ケンブリッジ日記


2002年10月から1年間のケンブリッジ在外研究中の日記です。

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2002/10/16
イギリスに着きました
10月16日水曜日に、ソウル・仁川経由でロンドン着。ターミナル3で入国審査をまつ長蛇の列に巻き込まれた。ちょうど同じ頃についた飛行機が、クアラルンプール、ジェッダ、アブダビ、ドーハなどなど、イスラム圏ばっかり(その時点でかなりのカルチャーショック)。バリ島での事件の後だし、時間かかるかなあと思って待っていたら、約40分ぐらいで順番が。審査官の印象が肝心という忠告もあって、120パーセントの笑顔でGood Afternoon!、必要書類もそろえてきっちり説明するぞと意気込んでいたが、「Academic Visitorですね?」という質問1つで終わりだった。おいおい、普通の旅行者でも三つぐらいは質問されるだろ。何日滞在しますか?観光ですか?イギリスのどこに行きますか?こちとら、一年もいるんだぞと思ったが、これってヴィザの威力なんだろうか・・・。とっといてよかった。
その後「フルハム」地区のホテルに一泊した。日本にいるときのクセで、部屋に入って一番にテレビをつけたら、欧州カップの予選、イングランド対マケドニア戦を中継している。ジェラードとかスミスとか、ワールドカップでは見なかった新顔が活躍していた。この試合を見てるうちに、寝てしまったが、結果はドロー。マケドニアサッカーのレベルを考えると殆ど大敗に等しいドロー。翌日の新聞やニュースは、「シーマンやめろ」の大合唱。「またやっちゃったのね?」ってところですね。新聞には「もはやシーマンにポロリをさせるのに、ロナウジーニョ(大好き!)のような天才は必要ない」だって。
その他、ウェールズがイタリアを破って、これも歴史的試合だったようだ。今度はイタリアは「審判が悪い」とか文句はつけんだろうね。
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2002/10/17
ケンブリッジにつきました+早速銀行口座開設
朝ロンドンを発って、ケンブリッジ着。約50分の列車の旅。すごいです。毎度感動しますが、沿線の景色が。富良野と美瑛を足して10倍ぐらいした広さとスケール。牛、馬、羊が遊んでるのを見ながら、ケンブリッジ駅に到着。
国際法研究所につくなり、色んな説明を受ける。春から滞在している日本人研究員の先生の忠告により、すぐさま銀行口座の開設に。これが無いと、研究所の施設使用料も何も払えない仕組みになっているんで。バークレー銀行に閉店30分前に駆け込んで、研究所からの紹介状とパスポートを出して、「口座を開きたいんですが・・・」。さあ、最初の難関だぜ、と思うまもなく、紹介状を一読したかかりの女性が、「OK」といってるではないか。で、ずんずん手続きが進んでいく。
「あれ?銀行口座の開設って難しいんじゃないの?こんなに簡単でいいの?」と思うまもなく、手続き完了。一週間ぐらいでチェックブック送るから待ってろって。研究所からの紹介状って、すごいのかも。翌朝紹介状を書いてくれた事務担当の女性に聞くと、「銀行口座は確かに開くの難しいけど、あなたラッキーだったのよ」だってさ。
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2002/10/19
家を探して
今の仮住まい、研究所のとなりで、便利+格安なんですが、いろいろあってすぐに家を見つけようと思ってます。そこで、大学のAccommodation Seriviceに頼んで、条件に合うリストをもらい、自分で家主にアポイントメントをとって、見に行ってきました。土曜日に2件。家主さん、すごくフレンドリーな人たちばかりなんです(営業努力ですかねえ?)。両方とも帰りは送ってくれるし(BMWとかベンツとか普通に乗ってるし)。
大学のService自体は、リストをくれるだけだけど、何にせよ、僕のような外国からくる研究者にものすごく慣れているのが、ケンブリッジ大学の一番良いところなのかもしれません。

それにしても、こちらに来て歩いてばかり。ケンブリッジってそんなに大きな町ではないけれど、それでも研究所が西の端にあるんで、町の東側まで行くとあるいて30分以上はかかります。早く自転車ほしい。
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2002/10/20
この研究所ってのはね・・・
日曜日ですが、何せ研究所の隣に住んでるし、部屋は寒いしというので、研究室に来ています。この研究所は、有名なH・ローターパクトって国際法学者を記念して(もともと彼の住居だったのかな)作られましたが、ホームページを見ればわかるように、普通(日本の尺度からは全然普通ではないのですが)の家です。そこに研究室、図書室、セミナー室などがあるわけです。キッチンなんかも割と自由に使えます。で、私、今研究所の隣に住んでるので、朝ご飯もそのキッチンで作って食べてるんですが、今日こんなことが・・・。
ぼんやりとティーバッグでお茶をいれてると、窓の外に一台の車が。車のなかは、あのクロフォード教授(国際法やってない人にはぴんと来ないんでしょうが、一言で言うとスーパースターです。国際法の)。その教授が、だだだと、台所まできて、僕の朝ご飯をちらっと見て、How are you?っていって自分でコーヒーを作ってます。僕が、日曜日も仕事ですか?って間抜けなことを聞くと、毎日毎日しごとだよ、って言って研究室に向かった。
そのうちなれるのかもしれませんが、あのクロフォードに朝食食べてるところ見られるんですよ、これってすごいんじゃないでしょうか?(ってやはり国際法やってる人以外はわからんか)
国際法研究所なんて言ってるけど、1つのコミュニティってかんじかな。日本ではなかなかないけど、一人一人が勝手に自分の研究してるというのではなくて、みんなで集まって、しかし自分の研究を極めるという感じなのかな。上手く説明できないし、来てまだ間もないから、誤解もあるんでしょうけど。
ちなみに教授の車は日本車です。ホンダの、日本では大衆車とみられてる車です。
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2002/10/21
シーマンって
月曜日なので、サッカーネタ。
テレビがみられないので、日曜日のプレミアシップの結果を知るため、勢い込んで、研究所の新聞をチェックしました。タイムズ誌を色々ひっくり返してみるんだけど、スポーツ欄がない。ふと気づくと別冊のスポーツ特集があったので、ははーんと思ってそれを見るけど、ゴルフ、競馬、ラグビーなどの記事ばかり。??なんでだ?と思ってたら、ふとThe Gameと書いた別冊が入ってるではないか。そうなんですね、これがサッカーについて書いたものなんです。タブロイド版(日本の夕刊フジみたいな大きさ)で23ページ、すべてサッカーネタの別冊。タイムズの。なんてこった、毎週こんなに読まなきゃ行けないのか?でも幸せかも。
まあ、イングランドといえば、シーマンの将来が気になるところですが、イングランド代表でプレーできるキーパー(イングランド「国民」ってこと?)が、プレミアリーグに4人しかいないんだそうな。層が薄いんですね。だから、いつまでも引退できないんですね。可哀想なシーマン。老いぼれ扱いです、すっかり。

追伸:その後、イングランド、ウェールズ、スコットランドなどの代表チーム選手の資格についておもしろい記事を見つけましたので、紹介しておきます。ギグスという選手についての記事です(日本語です)。
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2002/10/22
シャワーって
日曜日から急に天気が悪くなりました。天気予報は、この先ずっと雨。Showers, Scattered Showers, Rainの繰り返し。誰かこれの違い説明してくれって気がしますが。Rainは傘が必要、Showerは傘なしで歩けるって違いかも。こっちの人は、傘をささずに、コートに付いてるフードを被ったり、カッパみたいなのを着て歩いたりしてるひとが多いです。ともかく、先週の、美しいイングランドの秋はどこにいったんでしょうか。僕が来てから天気が悪くなったと、あらぬ疑いすらかけられています。
シャワーといえば、風呂で浴びるシャワーの方もちょっと疑問があります。こっちのシャワーって、頭の上に固定したものが多いんですが、非常に使い勝手が悪いです。だいぶ慣れてきたけど、なんか上半身しか洗えない状況に、最初は憤慨してました。
日本の皆さん。お風呂でお湯がふんだんに使えるのは、日本ならではのことなのかもしれません。そして、そういう豊かな生活環境が当たり前と考えているのも、日本だけかもしれません。あらためて実感そして反省。

ちょっと付け足し。夕食は研究所のキッチンでパスタを作った。ソースは電子レンジで作るやつ。このソースどうも二人分だったらしくて、カルボナーラのはずが、ホワイトソース系のスープスパゲッティのようになった。夕食後、キッチンのテレビを付けると偶然にもまたしてもシーマン。欧州チャンピオンズリーグのアーセナル対オクセール?戦。しかも、アーセナルが負けているところ。みているうちにシーマンが二点目をとられてしまった。前に出すぎたのか、至近距離で軽く浮き球で決められ、シーマンは万歳のポーズをするしかなかった。本当に間抜けな姿で、可哀想になってきた。
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2002/10/23
ロンドンへ
色々と所用があってロンドンに出かけました。すっかりこちらの田舎暮らし?に慣れたのか、人の多さにとまどうことしばし。ケンブリッジは、町にいる人のほとんどが大学生か大学院生か大学関係者なので、のんびりしているというか、お上品というか、ともかくあんまり緊張しないんですがねえ。
まずは、銀行へ。アメリカ資本の日本なら郵便局のATMも使えるという、あの銀行です。そこで、キャッシュを引き出して、バークレー銀行まで運び窓口で口座に入金する、という超原始的な方法で、お金を移しました。海外送金のこと、もうすこしちゃんと考えておけば良かったと思いますが、これが完了したので、新しい家主さんに支払いもできるし、日曜日の晩には引っ越しができることになり、ホッ。
この銀行の用事が早く終わったのですが、夜の6時からILA(国際法協会)イギリス支部主催の講演会があるので、時間が余ってしまいました。そこで、こちらに「住んでる」メリットをいかして、ものすごく贅沢な過ごし方を。ナショナルギャラリーへ行って、好きな絵だけをじっくりみる。つまり、急ぎ足で、ザーとすべてを見るんじゃなくて、何回も来れるから、今みたい絵だけを見ました。なんと言ってもタダだし。フェルメールとレンブラントとファン・エイクとコンスタブルとターナー。展示室で言えば、四つ分ぐらい(70ぐらいあるうちの)。ボケッといすに座ったりしながら眺めました。他はボッティチェリだろうが、ゴッホだろうが、ルノワールだろうが、無視。通過するだけで。これだと疲れないからいいわ。
6時まで居ると疲れるので、4時前で切り上げて、散歩。やっぱ、法律家ですから、ついついストランド通りを東へ、立派な高等?裁判所や、こちらの××Innと呼ばれる「ロースクール?」の方へ足が向いてしまった。フリートストリートの建物って、なんで道路に立派な時計がつきだした作りになってるんでしょうか?新聞社があったことと関係してるのかしら。
道中、カナダとかオーストラリアとかジンバブエの高等弁務官事務所(大使館)がありましたが、こういうコモンウェルス構成国(ジンバブエはビミョー)とイギリスの結びつきの強さを感じました。何故って、建物が立派すぎ!
さて、ILAの講演会は、僕のスーパーアイドルとも言うべき(学問上のね:正直いって彼が居なければ、僕の研究は一歩も進んでなかったでしょう。)クリストファー・グリーンウッドのもの。お題は「イラク攻撃の合(違)法性」。初めてご尊顔を拝し光栄に存じました。噂に聞いてたほど「かっこいい」印象はないんだけど。でも論文で展開してるように非常にバランスのとれた意見を述べる人です。論文と同じで英語もわかりやすいし。ただ、この問題で「バランスド」な議論をすると、すぐに突っこまれるわけですね。アラブ系の学生は、お約束のリンケージ論で、イスラエルはどうやねんっていうし、大量破壊兵器を持ってるのが悪いのなら、アメリカはどうなんだというアフリカ系の学生がいるし。グリーンウッドが「イラクはそういう兵器を使うでしょ」といったら、アメリカだって昔使ったじゃないかという日本人の留学生(英語の発音でわかったよ、あんた)。こういう議論はいちいちごもっともなんですが、これではグリーンウッドが可哀想ですよね。みなさん、もう少し国際法勉強して、ある程度の共通理解のうえで議論しましょうよ。University College Londonの建物(講演会は有名な?ベンサムハウスの模擬裁判教室で開かれた)にも学生にもがっくりして、ケンブリッジに帰ってきました。

ところで・・・
ケンブリッジにはあまり日本人がいないのだけど、ロンドンには結構たくさん居ますね。外見だけであまり見分けがつかないですが、日本人の若い男の子は見ただけでわかります。何故って髪型や髪の色が変だから。日本人の女の子は、こちらにとけ込んでるような感じなんですが、男の子は日本を引きずってる感じがして、浮いてる印象を受けます。
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2002/10/24
学部の講義
研究所の研究員は、どんな授業にも出て良いと言われてるので、先日法学部の国際法の大教室の授業に潜入してみました。一番驚いたのは、女子学生の比率。たぶん6割以上じゃないかしら。しかも、ケンブリッジは、マイノリティの学生の比率が低い(特に学部は)し、学部生だからまだ10代の学生も多くて、教室の中や外の廊下は、まるで「ビバリーヒルズ××白書」状態。東洋人は若く見えるし、自分自身歳よりは若く見える(と信じている)にしても、さぞかし目立つことでしょう。
学部の講義は一コマ60分。それが、国際法の場合一週間に二コマあります。なぜか、火曜日の1時間目と水曜日の2時間目という変な組み合わせ。国際法の総論でしたし、学部の授業であるということもあって、内容そのものより、講師の話し方、学生の反応の方にも興味がありました。
この授業は、国際慣習法の問題、特にいわゆる「インスタント国際法」や一貫した反対国の理論、慣習法と条約の関係など、非常に抽象的な話でしたから、これをどう調理するか、講師としては腕の見せ所です。
教室にはいると、先に講師が来ていて、ホワイトボードに地図を書いていました。北海のデンマークからオランダ沿岸にかけての地図です。これを使って北海大陸棚事件という非常に大事なしかし非常に難しい判例を説明することから、講義が始まりました。時事ネタやジョークを織り交ぜて、この判例で争われた争点を説明し、オランダとデンマークの主張はこうだ、それに対してドイツはこういった、というように。
まず判例を紹介してから、国際慣習法の生成に関する理論を抽象的に説明するという順番は、確かにわかりやすいのでしょうが、しかし、このときあつかった問題は、国際法を学び始めて2週間ぐらいの学生には難しいんでしょう、だんだんと学生のテンションが下がっていくのがわかりました。日本と違って居眠りする学生は少ないのですが、だんだんダウンする学生も出てきました。
計画的にか、頃合いを見計らってかわかりませんが、授業が半分ぐらい終わったところで、ソレンセンという判事の名前をどう発音するかというネタをきっかけに、すこし余談が。ユーゴにいったら名前の最後に「ッチ」を付ければいいとか、オランダ語は変な発音だとか。オランダというのは、イギリスから見ると本当に、ちゃかす対象として最適なんでしょう。「オランダではねtheをhetっていうんだよ。tが一番後ろにくる。何でもひっくり返すのが好きなやつらで、『's』は言葉の最後ではなく最初にくるんだ。」でオランダ語の発音をタモリがやるみたいにデタラメに真似して、笑いをとってました。
教科書を使うのではなく、講師が自分で判例や難しい言葉の解説をハンドアウトにして配ってました。
ちなみに講師は研究所のフェローでもある、ロジャー・オキーフというまだ若い人で、キャラクターとしては、映画「アマデウス」のモーツアルトみたいなところがあります。すごくおもしろい人です。
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2002/10/25
天気予報そしてキングスカレッジの牛って
こちらに来てから天気の急変に驚かされることしばしです。早朝には、まずますだった天気が、朝10時頃には快晴になり、11時頃から突風が吹き始め、曇りになり、夕方にはシャワーから雨になり、深夜には月が出てる。そんな感じです。シャワーとおもって傘なしで歩き始めたら、15分後にはずぶぬれになりました。天気予報だって、なかなか当たらないみたい。
今日も色々みましたが、今日の一番のヒットはキングスカレッジの牛です。ケンブリッジで一番の観光スポットであるキングスカレッジの裏庭には、ケム川が流れていて、その向こう岸(研究所から言うと手前なんだけど)にバックスという草地が広がっています。サッカーのコート2面分ぐらいだからそんなに広くないんですが(すでにこっちの感覚ですねこれ)。そこになんと、牛が居るのを発見してしまいました。10頭ばかり。寝そべってました。イメージわかないかもしれませんが、キングスカレッジってケンブリッジの中心街にあるんですよ。幾らカレッジが金持ちで土地が広いからって、なんでそんなところに牛が放牧されてるんでしょうか。京都で言えば、京都御所か、三条と四条の間の鴨川の岸で牛を飼ってるようなもんですぜ?
第一、どこから来たんだよこいつら、と思ってしまいました。
いい写真を見つけましたこの写真の下半分がバックスなんで、そこに牛が居たんです
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2002/10/26
二夜連続でコンサート
金曜日の晩と土曜日の晩は二晩連続でコンサートに行きました。
金曜日はメアリー・ブラックというアイルランドの人気歌手(ロックともジャズともカントリーともフォークともつかないジャンルの人)のUKツアー。日本でもかなり有名だと思うけど、アイルランドではU2ぐらいしかかなう人がいないという超人気らしい。前から好きで時々聞いていたんだけど、生で聞くとすごいよかったです。知ってる曲ばっかりだったし。Don't explainっていうスタンダードの曲があるけど、しびれたね。で、いろんな歌に、アイリッシュにはアイリッシュにしかわからない民族的なHidden Storyがあるらしいんだけど、ちょっとそこまでは理解できないけど、よかった。
とまどったのは、コーン・エクスチェンジというホールに、非ヨーロッパ系が僕一人だったこと!1000人ほどの白人に囲まれるとやっぱり緊張します(なぜだろ)。ただし、お客さんはアダルトな人が多いので(70こえてそうな老夫婦まで)ましなのかもしれませんが、1000人の白人の若者に囲まれると、ちょっとイヤかも。それでも、アイリッシュの魂みたいなのを肌で感じる一夜でした(W杯のアイルランド・ドイツ戦の最後のシーンと同じでアイルランド人になりたいと思わせる「熱さ」を感じたんですね)。
土曜日はうってかわって、バッハ@キングスカレッジ・チャペル(昨日の記事参照)。ホルスト・シンガーズというアマチュアの合唱団なのですが、べらぼうに上手で、天井の高いチャペルにがんがん響かせてました。バッハのロ短調ミサ曲(渋すぎ。凄すぎ)という長い曲なのですがチャペルの天井を見上げながら、あらためて人間ってすごいなと思う一瞬でした。残念なのは、切符を買うのが遅すぎて、舞台の正面ではなく、裏側のようなところだったので、ソリスト(ソプラノのエマ・カークビーを含む:知ってる人なら驚くようなビックネームでしょ?)が聞きづらかったこと。演奏者が見えないこと。でも感動したっ(古いって)。

ケンブリッジは、さすがにインテリの町って側面があって、毎日どこかでコンサートをやってる感じです。研究所が音楽学部の近くにあるので、ときどき学生の歌ってる声なんかが聞こえてきます。音楽好きにはたまらない環境です。今度、休みの日に(強調)、コベントガーデンまでオペラを見に行こうと考えています。
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2002/10/28
家を見つけるまで
日曜日の晩に引っ越しをし、一応落ち着いたので、家探しの経験をまとめておきましょう。
ケンブリッジでは大学のUniversity Accommodation Centre (Centre for Visiting Scholars)に自分の希望を登録すれば、希望にあったリストがもらえます。そのリストにある家主さんに電話をかけまくるのです。私がもらったリストは10件の物件がリストアップされていましたが、半分は入居可能日が11月中旬以降だったので、都合5つにターゲットを絞りました。ただし、同僚の方の証言によると(私の場合はそうではなかったが)、このリストは、入居者が決まってもセンターに通知されない場合があるのと、家主さんが他の媒体(新聞広告)でも募集しているのとで、不正確な場合があるそうです。ですから電話をかけるときにまず質問しなければいけないのは、「物件はまだavailableですか?」ということ。その上で、アポイントメントをとって物件を見に行きます。家主さんへの電話。英語が苦手だときついです(大学関係者と違って、一般の人だし)。幸い、私が電話した人は皆さんフレンドリーな対応でした。
一件目に見に行ったのはCherry Hintonという郊外(バスで10分ぐらい)の物件で、何でも家主さんのお母さんが最近までお住まいだったところらしいです(去年亡くなったそうですが)。そういう年金生活者が多いところらしくって、隣近所皆、ご老人だという話を聞きました。家は凄くきれいだったし、テスコまであるいて10分(こっちではこれを近いという)という魅惑的な物件でしたが、何しろ遠いのがネックでした。
二件目に見に行ったのが、結局決めたところでした。詳細後述。
三件目は情報が錯綜していて、行ってみると「もう一人スペイン人の女の子が住むことになっている」と言われました。いわゆるフラットシェアですね。ちょっと理解できない制度ですが、いやいやそれは困るということで、こちらはその場でNoの返事。さすがにその場でNoを言うと送ってくれませんでした。最初の二件は送ってもらえたのに。仮住まいから1時間も歩いて行ったで、帰りも一時間(以上)歩きました。
四件目と五件目はアポイントメントを取ろうとして、電話が通じなかったりして、まだはっきりと予定を詰めてなかったところでしたが、先に外観だけでもと思って三件目の帰りに外から見に行きました。四件目は、最も町中に近い家でしたが、古い上に地階だったので、やめました。五件目も割と近いところでしたが、二件目と雰囲気がかわらないし、町中からの距離も代わらないので、改めてアポイントメントをとるか保留にしておきました。
つまり、二件目が第一希望になったわけですね。で、二件目に決めるか決めないかということをまず考えることにしました。一番のメリットは、家主さんがその物件を買ったところで、家具も食器も何から何まで新品で揃えてくれるということでした(こっちの家は家具付きの場合が多いです。特にフラットの場合は)。家賃はそんなに安くないけれど、2ベッドルームだし。シャワーヘッドがはずれて自由に動くし(これが当たり前ではないというのは、前に書きましたよね)。何より、家主さんの英語がわかりやすい!(アメリカ人なので。どちらかというとアメリカ英語の方が聞き取りやすいんです。テンポとか。ブリティッシュ・カウンシルの先生がたごめんなさい!)
他を回るのも疲れるし、諸般の事情もあるしで、早く決めて早く移るというのが最優先条件になり、決めちゃいました。
その後は、いわゆる敷金や最初の月の家賃を払い、支払い(銀行振り込み)などについての取り決めをし、賃貸借契約をしました。何故か銀行のロビーでちゃちゃっと。幸い、親切な家主さん(家を貸すのが初めてらしくって。余計に親切だったのかも)が、ガスや電気の会社と交渉してくださったので、自分でしたのは(するのは)テレビライセンスの支払いぐらい。それ以外は特に何もせずに引っ越しの日を迎えました。
引っ越しといっても荷物は段ボール1つとスーツケースのみ。タクシーでついたらメーンイベント。「インベントリー」チェックです。家具付きの家なので、何がいくつどういう状態で備えつけてあるかということの確認ですね。本当に細かいところまでリストアップしてありました。例えば調理用の木べらの数とか、ベッドのシーツの枚数とか。びっくりでしょう?そんなものまでついてるんですよ。家主さんとリストをチェックし終わったら、それぞれのリスト(家主用と店子用と同じリストを二つ作る)に二人のサインをして完了です。
物件に恵まれていたのか、それとも隠れた瑕疵にまだ気づいてないだけなのか、とにかく、目くじらたてて家主さんにつっかかるような必要もなく、無事落ち着き先が見つかったわけです。「地球の暮らし方」に書いてあるよりは、楽だったかもしれません(今のところ)。
こちらの家探しでびっくりすることはいくつもありました。留学者が、注意しなければ行けないのは、「子ども連れはお断り」とよく言われることです。それから、2 Bed Room, 3 Sleepという表示がしてあって、これ以上住んでは行けないという人数の制限が厳しいところでしょうか。また、苦労したのは、まだ小切手帳ができていなかったので、支払いが難しかったことです。家主さんが信用してくださったのでよかったのですが(結局ギリギリで間に合いました)、悪くすれば小切手帳待ちで入居が一週間延びるなんてこともありえました。
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2002/10/29
火事じゃなくて家事+ギネス・パルトロウって
久々に米を食べようと言うことになって、前から送ってあった炊飯器を使ってご飯を炊くことにしました。

余談ですが、新しい家のキッチンはガスコンロの調子がおかしいので、使うのが怖いんです。家主さんも、点検(定期的に必要らしくて、早いうちにしてくれるそうですが)が済むまでは、オーブンとグリル(コンロと一体となっている)は使うなとおっしゃいます。ガスコンロも、イグニッションというボタンがあって、左手でつまみを回して右手でそのイグニッション(点火)装置をおさなければならない作りです(ご注意を)。ところがこの点火装置も壊れていて、マッチで火を付けなければなりません。だから、コンロを使った調理はめんどくさいんですよね。今のところ。お湯は電気式のケトルがあるから用は足りてますし。ですから、もっぱら電子レンジを使ったものしか作れなくて(こっちのスーパーにはそういう類の食品が大量に並んでます)。

で炊飯器を出してきて、変圧器(炊飯器用に日本で購入)を準備して、お米も量って洗ってと。炊く準備ができたので、コンセントにまずソケット(三穴に変換するもの)と変圧器を差し込んで、変圧器に炊飯器のコードを差し込んで、コードと本体をつなげようとした瞬間でした。「バン」という短い爆発音と、青白い光が、そしてえもいわれぬにおいがしはじめました。よく見ると、コンセントのスイッチがオンになっているではないか(ちなみに、こっちのコンセントはスイッチがついています)。要は、スイッチがオンになっていたので、ショートしてしまったんですね。ほら、炊飯器の電源って、差し込み式じゃなくて、磁石式みたいになっていて、つなげるときに歪んでしまったりするじゃないですか。あれのせいですね。
衝撃と失望。もしかすると、今日ご飯が炊けないだけではなくて、一度も使わないうちに、炊飯器が壊れたのではないか。そのときは、原因に確信がもてなくて、どうしていいかわからなかったのですが、もう一回だけ挑戦してみることにしました。今度はキチンと順番を逆に。本体とコードをつなげて(セーフ)、コードと変圧器をつなげて(セーフ)、変圧器とソケットをつなげて、コンセントのスイッチがオフになっているのをしっかり確認した上で、コンセントにソケットを差し込みます(セーフ)。そして最後にスイッチオン。よかった、セーフだ。
問題は、キチンと炊けるかですが、馬鹿なことに、あまりにお腹がすいたので、「お急ぎモード」で炊いてしまったのです。お急ぎってあんまり上手く炊けない場合があるでしょ?そうなんです。15分後、炊きあがったサインがでたのでフタを開けると、あの澱粉質の何とも言えぬご飯の湯気が立っていたので感動の声を挙げてしまいましたが、味見をすると、非常〜に芯がのこっているではないか。
問題は、この芯が残ってしまったのが、お急ぎモードだからか、ショートのせいで炊飯器のコンピュータが壊れたのか、米や水が悪いのか(米はカリフォルニア産のNishikiって一番ポピュラーなやつです)、理由がわからないってことでしょうか。今度は必ず通常モードで炊いてみようっと。
危うく火事、感電死するところでしたが、芯のあるご飯でも、おいしくいただきました。電子レンジで作るインド風のチキンの煮込み料理を買ってあったので、それをおかずにして。芯があるご飯も、インド風のスパイシーな煮込みとまぜると、本格的なカレーの気分が味わえてよかったです。

追伸:例の牛が放牧されてるキングスカレッジの裏のケム川で、火曜日に映画の撮影をしてたんですわ。パント(川底を突いて進むボート)にカップルが乗ってるシーンを撮影してたんで、ちょいとのぞくと、どーみても小汚い格好をした(衣装やっちゅうの)女優さんが見えたんです。ちょっと遠かったんでわからなかったんですが、翌朝の新聞にその撮影の記事が写真入りで出ていて、その小汚い女優さんの顔がアップで写っていました。ショック!なんと、あのギネス・パルトロウでした。どうりで、警察官まで来てるはずだ。たかが映画の撮影で、なんで警官がいるんだと思ったんだけど。東映が我が本務校に撮影にくるときは、そんな警備無いぞ。
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2002/10/30
テレビジョン・ライセンス
新しい家にはテレビがついています。テレビ好きには、やはりテレビが必要です。がこちらのテレビのバラエティ系は、センスが合いません。よく映画をやってます(5局どこかで常にやってる感じ。9時からと11時からと一晩に二本放送って、番組制作に手を抜きすぎてないか?)。映画の英語を聞き取るのはものすごく難しいですが、前に観たことある映画ならかなりわかります(あたりまえか)。一番解るのは、ニュースと天気予報です(って、だからってずっと観てるもんじゃないですけど)。
言葉はあんまり必要ない、万国共通、宇宙共通の楽しみといえばサッカー!折角イングランドに居るんだから、プレミアシップ+UEFA(ユーエファって発音してたような気がします)のカップ戦みまくりだと思って意気込んでいたのにもかかわらず。興味をひく試合(例えば10月30日の晩のチャンピオンズリーグ予選のローマ対レアル戦!おいおい見せろよ!)は、地上波ではやってないのです。そうかパブがSky Sports Liveとか広告に派手に書いてるのは、家ではたくさんサッカーの試合が見られないからなのか、と納得しました(法的に言うと、こんな広告だしても良いのか疑問が残りますけど。ちゃんと許可を得てるのかな。)。とはいえ、時々、地上波でもおもしろそうな試合やってます。まあ、CLの二次予選とかが始まる(いつからかな)と、かわってくるんだろうか。今度、がんばってSky Sports観にパブに行ってみるか。
それはそうと、こちらでは、テレビを観るのに、テレビジョン・ライセンスというものを購入しなければなりません。一年間で112ポンドも取られました。NHKの地上波カラーの受信料を一括払いしたらこれぐらいですかね?日本と違うところは、受信料じゃないので「うちではNHK観ないから」という言い訳が通用しないところでしょうか。テレビを保有していてそれが観られる状態であれば、ライセンスが必要なのです。
無視していると、強力な探知機を備えた車が点検に来て罰金を取られるみたいです(「地球の暮らし方」)。
ちなみに、このライセンス料は、郵便局で書類をもらってその場で支払います。
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2002/10/31
10月のまとめ
今日で10月も終わりですが、こちらで2週間暮らしたことになります。今までは、家を探したり色々と雑事に取り紛れてましたが、気がつけば11月じゃないですか。この日記を読み返してみると。ほとんど学問的なこと書いてないじゃないか!
もしも、うちの学生さんが読んでいたら、きっとこう思うでしょう(前に、実際に、「イギリスでサッカー観るの楽しみだ」とゼミの時間に言ったら、学生さんにそう言われたことあります)

「僕らの払った学費を使って、先生はイギリスで何をしてるんですか?」

申し訳ありません。在外研究なんだし、もちろんこつこつと勉強始めてるんですよ(本当に)。色んな講義や、セミナーにも行ってるし。それよりも、日々の生活の目新しさに目がいってるので、そんなことばっかり書いてるだけで・・・。
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2002/11/01
11月になりまして
11月です。今日は金曜日で、「ランチタイムレクチャー」の日でした。毎週金曜日に、タダのサンドイッチランチ付の講演会が一時間ばかり研究所で開かれておりまして、これまでも、エジンバラ大のネフ教授やダーラム大のカイコバード教授がレクチャーされました。今日は、フィンランドはヘルシンキ大学の法医学者!ランタ博士による法医学的見地から見た事実調査(Fact finding)についてのお話でした。コソボでの「虐殺事件」の事実調査や、あのジェニン虐殺事件(パレスチナ)の事実調査委員会にもかかわりのあった、エキスパートの方。
事実調査、虐殺事件、OHP使用と来れば、大体予想はついたんですが、食後には見るのがつらい「現場写真」が、大写しで・・・。え?それって内臓ですか?という世界でした。いいんです。武力紛争法の研究者なんで。でもつらかったです(脂汗)。
しかし、あらためて考えてみると、国際裁判所が個人の犯罪を裁く時代になりつつありますが、国際法の研究者も、警察官や法医学者やさまざまな他領域の専門家と一緒に協力しなければなりません。今までのように、Think Globallyとか言ってないで、一人の戦争犯罪人の刑事責任を証明するために、地雷原で被疑者側のスナイパーによる狙撃を心配しながら命がけで行われる鑑識作業などについて、もっと真剣に考えなければなりません。

と、これくらい書けば、少しはサッカーネタを書いてもいいでしょうか。昨日はCL予選がありまして、いくつか地上波テレビでもやってました。中でもうれしかったのは稲本!日本のテレビと違って、日本人選手が出てるところだけオムニバスで見せてくれるようなサービスは当然ありません。しかーし。昨日の稲本のように、いいプレー(偶然オフサイドの判定が甘かった?)を見せると、こちらのスポーツニュースとかでも「ジューンイチ・イナモート」とか名前呼ばれるは、映像でも映るはしてくれるわけです。なんか嬉しいなあ。一昨日、ゲンク(CL予選敗退決定)の試合のハイライトで鈴木が映ったときも嬉しかったけど。
しかし、シーマンよ。どうするよ。4連敗って記録的らしいねえ。プレミアシップの話題は、その39歳のポニーテールのおっさんと、16歳でプレミア最年少ゴール記録を作ったエヴァートンのルーニー坊やで持ちきり。年の差23歳!でも最近のお気に入りはリーズのスミス!態度ワル過ぎ!いまどきの若いやつ過ぎ!プレーは最高!ベッカムに飽きた皆さんは、要チェック。W杯フランス大会の時の若造ベッカムのような魅力的なやつです。
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2002/11/03
自転車って
ケンブリッジは町の規模が小さいので、自転車に乗ってる人が多いです。家が研究所から徒歩30分のところなので、私もついに、中古自転車を購入しました。大学の掲示板(BBS)で見つけました。マレーシア人の学生から購入しましたが、なかなかワイルドな代物です。ブレーキが甘くって、下り坂厳禁。最初はサドルが高すぎて怖かったですが、今は、サドルを最低レベルにして乗っています。こっちの自転車、特にマウンテンバイクは、異常にサドルが高くしてあって、停めてあるのをみると、私の胸のあたりまで来るサドルもあります。どうやって乗るねん!
こっちでは自転車でも甘えが許されません。しっかり自動車と同じ交通法規に従います。歩道を走ったり、信号無視をしたりしてはいけません。もちろん右側通行も禁止です。右左折はきちんと手で指示しなければなりません(って、これって日本でもそうじゃないの?誰も守ってないだけで)。
今日は日曜日で、天気もよかったので、近くのグランチェスターという村までサイクリングしてきました。今度写真もアップしたいと思いますが、自転車で数分走ると、ものすごく広い草原(湿地帯?Fenっていいます)が見られまして、すごくよい気分転換になりました。ちょっと贅沢して、パブランチ食べられたし、ビールも!!!
グランチェスターには、あのジェフリー・アーチャー卿(?)の邸宅があります。BMWが一台、家の前に停まっていました。アーチャー本人は牢獄の中だから、きっとレディー・アーチャーでしょうか、それともベストセラー作家だから、ケアテイカーもBMWなんでしょうか。グランチェスター在住の日本人研究者は、アーチャーの「飼い猫」を見たと言い張ってました。その家の近所だったし、毛並みも良かったしと。アーチャーファンの方(私もかなり読みましたが)、邸宅詣がしたければ場所教えます!

追伸:この日の嬉しかったこと。
1 炊飯器が実はちゃんと動くことがわかった(通常モードで炊いたら、きちんと炊けてた)。
2 エヴァートンのルーニー坊やが得点したこと(もはやのりのりですな)。
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2002/11/04
ジャクソン教授到着って?
明日から、ローターパクト・メモリアル・レクチャー。アメリカはジョージタウン大から、国際経済法の大家、ジョン・ジャクソン教授が来られて、火曜日から金曜日まで講義をされます。去年のコスケニエミの講演は、読んでませんがケンブリッジUPから最近発売されたあの本(名前ど忘れ。Gentle Civilizationなんとかって本ですね)になりました。今度のジャクソン教授の講義も出版されるはずです。
実は、以前に、英語の聞き違いなんでしょうが、研究所の事務の方から、(私が仮住まいしていた)「ゲストハウスの鍵を早く返してね。来週のレクチャーで来る人が泊まるから」といわれ(たような気がし)ました。これをてっきりジャクソン教授が、私の滞在してた部屋に泊まるんだと思っておりました。えー、あんなところでいいの?と一人心配していたんです。
ですから、今朝ジャクソン教授がケンブリッジに着いたというニュースを聞いて、その事務の方に、「あ、隣のゲストハウスに居るんですか?」って聞いてみました。答えは「まさか、あなた。そんなはずないじゃない。トリニティ・カレッジよ。」
英語の聞き違いはいいです。よくあることです。確かに、ジャクソン教授は、ものすごく立派な教授です。自分と比べようなんて毛頭思ってません(本当に)。しかーし、「まさか」はないでしょう。先週まで、その「まさか」の「ゲストハウス」に居た人に言うなよと、小さくキレました(数秒間)。

追伸:このゲストハウスは、今月の中旬から改装工事が始まり、来年の夏には新しいのが利用可能です。「まさか」って言われるような状態も大きく改善され、キッチンやバスルームが部屋についているメゾネットタイプの豪華な部屋と、そのほかのもうすこしリーズナブルな部屋に変わるようです。今後、来訪を予定されている日本の同僚の皆さん。ご安心を。
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2002/11/05
冬の日の花火
今日は、有名な?ガイ・フォークス・ナイト。その昔・・・(ガイ・フォークスについては自分で調べてください)。
ここ一週間ぐらい、そこらじゅうで花火をやってます。なんか、家の裏庭の狭いところとか、樹木が生い茂って、スペースが限られているところで、打ち上げ花火をあげてます。
そのあげ方があまりに危ないのか、地方新聞に「毎年、ガイフォークスナイト前後に、何千人も怪我をします。安全にやりましょう。焚き火の時はハリネズミ(!、どうやら焚き火用のやぐらなどに入り込むらしい)に気をつけて。馬は驚きやすい動物ですので、驚かさないように。」というような、告知が出たりします。
4日、5日は特に盛大な打ち上げ花火が上がりますが、4日の分は帰り道に偶然、打ち上げ会場のそばを通りかかったので、堪能することができました。イギリスの花火は、「音だけ」とか、「色が単色で単調」という話を聞いてたので、タカをくくっていたのですが、実際はものすごーく綺麗でした。もちろん、単色じゃないし、迫力もあるし、仕掛けもいろいろあって。日本でもよくある、爆発したあと火の玉みたいなのが不規則に飛び回るような花火とか、シュワシュワっと柳の木みたいな花火とか。これって日本の花火師さんたちが、冬の出稼ぎに来てんじゃないのと思うほどでした(日本の花火が一番と信じ込んでるのか?)。
日本で夏に見るような湿度の高いじっとりした空気ではなく、カラッとした澄んだ空気でみる冬の日の花火、案外いいもんです。
ただ、今夏、日本で花火の破片が親子を直撃するというような事故もあったし、さっきのような新聞の告知もあるし、花火をほぼ真下から見るのは怖かったです。
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2002/11/06
英語はやっぱり難しい
まだ一月もたっていないですが、おぼろげながら、海外で暮らすということの意味がわかってきました。特に海外暮らしに必要な英語力って、今まで考えてきた英語とはまったく違うもんですね。いくつか具体例を挙げると・・・

1 冷凍食品をスーパーでかって、さあつくろうというときに、書いてある調理法が理解できない。ラップをはがすとか、レンジ(Microwave)からいったん出してよくかき混ぜるとか、ラップに穴を開けるとか、そういうインストラクションがまったく知らない単語だった。台所で辞書を引きながら晩御飯つくるなんて日本では想像もしなかった。

2 自転車がパンクしたんですが、「パンク」って英語か?と和英辞典を引く羽目に。Punctureという言葉とflat tireというのが正解。まflat tireぐらいは知ってましたが、とっさに出てきません。多分、日本で何年英語を勉強していても、こういうのは出てこないでしょうね。

3 この自転車を自転車屋にもっていったんですが、自転車修理工のお兄さんの英語が全くわからない。なおしてやるといってるのか、駄目だ今は混んでる(こういう風に断られることもある)といってるのか、雰囲気はわかっても、細かい話がついていけない。このほか、英語がわからなかった例は、BT(電話会社)のカスタマーサービス(まったく見当違いな契約をしてしまった。国内定額かけ放題って、だれにかけるんだよ。)。家を探していたときに電話で話した「眠そうで、機嫌の悪そうな家主」など。テレビや講義、それに研究所のきちんとした英語を話す(ゆっくり話してくれる)人たちの英語は、大体わかるんですが、一般の人の普通のしゃべり方は駄目です。最初は、そういうときかなり落ち込んだんですが、このごろ別にいいやという気分になってきました。だって、異邦人なんだもーん。きっと、自転車修理工のお兄ちゃんが理解できないような本(英語)を、僕は平気で読んでるんだろうなと思うと、ものすごく不思議ですが。

英語の上達法として、たとえば現地で恋人を作るとか、友達をつくるとか、日本語を教える代わりに英語を習うとか、ネイティブの人とフラットシェアするとかいろいろ言われてますが、これは甘いです!こっちの話しを聞いてやろうという愛情や友情がある人としゃべっても、上達するでしょうが、効果は知れています。
そうじゃなくて、一番上達するのは、「お前の下手な英語に合わせてやる気はないぞ」というhostileな環境におかれるのことでしょう。そのために一番よい環境は、刑務所!または軍隊!
犯罪を犯して収監されるかイギリス軍の傭兵にでもなってその環境で生き延びるためには英語を上達させるよりほかない、そうでなければ相手が合わせてくれることもなく痛い目にあうよりほかないという状況におかれれば、きっとすぐに上達します(予想)。そこまでやりたくない人は、気長に待つか、まずまず話せればよいというレベルであきらめるしかありませんな(えらそうに!)。
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2002/11/07
モーツアルト@クレアカレッジ
研究所はケンブリッジの町の中心からみて西の方角、徒歩15分ぐらいの距離にあります。普段は、裏門からキングスカレッジという名所の広い庭を通って町にでるのですが、この裏門が夜になるとしまっていることがあります。ある夜、キングスの裏門がしまっていたので、隣のカレッジを抜けてみようとおもって、すぐ北隣のカレッジの裏門らしきところから入ってみました。
このあたりの町の中心に広大な土地をもっているカレッジは、由緒正しいふるいカレッジです。ケム川を挟んで、「バックス」といわれるカレッジの「裏庭」が広がっています。信じられない広さです。ですから、裏門から入っても、まず森みたいなところを抜けて、ケム川を渡るきれいな橋があって、それから芝生のきれいな裏庭があって、中庭があって、という風に、いろいろ展開がありまして、知らなければ先に何が起こるのかわからない、そういう抜け道です。
この日入ったカレッジは、街灯もなく薄暗い感じの道で、森の中を一人で歩いている気分にさせられる寂しい雰囲気でした。やがて、バッキンガム宮殿の正門にあるような、妙に格調高い、紋章入りの鉄の門が見えてきました。幸いその門が開いていたので、さらに進みます。するとこれまた4階建ぐらいの宮殿のような建物が行く手をふさいでいました。道はその建物の1階部分を突き抜けて進めるようにしてありました。そこで、さらにさらに進みました。建物を通り過ぎると、目をみはるような、ちょっと夢の中にいるような幻想的な中庭が広がっていたのです。通り過ぎた建物を含めて、その中庭は、建物に四方を囲まれていまして、ちょうど一辺が100メートルぐらいの正方形の庭です。芝生の庭を石畳の道が十字に貫いているそれだけの単純な庭なのですが、庭に面した窓がすべて居室で、そこからもれるオレンジの白熱灯?のやわらかい光が庭をぼうっと照らしています。ちょうど夜霧が出ているので、その「ぼうっ」とした感じがより印象的です。そして庭をもっとも特徴付けているのは、正面の屋上にある大時計です。私の乏しい文学的才能では表現することが難しいですが、薄暗いプロムナードから中庭の夢のような雰囲気への劇的な変化がなんとも感動的な抜け道でした。そのカレッジはクレアカレッジといいます。カレッジのHPには夜とった写真はありません。カレッジの地図はこちらです。この地図のQueen's RoadからTrinity Laneへと抜けたわけです。感動的な中庭とはOld Courtのことで、時計台は地図上ではちょうどチャペルの左で中庭に面しています。

ながながと書きましたが、このクレアカレッジのチャペルでCambridge Mozart Playersという学生オーケストラのコンサートがあったのです。実は私、モーツアルトフリークで、ケンブリッジでモーツアルトやりますという命名のポリシーだけで、何ポンドか寄付したくなるような感じでした。しかも曲目がクラリネットコンチェルトとジュピターっていう(私にとっては)お腹いっぱいのメニューでした。ですから、夜9時からというコンサートにもかかわらず行ってまいりました。アマオケの経験のある人にしかわからないかもしれませんが、第一バイオリン4人、第2バイオリン3人で、モーツアルトをやろうという時点で、勇気というか実力というかを十分に図り知ることができます。バイオリン奏者にとってモーツアルトはめちゃくちゃ難しいのです!4人なんかだと個人の技量も問われるし。実際、なかなかの腕前でした。小さいチャペルで、モーツアルト。しかも会場に一番に行ったので、最前列で(このまえのキングスカレッジのときの轍は踏まない)!それに、私の格好では、何にも言わなきゃ学生料金(3ポンド)になるし(これって詐欺?)!嬉しすぎます。
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2002/11/08
イギリス人と天気の話
ジャクソン教授の特別講義も無事終了しました。一日一時間ずつで4日間というのは、一冊の書物になる講義には短すぎるような気がしました。WTOの一般国際法上の位置づけ、国際経済法と一般国際法の関係など、難しい問題を、短い時間で駆け足で説明しておられました。

話は変わりますが、最近の天気はこういう感じです。
Partly Cloudy(晴れ時々曇り)→Mostly Cloudy(曇り)→Shower(にわか雨)→Rain(雨)→shower→Partly Cloudy
これがサイクルですから、1日晴れ間がのぞく(それでも突然雨が降ったりする)とあとは数日曇りか雨の天気が続き、忘れたころに晴れ間がやってきます。天気図を見ると日本近辺では信じられないような状況です。ちょうどイギリスの北西沖の北大西洋に大きな低気圧があって、停滞しています。それが台風のような形の渦になっていて、雲の帯を幾筋も引き連れています。その雲の筋というのが、低気圧を中心に放射状に何本もの前線となって天気図には描かれるのです。その前線の帯が低気圧を中心に、ぐるぐる回転しており、ブリテン島に次から次へと襲いかかってくるわけです。だからその前線と前線の合間にしか晴天はないのです。

イギリス人はよく天気の話をすると聞いてましたが、よく理由がわかります。みんな晴天を待ち望んでるわけですね。晴れたら、みんなで喜びを分かち合いたいし、曇りや雨の日は、早く晴れないかなと愚痴りたいわけです。
この前、ものすごく天気の良い日に、スーパーの駐車場で、見知らぬ二人連れのお兄さんに道を聞かれました。それで、「ごめん知らんわ」っていうと、お兄さんたちは「まあいいよ、それにしても良い天気だよねえ」といって思い切り伸びをして、立ち去りました。別に、上品で道行く人と挨拶を交わす習慣のあるような人たちには見えなかったし、アジア人の男性に興味のある「そういう趣味」の人っぽくもないし、どう考えても僕が道に詳しそうにも見えないだろうし、この二人連れは、単に天気の話がしたかっただけなのかな。
しかし、その瞬間に、イギリス人が天気の話をよくする理由がわかったのです。なぜなら、そのとき僕もお兄さんたちと同じことを考えていたからです。「いやー久しぶりに良い天気ですねえ」
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2002/11/09
ギネスを舐めつつ新聞をよみながら・・・
戦争か?昨日、安保理でやっと対イラク決議が採択された。これで、年明けにでも戦争が始まったら、戦時下の国に住むということになる。明日は戦没者メモリアルデーこれを機に、ちっとは時事ネタについても触れてみよう。といいつつ、ギネスのクリームのような細かい泡に舌鼓をうちながら考えたことなんで、国際法学者としての見解とは受け止めないように!

今週の集中講義でジャクソン教授(絶対に50年以上共和党に投票し続けてそうな感じの人:いや私は共和党にも少なからずよい人材はいると思います。だから、これはけなしているのではありません。)が強調してたけど、よくアメリカがここまで粘ったという感がある。最初のころの国連の決議がなくてもOKという態度からすると「180度の方向転換(ジャクソン教授)」かもしれない。逆に言えば、誰の目から見ても穴のある玉虫色の決議で、ロシア・フランスがよく妥協したなとも思う。これは、どういうことなんだろう?要は、露仏は、戦争を避けたいというわけではまったくない。単に英米の「覇権」を阻止したいというだけなんだろう。また国連の権威を守るというより、自分たちの砦である安保理を外れた武力行使をどうしても避けたかったのだろう。

デイリーテレグラフ紙によると、作戦には、今度こそ地上戦が予定される。トルコから越境する部隊と、クウェートからの部隊とがバクダットを挟み撃ちにするという作戦らしい。しかし、ちょっと考えた方がいいよ、ジョージ&トニー。91年のクウェート解放や昨年のアフガンでの作戦が成功して、自信過剰になっていないか?クウェート占領に来て、やる気のなくなっていたイラク兵や、神学論だけのタリバン兵とは違うよ。あのイラク兵だって、いくら秘密警察にフセインへの忠誠を誓わされているだけいのイラク国民だって、国土を制圧しようとする英米軍にすすんで投降して来るはずはない。どうもイラクの共和国防衛隊?とかいう精鋭部隊しか計算に入れず、通常軍や国民の抵抗運動なんかは深刻には考えていないようだけど、甘くないか?イラクは広いんだし、第二次大戦以来の大規模な地上戦になるんじゃないのか?あまりにも「軽い」計画に見えます。戦争が何ヶ月も続き、イラクお得意の被害誇張(捏造)メディア攻勢をかけられたら、アメリカはともかく、イギリスでは戦争は続けられませんな。

そして、先月、ロンドンでグリーンウッド教授が言ってたんだけど、忘れてはいけないのは、安保理決議が出たということは、大量破壊兵器開発阻止が武力行使の目的になるんであって、フセイン政権転覆を直接のゴールにするのは、安保理の授権(あったのか?)の範囲を超えるということ。もちろん、日本が協力の根拠にしている「テロとの関連」は、だれも証明してくれないでしょう。世界的にみると、「勝手に神学論争やってろ」という風にしか見られません(というか、この際、日本の憲法論議にはだれも興味なんか持ってくれません)。

わたしは、自分がわりと現実主義的な思考を持ってると思うし、軍事力の国際政治における影響力をシビアに考えたいと思うんですが、それでもこの対イラク戦が、政策的に成功するとは思えません。ブッシュ父のときの湾岸戦争とは、ぜんぜん違いますね。
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2002/11/11
イギリスってヨーロッパか?
最近、英仏海峡からこっちは北アメリカなんじゃないかと思います。もちろん、イギリスはEU加盟国なんだけど、自分が思ってたEU加盟国の様子とは大きくかけ離れてる気がします。
1. いまだに女王陛下の顔入り(何年前の?)のポンドを大事に使ってる。(これはご存知ですよね)
2. スーパーの広告に、ユニオンジャックマークをつけて「国産」っていうのを売り物にした商品が非常に多い。はっきり言って、共同市場の趣旨をわかってますか?イギリス人の皆さん?
3. EUというと厳しい環境基準というイメージがありますが、イギリスでは、ゴミ収集がものすごーく大雑把(もしかして私がルールを知らずにめちゃくちゃしてるのか?)。私、日本では、京都市に住んでました、京都市のゴミ分別ってすごい遅れてるなーと思ってたんですが、イギリスはそれより大雑把です。分別は、ビン、紙、その他です。ペットボトルも缶類も何もかもゴミ袋にいれて家の前の大きなゴミ箱にポイでおわりです。この間ニュースで、オランダなんかと比べて、イギリスではゴミの埋め立て処理がいかに多いかを比較してました。BBCいわく「フランスでさえ××パーセントしか埋め立ててないのに」って、比較の対象として、フランスがなんで出てくるんでしょう?ともかく、ヨーロッパ各国の中ではダントツで悪いんです、イギリスは。それにもかかわらず、保守党の環境担当のおばちゃん議員が、「わかってますか皆さん、ゴミの分別にはコストがかかるんですよ」とかこの期に及んでほえてました。そういう議論がまかり通るんですね。
ま、保守党政権ならともかく、5年も労働党政権でやってきてなんでこのざまかな?ニューレーバーってなんなんだ?労働党政権のくせに(だからか?)、今年の冬は、ストライキの嵐が吹き荒れるって話しだし。大体、なんで消防士がストしていいんだ?火事になったら軍隊が出動するみたいですけど、軍隊の消火って、隣の家をつぶして延焼を防ぐみたいな雑なイメージがありますねえ。できれば火事は消防士さんに消してほしい。
ところでこのニューレーバーについて。日曜日と月曜日に、ニューレーバー+ブレア政権誕生の舞台裏をプレス担当の若手活動家たちの目からみたドラマをBBCでやってました。ペーペーのニューレーバーの旗手が、政策転換のために方々に説明にまわるんだけど、労組のおっちゃんたちや、障害者団体の人たちに、怒鳴られまくってるシーンばっかりでした。でもBBCってすごいですね。現政権を支えてる人をネタに、よくここまで暴露するよなって思いました(あんまり詳細は理解できなかったけど・・・)。労働党は製作協力拒否したみたいですが、秘密工作のシーンとか多すぎです。ほんとにここまでしたんだろうか?
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2002/11/13
動物だらけ
一週間の間に3回も自転車屋さんに行きました。後輪のパンク、前輪のパンク、ブレーキのワイヤー切断と、立て続けに起こり、自転車そのものの値段と同じぐらいの投資をするはめになりました。最初のパンクのときは、売主に、「ま、これはあんたのせいじゃないと思うし、いいよ。そのかわりいい自転車屋教えて」と太っ腹に構えていたんですが、一週間で3回目になると、さすがに、文句を言おうかと考え始めてます。いずれにせよ、こういう買い物が下手なんですよね・・・。
ケンブリッジの自転車屋は、ものすごく忙しいらしく、11時ごろに自転車を持っていっても、今日はこれ以上自転車預かれないから、明日の朝一番に来てくれといわれたりします。今週の2回は、一番近い店で二回ともそれを言われ、しょうがないので少し遠い、マーケットプレースのバイクショップにもって行きました。お昼前に預けて、5時以降に取りに来いといわれます。もちろん、自転車を預けたので、研究所から街中まで徒歩で(15分ぐらい)行ったり来たりです。

で、今日の夕方、いい加減往復に飽きてきたので、「大好きな」クレアカレッジを通ろうと、すこし回り道をしてみました。んーやっぱり夜(5時で真っ暗なので)のクレアカレッジはいいや、と例の「夢の中庭」で一人感慨にふけっていると、ふと見ると、中庭の芝生を横切る十字の道の交差点の真ん中に、巨大な白鳥が立っています。頭までの高さが、1メートル20センチぐらいの白鳥です。足なんか、人間の大人の手のひらより大きいぐらいです。それが、人が行きかう中庭に悠然と立っていました。本当にネタの尽きないカレッジです。
ケンブリッジは、田舎にあるせいか、キングスカレッジに牛が放牧されているほか、いろんな動物を見ます。
はっきり言って、リスなんか見飽きました。日本では見たことないんですが、こっちでは、行き帰りの通勤路で、毎日かならず何回も(決して誇張ではない)見かけます。研究所の庭も走り回っています。最初はカワイーと思ってたんですが、大きさとか、灰色の姿がなんだか、尻尾の太いネズミみたいにも見えてきて、最近はあんまりうれしくありません。ちなみ灰色のリスは北米から来た外来種で、イングランド固有種の赤っぽい色のリスを駆逐してしまったようで、固有種は保護区などに少し残っているだけだそうです(ブリティッシュカウンシルで習いました)。
さらに動物ネタでいくと、家主さんは、車で通勤中に、目の前をキツネが横切ったのを目撃したそうです。
環境がいいというのか、なんだか。
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2002/11/14
笑うしかない・・・
悲惨すぎます。ショッキングなことが二つも発覚。ひどすぎる。
その一、炊飯器のトラブルですが、やはり壊れてしまっていた。一度目の火事になりかけたとき以降、2回は快調に炊けていたんですが、電気が通じてないみたいです。これはコードや変圧器の問題なのか、炊飯器の問題なのか、悩ましいところです。しかし、炊飯器を振ってみると、なんだか部品が外れてるような、コロコロという音がします。
その二、バスタブにお湯を張ることができないなあ(お湯がすぐ水に変わってしまう)と思ってたら、今日ガスの点検に来た人が、ボイラーが古いからそりゃ無理だって言って帰りました。こちらでは、お湯はボイラーで沸かします。台所にある(なぜか)湯沸かし器の巨大版のような装置で、お湯を沸かしそこにためておいて使います。このボイラーの容量が小さいと、お湯が長持ちしません。

炊飯器とお風呂の二つを同時に失う日って・・・。

こういうときは、昨日のサッカーを思い出して楽しい気分に!
CL予選で、プレミアリーグの4チームは大きく明暗を分けました。あのシーマンのアーセナルとベッカムのマンUは楽勝で二次予選進出ですが、ニューカースルとリバプールは、かなり微妙な位置にいました。
オーエン、ジェラードを擁するリバプールは、プレミアで今首位につけていますが、結局最後にバーゼルとあたって、勝てずに進出を逃しました。バーゼル(英語ではバール)も負けなければ二次進出だったので、最初から攻めまくりです。おまけに、試合はバーゼルで行われました。ものすごいホームのサポーターに助けられて、バーゼルは前半で3点先制し最早これまでかと思っていると、立て続けにゴールを上げ追いつきました。最後はあの敵対的な雰囲気の中で、オーエンがはじかれたPKを自分で落ち着いて押し込んでのゴール。ベビーフェースだけど、イングランド代表でFWの地位を維持し続けるからには、こういう度胸が座ってるんだなと納得。何事も経験なんだろう。しかし、リバプールも同点どまりで、結局バーゼルの方が一時通過。はっきり言って疲れる試合で、中継が終わった後、アナウンサーが「試合のダイジェストはこの後、11時半から同じチャンネルで」と言って、ボソッと「もう一回見るのは疲れるから嫌だ」と付け加えたぐらいでした(おいおい、自分の局だろ)。
その翌日のニューカースルの試合は、extended digestで見ました。一試合を15分ぐらいにまとめたものです。これもまた、スリリングな試合でしたが、こちらは何とか一点差で勝ちました。相手はあのフェイエノールトでした。小野は累積警告で出場してませんでしたので、心置きなく(といっても韓国代表の栄が気になるところですが)ニューカースルを応援できました。ただ、ニューカースルは勝っても、ユベントス対キエフ戦の結果によっては一次突破はできません。しかしユベが気を抜かずにきっちり勝ってくれたので、ニューカースルはセーフでした。「キエフでこっちのBlack & White(ユニフォーム)が勝ったので、ロッテルダムでもAnother Black & White(ニューカースルも白黒縦縞ユニフォーム)が大喜び」という状態。

今日発覚した最後の、そして最大のショック:ニューカースルにはアラン・シアラーというFWが居ます。頭髪の状態が非常に、ベテランっぽい人です。前から、年寄りなのにがんばるねえーと感心していましたが、私と同い年でした。
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2002/11/15
消防士がストをすると・・・
いやー消防士の48時間ストが終わりました。このストの間に、家のボイラーの調子がおかしくなり、なんどかボイラーの種火と格闘しましたが、その最中にふと「いま火事になったらどうなるんだ?」と不安になりました。そういう社会の安心って、無くなってみると有り難さがわかりますねえ。
新聞などでは、論調は厳しく、48時間の間に7人が火事のせいで死亡したといってます。ただ、この数字は疑ってかからないといけませんね。消防士がストをしてない普通の時に、一日平均どれぐらいの人が火事で亡くなっているのか、わからないじゃないですか。それと比較をしてないというのが、ちょっと怪しい。普通のときと凄く数字が違うのなら、それをもっと強調するように思うんですが。でも、消防署から数百メートルのところにすんでるおじいさんが亡くなったという記事もありましたが、これはもしかするとストのせいかもしれません。
消防士は、火事のときに人を助けるのが仕事。とすると、数百メートルの距離に居ながら、何もしないのはつらかったと思います。職業倫理としても、葛藤があったでしょう。消防士組合のリーダーも、「消防士は人道的だから、スト中に火事現場に出動して活動したとしても、スト破りではない」とお墨付きを与えてました。組合ったって、やっぱり世論の支持がなければかないませんから、こういう発言したんだと思いますけど。しかーし、この発言のおかげで、現場にでるか、ストを続けるか個人として選択しなければならないんですよね。実際は、スト中にも、いろんなところで、消防士さんが一番に駆けつけ消火活動救助活動を行い、軍隊の消防隊(the green goddess)が来ると作業を引き継いだそうです。ちなみにこの軍隊の消防車はヴィンテージとか言われるほど古いもので、軍隊が普通の消防署の消防車を借用してもかまわないという許可も出たようです。
軍隊が消火活動のため待機状態に入ったため、イギリスの軍はものすごく困ったらしいです。対イラク作戦の準備が必要なのに、イギリス軍要員の10分の1を国内の消防活動のためにさかなければならないとかで。この先ストが繰り返されるようだと、かなり大変かもしれません。ちなみに、政府は組合の要求を呑む気配はなく、組合側もまだ強硬です。このまま行くと二回目のスト(来週金曜から、今度は8日間!)もありえるとか。

前は、消防士がストなんてと思ってましたが、どうやら消防士の給与が不当に安すぎるというのが、根本原因みたいです。正確な額は忘れましたが、「一日数千円ぐらいの日給で命を賭けるなんて!」というスローガンを見ると、んーストも必要かと。しかし、いきなりの40パーセント賃上げは妥協の余地あるとおもうんだけど。

日本では考えられない、消防士のスト、実際起こってみると、いろんな問題が出てきますね。

追伸:ちなみに、市民新聞みたいなのに載ってましたが、スト期間中、法外な値段で消火器を売り歩くヤカラが居たそうです。商機到来ってか?
ケンブリッジにはGreen Goddessesは空軍基地の二台しかなく、なぜか近くに駐屯しているUS Air Forceの消防車(GGよりずっと新型)が助けに来てました。ホースの取り付け口が英軍と米軍で互換性があったとか。日々の地道な防衛協力のおかげですな。って、トニー、よその国の消防車に助けてもらえるってのは、君の日々のたゆまぬ対米努力のおかげなんだろうけど、先に自分の国の消防士との交渉をかたずけなよ!
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2002/11/16
テレビ
まあ、在外研究に来てるわけで、研究の様子など書けばいいんでしょうが、法学者の研究って、判例を読んだり、本を読んだりでちっとも外から見ていて魅力的なものではない。
だからというわけではないが、テレビの話を。
「のり」はぜんぜん違うけど、基本的なコンセプトが日本の番組と同じというのが多い。例えば、目だって似てると思ったのが、素人参加型+オーディション型歌番組。某TVT京系のAサヤンというのがありますが、あののりですね。一応、誰でも応募できるという触れ込み(日本では、素人が本当に素人というのはないそうですね。ほとんど仕込みだと聞きました。多分こっちも一緒でしょう。)で、始まり、毎週サバイバルで振るい落とされていきます。で、ま必ず、候補者は共同生活を送っています。合宿みたいな感じで歌やダンスのレッスンを繰り返すのです。さらに特殊なダイヤルを使った視聴者投票というのが必ずあって、その結果も反映されることになってます。
同じコンセプトで、歌ではなく、一人の男性を複数の女性が争うというのもあります。参加者の女性の人種構成が、非常にポリティカリーコレクトに作ってあるのが、かえってワザとらしい雰囲気です。よくわからないのは、若い女性が何週間も必死で競うという番組のわりに、対象となる男性(Mr. Right)が貧相だということ。そして、個人的な感想をいえば、参加者の女性と並んで座る司会者の女性(ユルリカ・ジョンソン。あのスキャンダルまみれの。)が一番綺麗だというころがどうも面白くない(面白い)ところです。
注目すべきはMのもんた(日本ですんでた伏見には、「みのもん太さんご推薦」と張り紙をした薬局がありました。関係ありませんが・・・)司会のあのクイズ番組と同じものがこちらにもあるということでしょう。Who wants to be a millionaire?といいますが。もともと、日本の番組も海外のクイズ番組の翻案だと聴いてましたが、イギリスがオリジナル?それともアメリカがオリジナルでイギリスも真似た?ま、海外の番組を翻案するつっても、まったく同じに作るんですね。例の「Final Answer?」という決まり文句も、もちろんイギリス英語のかっこいい発音で出てくるし。賞金金額の上がり方も一緒だし。見守る家族がときどき映るし。ライフラインも三種類同じやつがあるし。細かいところを言うと、解答の四つの選択肢を囲む四角の形も一緒。ともかく何もかも一緒なのです。番組のこういうところまで権利として売るのかな、テレビ番組制作会社って。でも、そうですね、こういうところを取ってしまうと、ただの四択クイズ番組ですもんね。そうなら権利も何もあったもんじゃない。
そのほか、グループ交際実況中継みたいな番組(こっちでは世界をピンクのバンで回るわけではないし、日記が公開されるわけではないし、変なポエムが出てくるわけでもないし、司会者が嘘泣きをするわけでもない←あいつ嫌いやねん。)もあります。

結構しょうもないテレビを見てることがばれましたが、一番腹が立ったことを最後に。ブライアン・アダムスの名曲ヘブンをユーロビート調にして歌ってる女の子がいた。30代前半の人には懐かしいあの名曲をそんな風にするな!といいたい。
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2002/11/18
ゴミ分別(警告書)
イギリスはゴミ分別がなってないとけなしたけれど、今日管理会社から警告の手紙が来た(多分近隣の家にはみんな来ているんだと思うけど、はっきりしない。)。のっけから"The bins are being misused"ときた。ええーグレーとグリーンの色の違うゴミ入れ(玄関先においてある。うちは共同住宅なので共用)は、分別しろということだったのかあー。誤解だったようだ。しかし、説明をよく読むと、緑色のゴミ入れはbiodegradable wasteしか入れてはいけません、とある。あれ?いわゆる生ゴミとそれ以外って分別?正分解可能なものは埋め立てるんだとしたら、それ以外は燃えるゴミも燃えない(燃やせない)ゴミも一緒でいいのか?その後どこへ行くんだ?ペットボトルも空き缶も普通のゴミと一緒でどうするんだ?・・・
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2002/11/19
一つ屋根の下
日本が百何十年ぶりに国際裁判の当事者になった、ミナミマグロ事件。難しく言うと、ミナミマグロの保存に関する地域条約と国連海洋法条約の関係が問題になった事件ですが、要は環境や種の保存に熱心なオーストラリア+ニュージーランドが、国内関係業界などのプレッシャーに押され調査漁獲を行った日本を訴えた事例です。細かいことを書くと、何よりも私自身の理解不足がばれてしまうのですが、仲裁裁判で裁判管轄権なし(つまり訴えられた日本の主張が認められた)の判断が下されました。
大学院の「紛争解決」の授業は、今週から当研究所の所長、クロフォード教授担当のシリーズが始まりましたが、この教授が実は、ミナミマグロ事件でオーストラリア側の法律顧問(要は弁護士)だったわけです。教授曰く、仲裁裁判判決の日は、生涯最低の経験をした日で、いつもは仲が良いし尊敬もしてるシュウェーベル裁判長を正直恨んだそうです。
でも、日本ではよく、正反対の話を聞きましたからねえ。日本側は、私もよく存じ上げてる関西の国際法の先生方がたくさん参加され、飲み会なんかをして「あれはこーだった、あれはやばかった(微妙な話なんで、詳細はやめときましょう)」というようなちょっと得意げな裏話を、聞いたこともあるし、日本側仲裁裁判官のY大使の講演も聞いたこともあります。総じて日本側の主張が認められて当然というスタンスでした。法的主張の当否については、勉強不足なもんで、自分自身は、まだ判断つきかねます。
で来週は、このミナミマグロ事件について2時間ゼミ形式で授業を進めるそうですが、ちょっと楽しみです。どんな話が聞けるんだろう。と同時に、この日本側の主張を説明せよなどと言われないか非常に心配。同僚の日本人の先生にお任せしよっと。

ところで、気がついたんですが、よく見ると、日本側の顧問の筆頭(外務省関係者は除く)がわが母校のA教授で、その次に書いてある名前見覚えあるな。Sir Elihu Lauterpacht,Q.C.,C.B.E.?あれ、これってこの研究所のローターパクト名誉教授じゃないの?ってことは、一つ屋根の下(古!)、原告被告に分かれてついた訳ですか?
でも、こういうことは、ままあるみたいですね。クロフォード教授は、今日はナイジェリアを弁護して、明日はパリで仲裁をして、次はジュネーブだ、ハーグだと、国際裁判で引っ張りだこの人気者ですからねえ。もちろんローターパクト教授もそうですし(裁判記録でよく「すいません、教授。もうすこしゆっくりしゃべってください」と弁論をとめられるの見ます)。国際法学者は多いですが、こういう風に裁判お願いしますと頼まれる学者ってのは、実は限られているんです。とはいえ、恐ろしきかな国際法研究所。

追伸:すいません、表題は、ついつい、「福山エンヂニヤリング・サウンドトラック」というカバーアルバムを聞きながらだったもんで。異郷にいると、妙にこういうCDが心地よかったりするんです。
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2002/11/20
泣き落とし成功か
別に泣いたわけではありませんが、あまりに調子の悪いボイラーについて家主さんにやんわりと抗議したところ、ボイラーを新調することにしてくれました。さすがアメリカ人。契約書に書いてあることは、まもってくれるわけですね。契約書に、家主には「ボイラー、ヒーターなどが動くようにする」という義務があると明記してありましたから。そういう契約内容が、細かい字で書いてあって、誰も読まないことを前提としているのはどこも一緒。しかし、法律学者を甘く見てはいけない(笑)!
とはいっても、契約書第何条にこう書いてあるじゃないか、と詰め寄ったわけではなく、事情を話したらわかってくれたというだけで(いやー1時間おきに種火が消えるんですよ)。家主さんが常識的だったということなんだろうと思います。
中にはひどい家主も居ると聞きます。同僚の研究員で北京から来たドクターCは、私が住んでいた仮住まいの別の部屋に住んでいるんですけど、いよいよ仮住まいの改築工事が始まり退去しなければならず、今部屋を探してますが、この前ひどい家主に会ったらしいです。彼曰く、バスルームでシャワーを指して「お湯は24時間きちんと出ますか」と聞いたら、その家主は「24時間お湯が使いたければ高級ホテルに泊まりなさいよ!」とわけのわからない対応をされたそうです。ちょっと偏見ポイものを感じますが、そうではないみたいです。彼が見に行った部屋の現在のテナントも中国人だったそうですから。要は、誰に対しても高飛車なんですね、この家主の場合。
それに比べれば、私はとてもラッキーかもしれません。財テクで初めて家を人に貸すという家主さんでしたから、何から何までキチンと教科書通りにしてくれます。ボイラーについても、もともと1983年に家が建ったときからついてる化石並みのボイラーでしたから、近いうちに取り替えないとしょうがない状態でした。だから快く取り替えてくれたんでしょう。ボイラーマンと家主さんが話しているのを聞いていたのですが、どうやら1500ポンドぐらいはかかったらしいです。
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2002/11/21
歓迎・新ボイラー!
ついに、ボイラー問題解決。
バスタブにお湯もはれるし、ヒーターがオーバーヒートして種火が消えたりしないし。安心して家で過ごせます。
いやいや、本当によかった。
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2002/11/22
またしてもストライキ突入+ロッカビーって?
消防士が今度は8日間のストライキに突入しました。まあ、16パーセントの賃上げかという予測が流れていたなか、4パーセントという馬鹿にしてる数字を政府側が出してきたようで、組合のおっちゃんたち(もちろん女性消防士もいっぱい居ます)は、ブレアー首相をほとんどサッチャーと同じ扱いにしています。個人的には、ストの前にボイラーが直ってよかったというところです。

金曜日は、恒例のランチタイムセミナーがあって、今日は、スコットランドの検察官が講師。何だってスコットランドの検察官だと思うんですが、ピンと来た人はそうとう国際法通です。この人、今進行中のロッカビー事件の裁判を担当してるんですね。この事件、スコットランド上空で1988年にパンナム機が爆破され、犯人を庇護するリビアに身柄引き渡しが要求され、身柄引き渡し拒否をうけて、安保理が経済制裁をするは、国際司法裁判所で訴訟になるは、国際法で大騒ぎになった事件です。
いったいどんな証拠で犯人を突き止められたんだろうと思ってましたが、非常に地道な捜査がされていたことがわかりました。ばらばらに散らばった飛行機や荷物の破片を拾い集めて、何の破片か特定します。決定的証拠は、一センチ四方ぐらいのタイマーの部品だったり、日本製ラジオのマニュアルの破片だったりです。それがしかも、上空1万メートルぐらいで空中爆破されたのですから、ものすごく広い範囲に散らばり、ジェット気流にのって、ブリテン島の北海側ノーザンバーランド(爆破は西側で、湖水地方からスコットランドに入ったところの上空だった)で見つかったものもあるらしいです。
決定的証言が、実は小さな村の一人の洋服屋の親父(「過去10年間のお客は全員覚えている」と豪語する)のものらしくて、大丈夫かなとも思います。

国際法の世界では有名な話ですが、これらの被疑者を、「オランダに設置されるスコットランド法廷」で裁きます。いろいろ政治的な駆け引きがあって、リビアの求める「公正さ」(はあ?って感じもするけど)を確保するためにこうなったんですね。
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2002/11/23
ジェームス・ボンド卿?
昨日(金曜日)の夜は、研究所の若い(?)研究員+ヴィジターのみんな(総勢11名)で、007の新作Die Another Dayを観にいってきました。
日本未公開なので(来年2月頃公開らしい)、あんまり内容は書いてはいけないかもしれません。
ますます、荒唐無稽になっていくという人も居ますが、私の感想は、よくもまあ次から次へと「敵」をみつけるなというところ。テレビで予告編とか裏話とかしょっちゅうやってるのですが、ある番組で、007の人気の秘密は、その時代ごとに皆がなるほどと思える、つまり本当に脅威だと感じている「敵」を取り上げているから、というコメントを、ディレクターの一人がしてました。ソフィー・マルソー(幾つ?)がめちゃくちゃよかった前作では、ロシアン・マフィアでしたが、今回の脅威は、北朝鮮と紛争ダイアモンド(アフリカで反徒などが資金源にしている地下資源)ですか?ふう。本作で「北朝鮮の脅威」ってのは、狂った軍人が秘密兵器を手に入れるという設定になっています。ただ製作者が意識してないのかもしれないけれど、一番怖い点は、北朝鮮の軍隊の末端が、きちんと統制されておらず、いわば独立した軍閥化していることでしょうか。深読みかもしれませんが、妙にリアリティーを感じる設定でした(拉致事件だってこの前の説明では「末端の暴走」でしたが)。また、北朝鮮が「世界の孤児」みたいな顔を装いながら、実はいろんな国との強い関係を維持しているという設定も、案外そうなんだろうなと思わせるところでした。

しかしまあ、イギリス人って、なんでこんなにジェームス・ボンドが好きなんだろう?BBCで「グレート・ブリトンズ」といって歴史上の偉大な人物(シェークスピア、ニュートン、ネルソン、チャーチル、ダイアナ妃など)を取り上げ、投票させる番組をやってますが、ジェームス・ボンドが死んだということになれば、かならずや、このシリーズで取り上げられて、一位を獲得するでしょう。公開前のプレミア公演には女王も見に来たそうだし。ナイトの称号を獲得するというのもありうるんじゃないだろうか。

おもしろかったのは、007を観た後の男性陣の反応って、万国共通ですね。ぜったい誰かがいうと思ってたけど、そのあとビールを飲んでて、アメリカからきたN氏が言っちゃいました、ガッツポーズをしながら"I am James Bond!"。挙句の果てに、他の人から「国際法学者は007を観なければいけない」の声も。その後は、ボンドガールの話が延々と続いたのは言うまでもありません。今回の二人のボンドガールのうち、ロザムンド・パイクという女優は、「正統派のイングランド美人」らしいです。なんとなく雰囲気はわかります。

ちなみに、グレート・ブリトンズの現在のトップは、やっぱりチャーチルでした。なぜかトップテンには、ジョン・レノンが入っています。ビートルズの中では、サー・ポール・マッカトニーの方が下です。ベッカムが結構上の方の順位にいること、ブレア首相がサッチャー元首相に負けているところが、興味のあるところでしょうか。ベスト100のリストを見ると、ほとんど知らない人ばかりでした。
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2002/11/25
フットボールなんて
いやーサッカーの欧州チャンピオンズリーグも第二フェーズに入り、この火曜日から試合が始まりますが、例によって例のごとく、気になる試合はまたしてもケーブルかサテライト。プレミアリーグ関連で言えば、ニューカースル対インテル、ローマ対アーセナルはケーブルで、地上波はバーゼル対マンチェスターU。この微妙な線引きは、ある意味ではわかりやすすぎる。三試合のうちどれが一番興味が薄いですかといわれたら、やっぱりバーゼル対マンUかな。いや楽しみではあるんですが、三つの比較でいうとやっぱりこれが地上波ってのはよくわかる。今後の試合がどういう放映予定になっているのか、注目。
しかし、この前スカパー(日本)のHPを観て驚いた。プレミアリーグ観るなら、スカパーが一番じゃないですか。こっちではSkysportsなどでも、全試合やってるわけじゃないし。おっしゃー、それならスタジアムへ行ったろかと思って調べると、大方の試合はファンクラブの優先予約で切符は完売してしまうらしいことも判明。稲本君の居るフルハムの会員になろうかと一瞬思ったが、今ちょっと低迷しているフルハムの試合を、いくら稲本が毎試合最後の10分ぐらい出てるからって(日本向け?)、そんなに頻繁に行くかなと疑問に思って躊躇している。しかし、その直後、つまり先週末のリバプール戦(ホーム)は、フルハムがえらい鮮やかに勝ったらしくって、悔しいかも。
でも、しかし、こっちにいるメリットは、一応、すべてのカードのダイジェストはたっぷり見られること。新聞なんかもキチンと全試合解説してるし。だから、ウェストブロムとかサンダーランドとか、なんじゃそりゃというようなチームの知識もつくんですねえ。といいつつ思い出した。大概の新聞は、インターネットでも読めるんだった。
やっぱり、メリットないのかも。サッカーてのは庶民のスポーツなんで、研究所の中でも、大学全体でも、あんまり話題にならないらしく(これはよく言われることです。下手をするとサッカー好きというだけで軽蔑される可能性すらある。)、若い研究者も多いのに、研究所に配達される新聞(タイムズ、ガーディアン、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン)のサッカー特集別冊(毎月曜日)も読んでるのは僕だけだし。

ちなみに、マンU(知らない方への注:ベッカムが所属)とリバプール(同じく注:最近小学生時代!からのガールフレンドの妊娠が判明したパパ・オーウェンが所属)が、来週の日曜日にあたりますが、このマッチは昼の12時15分に試合が始まります。新聞情報では、この組み合わせは必ず早く始まるらしいですが、理由は日本の視聴者に合わせているらしいです(THE TIMES, THE GAME, 25 Nov. 2002), p.23.)。日英の時差は9時間なので、日本時間午後9時過ぎキックオフになるのです
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2002/11/26
C教授人生最大の失敗とは?
大学院の「紛争解決」の授業では、今日、ミナミマグロ事件を扱った。ちょっと疲労気味なので、昼過ぎまで家でごろごろして、講義開始一時間前に研究所に到着し、ほとんど予習なしで出席。目立たないようにしていた(笑)ので、あんまり困りはしなかった(それじゃだめだろうが)。
ミナミマグロ事件の詳細は19日の日記に書いてある。
オーストラリア側の弁護人だったクロフォード教授は、負けた理由として、管轄権の段階で詰まるとは思わなかったともらしていた。オーストラリアは、まったく負けを予想していなかったということであるが、つまりは、自分たちの論理構成に絶対的な自信があったということだろう。それだけに、負けたことが悔しくてしょうがないのがありありとわかった。裁判長のシュウェーベルが裁判所の管轄権について保守的な立場をとるであろうことはわかっていたが、あの事件で、日本側に立つとは予想の範囲外だった、「彼は友人だし、立派な学者だけれど、彼を裁判長に選んだのは人生最大の失敗」だそうだ。でも、この仲裁裁判は、日本とオーストラリア・ニュージーランドとが二人ずつ裁判官を指名し、合意で裁判長を決定するという方式だから、クロフォードの言うとおりなら、3対2で日本が勝ちというはずなのに、実際はオーストラリアの指名した、(オーストラリア側のはずの)ノルウェー人の裁判官も反旗を翻して4対1なんですよね。
ともあれ、仲裁裁判というのも、一種の外交のプロセスですから、純粋に国際法を当てはめて白黒つけるだけが解決ではないんです。法的議論だけで完璧だと思っていたというオーストラリアは、その辺の準備が足りなかったんじゃないかなと思います。個人的意見ですが。

さて、明日から、すこし大陸方面にリサーチ旅行に行ってまいりますので、しばらく更新がないかもしれません。ご心配なきよう。Au revoir!
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2002/12/01
EasyJet.comって
先週からしばらく大陸方面へ行っておりましたが、いろいろ面白かったです。特筆事項その1は、なんと言っても格安航空会社のEasyJet.comでしょう。15ポンドで、ニースとかマドリッドに行くような便もあります。日にちと時間帯によりますが、ホームページでいろいろ検索してみてください。
あまりに安いので、チャーター機とか、ぼろぼろの飛行機を創造していたのですが、機材はちゃんとボーイング727でした。
このEasyJetやRyanairなど、格安航空会社が、ヨーロッパ各地にたくさん飛行機を飛ばしていてロンドンー−ジュネーヴ便など、スキー需要があるのか、一日に4往復ぐらいありました。で、両者とも成長著しいので、既存の会社とくにイギリスではBritish Airがあせってるようで、BAは、テレビで捨て身のCMをやって、EasyJetなどを攻撃しています。CM曰く「(BAなら)座席が決まっています。食事や飲み物の料金もコミです。十分な数のスタッフが居ます。辺鄙な空港に着いたりしません(「中心街まで90Km」という看板の映像と同時に)。」乗ってみると、これは全部EasyJetのことだということがわかり面白かったです。
本当に自由席で、チェックインしたのが早い人から搭乗できて、自由に席を選べました(でも早く搭乗しても、通路側を選んで座っていても、迷惑な顔されるので、実際はあんまり自由に選べるということはありません)。食事も全部有料でした。ソフトドリンクもです。スタッフの違いが、やはり大きいようです。地上のスタッフも若いバイトの兄ちゃん姉ちゃんって感じ。フライトアテンダントは、120人ぐらいのお客に対して二人(帰りは3人)のみで、きれいな格好をして、ひざまずいてサービスなんてのは望むべくもありません。Easyの場合、フライトアテンダントは、ジーンズをはいています(一応、きれいな黒とかのものですが)。一応、英仏(ジュネーヴ便は)バイリンガルで、フレンドリーな雰囲気ですが、まるで友人にしゃべっているかファーストフードの店員(イギリスのです。日本のマニュアル化された対応とは違いますが)のような感じです。パイロットは、どんな人がやってるのか確かめる術はありませんが。帰りの便では、「こちらキャプテン××です」ってしゃべってましたが、どう考えても東欧系の名前でした。んー、クラッシックで、ナクソスというレーベルがあって、冷戦後、ウクライナとかポーランドとか東欧の名人なんだけど今まで埋もれていたギャラの安いアーチストで録音して、一枚1000円ぐらいの格安CD(案外いいものもある)を売ってますが、その作戦でしょう。きっと10年前まではツポレフとかミグとかそういう名前の飛行機を操縦していたに違いない。
つく空港が辺鄙てのは、ロンドンでのはなしでしょうが、私がのったルートンは、ロンドンの北、電車で一時間ぐらいのところにありますが、ケンブリッジからは、むしろヒースローなんかより近いので(バスで1時間ちょっと)、これは問題なしでした。

さて、こういう航空会社がいいのか、という問題ですが、私的には◎でした。ジュネーヴであった知人にこの話をすると、飛行機に乗ったら、食事もお酒も自由で、ひざまずいてサービスを受けるのが楽しいんであって、EasyJetみたいなのはいやだという反応でしたが。実は私自身もそういうのは嫌いではないし、渡英するときも時間をかけてもシンガポール航空でいこうかと本気で考えてぐらいです。しかし、これは払ったお金とのバランスなんだろうと思います。こっちは、10万円以上払ったんだと思うと、食事は有料、フライトアテンダントがジーンズってのは許せないと思うけど、国内で列車で旅行するような料金しかはらってないと、そういう格安サービスも許せるわけで。新幹線でビールを買って、無料じゃないのか?めちゃくちゃ高いのはなんでだ!っていう人はあんまりいませんよね。飛行機にも、そういう必要最低限のサービスしかないところがあっても構わないのかなと思います。

払ったお金とのバランスという点では、欧州メジャー系の航空会社で日本とヨーロッパを往復するのが一番いやですねえ(笑)。

ヨーロッパネタ、続く・・・(笑)

追伸:Ryan Airという会社に触れましたが、EasyJetよりうわ手でした。フランクフルト・ロンドン9.99ユーロ(約1000円)なんてのがありました。
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2002/12/02
ジュネーヴ(本当のヨーロッパ!)とケンブリッジの比較検討
スイスのフランス語圏に行ったわけですが、イギリスとの違いがいろいろあって面白かったです。

*格好がエレガントでおしゃれ*
ちょっと田舎びているらしいんですが、ジュネーヴも一応フランス語圏。安直なイメージかもしれませんが、さすがフランス文化圏、道行く人がおしゃれなような気がします。女性でスカートをはいている人の比率が、ケンブリッジよりずっと高い気がするし、ケンブリッジでは(多分ロンドンでも)まず見ない毛皮のコートを着たご婦人が歩いておられます。女性の髪形も、きちんとパーマをかけて綺麗なウエーブがついてるし。男性もおしゃれな帽子をかぶってたり。駅前のカフェで昼御飯を食べていたら、店内にあのトッティのような髪型(顔も似たようなつくりの)のブロンドの青年がスーツを着て入ってきて、ガールフレンドと待ち合わせをしてるのを観たし(正直、惚れました!ジュネーヴのトッティ君)。この様子なら、ジュネーヴでは、室内が暑いからといって、冬でもTシャツで仕事する女性なんか居ないんでしょうね。皆さんちゃんと、雨が降ったら「フードではなくて」カサをさしてるし。雨が降ったら、マウンテンパーカーだかダウンパーカーだかのフード(襟のところにクルクルと丸めて詰めてあるもの←日本でこれを使ってるひとってあんまりいない)を出してかぶるというのが、イギリスの流儀らしく、私もそんな習慣にすっかり染まってますが、ジュネーヴの人たちは、そんなかっこ悪いことしないんだろうなあ。

*喫煙天国?*
しかし、意外なのは、大陸の方がタバコに寛容なんですね。イギリスでは、オフィスはもちろん歩きタバコもあまり見ないんですが(タバコが高いもんね)、赤十字のオフィス内が喫煙自由だったのがものすごく印象的でした。歩きタバコもしょっちゅう見るし。きっときょうび日本の方が厳しいんじゃないかしら。イギリスのタバコ政策は、ヨーロッパの影響ではなく、ずばりアメリカの影響なんですね。やっぱりドーバー海峡から北はアメリカなんだ・・・。

*シャワー!!*
これは切実な問題ですが、シャワーの水圧が高い。まるで日本みたい。オランダに留学してた友人に、ヨーロッパのシャワーって(水圧が強すぎて)痛くないか?と聞かれたことがあるけれど、水圧が弱いってのはイギリス特有の問題なんだろうか。ロンドンでホテルに泊まったときも、やっぱりシャワーがちょろかったから、単に住んだ家が悪かったというわけではなさそうだし。

*知らない人への態度*
どうも、イギリス人(ケンブリッジ特有なのか)って、知らない人としゃべるのをどうとも思ってないような気がします。よく、かなりのじいさんとティーンエージャーのとんがった少年が、知らない同士なのに、ニコニコ会話をしてるのも見るし。パブなんか、人類皆兄弟みたいな雰囲気だし。上品なおじさんおばさんは、道ですれ違ったら挨拶してくるし。そういう他人と仲良くしようというか、他人に興味を持つというか、そういう雰囲気が、ジュネーヴではあんまりなかったような気がします。他人は他人、自分は自分という一線を守ってるような。ある意味、洗練されてるんですかねえ。ちょっと緊張しました。だから、帰りに、ロンドン行きのEasyJetのカウンターに行列した、洗練とは程遠い純朴な感じのイギリス人の列を見たときはほっとしました。その列の人々(スキー客だということもあるけど)、僕と同じように、ジャケットのフードをだらっと背中に垂らしてました(なつかしー!)。
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2002/12/03
赤十字国際委員会(ICRC)
赤十字というと、京都だと東福寺にある病院や、ときどき家の玄関に「赤十字社員」というシールが貼ってあるのを思い出されるかもしれませんが、それは日本赤十字社という国内組織です。じゃあ、各国の国内赤十字社が集まったのがICRCかというとそれも違います。そういう赤十字社連盟というのは別にあります。
もちろん関係はあるんですが、ICRCは、そういうお医者さんの集団とは違って、国際人道法の普及発展実施のためにある組織です。厳密な意味での国際組織ではなく、簡単にいうとNGOですが、そんじょそこらのNGOとは違って、非常に国際的な地位が高い組織です。アンリ・デュナンから始まったせいで、20人のスイス市民によって運営されています(最高意思決定機関がそうだという意味で)、非常にたくさんの職員が働いています。
わかりやすい例で言うと(でもないけど)、ペルーの日本大使公邸人質事件で、犯行グループと当局の仲介役に、赤十字マークのゼッケンをつけた方がおられましたが、あれは、ICRCのペルー代表の方です。まあつまり、戦時に捕虜収容所を訪問してキチンと捕虜条約の規定が守られているかをチェックしたり、人道援助を実施したりする組織です。捕虜条約や文民条約など、私が専門としている、昔で言う「戦時国際法」今で言う「国際人道法」の条約発展にも貢献してきました。

ジュネーヴを訪れたのは、このICRCで資料収集したかったからです。国際人道法や戦時国際法などというと、非常に物騒な響きがあります。一般の方はともかく、じつは国際法学者の中にも、ちょっと敬遠気味な雰囲気があって、「マージナル」な分野だと長らく言われてきました。国際法研究所でも、「何やってるの?」と聞かれて「国際人道法です」とこたえたあと、なかなか学問的な話は続かず、単なる世間話へと会話が流れていってしまうのが悲しいところです。

しかし、ICRCでは感動しました。法務部というまさに、人道法の仕事をしてる部署に言ったのですが、話をしたリーガル・スタッフの全員がこの分野の専門家です(涙)。おー、ここではだれも世間話で逃げようとしない。ここでは、誰もが僕の言ってることを理解してくれる。ここでは、(人道法の分野で)僕の知らないことを知ってる人がいっぱい居る。ここでは最先端の議論をしている・・・。なかには、国際人道法で博士号を取得してるようなつわものもいて。
何よりも嬉しいのは、ベルギー人とかスイス人とかオランダ人とか、バイリンガルになる素養のある国(国際機関で働く条件ですよね)の人が多くて、英語のネイティブじゃないから、言ってることが聞き取りやすい(涙)。しかし、スイスのドイツ語圏の出身でドイツ語のネイティブだけど、僕とは英語で話し、助手の人にはフランス語で頼みごとをして、というのがICRCでは(というかジュネーヴでは、というかスイスでは?、んヨーロッパ大陸では?←イギリスは含まず)当たり前。

というわけで、いろいろと細かい話を担当者に聞いて、必要な資料はコピーをもらって(無料で、秘書の人にやってもらえた)、ホクホクでイギリスに帰ったのでした。

ICRCはどこからお金が降ってくるのか、図書館でコピーをしても、コピー代はいいよいいよといわれるし、気前がよかった。ジュネーヴには国際機関の本部がたくさんありますが、お金のあるなしは外見でわかります。そもそも国際機関の財政は加盟国の拠出金(GNPに基づいて分担率を決めて各国が払う)によりますが、それだけに頼っている機関は、拠出金を滞納する国もあったりして、金欠です。しかし、ひとつ異常に金持ちそうな、国際機関があったのです。WIPO(世界知的財産機関)です。ビルがやたら大きくて、何棟もあり、庭にモダンアートの展示がしてあって。話によると、中のカフェテリア(というかレストラン)も一番立派でおいしいとのこと。よく知らないけど、知的財産権の国際的な管理で、莫大な「手数料」が入ってくるから、加盟国が拠出金を滞納しようがどうしようが、困らないらしいのです。そう言えば、知的財産法の学者のところに、某筋から、「研究費が余ってるから、使ってくれ」というお願いが、それこそ山のよいに降ってくるという話を聞いたことがあります。

ICRCはどこからお金が降ってくるんだろう?
「善意の寄付かな?」

ぜんぜん関係ありませんが、ドイツ語でもクイズ・ミリオネアをやってました。スイスだからか、ホテルがそういうサービスをしてくれているのか、テレビのチャンネルがやたらと多かったのです。ドイツ語フランス語イタリア語のスイス国内での放送局がそれぞれ複数ずつあり、フランスのテレビも見られるし、ドイツのテレビも見られるし、多分オーストリアとかイタリアのテレビもうつるようになっていたように思います。ドイツ語なんで、まったくわかりませんでしたが、「ファイナル・アンサー」とは言ってませんでした。あと偶然かもしれませんが、解答者がめちゃくちゃつわもので、僕が見ていた一時間の間に、二人とも100万ユーロまであと二問ぐらいのところまで行ってました。何千万円もの賞金を一日でだしてやっていけるんだろうか?ドイツ人って、クイズ好き?
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2002/12/04
クリスマスディナー
3日の晩は、モードリン・カレッジのパーラーで、研究所のディナーがありました。大変格式のある部屋でのディナーだったんですが、如何せん狭い!隣の人とひじをぶつけながらの食事でした。あと、ワインが持ち込みで・・・。あまり言い過ぎると、研究所に悪いのでここでストップだけど、ひとつだけ。メインはポーク、チキン、ビーフから選べたんだけど、ビーフなんかは最初お皿にステーキが一枚のって、なんとなく重そうなソースがかけてあるだけ。あれれと思ってると、給仕さんが「野菜はいかがですか?」といってつけあわせを自分で好きなだけ取れといって回ってきます。林某氏がいうただただ茹でただけの野菜だこれが。前にもカレッジのディナーの経験があるんだけど、あの雰囲気はちょっと苦手。料理に逃げることもできないし。知らない人と、「専門分野以外の」話をしないといけないし。お酒が回ってくると、集中力がとぎれるし。あ、座席は指定されているのです!
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2002/12/05
Sleet?
「いやあ、そっちは寒いでしょ」とかよく聞かれたんだけど、これまでは、そうでもなかった。10月中ごろにこちらに来てから、少しずつ寒くなっていってるけれど、めちゃくちゃ寒いとは思わなかった。天気予報によると、今年の11月「史上最高にウェットな11月」だったらしいが、雨の影響か、雨をもたらす大西洋の海流の影響か。
ところが、最近では、天気予報でも「ウェットな天気はもう終わりました。東の方からドライな、そして冷たい空気がイギリスに近づいています。」とのこと。最近やたらと足腰が冷える(冷え性か?)と思ったら、いよいよ冬なんだ。
その証拠に、天気予報(ばっかりみてんのか?、ってこれは新聞の方です)に新しい語彙を発見。今度の土日はSleetらしい。ところで、Sleetって何だ?新聞を読みながら、周りに居たノンネイティブの人たちに聞きましたが、だれも知りませんでした。いやー、今度の週末には何が起こるんだろうと思って辞書を引くと「みぞれ」!。ところで、みぞれって、正確にはなんだ?それでは日本人以外には説明できないじゃないか。こんどは英英を引くと、凍った雨、雨まじりの雪。確かに正確な定義だ(聞いてるだけで寒くなってくる)。
国際法とは全然関係ないですが、こうやって覚えた英語は身につきますよね。体験として。イギリス、12月、Sleet=身も心も寒かった!という風に。

英語力も日進月歩という感じです。
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2002/12/06
Another university in Cambridge
某M治大学の学生がサークルのトレーナーをつくり、University of M*ijiとロゴを入れてしまったのを見て、とある教授ががっかりしたという話をどこかで読んだ(私も関西の私学の法学部では一番頭がいいはずの母校で、Faculty of Lowという本気なのか、あほなのかわからないトレーナーを見たことがある)。日本で英語で(フランス語なら大丈夫)University of **という名前を名乗れるのは東京大学だけらしい。京都大学はUniversity of Kyotoとは名乗れないのだ。別に東京に大学が一つしかないわけではないのに、なぜだろう。
ケンブリッジ大学もUniversity of Cambridgeと名乗っている。しかしケンブリッジにある大学も、実は一つではない。別の大学が存在するのである。その名もAnglia Polytechnic University(APU)。ケンブリッジシャーを含めたこの地方一帯をアングリアとかイーストアングリアとか呼ぶが、その名前をとったれっきとした大学である。イギリスの大学はオックスブリッジのトップクラスの大学、その他例えば、国際法で有名なところでは、シェフィールド大学とかエセックス大学とか中堅クラス(といってもかなりの名門だ)の大学と、ポリテクニクという言葉が入っている大学とにレベルわけされる。最後のポリテクニクは、もともとは大学とはみなされていなかった(どういうものだかよくわからないが、どうやら専門学校のような、高専のような響きがある)ものが、ベビーブームに押されて大学を名乗るようになったらしい(間違ってたら誰か教えてください)。

実は、このAPUにも、ちゃんとオーケストラがあって、今晩はそのコンサートに行ってきた。APU音楽学部の学生のオーケストラだ。音楽学部の学生だけあって、と書きたいところであるが、前にUniverisity of Cambridgeの方の学生オーケストラを聴いたときとはずいぶん印象が違った。お客さんものんびりした感じだし、オケや合唱団のメンバーも年齢がいろいろ。演奏を聴いていてわかったが、この大学の音楽学部は、プロを目指すのではなく、音楽を勉強することを楽しみたいという趣旨の学部らしい。多分その他の学部も似たようなものだろう。巧いかどうか聞かれると、それは判断基準が違うとしか言いようがないのかもしれない。

どうして行く気になったかというと、プログラムが面白かった。途中で指揮者が解説していたが、「古典主義の音楽と古典主義を再発見した音楽」がテーマ。スターバトマーテル(映画アマデウスの冒頭でサリエリの少年時代のシーンに出てくる曲)で有名なペルゴレージのマニフィカートという曲から始まり、そのペルゴレージの曲を現代的なハーモニーとオーケストレーションで色彩加えたストラビンスキー「プルチネッラ組曲」、クープランの鍵盤楽器曲をクラリネット・バスクラリネット・ビオラ・チェロ・コントラバスという訳のわからない組合せに編曲された曲(アデシュというブラインドボーン音楽祭などの関係者らしい人の編曲)、有名なイタリアのルチアーノ・ベリオ編曲によるボッケリーニのRitirata Notturna di Madrid(マドリードの夜の何とかって曲だ)、そしてヴィヴァルディのグローリア。最初と最後が合唱入りで、なかなか楽しかった。まあ、プルチネッラなどは、ストラビンスキーってこんな複雑だったかなと思わせるような、微妙なずれのある演奏だったけど(ちょっと心配だった)。

コンサートの進行が大雑把なのも面白かった。インターミッションにロビーでビールやワインを飲めるのは良いが、こら演奏者!まだ半分残ってるのに、何ですでに飲んでるの?まあこれはいいか。アルバンベルク・カルテットは確かにコンサートの後半の方が調子よさそうだし(噂によると、間にワインをしこたま飲んでいるそうだ)。日本なんかだと、合唱団の立ち位置などはあらかじめリハーサルの時なんかに、確認しておくもの(業界用語でバミッておく?)だが、このコンサートでは、見ていると、「あれ、一列目端まで並んだ?あ、じゃあ私から二列目に並ぶなー」てな感じで適当に並んでいく。だから合唱団の並びがものすごくムラができてしまっている。演奏者が出てきたのにいつまで経ってもステージマネージャーが舞台に残ってるのは何でかなと思ったら、合唱団が壇上に上がり終わったあとで、「もうちょっと右、左」などと、フリーキック時のゴールキーパーのような指示をしているのである。昔、こういうステージマネージャーのアルバイトなどをやったことがある身としては、こういうのを見ると、ものすごくドキドキしてしまう。私なら、こんな大雑把な準備では、きっと前日は心配で心配で眠れないに違いない。

でも、ものすごくいいこともあった。合唱の中から、ソリストが出てくるんだけど、一人すばらしいのが居た。うなりました。APUなのに、この人はプロを目指すのか(というよりプロではないのか)?という雰囲気。

でも、ソリスト(複数)が合唱団の中からでてくるのだけど、ソプラノとアルトのデュエットなのに、二人ともソプラノの中からでてないか?とか、え?君さっきソプラノのソロを歌ったのに、今度はアルトのソロ歌うの?とか、かなり融通を利かせてました。さらにさらに、さっきバイオリン弾いてたでしょという人が、次の曲で合唱に加わって(きっちり衣装変えて)たり。ステージ衣装も一応合唱はクロと白、オケは上下クロとしか決まってないらしく、黒やったら何でも良いでしょとばかりに、クロのブーツと「スカートの丈、それヒザ上やん!」てな格好の女の人もいたり。

何から何まで、ある意味親しみやすいコンサートでした。いろいろ書いたけど、楽しかったし、後味よかった。何より、聞くならUniversity of Cambridgeの方がいいかなと思うけど、一緒に音楽するなら絶対APUだ!と思ってしまいました。
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2002/12/09
旧敵国で暮らす(日英開戦の日+1日)
えらい物騒な話題ですが、12月8日には対英開戦の日でもあります。日英間の戦争。これを忘れると、ときどき困ったことになります。各カレッジのチャペルには、「一番目立つところに(これが肝心)」第二次世界大戦に従軍して亡くなった学生の名前が記念碑に彫ってあります。見るたびに人数の多さと彼らの若さに胸が痛くなります。
ただ、直接日本に敵対的な態度をとる人は、お年寄りにしばしばある以外は、そうたくさんはいないのかもしれません。しかし、同じ敵国であったドイツは、今でも「ナチスドイツ」のイメージがイギリス人の心理に深く根付いているという話を今日新聞で読みました。偶然、ケン・フォレットのEYE OF THE NEEDLE(針の眼)の映画を昨日やってましたが、「ドイツ語+無線機=第五列の破壊工作(スパイを見つけましょう)」という刷り込みにより、ドイツ語を聞いただけで震え上がるイギリス人の恐怖感がよくわかりました。要は、イギリス人にとって日本は遠くの敵(兵士の敵)、ドイツは近くの敵(市民の敵)という感じなのでしょうか。ロンドンの帝国戦争博物館(誤解してはいけない。立派な歴史博物館で学術的な施設です。学芸員とかも居るし。)でも、メーンは、戦時のドイツによる空襲下のロンドンの生活再現コーナーだし。

それはそうと、その記事というのは、ドイツ人の少年が、最近、イギリスで暴行された事件があって、ドイツ大使が、イギリスの学校での歴史教育が悪いからだと噛み付いたというものです。新聞によると、そのドイツ人の少年たちは、フットボールの交流か何かで招かれてイギリスにホームステイしてたらしいのですが、イギリス人の不良?少年の集団に「ドイツ人とわかった瞬間に」、「ナチスだ」と言われて暴行を加えられたそうです。今でもドイツ=ナチスというイメージが強く、こうした事件はしばしば起こるらしく、イギリスのドイツ人学校では、公共交通機関などでドイツ語で会話しないことを生徒に勧めたりしているそうです。
大使の主張では、イギリスの歴史教育では、対ドイツ関係の内容が第二次大戦時に偏りすぎていて、戦後50年間のドイツの民主主義国としての成長や良好な独英関係について十分教えていないから、いつまでもこういう事件がおこるのだ、というものでした。
ただ、戦後の関係を重視し、これからを考えて前向きに行きましょうという主張は好ましいと思いますが、「シンドラーズリスト」のように「良いドイツ人も居たのだ」式の議論はどうなんでしょうか。この大使、あの映画がえらくお気に入りで、これがバランスの取れたドイツ人像らしいです。
なにやら、日本と中国や韓国の間で起こりそうな論争ではありますが、今後この発言が、イギリスやドイツでどう扱われるか見ものです。ドイツにもこんな人が居るということです。
EUの統合というのは、フランスの対独トラウマを癒すというかそういう意味があって、仏独関係においては、そうした過去の克服がすすんでいるように思いますが、やっぱりイギリスは、ここでも、部外者なんだと思います。
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2002/12/10
再びロンドン
British Institute of International and Comparative Law主催のセミナーがあったので、ロンドンはラッセルスクエアの、Institute of Advanced Legal Studiesまで出かけてきました。
もちろん全部英語で、朝から晩までびっしり、しかも、ランチ付なので昼休みまで気が抜けないヘビーな会合でした。話題は国際法と大量破壊兵器。イラクで進行中の兵器査察に関係した時事的なセミナーでしたが、如何せん出席者が少ない。30人もいなかったんじゃなかろうか。ちょっと専門的なんだけど、ケンブリッジで世話になってるTony Rogersのほか、Francoise Hampson、Eyal Benvenisti、Hays Parksなど専門の武力紛争法の分野でのスーパー豪華キャスト。イギリス国際法学会のドンというか、Hazel FoxやArthur Wattsも居て、すごい会合でした。

そのあと、知り合いの日本人の国際法の先生とおちあって、日本料理店に。久しぶりに、焼き鳥(塩とたれで)、から揚げ、あたり目、冷奴など、居酒屋メニューを堪能させていただきました(ご馳走様でした)。ロンドンなのに、京都か大阪のどこかの居酒屋(雑居ビルの地下とかにあるやつ)にいるような気分でした。ああいうところでバイトしてる日本人の女の子って、どういう人たちなんだろう?中には英語がぜんぜんできてない(かなりイギリス人の客も居る)のもいたりして。なんで彼女らがイギリスにいるのか理由を考えると、ちょっと気が滅入りました。最初から働く目的でくる人って居ないと思うんだけど、いったい、どうしちゃったのかな?語学留学できて、合法非合法にバイトしてるのかな?目的なく来てるのかな?いろいろ考えてしまいました。少なくともケンブリッジには居ないタイプです。
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2002/12/11
クリスマス休暇とは
最近、どうもケンブリッジ全体が静かだと思ったら、先週末で秋学期(Michaelmas Term)が終わったから。学生はほぼ全員がカレッジに所属しているが、各カレッジとも、学期が終わってから一週間以内にカレッジの部屋を空けなければならない(つまり出て行かなければならない)ことになっている。学期ごとにこれをやるんで、学生の方は大変かもしれない荷物も全部出さなきゃならないのだから。どうりで、貸し倉庫の広告に「学割あります」とか書いてあるわけだ。そういえば、こないだの土日はカレッジの前で車に荷物を積んでる学生がたくさん居た。学部生の場合はほとんどがイギリス出身だろうから、両親が迎えに着たりするんだろう。大学院生の場合は、留学してくる人が多いんで、どうするのか疑問。余計なお金を払えば居られるらしいが。しかし大概の学生は、そしてスタッフも、さらには町の人も、クリスマスは「家(実家)に帰る」のが当然らしい。

クリスマスイブの午後から、クリスマス、翌26日のボクシングデーまで、何もかもが休業してしまうそうだ。本当に誰も居なくなるから覚悟しろと言われているが、25日などは、鉄道もバスも何もかも営業してないことに気がついて愕然とした。日本にはここまで皆が一斉に休む時期ってないですねえ。
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2002/12/12
Mitsuko Uchida in Cambridge!
内田光子とトーマス・ツェトマイヤーのリサイタルがケンブリッジでありました。研究室から徒歩5分ほどのウェストロード・コンサートホールで。バイオリンとピアノのリサイタルなのに、Mitsuko Uchidaが先にプログラムに書いてあったぐらい、ピアノ中心のコンサート。というかこの人のイギリスでの人気って結構凄いね。まあ、20年近くこれだけたくさんのコンサートやレコーディングやで活躍しまくってるから、当然か。こっちでいくつかコンサート行ったけど、ソールドアウト当日券なしってのは初めてだった。前売り買っておいて良かった。
それから、日本人会の集まり以外で、日本人をこんなにたくさん見たのも初めてかも。ちょっと嬉しかったのは、お客さんがかなりの音楽通のようで、前売り券かって楽しみにして来たって感じの人がコンサートホールにぞろぞろ歩いてるのを見たとき。あーこの人たちみんな、内田光子のファンなんだと思うと、ちょっとエイジアンな自分の顔が誇らしく思えてしまった。会場の誰かイギリス人に言うたろかと思ったけど、「内田光子は、20年ぐらい前、まだ日本にいて、若かったときから聞いてるからー」って。実際そうなのだ。京都の某信用金庫のメセナで、モーツアルト協会だかなんだかってのが主催のコンサートシリーズがあって、そこによく出てたのを聴きに行ったもんね(今考えると、内田光子でモーツアルトのピアノコンチェルト20番ニ短調とか戴冠式とか聴いてたのって、凄いラッキーなことだ)。

海外で活躍する日本人を見てホホウと思うのは、サッカーや野球など視聴率と広告収入を目当てに呼ばれる人たち(ごめんI本君)よりも、実力を買われてるひとですね。例えば内田光子なんかはそうだけど、スポーツでも、スキーのジャンプでカサーイ、フナーキとか連呼されてるような出方のほうですね。ノルディックスキーの中継会場には日本企業の広告出てないし。これに関連して、ちょっと笑ったこと。フットボール・プレミアリーグのエヴァートンに李鉄って中国の中田みたいな若い選手が居るんですが、エヴァートンの選手紹介によると、「中国から科建という新しいスポンサーとともにやってきた」と堂々と書いてあるんです。そうかHPに日本語のページをつくったフルハムも似たようなもんか。でも李鉄はフル出場するけど、I本君は最後の10分ぐらいしか出ないからなー。フルハムのほうが露骨だな。

めちゃくちゃ話題がそれた。コンサートだ。曲目はこれはまことに内田光子らしい組合せ。シューベルト→モーツアルト→休憩→シェーンベルク→シューベルト。こういうプログラムでお客を呼べるのは、ブレンデルと内田光子ぐらいだ。最初の二曲は、なんでこの曲なんだと思うぐらい知られてない、まあ若書きの「習作」みたいな曲でしたが、休憩のあとは良かった。帰り際に他の客同士が感想を言い合っていて、思いっきりイントネーションをつけて、Absoluuuutely Excelent!と言ってるのを聞いたときは、「でしょ?」といいそうになった。
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2002/12/18
久々の登場
すっかりご無沙汰しております。事情があって、通訳「兼」ガイド「兼」荷物持ちの仕事をしておりました(笑)。
その間、何度かクリスマス・ランチ、クリスマス・ディナーを食べる機会がありました。
まず、ローターパクト研究所のクリスマス・ランチがケンブリッジの隣村、フルボーンのThe White Hart(白鹿屋?)というパブでありました。このパブの「売り」は、ちゃんと店で食事を調理していること。おいおい、それって当たり前じゃないのかと思いましたが、日本の喫茶店でも、コーヒー会社(UCCとか)の系列店だと、その会社のレトルトパックを使って食事を出してるところがあるので、同じかもしれません。あとファストフードなんかもそうですね。イギリスでパブへ行っても、食事は「チン」するだけのものが出てくる可能性が高いのです。食事が「売り」とは行っても、そこはイギリス。とてもイギリスっぽい「山盛りのメインディッシュ」の味はご想像にお任せします。でもここのStrong Suffolkというビール(Ale)はおいしかった。
クリスマスランチやディナーには「お約束」の儀式があります。それはクリスマスクラッカーです。このクラッカー(食べ物のほうではなく、爆竹系のほう)は、30センチぐらいの長さのラップの芯のような形状で、きらびやかな紙でできています。それが、両端から3分の1ぐらいのところ二箇所で、それぞれリボンでしぼってあり、ぱっとみただけでは何なのか良くわかりません。それがそれぞれの席に一つずつ置いてあります。最初に見たときには全く使い方がわからず、リボンを解いて、紙も丁寧に剥いで中に玩具とクイズを書いた紙切れ(おみくじのような)と紙でできた王冠が入っているのを発見しました。しかし正解は、そのクラッカーの端を二人の人で強く引っ張り合うと、「パン」という音がしてクラッカーが二つに破れ、中から玩具などを取り出すという「儀式」に使うものでした。かなり強く引っ張らないと音がでないので、パーティー前のお遊びとして、親睦を深める「共同作業」ということになるのでしょうか。中から紙の王冠を取り出し、それをかぶり、イギリス流のウィットにとんだトンチのクイズで周りの人と談笑するというのが、お約束なのです。このクイズ、あんまり面白くなく、英語力も要ります(笑)。
研究所のランチでは、もちろんあのクロフォード教授も、お馬鹿な紙の王冠を被ってシャンパンの栓を抜いていました。写真に撮りたかったのに、忙しいのか先に帰ってしまいました。
イギリスでクリスマスといえば、さらにお約束なのが、クリスマス・プディング。つくり方を聞くだけで食べる気がうせるような代物です。何せ、お米を牛乳につけて(これだけでアウト?)、ブランデーだか何かをかけて、1ヶ月ほどねかせるとか・・・。私も絶対いやだと思っていたのですが、話の種にと思って食べてみましたが、恐れていたほどの味ではありませんでした。見た目は相当悪いです(真っ黒)。それに温かいです(プディングだし)。かなり甘いです。が、においはそれほどきつくありませんし、クリームと一緒に食べれば、何とか食べられます。しかし、ディナーの後、相当お酒を飲んだ後に食べると、ちょっとヤバメです。あと、ミンス・パイというのも伝統的なクリスマスのお菓子らしいですが、これも温かくて激甘のお菓子です。どちらも一生に一度ぐらいはチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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2002/12/21
まとめていろいろ
ドイツから妹が来たので、方々を案内して回りました。
まず、2ヶ月ぶりぐらいにグランチェスターまで散歩に行きました。行き帰り1時間以上歩くのはさすがに疲れましたが、曇りでかすかに霧が出た日だったので、行き帰りの湿地帯もなかなか幻想的でした。お気に入りのルパート・ブルックというパブでランチ。クリスマス前なので、クリスマスランチに来てるお客さんがたくさんいましが。お約束の紙の王冠をかぶって、中にはトナカイの角のカブリモノをつけた人もいて、ドイツ暮らしが長い妹曰く、イギリス人て馬鹿なの?しかし、料理はなかなかおいしい。先日の「料理がウリ」の博士課程ならぬ白鹿亭よりも。タラのフライとチップス(ってそれ、フィッシュアンドチップスだろ)を頼みましたが、ちゃんとソラマメで作ったソースとタルタルソースを添え、料理らしくしてあったし、何よりもイギリスにしては珍しく「盛り付け」に気を使ってあった。タラを揚げるときにちょっと反らせておいて、皿に載せたときに見栄えがよくなるようにしてたのだ。ここは本当にお薦め!おいしい料理ということで言えば、自宅の近くにある「ケンブリッジ・ロッジ・ホテル」のレストランもよかった(ケンブリッジの北の方のハンテイントン・ロード沿いにあります)。

また、昨日は電車に一時間ほどのってピータバラへ、大聖堂を観に行きました。ピータバラはショッピングセンターと歴史的な大聖堂が隣り合っており、ショッピングセンターの方は、本当に広大。いかにもイギリスの地方中心都市という感じでした。もちろんケンブリッジよりも都会でした。大聖堂は、宗教建築に詳しい妹に、あの部分はロマネスク建築で、あれがゴシックでと教えてもらい、勉強になりました。この大聖堂は、ガイドなどに時々出ていますが、あまり観光コースにもなっておらず、穴場という感じでした。そのあと、ピータバラといえば、機関車トーマスなので、いい歳こいてトーマスの、Nene Vally Raiwayの駅に行って見ました。しかし、10月まで、しかも夏休み以外は週末しか運転しておらず、がっくり。機関車が走っていない季節は、桂小枝の専門分野である「パラダイス」に属するような寂れた印象でした。

ピータバラの行き帰りは、スタンステッド空港〜ケンブリッジ、ピータバラ、バーミンガム経由リバプール行きのスタンステッドエキスプレスに乗りましたが、これが、「帰省ラッシュ」でひどい混み方でした。クリスマス前なのでしょうがないか。子供づれ、大荷物という、日本の帰省ラッシュと変わらない状況でした。おもしろかったのは、帰りの列車の車掌さん。車内放送でいらんことばかり言って、お客を笑わせてました。アフリカ系の車掌で、独特の訛りで、「本日はご乗車ありがとうございます。この列車はクリスマス・サタデーですごく混んでるけど、屋根の上にも空きはないからね。ピータバラではみなさん、いい買い物したかい?」「次はMarch(駅の名前)です。Marchには停まるけどAprilやMayは通過するからね。」「次はイーライ。イーライはイーライ。イーライ、イーライ、イーライ、イーライ(ひとりフェイドアウト)。」最後のイーライはElyのことで、イーリーと発音されるのが普通のはずなんだけど。一度もイーリーとは言わなかったぞ。本当にこれでいいのかと思うほど、いらんことをいっぱい言ってましたが、楽しい人でした。

クイズミリオネア情報
いろいろ機会があって、アラビア語版(ペルシャ語か?ウルドゥ語か?)とスロベニア語版も見ました。アラビア語版は解答者の女性が黒いベールをかぶっていてアップにしても意味ないじゃんと突っ込んでしまいました。スロベニア語版は番組のCMもみましたが、このCMが面白かった。教会での結婚式のシーンで、出っ歯の見るからにいけてない新郎とかわいらしい新婦が宣誓を行うんですが、神父さん(スロベニアだからカトリック?)が「この男性を夫とすると誓いますか?」と尋ね、新婦が「誓います」と答えたあと、神父が「本当に?」と聞き返し、出っ歯の新郎が大写しになります。そこで、新婦が不安そうに考え始めます。もう予想つくと思いますが、そのあと、列席した家族の心配げな顔を何カットも映し、神父が「ファイナルアンサー?」と念を押し、番組と同じように、日本版でもみのもんたが「間」をとってる間に流れるBGMがなり始め、新婦、神父、列席者が番組と同じカメラワークで次々写り、最後に新婦が「じゃ、オーディエンスで」とライフラインを求め、列席者がほっとするというオチで終わっています。
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2002/12/24
クリスマスイブ
こちらのクリスマス休暇は非常に徹底していて、本当に誰もかも帰省してしまう。私の住んでいる家は何軒かのフラットが集まったいわば集合住宅なのだが、5戸のうち、我が家以外4戸の人々が居なくなった。隣接する棟も3軒全部が空っぽ。窓から、3階建てぐらいのマンションが3棟ほど見えるが、それも真夜中にチェックしたら、それぞれの棟に10軒ずつぐらい入ってるはずなのに、灯りがついてる窓は全部で一つだけ。もしかして、いま我が家は陸の孤島かと思ってしまいます。実際、防犯のために「ネイバーフッド・ウォッチ」とかいうステッカーが貼ってあり、入居の際、これがあるから大丈夫と家主が太鼓判を押していたが、あたり近所、全員がいなくなるクリスマスはどうなるんでしょうか?正解:空き巣のみなさんさえ帰省中。
クリスマスイブは、各店舗とも早仕舞い。午後4時前に近所のスーパーに行ったら、ターキーの値引きをやってました。ラストミニットセールというやつで。
クリスマスイブのケンブリッジで有名なのは、キングスカレッジのチャペルで行われる、Nine Lessons and Carolsという礼拝。地球の歩き方にも書いてあるとおり、凄い人気。寝袋持参で何日も前から並んでるという話を聴いてたので、最初からあきらめていたが、イブの2時ごろにふと見ると、行列はしているけれど入れないことはなさそうな感じだったので、駄目もとで並んでみた。少しずつチャペルにお客が入っていき、礼拝開始の15分前に、あと15人ほどで入れそうと非常に期待していたところで、「もう席はない」と言われてしまった。あー、キングスに来る前に、マーケットの魚屋にウナギがいるとか、八百屋にブラッセル・スプラウトの幹ごととったやつがあるとか言ってはしゃがず、もうすこし早く並んでいたら、世界中に生中継される礼拝が聴けたのに、と地団駄を踏んでしまった。
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2002/12/25
そしていよいよクリスマス当日
クリスマス当日になると、道路などは、日本の元旦のような空き方。商店街にも誰もおらず、ほとんどゴーストタウンのよう。
昨夕すんでのところで聞き逃したキングスカレッジ聖歌隊を、どうしても聴きたく、クリスマスの午前中の礼拝に行きました。11時からの礼拝で、10時ごろからじっとがまんして並び、堂内に入ると、なんと内陣のなかに席があるではないか。そうです。今日は、聖歌隊の少年合唱団(たくさんCDが出ています。ぜひぜひ聴いてください)を目で見ることができる至近距離(姿は見えず、声だけ聞こえるという席もあります)でした。シューベルトのト長調ミサ曲にのっとった礼拝で、たくさんクリスマスキャロルもあり、至福の瞬間でした。あきらめずに並んでよかった。あきらめずにクリスマスに居残ってよかった!
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2002/12/26
ボクシングデー
クリスマスの次の日、26日はボクシングデーといって、引き続きイギリスは「休止状態」。まだ鉄道は動いてません。空港バスは動いてましたが。ただ、不思議なことに、二日ほど前から、テレビで家具屋のCMばかりです。曰く「ボクシングデーの朝九時からセール開始」。クリスマス前は、イギリス人はものすごく太っ腹に買い物してましたから、おそらくクリスマス休暇明けはがたっと売り上げが落ちると思います。だから、休暇明けのバーゲンというのは理解できるんですが、なんで家具屋なのか。新しい家具をそろえてみたいのは、お客を大量に迎えるクリスマスの前ではないのかと思うんだけど。

ちなみにボクシングデーは皆で殴り合う日ではありません。Boxから来ていて、贈り物(特に召使などに)をあげる日だそうです。

明日になれば、何もかもが正常になるはずです。いい加減、だらだらするのにも飽きてきました。日本で言うと1月3日の夕方のような気分です(笑)。
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2002/12/27
クリスマス→ニューイヤーか?
27日になればさすがにクリスマス気分も抜けるかと思いきや、町じゅうバーゲン。どの店も、派手に50%割引というポスター。買い物袋を提げた家族づれが通りにあふれてるし・・・。

「バーゲンでも何にも買う物ないなー」と寂しいことをつぶやきながら、今日は床屋に。美容院ではなく、れっきとした理容室。日本だとこの区別は非常に重要、なにしろ資格が違うのだから。しかし、こっちではどうなんだか。明らかに「美容院」に属する店はあるし、どう考えても「理容室」という範疇に属する店もある。しかし、境目がよくわからなくて、大部分の普通の店は、どっちとも言いがたい。で、今日行ったのはモードリンカレッジのそばのイタリア語で「床屋」と書いてある店。改めてつづりを教えろといわれれば無理なんだけど、「セビリアの理髪師」というオペラの題名でよく見るから、知ってる単語。ていうか、ほとんど英語と同じだから・・・。実は、せっかくだからクリスマス前に切っておこうと思って、イブの日の午後に行くと、その日は3時までの営業しかやってなくて、なおかつ10人以上人が待っていたから、あきらめて、休み明けの今日行くことにしたのです。
感想は、んー、大学生のとき愛用していた大学生協の床屋さんを思い出した。ともかく早い!僕の前の少年は、バリカンのみで5分ぐらいで完了していた。僕は、はさみも使ってもらったけど、それでも10分。前髪を切りすぎると、顔のエラがはってるのがわかるので、いつも気をつけてるんだけど、「後ろと側面は短く、トップは長く」という以上に細かく注文をつける英語力もなく、側面と前髪のバランスが非常に微妙なスタイルになってしまった。でも、凄い勢いと、すごい大雑把さで仕事をしていくバーバーで、終わったときにHow do you feel?と聞かれると、思わずのりで(というかあきらめの気持ちで)Very good!と言ってしまった。しかし、素朴な疑問は、仮に僕に類まれなる英語力があって、きちんと細かい注文をつけられたとしても、他の髪型のレパートリーはあるのだろうか、あの理髪師の兄ちゃん。あまりに落胆していたので、明らかにチップで1ポンド上乗せのつもりであろう料金(カットのみ。チップなしで9ポンド)を払うとき、思わず、Keep the changeを言わずに、おつりをポケットにしまってしまった。僕の前のローティーンの少年でさえ、チップ渡してたのに。恥ずかしいかも。
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2002/12/30
キングスカレッジ聖歌隊
クリスマスに世界的に有名なキングスカレッジ聖歌隊を聴きましたが、その目玉はなんといっても少年合唱団の17人のよりぬきの男の子たちです。ものすごい難関らしくって、一人の空きに何百人もの応募があるそうです。普段はキングスカレッジの裏にある、キングススクールで寄宿生活を送っています。このスクールは付属小学校のようなもので、かれら少年合唱団だけではなく、他の生徒も通っています。ものすごーく学費が高いけれど、かれら17人はエリートなので奨学金が出るそうです。少年合唱団は学期中ほぼ毎日ある夕方の礼拝などで歌ったり、休み中に世界中をコンサートでまわったり、レコーディングをしたりかなりヘビーな生活をしているようです。
24日、25日に礼拝に出るべく並んでいて、彼らの写真をとりましたので、公開します(肖像権とかどうなる?)。

礼拝への行き返りは、寮から列になって歩いてきます。行き返り用の衣装を着て列を組んで。なんともキュートです。 →写真
リハが終わって、いろんな子たちがこのドアに出入りしてました。もしかしてトイレ?(失礼) →写真

礼拝中は、というよりチャペル内は、撮影禁止。礼拝中の衣装はいかにも聖歌隊って感じでした(赤いローブの上に白い割烹着?のようなもの)

25日の昼の礼拝がおわると彼らもやっとクリスマス気分。お迎えに来たパパママと楽しく帰宅 →写真
ドサクサ紛れに、私も一緒に記念写真(右側の汚いコートで自転車に乗ってます)※ →写真
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※注 キングススクールは、国際法研究所の近くにあるので、帰っていく方向が一緒だっただけで、あとをつけて歩いたわけではありません(念のため)。
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2002/12/31
大晦日にお医者さん
大晦日(日本はもう元旦だけど)に、医者に行きました。NHSのGP(つまりは無料のホームドクターってこと)登録を、ずっとサボっていたので、今日は渡英二月半にしてやっと登録完了ということで。日本なら、イギリスは医療制度が無料だといって、手放しで褒め称える向き(政党?)がありそうだけど、実態はあんまり。まだ本格的にかかったわけではないからわからないけど、まあ無料の医療コンサルタントぐらいに考えておいた方がいいのかもしれない。問診し、処方箋を出し、ある程度以上なら、専門医を紹介しというのがルーティンワークだときいている。
大体、診てもらうには必ずアポイントメントが必要だという時点で、日本の常識が通用しない。前に「緊急でGPに駆け込んだらアポイントはあるかと聞かれた」という笑えない話を日本人研究者の方から聞いたことがあるが、あちらにしてみれば、当たり前なのだ。ここは「あるわけないだろ」と怒らずに、「ないけど、緊急だ」と対応するのが正解らしい。あちらも人間(笑)、本当に具合の悪い人を追い返したりしないだろう(と希望している)。まあ、具合の悪さ加減や緊急性の尺度が違うということはあるかも(イライラ)。何しろ雨でもカサをささない、行列で待つのも平気という「(やせ)我慢の国民」だから(笑)。
地球の暮らし方などでは、NHSへの登録は一年以上の滞在が条件と書いてあったけど、GP登録(NHS登録との違いがいまいちわからん)は、「滞在は一年弱」と言ったけどぜんぜん問題なしだった。GPへの登録の手順はとても簡単。地域の保健所のようなところに電話をして、登録したいんだけどといえば、住所を聞かれて、自宅から最寄のサージェリーを紹介してくれる。私の場合は二件紹介された。で紹介されたサージェリーに電話をして登録の可否を尋ねる。私の場合、自宅に一番近いところは、もう登録数がいっぱいだといわれて断られた。お医者さん一人当たりの登録上限があるらしい。で、二番目に近い診療所に電話をしたら、書類を書きに来いとのこと。早速出かけ、書類を書いて窓口に持っていったら、じゃあ大晦日の2時半にヘルスチェックに来てくださいといわれた。???なに一日で終わらないの?ちなみに、書類を出しに行ったのは12月20日のことだった(土日とクリスマス休みをはさんだので異常に間があいたんだろう)。ははーん、GP登録のチェックってのはそんなにきっちりするんだーと思って感心していたが、今日緊張して行ってみてビックリした。今日のチェックって、前に書いた書類の確認と血圧測定のみ・・・。しかも、担当したのは、書類を出したときに窓口に座ってたおばさんじゃないか・・・。医者でもナースでもなくて、受付係がやるんかい?何のために別の日にアポイントを取らされたのかまったく理解不能。まあいいか、無料で血圧測れたし。
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2003/01/01
年越し
そんなに雨が降ったようには思わないのに、ここのところ河川の氾濫に注意しろと天気予報がうるさい。昨日の新聞の一面には、セント・アイブスというケンブリッジの隣町の洪水の写真が出ていたから、他人事ではなさそう。確かに、ケム川の水位も非常に高く、あれがあふれたら川のそばのカレッジの庭なんかひとたまりもないんじゃないかと心配になる。それに、キングスカレッジの牛はどうなる!ケム川はほとんど護岸工事してないし、ケンブリッジより上流も下流も、元から湿原だし。

大晦日は、先日の餃子パーティーのお礼に、同僚の日本人の先生と二人で「年越しそば」パーティーを主催し、中国人の同僚たちに振舞った。そばやわさびなどはオリエンタル・フード・ショップで手に入ったし、ねぎやのりなどの薬味も日本から送ってもらったのがあったので、かなり本格的にできた(と思う)。何よりも楽しんでたのはもちろん自分なんだけど(おいしかった!)。
餃子パーティーでは、餃子の茹で汁を中国人の同僚がおいしそうに飲んでいた。そういう伝統があるからか、蕎麦湯が凄く好評で、鍋一杯分の茹で汁を5人で全部飲んでしまったのが圧巻?!のど渇いたけど・・・。

新年を迎えた瞬間から1時間ぐらい、あちらこちらで花火が上がっていた。ガイフォークスナイトのときみたいだった。そのほかにはケンブリッジでは大規模に集まって年越しを祝うイベントはなかったようだ(田舎だからか)。ただし、パブはどこも深夜までいっぱいだったみたいで、どうやらパブで仲間とビールを飲みながら、というのがイギリス風年越しらしい。

元旦の朝は、ものすごく寝坊し、起きたらニューイヤーコンサートのウィーンからの生中継をやっていた。いまさらながら、ニューイヤーコンサートって、日本では元旦の夜だけど、現地ではマチネ(昼のコンサート)なんだと実感。しかし、ニコラウス・アーノンクールって、ぜんぜんテレビ向きではない。めでたい日には放送禁止の顔じゃないだろうか・・・。彼の選曲か知らんが、「舞踏への招待」って最初に持ってくる曲かな。ウィーンフィルのプライドいっぱいの奏者たちが「なんでこんな芋くさい、ウェーバーだかのワルツをやらないかんのや・・・」と思ってそうだった。

音楽といえば、大晦日の夜に再放送?やってた、「ゴールデンジュビリー・コンサート」すごかった。バッキンガム宮殿の裏庭からでるわでるわ、ロッド・スチュワート、ポール・マッカートニー、エリック・クラプトン、オジー・オズボーン、クイーン、フィル・コリンズ・・・・。日本で紅白をやってるような時間に放送されてたので、なんとなく紅白を思い出したが、次元が違う?このメンバーを一同に集められるイギリス偉大なりと思ってしまった。「ほとんどがイギリス人」(まあ、ブライアン・アダムスはカナダ人だから、半分イギリス人ってことでいいんじゃないの?笑)って皇太子が自慢げにスピーチしていたが、たしかに自慢したくなるわねえ、このメンバーなら。
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申しおくれましたが、あけましておめでとうございます、ことしもよろしくお願いします。
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2003/01/03
イギリス人の知ってる日本って
イギリスでどれぐらい日本が関心を持たれているか。はっきり言って全然だ。
インテリなら多少日本の政治経済について知ってるだろうし、古都京都ってのもある程度知っている。しかし、一般人がどれくらい日本のことを知ってるかと考えれば、特定の分野を除けば、全然知らないと言うべきであろう。イギリス人が日本に対して持っている関心度は、日本人がイギリスに対して抱いている関心とは、驚くほどかけ離れている(というか天と地ほどの差だ)ということを覚悟するべきだろう(特に自称イギリスファンの皆さん!)。
日本のニュースについての私の情報源は99パーセントYahoo!のニュースクリップだが、驚くほどたくさんの、細かいイギリス情報が流れている。最近見たものでは、イギリスで赤ん坊に一番たくさんつけられた名前は?とか、イギリス在住の悪党ナンバーワンは(アンケートの結果)?とか、セレブリティ・ビック・ブラザーズというテレビ番組の結果は(番組を見てない日本の視聴者に意味ある情報とは思えない)?とか。こういう軽い話題は非常に豊富に流通している。まあ、その反面、昨日起きたバーミンガムでの銃乱射事件とか、消防士のストライキとか、ブレア夫人のスキャンダルとか、イギリス人が本当に心配してる(興味もってる)情報はほとんど流れてないんだけど。
日本人のイギリスに対する偏愛ぶりは、イギリスでも気づかれていて(気持ち悪がられていて)、この前、テレビでチラッと、伊豆にある「イギリス村」というテーマパークの馬鹿ップリが取り上げられていた。こちらのイメージどおりの日本人顔(めがね+出っ歯)の男性が、古いイギリス貴族(時代考証は確かか?)の格好をして記念写真を撮ってるシーンが流れていた。はっきり言って「気持ち悪いもの」として扱われてた(まあ、こういうテーマパークはデフォルメされてるから、仮にどこか外国に日本村ってのがあっても行きたくないですな。イギリス人の感じる「気持ち悪さ」はわかるでしょ?)。
端的に言えば、ほとんどのイギリス人は、日本なんて興味ないのである。実際、こちらに来て、日本のニュースをテレビでみたことないし、新聞である程度スペースを割いて取り上げられてるのも読んだことない。文化の紹介はあっても、政治経済ネタは皆無だ。つまり、日本の誇ってた経済力の面でも、ニュースにならないということですな。

ということで、かろうじて誰でも知ってる日本は、と探すと・・・
フジヤマゲイシャの次は、多分アニメ。アキラとかポケモンとかはかなり有名。子どもがハム太郎の本を持ってるのも見たことがある。

じゃあ、イギリス人が知ってる日本語は?スシは知られてるが、他を探すと・・・?意外だけど次の三つかもしれない(決して総理大臣の名前とか、文化人の名前を期待してはいけない)。

1. Futon(フートンと発音する):日本の布団と本質的に一緒なんだけど、こちらのは、三つ折ぐらいにしてスノコのようなものに載せ、ソファーとしても使えるものを言う。というか、押入れがないのでフトンをしまうということはない。日本で言うソファーベッドの発想。かなりポピュラーで、多分誰でも知ってる。ケンブリッジにもフトンショップがある。

2. サツマ:日本のミカンをこう呼んでおり、どこのスーパーに行っても売ってる。日本人や中国人だけではなく、誰もが買ってる。かなり好評なようだ。多分むきやすいのが人気の秘訣。サツマって名前の由来はわからない。オキツ(興津?)という名前のもある。でも静岡産なんてあるはずもなく、大体、今まで見たのはスペイン産とトルコ産。味はかなり、というか完全に日本のミカンと一緒。

3. ロボットちゃん:実は、全部日本語のコマーシャルがある。日本人の若い男の下宿に家事ロボットがやってくるんだけど、言うことを全然聞かないという設定。オーストラリアのフォスターズというビールのCMなので(なんで?)、日本語と気づかない人がほとんどのはず。しかし、そのCMで「ロボットちゃーん」と繰り返し呼びかけてるので、これはイギリス人の耳にもかなり残ってるはずだ。イギリスにこれから留学する人は、「私のニックネームはロボットちゃんです」といえば、うけること間違いなし(ウソ)。
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このネタは、いろいろ考えるところもあるので、また書きます。今日のところの結論は・・・。
「日本人よ期待するな。これは情報の発信を十分にしてこなかったツケだ。まかりまちがっても中国人と間違われてムッとするな(笑)。」
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2003/01/04
錨が水没
しつこい雨が上がり、久しぶりに快晴。こういう日は、外に出るのが楽しいんですが、ケム川の水量がものすごいことになってます。クイーンズカレッジの有名な数学の橋のそばに、The Anchorというパブがあります。パントの乗り場のすぐ近くで、川辺のテラスでビールが飲める、夏の夜に遊ぶのにはちょうどいいところです。観光客もたくさん訪れる超有名パブです。ちょうど地階が川辺のテラスになってるんですが、当然、建物の構造上、このテラスが完全に水没しています。地階も同じです。つまりこのパブは半分が使えない状況にあるわけです。でも、店の前に黒板を出して「通常通り営業してます」とのアナウンス。黒板の下半分は水中を魚が泳いでるイラスト付で。つまり地下は魚たちが貸し切ってますというしゃれか?おもしろかったけど、今日に限ってデジカメ持ってなかった。まあ、店の名前が錨だけに、ときどき水に浸かるってことなのか?
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2003/01/07
鶏か卵か?
ここは社会主義国かと思うほどに、イギリスでは行列して待つことが多いです。銀行しかり、駅の切符売り場しかり、スーパーしかり・・・。こっちの鉄道は、基本的に乗り越しや車内精算ができない(無賃乗車と見られる?改札口がない分厳しい。)ので、駅の切符売り場で行列していると、電車を一本あきらめる羽目になってしまいます。急ぐ人用に自動販売機などもあるんだけど、僕の場合3割引のトラベルカードを持ってるので、行列している窓口にならんでしまいます。
スーパーもラッシュ時間帯(オフィスの昼休み1時〜2時と帰宅時間5時〜7時過ぎ)に行くとレジに長蛇の列を作って待っています。今日計ってみたところ、行列に並び始めてからレジが終了するまで、約20分!かかりました。短いと思いますか?ディズニーランドで並んでるなら短いでしょうが、スーパーのレジで20分待つのは退屈ですよ。「8時から007始まるのに!」とか思いながら並ぶのは本当にイライラします。レジがまた馬鹿丁寧なんだなこれが。まずは、一人一人笑顔で挨拶し、大概の人がデビットカードかクレジットカードで払うからサインしたりレシートの打ち出しに時間がかかったりする。お客はレジのところで買ったものを袋に詰めていく(日本のように別のコーナーがあるわけではない)ので、おばあちゃんなんかが袋詰めに手間取ると、その間レジはストップする。レジ係も丁寧なので、前の人の袋詰めが終わらない限り、次の客のレジ打ちをしないから、もう大変。スーパーでは、デビットカードで現金を引き出せる(キャッシュバック)ので、それを頼むとまた時間もかかるし。こんな調子なので買い物に行くたびに疲れるが、こっちの人はとても従順に待っている。行列ができる理由はなにか?簡単に言うと、店側が待たせても構わないと思っているから。現に、20分待ちのときは、レジが半分しか稼動しておらず、残りはクローズになっていました。他にも店員がいて店内をトランシーバーを持ってぶらぶらしているのにです。行列を見て、これは何とかしなくちゃと思わないってのがやっぱり原因。しかし、何で待たせても構わないと思ってしまうのか、これはお客が怒らないからじゃないのか?待つのが好きな人なんていないから、イギリス人もこれには多少イライラしているはず。でもお行儀が良いから、日本と違って「おいこら他のレジ開けんかい!」などと怒鳴る人はまったくいないのです。あきらめているのでしょう。Typicalとかいって肩をすくめるだけなのです。お客の我慢が先か、店の傲慢が先か・・・。

ちなみに、この20分待たせる、セインズベリーズ(ケンブリッジの街中にある)は最近店内改装してレジを大幅に増やしました。混雑解消のためでしょうが、レジ台だけ増やしても、半分閉じてるなら意味ないじゃないか!何か根本的におかしいんじゃないかと思います。多分、混雑が激しいので、セインズベリーズの会社側としては「お客様のために改善しろ」と命令し、改装なったんでしょうが、現場の雰囲気(店員の意識=客の意識)までは変えられないんでしょうね。
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2003/01/09
なぞのF氏(内輪話ですが)
大学の授業が始まるのが16日木曜日からなので、研究所もなんとなく休みの気分が漂っている。それにしても、もう一月近く冬休みが続いている。とはいえ、授業の準備をしなきゃ(いろんな人)、とかICJのオイルプラットフォーム事件(まだやってる)の準備しなきゃ(クロフォード教授)とか言って、だんだんと忙しそうになって来た。
そんな中、去年の12月初旬にSee you next year!と言って去ったまま未だに戻ってこない客員研究員がいる。私たちの共同研究室の隣の個人研究室をもらってるF氏だ。この研究所は、一月いくらというベンチフィーがかかるところなので、その間のベンチフィーはどうしているのだろうか。われわれ客員研究員の間では、目下の関心事がこのF氏の正体(本人が読まないことを前提にして噂話を書くのは気が引けるけど)。誰も本人に面と向かって聞いたことがないのだが、まことしやかに「彼はケンブリッジに家を買った」、「ものすごくリッチだ」という噂が流れている。現に、クロフォード教授がホンダ・シビックに乗っているのにもかかわらず、F氏はどでかいBMWに乗っている。それが、彼のヴァケーションの間じゅう研究所のガレージにおきっぱなしになっている。ということは休暇中は乗らないということで、まことにもったいない。言ってくれれば、その間乗っておいてあげるのにと、研究員同士で噂してため息をついている。
えらそうなことを言ってるが、私の場合、オートマしかよう運転しないのだけど。あ、ちなみに日本の免許がAT限定でも、国際免許にはそういう限定はありません。だから、こっちでは法的にはMTも運転可能です(実際は技術的に無理だけど)。日本の免許をイギリスの免許に書き換えることもできて、イギリスの免許にはAT限定なんてないから、当然MTも運転できる免許に書き換えてもらえる。ほんでもって、その「MTも乗れるイギリスの免許」を元にこっちで国際免許を作り直して日本に帰ったら、MTに乗れるんだろうか?イギリスの免許も持ってるということになるから大丈夫なはず。誰かジュネーヴ条約勉強して教えてください。(私の専門は、別のジュネーヴ条約なんですがねえ)
で、F氏。不明なのが彼の本来の仕事。今の研究テーマはマネーロンダリングという話。この問題に関して政府や国際機関の(決してマフィアのではない)コンサルタント的な仕事をしているらしい。しかし、どうやら弁護士でも外交官でもない。どこかの大学の教授というわけでもない。客員研究員のリストにも「パリ」としかなくて、「所属」を匂わせるものがない。フリーのコンサルタントということなのだろうか。だとすると何でそんなにリッチなのか(だからこそリッチなのか?)。休暇からF氏が戻ったら、カネの話にはめっぽう興味のあるわれわれアジア人客員研究員たちが主催して、彼に講演してもらうことにしようということになっている(笑)。この一年間で一番ためになりそうな企画だ。
いや、金持ちでウラヤマシいからF氏の話がしたいのでは決してない。この前、衝撃を受けたからだ。パリからきたF氏としか分ってなかった。当然研究所の中では英語で皆と話している。ただ流暢だけど、スピードがどうもネイティブではないなと思っていた。ただ電話ではよくフランス語でしゃべっている。これがネイティブなのかどうか分るほどのフランス語力は私にはないので、「ははーん、英語のうまいフランス人なんだな」と思っていた。ところが大間違いだった。彼は「英語もフランス語もうまいデンマーク人」だったのだ。当然、デンマーク語が「母語」だろうけど、言葉の近さから言って、他のスカンジナビア系の言葉や、もしかするとドイツ語も話せるのかもしれない。日本にいるとこういうのはものすごく驚くけれど、ヨーロッパでは当たり前の現象だ。
ジュネーヴの赤十字で、あるスタッフが、僕の見ている前で、文字通り一瞬の間に、英語→ドイツ語→フランス語と話す相手によって使い分けてるのに感動したが、赤十字なんかではシニア・スタッフだけではなくて、秘書や助手のような人もそういう感じ。「カフェテリア」おねえさんたちはフランス語しかしゃべってくれなかったけど(泣)。でも国際機関では、その人の母語が英語かフランス語でない場合のバイリンガル(例えば日本語と英語)なんて使い物にはならないようで、その場合はトリリンガルが普通。こういう語学の達人は、感覚的に言うと、どうやらベネルクス、スイス、カナダあたりに多いような気がする。キーポイントは、母語ではないがフランス語を日常的に触れる機会が子どもの時からあり、教育を受ける過程で当然英語をマスターするという環境か。これであなたも完璧な国際公務員に!

その点で言うと、イギリス人やアメリカ人って語学にやや難がありそう(あくまでもベルギー人とかカナダ人との比較です)。現に、ケンブリッジの法学部図書館にはドイツ語やフランス語の本がほとんどありません。

追伸:そのうえF氏、身長が2メートルぐらいありそうな大男なのです。想像してください、何ヶ国語も操る、2メートルの、大金持ちの、マネーロンダリングに詳しい紳士。謎過ぎて、本人に尋ねる勇気は誰にもありません。
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2003/01/10
男たちのウィーンフィル
ケンブリッジともイギリスとも関係ないけど、今日の新聞に、ウィーンフィルの初めての女性団員の話が載ってました。ニューイヤーコンサートの中継でも、ビオラ奏者の女性が写ってましたが、あの方です。指揮のアーノンクールが目を背けたくなるような風貌なので、その女性が写るとホッとしました。中継のアナウンサーも、なんか言ってましたが、史上初の女性団員だそうです。女性を拒否してきた長年の方針が某大西洋の向こうの国の団体から批判されたようで、圧力を受けたオーストリア政府が補助金を減らさなければならない羽目に陥ったそうで。ただオーディションについて女性に門戸を開いたあとも、なかなか女性が受からなかったのですが、このたびやっと一人目の「正式団員」が入ったわけです。たった一人しか女性が居ないと、いろいろ困るだろうなーというのが第一印象。楽屋は個室になるのかな?専用トイレ?・・・と。
面白い?のは、実はこれまでも別に女性メンバーは居たのですが、その彼女は「非公式メンバー」だったということです。マニアな方はお気づきかもしれませんが、その女性はハープ奏者の方。業界用語で言うエキストラではなく、レギュラーなメンバーなんだけど、非公式メンバーなので「居ないことになっていた」のです。だから、テレビ中継でも絶対に演奏シーンは写らなかったのです(長年の謎が解けたと思いませんか?)。写っても(やはり曲によってはハープを写さないと不自然になる場面は多々あるから。例えば有名どころで言うとチャイコフスキーの「花のワルツ」の最初のソロとか。)手だけという、手タレのような扱いで、ハープが二台あるときは(今回のニューイヤーでもそうだったけど)、もう一人の男性プレーヤーだけが写されていたそうです。その女性ハーピスト、どんな気分だったのかなと思います。演奏会のプログラムなんかではどうなってたんでしょうか。
おそろしや、ウィーンフィル。それでも男性団員の中には公然と「女が入ると団結が乱れる」ということを言う人が今もいるようで、正式団員となった彼女もこれから大変でしょうね。ちなみに、彼女本人へのインタビュー申し込みが殺到しているそうですが、オーケストラは断固取材拒否してるそうです。オーケストラは一体として行動するものだからと。いやー21世紀とは思えない恐ろしい世界ですが、ウィーンフィルだから、まあいいやと思うのは駄目でしょうか?
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2003/01/11
みんなおかえり、それにしても地球の歩き方って
昨日金曜日の晩、街中の雰囲気が何か違うと思ったら、若い人がやたら多かった。遊びまわってる感じで、ATMの前にも行列が。格好を見ればわかる話なんだけど、ATMに並ぶ彼らは、まさに、現金しか通用しないところ=パブ、バー、クラブ等に行く人たち。
先週だったと思うけど、土曜日の夜の同じ時間には、ケンブリッジのシティーセンターはほとんど誰も居ない状況で、シーンと静まり返っていた。一週間で雰囲気が全然変わった。
これは来週には冬学期が始まるため、それにあわせて学生さんがたくさん戻ってきたことが大きく影響しているに違いない。そういえば、金曜あたりから、各カレッジの前に車がたくさん横付けされ、荷物を運び込んでる学生とその「ご父兄」をよく見たから、Uターンラッシュということなんだろう。
とことん大学あってのケンブリッジ。もちろん経済的にもそうなんだろうけど、心理的にも大学と町が一体化しているのかもしれないなと思う。授業とは関係のない、カレッジの学生ともほとんど交流のない一介の客員研究員でさえ、学生が帰ってくるとなんとなく、今までの「取り残された」感じが解消し、何もかも正常に戻った気がして安心する。日本では、学部の時から、「キャンパスがガラ隙になる長期休暇大好き」人間だったんだけど(学生さんごめんなさい)・・・

「地球の歩き方」には、「ケンブリッジの人口に比して大学関係者(学生+スタッフ)の数はそう多くないから、ケンブリッジには大学都市以外の顔もある」と書いてあるけど、ケンブリッジから大学とったら何にも残らんのと違うだろうか?観光資源は100パーセント大学のもんだし。確かに、ケンブリッジシャーの中心都市としての顔もあるけれど、大学が与える影響は、人口とかでは計り知れないほど大きいんじゃないだろうか。このガイドブック、よくできてるんだろうけど、ときどき疑問を感じる。例えば「レディング」という町を紹介したページが1ページあるが、いくつかの世界的に有名な企業の工場がある他、みるものがあるとは思えない町。実際、そのページに見所として書いてあるのは、何の変哲もない公園など。でなぜ取り上げたかというと、記述によると「歴史をしたたかに生き抜いてきたイギリスの普通の町」だそうです。それをいうなら、イギリス中のあらゆる町がそうじゃないのか?どう考えても1ページ空白を埋めるためでしょこれ。ちなみにレディングというのはロンドンからオックスフォード方面に行く路線の途中駅で、一度通りかかったことがあります。

追伸:謎のF氏、まだ帰ってきませんが、車をチラッと(笑)見たら、イタリア・ドライブ・クラブみたいなステッカーがたくさん窓ガラスにはってありました。シートにはイタリア(しかも南部)の地図が置いてある。もしかして、イタリア語もできるのか・・・。南イタリア+大金持ち+マネーロンダリングとくれば、空想がふくらみますねー、これはもう取り入ってお友達になるより他なさそう(笑)。
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2003/01/13
発音が悪くて
先週の金曜日のことですが、配達記録郵便というか書留郵便というかが自宅宛に留守中に届けられたらしく、玄関に「郵便物を預かっています」という案内が入れられていました。選択としては、1.郵便局の配達センターにとりに行く、2.再配達のアレンジをする、3.最寄の郵便局に留め置きしてもらう(50ペンス手数料がかかる)の三つ。
ケンブリッジの中央郵便局らしきものはシティセンターにあるんですが、これは出すの専門。配達センターは自宅とも研究所とも正反対の方角のとても不便なところにあります。ここには、前に日本のアマゾンからCDを購入したときに「関税を支払え」(なぜだかよくわからない。日本でamazon.co.ukからCDや本を購入してもとられないのに。だれか国際法に詳しい人教えて!笑)という通知が来て支払いにいったことがありますが、自転車で20分ほど、ニューマーケットロードという非常に交通量の多い道を行かなければならず、しかも途中に、ランドアバウトが二つ。自転車で、命がけでこれを回らなければならないのです(一つは地下道がついているが、人通りが皆無で、夜はかなり怖かった・・)。しかもその道を越えて、配達センターに近づくと、周りは、工業地帯か倉庫群なのか、よからぬものの密売をやってそうな真っ暗で人の居ない、刑事ドラマの死体遺棄現場のロケに使えそうな場所に。街灯もなく、自転車のヘッドライトだけが頼りという本当に心細い道のりなのです。だから、第一の選択肢はこりごり。しかし再配達も、自宅宛はパス。なぜかというと「時間指定」のサービスがなく、日にちの指定しかできないので。局留め手数料50ペンスも惜しいから、結局研究所の方に再配達をお願いすることにして、配達センターに電話で頼んだら、「わかった月曜日に配達する」とのこと。
しかーし、月曜日、待てど暮らせど、郵便が来ない。ちょっと時間的に余裕のない郵便でなるべく早く受け取りたかったので、夕方6時ごろまで待って、郵便局に確認の電話を入れると・・・「君の言った住所には誰も居なかった」という返事。あれ、日中なら研究所のセクレタリーが必ず居るはずなのにと思ってよく聞いてみると、どうやら、「その住所にオフィスがなかった」ということらしい。あちらが「念のために、もう一度住所をスペルアウトしてみて」というので「C、R、A、N・・・」とつづりを教えると、「Oh, Cranmer Road!」って。つまり発音が悪かったのかCromwell Roadと間違えたらしいです。クロムウェルという名前は、誰でも知ってる名前なので、それらしき通りの名前を聞くと、あ、クロムウェルロードね、と思い込んでしまうんだろうか・・・。それとも、本当にこちらの発音がクロムウェルと聞こえたのか・・・。あちらも一応謝ってたけど、金曜日に頼んだとき、こっちは間違えられないように郵便番号まで教えようとしたのに、「あ、それはいいよ、通りの名前で十分」みたいに聞き流してたのは誰だよ!

実は、これで合点がいったことがあります。こちらについて間もないころです。研究所の隣(つまりCranmer Rd. 7番地)の仮住まいまで、駅からタクシーにのったことがあるんですが、運転手が研究所とは正反対の駅の東側に向かっていこうとしたんです。私、地理には強くそのときすでに頭の中にケンブリッジの地図がインプットされていたので、ある交差点で右折しようとしたときにこれは絶対に違うと思って、運ちゃんに「クランマーロードだよ、反対に曲がろうとしてない?」って確認したら、「そうか、クランマーか」といって急に左折し、かなりまわり道して帰り着いたことがありました。そのときは遠回りでぼられたか?と被害妄想にとらわれていましたが、そう、その交差点を右折してしばらく行ったところにあるんです、クロムウェルロードが。これは発音の癖なんでしょうか。

ちなみにランドアバウトでは、自転車は大変危険です。特に二車線のランドアバウトの場合で、直進または右折しようとする場合が。二車線のランドアバウトの場合、左車線は左折車用、だから自転車で道路の左端を走っていて左折せず直進しようとする場合左折車に巻き込まれる可能性があります。こういう大きいランドアバウトでは、横断歩道か何かを探しましょう。
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2003/01/14
裸のシェフ
裸で料理したら危ないな(笑)、中華や揚げ物はやめた方がいいね。
日本でどれぐらいメジャーになっているかわかりませんが、ジェイミー・オリバーというイギリス人のアイドルシェフがいて、私がブリティッシュカウンシルに通っていた昨年の春から夏にかけては、イギリス大使館の文化部門(=ブリティッシュカウンシル)が、ポスト・ベッカムの「イギリスのカッコイイ男」として売り出しに躍起になっていました。何しろ日本からの旅行者が増えるからね。彼の料理は、簡単でおいしいのが評判らしいですが、半分写真集のような料理本が日本でも発売されているはずです。
イギリスでも、その本はかなりのベストセラーです。料理といえばレンジでチンかオーブンのスロークッキングのイギリス人にしては、たしかに天才シェフ(笑)。有名な料理番組も見たことがありますが、調理はいつもオーバーアクションです。ファンの方には異論があるかもしれませんが、見た目は普通のイギリスの男の子という感じです(ルックスだけなら、ケンブリッジにいくらでも居るけどねー)。
我が家御用達の(レジで20分待たせる)セインズベリーズというスーパーのCMに出ていて、なかなかいい味を出しています(天才シェフだし)。クリスマスの前からは、とぼけた兄ちゃんをシリーズもので演じてました。
その彼はエセックス州出身です。これではあまりわからないんですが、実は、州は違っても、彼はケンブリッジっ子です(そんな言い方ってあるのかな)。ケンブリッジからロンドン・リバプールストリート行きの列車で約20分行ったところにあるニューポートという駅で降りると、彼の出身地Claveringに行けるはず(何で調べたの?)。ケンブリッジの最寄の空港は電車で30分のスタンステッド空港ですが、この前スタンステッド空港拡張工事反対声明を出していたので、スタンステッド近辺の出身なのかなと思っていましたが、もっと近い町出身でした。この町にあるThe Cricketersという16世紀から続くパブのオーナーの息子さんです。今度行ってみようかな(混んでそうだけど)。
日本語のHPなどではケンブリッジのパブという紹介がありますが、正確にはケンブリッジ近郊の村にあるパブです。それでも彼をケンブリッジっ子と呼ぶのは、彼がインタビューで「好きなフットボールチームは?」と聞かれて「Cambridge United」と答えていたからです。このチームは、プレミアリーグの下のディビジョン1の下のディヴィジョン2のまだ下のディヴィジョン3にある(日本的に言うと4部制の4部に所属する)ローカルなチームです。ジェイミー君いわく「あまり夢中になり過ぎない程度の強さ」のチーム。でも、今では押しも押されぬスター(個人的に好きなんで)となったディオン・ダブリン(アストン・ビラ)がかつて所属していたこともありますし、なんと言っても、現在かなりいい位置につけていて、このまま行けば、ディビジョン2に昇格しそうなんです。しかしこのCam U.のファーンと公言する有名人をはじめて見ました(前に書いたとおり、ケンブリッジの大学人はフットボールにはまったく興味を示さないので・・・)。地元の普通の兄ちゃんっぽくていいぞジェイミー!(評価するところが違うって)
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2003/01/15
女王の手術
ロンドンのキングスクロス駅からケンブリッジ行きの快速列車が出ていますが、この列車は、ケンブリッジからさらに北へ一時間ほど行き、キングス・リンという町が終点です。さらにそこからバスにのって北上するとサンドリンガムという町(村)があります。そこに王室の別荘があって、女王一家がクリスマス休暇を過ごすことで有名です。クリスマス前後は、地元の教会に来るロイヤルファミリーを間近で見られるポイントとしても知られています。この前も、ウイリアム王子の熱狂的ファンの東洋人女性(日本人?)が王子に突撃し、一緒に写真をとっている映像(王子は写真には応じてましたが、ものすごく迷惑そうな顔してました)が「全英」に流れてしまいました(はずかしいかも)。
しかし今年は、様子が違いました。女王がひざの怪我をしたのです。ケンブリッジの隣町の競馬で有名なニューマーケットの厩舎で足を挫いたそうです。年末にそういう怪我をしてしまった女王は、昨日ロンドンで手術を受けました。新聞はNHSで庶民が同じ手術を受けようとすると女王の何倍も待たなければならないと意地悪なことを言ってました。このニュースでわかるのは、老人が足を挫いて歩行が非常に困難な状態になっても、何週間(ことによると何ヶ月)も待たなければならない。女王でさえ2週間以上待った、ということでしょうか。
ちなみに、女王は一晩入院して翌日には退院。そのままサンドリンガムの休暇に戻ったそうです。女王の退院のシーンが今日の新聞の第一面に載ってました。それは乗馬のとき以外には決してありえないことらしいけれど、女王が「ズボン」をはいていた、つまりパンツスーツだったからです。このパンツスーツをデザインしたデザイナーはこれで一躍有名になりました。
「ズボン」は、アメリカと違ってイギリスではTrousersというのが普通です。イギリスで、「いいパンツだね」といわれたら、ファッションをほめられたわけではなく、ファスナーがあいてないか調べた方がいいという話をどこかで聞きました。
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2003/01/16
季節は巡る
今日から冬学期の授業が始まりました。授業が始まると町の様相が一変します。朝、通りは、授業に遅れそうになって血相を変えて自転車で突っ走ってる学生でいっぱいでした。いつもどおりのんびり自転車通勤していると、サドルの高い自転車で爆走する男子学生のみならず、女子学生の自転車にもぐんぐん追い越されました。

季節の移り変わりは速いもので、冬至を過ぎまだ一月も経たないのに日が長くなったのを実感します。昨日も、同僚たちと「4時半でも真っ暗じゃなくなったね(決して「4時半なのに明るいね」ではありません)」といって喜んでました。考えてみると、冬は日本よりずっと日が短い、夏は日本よりずっと日が長い、ということはイギリスでは、日本よりも日が長くなっていくスピードが速く感じられる、つまりは変化をハッキリと感じられるということでしょうか(高校時代地学選択したのに確信がもてない)。とすれば、そりゃ冬至にお祭りしたくなりますよね。いつだったか、ヨーロッパのクリスマスの起源って、実は冬至祭りだったという話を聞きました。
しかし逆に言うと、11月ごろに日がぐんぐん短くなっていくのもより強く感じられるわけで、このころは気分が沈むはずです。11月ごろに在剣日本人会のゴッドマザーのような人にお会いして、「11月が一番最悪だから。12月はクリスマス、それが過ぎたらどんどん日が長くなるから。」と励まされたことがあります。どうやらそのとおりみたいです。

追伸:今話題の(笑)謎のF氏、昨日戻ってきましたが、ますます謎が深まるばかり。まず今日、「自分の第一外国語はラテン語だ」とおっしゃってました(かなりの教養人。ヨーロッパのエリートコース?)。学部か大学院か、ともかくケンブリッジを「卒業した」経歴もある。休暇先は、やっぱりイタリア。イタリアに家があるという噂です(噂では、パリとジュネーブにも、もちろんケンブリッジにも家があることになっています。この地名の配列、一人「万国国際法学会(Institut)」状態です。内輪受けですいません。ともかく国際法マフィアみたい)。最大の謎は、奥さんが中国人!(どこで知り合ったの?)。また自分には「ゴールデン・パラシュート」があるとおっしゃってました。これの定義は以下の通りです。日本語で言うと「左ウチワのご隠居(といっても60歳ぐらいですけど)」が趣味で研究をしてるってことでしょうか。もう凄すぎ、うらやましすぎです。

golden parachute
天下り、ゴールデン・パラシュート、高額の退職金
◆【語源】企業が吸収合併されるときに、買収された側の会社のトップ経営者が有利な(高額の)退職手当をもらえるところから、金のパラシュートで落下するというイメージ (英辞郎on the Web: www.alc.co.jp)
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2003/01/17
アカデミックな一日
金曜日なので、学期開始にあわせてランチタイムレクチャーも今日から再開です。今日は、ロンドンにあるDJフリーマンという国際弁護士事務所?から来た弁護士が講師でした。ナイジェリアの国境画定訴訟がらみでクロフォード教授もかかわっているナイジェリアもと元首に対する「国際民事訴訟」がテーマ。フィリピンのマルコスが身近な例と言えるかもしれませんが、そういう独裁者は国の財政や国際資金援助を自分の懐(実際はスイスやルクセンブルグの銀行)に入れてしまうケースが多々あります。今日提示された資料では、過去最高額はスハルトの1600億ドルらしいですが、ナイジェリアの何とかという独裁者もその手の不正蓄財をしていました。訴訟はその一部13億ドルあまりを取り返すことが目的らしいです。ハッキリ申しまして、まずビリオンだとかミリオンだとか飛び交ってややこしかったのと、国際私法の知識や国際金融の知識に欠けるのとで、わかりにくかったです。が、その独裁者不正蓄財リストをみると、最貧国ばかりが並んでいて、本当に考えさせられる問題です。
それが終わるとすぐ、大学院の「武力紛争法」の授業でした。秋学期のクリスチン・グレイに代わって、冬学期は武力紛争法の第一人者であるトニー・ロジャース少将!(退役)が担当です。グレーからロジャースというこのリレーは、このあたりを勉強している日本の院生の皆さんとかが興奮して鼻血を出しそうな豪華メンバーなんですが、わからない人にはまったくわかりませんね。私は大分なれましたが、最初に時間割表を見たときは目を疑いました。何しろ、自分の研究分野、というかもっと限定して研究テーマにおけるスーパースターのリレー講義ですから。なんて幸運なんだろうと思うと同時に、この機会を何とか生かせないかなーと考えたりしますが、どうなることやら。例えばドイツのボーテ、イギリスのグリーンウッド(+ロジャース)、アメリカのパークス、イタリアのカッセーゼ、オーストラリアのシアラーなど、研究テーマのスーパースター(知らない人にはさっぱりですね)にお会いして話を聞く機会には恵まれてきたのに、全然発展がないのは、ひとえにアピール能力の欠如なんだろうか、なんかすごく悔しいです。

ランチタイムレクチャーの前に、これもDJフリーマンがお金を出している「サンドイッチランチ(無料)」があります。今日その部屋に下りていくと、ものすごく品の良いおばさまが隣にいらっしゃって、How are you?(「ごきげんよう」)とおっしゃいます。どこかで見たと思ったら、ロンドンのセミナーでお見かけしたヘイゼル・フォックスさんじゃありませんか。この方名前の前にLadyという称号がつきます。貴族ですか?偉い法曹貴族の養女だとかで。今日のテーマがもと元首の訴追という彼女の新しい本に絡んだ問題だったのでいらっしゃってたのでしょう。それにしてもあんな品のいい格好したおばさまなかなかみたことないです。想像してみてください、そのおばさま、どこからどうみても「イギリスチック」って感じなのです(日本のイギリスファンの方の「幻想」通り=つまりは本当はほとんど見かけない感じの・・・)。女性で初めて国際司法裁判所の判事になったイギリス人のロザリン・ヒギンズにも一応デイムの称号がついてるけど、雰囲気は普通の「おばちゃん」だった(ごめんなさーい)。しかしレディー・フォックスは「おば(あ?)さま」という呼び方がぴったりの人です。

追伸:前にウィーンフィルの女性奏者登場の話のときに「男たちのウィーンフィル」と、香港映画「男たちの挽歌」をもじって紹介してみましたが、今日の新聞でこの女性奏者を特集し、私と同じく映画?をもじった見出しをつけていました。その名もずばり"Band of Brothers"。巧すぎる・・・。
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2003/01/21
火事か?
先週の土曜日、夜の7時過ぎのことですが、日本人会の勉強会(と言われてる飲み会)に行こうと研究室をでようとしたときに突然研究所の非常ベルが鳴り始めました。前に避難訓練というのをやったことがあったんですが、この時ばかりは、どう考えても訓練ではなさそうなので、いそいで階下におり、キッチンが怪しいと思って見に行ってみました。すると電気式のレンジに鍋が置きっぱなしになって、かすかに煙が出ていました。そこでレンジを切ってみましたが、当然ベルは鳴り続けています。玄関のそばの火災警報装置を見に行くとクロフォード教授が降りてきて腕組みをして眺めています。どうやら、いったん非常ベルがなりだすと切る方法がないと、肩をすくめて研究室に戻って行かれました(違うみたいだということがあとでわかりましたが)。
他の研究員たちとおろおろ待つこと15分、自動的に通報があったのか、やって参りました!なんと消防車!大きいのが一台、路上駐車で道の狭くなったクランマー通りを入ってきました。一応消防士が3人ほど乗っています。スト中じゃなくてよかった。スト中なら「空軍」からくるところでした。これは誤作動だというと、やっぱりねという顔でキッチンを見て回り、いろいろ事情を研究員に聞いてました。消防車のあとに、大学のセキュリティ部門の担当者もやってきて、火災報知器を操作してやっとのことでベルを消してくれました。そういや、消防士もセキュリティの人も、また前を通りかかった近所の人も、ぜんぜん切迫した感じがなかったのは、ベルの誤作動が多いからでしょうか。現に、夏前から研究所の三階にすんでる中国人女性によると、これで非常ベル騒動は3回目だとのこと・・・。
確かにそうでしょうねえ。だって、原因らしき鍋ですが、焦げてたわけではまったくありません。むしろ消防士がキッチンを見て回ったときに、嫌みで「おいしそうだね」と言ったぐらいですから。鍋の具合としては全然普通。おそらくタマネギを炒めていた途中らしく、タマネギ特有の湯気(水蒸気?)に火災報知器が反応してしまったみたいです。あれでは、鍋を置きっぱなしにせず、普通にそばに立って調理をしていてもベルが鳴ってしまったような気がします。
何と言っても気になるのは、誤作動だと分かっていたのかどうだか、消防車の到着時間ですねえ。確かにシティー・センターの反対側から、渋滞しがちな道を通って来たのでしょうが、時間がかかりすぎです。そういえば、実は、先週、ケンブリッジのとあるホテルが大火事にあって外側以外ほとんど燃えてしまったんですが(死傷者ゼロ)、そのホテルはリージェントホテルといって、パーカーズ・ピースという公園を挟んで、消防署のすぐ反対側にあるホテルなんですがねえ。初期消火がまずかったのか、火災報知器がなかったのか、結局、隣近所の州からの応援もあわせて消防士150人ほどが出動する大騒ぎになってんです。このホテル、日本のガイドブックなんかにも載ってるホテルで、有名なユニバーシティ・アームズ(高級ホテル)のすぐ側にあります。シティセンターにも近く、駅にも近い便利なところにあり、観光客も多く泊まっていたはずですが、本当に死者ゼロでよかったと思います。ただ、相当に激しい火事だったらしく、リージェントストリートというホテルの前の通り、町と駅を結ぶメインストリートでいつも渋滞してるところですが、通行止めがいつまで経っても解除されません。イギリスの消防制度、本当に大丈夫なのか・・・。ストしてる場合?
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2003/01/23
買い物は苦行?
イギリスのスーパーでは、「一つ買えばもう一つは無料(Buy one, get one free)」という表示を見かけることがある。一つしか買わなければ全く値引きなしだけれど、二つ買えば50パーセント引きになるということ。二つ目が無料とまではいかなくても、二つ買えば値引きになるというパターンもあって、かなりお得感がある。
この二つ目は無料という表示に気付かずレジまで行くと、レジ係の人に、必ず親切に「これはもう一つ無料なのよ」とか指摘される。私も最初は、一つで十分な量だったのと、レジに行列した人々の冷たい視線が怖くて、「いやいや、一個で十分だから」とか「ノープロブレムだよ」と答えていた。しかしよく他人を観察していると、誰もが「あ、そうなの?じゃとってくるよ」と人目も憚らず店内に取りに戻っている(これでまたもや待ち時間が長くなるのに・・・)。誰もが必ずそうしている。しかも、「いやいいです」という私の答えに対して、店員さんがものすごく不思議そうな顔をしたり、人によっては「せっかく教えてやったのに」という反応をするので、このごろではかならずこのサービスには「のる」ようにしている。イギリス人はやせ我慢とか言われてるけど(自分でも書いたけど)、彼らも普通に「けち」(しっかりしている?)わけだ。ま、いろんなものが高いから、これは心に響くサービスだということが最近よくわかってきた。
どこでもやってるサービスだけど、我が家のそばのIcelandという大型スーパーチェーンが「われわれこそ『Buy one, get one free』の本家です」と買い物袋にプリントしている。本家だけあって、このスーパーでは、この値引きをよくやっているが、これが曲者。日曜日の午後、「天気もいいし散歩がてらぶらっと買い物でもするか」とでかけ、朝御飯用の牛乳とジュースと、Virginダイエット・コーラを買おうとしたら、どれもが「もう一つは無料」サービスをやっていた場合どうなるか?4パイント(約2リットル)入りの牛乳、1リットル入りのジュース、2リットル入りのコーラ、足して約5キロの荷物が、一気に倍の10キロの荷物になってしまうわけだ。ゴキゲンな散歩が、このサービスのお蔭で一気に苦行になってしまう。
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2003/01/25
間違い電話の理由は?
ほとんど誰も番号を知らないはずなのに、しばしば自宅に電話がかかって来ます。大概は、セールスの電話。しかも英語で、とっても甘ったるーい女の人の声で「ハーイ、ナンシーよ」みたいな調子で、かならず「ミスターS、いらっしゃいますか?」と特定の名前を言います。最初に受けたときは動揺して、誰のことだか一瞬わからず、「え?」と思ったけど、ははーん、前に住んでた人のことかな、と思って、「移られましたよ。転居先の番号は知りません」と言っておきました。しかしよく考えると、相手は「前にウチの番号を使っていた人」に電話をかけようとしたのであって、前にこの家に住んでた人とは違うはずです。あー、とってもお馬鹿な答えをしたなーと恥ずかしくなりました。
ところがこのSさんという人への電話が、とても頻繁にかかってきます。あまりに頻繁なのでもう一度じっくり考えてみると、Sさんという名前になんとなく覚えがあります。もしかして、と思って家主の書き置きをチェックしてみると・・・、「ミスター&ミセスSへの手紙が来た場合は下記へ転送してください」(封筒に転送先を書いてもう一度ポストに入れると無料で転送してくれるので)・・・。そうだったんです。最初の直感通り、Sさんって前に住んでた人だったのです。そこで去年の電話帳を念のために引いてみました。こちらの電話帳はご丁寧に住所番地まで載っています。Sさんは、少し珍しい名前なので難なく見つかりました。そこには見慣れたウチの番号が・・・。つまり家の持ち主が交代しても、電話線を引き継ぐ場合、電話番号を変えずに使うということなんですね。
日本なら普通は、前の人が転居したあと、新しく住む人が新しい番号を取得しますよね。自分の番号を他の人がすぐに使い続けるってのは、何となく気持ち悪い気がします。第一、なんとなく情報セキュリティ上良くないような気もします。なんてったって、前に住んでた人と住所と電話番号が一緒でしょ?例えば私が電話帳への掲載を拒否しても、住所が分かれば、前のひとと同じ番号だとすれば、電話番号が自動的に分かってしまうって事ですし。電話番号が分かれば住所がばれてしまうということだし。使い始めに「電話帳への掲載を拒否しますか」とか調査するより先に(拒否しませんでしたが)、番号変えてくれと思うのは、日本流の使い捨て思考でしょうか?
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2003/01/29
日本のイメージ
前にイギリスでの日本の認知度について書きましたが、最近憂鬱に思う日本の「知られ方」について少し。
クリス・タラントというタレントが居ます。元祖イギリス版クイズ・ミリオネアの司会者です。モーニングショーで人気になったらしいから、イギリスの「みのもんた」というべき人でしょうか。彼の司会で、毎週木曜日の夜、10時半から、世界の「エクストリーム」なテレビ番組を紹介する番組をやっています。面白いCMとか、お馬鹿なバラエティ番組とかを一部抜き出して紹介していくわけです。フィリピンとかタイの「痛そうな」番組などは目を背けたいようなものもあります。前に書いたスロヴェニアのクイズミリオネアのCMも、この番組でやっていたものです。
日本のテレビ番組もほぼ毎週紹介されます。よく日本のCMはストーリーなどが面白くて、お金をかけているから質が高いなどといわれます。WOWOWのCMが紹介されているのを観たことがあります。しかし、それはあくまでも稀。毎週紹介される日本の番組とは、大概がお色気番組です。テレビ東京系などで深夜1時ごろからやっていそうな、トップレスの女性がたくさん出てくる、低俗のきわみの番組です(もちろん、日本では観たことありませんからね。念のために)。クリス・タラントも、「さあ、次は日本の番組です」というときに、かなりニヤニヤしています。どの国の番組も、かなりお馬鹿なものばかり紹介されてますが、日本のものは、本当にそういうのばかりなのです。このままでは日本のイメージが・・・。
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2003/01/30-31
大雪
妙な日付の表記になっていますが。
実は昨日30日の昼から雪が降り始め、一日中ふり続き、今朝には20センチ近い積雪になりました。昨日の午後は、そりゃあもう大変な吹雪で、そんな中を果敢にも車で帰宅した人たちは、大渋滞に巻き込まれて大変な状況だったようです。ニュースでは車で一夜を過ごした人が大勢出たそうです。ケンブリッジ周辺のイースト・アングリア地方が一番被害が大きかったということです。そんな悲惨な昨日の午後、同僚の中国人AさんとMさんが、それぞれの家族が春節(旧正月)にあわせてイギリスに遊びに来るのを、ヒースローまで迎えに行きました。飛行機はちゃんと5時ごろに着いたそうですが、そこからの帰路のバスが大渋滞に巻き込まれて大変だったようです。A氏は奥さんと幼い娘さんが来たそうで、本当に災難。普段なら2時間半ですむはずなのに、ヒースローから12時間かかったそうですが、中国から12時間飛行機にのり、着いたと思ったらさらに12時間バスって・・・。絶対体験したくないですね。

一夜明けると、天気もよくなりました。ちょっと寝不足だったんですが、雪のケンブリッジなんてきっと一生に一度の体験だろうと思って、早起きし、約2時間主要なカレッジを周り写真をとりまくりました。本当にきれいでした。そのときの写真もそのうちアップします。
カレッジの庭には、いつも綺麗に整備された芝生がたくさんあります。有名な話ですが、これは大概フェローだけが横切ることのできるゾーンです。フェローの特権なんですね。キングスカレッジなどの庭で観察すると、フェローがガウンをきて颯爽と芝生を横切っているのを見たりしますが、本当に偉そうですよ。ちなみにフェローと一緒の場合には、一般の学生も芝生を歩いていいことになっています。しかし通常は一般人は芝生を迂回した通路部分を歩かなければなりません。
ところが雪が積もるとその芝生の部分と通路の部分の区別がつきにくくなります。おもしろいことに、それでもやはり一般の学生は、芝生の部分には足を踏み入れないんですね。だから通路部分がかなり踏み均されて、雪がなくなっても、芝生の部分は雪が無傷に近い形で残ります。でもよく見ると、そこに一筋の足跡がついています。フェローの足跡(もしくは学生の悪戯)です!フェローのだとしたら、これまた凄い「偉そう」ですよね。だれも歩いてない雪の中にくっきりと一筋足跡を残していくんですから。特権の誇示でしょうか。でも、よく考えると、なんでわざわざ、雪が10センチ以上残っている歩きにくいところを突っ切るんでしょうね。靴もぬれるし。こんな日は少し遠回りでも通路部分を歩けばいいのにね。ケンブリッジの人ってなんて傲慢なんでしょうか!

研究所に着いたあとは、お約束のスノーマン作りに従事しました。ぱさぱさのパウダースノー?なので丸めるのに苦労しましたが、3人がかりで一時間ほどかけて、身長180センチぐらいの立派なスノーマンが完成しました。鼻は雪で造形し、目には2ペンス硬貨を使いました。今、意識してスノーマンという言葉を使いましたが、これは「雪だるま」とすごく違うからです。なんというか、それぞれ日本とイギリス(欧米)での人間の体型の違いを反映していますよね。こちらのスノーマンは、スヌーピーなどの漫画に出てくるような三つの雪球を重ねて団子状にしたものか、あるいはアニメの「スノーマン」に出てくるような、三つの雪球のうち下の二つをつなげて胴体にしたものかです。日本の雪だるまよりはるかに頭部を小さくつくるんです。おまけに鼻が凄く高いし!
今朝は(実は昨日の晩も)、雪合戦に巻き込まれました。大学生だろうが、研究員だろうが、こんなときはみんな童心?にかえるんですね。今朝は、スノーマンを作っているところを、隣のゲストハウスの改装現場から攻撃を受けました!改装作業員たちが、足場の上で(危ないって!)雪合戦をして遊んでいるうちに、隣の庭にいたわれわれにも雪球を投げてきたのです。さすがに国際法研究所の研究員、雪合戦でも、「今のは『宣戦布告』に該当する」とか、「(今イラク方面で流行の)武装解除が必要だ」とか、「休戦しよう」とか、ついつい国際法用語を持ち出してしまいます。

寒い中、凍てた道を歩き回り、そのあと一時間スノーマン作り。足腰が痛いです・・・。
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2003/02/01
2月1日にあったこと
今日は、旧正月。この日のために、何時間もかけて飛行機とバスでケンブリッジ入りした中国人研究員の家族がいるということを前に書いたけど、中国人たちにとっては、とっても目出度い日なんですねえ。研究所に居ると、入れ替わり立ち替わり、皆の家族や友人が来訪して、なんだかこちらまで浮き足だった気分になりました。複数の中国人の同僚から、春節晩会(ニューイヤー・ガラ)にいかないかと誘われました。何でもケンブリッジだけで数百人の中国人たちが集まるそうで。つくづく中国語が話せれば楽しいだろうなと思います。「英語が話せれば10億人とはなせる」という金城武の出てるCMがあったが、中国語と英語が話せれば、20億人以上と喋るれるってことですね。
夜は、アメリカ人のN氏とイギリス人のS氏、それから日本人の同僚のY先生と私の四人で、グラフトン・センター近くのタイ料理を出すパブにいきました。夕方のスペースシャトル爆発のニュースを知っていたから、その話が話題の中心。さすがにN氏はショックを受けた様子で。日本で、阪神大震災の時、自分が幾つ(何年生)でその年に何があったとか、どこで体験したかとかをみんながよく覚えているように、アメリカ人は86年のチャレンジャー号の爆発の時のことをよく覚えているらしい。N氏も、このときに、何年生で、テレビでこういうシーンを映していたというようなことを得々と語ってくれた。別れ際に、他の店に行くかどうか相談してたんだけれど、N氏曰く「今日はニュースがたくさんありそうだから、もう帰るよ」。ちょっと悲しいですね。
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2003/02/02
日本人会について
日曜日は午後から日本人会の集まり。いくつかベストセラー?も出しておられる英文学の先生が、ダーウィンカレッジで講演されました。
テーマは、エドワード1世、2世、3世の治世についてでした。大体13世紀の末から14世紀の末までの100年間です。ちょうど、このころからイギリス(?)の皇太子が「プリンス・オブ・ウェールズ」と呼ばれるようになったそうです。エドワード1世が皇太子のエドワード(後の2世)にこの称号を与えたのが始まりとか。皇太子として初めてプリンス・オブ・ウェールズを名乗ったエドワード2世の妃のイザベラ・オブ・フランスという女性の「凄さ」が印象的でした。彼女がどういう生涯を送ったか、書き出すときりがないので、皆さん各自でお調べください。国際法やってる限り、勉強する機会のない時代についてのお話で、本当に有意義でした。
この先生、丸善からでている新書でロンドン○○物語という本の著者でもいらっしゃいます。シェークスピアが専門だそうですが、イギリス史全般に造詣があり、なおかつパブの話とかイギリスの幽霊の話など、話題は多岐にわたりました。本当に、いろんな話が聞けて楽しかったです。その他の出席者の顔ぶれも、物理学、工学、言語学、演劇など多彩でした。おかげさまで、会の終わったあと、パブを3件もはしごしてしまいました。土曜日(タイ料理を出すパブで)とあわせて、ビールばかり8パイント飲んだ計算になります。1パイントが500mlぐらいだから、中ジョッキと同じぐらいの容量でしょうか。って考えるとあまりたいした量じゃないですか?ビールのお話はいずれまた。
それにしても、世代も違う、専門分野も違う先生たちと知り合えるのは、留学中ならではですね。それにケンブリッジは町が小さく、ロンドン大学などとちがって、大学が一箇所に固まっているので、こういう集まりが可能になるんだろうと思います。
実は、こちらに来る前は、外国で日本人同士集まってどうすんねん?とすこし懐疑的でした。しかし、それは、ぬるま湯のような日本で、自分のアイデンティティに何の疑問も感じる必要がなかったから言えたこと。最近実感するのは、こちらでは、所詮われわれは極東のちっぽけな国から来たマイノリティでしかないということ。突っ張って、英語しかはなさないとか、イギリス人と同じ生活をするなんて、言う必要ないわけです。顰蹙買わない程度に、自分ら流に助け合って行けばいいんですよね(なんて謙虚な!)。
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2003/02/03
カウンシル・タックス
生活情報も少し。
日本では固定資産税は家の持ち主が払いますが、こちらでは家にかかる税金(地方税)は住民が払います。店子にすぎない私もこの一種のプロパティ・タックスを支払う義務があります。こちらでの収入がないので、そのほかに、収入そのものにかかる所得税や日本で言う住民税があるのかは良くわかりません。
このカウンシル・タックスは、定額制で、住宅の価値に基づいて税額が8段階に分かれています。我が家は下から3番目のゾーンです。ちなみに、一人で住んでいるか二人以上で住んでいるかということでも税額は変わります。
こちらに着いた当初、4月から滞在しておられる同僚の日本人の先生から、「ビジターだと半額になるよ」と教えられていたので、昨年末に初めてタックス・ビルが送られてきたあと(ビルは満額で書いてあった)、減税の申告に行ってみました。出納局?は街中のユニバーシティーアームズの前にあります。
受付で尋ねると、ショッキングなことに、ビジター半額措置は最近(4月以降に)廃止されたというお答え。しかしよく聞くと、他の場所でプロパティ・タックスを払っていれば半額免除になるということでした。幸いにして(不幸にして?、恐れながら?、あつかましくも?)、私、日本で固定資産税なるものを払っておりますので(自慢ではありません。気の遠くなるようなローンがあるし・・・)、これにアプライできそうじゃないですか。ただし係りの人が言うには、不動産にかかる税金を日本で払っているという証明を提出しなければならないそうな。め、めんどくさい。しかーし、税金の額を考えると、これは絶対に半額にしてもらわなければなりません。急いで京都の某区役所から「納税証明書」を取り寄せることにしました。でももちろん英文の証明ではありません。日本語のままでいいのか聞くと、「翻訳をつけるように」とおっしゃいます。ただし、あとでチェックするから、大使館で公式訳をしてもらったりしなくても、自分で翻訳をつくったのでも構わないとのことでした。

先週末、やっとのことで書類がそろい、翻訳を添え、アプリケーションフォーム(アンケート)に記入し、今日提出に行きました。が、この翻訳が結構めんどくさかったです。特に「平成15年」ってなんて訳すんでしょうか?2003年でいいのかもしれませんが、イギリス人でも日本語の書類に書かれた「15」って数字は読めます。そこで怪しまれてはいけないと思い、the 15th year of the Heiseiって訳しましたけど、あってるのかな。二つ目のtheはいらないか?しかし、こう表現すると、なんとも年号って古臭いですよね。会計用語とかもあんまり知らないし、かなりいい加減な翻訳です。あっちはどうやってチェックするんだろう?
あと、一応、照会先を聞かれたので、京都市の某区役所をあげておきましたが、本当に一つ一つ照会するんだろうか?
何はともあれ、これで本当にうまくいくのか少し心配です。前に「日本から書類を取り寄せて手続きをしてるとビル(請求書)の期限に間に合いませんけど?」って聞いたら、係りの人、気にするなって言ってました。ただ、今日の申請を受けて新しくビルを作り直すそうです。ということは、イギリスの官僚仕事だから、間違いなく数週間余計にかかりそう。本当に大丈夫なんだろうか?上半期?の納付期限は1月5日だったけど・・・
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2003/02/03
追伸、雪のケンブリッジ
雪の日のケンブリッジの写真を公開します。
よろしければリンクをたどって観てください。
トリニティカレッジの並木道 バックス クレア橋 研究所の庭 研究所の庭2
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2003/02/04
自慢させていただきます
昨日の「追伸」で少し写真を紹介しましたが、他の研究員から「これは研究所のホームページに載せるべきだ」といわれました。このお世辞を真に受けて、そのうちの一枚(「研究所の庭」ってやつです)を研究所の事務長に送り、あくまでも控えめに提案してみたところ、採用されてしまいました。冬季限定トップページを飾ることになりました。こちらをクリックしてお確かめください
いやー、なんとか研究所に貢献できてよかった(って、もっと本業で貢献しろって)。
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2003/02/05
おそろしやamazon.com
amazon.comを愛用しています。飛ぶようにお金がなくなる麻薬のようなサイトです。co.jp、co.uk、.fr、deも利用しています。特に後の三つ(英独仏)は、個人情報が共通しています。もっともドイツ語の本なんてほとんど読めないし、フランス語は他のオンラインショップ(www.alapage.com)を利用しているので、実際にはfrとdeは検索に使うだけですが。
有名なことですが、このアマゾンの特徴は顧客の嗜好をデータベース化して、お薦め情報ってのを教えてくれることです。ある本を購入したら、同じ本を購入した人が他にどんな本を購入しているかを分析して、「きっと、これもお好きだと思いますよ」というサービス。日頃は、悪用されたら怖いな、プライバシーの侵害だと思ってたんですが、ある日Eva Cassidyという歌手のCDを勧められました(これです)。昨秋のドラマ「アルジャノン・・・」のテーマソングで日本でも有名になったジェニファー・ウォーンズ(断っておきますが、この人は10年来のファンですからね。ドラマの影響じゃありません。っていうよりイギリスに居たからドラマ自体観てません)のCDを以前に買ったことが理由で、お薦めなんだそうです。へえ、傾向が似てるのかと思って、説明書きを読むと凄く気になることが書いてありました。ただ、どんな歌手かまったく知りませんでした(結構有名なの?)ので、そのまま「ワンクリック」するのはとりあえず差し控えました。
で昨日、ケンブリッジの街中にあるボーダーズという本屋兼CD屋さんに行ったおりに探してみました。日本でも導入されているのかどうかわかりませんが、こちらのCD屋では、ほとんどのCDを試聴できるシステムが導入されています。CDのバーコードを読みとらせると、各曲の一部を聞けるんですね。このシステム、少なくとも僕が日本を離れる前までは、日本ではあんまり導入されてなかったはずですが。アマゾンの説明書きにあるように、この人、ジャズともカントリーともフォークソングともブルースともつかない歌手らしいので、どのジャンルで探すべきか迷いましたが、「フォーク」という分類になっていました。で早速、試聴しましたが、しびれました。夭折した歌手を死後に聴くと、なんか違って聴こえる場合がありあますが(怪音とかじゃなくて)、そういう思い込みではなくて、声質とか曲調とか情感とかが、ぴったり好みにはまったんです。Eva Cassidyです。難点は、録音が少ないこと。いくら気に入っても、ソロのオリジナルのスタジオ録音が一枚、あとはライブで、そこからいくつか選んだコンピレーション・アルバム?があるだけ。もう新しいCDは出ないって(涙)。一つ腹立たしいのは、こういうタイプの歌手を「天使のような」って表現すること。英語でも日本語でも、この人そういわれてる。ちょっと待てよ。30歳過ぎた女性歌手にその形容はおかしいだろ。大人なんだから色々あるはずなのに、そんな風に単純化するなっての。なんか歌手を馬鹿にしてるような気がしません?ま、この人のことそんな風に「清らかな声で素敵」とか言ってるうちは、まだ世界のことほとんどわかってないね(偉そうですいません)。
完全な余談:ところで最近まで「天使の歌声」と言われていたシャルロット・チャーチが、今ではかなり「妖艶」な外見になり、スキャンダル続きなのはご存知?ま、こっちの天使も色々あるってことか(あのジョン・トラボルタが天使役って映画「マイケル」もあったしね)。ちなみにまったく関係ありませんが、北海道に天使大学ってあるらしいですね。勝手に言ってろ。

ひとしきりデータベースの威力に感心し、歌手の若死にを嘆き、レコード会社の陳腐な宣伝文句に憤ったところで、アマゾンのトップページ(自分用にカスタマイズされたページ)にもう一つCDがあることに気がつきました。『マッキング Gold 1』!あれ、おかしいぞ。M娘。関連のCDなんて買ったことも検索したこともないはずなのに(少なくともアマゾンでは)。さては、京都の某所で学園大の同僚O先生とふざけてカラオケで歌ったのがばれたのかと思った(不必要な内輪向け暴露話!)。でもやっぱり、データベースなんて当てにならないね(汗)。正直理由は不明。誰のページにも出てくるデフォルトの広告なんだろうか。

しかし、つくづく僕って乗せられやすいですね。こんなのアマゾンの思う壺じゃないですか。考えてみたら、ボーダーズの試聴システムにも乗せられてるし。日本でも、いろんな店の「試聴コーナー」で紹介されてるCD買ってしまいます(日本で夏ごろその手に乗せられて買ったノラ・ジョーンズとコールド・プレイのCDは、イギリスのヒットチャートの上位に昨秋から食い込みっぱなしですが=得したようで嬉しー!)。ついでに、ボーダーズでは2枚で22ポンド(1枚なら13ポンド)ってセールやってたので、これにも乗せられて2枚買いました。でもこれは先日紹介した「もう一つはタダ」ってセールと同じで、イギリスでは乗らない方が変に思われるのです(笑)。
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2003/02/06
祝コンサートデビュー@ロンドン
ロンドンって都会ですね。というか、音楽の都というほうがふさわしいような。
今日は、ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールまでフィルハーモニア管弦楽団のコンサートに行って参りました。文字通り、行って、参りました!このホールは、ロンドンのウォータールー駅のそばにあり、このあたりは「サウスバンク」と言われています。南岸っていうのは、もちろんテームズ川の南岸。今話題?のロンドン・アイの隣です。
まずは箱の話からすると、3000人収容の、大阪のフェスティバル・ホールのような規模です。客席は6階まで(ということは7階建て?)あります。4階あたりの高さの上手(カミテ)側面に専用のロイヤルボックスがあります(だからホール名に「ロイヤル」がつくのでしょうか?そういえばロンドン交響楽団の本拠地のバービカンにはロイヤルはつかないな)。チケットの関係で少し早めに到着したのですが(ホールに行く前は2時間ほど大英博物館で時間つぶし!なんせタダだし。今日はアッシリア帝国についてだけ勉強しましたぜ。レリーフを隅から隅まで見ました)、ホール内に幾つもカフェテリアやバーの類があり、待ち合わせや軽く空腹を満たす(英語でstuff myselfといいます)のに最適。他には、本屋さんなんかも付属してます。
ホールの特徴をもう少し述べると、もっとも驚くのが、「チケットもぎり」がどこにもないということです。欧米では普通なのかもしれませんが、ホールは非常にオープン。外からロビーに入るのはノーチェック。ロビーから客席に入るところにおばさんが何人か立っていて、座席の案内をしてくれるだけです。そこでも正式にはチケットのチェックをされるわけではありません(案内といってさりげなくチェックしてるといえないこともないが)。ともかくキチンとした格好をして、堂々としていれば、チケットなしでも入れそう(多分、電車の無賃乗車と同じで、見つかったら大変なことになりそうだけど)。
このホールで一番印象に残ったことは、ロビーの優雅さでしょうか。バーの施設が6階まである客席の各階ロビーにあって、休憩時間に飲み物を求めて長蛇の列にならばなくても(多少は並ぶけど)いいんです。京都コンサートホールとか大阪のシンフォニーホールだと、この列がひどくて、ちょっと何かと思っても、列を見たらなえちゃいます。あと偏見かもしれないけど、日本で幕間にワインなんて飲んでる人見たら、ちょっと座りがわるいというか、場違い?あるいは似合ってないなーとおもってしまうんだけど、こっちでは・・・。カッコええ!何が違うのかな、着てるものかな。ワイングラス持っておしゃべりするときの雰囲気かな(慣れてる)。この幕間の飲み物、後半のプログラムが長いときは、ちょっと生理的心配!があって躊躇することもあるんですが、こちらには、そういうときでも、いい物が!アイスクリームです。ケンブリッジのホールでも、休憩時間になると、客席の中にアイスクリーム売りがやってきましたが、RFHのようなハイソな場所でも売ってました。しかもこれがホールのそこらじゅうで。プログラムと一緒の売り場で。コンサートにアイスクリームというのは「お約束」なんでしょうかねえ。このアイス、一つ1.5ポンドですが、おいしかった。こちらの乳製品は味が濃くてどれもおいしいですが。ふと見回すと、大の大人が(っていうより80歳超えてそうなおばあちゃんとかまで)おいしそうにアイス食ってました。
ところで、あの、一人でアイス食ってたおばあちゃん(多分旦那さんは亡くなったんでしょう。コンサートにはカップルで来るのが普通だし)、若いころに凄い音楽体験してるんだろうなと思います。何せロンドンですから。クライスラーよりもミルシュテインのほうが良かったとか、ストラビンスキーは自作でも指揮が下手ねとか、若いころのメニューヒンとブリテンのコンビは最高だったとか、そういう凄い話を聞かせてくれそう(想像です)。

さらにまったくの余談になりますが、年老いた聴衆の感動的なはなしを。学生時代に京都の某公立交響楽団でバイトをしてたときのはなし。ある公演(大阪のシンフォニーホールで)に、シューラ・チェルカスキーという往年のビルトゥオーゾが客演しました。サンサーンスのコンチェルトを弾いたんだったろうかと思います。すごく感動的な演奏だったんですが、往年のピアニストなので、いまいち盛り上がりに欠けたようです(すくなくともセンセーショナルな雰囲気は皆無。「誰、あのじいさん」って思ってたお客も多かったでしょう)。もったいない。コンサートの前半に出演して後半の途中でホールからホテルに帰ろうとされたので、楽屋口まで同行マネージャーの方(たった一人)とお見送りに行きました(役得!サインもらっちゃった)。もちろん、往年の(忘れられた?)巨匠なので、楽屋口に人だかりが出来ているわけでもありませんでした(例えば馬友友こと、ヨーヨー・マのときなどは凄かった)。ちょっと寂しげな帰り道になりましたが、コンサートの後半を聴かずに楽屋口に来ていたファンの方が一人おられました。初老(中老?)の男性です。どうしたのかなと思ってると、つたない英語でチェルカスキーにこう話しかけられました。「私は、若いころ、1930年代に、あなたの演奏会を、大阪中ノ島公会堂に聴きに行ったことがあります。そして今日、60年ぶりにあなたの演奏を聴けてとても嬉しいです。」。確かにチェルカスキーは戦前に来日したことがあります。それを聞いたチェルカスキーは、とたんに破顔一笑され、私も嬉しいよとか言われていたように記憶しています。その60年の間には、いろいろつらい時代もあっただろうし、すっかり時代は変わっちゃってるわけです。チェルカスキーはその後ほどなくして亡くなられましたが、思い出すたびに、音楽の取り持つ縁ってすばらしいなと思うんです。

ここまで書いて思い出しました。肝心の演奏会の中身の話をしてない・・・。プログラムは、「ドイツロマン派づくし」シリーズの一つで、ジークフリート牧歌、シューマンの交響曲4番、メインがブラームスのピアノ協奏曲2番。ドホナーニ指揮。ピアノはブロンフマンという人でした。ピアニストほとんど知らない人でしたが、ブラームスは最高でした(語彙が少ないので表現できません)。来週このシリーズの最終回、エレーヌ・グリモーがシューマンの協奏曲を弾くので行くことにしました(ミーハー?)。いま何人かソリストの名前があがりましたが、フィルハーモニアって凄いかもしれません。週に2,3回違うプログラムでコンサートするんですが、2月も他にアルゲリッチとチョン・キョンファが客演(このときの指揮はデュトワです)。3月以降、クレーメル、レーピン、シフ、ジョシュア・ベル、サラ・チャン、そしてブレンデルなどが普通に登場します。こちらのウェブサイトでご確認を

音楽の都と書いたのはこういう理由からです。ケンブリッジの田舎で喜んでたのがちょっと恥ずかしいかも。でもロンドンにいたら間違いなく破産しそう。とは言っても、昨日のコンサート、そこそこいい席で19ポンドでした。4月のウィーンフィルでも一番高い席が60ポンド(1ポンド=200円)です。チケット安いですね。日本だと3倍ぐらいしませんか?輸送費ってそんなに高いのか!

書き忘れてましたが、RFHはデートに最適です(笑)。なぜって、夜景がきれいだから。ちょうどロンドンアイという最高の夜景スポットの隣にあるわけで。ビックベン→サボイ→サマセットハウスと目の前に(対岸に)見えて、首を伸ばせば下流の方にセントポール寺院も見えます。ホールのまん前にはエンバンクメント駅方面への歩行者橋が美しくライトアップされ、それの先の方に国旗を掲げた不思議な建物(007にMI6本部として出てきたような気がするけど、ほんとにMI6?※)が怪しく光ります。ロビーでワインなどを頼んで、バルコニーに出れば、夏なら川面を渡る風に吹かれて、雰囲気満点です。今回は寒かったです(涙)。屋外で冬にアイスなんて食べるのは寒いだけでした。

※しったかぶりして、すいません。MI6はもう少し南のヴォクソールあたりにあるそうです。お詫び訂正します。
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2003/02/07
電車内の喧嘩
スノーマンとかコンサートとか書いてたら、日本から「法科大学院で大変なときに・・・」と羨望の(軽蔑の?)コメントが来たので、ちょっとは真面目な話・・・。

先日、少年達の喧嘩(っぽいもの)に遭遇しました。所要でヒースローから地下鉄にのったときのことです。

ロンドンの地下鉄は東京のと同じで、郊外まで伸びています。ヒースローはピカデリー線という日本で言うと丸の内線のような繁華街を結ぶメインラインの先にあります。コベントガーデンとかナイツブリッジなどを走っているうちはいいのですが、ハマースミスを過ぎて、サウスとかイーストとかそういう修飾語のつく郊外の町中に入ってくると、ちょっと不安にもなります。なぜって、いかにも暗い郊外の住宅地ってかんじで。京都でもケンブリッジでも、のんびりしたところにしか住んだことがない私としては、壁などが例の「パンク芸術」っぽい落書きでいっぱいになっているのを見ただけでどきどきしてしまいます。実際に治安が悪いとかいうわけではないのかもしれませんが、ヒースローの近辺はいいイメージがありません。地下鉄の中は空港への行き返りのお客がたくさん乗ってるので、そんなに危険ではありませんが。

そんなピカデリー線の空港近くのある駅から、14歳ぐらいの黒人の少年が二人乗ってきました。私のすぐそばに座って、傍若無人に大声でしゃべっています。これはいいんですが、次の駅で同じ年頃の白人の少年が乗ってきたときに、車内に緊張が走りました。5メートル離れた位置に立った白人の少年と、黒人の少年の一人とが「なんだこのー」という表情で「ガン」を飛ばしだしたのです。多分、目があって気に食わなかったのか何かでしょう。座っていた黒人の少年が立ち上がって白人少年に1,2歩詰め寄りました。白人少年も負けていません、凄みながら同じく1,2歩詰め寄ります。お互い、よくわからない早口で罵り合ってます。両方が「f****ng」なんとかって、日本でもよく知られたスラングを連発しています。こちらの喧嘩の特徴ですが、すべての単語にこのfで始まる汚い言葉をつけてます。ほとんど聞き取れませんでしたが、一つ聞き取れたのは黒人の方が白人に「てめえの顔も黒いぞ(Look at your f****ng black face!(?こんな感じだったような・・・))」と言った一言。これから推察するに人種的なことを言い合ってたのでしょう。白人の少年は一人で二人の黒人を相手にしていたのですが、一対二だから余計に強がってる感じで、引き下がりません。電車内だし、ここは余裕ということでしょうか、黒人の少年の方が、まあいいやと、笑いながら引き下がりました。

ほっとしてると、間の悪いことに、あるいはわざとなのか、この3人が同じ駅で降りることになりました。駅のホームに降りたとたん、どちらがけしかけたのか、今度はもう少し距離を詰めた、緊張度の高い、声もより大きく、肩の小突きあいも含めた喧嘩が再開されてしまいました。特にその駅では停車時間が長く、はらはらしましたが、電車が出発するまではそういう状態で何とか持ちこたえました。が、電車が居なくなったあと少年達がどうなったかはわかりません。

車内(構内)暴力ってのは、人間関係が希薄になった日本特有の事件みたいに思われるかもしれませんが、イギリスにもあるのです。しかも、このときのように人種的な複雑さもあって。まあ、このときは、少年が何となくあどけなさも残る年齢だったから、危険な感じは薄かったけれど、彼らがあと2、3歳年が上だったら身の危険を感じたかもしれませんね。

ところで、イギリスと日本とでは、この種のいざこざへの一般人の対応が違うように感じました。(だからわざわざ書くのです)
日本だと、電車内で喧嘩をしたり、酔っ払いが女の子にからんだりしていても、なるべく係わり合いになりたくないと思うのか、よっぽどのことがない限り、周りは手を出しませんよね。少なくとも近くに居る人以外は、見て見ぬふりをしたり、寝たふりしたりするのが普通です(私だけですか?)。ところが、イギリスでは・・・。もちろん、実際には、一般人が小競り合いの間に入るようなことは、しませんでした。殴り合いとかじゃないから、そこまで立ち入る必要はないとの判断でしょう。ホームに場所を移してから、ホームで待っていた乗客が一人、、歩み寄って「どうしたの?何か問題かい?」みたいな調子で、話しかけてました。その人は、黒人の少年に「何でもないよ。ほっといてくれ」といわれたらしく、肩をすくめてるだけでした。まあ、日本なら、そういう声をかけて、仲介しようと試みる人もあんまりいないかな。ただ、もっと特徴的だったのは、乗客の中の多くの人が、見てみぬふりとは逆の行動をとったこと。中には寝たふりの人もいましたが、たくさんの乗客が、喧嘩を「見る」のです。車内では、この視線に耐えかねて、少年達も喧嘩をやめたのでしょうね。ホームに降りてからも、停車時間が長かったせいもあって、乗客が車内からホームで起こっていることをじっと見守っていました。ホームに背を向けてる客も、わざわざ振り返ったりしながら。中には、ものすごく真剣な顔で「お前らのやってることは全部見てるぞ、何かあればすぐ制止しに行くからな」という表情で、しかも席から立ち上がってドアのところまで行き(ホームに降りられる体制で)見ていた人も居ます(大学生風の正義感の強そうなゴッツイ感じのポニーテールの男性でした。シーマン?)。さらにモーガン・フリーマン風の黒人のおじさん(少年達のおじいさんぐらいの歳?=説得力ありそう)も一人乗ってましたが、その人も、「馬鹿なことはやめろ」と言いたげな表情で身を乗り出して見守っていました。この人たちが仲裁に入れば、きっと大丈夫だという安心感が沸くような、プレッシャーのかけ方でした。
皮肉っぽく見れば、結局、ポーズだけじゃないかと思われるかもしれませんが、日本には、「見てるぞ」ってプレッシャーがないでしょ。肩がぶつかったからというような理由で、見知らぬ人を殺したりするのは、そういう社会のプレッシャーがないからじゃないのかな、と思いませんか。そうするとこの「見てるぞ」というのは、すごく大事なことなんですよね。

なんとなく世界のいろんな問題に対する日本とイギリスの外交姿勢の違いにも当てはまりそうな感じ。直接関係がなくても、とりあえず「見てるぞ、無関心ではないぞ」っていうパブリックな視点がイギリスにはあるように思います。もっともその延長上に「イラク問題」もあるわけで、難しいですね。

・・・おお、また国際法の小話は無しか。
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2003/02/08
遺恨試合
清水エスパルスの戸田選手が、プレミアリーグのサンダーランドの練習に参加して、サンダーランド入りかという瀬戸際のところでトットナムという他のチームにさらわれたというニュースがありました。
その戸田が、今週当たり、いよいよデビューかという頃合いですが、実は今週の試合というのが、トットナム対サンダーランド戦。そこで、戸田はいよいよ遺恨試合でデビューするのかと、日本では言われていたようです。が、今日の試合、戸田はベンチ入りもしませんでした。
そろそろ現実に気づいてね皆さん。遺恨試合かとの期待も、むなしいものです。今晩のダイジェストで、かなり長い時間かけてこの試合の紹介をしてましたが、戸田のTの字も出てきません。そもそもベンチ入りしてないし。戸田の移籍というのは、この時期に各チームが3,4人移籍させる(出たり入ったり)するのの、一例に過ぎないわけで、全く注目されてないわけで・・・。そもそもこの移籍が、現時点で「遺恨」を招くようなものではないわけですな。これからの戸田の活躍によってはわかりませんがね。
戸田も、サンダーランドなんぞに住むより、ロンドンのトットナムの方が良いって。このサンダーランドって町は、イングランドの北のニューカースルの近郊にあって、暗く寒いところなのです(と思います)。
しかし、プレミアリーグってのは大変。毎週土日に試合があって、時たま土日以外に水木とかにもリーグ戦の試合がある。さらに、FAカップという日本で言う天皇杯のような全リーグ所属チームのトーナメント戦があって、チーム数が多いものだから秋から始まってずっと続いています。それが週の途中に頻繁にあり、さらにトップの方のチームは、UEFAのチャンピオンズリーグとか、UEFAカップというヨーロッパ規模の試合に出なければなりません。おそらく、平均して一週間に1.7試合ぐらいはしてるんじゃないでしょうか。
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2003/02/10
目が疲れるのはなぜ?
研究室に居る間中コンピュータのモニターがつけっぱなしなので、一日中電磁波にさらされていることに。これは日本でも同じだけど、こちらに来て、より激しく目が疲れる。

この目の疲れ、主原因は、どう考えても、部屋の灯りが暗いこと!
日本人は明るい部屋に偏執するところがあるのか、大概の家庭では、夜ともなれば白熱灯で煌々と明るくしていますが、よく知られているように、こちらではそうではありません。映画なんかでよく、居間が、いや本のたくさんあるリーディングルームなのに、すごく暗い部屋が出てきますが、どこの家も、灯りを落として、落ち着いた雰囲気を大切にしています。しかし、これがオフィスでもだとすると・・・。
わが研究室、シュナイダールームといいますが、実は天井からの直接照明がありません。あるのは屋根の梁に備え付けの、スポットライト式の間接照明(あのー照明が上向いてますけど・・・)のみ。もちろん机の手元に照明はありますが。私の場合は、それプラス卓上の電気スタンドをもう一つ使って補強していますが、それでも暗すぎ!
暗いのは、法学部の教室も同じです。なぜか教室も間接照明。大学院の授業などは2時間ありますが、終わったころには目がしょぼしょぼになります。研究所の図書館も間接照明。部屋の四方をぐるりと天井まである本棚が囲んでいますが、照明は、その本棚の裏側についていて、本棚と天井の間の10センチぐらいの隙間から光が漏れてくるようになっているのです。
ついでに法学部の図書館も全体は暗くしてあって、本を読むときは、机についた照明で手元を明るくするわけです(これも映画でときどきありますかね)。というより閲覧室の大部分が吹き抜け構造なので天井の明かりは上方の遥かかなたにあるわけで。この図書館はガラス張りなので、昼間はいいんですけどね、日が傾いてくると手元の照明に頼ることになります。しかし、腹の立つことに、なぜか手元の照明は半分ぐらいが壊れていて・・・。こちらの学生は多少暗くなっても平気で勉強を続けています。
また、この前、客員研究員の福利厚生の面倒を見てくれるソサエティの事務所に行ったら、薄暗い部屋に、中年の女性係員が二人机を並べて座っていました。このソサエティの人たちは、仕事柄、つたない英語のわれわれに対してもすごく親切で、にこやかなんです(あの「イギリスはおいしい」という林望氏は、ここの係りの人に憤慨しているそうですが)。でも暗い部屋で、親切に対応してもらっても、どうも歓迎されてる気がしないんですよね。こういうのって、イギリスでも、例えば、昼が長い夏ならわからんでもないです。冬でも気候の良い国なら昼間は大丈夫かもしれません。しかし、日も短く、曇ってばかりのイギリスの冬に、電気つけずに仕事って、どういうことなんでしょうか?

居間を暗くするのは好きです。実は京都の自宅もそうしています。しかし、オフィスにまでそういう考えを持ち込むのは、どう考えても・・・!

同僚の日本人の先生の説によると、イギリス人は目が強いらしいです。暗くても平気で、逆に明るいのには弱いと。それで納得しました。欧米人がサングラスを愛用する理由が。きっと瞳孔の構造が違うんだ。
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2003/02/11
パブでの流儀+パブで聞いたこと
昨日の晩は、同僚の日本人の先生の「誕生祝い」という名目で、研究所の助手のS氏が「集まり」を企画してくれました。前に洪水になったときに半分水没した「The Anchor」で9時からです。おいおい、結局また飲み会かよ!
9時からってのがちょっと普通じゃないって?遅すぎるようにみえますが、ここでイギリスで飲むときの流儀その1!イギリスでは飲み会をするときには、大概食事は想定されていません。パブでは、みんなビール(または他の飲み物)のグラスだけを持ってわいわいやってるわけです。食事しながら飲むときは、かならずディナーをといって誘われます。そうじゃない場合は、事前に何か食べてから行きましょう。前に、これを知らずに行って、一人で食事を頼んでしまい恥かきました。みんな食事してから飲み出すからか、昨日のアンカーも9時前に行くと店は空いてましたが、9時を過ぎるとお客がたくさん集まってきて、10時過ぎに満員になりました。
ついでに流儀その2も。割り勘の仕方です。こちらのパブは、カウンターで飲み物と引き替えに代金を払うのが普通です。だから、皆が好き勝手に立って飲み物を注文しに行ってれば、他人の注文とか代金の分担とかを考える必要は無いわけです。しかし、それではなんだか「集まり」っていう感じじゃないですよね。一人で飲みに来た人たちが一緒に飲んでるだけで。「集まり」というからには、一体感ある社交的なものでなければ。そこでどういうことをするかというと、みんなが順番に他の人の飲み物をおごりあうわけです。最初はAさんが皆の分を払い、そろそろ2杯目かというときに、Bさんが、じゃ次は何飲む?と皆に聞き注文をしにいき、3杯目がある場合はCさんが皆の分を買ってくる・・という風に。当然ですが、4人で行けば、4杯飲まなければ公平な分担にならないわけです(笑)。実際には、そんなに飲めない!だから、「じゃあ次は僕が」って言い出すタイミングを失うと、そのまま会が終わってしまうか、ラストオーダーがかかってしまう(11時頃に店内で鐘がなります)。得した!おごってもらいっぱなしだ(笑)。最初はそう思いますが、同じメンバーで行きながら何度かこれを繰り返すと・・・。次こそは必ず(内心ちょっと焦ってきた)!
この飲み方、なかなか高度の技術を要します)。なぜって人のペースに合わせて飲まなければならないわけで。ゆっくり飲む人は、そう問題が無いのかもしれませんが、早く飲み過ぎると、一人でみんなのペースを乱してしまいます。

ところで、昨日の会合の特筆すべき点は、なんといつものメンバーに加えて、噂のF氏がやってきたこと。リラックスした感じの店内にいかにも重役然とした立派なスーツでF氏が入ってきたときは、びっくりしました。でも、さすがに紳士!、人を楽しませることにすごく気を遣ってくれて、自分のおもしろい体験をいろいろと話してくれました。でもおかげさまで謎は深まりました。
まず、年齢が見かけより若く、55才だった。55才で莫大な退職金をもらって趣味で研究ができる生活をしてるなんて・・・。どんなことしたんだろ。
あとは怪しい話が出てくる出てくる。イタリアで長年住んでいてということでしたが、あるイタリア人の友達が「ほんとにバッドガイなんだよ(顔をしかめながら)」。だからその友達と欧州各地で度々会ってたら、ある日スイスのルガーノで、警察の待ち伏せにあったとか。映画によく出てくるように、車を運転していたら、細い道で、行く手と後ろを警察の車にふさがれて・・・。VIPを誘拐するときのやり方ですね。そういう警察って、パトカーにのってる普通のお巡りさんじゃねえだろって!外事だか公安だかそういうのじゃないの?しかし、これってその友達と会ってたのは世間話をするためじゃないだろうし、引っ張られたのも警察の単なるミスじゃないだろ?
キプロスに行ったときは、人違いでまた警察に引っ張られたそうな。あるとき、キプロスの空港に到着したところで、F氏、現地のフランス大使館の人間で、長年の友人に出会ったそうです。彼は偶然だと言い張ります。その大使館員は、別の人を迎えに来ていたのだとか。で、「おー、こんなところで会うなんて、奇遇だね」と握手をしたり肩を抱きあったりしたんでしょうね。ところが、大使館員が迎えようとしていた「別の客」が、キプロスの秘密警察?にマークされていたらしいです。警察は、その大使館員が迎えようとする奴が問題だということだけしか知らず、実際にどんな人が来るか特定していなかった。だから、最初に大使館員と挨拶していたF氏がターゲットだと思いこんだ、というのが本人の説明。どうなんだろ、これも本当に人違いなの?
その他、パリや香港でインターポール(国際刑事警察機構)のために働いてたときの話とか、my informant(情報提供者!)の話も・・・。彼って、退職した007なのかもしれない(笑)。

ところで、こんなの書いて大丈夫なんだろうか?私が近日中に消息不明になったら、この記述が原因だと考えてください(笑)。そうなったら、読んだ皆さんも危険ですからね(笑)。

危険と言えば、ヒースロー空港では、今日から戦車が警戒にあたってます。どういうテロ攻撃があるってんでしょうか。
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2003/02/12
「どんよりした天気」?
日本の天気予報は、「何時から何時まで降水確率何パーセント」とか、波の高さは何メートルとかかなり精密です。統計に基づいた科学的、すなわち客観的な予報です。それに、それが、まあまあ、あたるように思いますし。
それに対して、イギリスの天気予報は、文学的です(笑)。主観的といってもいいかもしれません。例えば、気温の表示なども、細かい予報では、「最低気温5度(1度ぐらいに感じる)」とか書いてあります。その「××度ぐらいに感じる」ってのは誰がどういう状況でそう感じるんだか、全然わかりません。
面白いのは、天気の表現が非常に細やかな点です。「小ぬか雨(drizzle)」っていう表現が、しばしば天気予報に出てきます。日本語でも「小ぬか雨」って意味がわからないんですけど。辞書を引くと霧状の雨という意味らしいですが、そういえば自転車で走ったら雨は降ってないはずなのに顔や髪の毛がべっとりしてました。
前に、雨にもshowerとrainがあると前に書きました(scatteredという修飾語がつくこともあります)が、曇りの表現でもcloudyだけじゃなくてovercastというのがありますし、さらにdull(どんよりした)という表現も、堂々と天気予報に出てきます。どれがどう違うのかわかりません。Mistyとfoggyの違いはどうでしょう?霧のときはさらに、murkyとも言います。最後の霧については、「霧」というのが天気予報になるんか?と思ってました。だって一時的な現象だろうし、それが晴れたらどうなるか(日本ではたいてい晴だと思うけど)を天気予報で知りたいのにと。しかし、霧という予報が出れば、それは一日中霧だったんです。恐れ入りました。
今、雨の表現、曇りの表現、霧の表現をいろいろ書きましたが、これらが厳密に定義され、この程度なら(例えば何ミリ以上降水があれば)rainでそれ以下はshowerというなどと使い分けられているようには思えません。そのときの気分で、違う用語を用いて天気を表現しているのではないでしょうか。断っておきますが、これはエッセイストなどがそうしているのではありませんよ。天下のBBCやタイムズ紙の天気予報がそうなんですからね。

昨日は、F氏の秘密情報をアップしてからロンドンに行きました(MI5に拉致されたわけではありません)。先週の続きでロイヤル・フェスティバル・ホールへ。今週のコンサート前の暇つぶしは、「ナショナル・ポートレート・ギャラリー」にて。ヘンリー8世やエリザベス1世から始まって、イギリス人(?)の有名な肖像画は、みんなここにあるんだということが良くわかりました。シェークスピアの有名な肖像が、とてもさりげなく展示してあって印象的でした。彼って耳にピアスしてたんですね。それから、ヘンデルの肖像画。ドイツ生まれだけどずっとイギリスで活躍したので、ほとんどイギリス人の扱い。小学校の音楽室にある有名なヘンデルの肖像はここの所蔵から撮ったものらしい(それにしてもバッハが「音楽の父」に対して、ヘンデルが「音楽の母」であると習いましたが、一体誰がそんなお馬鹿な命名したんでしょうね。その印象があってヘンデルを妙な先入観で観てしまいます)。展示の仕方を見てると、イギリスのクラッシックの作曲家が、20世紀の人についても、大事にされている(愛好されている)のが、よくわかりました。最後の方の展示室には、ブリテン、ボーン=ウイリアムス、ウォルトンなどがちゃんと展示されています。
最近の人では、「サー」!・ポール・スミス(びっくりした)とか、ヴィヴィアン・ウエストウッドなどの「巨匠」。若いところでは、ケイト・ウィンスレット(なんで?)とか、さらにもちろん、ベッカム+オーウェンまで展示されていました(この辺はみんな写真だけど)。
ところで生きてる人は、展示したあとで不祥事とか犯罪なんか起こしたらどうするんだろ?児童ポルノの関係で逮捕されたThe Whoのピート・タウンゼントとか、まだ展示されてたけど・・・。
ご心配なく。考えてみると、ここのポリシーはイギリスの人の歴史を振り返ること。それには、誇るべき歴史だけじゃなくて、恥ずべき歴史も含まれているということなのでしょう。今までに不祥事を起こした人はたくさん居たわけで、昔の王さまは殺人犯ばっかりだし(笑)。ミュンヘン会議で恥をかいたチェンバレンなんかも堂々としたもんだし。

今日は、ヨーロッパ中でフットボールの国際親善マッチをやってる日です。イングランドはオーストラリアと対戦して、3対1で負けました。イングランドは、ルーニーとかビーティーとか、若い(幼い?)選手が代表デビューした画期的な試合のはずでしたが。まあ、親善マッチだし。しかし、負けちゃあ意味無いよね。しかし、オーストラリア強いですよね。そりゃ選手の多くがプレミアリーグで活躍してるから。それもあって試合の前半は、両チームとも、プレミアのスターばかりで、本当に国際試合か?って思いました。
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2003/02/13
帆船でも
今の研究所のパソコンは、Windows英語版で、漢字変換能力が非常に制約されています。このコーナーでも、しばしば変換ミスがあるのに気づかれていることと思います。前に結婚式のシーンを描写するのに、神父と新婦を使い分けなければならず大変でした(これはATOK最新版でも一緒でしょうか)。題名の「帆船でも」とはもちろん反戦デモのことです。
イギリスのブレア首相は、熱心にブッシュ政権に協力しようとしています。イギリス政府は、第二の安保理決議を得て国際法的な根拠をより明確にしようと勤めていますが。というのも、イギリス国民の大半は、新たな決議のない開戦に反対しているからです。アメリカでの世論調査では、新たな決議のない開戦に過半数が賛成している(かろうじて過半数が賛成しているに過ぎないともいえる)のに対して、イギリスでは10パーセントを切っています。残りの9割のうち、決議があれば賛成と決議があっても反対が半々ぐらいの比率です。昨日はBBCの特番で、ゴールデンタイムにこの問題を扱った市民討論番組をやってました。ちゃんとスタジオに外務大臣が来てました。

このストロー外相ですが、昨日、新聞に、国際法学者が思わず突っ込みたくなるような写真が載っていました。外相は安保理での新決議の可能性を模索し、「国連、国際法重視」の立場を強調したいのか、演説をしながら国連憲章の小冊子を「毛語録」のごとく振り回しているところです。この国連憲章小冊子は青い表紙ですが。この小冊子、こちらではよく見るA6版ぐらいの大きさのもので、国際法の授業でも講師のクリスティン・グレイ博士が同じように振り回していたのを見ました。本屋さんでも普通に売ってました。しかし、条約集とかじゃなくて、国連憲章(国際司法裁判所規程付?)だけの冊子を買う人ってどんな人?
それでこの小冊子が問題なのです。キャプションにはhis own copyとありました。つまりこれは外相が持っていたものだというわけです。へええ、イギリスの外相はちゃんとそんな小冊子を持ち歩いてるんだと思いました。しかしキャプションにわざわざそんなこと書いてあること自体が怪しい。もっと怪しいのは、その小冊子をよく見ると、セロテープで補修した痕跡があるということ。しかもキャプションにそのことまで強調してあるし。確かに、そんなに頑丈なつくりの冊子ではないとはいえ、また外務大臣を何年かやってるとはいえ、そこまでボロボロにするほど本当に読んだんでしょうか?大体、国連憲章ってのは半分ぐらいは今では無用になった制度について書いてあるし、(今回のような文脈で、外務大臣にとって)本当に重要な条文って一部だし。その一部の概要を記憶するのはそう難しいことはないはずです。
・・・さきほどのグレイ博士の名誉のためにいっておくと、彼女が講義で持っていたのは、正確な文言を引用するためです。概要を覚えられないからではありません。
となると、どうもあやしいなー。とってつけたような写真だなーと思うわけです。法学部の新入生(受験生)によくある間違いだけど、条文だけを読んだって、法学を勉強したことにゃならないのです。ドラマなんかで六法全書と首っ引きで勉強している司法試験受験生ってシーンがあったりしますが、それと同じぐらい素人チックで可笑しいわけです。

そうそう、反戦デモの話でした。今度の土曜日15日の昼からロンドンで大反戦デモが予定されています。何10万人もあつまりそうだという予想で、ロンドンの街中が全面的に交通規制されるそうです。何しろユーストン駅とウォータールー駅から別々に出発してハイドパークまで向かうわけですから。新聞では各紙、デモの予定コースや出発時間を書いています。保守的なタイムズは交通規制の告知のため?と思いますが、左のガーディアンは、みんな参加しましょうって言ってるようにも見えます。

よーし、日本ではそんな大規模なデモ観たことない(この先もないだろう)から、これは是非観に行ってみようかな(参加するというよりも、野次馬か?)とも思います。何10万ですよ!この問題に対する意見がどうとかいうよりも、ある意味で歴史的体験かもしれません。

おー、さすがと思われます?

実を言うと迷ってるんです。その日の12時からアーセナル対マンチェスターUの試合の中継が、地上波であるんです。トーナメントのFAカップなので両方とも本気の試合です。・・・ううう、こんなジレンマが。

君ってその程度の奴なのかって思いましたか?その程度です。ごめんなさい。

おっと、その続きで、6カ国対抗ラグビーの中継もありました。こりゃ行かないな。おーおー、悪かったな、どうせ安保より巨人戦のサイレントマジョリティー(by 岸信介)だよ。

ラグビーといえば、実は私、往年の?ラグビー名門校出身で、高校時代の同級生に「ジャパン」というあだ名のラグビー部員(日本代表?)が居ましたし、あの平尾(大学院に社会人入学)と同じ研究棟で勉強したことも(時期はずれてるけど)。でも、こっちでプロラグビーの試合を見て、思ったことは、ごめん「じゃぱん」君、平尾先輩、同じスポーツと思えません(笑)。
そんな本場イギリスに、3月に慶応大ラグビー部が来ます。そしてケンブリッジ大と試合をやるそうです。100周年だかを記念した英仏遠征らしいですが。研究所の近所のケンブリッジ大ラグビー部グランド(夜間照明、スタンド付)の予定表に、試合のスケージュールがでてました。慶応が何点差でKOされるか興味があるので(慶応OBで愛読者のお一人、H野先生ごめんなさい)、応援に行ってみようかな(どっちの?)。
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2003/02/14
国勢調査
今日は、バレンタイン・デー。いやー、いつもの年のように食べきれないほどのチョコレートをもらわなくてすむから、今年はよかった(笑)。
というみえみえの嘘はこれぐらいにして。バレンタインにチョコを贈る習慣は日本だけとか、日本だけが盛り上がってるということがよく言われます(明治製菓の陰謀説も?)。しかしこっちでも、バレンタインはやっぱり「恋人達(含む夫婦!)の日」にはかわりないようで。違うのは、女性から男性へという一方通行ではないということでしょうか。プレゼントの広告をたくさん見ます。盛り上がってますよ、それなりに。
それからチョコレート=日本だけ(陰謀説)も、ちょっとおかしいかも。だって、今日の研究所の「お茶の時間(11時にみんながマグカップをもってキッチンに集まるのです)」には、お茶菓子としてチョコレートがでましたもん。ちゃんと缶がハート型してたし。
でバレンタインに関する俗説を排除して正確に述べると、「義理チョコなどという風習があるのは日本だけ」ということですね。どう考えても、イギリスではそんな習慣なさそう。

本題は、国勢調査のお話。イギリスでは、宗教や民族的アイデンティティ、果ては結婚暦から年収、持ち家や自家用車の有無まで、10年に一度大々的に調査があって、最新の2001年調査の結果が昨日出たわけです。
全体的に言えば、イギリスでも「多様化」がすすんで、いくつかの町では、白人のブリティッシュが過半数以下というところも現れ始めたとのこと。英国全体で、未だに72パーセントがキリスト教徒で、92パーセントが白人(エスニック・マイノリティーではないという意味)でということですが。
面白いのは、日本の新聞でも出たかと思いますが、スターウォーズのジェダイを信仰していると答えた人が0.7パーセント(39万人)も居たそうです。これは調査時にインターネット上でジェダイ教徒になりましょうというキャンペーンが大々的に行われたせいだといわれています。それもあって、当局はジェダイという区分を正式にはカウントしないっていうことにするらしいです。スターウォーズファンは、宗教弾圧だっていってるらしいけど。なんじゃそりゃ。ま、ジェダイじゃなくてパドメ・アミダラ女王なら信仰するけど、ってのはきわめて個人的な冗談です(演じてたナタリー・ポートマンってハーバード大の学生なんですってね。「レオン」で一躍スターになってからもトップクラスの成績とってハーヴァード入るってすごいかも)。
宗教関係が面白くって、「無宗教・無神論」と答えた人の割合が一番多いのは、「ヨーロッパで一番教会が多い街」といわれているノリッジ(Norwich)でした。

この調査結果を読んでの最大の収穫は、ケンブリッジがイギリスの中ではかなり特異な町だってことでした。

ケンブリッジは・・・
その1 自転車通勤の比率がイギリスで一番高い25.9パーセント
ロンドン在住の友人が、ケンブリッジへ来たら、みんな自転車に乗っていておかしかった、と言ってました。確かに、ロンドンで自転車ってあまりみません。が、ケンブリッジは自転車天国です。親の自転車の後ろにもう一つ小さいサドルと車輪と持ち手をつけて子供と一緒に乗ってる人とか居ますし。ガソリンが高いからか原付バイクみたいなのもあんまり見ません。自転車に適した規模と平坦さってことなんでしょう。晴れた日は、車やバイクより、自転車の方が気持ちいいことだけは間違いない。

その2 仏教徒が多い(人口の1パーセントを超えている)
仏教徒は全体でも14万人しかいないそうです。ジェダイ教徒?が39万人で0.7パーセントですから、その約三分の一。比率としては0.3パーセントぐらいなんだけど、ケンブリッジは1パーセントを越えているとのこと。わざわざポイントとしてタイムズに書いてたってことは、比率が一番おおいってこと?

その3 中国人が多い(人口の2パーセント超)
中国系の人口が2パーセントを越えてるのは、ロンドンの3つの行政区とケンブリッジだそうです。リバプールなんかにも中華街があるのに、それより比率が高いそうで。
これは留学生がおおいからか、それとも永住した中国系住民がすんでるからか、それともそれらの家庭の子供が皆成績がいいからか、理由は不明です。
ただ、ケンブリッジではアフリカ系カリブ系黒人よりも、インド系よりも、中国系の人を頻繁にみるような気がします。中国の認知度も高いように思います。旧正月なんか、中国人じゃなくてもなぜか「ハッピーニューイヤー」って言う人がいたし、言われた方も、中国の新年なんだってちゃんと理解してました。街中でも、パレードとかやってたし。パブでは「新年会開催歓迎」のポスターがいろいろ貼ってあった。
しかし、グランタという有名パブでは、その類のポスターに羊の絵とともに、意味なくひらがなが書いてあった。たしか「あはの」とかそういう三文字ぐらいだったような。ま、こっちじゃ、中国も日本もあまりかわらんってことです。前に家主さんが、家の説明の時に、電化製品のマニュアルを見せて「よかったわねー、日本語の説明があるわよ」というので見てみたらタイ語だったし。
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今週のいろんなお話のフォロー
*天気予報の用語法が細かいのにもかかわらず、こっちの人にはニュアンスの違いがわかるそうです。
*明日のデモは50万人規模との予想が。ジェダイが39万人で0.7パーセントってことは、50万人で1パーセントぐらい?
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2003/02/17
C-Day
今日からロンドンの市内で渋滞税が導入されたが、この日は、現地では、CongestionのCをとってC-DAYと皮肉られている。もちろんノルマンディ上陸作戦のもじり(蛇足ながら)。
この制度の下では、ロンドン中心部に自家用車を乗り入れる場合は事前に5ポンドの税金を払っていなければならない(これは一日の料金)。市内の課金ゾーンの入り口にテレビカメラがあって、ナンバープレートを撮影される。ナンバーの照合の結果、税金を払っていなければ、罰金を科せられるというしくみ。これは効きそう。一日1000円ってのは普通の家庭にはかなりの負担だろうし。実際市内の交通量は激減したらしい。
リビングストン市長は、これが成功すれば、ゾーンを3倍に拡げたいと意向だとのこと。しかし、税金は定額のため、打撃を受けるのはやはり収入の低い家庭じゃないだろうか。せめて、車の大きさによって額を変えるとかできないのだろうか。そうでなければ、ロンドン市内に自動車通勤できるのは、会社の重役など高収入の人のみで、一般庶民は混んだ地下鉄で通勤ってなことになりかねない。
BBCのパノラマという番組で、この制度を若干批判的に取り上げていたが、そのなかで象徴的なシーンが出てきた。渋滞税は、「なるべく自動車をやめて公共交通機関を使いましょう」という目的で導入されるはずなのに、渋滞税コントロールセンターの開所式に出席した政府の交通問題大臣は、センターに馬鹿でかい専用車で乗り付けたのである。彼のオフィスは目と鼻の先なのに!制度導入の責任者であるロンドンのリビングストン市長は、通勤は公共交通機関を利用しているらしいので、市長には好感がもてるんだけど。ダッフルコートを着て、カバンを斜めがけにして市民と挨拶をしながら通勤する姿は、なかなか、北欧の政治家みたいでよろしい(笑)。
日本でも導入の動きがあるみたいですが、結局、この問題は、環境問題から何からすべて包括的に考えなければならず、アメリカナイズされすぎたライフスタイルそのものを変えることができなければ、解決しないということでしょう。日本で最近自動車通勤派になった私がいうのもなんですが。

他の都市のことをなんでこんなに書くかというと、偶然にもそのC-DAYにロンドンに出かけたから。ちゃんと、課金ゾーンの入り口には、道路上に大きくCマークが書かれ、道路標識なども対応できていた。この前来たときには見た覚えがないから、いつの間に?と思った。ついでに地下鉄が混んでたような気がするけど。初めて乗った線だったので比較はできない。
ちなみに、「この前」ってのは、デモの日じゃありません。あしからず。

この日にロンドンに居た理由は・・・それはまた明日。
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2003/02/18
音楽と絵画の関係
すごい題名ですが、昨日は、絵と音楽とを堪能いたしました。もちろん、コンサートの前に時間つぶしで美術館に行ったというだけではなく、そこで観た絵とそのあと聞いた音楽に、偶然にも、深い関係があったというお話です。

月曜日でしたが、土日に仕事をしたので、代休のつもりで・・・。

コンサートは、いつものフィルハーモニア管ではなく、バービカンセンターで行なわれたロンドン交響楽団に行くつもりでした。毎度のことですが、コンサートだけのためにロンドンに行くのは勿体無いので、早めに出て「時間つぶし」をするつもりでした。今回は、ヴォクソールのホンモノのMI6も見たかったので(笑)、テイト・ブリテン美術館に行きました。ジェームス・ボンドが所属するMI6は、テイト・ブリテンの「ミルバンク」方面の入り口あたりからテームズ川の向こう岸に見えます。ご参考までに。
テイト・ブリテンへ行く主目的はラファエル前派のコレクションを鑑賞するため。ロセッティやミレイが、なぜか大好きなので。
ところで、ミレイの「オフィーリア」という有名な絵がありますが、これって、テートに来た人がとりあえず一番観たい絵ってことなんでしょうか?何人もの人が、美術館のスタッフに何かの場所を聞いてますが、スタッフは必ず「9番展示室へ行け」と答えてました。何があるのかと思ってその部屋を探すと、目立たない隅のほうに、さりげなく展示してありました。世界一美しい水死体。オフィーリアの浮かんでる水草だらけの川って、今のケム川そっくりなんですけど。

さて、ラファエル前派も堪能したのですが、音楽に関係してるのは、それではなくて・・・。じつは偶然にも、「コンスタブルからドラクロア:イギリス絵画とフランスロマン派展」という企画を、テイトブリテンで開催していたのです。
詳しく言うと、ナポレオンが敗れたワーテルローの戦い以降、フランスとイギリスの画家の交流が盛んになり、お互いに大きな影響を与えあうようになりました。これがビクトリア女王が即位するころまで30年近く続いたのですが、その頃の画家の作品の展覧会です。有名なところでは、イギリスのコンスタブルやターナー、フランスのドラクロワやジェリコーが含まれます。テイトのコレクションだけではなく、これらの画家の代表作が世界中から集められ、例えばコンスタブルの「the White Horse」とかジェリコーの「メデューサ号のいかだ」、ドラロッシュの「ジェーン・グレーの処刑」なども観ることができ、見ごたえ十分の展覧会でした。

その後、満ち足りた気分で、バービカンへ行きました。プログラムは、サー・コリン・デービスの指揮で、ベルリオーズづくし。前半が「イタリアのハロルド」、後半が「幻想交響曲」です。何でもベルリオーズ生誕200周年だそうで。

で、このプログラムと展覧会の関係はって?教養のない人は困るな(笑)。
まず、ドラクロワやコンスタブルが活躍した1830年代こそ、ベルリオーズの活躍した時代なのです。ベルリオーズはフランス人ですから、当然、交流があったと考えるべきでしょう。
さらに、「イタリアのハロルド」という曲は、バイロンの詩に基づいた作品ですが、ターナーも同じくこのハロルドの物語に関する絵を描いています。バイロンの詩は、この時代の画家にとってかなりインスピレーションを与えたようで、展覧会でも、いろんな絵のテーマになっていました。
ところで、このバイロンという人は、国際法学者からみてもちょっと注目。よく知られたとおり、バイロンはギリシャのトルコ(異教徒)からの独立のために活動し、ギリシャで死んだんですが、このギリシャ独立戦争への西欧諸国の肩入れは、よく「人道的干渉」の最初の例として言及されるからです。バルカン半島の民族問題のハシリでもあるし。バイロンなどの文化人が、キリスト教徒のギリシャ人を救えと運動したことが、西欧人たちにとっての軍事介入の「正当性」を高めたような気がしてなりません。展覧会にもドラクロワの「ミソロンギの廃墟とギリシャ人」というギリシャ独立戦争をテーマにした絵がありました。そのミソロンギでバイロンは死んだのです。

おっと、いろいろと薀蓄を語り、ついでに国際法の小話に無理やり持っていきましたが・・・。
ベルリオーズの幻想交響曲は、非常に写実的な曲ですが、曲を聴いて浮かんでくる光景が、どうしても数時間前にみた同時代の絵画とオーバーラップしてしまいました。
例えば、3楽章の田園のシーンは、コンスタブルの風景画が、イメージされます。一番印象的だったのは、4楽章の断頭台への行進って曲でしょうか。ベルリオーズは、片思い相手の女優の妄想に取り付かれてこの曲をつくったのですが、この楽章では、その女優を死刑にする妄想に走るわけです(今考えると、ほとんどストーカーなんですがね)。ご存じない方は聴いてみたらいいと思います。最後に、ギロチンの刃が落とされる音や、首が転がるところが出てきます。
で、この女性をギロチンにかけるというイメージは、ドラロッシュの「ジェーン・グレイの処刑」の絵そのままって感じです。時代は、絵の方があとですが。この処刑の絵は、普段はナショナル・ギャラリーにあります。大きな体格の処刑吏や役人と、小柄な10代の元女王との対比が、非常にドラマティックで、痛ましい印象を与える絵です。もちろん、この絵のテーマは16世紀のイギリスの事件ですが、ドラロッシュが描いた頃、フランス人の頭に強烈な印象として残っていたのは、革命時のマリー・アントワネットの処刑シーンでした。もちろんベルリオーズの妄想も、革命のときの光景が原因でしょう。とういうことで、この絵と、断頭台への行進という曲は、両方とも、同じイメージを持った同時代の人間がそれぞれの表現方法で描き出したものだということなのです。
絵の方は、処刑直前のシーンですが、それを思い出しながら音楽を聴いていて、曲の最後に首が転がる描写のところで、絵のほうに描かれたシーンの続き、つまりジェーン・グレーの首が転がり落ち、白い肌が血に染まるシーンが目に浮かんでゾッとしました。

絵と音楽をセットにして一度試してみてください。背筋が凍ります。

コリン・デービス指揮のこの日の「幻想」は、そういう妄想を観客に抱かせるほど迫真のパフォーマンスでした。とてもよかったです。しかし、「イタリアのハロルド」って・・・。演奏はよかったのかもしれませんが、率直に言って退屈な曲ですね。
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2003/02/19
ベッカム
いやいや、日本でも取り上げられてるとおもいますが、ベッカム負傷。監督が蹴飛ばしたシューズが眉の上に直撃したんですね。
マダム・タッソーの蝋人形館でも、早速、「傷」を再現したそうですが、貴公子といわれるベッカム、顔に傷なんかあると、すごく「らしい」ですよね。素性が知れるというかなんというか・・・。
今日のチャンピオンズリーグの試合(ITV1<地上波>にて生中継)は、いろんな意味で注目でした。ベッカムが出るか?土曜日のFAカップで足を怪我したようだったので、ベッカムは休場かと思われましたが、出ないわけにはいかないや。
大体、対戦相手のユベントス、インフルエンザのせいで、主力選手が欠場。デルピエロもいない。これで、ベッカムも居なければ、放映料返せって感じですよね。

一応、監督とベッカムは和解したそうですが、「ファーガソン監督にとっては小さな一蹴りだったが、マンチェスター・ユナイテッドにとっては巨大な一蹴りだった。(タイムズ紙)」ってなことにならなきゃいいですけど。
雨中の試合で、トサカが倒れたからって、イギリスからヘアメイクさんを日本まで呼び寄せるような、選手(というよりその奥さん)ですからね。移籍先の予想がすでに始まってます。

これじゃ、単なるサッカーの感想じゃないかって?日本でも書けるって?
いやいや、これで終わりじゃないのです。
実は、このベッカム負傷のニュースは、異常に重要視されていて、タイムズ紙でも、連日一面に報道されています(本当に)。イラク問題並みの関心ってところでしょうか。
そういうこともあってか、研究所のコーヒータイムで、初めてフットボールが会話のネタになったのです!記念すべき日です!何だ、一応みんなフットボールもしってるじゃん!と、今日はご機嫌です。

ところで、このイラチ(関西弁)の監督さん、実は「サー」がつくんですよ。なんと!サー・アレックス・ファーガソン。もう一人、ニューカースルの監督も、サ・ボビー・ロブソンっていうんですけどね。サー・アレックスとかサー・ボビーとか、らしくないでしょ。風貌も、サーというより「さぁ〜・・・」って感じ。まあ、サー・ポール・スミスってのも居るしね(こだわるなぁ)。
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2003/02/20
督促状
案の定、カウンシル・タックスの督促状が来た。
2月の初頭に、減税措置の申し込みにいって、「支払い期日が過ぎてしまうけどいいですよね」って係りの人に聞いたら、問題ないって言ってたのに(2月3日欄参照↓)。減税前の額で、「一週間以内に払わなければ、法的措置に訴える(費用はあなたの負担で)」だと。
減税申請と入れ違いになってるようなので、急いで、係りに電話したところ、調べて急いで対処するから、もう数日待てとのこと。
私、品行方正なので、こういう督促状もらったことないんで、ものすごーく不安です。その反面、裁判所によばれるようなことになったら、それはそれで、一つのネタだなとも・・・。乞うご期待!
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2003/02/21
グリーンウッド教授来剣橋
10月末に、ロンドンで講演を聞いて興奮した、あのグリーンウッド教授が、今度は研究所のランチタイム・レクチャーにいらっしゃった。テーマは今回もイラクへの武力行使の合法性について。今問題の安保理決議1441(11月8日採択)の前後に話が聞けて幸いだった。
さすがに、今日のレクチャーは、テーマがテーマだし、講師がビッグネームということもあって、いつもの倍ぐらいの人数が集まった。レクチャー前のフリーサンドイッチの部屋で、どこかで見たおじいさんが居るのを発見した。しばらくたって思い出したのだが、あのサー・ロバート・ジェニングス判事である(そんじょそこらの「さぁ〜」とは違う、偉い人!)。記念論文集の写真で顔を知っていたから、気づいたわけだ。ケンブリッジの元教授で、国際司法裁判所の元判事。グリーンウッド教授はケンブリッジ出身だから、時代的にいうと、師弟関係ということなんだろう。
レクチャーは、研究所の図書室で行なわれる。講師を中心に半円を書くように椅子が並べられている。研究員は、最前列に席がリザーブされているので、やる気満々の私は、ほとんどかぶりつかんばかりの近さで、講義を聴いた。前に、LSEに留学していた友人が、グリーンウッドはハンサムだと言っていたが、確かに近くで観察すると、ハンサムでダンディーだった。
講師の隣で、司会をするのは、所長のクロフォードに代わって、サー・エリー・ローターパクト。私の席から見ると、講師席を挟んで反対側の最前列に、ジェニングス判事が座っておられたので、ローターパクト、グリーンウッド、ジェニングスが一直線に並んで見えた。しかも至近距離に。二人のサー(グリーンウッド教授はまだサーになっていないが、数年以内に確実になるでしょう)、3人のQC(Queen's Counsel)だ。しかもジェニングスの隣の隣には、あのトニー・ロジャース将軍も居る。
こういう光景は、ケンブリッジならではの、壮観である。いい加減に慣れるべきなのだけど、いつまでたっても興奮してしまう。ケンブリッジに来た甲斐があったというものである。

講演の内容は、基本的に10月と同じ。決議1441についての分析が加わっていた。さらなる決議なしに攻撃可能かというところでは、非常に微妙な言い方で、断言はしていなかった。が、おそらくは、1991年からイラクには軍縮の義務が課せられているわけで、それに反しているのであれば、イラクに対する制裁は形式的には可能だと考えている様子。「新しい決議があれば、レジティマシーが完全になる」、という言い方は、決議なく武力行使しても国際法的には問題はないということでしょ?
ここで合法性ではなくレジティマシーが問題になるのは、こういうわけだろうと思う。
イラクには軍縮の義務がある、その義務に違反していると安保理は認定している(決議1441)、したがって安保理の「意思」さえ整っていれば、形式的に決議なしで武力行使は可能なはず。その「意思」表示は、決議の形式をとる必要はない。しかし、現状では、安保理内で、どのような「意思統一」も存在していない。
イラクが義務に違反しているのに、安保理が「武力行使可」という決定も「不可」という決定も出来ない場合、イラクに義務をまもらせるためにする武力行使が、「違法」か「合法」か、国際法的にははっきりしない。
そういう決議なしの武力行使を完全に違法だといえないということは、新しい決議があれば「(違法なものが)合法になる」という議論も成り立たない。だから「新しい決議があればレジティマシーが高まる」としか言いようがないのだろう。

個人的には、国際法上の評価とは別の問題として、グリーンウッド教授が言うところのレジティマシーが重要だと思う。だから、「新しい決議がなければ早急な武力行使はするべきでない」と考える。(地上戦をして政権転覆という作戦は成功しないのではないかという予測をしたことがあるけれど、それは別の話。決議があっても、今の計画が一番いいものかどうか疑問ということ。)

また、国連安保理の権威を維持するためには、こういうイレジティメイト(あるいはレス・レジティメイト)な状況で、行動に移るのは?だ(多くの国が、「英米の独走」と考えているのが明らかだから)。しかし同時に、グリーンウッド教授が言うように、安保理の権威のためには、「イラクの決議違反」は重要視されるべきで、イラクが12年間安保理をないがしろにしてきたことについては、一致した対応が必要だろう。

その意味で言えば、この前のデモで掲げられた「No war, without the 2nd resolution」というスローガンは、ものすごくバランスのとれた意見なのかもしれない。(イラクまで出かけて行って「サダム万歳」のデモに参加した人が居たらしいけれど、それって・・・)
実際、イギリス世論で「決議なしでもOK」というのは10パーセントに満たないようだ。これを、「90パーセントが決議のない武力行使に反対」と読むのだけれど、反対の内訳をみると「決議があればOK」という人が多く含まれている。それが上のようなスローガンにつながっている。デモ主催者は、明らかに「どんな状況でも武力行使反対」と主張しているが、その意見の微妙な相違には口をつぐんでいるわけだ。デモ・オーガナイザーの能力、相当である!

以上、一言で言うと、アメリカ国民が彼を大統領にした(マイケル・ムーアは「クーデタ」で政権を簒奪したという)のが、最大の問題なのかもしれない・・・。彼が父親並みに、もうちょっと本音を隠すことができたら、情勢は全然違うだろうに。
で彼が来年の選挙で再選したらどうなるんだろう?さらに2008年に、(もっと×××の悪そうな)弟のジェブが当選したら・・・、想像するだに恐ろしい。

※思うところあって、今日はものすごく真面目です(笑)。
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2003/02/22
研究所の蔵書
研究所の蔵書には、いろんな高名な先生からの「寄贈」が含まれている。昨日出てきた、ジェニングス判事もそうだし、国家責任法を研究していたアメリカのフリーマンなどの元蔵書が、私の守備範囲の書籍としてはたくさんある。
それらの蔵書中で、感慨深いのは、D文庫である。
故D教授(大佐)は、ロジャース少将と同じで、元英陸軍の法務将校である。D教授と研究所の名前として残っているハーシュ・ローターパクト教授(サー・エリーの父)が、1950年代にイギリスの陸軍教範(軍の行動に関する国際法のマニュアル)をまとめた。それを基にして、オッペンハイム国際法の7版(第二巻)が書かれた。で、イギリス軍の最新版のマニュアル(今度は3軍統合マニュアル)は、ロジャース少将が編纂の責任者で、今年中には公刊される予定である。
ここに出てきた名前、すべてがこの研究所に関係しているのだけれど、こういう環境で武力紛争法の研究ができるのは非常に幸せなことだ。機会を生かさねば!

で、D文庫である。D教授の蔵書が寄贈されていたのだ。感動しながらそれらの蔵書を読んでいたのだが、先日、少し当惑するようなことに気づいてしまった。

とある本、D教授のサイン入りで、教授自身も執筆部分がある本であるが、これに、サインと同じ筆跡で、走り書きがしてあったのだ。それは、共同執筆者の紹介欄の2名の執筆者の名前の横にあった。明らかに、他の執筆者に対するコメントである。走り書きなので、判読が難しかったが、Non juristと書いてある。つまり、この二人は、法律家ではないということで、さらに、そのうち一人の横にはバッテンがつけてある。
法学者が、しばしば他の分野の学者の書いたものを、「法律家じゃないから」という理由だけで、批判する(あるいは無視する)ことがある。確かに、法学(特に法解釈)というのは、特殊なテクニックを必要とする。だから、同じ問題について、例えば歴史学者と法律家とが共同で取り組んで、意見が合わないというようなことは多い。
それはしかし、それぞれの学問の手法(目的)の違いが反映しているにすぎないわけで、私としては、他分野の学者のいうことには最大限の尊敬を払うべきだと思う。実際に、この本が、そういうnon juristを執筆者に含めているのは、違う視点からのアプローチを含めることで、単眼的になるのを避けたかったのだろう。
ということは、そういう本で、共同執筆者が、論文の内容について意見を言うのではなく、「この人は法律家ではない」という批判をするのは、ルール違反だろう。ましてや、共同研究の結果として出版された本である!

もしかするとD教授にとって、個人的に、あまり気が合わない学者だったのかもしれない。実は、その二人のうちの一方の名前のしたに線を引っ張って、「stale old stuff」という記述もある。意味がわからない人は、辞書で調べてほしい。教授がその人を個人的にどう思っていたかよくわかる。

D教授は、非常にすばらしい業績を残しておられる。私も何度も引用させていただいたことがある。学問的に非のうちどころはない。伺ったところでは、温厚な人柄だったということで、尊敬していた(今もそうだが)。だからこそ、こういう「個人的な好悪の表明」は目にしたくはなかった。
(こういう、毒舌をボソッというところなどは、すごくイギリス人らしいなという気もするんだけど)

図書館の蔵書に、有名な先生の寄贈が含まれているということで言えば、大学院時代に田岡先生の「空襲の国際法」という名著を図書館で借りて勉強したのだが、「謹呈 恒藤恭先生 田岡良一」というサインがあった。これも結構すごいな。
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2003/02/23
禁断の・・・
いやまあ、しかし。異国暮らしは、胃に来ます。特にイギリスなんかの場合は。何せ、外食すると滅入るんだから(笑)。
そんな人には、禁断のメールが来ました。「旅の窓」という格安チケット(日本国内のホテル、航空券)ポータルサイトのメールマガジン。件名が・・・
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「飛騨高山でグルメ三昧」
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この飛騨高山という、「日本の中の日本」的な場所がポイントです。胃が泣きました。
今日は、日曜日モードってことで。
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2003/02/24
イギリス人はどこに行った?
前から不思議なことがある。大学院の修士課程、いや博士課程にもイギリス人の学生が居ないこと。これは国際法だけなのかもしれないが。
ここに、私が出ている授業の中では一番受講者が多い、紛争解決の授業の受講者名簿がある。出身国を見ると・・・カナダ、USA、アイルランド、オーストラリア、ウガンダ、ソマリア、スイス、パキスタン、中国、ロシア、フランス、インド、ドイツ、ハンガリー。UKと書いてるのは30人近く居る中で一人だけである。意外なことかもしれないが、一番多いのはオーストラリア出身だ。
この比率で行くと、博士課程でも、英国出身って人はほとんどいないんじゃないんだろうか。
確かに、この研究所も、所長がオーストラリア人だし、副所長は今サバティカルでしゃべる機会がないんだけれど、南アフリカ(ユダヤ人)出身だという噂を聞いた。そのほかにもオーストラリアやらニュージーランドやらアメリカやらの出身者が多い。
こういう状況で、どうやって「イギリス人の国際法学者」を育てるのだろうか。オーストラリアやカナダなどの兄弟国から学者が来ればそれでいいのだろうか。
それともいわゆる「学卒助手」のように、大学院を経由しないコースがあるんだろうか。

ともあれ、修士の学生の出身国のバラエティはすごい。途上国出身者などは、国に帰れば相当なエリートなんだろうし、何十年後かに国際司法裁判所判事なんて可能性がある人も居るんだろう。

でも、一番感心してるのは、こういう状況・・・
仮に、A君、Bさん、Cさんの3人がいるとしましょう。その三人が講義の休み時間にしゃべっています。A君とBさんは、よくわからないけどゲルマン系の言葉(ドイツ語?オランダ語フラマン語?)でしゃべってます。それなりのスピードなので、多分ネイティブなんでしょう。と思っていたら、Cさんが飲み物を買って教室に戻ってくると、3人の会話はフランス語に切り替わります。もちろん、授業中の質問はちょっとフランス語訛りのでも流暢な英語で出てきます。多分、スイスかベルギーの学生なんでしょうね。それにしても、私の見ている目の前で、3ヶ国語話してました(脱帽)。
F氏のような人は、ヨーロッパには大勢いるのですねえ。
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2003/02/26
Legal London
ヴィジティング・スカラー・ソサエティーの主催のエクスカージョンの企画がありまして、今日は、それに参加してきました。テーマはLegal Londonでした。ロンドンの、法曹関係施設の見学です。
イギリスの弁護士には法廷弁護士バリスターと事務弁護士ソリシターの二種類がありますが、より各上の、権威あるバリスターにはなるのが大変です。養成課程が非常に封建的?で、昔ながらの徒弟制度(Pupilship)により育てられるのです。その養成機関が、ロンドンに4つあるInnと呼ばれる機関です。一言でいうと、ケンブリッジのカレッジのごとく、寝食をともにしながら勉強する場ということでしょうか(もちろん、Innの方は、「寝」の場ではなくなってきたらしいですが)。
その中の一つ、Middle Templeのダイニングホールに入りましたが、ジェームスだかチャールズだかエリザベスだか、ともかく国王のどでかい肖像画が幾つも飾ってある、格調高いホールでした。ケンブリッジのカレッジでも、ダイニングホールが中心施設ですが、500年ほど前の建物を、日常の用途に使っているところが、すごいです。ミドル・テンプルのハイテーブルと呼ばれる壇上の食卓?は、エリザベス一世が寄贈したものだとか。その机が、サーブする前の、テーブルクロスとかワイングラスとかを、とりあえず置いとく台に使ってるわけですから。日本で言うと、織田信長の寄進した衝立みたいなもんですよ・・・。
それから、インナーテンプルという別のInnに行ったあと、昼食を、ディケンズが行きつけていたという、有名なパブでとり(名前忘れました)、昼食後は、Royal Courts of Justice(高等裁判所)で裁判傍聴(すこしですけど)。そうそう。本当にカツラかぶってるんですよ!裁判官(3人)も、検察官も、弁護士も。書記官や速記官はかぶりません。というか、普通のおばちゃんが普通のかっこで仕事してるんで、カツラ+ガウンの法曹との対比が面白かった。覗いた法廷が刑事事件を扱っていたので、ちゃんと法廷内の「檻」のなかに被告人もいたし。
でも弁護士が新米っぽい人で、裁判官にいじめられてました。基本的な証拠規則に関する論点で、泥舟にのっちゃったんでしょうね。ねちねちと裁判長に突っ込まれてました。新米君は、耳まで真っ赤にして、Please forgive me, My Lord(裁判官にはMy Lordと呼びかける)...とか言いながら、ああでもない、こうでもないと言い訳。答えれば答えるほど混乱していくようでした。被告人や証人そっちのけの問答に、みなさん呆れ顔。
なんだか、意地悪い先生にいじめられてるゼミ生みたいで面白かったです。ゼミ生のみんな元気?

午後は、リンカーンズインという法曹養成学校?へ。もう一つグレイズインというのもあるんですが、「そこはBabyで新しすぎるからいかない」んだそうです。といっても、17世紀発祥なんですが。

痛感したのは、イギリスの法曹制度、特にバリスター養成とバリスターの出世(Queen's Counselへのプロモーション)の閉鎖性。封建制。不透明性。
この三つの性質を反対にしたのが、日本版ロースクールの理念ですね(笑)。開放性、公平性、透明性。ま、この原則も、今では、ぐちゃぐちゃですけどね。どうしてこうなったのでしょうね。

しかし、イギリスってのは、寝食ともにするってのがよっぽどすきなんですね。大体カレッジの制度がそうです。法曹養成においても、バリスターになるには、(実務研修中は?)一年に12回、たとえイングランド・ウェールズのどこで仕事をしていても、ロンドンに来て、「食事をすること」が条件らしいですよ(回数は、負担を考えて12回に減らされたのだそうです)。その食事も黙って食べるんではなくて、先輩弁護士と4人一組で議論しながら食べるんですけどね。でも、それなら、食事しながらじゃなくてもできるのに・・・。そうか、食事に集中したのでは、出された料理の現実に気づいてしまうからか!ん?逆?食事中に、他のことに没頭するから、料理はどうでもよくなるのか・・・。
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2003/02/27
シャルル・デュトワって
フィルハーモニア管にシャルル・デュトワが客演したので、聴きに行きました。ソリストもマルタ・アルゲリッチとチョン・キョンファとがそれぞれ客演する、豪華なシリーズです。アルゲリッチは逃しましたが、チョン・キョンファの出るほうに行かせていただきました(毎週行っとるな・・・)。
デュトワ、かっこいい・・・。ドホナーニ(常任指揮者)のときとは、オーケストラも格段の差でした。ラベルのマ・メール・ロワを軽くアペリティフがわりにして、ブラームスのバイオリンコンチェルトとショスタコビッチの5番がメインコース。
デュトワが振ると、ショスタコビッチが、物凄く華麗に聴こえました。普通は、ソビエトの白黒映画をみてるように聴こえる曲ですが、今晩のデュトワの演奏では、急に純天然色カラーになった感じでした。2楽章はグロテスクなスケルツォのイメージがあったのですが、ラ・ヴァルス(ラベル)風のワルツっぽい仕上げ。中間のトランペットのソロなどは、シャブリエ?・・・。スペインっぽい華やかさは、終楽章でも。終楽章中間部のホルンのソロも、「亡き王女のためのパバーヌ」でも吹いてるかのような。
ただ、ブラームスは、「普通」に振ってましたけど(あんまり好きじゃないのでしょうか)。

ブラームスでは、チョン・キョンファの貫禄がすごかったです。最初の弾き始めなどは、「さあ行くぞ」という感じで、助走でもしはじめそうな感じで。ブラームスをこんなに熱く弾いたの、初めて聴きました。
チョン・キョンファといえば、20年ほど前に、京都会館のコンサートを聴きにいったのを思い出します。N響が共演を断ったというひどい話があったころです。確か、ベートーベンとチャイコフスキーの協奏曲2曲のプログラムだったように思います。N響の偏見により彼女を「民族の英雄」とみなす動きがより強くなったのでしょうか。京都の在日社会全体が熱烈歓迎しているような、熱いムードのコンサートでした。民族学校の生徒たちがたくさん動員?されていて、後ろの方の座席がすこしやかましかったですけど。でも、彼女の十八番であるチャイコフスキーを最前列で、しかも聴衆もソリストも一体で興奮の坩堝となったかのような雰囲気で聴けたのは生涯の思い出です。
今回も、ロンドン在住のコリアンがたくさんコンサートに来ていました。チョン・キョンファもファンを(あるいは民族の絆を?)大事にして、コンサート後にサイン会までしてました(私は電車に遅れそうなので断念しましたが)。

今日はバイオリンがソロのプログラムなので、一回の中央より後ろ目、指揮者の真後ろ(すなわち一番よいポジション)に席を取りましたが、そのあたりはチケットが高い(比較的)からか、お年寄りのお客さんが多くて。隣のおばあちゃん、居眠りしっぱなし。ショスタコビッチの一番盛り上がってるところでも寝てましたけど、よく寝られるな・・・。
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関係ありませんが、昨日の記事で、ロースクールのことを書いたら、日本でがんばってる友人から、「勝手にぐちゃぐちゃにするな」とお叱りを受けました。もうしわけない。法学部教員の端くれでありながら、メディアのように、すっかり他人事みたいに評論してしまって。
正しく言うと、法曹への道のスタートとなるロースクールは、開放性、公平性、透明性が不可欠であって、その理念に沿うよう、各大学が制度設計をしているところです。ただ、私学などの中には、経営上の考慮、学部との関係などから、ともすればこの理念を逸脱しかねない動きも見られるので注意が必要だということですね。

それから、昨日、ロンドンの高等裁判所前に、テレビクルーが集結していました。帰宅してから観た夜のニュースで、裁判所前から中継していました。なんでも、不妊治療のクリニックで、人工授精の試験管を取り違えてエラいことになったという家族法の事件だったそうで。かなり話題になっている事件らしく、ツアーのガイドさんが裁判所で少しその話をしたところ、われわれ日本人の参加者以外は、みんな「ふんふん」とわかってるような雰囲気でした。
試験管を取り違えても、普通なら血液型なんかを調べないとわからない(それでも、すぐわかりますが、生まれてきた本人が子どものうちは隠し通せます)のですが。このケースがややこしいのは、白人同士の夫婦の試験管と、黒人同士の夫婦の試験管を取り違えて、混血の双子を白人夫婦の妻が出産したという点です。すぐに見た目でわかってしまうわけですね。判決によると、ミスであろうがなんであろうが、法律上の父親は黒人夫婦の夫の方になってしまうわけです。現行法では、白人夫婦の方の夫を「父親」と推定する根拠がないそうです。ですから、白人夫婦は、法的には双子を養子にしなければならないと・・・。この事件の救いは、黒人夫婦(彼らはまだ治療に「成功」していない)が「双子をよこせ」と言ってるわけではないことです。裁判官もテレビのレポーターもみんな、これからのことは「子どもの最善の利益」を考慮して対処されると言ってますが、このケースで子どもにとって一番よいことってなんなんでしょうね。
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2003/2/28
パウルソン氏とギャラウェイ氏
金曜日なので、ランチタイムレクチャーの日。今日は、国際的投資紛争の仲裁裁判では第一人者(らしい)、ジャン・パウルソン氏の講演があった。コンセッションとかBITとかICSIDとか、自分の守備範囲から一番遠い気がして、全然知らない分野なんで、パウルソン?だれそれ?って思ってました。「かなり」の人らしいですね。

金曜日は、忙しい日で、そのあとはいつもの通り、LLM(修士課程)の武力紛争法の授業に出席。今日はチャールズ・ギャラウェイ大佐がゲスト。たびたび言及しているロジャース氏の後任で国防省(陸軍?)の法務部門のトップの地位にある人だ。国際刑事裁判所の設立会議から準備会議から締約国会議まで、深く携わってきた人ということで、裏話なんかも交えて興味深い話を聴いた。

印象的だったのは、イギリスの(彼個人の?)ICCに対する考え方。
つまり、こういう裁判所は、「いつでも動ける」という体制を整えて、センシティブな状態を保っていながら、実際は開店休業状態なのが一番よいと。というのは、ICCは、「補完性の原則」を旨としていて、各国の刑事裁判制度が適切に機能し、戦争犯罪や人道に対する罪を厳しく実効的に処罰していれば、裁判を行なわない(行なえない?)からです。イギリスが早期にICC規程を批准し、国内法の整備を行なったのは、ICC規程に列挙されるような諸犯罪について、自力で裁判する制度を整えて、ICCが英国の刑事裁判権をかっさらってしまったりしないようにするためだと。
この考え、当たり前のことなんですが、某国の外務省担当者の「アメリカが入らないから、制度の先行きが不透明。だからICCには入らない(抄)」という発言(ジュリスト2002.10.15号11ページ参照)とは、対照的だと思います。国際人道法の履行確保措置の整備と言う点では、日本はかなりの後進国です。そうか、戦争放棄してるからいいんだ(大爆笑)。有事法制反対(失笑)。あほらし。

でもギャラウェイ氏、気になることも言ってました。ICCの事務局、検察局、裁判官団が過度に「文民化」されるのは危険だ。現実をしらない非軍人のみが裁判所を牛耳れば、武力紛争法の発展を阻害すると。日本の憲法学者やメディアなどが聞いたら、どんな反応をするか楽しみですが(笑)、もちろん、趣旨としては「バランス」を保つようにするべきだということです。

私が(個人的に)気になるのは、「軍人でなければ現実がわからない」という点です。自衛官の知り合いは、仕事柄多い方だとは思いますが、残念ながら、私自身は軍隊で暮らした経験がありません。実際、こちらに来てすぐに、自己紹介がてら「専門は武力紛争法」というような話をあるフェロー(ロジャース少将ではありません)にしたら、軍隊経験がないから研究に支障があるというようなことを指摘されました。「映画やゲームとはちがうんだよ」と。正直へこみました。
私は欲張りなので、「現実を知っている」軍人さんにも、「理想に燃える」人道主義者さんにも納得されるような研究がしたいと思っています。なので、頭ごなしに、「君は現実をしらない」といわれるのはたまりません。

じゃあ聞くけど、「現実」ってなんでしょう?
例えば、旧日本陸軍の中支(今、IMEで、シナという言葉を変換できませんでした!なんだそりゃ)方面軍に従軍してたおじいちゃんたちは、「現実」を知ってるんでしょうか?そのころ南京に居た市民たちは、軍人じゃないから「現実」を知らないんでしょうか?戦後の日本の自衛官は、じゃあ、どういう現実をみてきたんでしょうか(正解:自衛官は軍人ではありません(笑))?それはイギリスの軍人がみてきた現実とは違うんでしょうか?
私は、武力紛争法を研究していく過程で、そういう色分けにより断絶状態をつくるのが最も避けるべきことだと思います。前に、「法律家ではない」という批判は反則だと書きましたが、同じ理由で「軍人だから」「軍人でないから」という区別も反則なのです。

もちろん、ギャラウェイ氏は、そういう趣旨で言われたのではありません。ICCの裁判官が国際法と刑事法に通じた人という基準で選ばれ、軍事・軍事法に通じているという要素が抜けていたこと。ICC設立にNGOが大きく貢献していること。これらのことから、ICCの中で、今後、軍事的考慮と人道的考慮のバランス(国際人道法の存在条件)が大きく崩れてしまう可能性があることを言っておられるんだと思います。氏の憂慮は、その通りだと思います。
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2003/03/01
パーティーで語学について考えたこと
昨日の夜は、研究所でちょっとしたパーティーがありました。久々の登場ですが、あのF氏が主催してくれました(すっかり普通の人でしょ)。中華のテイクアウトを山ほど頼んで(含、北京ダック)、飲み物を準備して、研究所のダイニングを会場にして、総勢10名ほどで楽しくやりました。
配達してくれたのは、Flying Wokというお店(場所は知らない)らしいですが、中国人の同僚たちが、おいしいと言っていたので、なかなかの味なんでしょう。ちなみに中華の店は、大体テイクアウトを受け付けてくれます。ケンブリッジ市内には、たくさん中華の店があります。何せ、中国人比率がイギリスで一番高い町ですから。
パーティーには、F氏夫人もいらっしゃいました。インドネシア生まれの華僑です。中国語はマンダリン(北京語)を学んだ(母語ではない)のみらしいですが、F氏と同じで、ヨーロッパ各国語がすらすら出てくるのには参りました。
ご夫人と私の間に、一人、パリ大に留学していた中国人の同僚が座っていたのですが、夫人は中国語よりフランス語のほうが得意らしく、同僚とは中国人同士でありながらフランス語でしゃべっていました。しかし、会話の輪に私も入るようなそぶりで顔を向けると、センテンスの途中であっても会話は英語に切り替わります。ご夫人、その他の中国人の同僚とは中国語で会話していたのはもちろんですが、どうも英語よりイタリア語の方ができるようすで、他のイギリス人の同僚(イタリア人と付き合っていてイタリア語ができる)とはイタリア語で話していました。

恥ずかしいことに、私の隣にいたパリ大学に留学していた同僚が、F氏夫人に、私がジュネーヴに行って10年以上勉強したフランス語を一言もしゃべれなかったというネタ(研究所でかなり有名になってしまった)を暴露してしまいました。「なんで?」って本当に不思議そうな顔をされましたが、そうですよねえ。フランス語は読むのはできるし、イタリア語だってドイツ語だって辞書があればそこそこ読めるんですが、英語以外はようしゃべらんって(英語のしゃべりだって、やばいよ)、まったく異常事態。
案外こんな人、日本にはいっぱい居るんですよって、言っておきましたが、どうかんがえてもおかしいぞ日本の語学教育(他人のせいにしておこっと!)。日本で、金をかけないほうが(Novaとか行くな原書を読んどれという意味)語学は身につくという説も聞いたことありますが、そうやって語学(特に話す+書く)をおろそかにして、日本の研究者は、国際競争力をうしなうんではなかろうか(文系の場合、最初からないのかも)。
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2003/03/02
案外?善戦でした
ラグビーの慶應対ケンブリッジ戦を観て来ましたが、24対17とそんなに点差は開かず、善戦してました。どこから来たのか、追っかけみたいな女子学生(日本人)が、ちゃんと「陸の王者〜」と歌ってたのがよかったのでしょうか。また、ロンドン近辺から、家族連れの「三田会」の方たちがたくさん観戦に来てました。すごい結束力です。ちょっとしたOB会のようでした、「いやー、お久しぶりです。今、物産のロンドンで・・・」などという挨拶がスタンドの方々から聞こえてきたそうです(ケンブリッジ在住日本人の友人談)。
ラグビーグランドは研究所のすぐそばなので、研究所の前のクランマーロードは、日本人の客の専用駐車場と化していました。どれもこれも高級車で・・・。一流企業の駐在員(BMWに乗っている)としがないビジティングスカラー(変速機が壊れた中古自転車(サドルにはスーパーの袋をかぶせてる)に乗っている)の差をヒシヒシと感じました(涙)。

ところで、6カ国対抗戦なども始まったので、最近よくラグビーの試合をみますが、日本で観てるのと何が違うのかかんがえていたんです。一つ気がついたのは、ゴールキックの精度が全然ちがうような気がします(あくまでも印象論です)。トライのあとのゴールキックって、日本では「おまけ」みたいに、「入ってラッキーだったね」などと思ってたんですが、イングランド代表のキッカーを見てると、どんな角度でも、どんな距離があっても、確実(ことばのあやです)に入るんですよね。ゴールキックって、あんまり体格の差とかは関係ない分野だと思うんですけど。

やはり、体格の差は歴然です。ケンブリッジのディフェンスの選手(わかりやすく言うと平尾のように比較的スマートな体格のはず・・・)が、慶應のフォワードの選手(大八木のようなゴッツイ体格の選手が多い)より総じてデカイですからね。横幅も身長も。

よく7点差ですんだよね。お疲れさん。
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2003/03/04
今日のガーディアン
二つばかりネタ@ガーディアン紙を

まず、エデュケーション・デバイドをどう解消するかという記事。階級間での高等教育進学率の格差(階級の固定化の原因)解消のために「数値目標」を設定するかどうかという問題だが、そんなことよりも、実情の数字に驚きました。ワーキングクラス(出身)の学生の比率が一番低いのは、なんてったってケンブリッジって9パーセント(一桁はケンブリッジだけ)。オックスフォードが10パーセントであとは、ブリストルとかエジンバラが続きます。数字はオックスブリッジとそんなに変わりませんが、ということはオックスブリッジだけが特権的で、他は誰もが入学できるオープンな大学ということでもないんですね。
ワーキングクラスの定義がイマイチわからないけれど、お坊ちゃんお嬢ちゃん率が一番高いのがケンブリッジということは確かなんでしょう。
階級差のほとんどないといわれる日本でも、高等教育の分野ではイギリスに似た現象が起こりつつある気もします。

もう一つのネタは、アメリカで反「反戦運動」が熾烈になっているということ。フレンチ・フライをフリーダム・フライに呼び換えたり、シャンペンをボイコットしたりする、馬鹿さかげんにはあいた口がふさがらないですが、このごろは「反戦派」の出演者を降ろせというプレッシャーをメディアに対してかける大衆運動を大々的に組織してる奴が居るらしい。セレブリティが公の場で「政治的発言(=政府に反対する発言)」をすれば物凄い嫌がらせメールを受けるらしいです。曰く「セレブリティー(知名度)の濫用」だとか。まさか本気でそんな法的議論をするやついないだろうなと恐れますが、こういう法的な言い回しが出てくるということは、こんな茶番に手を貸す法律家が大勢居るってことでしょうか・・・。
昔、憲法を勉強したときに、表現の自由に関する米国憲法判例を学んで、「憲法というのは信頼できる制度になりえるんだ」と感動した覚えがありますが(ちょっと青い)、別の国みたいですね。
有名な「君の言論の内容は大嫌いだ。しかし君の言論の自由は命をかけて守る」(だったっけ)て言葉には、もう誰も見向きもしないんでしょうか。
この国には人種差別とかマッカーシズムとか色々あったけど、このごろは品性もなくなってきましたよね。
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2003/03/05
灰の水曜日
夕方のこと、キングスカレッジのチャペルで、礼拝やってるのかーと偶然入ったところ、今日は灰の水曜日の特別な礼拝でした。

灰の水曜日って、イエス・キリストが荒野で過ごした40日間にちなんだ四旬節の最初にあたるそうで、この直前に謝肉祭をやって、その後はキリストを思って肉食を控えるらしい。そういえば、昨日のニュースでリオのカーニバルやってたな・・・。

この日は懺悔の日でもあるらしいですねえ。品行方正なので、何を懺悔していいのかわかりませんが(笑)。あ、こういう嘘をつくことを悔い改めます。

灰の水曜日とか四旬節とか、なんとなカトリックな雰囲気が漂いますが、こういう正式な礼拝にでると、なんと英国国教会とカトリックの似ていることか。あの偉大な王様は、本当に自分の離婚を正当化するためだけに、カトリックを離れたんですねえ。

どうのこうの言っても、なかなかこういう礼拝や灰の水曜日がどういう意味を持っているのかは、カトリックにうとい私には身をもって理解することはできません(ちょっと残念)。ついでに礼拝者が皆で唱える文句、昔の英語の上に、ネイティブの呼吸+スピードなので、ついていけません!もちろん、日が暮れたらチャペルのなかはろうそくの明かりだけで、暗いし(ここもか!)。

よかったのは、またまたキングスカレッジの聖歌隊の歌を聴けたこと。なんと、アレグリのミゼレーレという名曲を聴かせてくれました。子供の頃のモーツアルトが門外不出(楽譜類が)のこの曲をシスティーナ礼拝堂で聴いて、暗記して楽譜におこし、皆を驚かせたというあの曲です。さすがは世界一の少年合唱団。ソロの男の子が、ハイCの一番高い音もきれいにあててました。
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2003/03/06
久々に
テレビのネタ

日本でも報道されていたようだが、昨日、クイズミリオネア不正疑惑の初公判があったそうな。クリス・タラント司会の元祖版。
日本の報道では(news.yahoo.co.jp参照)、咳の数で答えを教えたと言っているが、ただしくはそうじゃない。解答者が答えに詰まって「Aでないのは確かだと思うんだけど・・」と言うとすかさず「それだよ」の意味の軽い咳が聞こえ、解答者が「・・・あれ、でも、やっぱりAかな?そうだ思い出したAだ」と言う風に解答を変える方式だったそうです。ちなみに解答者が自信をもって「Bだと思う」と言って、それが間違いの場合は「ちがうよ」という意味のゴホゴホという大きな咳をするのが合図だったらしいです。そのあたりのセリフを文字で読むと、なんでこんなのでもバレないと思ったんだろうと思うぐらい不自然な解答の変更をしてました。(どうでもいいネタですいません)
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もう一つ。昨日の話ですが、トーク番組を「音声なし」で放送してました。事故で音声が送信できない状態になったようです。日本のようにバラエティ番組の笑いの要所に「字幕」をつけるというような発想もなく、ただ出演者にしゃべらせるだけという粗い番組のつくりですから、音声がないと、純粋に出演者の顔を交互に写しているだけの番組になってしまいます。テロップが下の方に出ていて「しばらく音声なしでお楽しみください」と言ってましたが、どうやって楽しむのか教えてほしいもんですね。ビックリしました。

しばらくたって音声が復帰しました(観てたんじゃなくて、付けっぱなしにして台所にいたんです)が、さっきまでテレビに声なしで映っていたゲストの「ど派手なメークのお姉さん」がとっても「野太い」声で話していることに二度目のビックリ。(これって笑いを取るための手の込んだネタだったんでしょうか)

番組の最後に(最後まで観たんかい!)、「番組の後半の音声の事故は申し訳ありませんでした」というアナウンスが一言入っただけで、そのまんまってのに、さらにビックリ。
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2003/03/07
クロフォード教授大活躍・・・オイル・プラットフォーム事件と公開書簡
今日までの予定で、国際司法裁判所で、オイル・プラットフォーム事件の口頭弁論をやっていた。イランイラク戦争末期に、ペルシャ湾で激化していたタンカー戦争に対処するため、アメリカが艦船を派遣してとった軍事行動の違法性を争う事件だ。イラン対アメリカの事件だ。なんでか物凄く時間がかかっている。
この事件は、イランが設定した海上排除水域の合法性も関係している事件なので、興味があって、今日の午前中に、口頭弁論の速記録(即日でHPに掲載される)をパラパラと読んでいた。当研究所のクロフォード教授は、イラン側の弁護人だ。事実上弁護団を率いるかたちで、八面六臂の大活躍をしているのが、速記録からもよくわかる。最近見ないなと思ったら、ハーグに行ってるのかと納得。
午前中は口頭弁論はいつまで続く予定なんだろうなーと思って読んでいたんだけど、午後の大学院の講義から研究所まで帰ってくると、なんとクロフォード教授が大きなスーツケースを引きずって車から降りてくるではないか。ニコニコして「Hello! How are you?」なんて言いながら。「オイル・プラットフォーム事件でしょ?」と聞くと、「今終わったところだよ」とのお答えでした。
確かに、法廷の衣装そのままでした(カツラはなし←イギリスの弁護士の人は、ICJでもその衣装らしい)。研究室に戻って急いで調べると、ICJのHPにも今日の午前の弁論の速記録がすでにアップされていました。
それによると終了時間は11時35分。ハーグとは一時間の時差があるので、こちらの時間で10時半ごろか・・・。しかも、シー裁判長が、追って判決の期日を伝えると言っているではないか。本当に「今終わったところ」だったんだ。
しかしそれにしても早いな。イギリス時間10時半に法廷が終わって、夕方の4時にはケンブリッジに着いてるって。それだけ忙しい人だということでしょうか。
そういえば、今日は、11時のお茶の時間で研究所のみんなが集まっているところに電話がかかってきた。偶然電話の傍に居たクロフォード夫人(研究所の研究員)が電話に出て、「今、あなたの話をしてたところ・・・」と言ってたけど、ちょうどわれわれはクロフォード教授の話をしていたところだった。そうかちょうど法廷が終わって30分ほどたったころだから、時間的に言っても、あの電話は「帰るコール」だったんだ(笑)。

ところで、このお茶の時間は、研究所で一番イギリスらしい風習(笑)。実際にはみんなコーヒー飲んでるんですけど。余談ですが、くまのプーさん(パディントンだったけ?)に「11時っぽい気分になってきたなぁ」というとってもかわいい表現があります(原文未チェック)。
その時間に、なぜクロフォードの話をしていたかというと、今日のガーディアン紙の一面に「国際法学者イラクとの戦争にNo」という記事が出ていたからです。これは、イギリスの有名な大学の国際法学者が16人共同で、首相宛に公開書簡を送ったという記事でした。正確に言うと、パリ大学のデュピュイ教授も名を連ねているのですが。
イギリスの国際法学者たちとは、はしょって有名どころだけをあげると、オックスフォードのロウ教授、ケンブリッジのクロフォード教授、スーザン・マークス講師、ロジャー・オキーフ講師、LSEのチンキン教授、ゲリー・シンプソン講師、ユニヴァーシティー・カレッジ・ロンドンのフィリップ・サンズ教授などです。(このうち、私の知る限り、少なくとも、ケンブリッジの3人とチンキンはオーストラリア人なんだけど。「イギリス人はどこへ行った?」ですね)

書簡の概要は次の通り。
「入手可能な情報から判断する限り、イラクへの武力行使は国際法上正当化することはできない。先制的自衛は国際法上認められていないし、安保理決議1441(以前の決議も含む)は現在のような状況での武力行使を許可していない。ブレア首相は、ロシアやフランスなどが発動するであろう拒否権を『非合理的』で無視してもよいと述べているが、これには国際法上の根拠はない(露仏の拒否の権利を侵害する)。安保理の許可のないイラクへの軍事攻撃は国際的な法の支配を弱める。たとえ許可があっても問題がないわけではない。合法的な戦争が常に正しく、賢明で、人道的であるとは限らないからだ。」 原文はここ

最後の「たとえ許可があっても・・・」のくだりまで全員の合意があるのか不明です。さりげなくこの文を入れたところにオーガナイザーの巧さを感じあます。ガーディアンも「決議1441や以前の安保理決議は武力行使を許可していない」という部分について、「異論もある」と書いています。
先日のグリーンウッド教授は、もちろんここに名を連ねていませんが、明日の「デーリーテレグラフ紙」あたりに、彼の名で、「Yes」の公開書簡が出るのではないかというのがもっぱらの噂です。

と、こんな風に、さすがに国際法研究所だけあって、毎日このネタで持ちきりです。
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2003/03/08
F氏も大活躍(笑)
木、金と同じようなテーマのセミナーが続きました。

木曜日の夜は、ケンブリッジ大学の犯罪学研究所のセミナー(法学部の建物で開催)で、フライブルクのマックスプランク外国刑事法・国際刑事法研究所のアルブレヒト教授の講演を聴きに行ってきました。テーマは9・11後の反テロ立法について。「指定テロ組織のメンバーであること」を犯罪とする各国新立法、資金面での規制(最近のメインテーマ)のあり方について説明していただきました。ものすごく偉い先生なのかもしれませんが、ばんばひろ○みのような外見で、ユーロト○ッシュ(英国在住の人にはわかるネタ)の彼のような英語を話していて、面白かったです。程度の低い感想ですいません。

金曜日の昼、国際法研究所のランチタイムセミナーは、OECDの法務スタッフ?の人が外国公務員への贈賄の取り締まりに関する条約についてお話になりました。講師の女性はケンブリッジの卒業生で、ICJで働いていたらしく、どうやらロバート・ジェニングス元判事のお気に入りという感じでした。ジェニングス判事が、わざわざセミナーに出席し、ハーグに居るクロフォード教授の代りに司会を勤められたのが印象的でした。

そして金曜日の夜は、法学部の大教室で、「テロとマネーロンダリング」についての講演会。講演者は、弁護士(QC)のウィリアム・ブレア氏。ブレア首相のお兄さんらしいです。(私も含めて?)首相の兄を観るために大勢集まった聴衆の期待を見事に裏切る「似てなさ」(笑)。話し方などに微かに共通点を感じましたが、弟と違って弁論法やパフォーマンスのやり方は訓練しなかったようで・・・。一つわかったのは、ブレア家の男性は、どうやら頭髪に年齢が現れるという遺伝的傾向があるのかもしれません(笑)。

以上、三つのセミナーの共通項はなんでしょうか?もちろんF氏です。すべてに出席してました。「昔、そういうことしてる奴らを捕まえる仕事をしてたので興味があるんだけど・・・」といいながら、鋭い質問を繰り出すあたり、さすがに専門家。おそらく、三つのセミナーともに、F氏の方がよく知ってるんじゃないだろうかという印象を受けました。おそらく、最後のブレア弁護士の講演会は、F氏が乗っ取ったほうがよかったのじゃないかしら。

※すいません。ばんば何某だとかユーロト○ッシュだとか失礼千万なことを言いましたが、アルブレヒト教授って、マックスプランク研究所で、あのアルビン・エーザーと一緒に(共同?)所長を勤める偉い人だったようです。でも、ジーンズで講演してたよ・・・。
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2003/03/09
フジモリ氏の評判
ペルーの元大統領だったフジモリ氏についてICPOが国際指名手配したというニュースがあるが、これは日本では驚きなのかもしれない。

日本にいた頃、彼が近日中にペルー大統領に復帰するだとか、根強い支持があるだとか、これは冤罪だというような、フジモリ側の主張を一方的に垂れ流したテレビ番組を観たことがある。
ところが、イギリスに来てみると、彼は「今も生きているあの独裁者」という扱い。ウガンダのアミンとかハイチのあの何とかという独裁者とか、自国民を何万人も虐殺し、その後外国に逃げ匿われている人たちと一緒に顔写真が並べられていた。
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日本のフジモリ氏支援派は、非常に有力な筋が多いらしい。だから日本のテレビ番組も、ああいう一方的な番組を放送するんだ。
また、日本大使公邸事件もあるから頭があがらないのか?しかし、この事件だって、彼は自分自身の「テロとの戦い」を進めただけじゃないのか?日本大使公邸だったからがんばった訳じゃないだろうに。

いずれにせよ、「人道に対する罪」での手配ということなら、日本政府も非常に困った立場に追い込まれるわけですね。

気になるので続報・・・
このところのこちらの報道では、フジモリは日本でスタイリッシュなマンションに住み、高級官僚と会食を繰り返し、日本の右翼政治家(某都知事)に支援されているとかなり批判的?に書かれているし、日本政府の対応も非常にナンセンスなものと見られている。「事実を知らされていない」日本人は、フジモリをヒーローとみなしているとも。確かに、今回の容疑の内容とか、在職中のペルー国内での抑圧政策とか、「超法規的存在」だったモンテシノス氏との関係とか、こちらでは詳細に報じられているものなのに、日本ではほとんど報道されている様子がない(ように思う)。そのかわり、「フジモリはペルー経済を立て直した。強い態度で臨みテロとの戦いに勝利した。」と。ちょっと考えれば、その過程で何が起こったか想像つきそうなものだけど。
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2003/03/10
サンデータイムズ
昨日の日曜日は、新聞を読んで過ごしました。サンデータイムズという日曜日のみの新聞を1ポンド40ペンス(280円ぐらい)で買ってきて・・・。
新聞と言っても侮ってはいけない。平日の新聞とは違う視点で、詳しく掘り下げた記事が多く、読み応えがあります。硬派の総合雑誌のようなおもむきです。スポーツ、トラベルからビジネス、ニュースレビューまで、さまざまな別冊がついているので余計に時間がかかるわけで。日曜日の昼に、日曜版の新聞を小脇に抱えてパブへ急ぐおじさんを見ます。しかしビールを片手にそんな新聞を読むには、一日パブに入り浸る必要があります。そんなに家に居るのが嫌なんでしょうか(笑)。

特に印象に残ったのは、イラク問題と先週紹介したエデュケーション・デバイドの問題。

イラク問題では、安保理の授権なしに武力行使をしたら内閣のメンバー(政務官クラス)が辞職すると公言し始めた(月曜日にはさらに、現役閣僚が辞職を口にし始めて、閣内不一致極まりなし)というニュースがトップ記事。これは「サンデータイムズによると・・・」と引用する形で日本の新聞にも取り上げられてるはずです。反旗を翻した中に、ケンブリッジ選出の労働党議員アン・キャンベル氏も含まれていました。まあ、選挙区が左翼の巣窟?ケンブリッジだったら、おいそれとドンパチに賛成するわけにいきませんね!

エデュケーション・デバイドは大学教員としてはなかなか考えさせられる問題です。今大騒ぎになっているのは、有力進学校の校長会がブリストル大学が逆差別をしているとボイコットを呼びかけているからです。
先週ちょっと紹介したように、大学における階級の偏りを減少させようと政府が必死になっていて、数値目標が掲げられているわけです。大学側はどうやって目標を達成するかというと、上中流階級出身が多い進学校ではなく、労働者階級出身者が多い公立校(普通高校)から学生をより多く集めようとするわけです。
有力進学校側の言い分では、ブリストル大学の特に歴史学部で、成績のいい申し分ない自信を持って送り出した生徒の「不合格」が相次いでいるということらしいです。しかも書類で落ちており、面接さえ受けられないと・・・。これは明らかに有力校出身者に対する差別だというのがボイコットの理由です。
大学側としては、全国統一の学力テストのグレードは「一つの指標」に過ぎず、受験生のこれまでのバックグラウンドを総合的に見て評価しているそうですが。
確かに、大学は「独自の評価基準」で学生を選考する裁量があるはずです。点数だけで評価しないというのはきこえはいいですが、公正さを保てるのでしょうか?実は、受験生を選ぶ側に立ったことがあるのでよくわかりますが、ある選考について「どうやって説明するか」というのが一番大事な点です。センター試験のようにどこかで誰かが採点した結果を、ある点数で機械的に切るというのが一番簡単なんですよね。それ以外の要素を考慮しようとすれば途端に「説明責任」が重くなるわけで。
とはいえ、イギリスの場合、数値目標を導入してアファーマティブアクションのようなことをするのは「よくない」という人が多数派のようなのですが。多分やるべきことは、一つは高校までの初等中等教育の質の全体的向上(有力進学校との差を埋める)、もう一つはお金の手当てじゃないかしら。
特にお金については深刻。一般の人から見れば、オックスブリッジのカレッジで「ハイテーブル」や「フォーマルディナー」など「無駄なこと」のために費やされるお金=高い学費に直結というのは、ものすごく馬鹿馬鹿しいことのようです。特権階級のおごりだと。
一番難しいのは、たとえ普通校のクオリティーを向上させ、労働者階級出身者の学力を向上させても、「同じ学力(客観的な点数)であっても、『上流階級』の子弟のほうが(人格的に?)優れている」という根強い信仰があることです。階級社会恐るべしですね。
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今日、月曜日の午後は久しぶりに床屋さんに。前回とは違って、研究所の近くのニューナム通りのお店に行きました。しかしお店のお兄さんは、またしてもイタリア人!
ケンブリッジ生まれだとは言ってましたが、両親はイタリア人だとか。
これが典型的なイタリア男なんだな。もみあげが長い。店の外を女の子が通るたびにジーと視線を送ってる(おいおい、はさみ使いながらはやめてくれ!)。で、意味ありげに「いまの子どう?」みたいなニュアンスでお客に同意を求める。やたらとしゃべる。店にマンマが乗り込んでくる。その母親(恰幅がいい)が「お前、今日は帰ってくるのかい?晩御飯いるのかい?」みたいな事を客の前で聞くので、その兄ちゃん「やめてよ、マンマ。恥ずかしいよ。要らない要らない」と(一応)言ってるが、母親には頭が上がらない様子で、いい年をしてマザコンぶりを発揮していた。しかも見た目は、ジローラモ!!
前の店のイタリア人?は、真面目で寡黙な感じでしたから手早い仕上げでしたが、今回はやたらと一人一人に時間がかかって、待たされました。そりゃそうだ。
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2003/03/11
国際刑事裁判所の発足
今日、国際刑事裁判所の発足式典が、ハーグで開かれました。ネット中継で、見ることが出来ました。
この分野の研究者としては、やりがいのある時代に研究してることを幸せに思います。が、国連国際法委員会などで、初期の作業にかなり携わったクロフォード教授によると、人類の進歩などというよりも、偶然政治的な条件がよかったからできたにすぎないそうです。
確かにそうかもしれませんね。90年代中旬だったから可能だったのかもしれません。ブッシュが政権についてからの世界をみれば、5年遅かったら影も形もなかったかもしれませんね。こういうのは出来るときにつくっておくのがよい(無いよりまし)といえるのか、もはやあまり期待できないというべきなのか・・・。

それにしても時代は変わりましたよね。ポスト冷戦期などと言っていたころが懐かしい・・・。
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2003/03/12
After America?
ケンブリッジ大ヨーロッパ法研究所のランチタイムセミナーで、もう一人の国際法教授?フィリップ・アロットの講演を聴きに行った。彼は、国際法思想、国際法史など抽象的な問題を研究している人。
題名が、「アフター・アメリカ」で、非常に刺激的だったため、みんな同じことを考えて、多くの聴衆が集まった。彼の話は、歴史や哲学に関する非常に豊富な知識に裏打ちされた興味深いものだった。もうすぐこの題名の本が出るそうだ。
結局、直接イラク問題には言及しなかった(あえて)が、結論は、アメリカは自分以外を本質的に「異質なもの」とみて共存できない国だが、ヨーロッパは「異質なもの」との共存が出来る国で、ヨーロッパは目覚めるべきだということらしい。

中国人の同僚が言うには、他の先生の授業は技術的なことばかりでそれは本を読めばわかる、しかしアロットの授業は哲学的でインスピレーションを与えてくれると。あー出席しておけばよかった(冬学期が終わり、春学期は試験のため授業はない)。
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2003/03/13
ケンブリッジ大学出版
昨日の続報だけど、あまり知られてないかもしれないので、アロット教授の最新作を宣伝しておこう。
The Health of Nations, Philip Allott (October 2002, Cambridge UP, ISBN: 0521016800)

ちなみに、このケンブリッジ大学出版(UP)ってのは不思議な組織。大学とは別組織かと思っていたんだけど、なぜか「大学のメンバー」だと本が2割引で買える。日本の大学生協などよりも割引率が大きい。
この前、シティ・センターにある大学出版の店(絶版してない本はすべてあると言うことになっている)でおそるおそる「あのー、ヴィジティングのメンバーだけど割引になりますか?」と聞いてみた。そうしたら「何か証明するものはありますか?」と聞かれたので、財布をひっくり返して「こんなものでもいいですか」とユニヴァーシティセンター(教職員用食堂)の会員証(写真なし)を差し出してみた。なんとそれでOK!の返事。IDなしでも何とかなりそうな雰囲気だった。こんど70ポンドもする「ICCの戦争犯罪構成要件」に関するコメンタリーが出版されるので、このときは絶対2割引で買わなきゃ。

重要な告知! 割引購入の仲介は行っておりませんので、悪しからず(笑)。

ところで、オランダの出版社Kluwer Law Internationalがアメリカの法律系出版社に買収されたが、さすがアメリカ!国際法の雑誌などをバシバシ切り捨て始めたらしい。多くの雑誌が出版社を変えざるを得なくなっているらしい。
国際法ではかなり有名なLeiden Journal of International Lawも出版社くら換えを迫られた雑誌の一つ。どこに変わったかというと、ケンブリッジUP。ライデン大学の国際法雑誌をケンブリッジ大学出版が出すということになったわけですね。

しかし、アメリカってやっぱり本質的に内向き・・・。アロット教授の言うとおりですね
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2003/03/14
もっと真面目に考えてね
いやー日本の皆さん。ご愁傷様です。戦争の問題を「その場の雰囲気」で考える総理大臣をお持ちになって・・・。ともかく軽すぎる。最近、O沢一郎氏が妙にまともに見えるんだけど、これって他の人がおかしすぎるから?
当事国だけあってイギリス人はもう少し真面目(言っとくけど、日本だって軍事行動に協力するんだったら紛争当事国とみなされうるんじゃないの?米軍の軍艦に給油すれば日本の艦船も立派な軍事目標ですけど・・・)。
国際法学者もしょっちゅう引き合いに出されてます。グリーンウッドはまだ公開書簡は出してませんが、第二の決議なしに武力行使は可能という意見をガーディアンに述べてます。

でも、ちょっと間抜けな学者もいます。某ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの先生ですが、次のようにご発言になりました。

「安保理が承認しないまま武力行使を行なえば、ICC規程8条に反する『戦争犯罪』を行なったことになる(侵略の罪ではありませんよ)」

まあ、国際法の専門家じゃなくて衡平法の先生だからしょうがないかな。それにしても同僚に少しでも相談したらこういうマチガイはしないのにね。堂々と全国紙に投稿してこんなこと書くなんて・・・。研究所の(前の公開書簡にも署名してた)ロジャー・オキーフというエキセントリックな人(失礼!)が、新聞を持って震えながら「おーこんなのたまらん。限界だー!」と叫んでました。

何がおかしいのかって?
ブッシュだってフセインだって、侵略をしても戦争法に違反した捕虜の虐待や無差別攻撃をしない限り戦争犯罪とはいいません。たとえ侵略者でも「戦争法にしたがっていれば戦争犯罪にはとわれない」という保障がなければ、戦争法を守るインセンティブがなくなって、戦争が「より残虐なもの」になるので、こういう「武力に訴えること(ユス・アド・ベルム)」と「どういう風に戦うか(ユス・イン・ベロ)」を別の基準で評価する二重構造になっているわけです。

ケンブリッジより戦争法講座でした(いやーすごく仕事した気分!)。

こんな物騒なこの頃の世界情勢ですが、季節は春。ケンブリッジでも冬学期が昨日終了し、学生さんたちもすっかりリラックスした雰囲気です。ものすごくいい天気で、花咲き乱れ・・・。ケム川には、早速パントが繰り出しちょっと混雑気味。ため息が出るほどのどかで平和です・・・。
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2003/03/15
ノッティングヒルな蒲田行進曲(?)
昨晩、日本大使館の文化紹介行事の一環で、ケンブリッジで開催されたJapanese Film Nightというのに行ってきました。蒲田行進曲の上映です(遅ればせながら観たことなかった)。英語の題名は、そのものずばりFall Guy。

「とてもジャパーニズですから、びっくりするかもしれません」という前置きで始まりましたが、とてもジャパニーズな私としては、ものすごく楽しめました。ただ、つかこうへいの作品を「とてもジャパニーズ」と言ってしまうのはかなり問題なんだけど。ともかく、「好きになればなるほど切ないのさ」とか「背中から哀愁でてるよ」とか、まったく非論理的なセリフをイギリス人が楽しむことはできたんでしょうか・・・。そもそもストーリーが「論理」を超越してますよね。映画の後のトークで、イギリス人たちが「よくわからない」を連発してました。確かに、映画中に笑ってたのは私を含め、数少ない日本人だけだったような・・・・・。

あの映画、東映太秦撮影所を舞台にしていますが、昔出入りしていた(バイトでヤスのような大部屋俳優の真似をした。っていってもエキストラだけど・・・)関係で、あの雰囲気は懐かしかったです。それにヤスの生まれ故郷「人吉」として映ってるのは、JR山陰線の旧保津峡駅ですが、通勤で毎日見ていたところだったので、懐かしくて笑いました(そうです。映画は観たことあるけど、私の勤め先をご存じない皆さん。ああいうところを通って通勤しとるのです・・・。大学そのものはもっと開けたところですが。)。
それにしても蟹江敬三とか萩原流行とか平田満とか、ベタな顔ぶれを異国で観ると妙に感激しますよ。

重要な追記
このとき、ロンドンの日本大使館から映画の解説に来ていた文化担当の参事官の方、お名前を「奥克彦」さんと言います。このあとすぐイラクに行かれて殉職されました。名刺をいただいて、お話ししました。映画の話や太秦の話をしておられたソフトな笑顔が忘れられません。私が国際法を専攻しているというと、「私も国連政策課長してたんですよ・・・」とおっしゃり、ひとしきりイラク情勢についておしゃべりしました。あの平和な雰囲気とその後の彼の運命との落差に耐え難い悲しみを覚えます。

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土曜日は、ケンブリッジ大学植物園で癒されてきました。はまった!年間会員になろうかなと思案中。8回以上行かないともとがとれないんで微妙なところ。9月末までしか居ないし・・・。でも寄付するつもりで入ろうかな。
しかしケンブリッジの穴場ですねえ。土曜日で本当に天気がよかったので植物園日和なんだけど、入場料がかかる(2ポンド50=約500円)からか、春が浅いということか、とても空いてました。だけど本当にすばらしい植物園。普通のカレッジの庭でもあれだけきれいな町なのに、まして植物園ですよ!しかも「庭師の国」のイギリスの!日本から来る研究者にはあまり知られてないのかしら。本当に勿体無いことです。

植物園で、私、人生の目標決めました。死んだら、名前入りのベンチを寄付します!そういうベンチが植物園じゅうにあって、大概「この庭を愛した○●×△の思い出に」というようなプレートが。ノッティングヒルのなんちゃらという映画に出てきたああいうベンチです。
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2003/03/16
飽きてきたぞこの話
何がって、イラク!
どうも最近、こんな風にもめてるのが一番よくないような気がしてきました。
目前の武力行使さえ防げば平和だと勘違いしてる世論にも疲れてきました。フランスの外務大臣らの活躍が妙に共感できないのは、基本的にその後のこと考えてないから。軍事的プレッシャーがなくなれば、イラクが査察に協力的な態度を撤回するのは目に見えているし。
いちばんイライラするのは「人間の盾」。イラクの人にとってみたら大きなお世話だ。「イラクの皆さん。人間の盾のおかげで武力行使を回避できました。ひとまず安心してください。それではさようなら。」といって、後に残るのは?独裁者と可哀想なイラク国民。わかってるの?きっと浮いてるだろうな、人間の盾として入国した外国人たち。

今日も、平和な日曜日のはずが・・・。またしてもボイラー問題が・・・。水圧が低くなりすぎているのを発見。マニュアルをひっくり返して、水圧をあげるメンテナンスをしなければならないという記述を発見(最初に言ってほしかった)。あーでもない、こうでもないと英文の雑なマニュアルを片手に格闘し、数時間がかりで直しました。万歳!
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2003/03/17
Fitz is the last person I want consluted!
このごろテレビで(ニュースが気になって<笑>)プレステ2のとあるソフトのCMをよくやっている。ゲームには全然興味がないので、たいして興味もなく観ていたんだけど、ふと気づくと、よく知ってる歌声がバックに流れているでわないか・・・。どうかんがえても宇多田ヒカル。PSだから、そういうこともあるのかなと思ってたんだけど、本当に彼女みたいですね。ゲームのテーマソングを歌ってるらしいし。こういうのって結構嬉しい。
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と呑気なことを言ってるが、今日は戦争を待つ日。そんな日にはぴったりな論文を今日読みました。

Geoffrey Marston "Armed Intervention in the 1956 Suez Canal Crisis: Legal Advice Tendered to the British Government" in International and Comparative Law Quarterly, Vol. 37 (1988), pp.773-817.

この論文、事態の展開が劇的なので、ちょっとした映画を観ているようでした。是非お試しください。今読むと、すごく面白いです。

映画風に解説すると(笑)・・・
ナセルによるスエズ運河国有化に端を発したスエズ危機。武力奪還を目指す英国政府強硬派に真っ向から抵抗する法律家たち。外務省法律顧問のフィッツモーリス、法務長官と法務次官。ICJを退官し貴族院議員として、自らの政府との結びつきに苦慮しながらも静かに反対するロード・マクネア。しかし、イーデン首相は強硬派の大法官の助言にしか耳を貸さず、武力介入へと突き進む。やがて事態はイスラエルを利用した大茶番劇に発展し・・・。密約を知らされず裏切られた法律家たちはどうする?(誰も抗議の辞任はしないんだけどね・・・)
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大法官ら強硬派の議論に「国連を無視するのはよくない。しかし不毛な議論によって現実を取り返しのつかないところまで悪化させるのも同じくよくない」という発言が出てきましたが、50年前から変わってないな〜と思いませんか?
政府の立場を支援するオックスフォード大学の教授の公開書簡がタイムズ紙に掲載されたりもしてますし。
フィッツモーリスが「国際法学者は皆、反対している」などと述べているのもそっくり。

この話、運河会社国有化のみを根拠として武力行使を正当化するのが困難だとイギリスが逡巡していると、フランスとイスラエルから願ってもないオファーが入ります。そのイスラエルがエジプトに侵攻し、両国の紛争で危険が生じたという理由で仏英軍がスエズ運河保護のために軍事行動に出るという密約が交わされます(みなさん、フランスってこんな国です・・・笑?)。イスラエルはシナイ半島を獲得し、英仏はスエズ運河を取り戻すのが狙いで。
まあ、この作戦、結局国連総会の介入でPKOが派遣されることになりますが、それはおいといて・・・。
密約の閣議決定の場に外務省の法律顧問(法務局のトップ)であるフィッツモーリスが居ないことを疑問におもったある出席者がイーデン首相に問いかけると、首相は

「フィッツには一番意見を聞きたくないよ。法律家ってのはわれわれのやることに反対するしか脳がない。頼むから奴らは入れないでくれ。これは政治問題だ。」

と発言したそうです。

いろいろ他にもありますが、フィッツモーリスのように日本で言えば外務省の条約局長のような幹部が、政府の政策を正当化するためだけに存在するのではなくて、検事総長とか内閣法制局長官のような人と一緒に政府の方針に咬みつくというプロフェッショナリズムにちょっと感動。でも結局上のように邪魔者扱いされるところに法律家の悲しさも感じ・・・。

しかしイギリス人って、こういう記録を残すの得意なのでしょうか。公表されていてもアクセスが難しい情報を集めて、いろんな文書集がよく出版されますよね。ヒギンズの出世作?は平和維持活動に関する文書を集めて整理したあの4巻本でしょ(便利なんだなこれが)。ケンブリッジ大学出版局から、湾岸戦争とかリベリア介入とかいろんな事例についての、そういったドキュメント集が出てるし(といっても、なんだか出版社の都合で続かないみたいですが)。でも、インターネット時代を迎えて、どんな情報でも公表されていればたいてい手に入る環境では、こういうのはもう流行らないのかな・・・。

※もしかすると、すごく有名な論文なのかな?その場合は、お願いだから、今頃読んだのか?とかいう意地悪な突っ込みはやめて下さい。各自、専門分野ってのがあるんだから。
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2003/03/18
人生色々♪、学者も色々♪♪
ついに御大登場。クリストファー・グリーンウッドの意見が新聞に出てきましたよ。まえの国際法学者たちの公開書簡のようなシケた(笑)やりかたではなくって。実にパワフルな方法でです。
昨日、法務長官Attorney-General(法務大臣のような役割ではなく内閣のメンバーでありながら、法律的問題について助言をする人?)が、第二の安保理決議がない攻撃を合法とする公式見解を出したのですが、どうやらこれは内閣の意思決定に不可欠らしい(だれかイギリス公法に詳しい人教えて!)ですね。この意見を書いたのが、実はグリーンウッドだということです(ガーディアン紙)。確かに、この意見書、二度聞いた彼の講演の内容とほぼ一致します。
他方で、ケンブリッジのC教授はどう過ごしているかというと、あのアル・ジャジーラからコメントを求められたそうです。武力で政権をひっくり返すことは合法か?と。彼はバーレーンをICJで弁護したので(バーレーン国王からの寄付により国際法研究所は、研究所の隣の土地が買えたんです=私の仮住まい、今は改装中)、湾岸地域では有名なんでしょうか。

一方は政府の意見書を下書きし、他方はアルジャジーラでぶつぶつ不満をぶつける。国際法学者も色々ですなあ。なんか、昨日の論文がそのままフラッシュバックするなあ。

今日は、昼休みにしばらく、ネット中継の英国下院の議論の様子を聞いていました。雄弁で有名なブレア首相の「政治家としての人生で最も重要な演説」はなかなか聞き応えがありました。フランスが悪いと批判しまくってました。反戦派の人には悪いけど、これはそうかもしれません。よいわるいは別にして、フランスのここ1週間の態度は外交的に失点ではないでしょうか。議員の一人が言ってましたが、「フセイン政権との貿易上のつながりが強い(制裁解除後に関係を強めたい→ミラージュとかエグゾゼミサイルとか輸出したい。だってフセイン後に親米政権ができたら輸出できないんだもん・・・)」というのが理由かもしれません(頼むから「平和外交」とかいうのもうやめませんか?)。
イラクの最近の査察への協力の姿勢は武力行使が本当にあるかもしれないという恐れからきたもの。だって、イラクは12年間ずっとないがしろにしてきたんですよ、急に態度を変更したのはこれしか理由はありません。この意味で、安保理決議1441が全会一致だったのは強烈な効果があったはずです。
ところが、フランスが「どんな状況でも拒否権を発動する」と言ってしまったので、武力行使があるかもしれないという抑止効果が働かなくなってしまったわけです。英米としては、フランスがそういう発言をすれば、「いやいや決議なしでもやりますよ」という方向へ行かざるを得ないじゃないですか。何しろ軍事的プレッシャーがなければイラクは協力しないんだから。ということで、英米を妥協の余地のない、しかも予想よりずっと早い最後通告へと駆り立てたのはフランスの外交上のミスじゃないですか?そんなおかしなカードを切った理由が知りたい。(以上は政治上の駆け引きの問題についてのコメントであって、武力行使の合法性については見解はちょっと留保・・・)。

その反面、フランスに関してはこんなことも。今日、ケンブリッジの町中のマーケット広場に面した建物の窓からフランスの国旗がぶら下げてありました。国旗には何かが書いてあります。「I'd rather be FRENCH than backing Bush!」、イギリス人にいっそフランス人になりたいなんて言わせるなんて、事態は相当なところまで来てますな。
町中にはその他、「No War」のポスターに代わって、「戦争が始まったら町をストップさせよう」などというステッカーも貼られるようになり、臨戦態勢です。
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<<参考資料>>YK氏の協力に感謝!!
Atorney-Generalの意見について

それに関する「いろんな」学者の意見

A.G.についての紹介
年収百万ポンド(2億円)の弁護士がどうのこうのって、ちょっと本質的じゃない皮肉(A日新聞が好きそうなヤッカミネタ?)→最後の方に昨日のスエズ危機のネタが出てきます。
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2003/03/19
ちょっと一言
昨日、盛大にフランス批判をやりましたが(笑)、これに関して、もっともなご指摘をたまわりましたので、ちょっと一言お断りしておきます。
今、イギリス政府は、必死でフランスをスケープゴートに仕立てて、伝統的なイギリス人の反仏感情(そんなものが存在するのかどうかさえ疑問ですが。日本人も「伝統的反韓感情」などという常套句にだまされないように!)を煽って支持率アップを狙ってるわけです。実際、最近の世論調査では、現時点での攻撃の支持率が若干アップしました。全体では反対派が優勢ですが、内訳は女性が圧倒的に反対しているのに対して、男性だけをみると賛否どっこいどっこいだということらしいです。
私は今、イギリスに居て、ほとんどイギリスのメディアにしか接していません。その意味で、他のイギリス人たちを同じように、うまく政府の反仏キャンペーンに乗せられているのかもしれません。フランス語の情報を読まずにフランスの外交政策を批判するのは、一方的過ぎると思います。そこで・・・

★ 昨日の内容は、イギリスメディアのバイアスがかかっていることを十分ご承知ください。私は、国際政治学の研究者でも評論家でもないので、素人的に十分な検証もせず、言われたことをそのまま受けいれ、バランスを欠いたことを書いたことはご容赦ください。とは言うものの、当然のことながら、フランスの立場は私がいうような稚拙なものではなく、もっと奥が深いものらしいです、もうちょっと勉強しておきます。

★ 「専門家」としての意見と受け止められるのも困るので、このところの展開の国際法上の評価については、態度を留保しておきます。実際のところは、よくわかりません。多くの国際法学者が安保理決議のない攻撃を国際法違反とみなしていることは事実ですが・・・。
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2003/03/20
What A Wonderful World♪
の世界だなあ。(一度歌詞を調べてみてください)

今日もケンブリッジは春爛漫の気候です。カレッジの芝生でも、昼寝したり、サンドイッチを食べたり、友達としゃべったりしながら、過ごしている人のなんと多いことか。
昼休みには、研究所の隣の敷地に来ている工事のおっちゃんたちが、楽しそうに庭で車座になって過ごしてるし。
あえて今日はのんびりしてるって人もたくさんいるんだろうなあ。

昨日の晩、研究所の男ばっかり3人組で映画を観にいきました。遅ればせながらCHICAGO!ケンブリッジのような白人ばっかりの映画館で、アジア人の男3人でCHICAGOって、ちょっと不気味じゃないですか(笑)?でも、さすがにあれだけの賞をとっているだけあって、面白かったです。というか物凄く楽しかったです。この時期に、とってもアメリカンな世界を堪能できてよかった。

こんな映画をつくれるアメリカって本当にワンダフルで、大好き(笑)。こんなこと言えるのが、これで最後にならないことを祈ります。

その他のワンダフル
・すげえフリーキックをみた。FAカップのリバプール対セルティックス(スコットランド)戦。ボールが一直線に低い弾道で飛んでいくのに、ディフェンダーたちがボールから逃げるようにして・・・。こういうの見るとやめられませんなー。サッカーを観ていて感心するのは、プレミアリーグの選手たちのファーストタッチ。あまりの華麗さと正確さには感動すら覚えます。あと、チャンピオンズリーグも凄いです。この前、レアル・マドリッド対ACミラン戦を観ていて、おいおいと思ったよ。アナウンサーが展開をボールを持った選手名でフォローしてたんだけど・・・

「ロベルトカルロス・・・、ジダン・・・、ラウール」とか、

「フィーゴ・・・、ロナウド・・・」とか。あんたら世界選抜かって。
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・ビール万歳。どちらかというとビター系が好きなんですが、良いのみつけましたぜ。あまり日本では有名ではないけど、New Castle Brownという銘柄。ケンブリッジで知り合った文化人類学専攻でネパールのとある民族を研究している日本人研究者が教えてくれました。こういう人に知りあうこと自体、ケンブリッジのワンダフルなんですけどね。ニューカースルも万歳。

なんか、ちょっと無理してます?
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2003/04/16
戦争も終わったし
また再開しますか・・・(笑)。
かなりサボり癖がついたので、週報ぐらいのペースになるかもしれませんが。今後ともよろしく。

この約一ヶ月の間に、ケンブリッジはすでに夏って感じになっております。時間的にもサマータイム始まってるし。
夜は、8時過ぎまで明るいしね。

そうそう、今度ヒリアード・アンサンブルがバッハのシャコンヌをアレンジ(って範疇には収まらないが)したモリムールという曲の英国初演を、キングスカレッジでやるそうな。CDは持ってますが。
98年の夏に、トリニティカレッジのチャペルで、デュ・ファイ?のミサ曲を演奏したのを聴きに行ったことがあるが、震えた覚えがあるんで、今回も是非!ただ、この前からチケット・ソールドアウトを立て続けに食らってるからなー、大丈夫かな?何せ、ボックス・オフィスの近辺の建物(さすがに前売所そのものではないが)にポスターがべたべた貼ってあるのにもかかわらず、「ずいぶん前に売り切れてるよ」ということを言われるしねえ。「えーポスター貼ってあるやん!」と食い下がっても、「それは知ってるけど、ないんだよ。」と肩をすくめるだけ・・・。
ま、そのうち一回はチョン・キョンファのリサイタルだったし、他のも含めて、会場のキャパが1000人もないホールだし、しょうがないか・・・。
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2003/04/17
洗足木曜日?
イースターの前の一週間は、Holy Weekといって連日、何かがある。キングスカレッジでも、連日礼拝。
あんまり意味もわからず、今日、木曜日も礼拝に出席。ドヴォルザークのミサ曲を、あの少年たちの合唱で聴いた(涙)。間に、ブルックナーやエルガーの宗教曲を取り混ぜ、最高の雰囲気・・・。
灰の水曜日の頃は、5時半スタートの礼拝は、外が真っ暗だったんだけいれど、もう、近頃は8時頃まで外が明るいので、この日の礼拝も、西日の柔らかい金色がかった光が差し込む、礼拝堂の中で行われ、非常に幻想的だった。

ヒリアード・アンサンブルのチケットもとれたし、言うことなし。

ところで、実用的な情報を書いておくと、この時期にイギリスに来る人は注意が必要です。イースターの日曜日は、クリスマスと同じようにほとんどの店がしまってしまいます。その前後の金土と月曜日も、店の閉まる時間が早くなったり色々。またこれもクリスマスと同じく、日本とは違って、こういうときは公共交通機関も本数が減ったり、途中までしか行かなかったりと大変。さすがにクリスマスと違って、全くゼロになるってことはないですが(あ、そうそう、ヒースロー・エクスプレスはこの時期、四日間ほど全休です)・・・
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2003/04/18
お庭で日光浴って・・・
我が家には隣の家と共用の庭があります。5メートル四方ぐらいの芝生の庭です。こじんまりとしていてなかなかイイ感じなんです。庭の北側に我が家、東側にお隣さんの建物があって、それぞれ90度で建っています。その他の面は塀で、どちらも、塀の向こうはよそのお庭です。ですから庭に、リスやら各種小鳥やらが遊びに来る平和な空間です。

最近の好天(最高気温が25度を超えていた)で、すっかり夏モードになったのか、なんとお隣の若夫婦(事実婚?)が、庭に出てきて、レジャーシートを敷いて、日光浴をしておられました。しかも水着で。

きれいな庭だし、我が家だって庭をみられるようにソファーなどが配置されています。ということは、休日の昼下がり、ソファーでほっこりしていると・・・ってことになるわけですね(笑)。

あー、夏だなーと思ってると、どこからともなくボサノバの音が。フルートとクラリネットがメロディーを吹き、ギターとピアノの伴奏で。なんと二階の住人が合奏していたのです。おしゃれでしょ。

はい?我々が帰国した後に、その家に住んでみたいって?紹介料高いよ(笑)!
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2003/04/19
寒・・・
真夏モードの昨日からは一転、今日はどんよりした曇り空で寒風吹きすさぶ天気。気温も昨日よりは15度は低いでしょう。こんな日は、書くこともなく・・・。
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2003/04/23
めがらいだー
と言っても、新しい仮面ライダーシリーズではありません(しょうもないなー。長いこと休んでたから、キレが悪いか?)。

ケンブリッジで運行している市内バスの定期券のことです。
ケンブリッジ周辺では、郊外行き、もっと長距離のもの(コーチという)などさまざまなバスが運行されています。そのほとんどが、ドランマーストリートのコーチステーション近辺から出ます。
鉄道の駅がシティーセンターから離れていることを考えると、バスで移動する方が便利なこともしばしばあるようです。例えば、オックスフォードに行こうとした場合、鉄道だとロンドンまで行って、キングスクロス駅からパディントン駅まで地下鉄に乗って、パディントン駅からオックスフォード行きに乗る必要があります。これでも、正味3時間ぐらいしかかからないんですが、乗換えが面倒だし、駅まで遠いので案外大変。それに引き換え、オックスフォードへ行くバスはとっても頻繁に出ていて、ダイレクトだし、少々時間はかかってもバスの方が便利。ただし、ケンブリッジからでも、いろんな町にダイレクトなバスが運転されてるわけではありません。オックスフォード行きは、やはり特別みたいです。需要が多いのでしょうか。

で、メガライダーですが、在英半年にして買ってみることにしたわけです。自分のためではなくて、奥様のために。我が家は、そんなに郊外にあるわけではないのですが、シティセンターからみて、「キャッスルヒル」という丘を上がったところにあります。だから距離は近くても、歩くとちょっと大変なのです。自転車でも帰りが大変。そこで、市内を走っているバスに注目し、乗ってみたところ、これが安くて、時間が正確で、きれいで、早くていうことなしだったのです。Citi6という系統で、30分に一本、日曜は休みですが・・・。

メガライダーには1週間、1ヶ月、3ヶ月、1年と色々な有効期間がありますが、1ヶ月の分はバスの運転手が売ってくれます。ただし、まあ、わかっていただけるとは思いますが、バスに乗ったときに買うのは、時間もかかるし、他のお客さんに白い目で見られそうなきもして、ちょっと勇気が要ります。そこで、ドランマーストリートにあるバスのチケット販売所で買うことにしました。でも、そこでは窓口のおばちゃんが「写真は持ってきた?」と聞くのです。パスに貼り付ける写真です。そんなこと、案内のパンフや掲示などには書いてないんだけどと思ってると、続けて「でもね、運転手から買うと写真は要らないのよ」だと。

意味わからんぞイギリス人!運転手から買えば写真が要らないのなら、チケット販売所はなぜ写真をもってこいというのか?同じパスなのに、写真入と写真なしがあるわけすが、バスの中には堂々と「このパスは、あなたが使わないときには、お友達や家族も使えます」と宣伝しているのです。写真入のパスは、その人しか使えないようにするためじゃないんでしょうか?
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2003/04/24
ご機嫌な人+不機嫌な人
先日、家の近所で、ゴミ収集車を見ました。こちらの収集車は、日本のものよりも巨大で、ダンプカーなみの大きさがあります。その威容たるや、ちょっとした見ものです。
あまりに大きい車なので、運転者を含めて、4人が一列にならんで座れるほどの幅があります。ちなみに、2トントラックのサイズ(日本の収集車のサイズ)だと、3人のりです。
それにしても、道を歩いていて、横に4人ならんで乗っている収集車を見るとちょっとビックリしますよ。そのときも、「すごい!」と思って目をみはっていると、それに気づいた4人の兄ちゃんたちが、いっせいに、歓声をあげて私の方に手を振ってくれました。両手を挙げてガッツポーズをしてた人も居ました。サービス精神旺盛なことこの上なしです(おちょくられてたのか?)。
イギリスでは、仕事中にご機嫌なひとは、とても多いような気がします。笑顔が商売のサービス業だけではなく、庭師のおじさんとか、ボイラーの工事に来てくれた配管工のお兄ちゃんとかまで(いやむしろサービス業の人のつくり笑顔以上によい態度かも)。
いやー、日本ではこんなご機嫌に仕事してるひとないよね、イギリス人ってのは他人に不快な思いをさせないことを美徳としているのですねえ。

と、ひとしきり誉めたあとでなんですが、それでもやっぱり、イギリス人だって不機嫌なこともあるし、フラストレーションのたまった人もいっぱい居ます。
戦争が始まった直後に、バス停でそんな人を見ました。ちょうどそのとき、ケンブリッジ市内で大規模なデモが行なわれていて、すべての道で大渋滞が発生していたのです。その結果、待てど暮らせどバスが来ない。何しろ、見ている限り、車がまったく動いてないんだから。バス停には長い列が出来ていました。相当待たされていたのでしょうが、行列に慣れた国民だけあって、ほとんどの人がおとなしく待っていました。中に一人だけ、こんなことを言ってる水平方向にチャレンジしている体型の中年女性が居ました。

「そんなデモしても、戦争は終わらないのに!」

その女性は、周りの人に聞こえるようにそういっていましたが、それを言っちゃおしまいよ。確かにそれは皆がわかっていることだけど。この種の物言いは、おそらく、おしとやかな(はっきり物を言わない?)イギリス人が一番恥ずかしいと思うようなダイレクトな言い方です。よっぽど待たされてイライラしておられたんでしょうね。
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2003/04/28
キューバ・リブレ(リベラ?)
喉が渇いたときにちょうどいい、自由なキューバという名前のカクテルですね。これがラム酒+コーラで作られるという皮肉。これって誰がどういう風に命名したんだろうか?グロリア・エステファンか?

ふとこれを思い出させたのはCuba Lite(キューバ・ライト)という表現が、こっちの新聞に登場したから(米国高官のインタビュー記事)。アメリカがキューバ危機の時に実施したカランティンの軽量版ってことでしょうか。北から核兵器や原料物資を積んだ船舶が外国に向かうのを海上で選択的に停船させ臨検するとのこと。全面封鎖は北が「戦闘行為」とみなすので、これが、ぎりぎりのプレッシャーということなんでしょう。

いやー、アメリカってすごい(笑)。これまでは、こういう海上軍事行動は「とりあえず全部の船を停めてみる。積荷のチェックをする。ブツがあれば没収。」という手法しかとりえないはずだった。海洋法にしても海戦法にしても、これを前提としていた。しかし、米国の高官曰く、われわれは北から積み出される船舶に何が積まれているかすべてトレースできるそうな。だから、これまでとちがって、「無罪の船」に迷惑をかけることなく、目的を達成できるそうだ。んー、前提とする状況が変わると、きっと海戦法規の再々編とか言い出す人がでてくる。ということは、批判材料が増える。ということは、飯の種が増えるな(笑)。

でも考えてみたら、これって刑事裁判で「君は有罪だとわかっているから、法定手続きはパスね」と言ってるようにも聞こえるが。

それで、イラクの次は北か?という疑問があるが、日本に居住する人にとってみると、「空気」として、イラクへと同じような攻撃が北に対しても出来るとはちょっと考えられないだろうと思う。
米国にも、アメリカが一線を越えたら、北は数時間のうちにソウルに侵攻する、そして「最初の一日で百万人が死傷する」という認識があるそうだ(だから、全面封鎖はできないそうだ)。これ、日本では報道されてないかな・・・。
この「一日で百万人」ってのは、どう考えても大量破壊兵器を意味しているわけで、敵がそれを持っていて使用する可能性があれば、米国は強硬姿勢には出ないわけだ。
としたら、イラクのときは?ないってわかってた?それとも、そんなもの持ってないと言い張ってる国が使うわけないとわかっていた?

しかし、不謹慎だが、率直に言っておもしろい(interestingという意味)。これだからやめられませんな。

しかし、やってられませんなー。10日先までの天気予報が、雨とシャワーってのばっかり。かろうじて明日は「曇りのちウィンディー」だそうで。「風が強い」って天気予報ってありか(画像は風マークのみ)?ま、天気はコロコロ変わるし、週間天気予報も毎日変更されるいい加減なものだから・・・
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2003/04/30
ヴェジタリアン・メニュー
日本ではほとんど目にしないが、こちらで非常に頻繁に目にするものの一つが、レストランなどでメニューに書かれたVマーク。ヴェジタリアンメニューですね。どこのレストランにもあります。宅配のピザのメニューにもありました。メニュー以外にも、我が家にあるのを探したら、まずマーガリンについていた他、なぜかハンドソープにも!マーガリンはわかりますよね。動物性の脂を使ってないという意味でしょう。しかしなんでハンドソープなんでしょうかね。口に入るものだけではなく、肌に触れるものにもヴェジタリアンは気を使うということでしょうか。

こんなに世の中ヴェジタリアンが多いわけなくって、私の観測では、ヒンズー教徒とイスラム教徒の人が安心して食べられますということなのかなと思います。とは言うものの、ヴェジタリアンメニューとそれ以外のメニューを同じ鍋で作ったりするのは引っかからないんでしょうか。

ヴェジタリアンでもヒンズー教徒でもイスラム教徒でもないですが、私も、胃が重いときなどに、カレッジの食堂やユニヴァーシティーセンター(教職員食堂)などでヴェジタリアンメニューを頼みます。大概、あるのは野菜のラザニアですが。

しかーし。絶対に食べてはいけないヴェジタリアンメニューを昨日食べてしまいました。

「ヴェジタリアン向けラーメン」

ケンブリッジでは(イギリスでは?)、ヌードル・バーというのが流行で、ウドン、ラーメンなど極東の麺類を売り物にしたレストランがいくつかあります。Dojoといういかにもな名前のお店が有名ですが(かなり無国籍らしい)、そのほかモードリン・カレッジのそばにもTeri-Aki(ママ)というのが出来てます。後者は一品料理もまあまあで、てんぷら弁当など味はかなりいけるものもあります。はずれだったのは、シティーセンターのはずれのキング・ストリートにあるYippeeというヌードルバーでした。こういうところに入ったときには、日本のラーメンを期待してはいけないのが鉄則なのですが、それにしてもヴェジタリアンむけ野菜ラーメンって・・・。

よく考えたら、スープはトリガラもトンコツも入れられないわけですから、ラーメンって言えるのかどうか・・・

参考までに、他の麺類は、よその国の麺類だと思えば、結構楽しめましたが、ヴェジタリアン・ラーメンを一口食べた奥様の感想は・・・あまりの怒りで、「店を飛び出して風に当たりたくなった」そうです。

こういう店って、現地の人は結構好きらしくって、流行ってます。でもこういう店に入ると、自意識過剰かもしれませんが、緊張します。一口食べた瞬間の反応を店内から見られてる気がして・・・。だって、例えば日本でも、カレー屋でインド人客をみたら反応を見たくないですか?だからこそ、美味しいと思ってる、日本料理を食べた気になってるほかのお客さんに不安を抱かせてはいけないと思って・・・。

だけど、昨日のヴェジタリアンラーメンは、顔を作る余裕なんてありませんでした。
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2003/05/01
祝 成人の日
来週の月曜日はバンクホリデー。メーデーが「ハッピーマンデー」形式になってるわけですね。今月は26日月曜日もバンクホリデー。
なんで、ナショナル・ホリデーのことをバンクホリデーというのか?きっと銀行業務がイングランドでは一番大事なことなんですねーなどと研究所のティータイムで話しておりました。
その後、いろんな国のナショナルホリデーの話になり、「日本では、先生の日とか生徒の日とか、いろんな日があるんでしょ?」などと妙な質問をされた?
そこで、「いやいや、先生の日はないけど、敬老の日(Day for elderly people)とか子供の日(Children's day)とか成人の日とかはあるけど・・・」と説明しようとして、成人の日ではたと困った。なんていうのかな?Adults' Day?意味わからんでしょ。
とっさのことで、ついつい「姦通の日」って言いかけたよ!Adultという言葉に接尾語をつけたような単語でしょ、Adulteryって。本当はAdultyというありもしないそれらしい言葉を言ってしまいました(汗)が、もしかすると、adulteryって聞こえてるんじゃないかと、気が気でなりません(笑)。
とあるイギリス人同僚の答えが、またどちらともとれる意味深長なものでした。

「それじゃ、『みんなの日』ってこと?」
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