センター概要

 

          研究背景


研究センターの母体となる同志社大学大学院工学研究科は、知識工学、電気工学、機械工学、工業化学の4専攻から構成され他に修士課程のみの数理環境科学専攻も設置、各専攻とも現代の科学技術の革新に対応すべく基礎と応用分野において学術的・工業的に指導的役割を果たす研究者を有している。工学部においては、従来の知識工、電気工、電子工、機械システム工、エネルギー機械工、機能分子工、物質化学工の7学科の他に新たに情報システムデザイン、環境システムの2学科を2004年度に開設した。

工学部と大学院工学研究科は、1994年に京都市内から関西文化学術研究都市田辺地区に位置する広大な京田辺校地へ移転・統合し、文部科学省の私学研究助成等により研究設備や装置を充実させるとともに、リエゾンオフィスを組織して学外との共同研究を積極的に遂行している。大型プロジェクトとしてこれまで、1996年度よりハイテク・リサーチ・センター整備事業(ナノ構造ハイブリッドデバイス物性)を、1997年度より学術フロンティア推進事業(先端材料と複合系科学など)を、2000年度より学術フロンティア推進事業(知能情報とその応用)をそれぞれ実施している。また、2002年度からは関西文化学術研究都市の知的クラスター創成事業にも参画している。

▶これまでの具体的研究内容 

2009年度は研究基盤の環境整備を開始し、国際ネットワークの体制構築を行い、研究テーマを立ち上げる。日中エネルギー変換セミナー、ノルウェーKIFEE会議および国内外研究会を開催する。また、各年次における評価委員会を立ち上げ、年度末に成果評価を行う。2010年度以降では、各国のPD他若手研究者の招聘や、センターPD他若手研究者の海外派遣による研究交流の活性化を図り、各研究テーマを深化させる。2011年度には総合研究テーマを[ゼロエミッション技術を基盤とした環境調和型エネルギーグリッドの最適化研究」と題し、前年度までに行われた分野別研究テーマのシステム化と融合化を図る。また中間総括外部評価を実施する。2012年度には中間総括外部評価による研究活動計画の見直しと修正を実施する。また国際的な共同研究の実施、研究者の人的国際ネットワークを構築する。2013年度では研究成果の社会への還元と技術移転に努める。さらに「エネルギー資源環境国際研究会議」を海外で開催し、「Sustainable Energy 社会構築のための構想」の実現を世界に提言し、International Sustainable Institute 設置に向けての検討を行う。そして、最終総括外部評価を実施し、全体の研究成果について評価を行う。

  センター長から        稲葉 稔        Minoru Inaba



  ■ 次世代エネルギー研究拠点  循環型社会に向けて、エネルギーの有効活用を研究  
エネルギ―変換研究センターは、人類が存続可能な地球環境の持続発展ために可能な資源循環型社会の実現にむけての研究拠点です。自動車の内燃機関や家庭用のコジェネレーション、一般産業用の発電装置など、様々なエネルギー変換システムの効率化、次世代型ゼロミッション(廃棄物ゼロ)の究明を行うために2008年に開設されました。当研究センターの特徴として機械系(エンジンシステム)、科学系(燃焼電池)、電気系(エネルギー・電力の貯蔵技術)の各分野の研究者が参画していること。これまで独立して行われていた研究を融合し、より有効なエネルギー利用と環境保全の研究を実現しようと考えています。国内外の大学、研究機関、民間企業と共同研究を進め市場化を視野に入れた実用性の高い研究を目指しています。

  ■ 充実した研究・実験設備   エコキャンパスを目指して

エネルギー変換研究センターには、七つの実験室と10のラボ(研究分野)があり、各テーマに応じてさまざまな大型研究設備や実験装置を整えています。例えば、地階にある「ガスエンジン・コジェネレーション・システム」もその一つ。天然ガスエンジンを使うコジェネレーション機器と二酸化炭素を冷媒に使うヒートポンプ(エコアイス)を組み合わせたハイブリッド型システムで、最大発電量は200kw。研究センターのある「光喜館」の電力と熱をまかなっています。また、屋外にはCO2を太陽光により超臨界状態にして動力発生を行い余剰排熱を回収しようという「ソーラーCO2超臨界ランキンシステム」なども設置され、将来的にはこれらを一つに集約した新しいエネルギー変換システムを開発したいと考えています。

 

 

 

 

 

 

 

        ガスエンジン・コジェネレーション・システム       ソーラーCO2超臨界ランキンシステム

  ■ 研究設備装置  ゼロエミッション技術を基盤とした環境調和型エネルギーグリッドの最適化研究

▶ 装置
     研究装置名 (主な使用目的)
  ●太陽エネルギ―変換、計測・データ処理システム一式 (太陽エネルギ―動力・電力変換システム研究)

▶ 設備
     研究設備名 (主な使用目的)
  ●ワークステーションデータ処理        (数量シミュレーション)
  ●水素エネルギー変換計測解析システム     (水素燃料電池高性能化研究)
  ●噴霧燃焼過程計測解析システム        (噴霧燃焼エネルギ―変換研究)
  ●熱電交換システム計測・データ処理システム  (高効率熱電交換研究)

 

   ■ 研究設備装置  次世代ゼロエミッション・エネルギー変換システム


▶ 装置

   研究装置名 (主な使用目的)

  ● エネルギ変換システム動力解析装置  (ガスエンジンコジェネ-CO2ヒートポンプのシステム研究)
  ● 排気ガス分析装置          (エンジンの実時間排気ガスの分析 )
  ● PMA-11マルチチャンネル検出器   (化学種発光スペクトル分析)
  ● デジタルCCDカメラ         (噴霧や燃焼火炎の可視化 )
  ● 2次元レーザドップラー流速計    (流体・微粒子の2次元速度分布計測)
  ● 2次元PIV装置            (流れ場の2次元速度ベクトルの計測)
  ● 高速運動解析システム        (流体高速運動を解析)
  ● 温度場計測計            (流動場の流体温度を計測)
  ● LD励起Nd-YAGレーザ        (流れ場の可視化用光源)
  ● 3次元ステレオPIVシステム     (流れ場の3次元速度ベクトルの計測)
  ● 非接触温度計測評価システム     (変換デバイス内の流速と温度分布の測定)
  ● 微粒子計測システム         (微粒子の粒径・濃度などの挙動計測)


▶ 設備

  ● ナノパーティクルサイザー         (排気ガス中の微粒子のリアルタイム解析)
  ● ディーゼル機関性能計測装置        (ディーゼル機関の運転性能試験)
  ● ソーラー超臨界CO2ランキンシステム    (高効率ランキンシステムの研究)
  ● 高性能データアクウィジションシステム   (電磁流体の電磁気特性の計測)
  ● ELDCエネルギー貯蔵システム        (キャパシタ制御のためのエネルギー貯蔵研究)
  ● 高性能電気化学測定装置          (プロトン伝導体の伝導性の計測)
  ● 顕微レーザーラマン分光装置        (プロトン伝導体まわりの局所構造分析)
  ● 複合固体電解質動的構造解析システム    (固体電解質材料の構造解析)