FLEAT IV は語学教育ラボの研究団体である、アメリカのIALL (International Association for Language Learning Technology)とLET (Japan Association for Language Education and Technology: 旧LLA)が合同で、1981年に東京,1992年に中部大学、1997年にカナダのビクトリア大学で開催され、今回は、KAMALL (Korea Association of Multimedia-Assisted Language Learning)が加わって、神戸の六甲アイランドで実施された。語学教育関係の9団体も後援し、主催者側のLET関西支部によると、500人弱の参加者があり、大盛会であった。
その内容を簡単に紹介し、私のコメントもつけます。同時に多くの研究発表があり、ポスターセッションなどは、よく分からないものもあったので、プロうグラムを中心に説明しましす。
7月28日 ワークショップ
午後6つのワークショップが20-30人の小グループを集めて行われた。内容はパワーポイントが2つ、クイックタイム、インターネット上の資料と、ウエッブを利用したアクティビティー、Director 7と言う、マルチメディア教材を作成し、配布できるオーサリングツールに関するものが実施され、各人2つまで参加可能であった。
夜の6時からはDr. Masa-aki OhsugiによるStarting Over: Tips on Learning English の演題で,講演があった。英語学習は年代に関わらず行われ、学校教育以外では、学習者自らが学習しなければならない。そのやり方や、既にある教材の利用方法などが紹介された。
ワークショップに参加した人たちからは非常に人気があり、今後の教育に大いに役立つとのコメントがあった。
7月29日
9時45分から半時間開会式があり、その後2時間足らず、全体会議があった。講演者はオーストリアのProf. Dr. Hermann Maurerで、演題はMultimedia as Tools for Educational Purposesであった。ネットワーク化されたマルチメディア教材を使用するには、普遍的な相互互換のウエッブが必要で、動的な資料に基づく新しいコミュニケーションが不可欠である。さらに,個々の利用に適するように、各使用者に合うように変更することも重要である。博士は現在のウエッブでは教授目的に十分でなく、もっと複雑なシステムが必要と説いた。
午後は、24のポスターセッションがあった。発表内容は、教受者、学習者、機器、Llのマネジメント、4技能、テスト、教材やソフト、学生のプロジェクトなど多岐に渡るが、インターネットに関するものが多かった。発表者も慣れた者が多く、カラフルな目立つポスターを使用していた者も何人かおり、ポスターセッションではインターネット関連の提示は難しいので、ラップトップコンピュータを利用して説明している者もいた。ただハンドアウトを用意している者は残念ながら少なかった。
ポスターセッションと同時に15の研究発表が4つの会場で行われた。内容は多岐に渡り、LLの効用、教材、教授法、言語修得、学生のプロジェクトなどあった。4つの会場しかないので、1会場には50人以上が入り満員の状況であったようだ。
3時半からは、4つの研究発表、賛助会員の製品の紹介、シンポジウムがあった。研究発表はテスト、ラーニングストラテジー、作文、読解など様々なものであった。シンポジウムは、Seeking an Ideal Learning Environmentで、Naomi Miyake氏は、心理学の認識の観点から、 言語学習の理想的な環境は、学習者が自分の知識を比較したり再構築する思考を盛んにしているときであるとする。Thomas Robb氏は、理想的な学習環境は、工学的なことのみでなく、社会的なことや文化的なことも考慮すべきであるとし、京都産業大学での、語学教育の例を紹介した。Steven Tripp氏の興味深い発言は、環境には、頭脳による認識と身体的なものとの両方があり、その両方を考慮する必要があるとの主張であろう。Hillel Weintraub 氏は、理想的な環境とは、学習者が積極的に考えたり、何かを創造したりしていることで、そのためには、そのようにするための楽しく作業をしたり、協力して作業ができるなどの状況が役立つ。参加者は実際に風船を膨らませ、考え、討論して、理想的な環境での学習作業を体験した。
夜はTandberg Educationalのスポンサーで、人工の川の縁で、皆楽しくビールを飲んで、1日の収穫を議論したり、旧友と楽しい歓談の一時を過ごした。
7月30日
午前中はモントレー大学のProf. Leo van Lierの The Geeks Must be Crazy: The Ecological and Educational Validity of Technology-Rich Environments の演題の講演のみあった。
午後はポスターセッションがあり、20の発表がされた。発表の内容は多岐に渡っていたが、半分近くはコンピュータかインターネットに関わりのあるもので、ビデオやラボに関するものもあったが、全く機器に関係のないものも少しあった。
ポスターセッションと平行に、Reading and Writing in Computer Environmentsのテーマのシンポジウムがあり、Kazunori Nozawa, Thomas Orr, Gail E. Hawisher, Cynthia Selfe氏が、広い観点から、ESP、作文、文化的な側面の議論をした。
上記と平行して、3会場で10の研究発表が行われた、1つの会場は音声の聞き取りや発話のトピックで統一された4つの発表がされた。
午後の後半はNetworking Society and Educationの演題で、Dr.Takashi Sakamotoの講演があった。賛助会員の製品の紹介の他には、2室で8つの発表があり、1室はEメールやウエッブに関するもので、他の部屋では,DVD、3Dやクイックタイムなどを利用した英語教育が紹介された。
7月31日
この日は午前中の全体会議がないので、非常に盛りだくさんの発表があった。
IALLによるシンポジウムは、It's Not Just a Language Lab Anymore: IALL's Perspective on Trends in Language Learning Techonologyのテーマで、会長を含むアメリカ人2名、Read Gilgen, Otmar Foelscheとビクトリア大学で、全大会を主催したPeter Liddellにより、幅広い観点から、教育機器を利用した外国語教育を論じた。教材やコピーライトの問題、教員の訓練など具体的で役立つ情報が多かった。Liddel氏は、研究者のネットワーク化の必要性を訴えていた。インターネットを利用して、この分野の人々が情報を交換し、今後の大会の打ち合わせも多くの人々の意見を聞き入れてするべきだと主張されていた。
今回の大会では、このネットワークが非常に不足していて、発表者のeメールアドレスすらプログラムに掲載されていないのは非常に残念です。
研究発表は3室で11あった。半分近くがインターネット、コンピュータ、機器に何らかの関係のあるもののように思える。
午後はポスターセッションで18の発表があった。内容は前2日のとほぼ同じようなものであったと思う。
研究発表は4室で14あった。
午後の後半はLETの4支部が主催するシンポジウムで、以下のテーマであった。 Kasai Forty Years of the Language Laboratory Association of Japan Kanto Face-toFace and Computer-Mediated Communication in Foreign Language Education Chubu Globalization and Education Kyushu Multi-Purposive Syllabus by Multimedia: "Creating Collaborative Language Learning Community"各支部が責任を持って、この分野で重要な内容を議論するために選んだテーマで、その支部で活発に活動している研究者の発表があるものと思っていたが、多少内容がずれているものや、支部以外の外人部隊でされていたものもあり、何人かの人々から苦情が出ていた。
8月1日
事情でこの日は参加できなかった。詳しいことは分からないが、プログラムによると午前中にシンポジウムが、韓国、台湾、日本、アメリカからの発表者で、The Design of Mltimedia Language Learning Center and its Applicationsのテーマで行われた。
研究発表は4室で16された。
注目したいのは、6つのソフトデモンストレーションがあった。
午後は第3番目の全体集会があり、Prof. Giyoo Hatanoが、A Sociocultural Perspective on Transfer and Transfer Studiesの演題で講演した。
展示は28社が参加していた。その内の半分強がハードやソフトの関係の展示をしていた。
この大会のホームページは以下にあり、プログラムや種種の情報は掲載されています。
http://www.hll.kutc.kansai-u.ac.jp:8000/fleat4.html
コメント
今大会は3年間の準備を経て、日本、北米、韓国の3つの教育機器を利用する外国語教育の団体が主催する大きな国際大会で、参加者も500人、支出した経費も膨大で、参加費18,000円のみでは不足で、多くの寄付を集めて六甲アイランドで開催された、立派なものであった。会場費のみで400万円もかかったそうだ。
主催者の工夫で、ワークショップ、セミナー、シンポジウム、全体会、研究発表、ポスターセッションと多くの発表があった。発表者は270-280人程度と聞いている。このような学会で必要なことは、以下のことではないかと思う。
最新のテクノロジーで可能なことのデモンストレーション 最新のハードやソフトの情報、それを利用した効果的な語学教育の議論 種種の機器、ハード、ソフト、コンピュータ、インターネットの利用のためのワークショップ(初心者から上級者まで) 種種のハードやソフトを利用した各人の取り組み、その教育成果の公表 種種の先生方の機器やソフトを利用したクラス運営のデモ 機器、ソフトに関する研究 その他関連分野の研究もちろん分野は色々な分け方があろう。しかも、特にコンピュータやインターネットの利用では、その技術や知識のレベルによって非常に異なりがあるので、そのレベルを分けることも重要と思う。
今大会では、この種類分けの工夫がもうひとつあったらよかったと思う。特にコンピュータ関係では、その知識や経験の度合いで、議論が異なるので、あらかじめ参加者に知らせておくのがよいと思う。JALTCALLでは既にこの方法を取り入れて、その成果を十分に発揮していると思う。
今回の大会の目玉は何だったのだろうか。あまり目立たなかったが、DVD,クイックタイムによるインターネットとビデオなどだろうか。もうひとつよく分からなかったが、明確に言えることは、インターネットとマルチメディアの定着ではなかろうか。LL-は既にコンピュータラボになり、インターネットを利用した語学教育は多くされているので、ラボのないLLも実施されているのではなかろうか。
機器、ソフトは限りなくあるので、それらを十分に使いこなせない。ワークショップの試みは非常によかったが、数が少なすぎたと思う。前回は2日間で、多くの多岐に渡るワークショップが実施されたが、日本人の参加者は少なかったかも知れない。学会で訓練をするのは日本の風土に合わないのだろうか。
今回残念だったのは、インターネット関連の発表が多かったが、その多くがポスターセッション、会場で発表されても、インターネットに接続されていないので、パワーポイントによって発表がされるのみであったことです。インターネットによるネットワークの時代ですから、せめてインターネットに接続されたコンピュータを使用して発表していただきたかったと思います。この分野はデモが非常に役立ちますので、それを中心にしてほしかったと思います。
多くの人々はコンピュータをツールとして使いこなしておられ、ラップトップをもってきて、プロジェクターに接続して、パワーポイントで説明していくパターンがかなり増えていうるように思います。
全体会議で半日取る日が2日もあり、後の少ない時間に研究発表が詰め込まれたので、多くの発表を聞けなかった。可能な限り、発表をだぶらないようにしてほしい。さらに、分野別に分けて、各人の関心のある発表は多く聞けるように工夫してほしい。
LLAの40年の歴史で、多くの大学のLLの写真の展示があった。40年の間にずいぶんと大きな変化をしてきたことが分かる。各々のLLの年代があれば、もっとよくハードの発達が理解できたと思う。写真のみではよく分からない場合もあるので、どのように変化したかの解説もあれば、非常によかったでしょう。
しかしながら、私の考えでは、ハードやソフトがどう変わったかは、それほど重要な問題ではないと思います。重要なことは、その発展により、私たちの語学教育がどのように変わり、発展してきたかでしょう。つまり、40年前は、ネイティブの声を聞くことが重要でした。しかし、今では テープ,CD,MD、うオークマンなどで、それは誰でも簡単にできることです。最初はテキストを読んだものでしたが、会話的なものになり、言葉のやりとりがされることが重んじられ、次に講演など話し言葉、そして、オーセンテックな種種の音声を教育に利用すること、ビデオ、マルチメディアへと発展し、今では教師が、種種の加工も容易にして、各自のクラスに合う教材も比較的簡単に作成されるようになりました。これにより、どのように語学クラスが変化したのでしょうか。内容はまだまだ乏しいと思います。大学院生が海外の小学生とビデオをインターネットで交換して、効果的な語学教育ができるとは思いません。まだ、そこにハード、ソフト、その他のものがあるから無理に使用しているので、本当に語学教育の効果を高めるために使用されているかが疑問です。これを見極めるのが、この種の学会の仕事で、そのために、知識や情報を蓄積していくことが、このような大会の最も重要なことと思います。
この大会で発表されたことはCDで出版される予定なので、情報が整然と整理されて、今後の発展に役立つことを期待します。
インターネットが普及した今日では、発表者、役員、一般の人々がeメールで連絡をとり、お互いが協力して、学会を運営し、情報を交換することが必要と思います。最低eメールアドレスは掲載してほしかったと思います。
この大会以後に京都で行われた、JCHAT言語科学研究会第二回大会に参加しました。国際大会で、百数十人が参加していました。学会の規模が100名ほどで、参加費は立派なプログラムを含めて6000円でした。立派なプロシーディングも出るそうです。何らかの参考にしていただければよいのではないかと思います。
http://diana.sccs.chukyo-u.ac.jp/JSLS/JSLS2000/CFPart2000j.html
インターネットの発達に伴い、もっと私たちは情報交換、協力をすべきと思います。今後は各自がホームページを持つでしょうし、どのような情報を発信していくかよく考えるべきではないでしょうか。このリーダーシップを発揮するのがLETの役目ではないでしょうか。