうです。ワークショップはすべて予備登録がされ、登録できなかった人のために、担当者を増やして数を増したり、2度するなどの努力をされたそうです。日本人では、淡路先生がシュミューズ大学の講師をされていました。

 12日はウエッブ、マルチメディア、オーサリングプログラム、語学教育におけるEメールとインターネットの応用、文字のみによるバーチャルリアリティーのシュミューズ大学、ウエッブのフォームやフレームなどのワークショップが行われました。13日はデジタルオーディオラボ、画像によるバーチャルリアリティー、ジャバスクリプト、教材センターの運営、統計プログラム、LLの設計や運営、電子ファイルの作文の添削、リアルオーディオ、ジャバ、ショックウエーブ、アニメーションなど盛りだくさんにありました。

8月12日
 12日の午前中は、オーサリングプログラムのSuper Memoで、どのようなことができるか。どのような教材が作成できるかを体験するワークショップに参加しました。このプログラムはわずか15ドルほどで市販されていて、既にできあがった教材の販売も行われているそうです。これを利用して教材を作成した場合は、それを市販してもらうことや、多少の印税を払って、このプログラム付きの教材を販売することも可能だそうです。

 ドリルなどを作成するプログラムで、多肢選択、穴埋めなどの練習問題を作成し、それを利用して学習者が学習できるものです。1990年にミシンガン州立大学のTESOL夏期大学で体験した、オーサリングプロウグラムに似ていましたが、当時は文字のみの教材作成でしたが、今回は画像や音声も含めたマルチメディア教材が比較的簡単に作成できます。ただ、画像と音声は既に作成されたものもあるようですが、それをうまく利用して、練習問題を沢山作成するには、やはり相当の時間と労力が必要と思いました。ただ、慣れれば、比較的簡単に作成できる可能性はあると確信しました。

 午後はフォームとフレームの作成のワークショップでは、最初にその概念の説明がわずか数分ずつあり、後は用意されたフォームとフレームを利用して、自分の関心のあるウエッブページを作成して、その中に組み込む作業をしました。

 フォームは、用意された箱の中にチェックマークを入れたり、書き込んだりして、最後に点検をし、間違いをした場合は訂正を、よければ提出するようなもので、アンケートや申し込みによく利用されています。

 説明が簡単で、用意された資料が充分に理解できず、作業が中心で、講師も2人で、手助けの手が回らず、落ちこぼれた人が多くいました。しかし、一応理解すれば、後は時間をかけて、用意された資料を作り替えればよいのみですから、根気力のある人はできると思います。その資料のURLは、 http://web.uvic.ca/lancenrd/fleat3/です。是非一度試してください。

 夕方から、ブチャードガーデンを散策して、夕食を食べる催しに多くの人々が参加しました。非常に美しい所で、夜はライトもともり、非常に感嘆していたようです。私どもはドームで、大会プログラムを丹念に読んで、どのセションに参加するか計画を立てました。

8月13日
 13日の午前中は、ジャバスクリプトに関するワークショップに出席しました。現在のウエッブは、単に文字、画像や音声を入れて、一方的に発信するものでは、満足できない人々が増えて、もっと多角的でインターラクティブに利用しようとしています。そのために利用されているのが、ジャバ,CGIやジャバスクリプトです。これらを利用すれば、色々と面白いことができますが、それらを読めるバージョンの高いブラウザーが必要で、しかも、インターネットの情報交換を非常に遅くする欠点もあります。

 この3つの特徴や違いも説明がありましたが、大きな違いで、私たちに重要なことは、ジャバスクリプトのみが、ブラウザーのみでコントロールでき、サーバーにプログラムを設定したりする作業が必要ないことです。

 それで、ジャバスクリプトであれば、私たち素人でも利用可能です。これで、例えば練習問題集を作成し、学習者が実際にして、最後にボタンを押すと採点をして、その結果として、間違った問題の正解を示すこと、成績を教師にEメールで送ることなどができます。ただ、この操作は学習者のパソコン内で行われ、ジャバスクリプトに詳しい学習者であれば、正解を予め見ることもできます。それで、これでIDとパスワードを入れてから、ある資料を見たりするようにすることも可能ですが、セキュリティーは十分ではありません。

 午後は、ウエッブでどのようなことができるかを知ることができるワークショップに参加しました。リアルオーディオ、ジャバスクリプト、ジャバ、ショックウエーブ、アニメなどを見たり聴いたりして、現在のウエッブでどの程度のことができるかを体験しました。高度な技術を使用すれば、画面の中の車の中から、360度の景色を見ることも可能です。画面を区切って、ある部分を自動的にスクロールさせたり、色を変えたり、重要な所を飛び出して、大きくし、そこに説明を提示するなど色々なことができます。ショックウエーブ、アニメやリアルオーディオは簡単にプログラムが入手できるので、ニュースを聞いたり、アニメーションを作成するのも、私ども素人でも、比較的簡単にできます。このハンドアウトは http://web.uvic.ca/lancenrd/fleat3/にあります。

 これに参加して、将来のウエッブでどのようなことができるのか、おおよその推測ができるようになったと思います。

大会

 大会は13日のソニーのスポンサーのレセプションとディナーにより始まりました。日本からの参加者もこれには、ほぼ全員参加されたようで、羽鳥会長夫人の着物姿も見られました。大会の関係者の挨拶もありましたが、多くの人々が関与していたことがよく分かりました。

 この大会はソニーをはじめ、スポンサーが何社かあり、3日間の昼食と、コーヒーブレイクの飲物とスナック、午後の冷たい飲物などのサービスがありました。

8月14日
 3日間の大会は、全体会議で毎日始まりました。14日はノースウエスターン大学のロジャー・シャンク氏による講演でした。彼は、実際に学ぶことをせずに、知識をテストする教育内容に非常に批判的でした。人々は実際にすることにより学び、とくに失敗することで学び、失敗をして学んだことに基づいて、是正して学んで行くと説明しました。コンピュータは学習者に痛みを伴わずに失敗をして学ばせる可能性が高いことを強調しました。彼は彼の教育信念を生かしたコンピュータソフトをいくつか紹介しました。生物学のソフトでは、原因不明の病気がはやり、既に何人かが死んでいる、学生は専門医として登場し、どのようにしてその病気を扱い、患者を治療し、流行を止めるか、メディアや政治家にどのように対処するかなどの決定をくだす。決定に際しては、専門家と相談して情報を入手して行える。ソフトは、その決定に従って、どのようにことが進むかを示す。これにより、失敗した場合は、それにより学ぶようになった興味深いソフトでした。

 全体会議以外の分科会では、3つの発表が同時に行われる時間帯と5ー6の発表が同時に行われる時間帯がありました。

 私どものは前者で、全体集会の直後で多くの人々に参加して頂きました。インターネットの資料として利用価値が高いからか、既に知っている人々も多く来られた。ただ時間が25分で、充分に詳しく説明できなかったのが、多少心残りです。参加できなかった人は、 http://ilc2.doshisha.ac.jp/users/kkitao/online/を見て下さい。

 ウエッブやEメールを利用した通信教育も非常に関心の高い分野でした。

 宮崎国際大学で、如何にコンピュータとインターネットを自由に学生に使用させて、語学教育に役立てているかの紹介もありました。

 ウエッブの発達に伴い、コンピュータが学習に欠かせない状況になったにもかかわらず、CALLがカリキュラムに取り入れられにくいのは、ハードと適当なソフトの欠如、教授者の役割や学習効果が不明、運営者、学習者や教授者の態度にによるとの発表もありました。

 ウエッブを利用して授業をする場合、学習者に教材を提供する、それにリンクをはって世界中の資料を利用できるようにすることは、既に多くの人々に利用されています。しかし、文字、画像、ビデオ、音声を組み込んだコースウエアとして利用することも考えられており、そのデザインなどに関する議論もありました。

 島崎先生のインターネットを利用した英語教育は、一杯で入れなかったのが残念でした。ウエッブとEメールを利用した異文化理解のクラスに関する発表のようでした。

 コンコーダンスを利用して、学習者は自ら語彙を学習することができる。その手助けのプログラムを作成して、オマンで、1年間に2ー3千語を習得させたとの報告がありました。学習者はコンコーダンスとコーポらを利用して、自ら辞書を作成し、種々の利用例を収集したりして、語彙を習得していく。種々の作業をするソフトが用意され、それらを利用した結果ですが、面白い試みであると思いました。

8月15日
 15日の全体集会はパネルディスカッションで、"Futurewatch: Language Learning and Technology in a Global Context"で、パネリストは、LLA、IALLとヨーロッパの類似の学会のEUROCALLから推薦された、岐阜大学の藤掛、ミシガン州立大学のブレイディンとEUROCALLの会長のデイビース氏の3人でした。

 藤掛氏は非常にコンピュータに楽観的で、将来はコンピュータは人間の延長になり、これを通して考え、感じることができるようになる。コンピュータは非常に小型になって、インターネットともどこにいても、いつでもつなげるようになり、必要な時には、どこででも利用できるようになる。マルチメディアのコンピュータを利用して、誰もが学べるようになると発言された。

 デイビーズは影の部分を強調され、インターネットを利用できるのは、世界のほんの限られた人々である。コンピュータとインターネットを使用することは、非常に経費がかかる。インターネットは、以前のCAIに比較して、必ずしも教育上好ましいとは言えない。などのことを説明された。

 ブレイディンは、中道を取り、将来はコンピュータ、CD-Rom、インターネット等の発達により、印刷物に変わって、デジタル化された出版物や教材が増えるであろうが、現在の印刷物も生き残る。各々には、その長所と短所があるからだ。つまり、新しいものにはいい面もあるが、必ずしも現在のものが、すべて取って変わられる訳ではないとの発言でした。

 聴衆からの質問では、将来はインターネットを通じて多くの教育がされるようになるであろうが、その場合の教師の役割はどのように変わるのであろうかということが含まれていました。

 コンピュータを利用したテストのソフトの紹介もありました。コンピュータラボにテストのソフトを用意して、そこでテストを受けさせ、その結果をクラスに反映させている例が紹介された。ラボがクラスの援助をしてくれる制度がうらやましく思いました。

 スピーキングをテストするソフトを開発したとプログラムに書かれていたので、興味を持って参加した人々は、あまりにちゃちなプログラムで、直接発話をテストしていないので、失望していたようです。 

 印刷物以外の教材の可能性を多くの出版社は模索しています。有力なのは、CD-Romやウエッブによる提供です。サイトライセンス、印刷物との組合せ、料金の徴収方法、現在のマーケットなど出版社は色々と検討しています。どのようにすれば出版社が成立ち、消費者が、よりよい教材を適度の価格で入手できるようになるのか、このバランスを上手に取ることは非常に今後重要になると出版社の人々のパネルに参加して思いました。

 昼食は、同じ地域から来た人々と一緒にするようにとのことで、LLAの人々と一緒に大会での収穫などを話合いながら、楽しく食べました。

 ブリティシュコロンビア大学では、教員養成プログラムにインターネットを利用して成果を挙げている様子で、特にウエッブにより、資料と予算の不足を補っていることが報告されました。

 Eメールの活用も活発で、宇都宮大学の鈴木先生により、その体験談、中京大学とカリフォルニア大学の学生によるEメールの交換による異文化理解のクラスの実施上の問題点などが紹介されました。

 関西学院大学の木村先生により、コンピュータにより読解におけるスキミングの力が測定できるかどうか、詳しいデータを基に英語力の高い学生と低い学生の違いの研究成果の発表がありました。

8月16日
 16日の全体会議の講演は、レスリー・エレン・ハリスで、デジタル所有権、つまり、インターネットなどのデジタル情報の知的所有権についての話でした。ハリス氏は、弁護士で、出版、エンターテイメント、コンピュータ、そして、インターネットの著作権などを専門にされている。彼女は知的所有権を説明し、人は自分の創造したものを統制し、それから益を得る権利があることを強調された。

 彼女は、また、デジタル所有物、つまり、デジタル化できる情報の説明をされた。彼女は、人は知的所有物からどのようにして益を得られるかも説明した。つまり、どのようにして、知的所有物の価値を計るか、マイクロペイメントと呼ばれる、利用者が予め10ドル納めておいて、デジタル情報を使用する度に、何セントかずつそこから差引くようなシステムを構築するようなことも考えられると説明した。

 彼女の話は、使用者側ではなく、製作者側に立ったもので、インターネット上には、優れた利用価値の高いものが少ない。それは、インターネットでは、利用者から料金を徴収するのが困難で、ビジネスとして成り立ちにくい。よいものを利用したければ、利用者はそれに見合う負担をする必要があることを前提に話されていた。

 若本先生などのLLAの基礎理論研究会による読解ストラテジーの研究成果は、250人の日本人大学生と高校生の読解テストとアンケート調査結果の報告でした。意外なことに大学生は、トップダウンのストラテジーを使用していました。 

 竹蓋と長谷川先生は、9つのプログラムを開発して、データベースからイデオムを取り出し、その頻度を数えたり、どのようにしてそのイデオムが使用されているかを知ることができることを示されました。

 LLTI (Language Learning Technology International) はIALLのメーリングリストで、千人ほどの購読者がいます。その紹介、最近の動向、アーカイブの効果的な検索方法などが説明されました。このLLTIは私どもも購読していますが、非常に有益な情報を入手できます。関心のある人は、 http://202.23.150.181:80/users/kkitao/online/list/lis-tef2.htm#lltiを参照してください。

 藤掛先生達は、マルチメディアのソフトを開発し、それを紹介された。文字、画像、ビデオ、アニメなどを組合せ、発展性のあるソフトのような印象を持ちました。

 小川先生達は、アジア人に日本語を教えるためのウエッブによる教材を開発され、CD-Romの製品も完成されています。その内容の紹介がありました。

 毎日の最後には、その日に紹介されたソフトを直接触ってみることができるデモの時間も設けられていました。CALLラボで、著作者自らが説明をし、参加者は質問したり、自分で実際に試してみたりして、楽しく学んでいました。

 16日の最後には、ソフトウエア祭りがあり、多くのソフトのデモが行われ、藤掛庄一先生や吉田晴世先生のグループにも関心のある人々が詰めかけていました。

 今大会に関しては、ソフトの開発では、日本は非常に少なく、上記の他に、小川先生や竹蓋先生などのもの程度で、英語学習を中心にするものでした。それに比べ、北アメリカで開発されたソフトは、種々の言語に渡り、色々面白い特徴があるものもありました。日本でもソフトの開発がもっと行われる必要があると思います。

次回のFLEATは2000年にLLA関西支部により行われます。 

FLEAT IIIに関して考えたこと


Writing the Future: The 10th Writing and Computers (WriCom) International Conference

同志社大学    北 尾 謙 治

はじめに

 イギリスのブライトン大学で、9月18ー19日に上記国際研究大会が行われ、約120名が参加した。主催者の話では、その内の50人が海外からの参加者で、イギリス以外ではアメリカからの参加が多く、ヨーロッパ、オーストラリア、台湾、マレーシアなどからの参加があり、日本からも5名ほど参加しました。

 この学会は、文字通り作文にコンピュータを如何に利用するか、その利用により、作文を如何に効果的にするかを目指すもので、英語が主体ですが、母語としてのものが中心で、外国語や第2言語としてのものも含んでいます。

 参加者の多くは英語を教えている者、言語の研究をしている者、コンピュータ関係の研究をしている者でした。

 この研究大会の動向を報告します。

研究の動向

 研究発表は30分で、約60余り、同時に3ー4行われ、2時間のワークショップが2つ1日目の最後に行われました。内容的には、理論的なもの、技術的なもの、教育実践報告的なものなどがありました。非常に変わっていたのは、開会式も閉会式も全体集会もない、つまり、研究発表を並べた大会であったことです。

 プログラムは予めウエッブで知らされ、参加者はすべての大会の情報はウエッブにより知り、主催者からは何の情報も郵送で受け取らないものでした。

 大会当日に各研究発表の要旨を収集した169ページのプロシーディング(プログラム)を受け取り、その内容を見て、その会場に行くかを決定しました。ワークショップのみは、予備登録を当日して、先着順に参加できるようになっていました。

 研究発表の内容は、大きくcollaborating writing, computer-based writing tools, education, on-line writing education, processes and models of writing, screen and paper authoring, second language writing in a computer environment, social implications and special needs, story generation and interactive fiction, そして、writing for the web でした。 私は主にsecond language writing, education, on-line writing education そして、writing for the webの発表を聞きました。順に主なものを簡単に説明します。

second language writing
 大会委員長のShurville先生達の発表は、ブライトン大学で開発中の作文のソフトとその効果に関するもので、学習者の作文に教師がコメントを入れて、それに基づいて作文を改善できるようにしたものであった。

 イスラエルのLevine氏達の研究では、コンピュータネットワークのクラスと普通の教室で行われた作文のクラスを比較した。皮肉なことに、伝統的なクラスの方が成果が上がった。ただ、教師と学生の関係はコンピュータのクラスの方が、より親密になったが、学生同士の作業は伝統的なクラスの方がうまくいった。コンピュータのネットワークのクラスを使いこなすことの難しさを感じた。

 龍谷大学の李氏は、日本では作文はまだプロセスライティングが非常に少ないことを指摘、ワープロとEメールを使用した和文英訳でないプロセスライティングの作文指導を紹介し、多くの学生が積極的に英語を書くようになったことを報告された。

 Kukulska-Hulm氏は、英国のウエッブを使用した通信教育の報告をされ、多くの英語非母語者も結構積極的に参加し、成功している。ただ、このようなクラスでは、学生の積極的な参加自体が、成功かどうかの判断につながりがちであることも指摘された。非母語者の場合は、読解に時間がかかり、多くの読物を課せると脱落する者が多くなるとの報告もあった。

education
 Bull氏が、ブライトン大学で開発された教師が学生にフィードバックを与えるシステムとその利用についての解説をされた。フィードバックの与え方は難しく、これにより、随分と教育効果が変わることを感じた。

 Hartleyは、学生のためにハイパーカードで、作文を支援するツールを作成し、それをネットワーク化して、効率よく使用できるようにした。その内容や評価の説明をした。

Workshop
 私どもは、英語教育のウエッブ資料で、特に作文に役立つ資料を中心に、その内容を紹介すると同時に、各自の関心により、どのような資料が実際にあるかを確かめるワークショップをした。参加者の中には、既にこの資料を知っている人もいたが、多くがランカスター大学のサイトで、同志社大学のサイトを知る人々は少なかった。

on-line writing education
 Creed氏はハワイ大学で開発されたソフトで、作文を読んで、そのコメントを本文ではなく、コメント覧に書き込めるものを開発し、学習者同士でコメントしあって、一緒に学習する方法の長所を説明された。プリントされた作文にコメントを書くよりも、多くの長所があるとのことであった。

 コメントが長く、読みやすい。コメントは教師を含めて誰がしたか分からないので、率直なのが多い。コメントはその筆者、作文の筆者と教師のみが読め、書き直したり、消すのは、その筆者のみで、気楽に書ける。そのコメントを公にして、それに対する助けを求めることもできる。オンライン上にハンドブックがあり、コメントに関する部分を教師がリンクして、示すことができる。コメントする場合に、本文をそのウインドウに簡単に挿入することができる。読み手のグループを変更することが可能で、クラスの一部にしたり、他のクラスの学習者を含めたりできる。学習者と教師はコメントを編集者のように見て、編集作業をすることが可能である。

 Creed氏によると、最後の2つの長所が非常に重要とのことでした。

 Mrcus氏はカリフォルニアで行われた助成金によるプロジェクトを紹介された。ウエッブ資料を作文の専門家が管理し、そこに作文の教師が、種々の問題点などを書いて送ると、それをウエッブ種類わけし、管理者が返答をして、それもウエッブで読めるようにします。このようにして、種々の問題と解決方法を種分けして、利用するようにしています。助成金から両者に多少の謝礼が支払われているとのことでした。

 Gay氏はニューヨーク州でチャットを利用して、ニュージランドやチェコとクラスで異文化理解のために、あるテーマについて、どんどん議論するクラスを実施され、その報告をされました。チャットですから、即反応があり、速く自分の考えをまとめて書かなければならないので、よい作文の訓練になるとのことでした。

 Weekes氏は、ジョージア大学で女性がどうしてもクラスの討論に参加するのが少ないが、オンライン上で討論をすれば、頻度、文の長さ、時間の長さにおいて、男性との差が縮まることを突き止めた。また、アンケートによれば、オンラインの方が気楽に意見が述べられるとのことでした。

writing for the web
 ホームページの書き方が、如何に他のものと異なるかを、その筆者をインタビューして論じたもの。ウエッブページは言語と画像などの視覚に訴えるものからなっています。そして、フレームなど種々の技能的な配慮で、色々なものができあがりますが、どのような効果を持つかを議論したものもありました。よくリンクのみのウエッブページも見かけますが、これは機能語を排除した作文のようなものだとの議論もありました。興味深いのは、紙上の情報とウエッブ上の情報を検索するのに、どのような違いがあるかで、速さでは紙、正確さではウエッブとの結論でした。ただ、ウエッブの場合は、どのようなツールでどのようにしてするかにより、随分と時間が異なるとのことでした。

その他の発表
 同志社大学の芳賀氏は、作文には参考文献が必要で、これは個人により異なります。それで、各々の人に最も役立つ参考文献をどのように作成できるかを技術的な面から論じられました。

おわりに

以上の他にも沢山の発表がありましたが、開発したソフトの発表などは、市販されていない場合は、その考え方のみが参考になるのみで、このようなソフトを何等かの形で流通するシステムが必要と思いました。

 作文とコンピュータに関しては、アメリカにも同種の学会があり、そちらの方がより活発だとの意見も聞きました。


kkitao@mail.doshisha.ac.jp